活動報告

Activities

山井の活動


厚生委員会での初質問の報告をさせて頂きます。
今日は午後2時10分から50分までの40分間、生まれて初めての国会での質問をしました。
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昨夜(3日)は4時間の睡眠。
3日の昼間は、資料集めや、厚生省との打ち合わせ。
そのあと夜中の12時まで、現場の方々に電話をあちこちにかけ、質問内容についての意見をもらった。
老人ホームの看護婦さん、新聞記者さん、大学教授さん、介護家族の方など。また、このメールマガジンの読者の方々からも、メールでのアドバイスや現場の声が多く寄せられた。
質問内容に肉付けして原稿にしたのが夜中の3時。
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質問に向けての、最大の難関は、スライド利用の件。
身体拘束やグループホームについてはスライドで見ていただかないと、いくら口で説明しても無理。
スライドを利用したい、と申し出た。
なんと、衆議院では35年前に一度、参考人のお医者さんが、スライドを使ったことがあるだけ。
委員つまり議員がスライドを使ったことは前例がないという。
今日の厚生委員会が朝10時から行われる。
その直前の、厚生委員会の理事懇談会で、スライド使用を認めるかどうかの、結論が出ることになった。
「みんなでスライドを見て、共に考えるところに意味があります。身体拘束の写真と、グループホームの写真を、論より証拠で、目で見てほしい」と、私はお願いをした。
金田誠一民主党厚生部会長が、自民党の遠藤厚生委員長などに頼み込んで、「前例とはしない。テストケースとしてスライド使用を許可する」(遠藤委員長)となった。
これで、日本の衆議院歴史上初のスライドを使っての委員会質疑となった。
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さて、2時10分。
「委員長、初めて当選しました山井和則です。今日は初質問で介護問題について主に4つのテーマについてお伺いしたいしたいと思います」と、私の生まれて初めての質問がスタート。
最初は、「私は学生時代のボランティア活動以来、ずっと福祉に打ち込み、福祉をよくしたいとう一心で国会に来た」などという自己紹介。
その間に、手早く、秘書の宮地君と関根さんがスライドのスクリーンをセットしてくれた。
「過去15年間、介護問題に取り組んできてもっともショックであったのが、身体拘束です。これは諸外国には少く、日本に多く見られる、人権無視の悲惨な処遇です」と、スライド一枚目の“ベッドにヒモで縛られたおじいさん”の写真を映し出した。
与野党の議員、厚生省の役人さんの目はスライドに集中する。
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そこで、最初の質問。
「津島厚生大臣、このような身体拘束の実態を、今までにごらんになったことがおありですか?」。
大臣は、「10年前に厚生大臣をしていたので、そのときに実態を見たことがある」と答弁した。
以下、細かくは説明できませんが、おおまかな40分の質疑を報告します。一字一句正確ではありません。
身体拘束の写真を、さらに4枚写し、説明する。
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質問:
身体拘束廃止に向けて、厚生省では具体的にどのような取り組みを行っているのか。
欧米では厳しく禁止されている身体拘束が、なぜ、日本では今日まで、放置されてきたのか。
答弁
マニュアルをつくったり、「身体拘束ゼロ作戦」の検討会議をつくっている。
実態調査は、「ぼけ老人をかかえる家族の会」がやって70%が何らかの拘束を経験したと答えている。
日本は寝たきり文化なので、ベッドの上での拘束も多い。欧米とは文化の違いもあるのでは。
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質問:
デンマークでは身体拘束は、市町村への届出とチェックが必要。
ドイツでも医師の鑑定書が必要。身体拘束は高齢者の人権をふみにじり、死期を早める。
そもそも1988年に出版された「ルポ老人病棟」(大熊一夫著、朝日新聞社出版)で、すでに身体拘束が厳しく批判された。
1987年当時の斎藤十郎厚生大臣が、「都道府県に改善をさせる。
厚生大臣がかわってもこの問題にはしっかり取り組む」と答えているではないですか。
そのあと1990年に津島厚生大臣になられ、1987年から今日までに15人もの厚生大臣が変わっている。
なぜ身体拘束は放置されてきたのですか。
多くの方が身体拘束で死期を早められたのです。
私の知人にも縛られて無念のうちに亡くなったお年寄りがいる。
家族も泣いている。
また、縛る職員さんも「安全のため」と泣きながら縛っている。
このような現状を15年間、厚生省は放置してきたのですか。
回答:
さすがに、準備していなかった質問のせいか、津島厚生大臣が、厚生省の局長さんに目配せをし、局長が答弁。3分くらい話を聞いたが、とにかく、いろいろやったけど実効はあがらず、残念だという趣旨の答弁。
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お願い
(時間もすでに15分間を経過したので、質問ではなく、お願いに変えた)。
身体拘束の実態を厚生省はどのように把握しているのか。
実態調査をまずやってほしい。
きっちりした実態調査なくしては、対策も立たない。
身体拘束廃止に向けた、ノウハウの提供といったソフトな取り組みだけでなく、施設・病院に対する指導監査を厳しく行い、基準違反の場合には保険指定の取り消しを行うなどの、厳しい姿勢がないと、身体拘束はなくならない。
実際に病院で縛られて、苦しんでいる多くの高齢者のことを考えると、身体的拘束の廃止は一刻を争う問題である。
介護保険施設すべての廊下に、「身体拘束ゼロ作戦。命や安全のため、やむを得ない場合を除いて、拘束は違法であり、保険取り消し」というポスターを貼って、現場にもご家族にも意識改革をしてもらう必要がある。などと述べた。
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引き続いて、グループホームにうつる。
スライドでグループホームの写真を4枚見せて説明。
「小規模で家庭的なグループホームだと身体拘束の必要性もない。
役割や出番をつくり、家事を手伝ってもらう生活リハビリで、痴呆症の進行や症状をやわらげる」などと話す。
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質問:
