活動報告

Activities

山井の活動


171-衆-予算委員会第四分科会-2号 平成21年2月20日

○田野瀬主査 次に、山井和則君。
○山井分科員 これから三十分間、前半は馬場南遺跡について、そして後半は保育園の問題について質問をさせていただきたいと思います。
大臣におかれましても、貴重な時間をいただきましてまことにありがとうございます。
さて、早速ですが、関西学園都市の中にあります木津川市の木津中央地区という開発地の中で、このたび馬場南遺跡というものが見つかったわけですね。これは奈良時代の寺院跡で、そして、この遺跡は日本書紀などの文献に登場しない奈良時代の中期から後期の未知の寺院、神雄寺の主要な建造物と推定されて、注目を集めています。寺院の前には川をせきとめた人工の池が見つかったり、建物の建造や配置はこれまで全く類型がなく、天皇や大臣クラスの人物が利用したと見られています。
一月十七日に行われました現地説明会には千三百人が詰めかけ、文献に記載されていない、なぞに満ちた遺跡ということで、非常に今関心が高まっております。そして、一部、木津川市の市役所などでも展示をされておりますが、公開をされたように、このような多くの出土品が出てきているわけです。(パネルを示す)
それで、当時のことを復元すると、大体こういうふうなイメージの神雄寺という寺院だったのではないかということになっております。
木津川市の教育委員会は、大規模な燃灯供養を行う特殊な装置として神雄寺の存在は、学問中心の寺院や修業を中心とした山岳寺院とは異なり、今までの古代寺院、仏教観を一変させるとの見解を発表して、遺跡を評価しております。と同時に、国の史跡指定を目指す方針であります。
そこで、大臣にまずお伺いをしたいんですが、この木津川市で発見された馬場南遺跡を文部科学省としてどのように評価をされているか、お伺いしたいと思います。
○塩谷国務大臣 京都府木津川市の馬場南遺跡は、平成十九年及び二十年度の市教育委員会などによる発掘調査によって、奈良時代の寺院跡が見つかり、万葉集の歌を記した木簡や寺院の名称を書いた土器などが出土したものと承知をしております。
この遺跡がどのような価値を有するものであるかについては、今後、発掘調査で得られた出土遺物などを整理し、報告書が作成された後に、考古学や歴史学の専門家により学術的評価について検討されるものと承知をしておりますが、学術上の一定の価値を評価する意見も多く見られておりますので、今後の報告書等を踏まえてしっかり検討をしていこうということでございます。
○山井分科員 ぜひ、これは、文献にも出ていない、非常になぞに満ちた寺院でありまして、今までの仏教観を転換させる大きな発見だというふうに思いますので、前向きに検討していただければと思います。
そして、そのことに関連して、木津川市教育委員会では国の史跡指定を求めていく方針でありますが、今後、国としてはどのような方針なのか、またこの報告書が、もちろんこれからまとめた上でのことになると思いますが、どのようなタイムスケジュールというものが考えられるのか。国の指定に向けての国の方針なり御見解、スケジュール観をお伺いしたいと思います。
○高塩政府参考人 今大臣からお答え申し上げましたように、馬場南遺跡につきましては、今後、発掘調査の報告がなされまして、地方公共団体の方から意見具申がなされた場合に、私どもの文化審議会においてその学術的価値が検討されるものというふうに考えております。
具体的な史跡の手続につきましては、指定につきまして地権者それから関係者の同意を得た後に、地元の市町村教育委員会から文部大臣への意見具申が行われた後に、文部科学大臣が文化審議会に諮問をいたします。そして、文化審議会で調査審議されまして、国指定史跡として価値があると判断された場合には、文部科学大臣に答申がなされまして、その後、官報告示、所有者に通知を行いまして、史跡になる、こういう手続になりますけれども、今具体的にいつということについては、まだ地元の教育委員会等、相談を受けている段階ではございません。
○山井分科員 報告書が出たら、ぜひとも国の史跡指定をお願いいたしたいと思います。
また、これに関連して、地元の河井規子木津川市長は、この遺跡は木津川市の宝であり、同時に国の宝でもある、史跡指定を受け、史跡公園として整備をしたい、ぜひURそして国の支援をお願いしたいというふうにもおっしゃっておられます。
ついては、URも保存に向けた検討を行っていると報道されていますが、文部科学省と国交省で協議は行っているのか、またUR、自治体、文部科学省の協議がスムーズに進むように、文部科学省が積極的に協議を進めてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
○高塩政府参考人 埋蔵文化財の、史跡の保存につきましては、地元の教育委員会と、この馬場南遺跡につきましては都市公団、URの方との、事業者でございますけれども、その間の協議がされるということがございまして、国としては、必要に応じまして地元の教育委員会等、助言をしておるところでございます。
