通算67号

現 場 視 察 !

67号目次   3 


ホームレス訪問(新宿区戸山公園)1月24日(木)

全国で24,000人 〜その8割が求職中〜


 新宿区の戸山公園には、約140人のホームレスの人たちが、青いテント小屋に住んでいる。多くが日中は週に2、3日、日雇いの仕事に行く。7〜8割の住人が就労を希望している。最近は、普通のサラリーマンだったのにリストラによって、ホームレスになる人が増える傾向にある。

 公園の管理事務所に着くと、岡田克也政調会長と鍵田節哉衆議院議員(ホームレス議員立法チーム座長)も着いておられた。

鳩山由紀夫代表、岡田克也政調会長(写真まん中)とホームレスの現場視察

鳩山由紀夫代表、岡田克也政調会長(写真まん中)とホームレスの現場視察

 

「何しろ仕事がないんだから、アパートに住む金がないんだよ」

鳩山さんが、テントから顔を出している住人の方々に声をかけ話を聞く。
 「何年、住んでおれるんですか」
 「もう4年です」
 「お仕事は?」
 「今日も日雇いの仕事を探しに行ったけどなかったよ。ここ 最近は週に1、2日しか仕事がないんだよ。俺たちも本当は、こんなとこに住みなくないし、申し訳ないとも思ってるんだけど、何しろ仕事がないんだから、アパートに住む金がないんだよ」

ホームレスの方3人と、私たちはほか弁屋で買ったのり弁当を一緒に食べながら話を聞いた

ホームレスの方3人と、私たちはほか弁屋で買ったのり弁当を一緒に食べながら話を聞いた

 また、テントから顔をのぞかせておられた60歳くらいの女性の前にしゃがみこみ、鳩山さんは話を聞く。
 「お一人ですか?」
 「いや、父ちゃんと一緒に住んでるんだよ。今は父ちゃんが仕事に行ってる。でも、週に2、3日しか仕事がなくて、食っていけないよ」
 「昔は、大阪で普通に働いてたんだけど、病気になったのをきっかけに父ちゃんが失業してしまって、こんなとこに来ることになったのよ」
 「こんなところに住んでいたら、大変でしょう?」
 「ええ、以前も見ず知らずの男性に、いきなり棒で殴られたことがあって、今でも肩が痛むんだよ。昔は、普通の暮らしをしてたのに・・・」と、そのおばさんは泣き出した。
 「おばさん、きっといいことがあるよ」と、肩を抱いて鳩山さんは言った。
 「とにかく、父ちゃんが毎日働けるように、職を増やしてください」とおばさんは言った。
 また、もう一人のとび職の男性が言った。「ここの公園にいる野宿者は、『福祉のお世話にはなりたくない』という自立心の強い人間が多い。でも、仕事がない。野宿に一度なっちゃうと、住所不定だから、職安に行っても、安定した仕事には雇ってくれない。結局、週に1、2度あるかないかの、日雇いの仕事しかないんだよ。俺たちも、仕事をせずに社会のお世話になるよりは、汗を流して働いて、税金を納めたいと思っている」

 そこで、今私も提出者の一人として、「ホームレスの自立支援法案」という議員立法を提出し、与党の賛同も得て、超党派で成立させたいと考えている。
「ホームレス自立支援法案」のポイント

 1.就労意欲のあるホームレスの自立支援
 2.国の責任を明記
 3.全国規模の実態調査
 4.都道府県に実効計画策定の義務
 5.NPO(民間団体)との連携


働くことは人間の権利である!

 帰りの車中で、隣の席の鳩山さんに、「厳しいですねえ」と私が感想を述べると、
 「テントは衛生面も悪いよ。この臭いなんの臭いかわかる?」と指の臭いを私にかがせる鳩山さん。変な臭いだが、首をかしげる私に、「オシッコの臭いだよ。さっきのおばあさんが、『テントの床が湿ってる。触ってごらん』って言ってたでしょう。床がオシッコで濡れてるんだよね。そんなところで毎日寝てるんだよね・・・・」と言って、鳩山さんは言葉に詰まった。
 1月27日の深夜も、寒くて東京では雪が散らついた。その晩、新宿駅で野宿をしていた男性が亡くなった。
 ひと昔前は、「ホームレス=怠け者」と見られた。確かに一部にはそういう人もいる。
 しかし、最近ではホームレスの人々の8割が職を探している。 働く意欲がある人は仕事に就ける、アパートなど屋根のあるところで、最低限の人間らしい生活が「権利」として送れる日本にするため、精一杯、私も頑張りたい。

