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その5
良いものが何故増えない? このグループホームのホームページを見てくださって、「これは本当にいいな」とお思いになった方も多いでしょう。ところがこれはなかなか、増えません。採算がとれないからです。 グループホームを造りたい、でもこれは採算がとれない。苦しい苦しい。これからはみんなが、「グループホームが採算が取れるように!」「せめて、夜勤体制がとれる人員・給料を!」「建設補助を!」と、声をあげていかないといけないと思います。
先進的な宮城県の場合 宮城県は、グループホームの解説ビデオを作り、すべての市町村に配り、「グループホームはとても良いものですから、みなさんやってください」と県が呼びかけ、頼んでいるのです。 私も宮城県に何度かも呼んでいただいています。「やまのいさん、是非とも宮城県でグループホームを増やしたいから、講演に来てくれ」といわれます。ある講演では、150人程の宮城県内の医療法人・福祉法人の方を相手に、私がグループホームケアの説明をしました。県の人が「それほど儲かりはしないが、是非ともグループホームを立ち上げてください」と、グループホームの宣伝に必死になっているのです。 そのビデオに出演しておられる外山義先生は、グループホーム建築の大御所で、京大の教授です。このビデオは、宮城県から「やまのいさん。こういう取り組みをしています。ぜひとも見てください。」と私に送ってくださいました。宮城県のように、行政が必死になって、グループホームをつくりましょうと誘導しているところもあります。
先進的な宇治市の場合 自治体では横浜市が16箇所くらいグループホームを整備しています。利用料は月10−16万くらいです。 利用料が高くなり過ぎないように、月入居者一人あたり1万2000円の補助を横浜市は予定していますが、「利用料が11万円程度以下の場合に限り支給する」というような条件があるそうで、16のうち2つのグループホームしかその補助金は申請していないようです。 私は京都府宇治市に住んでいますが、宇治市では、2000万くらいを上限に、単独型グループホームに建設補助を出しています。これは、画期的なことです 宇治で、グループホームの取り組みに進んでいる、ひとつの理由をいいますと、宇治市では過去4,5年の間に、グル−プホームのシンポジウムが10回くらい行われました。その多くが私や私の仲間が主催したものです。 その結果、今回宇治市が介護保険のアンケート調査をとったら、他の自治体に比べて、2,3倍グループホームを利用したいという要望が多かったのです。 要望が多かったから、宇治市もたくさん建てざるを得ないということになりました。 おまけにこんなに要望が高いのだったらと、京都では唯一、宇治市では単独型のグループホームにも、宇治市の単独の予算で2000万円建設補助を出しましょうと決定しています。 ですからこれもやっぱり、地域の声があがっていったので、宇治市も動いていく。これから全国で、声を大きくして、グループホームを我が地区に!と、がんばってほしいです。 繰り返しになりますが、「グループホームの方が高くつくからできない」というのならまだ分かるのです。グループホームの方が費用的にも安くつく。それにも関わらずできないということに対して、わたしは、これはおかしいと思っています。それでこのホームページを通じて、この問題について、みなさんと一緒に勉強をしていきたいのです。
私が翻訳した本の宣伝 グループホームの生みの母といわれているスウェーデンのバルブロ・ベック・フリス先生が書かれた世界初・グループホーム手引きの本「スウェーデンのグループホーム物語 ぼけても普通に生きられる」を、わたしは親友の近澤貴徳君と一緒に2年間かけて日本語に翻訳しました。そして、ホルム麻植佳子先生に監訳してもらいました。 翻訳したのは1993年です。当時、出版社の人に言われました。「そんなグループホームなんか日本でニーズありませんよ。こんな本翻訳しても日本で売れませんよ」と、言われながら、4つ出版社まわりました。わたしは、「違うのです。こういう本が日本で絶対に必要になります」といって頼んだのですけれど、出版してくれませんでした。 結局、「ふたば書房」さんがこの本を出して下さいました。全国で、わたしが、講演会をしてまわり、今までに7000部売り歩いています。この本は本屋さんにはあまり売っていませんが、「グループホームのバイブル」です。詳しくは、著書紹介をHPでご覧下さい。 「グループホーム入門」と新著「グループホームの基礎知識」 また、グループホームについて詳しくは拙著をお目通しください。 拙著「グループホーム入門」には、京都にある「グループホームはつね」や、「グループホームぬくもりの里」、「やどりぎ」の、訪問記なども書いてあります。さらに、この4月には「グループホームの基礎知識」(リヨン社)を出版しました。 別にこのホームページは本の宣伝のために書いているのではありませんが、それでもグループホームのすべてをこのホームページで説明するのは無理ですので、失礼をお許しください。
最後に 困っている痴呆症のお年寄りは、自分では「グループホームが欲しい」とはいえません グループホームが良いと分かってながらも、もう10年経っても増えていない。 痴呆性高齢者1000人に1ヵ所くらいグループホームがあっても意味がないのです。ほとんどの人は、利用できないわけですから。 私は、人生を賭けて、「小学校区にひとつ」。 子供とお年寄りが歩いて暮らせる、歩いていける距離に、 「痴呆症のお年寄りのグループホーム」あるいは 「痴呆ではない虚弱なお年寄りのグループホーム」あるいは 「障害のあるこどもたちのグループホーム」を普及させたい。 そういうグループホームが、夜空に輝く星のようにたくさん地域に出来てくる。 弱った方々を地域から隔離するのではなく地域で支えていく社会をつくっていく。 わたしはその運動が、グループホームの運動だと思います。 このホームページをご覧になったみなさんと共に力を合わせ、よいグループホームを日本じゅうに増やし、ぼけても、身体が不自由になっても、住み慣れた地域で暮らせる社会を創りたいと思います。
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