本件につきましては、既に私ども伺っておりますことにつきまして申し上げれば、京都府教育委員会と事業者URとの間で遺跡の保存のための協議が行われているというふうに聞いておりまして、本遺跡につきましてはUR側において史跡として保存していく方針であるというふうに伺っているところでございまして、私どもは必要に応じ、当然、地元の教育委員会、さらには必要があれば国土交通省とも相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 今までの古代寺院、仏教観を一変させる発見というふうに私たちは認識しているんですが、問題はこの調査、保存が逆に大きな課題となっているわけであります。
ここの場所は平城京と恭仁京との中間に位置をして、当時の幹線道路に近いところだけに歴史的にグレードの高い遺跡と思われます。
木津川市は、平成十九年三月に合併をして新しい市となりましたが、市内には、恭仁京を初め、浄瑠璃寺、海住山寺、蟄満寺などの国宝を有しており、当時の天平文化を伝える重要な地であり、折しも二〇一〇年には隣の奈良で平城遷都千三百年事業が計画されております。しかし、これらの文化財はすばらしいことなんですが、逆に、維持管理していくことは自治体の財政負担にとって非常に大変なことであります。
この馬場南遺跡は、国の負担において調査し、保存事業を行っていただきたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。そしてまた、その費用の総額は幾らぐらいかかると見ておられますか。
○高塩政府参考人 今、この木津川市の行っております史跡の調査に対しましては、埋蔵文化財の調査に対する国の補助として、二分の一の補助をいたしております。また、史跡指定を受けた場合には、その後の整備につきまして、これも同じく二分の一の国庫補助の仕組みがございます。さらには、土地を公有化、木津川市の方で取得するということになれば、八割の補助ということが可能でございます。
まだ、その総額その他について、私どもで積算をしているわけではございませんけれども、木津川市教育委員会、京都府教育委員会と十分相談をしてまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 そうしたら、まさにその隣の恭仁京の史跡の話に移りたいんです。
昨年の四月にも質問をしましたが、この恭仁京の史跡公園整備を要望し、案内施設、トイレの整備、公有地への買い上げ促進をお願いしました。国においても尽力していただいていると聞いておりますが、現在の状況と今後の見通しをお聞かせください。
○高塩政府参考人 史跡、恭仁京跡の土地公有化につきましては、昭和五十五年度からいわゆる直接買い上げ並びに先行取得を行って土地の公有化を進めているわけでございまして、今、史跡指定地の三七%ほどが公有化されているということでございます。これまでに、総額約二十一億七千万円の事業費に対しまして、八割に当たります十七億四千万円の国庫補助を行ってきておるところでございます。
昨年度につきましては、国庫補助額は、事業費六千五百九十二万円の八〇%でございます五千二百七十三万六千円という金額を補助いたしておるわけでございまして、二十一年度事業につきましても、今後、交付決定、これから市の申請が上がりましたら適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 ぜひとも、この二つの史跡のことについて、前向きに今後もお願いをしたいと思っております。
それでは、後半は厚生労働省にお伺いしたいと思います。
北村審議官、お越しいただきましてありがとうございます。
話はかわりますが、今、保育園の現場は、規制改革会議からの答申で非常に不安が広がっております。昨年十二月に出ました規制改革推進のための第三次答申、ポイントは五つですね。直接契約方式の導入。直接補助方式、バウチャー等の導入。三点目が保育に欠ける要件の見直し。四番目は株式会社等の参入促進。五番目は地域の実情に応じた施設の設置の促進、設置基準を緩和するということであります。
そこで、このことに関して、本当にこれで子供にとっていいのかという点がございます。やはり、この問題、子供というのは国の宝でありまして、保育とは心の遺産を分けていく仕事だと思います。福祉とは幸福のことだと思います。一人一人の命を大切にすること、そして国が子供の目線に立つことが今一番必要なことだと感じておりますが、この規制改革会議の理論というのは、子供の視点というよりは、こういうことにすれば多くのビジネスが参入できるんじゃないかとか、待機児童を解消するためには多少保育の質が低下しても仕方ないんじゃないかという、主人公たるべき子供の視点がちょっと欠けているのではないか。そちらで厚生労働省の担当者の方もうなずいていただいておりますが、こういう不安が広がっているんですね。
