別添3   痴呆性高齢者グループホームの評価について


1 評価の最終目的について
2 評価項目の構成及び各項目の内容の概略
3 評価を行う上での留意点について
 痴呆性高齢者グループホーム(以下「グループホーム」という。)については、ゴールドプラン21において示されたサービス提供見込量として平成16年度には全国で3200カ所が整備される予定であり、今後その急速な増加が見込まれているところであるが、そのサービス形態から外部の目が届きにくく、閉鎖的な空間になる危険性が高いとの指摘がなされている。また、多様な主体が介護保険法上の事業者の指定を受けることが可能であることもあり、未だ十分に普及していない面もあるグループホームの理念や痴呆介護についての基本的な認識を様々な事業者間で共有し、ケアの質について一定の標準化を行う必要があることも指摘されている。

 そこで、グループホーム事業者自らがグループホームの現状を多角的に分析して改善すべき点を発見し、質を高めるための契機とするために評価を行う二と(自己評価)や、同様の項目について外部の第三者による客観的な観点からより精度の高い評価を行うこと(第三者評価)が強く求められ、今般、平成13年度からグループホーム事業者による自己評価を、評価体制の整備状況を見定めつつ平成14年度から第三者評価を実施することとしたものである。

 ついては各都道府県の担当部局におかれては、次のとおりの基本的な考え方等及び評価項目の枠組みに基づき、平成13年度の可能な限り早い時期に自己評価についての評価項目等を策定された上で、管内のグループホームに対してお示しいただきたい。また、第三者評価については、自己評価の評価項目の中で、専門的、客観的な項目を中心に評価項目を定めていただく予定であるが、具体的な第三者評価の実施方法については、義務づけのための制度改正を行う際に併せてお示ししたい。

 なお、現在、特定非営利活動法人全国痴呆性高齢者グループホーム協会によりr痴呆性高齢者グループホームの質の評価のあり方に関する研究事業」が実施されていると二ろであり、その研究結果がとりまとめられ次第、これを参考に、厚生労働省において各都道府県において定めるべき具体的な評価項目等の参考例を策定し、各担当部局にお送りすることとしている。

1 評価の最終目的について
  1. 入居者及び家族の安心と満足の確保を図ること
  2. ケアサービスの水準を一定以上に維持すること
  3. 改善点を明確にし、改善に向けた関係者の自発的努カと体制づくりを誘導する二と
  4. 継続的に評価を行うことを通じて、関係者による自主的な研修等によるケアの向上を促す教育的効果をねらうこと
  5. グループホームに対する社会的信頼を高めること
2 評価項目の構成及び各項目の内容の概略
  1. 運営理念

    ・グループホームが求められる役割を果たし、健全な経営を確保していくために、事業者は、明確な方針と目標を定めなければならないが、それらについて文書を交付して説明が行われ、職員や利用者等に徹底されているかどうか。
  2. 生活空間

    ・施設・設備の安全面や衛生面はもとより、利用者の状態の安定と心身機能を促進し、地域との交流を図りながら通常の生活を送る権利を保障するための生活空間づくりの重要性を認識し、適切に行っているかどうか。

    ・居室や共用空間及び外観も含めて、自宅に代わる在宅としての家庭的な雰囲気づ〈りがなされているかどうか。
  3. ケアサービス

    ・グループホームの中で統一的かつ効率的なケアを提供するために、介護計画や記録・申し送りの大切さが認識され、これらの一連の課程が適切に行われているかどうか。

    ・介護計画について、職員や利用者等が共同で取り組み、必要に応じて見直しがなされているかどうか。

    ・個々の利用者の特徴を踏まえ、その尊厳と権利が守られた適切な介護が行われているかどうか。

    ・利用者の状態の安定と心身機能を促進する観点から、身体介護、生活支援、心身の機能回復に向けた支援、医療機関の受診支援、入居者同士の交流支援、入居者と家族との交流支援等が適切に行われているかどうか。
  4. 運営体制

    ・事業主、管理者及び職員が一体となって、サービスの質の向上に向けた運営に取り組んでいるかどうか。

    ・サービスを提供するための人員体制や実質的なバックアップ体制が整えられているかどうか。

    ・入退居を利用者等と合意しながら適切に行っているかどうか。

    ・グループホームに適した人材の確保や育成を図るとともに、職員の就業環境の整備が図られているかどうか。

    ・情報の管理と開示、サービスの内容を継続的にチェックする体制が確保され実施されているかどうか。

    ・家族や地域の人々、及び行政と連携を図りながら運営が行われているかどうか。
3 評価を行う上での留意点について
  1. 今回導入するグループホームの評価は、各グループホームの欠点を二とさらに指摘したり、一方的な外部からの指導を行うことを目的とするものではなく、グループホームをより良くしていこうという視点に立った改善に向けての支援という形で行われるものであり、評価を通じて、グループホーム関係者が自己研鐙を推進していくことを積極的に誘導していくことを目指すものである。
  2. 都道府県より評価項目を示されたグループホームは、同項目に基づき自己評価を行い、その結果については、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第173条により準用される基準第8条に基づき、利用申込者又はその家族に対する説明の際に交付する重要事項を記した文書に.添付の上説明するものとする。また、同第32条に基づき、共同生活住居内の見やすい場所に同評価結果を掲示するものとする。

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