2005.6.10
【ウェルサンピア京都】尾辻厚労大臣と議論
162-衆-厚生労働委員会-27号 平成17年6月10日
○山井委員 民主党の山井和則です。これから一時間にわたりまして、尾辻大臣、西副大臣に質問をさせていただきたいと思っております。
私は、きょう、資料二枚を配らせていただきました。この資料を見ていただきたいと思います。
今の米澤先生の質問を聞いていても、これはまさに社会保険庁や年金の不始末を地域住民にしわ寄せをする、あるいはそこで働いている職員の方々に本当にしわ寄せをするという非常に問題がある法案だというふうに思っております。
この資料にありますが、宿泊施設等二百六十一施設は一般競争入札、それ以外は、地域医療に貢献している施設などに関してはこれからいろんな配慮をしていくということであります。私は、この質問の中で、この宿泊施設等が安易に一般競争入札でされていいのかということについて質問をさせていただきたいと思っております。
まず、尾辻大臣、最初にお伺いしたいと思っておりますけれども、この資料にありますように、また今までの答弁にもありますように、年金資金等への損失の最小化を図るということが目的となっておりますが、実は、私はこれだけではないだろうというふうに思っております。加えるならばあと二つ、社会保険庁や年金に対する信頼回復、そしてもう一つは公共の福祉の向上、これがセットでないとだめだと思うんです。当たり前のことだと思いますが、最初に確認をさせていただきたいと思います。年金資金等への損失の最小化を図ると同時に、社会保険庁や年金制度への信頼回復を図り、公共の福祉の向上を図る、これがこの法案の目的であるということを確認したいと思いますが、尾辻大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 きょうの御審議の冒頭以来ずっとお答えいたしておりますように、今私たちにとって一番大事なことと言ってもいいことは、国民の皆さんから年金への信頼を回復することだと思っております。そのためにも、社会保険庁がまず信頼を回復しなきゃいけない。大前提でございます。
そうしたことの一環としてこの法律もお願いをしておるわけでございますから、今仰せのことは当然のことでございます。そしてまた、絶えず私たちは福祉の向上に努めなきゃならない、これも当然のことでございますので、今先生が御確認になったことは、そのとおりでございます。
○山井委員 まさに、今大臣が答弁してくださったとおりだと思っております。年金資金等への損失の最小化を図る、しかし、その前提には、いかに失われた社会保険庁や年金制度への国民の信頼回復を図るかということは大前提の問題である。書いていないけれども、当然のことなわけですね。それとともに、公共の福祉の向上というのも、ここにはあえて書いていないけれども、当たり前のことである。当たり前過ぎて書いていないということであると思います。
そこで、今までの議員の質問の続きにもなるんですけれども、地域で重要な機能を果たしているわけですね、この宿泊施設などの二百六十一施設に関しましても。その機能の維持については今までから質問が集中しているところでありますが、改めて、やはり地域に密着し、地域から必要とされて、あるいは利用者から必要とされて行われているという、この施設の機能の維持については、尾辻大臣、どうお考えでしょうか。
○尾辻国務大臣 宿泊施設についてでございますけれども、これまで多くの方々に御利用をいただいてまいりました。そしてまた、被保険者等の福祉の向上、今も福祉の向上というお話がございましたが、まさにその福祉の向上に一定の役割を果たしてきたと考えております。
ただ、これは先ほど来申し上げておりますことの繰り返しになるわけでございますが、近年の年金制度等を取り巻く厳しい財政状況、施設を取り巻く社会環境及び国民のニーズの変化等を踏まえまして、今後は保険料を年金福祉施設等に投入しないということをまず決めましたし、年金資金等への損失を最小化するという、今お話しいただきましたその考え方に立って年金福祉施設等の廃止、譲渡を行うこと、こういうことにいたしました。