そこでお伺いをしたいと思いますが、この中に施設の最低基準のことが出てきているんですが、どういうふうに見直そうと考えておられますか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
児童福祉施設最低基準のうち、面積基準は制定以来ほとんど改正されておりませんで、中には明確な科学的根拠がないまま長年適用されてしまっているものも少なくないということで、従来より規制改革会議から指摘を受けているところでございます。
厚生労働省といたしましては、こうした指摘も踏まえつつ、保育所の最低基準のうち、施設設備に係るものにつきましては、昨年七月に、建築設計の専門家、自治体関係者あるいは保育園の先生方などによりまして、機能面に着目した保育所の環境・空間に係る研究事業、この研究会を発足させて、二十年度内を目途に研究を進めているところでございまして、その成果を踏まえつつ、来年度以降、保育所の施設設備の最低基準について見直しをしていく予定としているところでございます。
いずれにいたしましても、保育所は、先生おっしゃったとおり、将来の我が国を支えていく子供たちが、生涯にわたる人間形成の基礎を培う極めて重要な時期に、その生活期間の大半を過ごすところでございます。保育所で、子供たちが健康、安全で情緒の安定した生活ができるように、保育所の施設設備につきましても、国が、その質について責任を持って保障できるものであることが必要であるというふうに考えております。
○山井分科員 後段のおっしゃった、子供たちにとって非常に重要な施設であり、国が最低限保障せねばならないというところはまさに全く同感なんですが、問題は、この規制改革会議の答申の中では、例えば「柔軟な設置基準により運営するとともに、」というようなことで、要は設置基準を、これは柔軟とは聞こえはいいですが、引き下げるんだろうなというようなことが想定されるんです。
この最低基準の見直し。北村審議官にお伺いしたいんですが、見直しというと、一人当たりの面積、引き上げるか引き下げるか、二つに一つしかないんですよ、これは恐らく。どっちになる可能性があるんですか。もうちょっと厳しくするのか、もうちょっと低くするのか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
先ほども申し上げましたとおり、保育所の最低基準、このうち施設設備基準、施設設備に係るものにつきましては、先ほど申し上げましたような研究会を発足させて研究を進めているところでございまして、現在、その研究を行っているところでございます。その上で、来年度以降に最低基準について見直しをしていくという予定を先ほど申し上げました。したがいまして、今申し上げました研究の成果を踏まえつつ検討していくことになるわけでございます。
したがいまして、先ほど申し上げましたとおり、研究会で今まとまったものがあるということではございませんので、今申し上げるわけにはまいりませんけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたとおり、国がしっかりと責任を持って保障できるような形で検討を進めていきたいというふうに思っております。
○山井分科員 国がしっかりと責任を持って保障するということは、最低基準は少なくとも設けるということですか。設けないように、基準をなくすということではなくて、少なくとも最低基準は設けるということですか。
○北村政府参考人 私どもとしては、最低基準をきっちり設けていきたいというふうに考えております。
○山井分科員 そこで、質問は戻るんですが、今最低基準がある、今後も最低基準は設けていきたいと。そうしたら、今ある最低基準と今後の最低基準はどっちが高いのかという、二つに一つの話なんですね。研究会で議論している、それはどっちの方向で議論するんですか。今の最低基準を、面積が広い方がいいに決まっているわけですから、子供にとってよりいい方向で議論しているのか、下げる方向で議論しているのか。その方向性によって百八十度違うんですが、それはどちらですか。
○北村政府参考人 規制改革会議からは、先ほどお話し申し上げましたとおり、制定以来ほとんど改正されていないということで、科学的根拠はないというふうな指摘がいろいろと出ております。
そういう中で、私どもは、先ほど申し上げましたような、いろいろな専門家などにも入っていただきまして、子供の育ちから考えましてよりいいものにしていきたい、こういうことで研究会の御議論を進めていただいているところでございますので、その研究会の御議論を踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 今、非常に大事なことを御答弁いただきました。子供にとってよりいいものにしていきたい。私は、この答弁というのは重いと思うんですが、最低の面積基準が子供にとってよりいいものにということは、少なくとも、より面積基準が低くなるということはないと理解してよろしいですか。
