2018.12.6
日新窟・にっしんくつ
シャープ亀山工場の下請け会社から2,900人の日系外国人が雇い止め(解雇)された問題で、車上生活など路頭に迷う方も出ています。
雇止めされた日系ペルー人、ブラジル人、ボリビア人の方々が、私の国会事務所にお越しになりました。
『急に仕事が無くなった』
『安定した仕事だと聞いて就職したのに』
『新しい仕事がなくて困っている』
『失業手当が欲しい』
『新しい仕事を紹介して欲しい』
今回の外国人労働者法案が成立し、外国人が急増したら、外国人が『雇用の調整弁』として使われ、不況の際には、何万人もの失業した外国人が街にあふれる可能性があります。
不況の際のことを考えない、安易な急激な外国人労働者の受け入れ拡大は問題です。
厚労省の担当者10人を呼んで、今後の対応策を協議しました。
下請け会社や人材派遣会社に違法行為はなかったのか。
2,900人もの雇い止めが許されるのか。
厚労省に新しい仕事を斡旋する責任があるのではないか。
外国人だから、簡単に大人数でリストラされているのではないか、など。
このような事態の放置が許されるなら、今後、日本が不況になった際には、全国で何万人もの外国人が1度にリストラ、雇い止めされることになります。
何らかの歯止めや救済策、再発防止策が必要です。
外国人労働者の方々も生活があり、お子さんもおられます。
厚労省に早急な対応を強く求め、引き続き協議することにしました。
ベトナム人のためのお寺『日新窟(にっしんくつ)』を訪れ、タムチー僧侶と共に拝ませて頂きました。
タムチー僧侶の言葉を、以下、ご紹介します。
『このお寺は、ベトナム人の悩みや困りごとの相談に乗る駆け込み寺であるとともに、日本で亡くなったベトナム人、100人以上の位牌があります。今年も21人が亡くなりました。死者は若者がほとんどで、技能実習生の死者も含まれています。死者が毎年増えています。なぜなのか。夢を持ってベトナムから日本に来た若者がなぜ死なねばならないのか。このままでは大変なことになると心配して、何とかベトナムの若者の命を守りたいと思い、これらの位牌も公開することにしました』
『日本語も十分に話せない若者が、たくさんの借金を背負って日本に働きにきて、孤独や仕事の悩みで、自ら命を絶つケースも増えています。ベトナム人だからという理由で、低賃金で休みなく奴隷のような扱いを受けているケースも中にはあります。日本でいい会社やいい仕事に運良く当たれば幸せ。でも、運悪く悪い会社や悪い仕事に当たれば、大変な苦労をします。来日前の説明や契約と全く違う仕事をさせられるケースもよくあります。ベトナムの若者たちはみんな「運次第だ」と言ってます。でも運次第では困るんです。運が悪かったから死んだ、ということでは困るんです。みんないい子なのですから。最低限の労働条件は、日本の政府が規制し守ってもらわないと』
『手前に並ぶたくさんの小さな位牌は、赤ちゃんの位牌。中絶した子どもの位牌です。技能実習生や留学生は、妊娠しても、日本で仕事や勉強をしながら、子どもを育てることができないので、泣く泣く中絶する女性もいるのです。悲しいことです』
『先日も技能実習生の若者が急性心不全で亡くなりました。5歳と7歳の子どもがベトナムにいるのに、かわいそうでなりません。仕事の疲れ、過労も原因と思いますが、みんな家族思いで、ベトナムの親や子ども、家族に5万円くらい仕送りをするので、月の生活費は二万円くらい。だから、毎日カップラーメンばかり食べて栄養失調の若者も多いのです。労働条件がいくらきつくても苦情を言ったら、強制的に帰国させられる心配があるから、みんな不満や苦情は言えないのです』
『今の現状に対して、ベトナム政府も日本政府に言いたいことは、たくさんあります。しかし、言ったら、「もうベトナムから技能実習生は受け入れません」と日本政府から言われると困るから言えないのです。だから、ベトナムの若者の代わりに私が発言しているのです』
『いい会社、いい仕事にあたるか、はずれるか、運次第では困るんです。夢を持って日本に来た若者がみんな幸せになれるようにして下さい』
いま日本に来日する技能実習生のトップはベトナム人です。しかし、そのベトナムの若者の死者が増えています。夢を持って日本に来た若者が、日本で不幸になることがあってはなりません。私たちが今、受け入れを拡大しようとしている外国人は『労働力』でなく『人間』です。母国には家族がおられ、生身の人間ですから、重労働を強いれば倒れてしまいます。外国人労働者を多く受け入れるということは、単なる人手不足対策でなく、より多くの人間を幸せにする重い責任を負うことだと改めて痛感しました。
晩の会合に参加した後、近所の定食屋さんで遅い夕食。
ニンニク唐揚げご飯。