2015.10.8
ドイツ視察報告 -労働問題-
今月4日~10日まで、ドイツに視察にきています。ドイツではソーセージとビールが美味しいです。
私は大学院の修士論文が、酵母菌の研究ですので、ビールには思い入れがあります。
ドイツの労働政策「ハルツ改革」の評価などについて意見交換。労働問題についての報告です。
ー山井ー
日本では残業代ゼロ法が国会提出された。
ーエベルト財団のシュミット博士ー
逆だ。ドイツは欧州1強い経済で同時に1日の労働が最大10時間、翌朝の始業までに11時間の休息と法規制されてるが、まだ長いので残業を減らすために残業代をより高くする議論をしている。
以下、発言要旨です。
ーエベルト財団のシュミット博士ー
ドイツの派遣法の規制緩和は失敗だった。労働者を1級労働者と低賃金で不安定な2級労働者に分断した。一時的な派遣は良いが恒常的な派遣を増やしてしまった。貧しい派遣労働者が倍増した。
派遣は低賃金な上に不況になれば真っ先に解雇され不安定だ。今回問題を起こしたフォルクスワーゲン社も真っ先に派遣労働者を解雇する。
ーシュルツ国会議員ー
ドイツの派遣法改革は失敗だった。正社員を雇うべきところを一時的な業務だけでなく、恒常的な業務にまで、派遣の悪用が増えた。本来、派遣は、臨時的なピーク時の業務だけだったのに、そうなっていない。よって今回、派遣上限を18か月と規制した。
ー労働総同盟のホフマン会長ー
日本人の労働時間は年間1700時間だが、ドイツは年間1400時間。しかしドイツが欧州で一番景気が良いのは労働生産性が高いからだ。日本人の労働時間は長すぎる。長い労働時間は健康に良くないし、労働生産性を下げる。日本も労働時間を短くすべきだ。
ー経営者連合のクレバー理事ー
ドイツでも働きすぎが問題なので、金曜夕方6時から月曜朝8時までは会社からのメールをストップする企業が増えている。スマホが普及し週末に仕事のメールが来たら仕事から解放されリラックスできる時間がとれないことが問題になっているからだ。
ー与党、キリスト教同盟のムシテカ政策担当ー
ドイツでは派遣法の規制緩和により、回転ドアのように人を代えて派遣を繰り返し使う悪徳企業が増えた。派遣は本来、一時的な労働で、いずれは正社員を雇うべきなのに、人をコロコロ代えて恒常的に派遣を使うのは問題だ。
ードイツ企業の人事担当者ー
ドイツの労働時間は週40時間。その40時間の内訳、毎日の始業、終業時間は本人が決める。残業時間は永遠に累積され80時間を越えれば、それ以上は不可。労働局から指導もあり厳しい。よって残業はほとんどなく夕方には会社に人はいなくなる。
ー山井ー
日本でもドイツのように労働時間の上限規制やインターバル規制 (終業から翌朝の始業まで11時間くらい空ける)の法規制を議員立法で国会提出する予定です。
ードイツ企業の人事担当者ー
日本でも労働時間を法律で規制し長時間労働を防ぐことは可能だし、必要だ。
ー山井ー
日本では過労死が増えている。
ードイツ企業の人事担当者ー
ドイツ人は残業しないから長時間労働による過労死もない。1日8時間労働、残業しても最大10時間労働が厳格に守られている。上司も残業させないし、本人も残業しないし、労働時間規制の法律も厳しい。
ー山井ー
日本とドイツ。経営者と労働者にとってどちらが良いですか?
ードイツ企業勤務の日本人ー
日本人は年1700時間労働、ドイツ人は1400時間労働。労働時間が短いので、生まれ変われるならドイツ人に生まれたい。ただ経営者にとっては日本の方がよい。長い時間、労働者が働くから。
ー山井ー
なぜドイツ人の労働時間は日本人より短いのか?
ードイツ企業勤務の日本人ー
ドイツ人は、生活の基本は家族。残業しないので集中力が高く、会議も短い。飲みにも行かない。ほうれんそう、報告、連絡、相談も少ない。日本のほうが仕事は丁寧だか、労働時間が長い。