そういう全体をどうするかという中で、とりわけ宿泊施設については平成十二年五月に閣議決定されたことがございまして、それは「民間と競合する公的施設の改革について」というものでございますけれども、民業圧迫という御批判も大変強かったものですから、このときに、「早期に廃止、民営化その他の合理化を行う。」ということにされておりますので、今回のことはまたその方針に沿ってということでもございますということを御説明申し上げるところでございます。
○山井委員 民業圧迫ということでありますけれども、それは、ほかに似たような施設があればいいんですが、ないケースもあるわけですね、民業圧迫以前の問題に。
それで、余り一般論をお話ししてもわかりにくい面もあるかと思いますので、少し失礼になるかもしれませんが、私の地元にあるウェルサンピア京都というところの話を少し一例としてさせていただきたいと思います。
話はどこでも似たような話であるとは思いますが、ここは十七年前にできまして、今は黒字も出ております。全国で三番目に黒字が出ている、お客さんが本当に満員の施設であります。私も、京田辺市の新年賀詞交歓会などで、この京田辺市にあります唯一の大きな施設でありますので、毎年行かせていただいております。(写真を示す)こういう庭園なども非常にきれいで、全国から非常に好評を得ておりますし、また、地域の方々に対してはテニスコートとかゲートボール場とかそういうものも開放して、これは三百六十五日、近所に同志社大学がありますこともあって、取り合いなわけですね、このテニスコートも。そして、地域の高齢者の方々にとってゲートボール場も取り合いになっているぐらい足りないというような状況であります。こういう状況の中で、この資料の二枚目にもありますが、休暇センター全国十七カ所の中でも、黒丸をしておりますけれども、ウェルサンピア京都、京都厚生年金休暇センターというのは三番目に黒字が大きいということになっております。
それで次の質問なんですが、こういうことを踏まえまして、非常にうまくいっているこういう黒字の施設は、貴重な年金資金をむだ遣いしないという趣旨であれば、すぐに整理せず、むしろ経営効率を上げて黒字をふやして投資を回収して年金資金に戻すというようにするのが筋ではないかと思います。赤字になってうまくいっていないところと、こういうふうにうまくいっているところを一律に一般競争入札にかけて売却してしまうというのは乱暴ではないかと思います。
私、ここに働いておられる職員の方の話も聞いたんですが、この法律のことを聞いたときに、職員の方は、毎日これだけたくさんお客さんが来ているのになぜなんだというのが素朴な疑問だったと言っているわけなんですね。その点について、大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 これは、昨年、特に年金の見直しということの議論が始まりましたときに、社会保険庁をめぐるいろいろな不祥事も出てまいりました。そうした中での大変厳しい御批判がございまして、その中の一番の御批判がこの福祉施設でございました。これは、先ほど来私は身ぎれいにするという表現を使っておりますけれども、身ぎれいにしなきゃいかぬという、これは国民の皆さん方のお声であったと私は理解をいたしております。
そのときに、どうするかという御議論がありました。そして、今先生がお話しのような御議論もあったことは事実でございますが、やはり例外をつくるというのはまずい、そのときの多くの、私が理解している多くの皆さん方のお声というのは、例外はつくるな、経営状況にかかわらず例外なく廃止、譲渡をすべしというお声が強かったというふうに理解をいたしまして、きょうの御質問の冒頭ございました、あの合意事項になるわけでございますが、そうした経緯があったと、私は今も振り返るわけでございます。
そうした御議論の中で、今回のこの流れでございますので、私どもとしては、申し上げておりますように、やはり例外なく廃止、譲渡をさせていただくという考え方でございます。
そして、今のお話をあえてもう一回申し上げますけれども、民間との競合ということもいろいろ御批判いただいておりますから、その地域に限って、地域を狭く限定しますと確かに民間と競合しないとかいろいろあるんでしょうが、大きく言いますと、公に類するところがこうした施設を持つということは、どうしても民間との競合になって民業圧迫につながるという大きな御批判も絶えずあるところでございますから、今回のこういうやり方というのを御理解いただきたいと存じます。