○北村政府参考人 重ねての御指摘でございますけれども、現在まだ、先ほど申し上げました研究会での研究の途上でございます。子供の育ちにとってよりいいものということで、科学的根拠に基づいて研究を進めていただいているところでございまして、一つ一つのことにつきまして、どういうふうな形にしていくのがいいのかというふうなところを今まさに御検討いただいているところでございますので、それを待ちたいと思っております。
○山井分科員 確かに、当然、今研究会で議論していただいているところを先回りして答弁することはもちろんできないと思います。でも、非常に大事なところなので、改めて一点だけ確認したいんですが、子供にとってよりいいものに変えていきたいということでよろしいですか。答弁をお願いします。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
私どもは、先ほど申し上げましたとおり、研究会の報告を受けまして、その後、来年度以降に保育所の最低基準、施設設備の最低基準を見直していくことになりますけれども、その際には、子供の育ちにとってよりいいものとなるような方向で検討を進めていきたいというふうに考えております。
○山井分科員 どうもありがとうございます。ぜひ、よりいいものにしていかねばならない。これはもうある意味で、現場も厚生労働省の皆さん方の思いも、ここは一致していると思います。
しかし、とはいえ、この規制改革、一言で言えば規制緩和ですよね、規制改革ということは、規制強化をおっしゃっているんじゃないんでしょうから。それが子供にとって悪い方向に進むんじゃないかということが一番懸念をされるわけです。
そこでお伺いしますが、こういう改革で緩和をしていくと、営利企業が保育の世界にどんどん入ってくる。そういうことは保育制度の後退というものにはつながりませんか。いかがですか。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
保育につきましては、委員御承知のとおり、大きな潜在需要を今抱えているところでございます。そういう意味では、保育サービスの質を確保した上ででございますけれども、量の抜本的な拡充が不可欠でございます。
多様な主体の参入を図っていくに際しては、質と安定的運営を確保しつつ行う必要があるというふうに考えております。
現在、保育制度につきましては、社会保障審議会少子化対策特別部会におきまして、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に向けた検討の中で、多様な提供主体の参入の促進とともに、おっしゃったような質の担保、あるいは指導監督のあり方、こういったことも含めて検討課題を挙げて御議論いただいているところでございます。
いずれにいたしましても、厚生労働省といたしましては、将来の我が国を支える子供の健全な育ちが保障されるような保育制度となるよう、また、保育制度の後退につながることがないように、必要な検討を進めてまいりたいというふうに思います。
○山井分科員 今、大事なことを答弁されました。要は、量をふやしていきたいけれども、質を確保した上でと。そこが一番重要なことなんですね。質より量ということで、粗製乱造になったらこれは大変なことになるわけですから、うなずいていただいておりますが。
そこで、子供は国の宝という言葉もありますが、国の責任で、財政負担も含めて、これをよい方向に持っていく必要があると思いますが、まず問題は、質を確保した上でというんですから、今回の改革で、質はどうやって担保をするんですか。具体的にその方法をちょっと教えていただきたいんですが。口で言うのは簡単なんですね、質を確保した上で量をふやしますと。でも、大抵、規制を緩めたら、悪いものも入ってくることによって量がふえたりするわけですから。
御存じのように、例えばシルバービジネスでも、私も老人福祉は長年携わっておりますが、コムスンとかが入ってきて、本当に、社会福祉法人ではあり得ないような、利潤最優先で、その結果、多くのお年寄りが被害を受けるというようなことも起こったわけですね、実際。今回も、保育の世界でも、エムケイグループの撤退の問題が起こりました。
質の担保をどうして、どのような方法でやっていくんですか、具体的に。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど申し上げましたとおり、現在、社会保障審議会の少子化対策特別部会におきまして、新たな制度体系の設計に向けた検討の中で、保育制度のあり方につきまして議論をいただいているところでございます。
その中では、やはり効果的な財政投入を前提に、子供の健やかな育ちを第一に考えて、質の確保された公的保育が必ず保障されて、市町村の公的責任を後退させないといったような見直し案につきましても議論をしているところでございます。
もちろん、保育を担われる保育士の方々の質も、当然、研修などを通じて向上させていく必要がございますし、いずれにいたしましても、子供の健やかな育成は、私どもとしても、未来への投資だというふうに考えておりまして、国が責任を持って取り組むべきことだというふうに思っております。
