2015.2.6
残業代ゼロ制度(高度プロフェッショナル制)は全労働者に広がる
~残業代、休日手当がなくなれば過労死が増える~
今日の労働政策審議会労働条件分科会で残業代ゼロ制度、高度プロフェッショナル制が議論されました。労働側は大反対で「高度プロフェッショナルという言葉の定義があいまい。解釈次第で職種がいくらでも広がる」と指摘。また、経営側からは「成果が達成できなければ、賃金が下がる可能性がある」との発言。
残業代ゼロ制度の対象は、法律では「高度プロフェッショナル」という要件だけです。省令では研究開発や企画業務が例示されますが、これではすべての課長補佐や研究職に広がり得るものです。なぜ、企画業務や研究開発の労働者に残業代、休日手当がなくなるのか理解できません。
残業代ゼロ制度、高度プロフェッショナル制の対象は、平均年収の3倍を相当上回る労働者、と法律に明記されます。しかし経団連の要望では、対象となる労働者の年収400万円以上なので、近い将来「3倍」を「2倍」に修正し、最後に「2倍」を削除することは簡単です。そうすれば、平均年収(三百万円)の2倍、あるいは、平均年収の労働者まで、あっという間に拡大されます。こんな2文字の法改正は1年、いや1ヶ月で可能です。残業代ゼロはみんなに広がってしまいます。
そもそも残業代ゼロ制度やホワイトカラーエグゼンプションという名前に批判が強いので、今回、高度プロフェッショナル制という新しい名称にしたようです。しかし、新入社員でもパソコンやインターネットが得意だったりすると、すぐに高度プロフェッショナル、と認定されかねません。特に、ただでさえ過労死が多いSE、システムエンジニアなども、高度プロフェッショナルになります。
過労死防止法を昨年、すべての政党の賛成で成立させたのですから、まずは過労死ゼロの実現が先決。残業代と休日手当をなくす高度プロフェッショナル制は、真逆です。