○山井委員 ここの場合はもう一つ実は民間の宿泊施設があったんですね。ところが、三年前にそこは撤退をしまして、ここが人口六万人の京田辺市の唯一の施設というふうになっているわけなんです。それと、関西学研都市の中の南田辺・狛田地区に位置しておりまして、国家的プロジェクトである関西学研都市にとっての重要な宿泊施設だという位置づけで京都府や京都市が誘致をした、そういう位置づけもあるわけなんですね。そして、この中では地域の農産物が売られたり、本当に地域に密着して、なくてはならない施設になっているわけであります。それで、やはりこのことについて、何とか存続してほしいという声も出ております。
そこで、尾辻大臣に確認をしたいんですが、厚生労働部会長としてこの当時このことのまとめにもかかわってこられたとは思うんですが、正直言いまして、昨年の、社会保険庁、年金むだ遣いが多いからこういうものをばっさりと整理しろと言っていた昨年の状況と今法案審議をしている状況というのは、微妙に風向きが変わっているのではないかと私は思うんです。
それが証拠に、朝のトップバッターの自民党の、与党の議員さんですら、一律に一般競争入札というのはいかがなものかと。やはりこういう法案が出てきて、改めて、どれだけ地域にとってその施設がプラスの効果があったのかというのを、与野党を超えて政治家も肌で感じてきた。ある意味では、昨年の、この法律の議論をするときにはマイナス面ばかりが取り上げられていた、しかし、今ではプラスの面もかなりあるということになっているというふうに思うんですね。大臣、その今の情勢の微妙な変化ということをお感じでしょうか。
○尾辻国務大臣 まず、こうした施設を運営してきた立場から申し上げますと、確かに、できるとき、それぞれのニーズがあってこういう施設ができてきた、そして、今のお話を伺いまして、改めて、その施設が大きな役割を果たしてきた、今日もまだ果たしている面を持っておる、そのお話を伺いますと大変ありがたいというふうにも思います。今日まで大きな役割を果たしてきたということで、改めて、そうしたお話を伺いますと、ああ、それなりの役割を果たしてきたんだなということを感じまして、大変ありがたいと思うわけでございます。
そこで、今、去年の例外なく廃止、譲渡をしろと言ったときと今日の雰囲気は少し変わっているんじゃないかというお尋ねでございますが、雰囲気が変わっているかどうかは別といたしまして、私のところにいろいろな方から存続をさせてほしいという陳情があることだけは事実でございますから、そして私も陳情をお受けしておるということは申し上げたいと存じます。大きく雰囲気が変わっているかどうかというのは、私が今直ちにそこまで変わっているというふうに申し上げられる状況でもないと私は感じておりますけれども、ただ、多くの陳情が今参っておりますということだけは申し上げたいと存じます。
それから、今後のことでありますけれども、今後、こうしたものに対する考え方、こういうものをよく整理して答えを出さなきゃいかぬというふうに思っておりまして、私どもは、何回も申し上げておりますように、今後こうあるべしということまで含めて、今回の御提案、お願いを申し上げておるということもつけ加えて申し上げたいと存じます。
○山井委員 まさに少しずつ、もし法案の中で行き過ぎた部分があったら修正をしていく、そのためにこういう国会審議があるんだと思っております。
そこでお伺いしたいんですが、こういう今説明しましたような施設を一例としても、地域の中に密着して、地域の中でなくてはならない形になっている施設もたくさんあるわけですね。そういうことに関して、後は野となれ山となれという言葉がありますが、これは売却したら、後は宅地になろうが山を崩そうがマンションを建てようが、何になっても後はもう知らないというのが厚生労働省の姿勢ですか。大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 後は野となれ山となれでいいのかとお尋ねいただきますと、決して私どももそういうふうに思っておるわけじゃありませんとお答えせざるを得ないんですが、この後またいろいろな御質問が続くであろうと思いますから、余り先走ってお答えするようなお答えを今ここで申し上げるのもいかがかと思いますから、我々としては、野となれ山となれという、そんな思いではありません。今お話しいただいていますように、今日まで役割を果たしてきたわけですから、ぜひそうした機能が引き継がれるような形で売却できれば、譲渡できれば一番うれしいということは当然思っておるところでございます。