 

ホームレス問題を考えるテレビ番組に出演 

(2月16日放映 BS JAPAN番組「ほね・骨・本音」)

左から、司会の城戸真亜子さん、ホームレス作家の松井計さん、山井和則。


左から、司会の城戸真亜子さん、ホームレス作家の松井計さん、山井和則。
ご関心のある方にはビデオをお貸しします。

 


 

DVシェルター訪問

DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者からの暴力)
被害の女性のためのシェルター(駆け込み寺) 1月24日(木)

DVシェルターの場所は秘密である。電話相談の電話番号は公開されているが、場所は非公開。なぜなら、場所を公開すれば、暴力をふるった夫が妻や子供を取り返しに来るからだ。

男性の意識改革なくして、DVの問題はなくならない

  昨年、10月13日から施行されたDV防止法は、超党派の女性議員の尽力により成立した。
 このシェルターに初めて訪問した男性国会議員が、鳩山さんと私であった。男性こそ、DV防止に取り組まねばならないと考えるからだ。

 このDVシェルターは、2世帯と2人が滞在中。すべての女性がDVの被害者である。
 一人の女性は、3年間におよぶ夫の暴力のため、子供を抱いてここに逃げ込んできた。ここに2週間をメドに緊急避難し、その間に次のアパートなどを探すのだ。
 ここの女性スタッフは、「妻にDVをしたという自覚と反省が夫にないのが、最大の問題。その自覚なしに『急に妻がいなくなった』と探し回る。また、子供への虐待に対しても、『あれは虐待でなく、躾(しつけ)だ』と反省の気持ちがない父親が多い」と嘆く。
 そして、「男性の意識改革なくして、DVの問題はなくならない」と言う。
 
 その後、シェルターの食堂や居室を訪問。特別な計らいにより、入居されているお母さんや子供さんたちにも会わせてもらった。
 このシェルターでは子供のケアに力を入れている。女性スタッフは、「子供が落ち着かないと母親も落ち着きません。子供が安定しなかったら、母親もカッとなって怒り、さらに、子供が泣き叫ぶという悪循環になります」という。

鳩山さんと共に、シェルターの空き部屋にも入った。ふと机の引出しを開けてみると、「がんばるぞ!」と落書きがしてあった。人生を立て直す決意の落書きだろう。

鳩山さんと共に、シェルターの空き部屋にも入った。机の引出しを開けてみると、「がんばるぞ!」と落書きがしてあった。人生を立て直す決意の落書きだろう。


 

(総理府調査)

夫からの暴力で年に130人死亡!
20人に1人
の妻が命の危険を感じたことがある

夫から妻への暴力検挙件数

夫から妻への暴力検挙件数

昨年のDV防止法の施行まで、DVは「夫婦げんか」という次元でしかとらえられず、「民事不介入」の原則から、警察も十分に対応してくれなかった。しかし、DV防止法により、夫からの暴力がようやく「犯罪」と見なされるようにり、妻も泣き寝入りしないケースが増えた。

今のDV防止法では不十分

スタッフの方は、「民間のシェルターへの公的な補助金が少なすぎる。

スタッフの方は、「民間のシェルターへの公的な補助金が少なすぎる。
よいスタッフを数多く雇うには、もっと多くの補助金が必要です」と鳩山さんに要望。

しかし、女性スタッフは「まだまだDV防止法は不十分」と言う。主な問題点は次の通り
  1.  DV防止法は、民間シェルターへ委託費を出すことをうたっているが、制度が不十分で、民間シェルターが増えていない。
  2.  DV防止法は、妻への半年間の接近禁止を規定しているが、半年間では短かすぎる。調停してきっちり離婚するまで、半年ではできない。
  3.  DV防止法は各都道府県に、配偶者暴力相談センターを設置することになっているが、その設置が十分に進んでおらず、専門の相談員の養成も十分に進んでいない。

DV防止法は3年後に見直すことになっている。まだまだ男性中心社会のしわ寄せが、女性を苦しめていると痛感した鳩山代表と私だった。

 

 


「男女共同参画調査会」事務局長として 

 民主党では、「男女共同参画調査会」が、DV問題をはじめ女性政策を作成しています。この会長は女性である水島広子衆議院議員で、事務局長が男性の私(水島会長の指名)。
 言うなれば、私は、男女平等に関する民主党の男性責任者となった。私も口ばかりでなく、言動一致を心がけたい。


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