2015.7.27
長時間労働の犠牲者
私の知人に裁量労働制を導入された方がいます。「年収が100万円下がった。ノルマも引き上げられたため残業代が出ないのに残業が増えた。ローンを抱え子どもの教育費もかかり、うつになった。裁量労働を拒否したかったが上司には逆らえなかった」との訴え。
裁量労働は、成功例もありますが、ブラック企業に悪用される危険性も高いです。
先日お聞きしたある方のケース。某会社では営業マンも含め、入社4年目から正社員は、ほぼ全員が裁量労働制を適用され、事実上、残業代はゼロ。営業マンや25-26歳の若い社員に対し、一律に裁量労働制を導入することは違法です。しかし実際は野放し。残業代ゼロ法が成立したら入社4年目以降はみんな残業代ゼロになるかもしれない。
また別の方のケース。月100時間、残業をし続けた末に体調を壊し、労災認定を受けた女性の話を1時間、お聞きしました。「私は法人向けコンサルタントの仕事ですが、残業代ゼロ法が成立したら、私のような過酷な長時間労働の社員が、裁量労働制の拡大により爆発的に増える。長時間労働の犠牲者は増やさないで!」との訴え。
過労死や長時間労働の削減のためには、労働時間の把握が大前提です。しかし、残業代ゼロ法が成立すれば、会社は社員の労働時間を把握しなくてよくなります。サービス残業、不払い残業という言葉が死語になり、残業代が払われないのが当たり前の残業代ゼロ社会になります。