○山井委員 まさに今大臣がおっしゃったとおりだと思うんですね。例外をつくるのは問題じゃないかという議論はもちろんある、とはいえ、後は野となれ山となれというわけでもないと。やはり、今大臣がおっしゃったように、今まで非常に地域に必要で黒字も出ているような施設だったら、できればその業種が続けられればうれしいなということをおっしゃいましたけれども、問題はそこなんですよ。
私も、もう社会保険庁や国がこういう施設をやる必要はないし、もちろんお金を入れるのは問題だと思います。民間でできることは民間でやったらいいんです。ところが問題は、民間の手に渡った瞬間、何をやろうが、基本的には自由になりかねないわけなんですね。そこにこの法案の非常に悩ましいところがあると思うんです。
地元の役所の方に聞いても、あるいはセンターの方々に聞いても、確かに民間に移ることはやむを得ないかもしれない、でも、業種が何になるかわからないと。当然、業種が一〇〇%変わったらリストラも非常に大胆なものになってしまうと思うんですね。そこのちょっとした配慮なりをどうつけるかということなんです。まさに一枚目の資料にもありますように、年金病院やそういうものに関しては、用途制限なり何らかの、急に物を変えてはだめだという縛りというか配慮があるわけですね。私が問題にしていますのは、この宿泊施設等の二百六十一施設に関しては一般競争入札、これは全く無条件の一般競争入札であれば、まさに今大臣がおっしゃったように、後は野となれ山となれではないけれども、そうなるリスクは回避されないということなんですね。
そこでお伺いしたいと思いますが、例えば、施設の整理に当たっては、地域での機能や連携を考え、まず当該自治体への譲渡を前提とした話し合いというのをやってみるべきではないか。
本当にローカルな話で申しわけないんですけれども、一例として言わせてもらいますと、この施設がなくなったら、京田辺市では新年の賀詞交歓会をする場所が基本的になくなっちゃうわけなんですよ、余りにもローカル過ぎるかもしれませんが。三年前まではもう一つあったんですよ。でも、そこよりもここの方が評判がよくて、民間の方がなくなっちゃったわけですよ。それがあればよかったですよ、もうそれは撤退させちゃったわけですよ。それを今になってなくすといったら、もう一回つくれといっても、それはあんまりじゃないかというふうに地域の方が思うのは当然だと思うんですね、切実な声として。
そのあたり、まず地方自治体への譲渡を前提とした話し合いを行うべきではないかということについて、大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、これはそれぞれをできるだけ高くで売って、最後年金資金に戻したい、こういうふうに思っておりますので。ただ、戻す金額が使った金額より必ず小さくなる、これは、申しわけないんですが、そうならざるを得ません。しかし、できるだけたくさん年金の資金、積立金の中にお返ししたいと思うものですから、そういう意味で、損失という言葉を使っておりますが、損失の最小化を図るという表現にさせていただいております。そうなりますと、できるだけ高く売りたいということが出てまいりますので、高く売るための手法としては一般競争入札になるということで、一般競争入札ということを今私どもとしては申し上げておるところでございます。
そうした中で、先ほど来先生がお述べになっておられることも私どももよくわかるわけでありまして、どなたかに対するお答えの中で私どもにもジレンマがあることは正直に申し上げたところでありますが、そうした中で、今までお役に立ってきたものであれば、できるだけお役に立つ形で残ることが望ましいというふうに思っておりまして、また、それぞれの譲渡に当たっては、特に、今お話しのように当該地方自治体との話し合いといいますか、そうしたことは大変大切なことだと思っておりますから、それぞれに当たって地方自治体との連携というのはとらせていただきたい、こういうふうに思っております。
○山井委員 地方自治体との連携はとらせていただきたいということですが、ということは、ある日突然、一般競争入札、はい、かけましたよということではなくて、一般競争入札にかける前に、当然地元自治体とは事前に協議をする、相談をするということでよろしいですね。