痴呆性高齢者の介護対策には、グループホームが重要である。
全国各地に、身近に利用できるようにすべきであるが、とても少ない。これについてどう考えているか。
厚生省は、グループホームが必要量をどのように考えているのか。
ちなみに、スウェーデンでは、痴呆性高齢者四人に一人がグループホームに入居できることを目指している。
福島豊厚生政務次官が回答。
必要量はすぐには出せないとの回答。
(福島議員は今までもグループホームに熱心である。ちなみに、民主党では役人さんには委員会で質問をするなという通達が出ており、私も基本的にはすべての質問を津島厚生大臣にした)。
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質問と意見
民主党はグループホーム25000ヶ所。
小学校区に1つを総選挙の公約にした。
グループホームを増やして住み慣れた地域で老いられる社会をつくるべきではないか。
グループホームの数が増えない最大の原因は、介護報酬が低いことである。早急に引き上げるべきと考えるが、どうか。
福島次官
今までモデル事業の時よりは、介護保険になってグループホームの報酬はあげたという趣旨の答弁。
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質問:
宿直という形ではだめ。夜勤の形をとるべき、早急にあげないとグループホームは増えない。
グループホームの数が増えないもう1つの理由は、デイサービスなどへの併設の場合にしか、施設整備費の補助金が出ないことである。
単独型グループホーム設置の場合にも整備費補助を受けられるようにすべきと考えるが、どうか。
福島次官
単独型でも福祉法人の場合は、500万出しているし、併設型の方が緊急の場合などバックアップが安心との答弁。
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質問と意見
500万では全く足りないし、緊急時のことを考えても何も隣同士の併設である必要性はない。親施設がバックにあれば、サテライト方式でグループホームは住み慣れた地域にあっていいではないか。併設だけにこばわっていたら、いつまでたっても住み慣れた地域で老いられる社会はつくれない。
介護報酬の引き上げ等によって、多くの事業者がグループホームに参入して利用できる量を増やす一方で、質を確保するために現場に近い市町村が監視の目を光らせることが必要である。
しかし、市町村の中には、グループホームの指定権限が都道府県にあることから、無関心であるところも多い。これについて、どう考えるか。
福島次官
市町村に監督を強化させたい。
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質問:
痴呆性高齢者の要介護度がきちんと評価される1次判定プログラムは、いつから導入されるのか。2年後、3年後では遅すぎる。
1次判定プログラムが改善されるまでの間は、痴呆性高齢者の要介護認定の適正性をどうやって確保するのか。
津島大臣
プログラムの組み合えには時間がかかる。訪問調査や二次判定の精度を痴呆症のお年寄りに対してあげられるように努力したい。
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質問と要望
ショートステイの限度枠の一本化のスケジュールはどうなっているのか。経過措置として、受領委任方式による現物給付化を厚生省は市町村に指導しているが、十分に徹底されていない。これでは困る。早急に徹底すべきである。明日からでも日本中でショートステイが受領委任方式で利用しやすくしてほしい。
しかし、このこと以上に、根本的に、ショートステイに利用上限を設けることの問題に厚生省が気がつくのが遅すぎる。
関係の医療保険福祉審議会では、もっと早い段階で指摘はなかったのか。
審議会のメンバーを見てみると、20人の中には利用者の代表つまり、家族もお年寄りも入っていないではないか。
サービスの提供側だけの声を聞いて、良い介護保険ができるはずがない。
介護保険の主人公は利用者である。
利用者の声を聞かないで審議会をするなら、同じような現場を泣かせる問題が再発する。
痴呆介護を行う家族の代表や、介護保険のサービスを利用している高齢者の代表も入れるべきではないか。
さらに、在宅サービスの要であるホームヘルパーの代表も入っていない。
介護保険で一番苦労しているケアマネージャーの代表もはいっていない。入れるべきだ。
さらに、介護者の85%が女性であるのに、20名の委員のうち女性が2名というのはおかしい。半数は女性にすべきではないか。
津島厚生大臣
山井委員の意見には、私も共感するところがあります。意見を参考に審議会のメンバーについて検討したい(本日唯一の前向きな答弁!)
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最後に、「今日はいろいろ失礼なことも言いましたが、私の個人的な意見ではなく、私は全国250万人の、寝たきりや痴呆症のお年寄りの代弁者としてここに立たせてもらっている。
最も苦しんでいる方、介護保険の影響を受ける人は、声を出せないのですから。
それから、私たちにとっては2,3年といえば、短い期間かもしれませんが、その2,3年の間に、多くのお年寄りはバタバタと亡くなっていくのです。
介護行政にはスピードが必要です。お年寄りが亡くなったあとになって、天国にいるお年寄りに向かって「良いサービスができましたよ」と言っても無意味なのですから」などと言って、締めくくった。
多くの方が、「スライドがあってわかりやすく、説得力があった」などと言って下さった。私としてはもっと厳しく言いたかった部分もあったが、今日がスタートなので、控えめにスタートした。
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なお、以上のやりとりの文責はすべて私にあります。
特に、答弁はのらりくらりとしていて、趣旨を理解するのに苦しむものも多かった。詳しくは議事録をご参照ください。
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なお、議員会館に帰ると、読売、京都、東京、各新聞から老人福祉というよりも「史上初のスライド使用」を記事にしたいという電話取材があった。
変なところで歴史に名を残すことになった、と苦笑。
世間では当たり前のスライドが衆議院史上初とは。
もっともっといろいろ書きたいことはありますが、例によって長くなりすぎたので、ここで終わります。
今日の答弁については、当然、来週にでも厚生省に、再び問い合わせたいと思う。