グループホームへの訪問調査留意点と配慮 

             第58号(2001/10/13)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。

●昨日のメールマガジンにも書いたが、昨日発表になった社会保障
制度審議会の介護給付分科会のメンバーにケアマネージャー、ホー
ムヘルパー、グループホーム関係者が入っていないことについて、
厚生労働省に問い合わせた。

「メンバーには入っていないが、分科会でのヒヤリングで対応した
い」とのこと。

皮肉なことに、介護報酬引き上げ議論の3つのポイント。
(1)ケアマネージャー、
(2)ホームヘルプの家事援助、
(3)グループホームの関係者が入っていない。

逆に言えば、介護保険導入時の審議会の委員にもこの方々が入って
いなかったからこそ、ケアマネージャーやホームヘルプ、グループ
ホームの介護報酬が低くなったのだ。

同じ過ちを繰り返してほしくない。

◆なお、グループホームについて資料を見ていたら、グループホー
ム連絡協議会の冊子に「グループホームを訪問調査する場合の留意
事項について」書いてあり、非常に参考になる素晴らしい内容です。

■「グループホームへの訪問調査の留意点と配慮」
  (痴呆性高齢者グループホーム連絡協議会の冊子より)

この冊子では、グループホームへの訪問調査について書かれており、
以下は、訪問調査の留意点だが、グループホームの本質を突いた素
晴らしい内容なので以下に抜粋させて頂きます。


◆こんな点に配慮しよう

*構えないで。
 親しい「大切な人の家」にお邪魔させてもらうような気持ちと態
 度で。

*堅苦しくない服装で。
 きれいな明るい服の訪問者だと寄ってきて話しかけてくる入居者
 がおられます。

*書類かばんやや封筒など、ものものしい入れ物は、当ヨは避けた
 方が無難です。
 「紙袋のようなものを下げて、さりげなくきてくれるといいなあ
 (あるホーム長の声)」

*一歩、玄関を入ってからは、そのグループホームの「家の決まり
 ごと」にしたがって行動を。
 例)靴をどこに脱いでおく?→決められた場所にしまわないと、
 入居者が履いたり片付けて(かくして)しまうことも。

*声のトーンがとても大切。
 やわらかで落ち着いたトーンで。元気すぎるあいさつに痴呆の方
 はとてもよわい。

*こちらが言葉や身動きのスピードも大事な点です。
 とにかくゆったりと。

*入居者のゾーンを脅かすことがないよう、そっと入っていく。

*調査シートは、入居者の生活空間に持ち込まない。

*数人まとまった集団で動かない。お互い少しはなれて。

*本人らにもきちんと挨拶。
 調査委員をどう自己紹介したら一番適切か、当日事前にグループ
 ホーム長と打ち合わせを。
 自分から自己紹介するより、入居者が信頼しているホ一ム長等を
 通してから紹介してもらった方が受け入れられやすい。
 例「ここの様子を見に、市役所からこられた方たちです」

*視察の間は、いかにも調べること優先ではなく、まずは時間を一
 緒にすごしてみる。
 少し馴染んできてから、必要な調べを。

*調査委員の前では穏やかに会話していても、あとでリバウンドが
 くる人も。
 あまり話しこんだりしない方がいい人について、事前に打ち合わ せを。

*自分の部屋に案内してくれる場合もある。
 これもあとでトラブルになりがちなので、誘われても居室に立ち
 入るまずい人がいるかあらかじめ聞いておく。

*居室をみる場合は、必ず本人の了解を。
 当日の打ち合わせの時に、「どなたかの部屋を見せていただきた
 い」旨、あらかじめ依頼しておく。

*ホームやお年寄りの動きにあわせる。
 予定の時間に少々あわなくても、ホーム長らときちんとはなしあ
 って、進行を調整する。

*帰る際、帰る挨拶をあからさまにしない方がいい場合が多い。
 スタッフには、きちんと(そっと)挨拶を。


◆訪問調査にあたっての留意事項

*訪問調査に関してホーム長から、以下のような意見が出ています。

・調査の大切さも十分わかるが、グループホームは痴呆の人々が主
人公の家だから、調査に入ることで利用者をおびやかさないよう十
分に注意してほしい。

・「権威者が調査にきた」という態度で来てほしくない。
背広や事務服を着た人がくると、途端にお年よりが固くなる。

・お年寄りばかりでない。いつもの見学や研修とは違って、訪問調
査にこられると思うと職員側が今から非常に緊張する。

・なぜ、このグループホームでそうしているのか、外からみれば指
摘を受けそうな点や、気付いてもらえそうもない何気ないところに、
たくさんのしかけがある。
グループホーム側から、こういう点を注意してみてほしいというこ
とを事前に書いて出してもいいか?(書き出すことが難しいほど沢
山あるが)。

・施設や病院と違って、一度の受け入れは3人が限度。たとえ一人
であっても、馴染みの人でなければ、お年よりが落ち着かなくなり、
いつものグループホームの雰囲気でなくなる。そこを評価されても
困る。

・問題点の一方的な指摘や批判、欠陥を暴くような評価は困る。発
展途上で頑張っていこうとしている事業者や職員が「これから改善
にむけてもっと頑張っていこう」という動機つけになるような支援
的な評価の仕方にしてほしい。

・ただ評価しておしまい、ではなく、改善の手がかりやヒントがえ
られるような評価後の話し合いを十分にもってほしい。

・慢性人手不足の中で、調査に来られる日のために特別なシフトを
組むのは難しい。
グループホーム長も日中3人の職員の一人としてシフトに入りなが
ら、話し合いや案内につくことになる。他の職員もたいへんだし、
その日の入居者の状況によっては、調査員の人に十分に対応できな
いこともありうる。


◆山井からのコメント:
これは「グループホームとは何か」
という本質を理解できる素晴らしいアドバイスです。
                 やまのい和則 拝

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