○尾辻国務大臣 そうさせていただきます。
○山井委員 それで、例えば、ここはテニスコートもございますし、関西学研都市の中での重要な宿泊施設としての役割も果たしておりますし、また地元の農産物を売ったりもしております。私が何を言いたいかというと、もう町づくりの中の重要な拠点施設として地域に溶け込んでいるわけなんですね、十七年間。それを、はっきり言って国の都合なわけですよ、国の都合で今までつくっていたものを急にどこかに売却してしまうということで。繰り返しになりますが、テニスコートでもそういうものでも民間がやってくれたら、民間がやってくれたらいいんですよ。問題は、それを買った方が何に変えるのかわからないということなんですね。
だから、そのことに関してはやはり何らかの配慮というか、無条件ではないですよと。先ほど言いましたように、この法案の目的の一つが社会保険庁や年金制度への信頼回復にあるわけですね、公共の福祉の向上にあるわけですね。そこで、これだけ必要とされている施設がなくなっちゃって、全然違うものになっちゃったと。それが公共の福祉の向上につながるのか、あるいは、社会保険庁よくやったという信頼回復につながるのかというと、私は逆じゃないかと。何もそこまで言っていない、それはやり過ぎじゃないかということにもなるのではないかと思います。
そういう意味で、先ほど、地元自治体との相談や協議も一般競争入札の前にするということですが、そのことを通じて、今までと同じような業種が望ましいということを大臣もおっしゃっておられましたけれども、それをどうやって配慮というか誘導していくのか。そのあたり、大臣、これは非常に重要なことだと思うんです。
繰り返しになりますけれども、私は民間に移ることが何も悪いとは言っていないんです。ただ、全く関係ないものになってしまったら、この責任というのはやはりあると思いますよ、その市の機能、町づくりが破壊されるわけですから。そんなことを国あるいは私たち国会議員の力でやっていいものか。政治の責任というのは公共の福祉の向上なわけですから、少なくともこういう方向性での売却というか、そういう方向性、大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、また先生もお述べいただいておりますように、基本的に、年金に対する信頼回復、社会保険庁に対する信頼回復、これをなさなければなりません。そのためにもと、私どもは判断をして今回のことをお願いしておるわけでございますが、そうした中で、例外をつくることがどうであろうかとかいろいろな御議論がございまして、そういうことがまた国民の皆さんにどういうふうに映るかといったようなことを判断しなきゃならない。そうした中で、ということを改めて申し上げるわけでございます。
ですから、こうしたものが地元にそこまで溶け込んでおるのであれば、あるいは地方自治体にお買い上げいただければこんないいことはないと思ったりもしますが、今とても地方自治体にそれだけの余裕があるところというのはまずないわけでございましょうから、それも無理かなと思いつつ、ただ、一番いいのは、そういう形にでもなればという思いもありますということを申し上げておるところであります。
したがって、まずは競争入札で売らせていただくということにさせていただいておりますけれども、競争入札の中でも機能を維持していただけるようなところで買っていただければ一番ありがたい、地方公共団体にかわるようなところで買っていただければ一番ありがたいというふうに思っておりますということを重ねて申し上げます。
○山井委員 まさに今の大臣の答弁でも、後は野となれ山となれではないんだと。今までから本当にそういう必要性の高いところに関してはできるだけその業種が続くことが、民間に移った後も望ましいんだということでありますが、そこが非常に重要なことであると思います。
