<障害者権利法を超えて!>
竹中ナミ
今日は、こういう若い人たちに囲まれて嬉しいな(笑)。
今いみじくもご自身でおっしゃったように、障害者だけの問題ではありません。女性の問題、国籍の問題、貧富の問題。でも、ADAは障害者法なんですね。
日本はそれを越えた議論をしなければならないという議論を、今、私たちもしたので、障害者だけの問題ちゃうなと。障害者が働く時の壁も、外国の人が働く時の壁も、いっしょやんと言うことです。
それで、ユニバーサルっていう発想を持ってきたんです。障害者、高齢者って言う話ですけれども、今、日本の障害者手帳の発行が六割、ついに高齢者になりました。つまりこの間に差がない。せやけど日本は何とか障害者と健常者区別しようとしている。
ところがアメリカはどうかというと、
「今障害を持つ人」、
「まだ障害を持たない人」
という発想をしています。
日本もこれからこういう発想をもてるかどうかというのが一つの試金石ですね。
<地域から変わろう!>
それから地域というものですけれども、教育、交流、スポーツ、いろんな意味で地域コミュニティーが変わらない限り国全体は変わらないと思います。
地域から変わってやろうじゃないかという思いで、地域住民がいろんなアイデアを出して独自のことをした時に多分そういうのが広がって国が変わるだろう。宇治なら宇治、京都なら京都の皆さんに明日の日本はかかってるんではないかと思います。
<健常者が多いだけ>
地域というのは、健常者の集まりに障害者をお招きしてあげようとか席を用意しましたどうぞとか、これからは違うんですよね。
うちの場合はフォーラムとかする時に、裏方全部チャレンジドなんですよ。オープニングムービー作る、プログラムデザインして印刷する、ホームページから申し込みできるようにする、全部チャレンジド。
うちたった10人のスタッフしかいない組織ですけど、七人が一緒に勉強してきてプロになったチャレンジド。もうあっちが多数派ですわ。私らたじたじ。
単に今日本の常識がこっち(健常者)の多数派が強いよといってるだけのことだなと。そういった細かいことをきちっと変えていけるのは地域からだと思います。
<サムハルが目標>
スウェーデンにプロップが目標にしている「サムハル」っていう会社があります。これは3万2千人の従業員のうち2万9千人がチャレンジドという会社です。
これは30年前にスウェーデンの厚生事務次官みたいな人が国策として作ったんですね。
まずそこで働けるための技術を磨ける場所にしようと大きな税金つぎ込まれました。そこで働けるようになり納税できるようになったことで、この30年間でつぎ込んだ税金よりもその人たちからもらう税金のほうが何倍も大きくなりました。
障害者福祉っていうと、スウェーデンや北欧はついつい高齢者福祉が進んでいるとか親切な国のように思いますが、実は違う。
非常に税金が高い。
だから障害を持たない人が月々20万円稼ぎ、重度の人が10万円稼いだとする。同じように28%税金を払うようにいわれます。けれども。この10万円のチャレンジドは「この28%の税金を払うのは僕の権利だ」といいます。28%の税金が払えるように全部仕組みが作られている。
そこが日本の先ほどの姑息さ、雇用率の姑息さと全然違う。この税を払っているから自分は働けるという自覚も日本の人には少ない。
<二種社会福祉法人>
最後に社会福祉法人の問題ですがプロップ・ステーションは施設を持たない社会福祉法人なのでいわゆる二種社福で、数はそんなにないんです。
皆さんがご存知の社会福祉法人は一種社福です。老人ホームだったり、保育所だったり。施設があって、措置という制度の中でまず補助金有りきなんですね。国や自治体がそういう社会福祉をさせるために、社会福祉法人に認可を与え、補助金をきちっと入れて担わせる、これが一種です。
二種は自分たちがこれを社会福祉としてやりたい、という提案型ですね。ですからボランティアセンターサンなんかが今わりとおおいですよね。いわゆる社協さんって言うのはあそこは完全に行政主導型の社会福祉法人ですね。
私たちのような二種社福は自分たちがこういう活動をやりたいので社会福祉法人として認可してくださいという形で申請します。文言とか法律の縛りは全部一種と一緒です。非常に厳しいです。でも厚生労働大臣認可にもかかわらず、国から一円の補助金も出ない。全部自分たちのミッションに共感する方たちからの浄財、チャレンジド自身が勉強するからといって払う受講料、それから企業や自治体から請け負った仕事の事務経費から成り立っています。
きわめて厳しく、毎日が刃物の上です。来年の予算が決まっているわけではない。逆にだからこそ自分達がやろうと思うことができるんですね。
補助金もついてこない代わりに口もついてこない、これやれあれやれではなくて、これやりますあれやりますっていう形でやれている珍しい社福ですね。
厚生大臣認可の社福って言うのが、プロップが申請した時に、その三年ぐらい前に視覚障害者の国際交流の組織に認可しただけで、その当時NPOの流れになっていましたんでね、私たちはNPO法のできる前に第二種の社福として、思いっきり自分らのことがやれてそれがそのまま社会福祉。その代わり条件はない、
そして、厳しいけれど面白いことがやれる・・・と、こういう訳です。
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