国が責任を持って取り組む、そのような覚悟を持ちまして、財源の確保を含め、保育制度の充実強化に努めてまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 大事なことなのでもう一回確認したいんですが、まさにこの改革の中で、質の確保をするためには財源もしっかり確保する、要は、財源の伴わない質の確保というのは無理なわけですから、ということでよろしいですか。その財源の確保を質の担保のためにしっかりするということをお約束ください。
○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
現在、社会保障審議会少子化特別部会におきまして御議論いただいておりますけれども、その際には、効果的な財政投入を前提に新しい保育の仕組みを考えるということで御議論をいただいているところでございますので、そういう意味で、私ども、今後の制度設計に当たりましても、そういうところをしっかりと踏まえて検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 これは現状認識が大事だと思うんですが、現状において、日本の子供の育ちというのは、身体面、例えば遊びや運動、スポーツなどの身体活動量が低下し、食生活も変化、悪化し、また、家庭全体のライフスタイルの変化に伴う朝食の欠食や運動不足、夜型の生活習慣というところでも非常に問題が出てきております。また、心理面においても、理数系学力、読解力などの言語的学力も低下し、学習意欲の低下、無気力、将来展望が持てない、活力低下の大きな要素、対人間関係能力の低下、非向上心、孤独感というふうな形で、危機的な状況にあるというふうに現場の先生方は見ておられます。
そして、このような事態を招いたのは、残念ながら、経済優先の大人の論理であったわけです。子供の福祉増進と健全育成、生育環境の充実に向けて、基本的にはやはり現行制度を維持拡充するんだ、変えるとしてもいい方向に持っていくんだということで、保育の質を担保する国の責任ということを明確にせねばならないというふうに思っております。
このような、現行制度を維持拡充して、保育の質を国が担保する、国が保育の質に責任を持つ、そしてそれをしっかりと財源もつけて頑張っていく、こういうふうな理解でよろしいでしょうか。北村審議官、お願いします。
○北村政府参考人 お答え申し上げます。
社会保障審議会の少子化対策特別部会でも御議論いただいていますように、公的な責任を後退させない、あるいは質の確保された公的保育が必ず保障される、その大前提として、子供の健やかな育ちを第一に考えていく。そういうことで、新たな保育の仕組みというものについて議論がされているところでございます。
私どもとしても、子供の健やかな育成、これは国が責任を持って取り組むべきことである、これは当然のことでございます。そういう意味で、新たな制度体系の設計、これから具体的な検討に入っていくわけでございますけれども、税制改革の動向も踏まえつつ検討を進めているところでございまして、しっかりとした効果的な財政投入とともに、子育て支援の拡充を図ってまいりたいというふうに考えております。
○山井分科員 最後に一言申し上げます。
本来ならば、研究会に子供たちも入れるべきなんです、本来の筋を言えば。しかし、この国会を見てみても、もちろん子供たちは国会には来られないわけですね。ということは、主人公たるべき、そしてまさに保育の場で非常に影響を受ける本人たちが声を発することができないという意味において、私たち大人はすごい重い責任を負っているわけです。
本人たちが要望や願いを届けられないということをいいことに、逆に多くの資本を持っている企業の方が行政や国会議員に多くの圧力をかけられるということを背景にして、まさに大人の論理、お金もうけの論理で子供の保育の質が低下するなんということがあったら、これはまさに日本の恥であり、先ほど北村審議官も未来への投資とおっしゃっていましたが、日本の国の未来を危うくすることになります。
その意味では、私も、政治家になった原点が、児童福祉施設で学生時代、子供たちの世話をずっとしていた。それが私の原点であって、子供の声、お年寄りの声を代弁したいと思って厚生労働委員会に九年間所属をしておりますが、これからも厚生労働委員会に私は一生所属し続けるつもりでありますので、きょういただいた御答弁、この議論が、研究会の議論が、決して子供の質を、保育の質を低下させる方向ではなく、アップさせるようになるように私も見守っていきたいと思いますし、これが、質より量ということで、保育の質を低下させることであったら絶対私は阻止するということを最後にお誓い申し上げまして、これは厚生労働省と私たちの思い、願い、方向性は一緒だと確信しておりますので、どうかよろしくお願いします。
ありがとうございました。