そこで、要は、地方自治体に購入の意思があっても、今おっしゃったように一般競争入札で地方自治体の方がたくさんのお金を入れて買い取るということはほぼあり得ないというふうに思います。その意味で、財政上等の理由で一括での購入が自治体や自治体に関連するところが困難なときには、特例債を認めたり分割払いにするなどの便宜を地方自治体に関しては最大限図るべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 施設の売却代金の分割払いにつきましては、施設の引き渡し後の債権管理業務でありますとか、担保物件の評価、管理等に必要となる経費等を踏まえて慎重に検討する必要があるというふうに考えております。今まで民間に対して分割払いという例はございません。しかしながら、地元の地方公共団体も入札に参加しやすい、私どもも先ほど来申し上げておるような思いがありますから、そうした環境を整えることも重要な視点の一つだと考えておりまして、どのような方策が可能なのか、今の分割払いというお話がございましたので、これについては検討してまいりたいと存じます。
○山井委員 ぜひともそのあたりのところを検討していただきたいと思います。
要は、繰り返しになりますが、この法案の趣旨は、もう年金のお金は投入しないということ、そして、国や社会保険庁がやらなくていいことは民間に任すということ、この部分に関しては、ある意味で与野党通じて思いは同じだと思うんですね。それで、まさに大臣が答弁してくださったように、うまくいっているところはその業種が残ればいいな、ここまではみんなの思いだと思うんですよ。ところが、残念ながら、この法案だけを見ていると、後はどうなってもいいのかということになりかねないわけです。
それで、続きまして、雇用の方面からちょっとこの問題を考えてみたいんです。
私、ウェルサンピア京都にお勤めの方やほかの施設にお勤めの方からも多少話を聞いたんですが、例えばこういう声があるんですね。五十代の方は、定年まであと十年、これが売却されて大体同じような業種になれば残れる可能性は高いけれども、全く違ったものになったり、それこそ宅地になってしまったらリストラになる可能性が高い、そうなったら、五十歳を過ぎたらなかなか新しい仕事は見つからなくて路頭に迷ってしまうというふうなことをおっしゃっています。また、お子さんが二人小学生でおられる四十歳代の方は、ここでずっと働いてきた、この法律を聞いてびっくりしている、子供も二人いる、奥さんからもこれから一体どうなるのと言われていると。
皮肉なのは、このウェルサンピア京都のようにうまくいって黒字が出ているところほど早く売れやすいんですよ。これは何か余りにも皮肉というか、あんまりじゃないかなというふうに思うんです。
そこで、要は社会保険庁としたら一銭でも高く売りたい、これはわかります。ところが、尾辻大臣は厚生労働大臣ですよね、労働大臣です、日本の雇用確保の最高責任者です。そして、さらに言いますが、今回、年金保険料のむだ遣いとかいろいろなことが問題になりましたけれども、この宿泊施設に働いておられた職員さんには何ら罪がないと私は思うんです。まず最初にこれをお聞きしたいんですが、今回こういう法案が出て売却することになりましたが、働いておられた職員さんに何か問題はありましたでしょうか。
○尾辻国務大臣 私は、働いておられた皆さん方は一生懸命頑張っていただいたものというふうに思っておりますから、決してその皆さんに罪があるとかという話ではございません。
○山井委員 私はそこは非常に重要な点だと思うんです。どっちかといえば、ミスがあったのは社会保険庁であり、私たちも含めた国会議員であり、その政策判断の甘さというものが今日の状況を招いたわけですよ。しかし、絶対やってならないのは、そのある意味で私たちのミスというか判断の甘さのツケを食うのが、まさに小さなお子さんたちを抱えておられる職員の方々が路頭に迷うという結果になったら、これはやはり私は筋としておかしいのではないかと思うんですね。大臣、うなずいてくださっておりますけれども、まさにその思いは一緒だと思います。
そこで、このような従業員の方々の雇用の確保ということについて何らかの配慮が必要だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○西副大臣 今、種々委員からお話を伺いました。こういう宿泊施設、大勢の皆さんがいろいろな形態で働かれている、私も何回か泊まりに行かせていただきましたのでよく承知しているつもりでございます。
今回の施設の売却に対して、一義的にはこれは雇い主である委託先法人が責任を持っていただくということで、相談窓口をつくっていただいたり、それから再就職先を開拓していただいたりということはお願いしなければいけないということが前提ではございますけれども、我々としましても、委託先公益法人の従業員の雇用問題につきましては配慮をしていくという前提ですので、これからも協力しながらこの職員の雇用問題には配慮をしていきたいと思っております。
