2009.6.24
要介護認定でサービス減「介護切り」問題
15兆円の補正予算をばらまくのに、なぜ介護サービスはカットするのか?
介護報酬引き上げの財源を、サービスカットで埋め合わせするのはおかしい。
介護保険の主人公は、高齢者!
「介護切り」について、
私の怒りを書かせて頂きます。
四月から要介護認定基準が改定されました。
しかし、その改定の中には、
認定が軽く出るような改定項目もあり、
十分なモデル事業もせず、実施されるため、
現場からは、「認定が今までより軽く判定され、サービスが減る」
という悲鳴があがっています。
一方では、介護報酬を3%アップして、
介護職員の賃金をアップすると宣伝しながら、
また、15兆円もの補正予算を組むにもかかわらず、
一方では主人公である高齢者の介護サービスを
カットするのは許せません。
それも、正々堂々とカットするのでなく、
「認定基準の改定」という表向きの理由で、
実際には、認定が軽く出るようにして
サービスをカットすることは、
高齢者をだます非道な行為です。
政府は、強い批判にこたえ、激変緩和措置を発表しました。
これは、今までよりも認定が軽く認定される高齢者には、
今まで通りの古い要介護度でサービスを受けられるとするものです。
しかし、問題が2つあります。
新規に認定を受ける高齢者は、
今までの認定を受けていないので、軽い認定を受けても、
今回の改訂により不利益を受けているかどうかがわからず、
泣き寝入りをすることになります。
激変緩和措置を政府が行うのは、
新しい認定のほうが軽く判定されることを認めたからです。
それであれば、そのような不利になる危険性がある認定を
新規の認定者にだけ適用するのは、不公平です。
さらに、一番肝心な、今回の認定基準の変更により、
認定が軽く出るのか否かの検証結果が
出る目処が立ってないことです。
早急に検証すべきです。
そして、検証結果が出るまでは、
新しい認定基準の導入は凍結すべきです。
もしくは、
希望者には3月までの認定基準での判定を認めるべきです。
保険料は年金から天引きしておきながら、
十分なモデル事業もせず、認定基準の変更として姑息な方法で、
サービスをカットすることは許せません。
私は、議員になるまでは、
10年間、高齢者福祉の研究者であり、
福祉現場を日々、まわっていました。
介護を必要とするお年寄りや家族の生活は、
ガラス細工のように壊れやすく、もろいもので、
貴重な介護サービスを利用して、
かろうじて成り立っています。
その「命綱」を何の説明もなく、
一方的にカットすることは人道にもとります。
ホームヘルパーさんが来なくなったことがきっかけで、
自殺をしてしまわれた高齢者にも、私は出会いました。
介護サービスは、お年寄りの命綱です。
15兆円の補正予算を組み、バラマキをするのに、
なぜ、お年寄りの介護サービスをカットするのか。
さらに、これから2年半、
4000億も介護職員の賃金引上げに予算をつけると
政府は発表しました。
その裏で、
肝心のサービスがカットされるのは理解できません。
さらに、何%の高齢者のサービスがカットされるかは、
厚生労働省も把握しておらず、
つまり、十分なモデル事業なしに、今回の改訂は実施されます。
おそらく、この4月から
介護報酬3%引き上げすることに対して、
財務省から「サービス減」を求められた厚生労働省が、
苦肉の策で、考え付いたのが、
今回の認定基準を厳しくすることによる、
サービスカットだったのです。
つまり、表向きは3%の介護報酬アップですが、
その分、認定を厳しくして、サービス量を3%カットしたら、
プラスマイナスゼロなのです。
しかし、これは介護保険サービスを命綱としている
高齢者に対するだましです。裏切りです。
介護職員の賃金引上げや事業者の経営支援のための
介護報酬アップの財源を、
高齢者のサービスカットにより生み出すのは、
全く本末転倒です。
介護保険の主人公は高齢者です。