具体的に、国と独立行政法人が協力しまして、施設を購入した人に対して雇用を引き続きお願いする、それから、関連団体における求人情報の提供をお願いする、それから、地方自治体、地域の経済団体等への再就職支援のお願いをする等、我々としてできるだけの支援はしていきたいというふうに思っております。
○山井委員 できるだけの雇用確保への支援をしていきたいという答弁をいただきまして、それはぜひお願いしたいと思います。与党協議会の覚書にも雇用問題に対して配慮を十分行うということを書いてあるわけですね。雇用問題や老人ホーム等の入居者への配慮を十分に行うということが書いてあるわけですから。
そこで、もうちょっと踏み込みますと、従業員の不安が広がりますと施設運営にも支障が出ますので、施設が譲渡される場合、原則として従業員を継続雇用する、そういうふうなことを施設の譲渡契約に盛り込むことを明確にすべきではないか、そこまできっちりやるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○西副大臣 ただいまのお尋ねは、従業員の継続雇用を譲渡の条件に盛り込むということはどうかというお話でございました。
先ほどから大臣からも何回も御答弁申し上げていますように、今回の譲渡というのは年金資金へいかにたくさんの資金を繰り込むかということが求められておりまして、こういう条件と雇用の確保を最大限図るということは、これはなかなか双方がうまくマッチするわけでは必ずしもありません。雇用の条件をつければつけるほど、今度は年金の方に回るお金、つまり売却のお金が十分行かないという非常に難しい問題を本来はらんでいることでございます。
この職員の雇用につきましては、先ほども申し上げましたように、第一義的には雇い主さんの責任でもって頑張っていただくということでございますけれども、施設を買っていただいた人に対して、我々としても先ほども申し上げましたようにできるだけ再雇用をお願いし、一人でも多くの人を雇用していただきたいということで全力を挙げていきたい、こう思っているところでございます。
○山井委員 今まさに、一円でも高く売りたいということと雇用の継続をお願いするというのは、つらいけれども矛盾しかねない問題だということをおっしゃいました。まさに、私はポイントはそこだと思うんです。
繰り返しになりますが、私が最初にこの法案の目的は何ですかと言ったのは、年金資金等への損失の最小化だけではないんです。それとともに、年金制度や社会保険庁への信頼の回復と公共の福祉の向上というのがあるわけですね。だから、正直言いまして、私もきょう運営部長さんではなく大臣や副大臣に答弁をお願いしているのも、そこにあるわけです。社会保険庁の枠では、一円でも高く売りたいとしか言いようがないんです。
しかし、繰り返しになりますが、尾辻大臣や西副大臣は日本の雇用を守る責任者なんですよ。日本の雇用を守る責任者が、一円でも高く売るためには雇用はどうなっても仕方ないんだとはやはり言いにくいと思うんですよね。言いにくいと思うんです。そこをまさに、西副大臣、うなずいてくださっていますので、せめて、一円でも高く売ることと雇用の確保は同列で両方頑張りたいと。これはやはり両立ですよ、基本的には。難しいのはわかりますけれども、両方力を入れていきたい、厚生労働省なわけですから、その答弁をお願いします。
○西副大臣 お答え申し上げます。
御答弁はいただいたわけでございますが、まさしく我々が悩んでいるところは、そのことでございます。雇用の確保というのも大変大事なことでございます。
先ほど大臣がおっしゃられましたように、それぞれの施設が一生懸命に頑張っていただいて、今の施設の維持をしてくださった、まして当該の施設は黒字を生んでいる。そのことは必ずやはり新しい譲渡に関してもいい結果が生まれるのではないか。赤字の団体よりも黒字で経営できるという努力をしていただいたところは、やはりそういうプラスの面があるんじゃないかと私は思いながら聞いておりました。私どもも、そのことは、雇用の確保ということと一円でも高く売るということの間にあって、双方ともに最大限実現できるように努力をしていきたいと思っております。
○山井委員 それで、私の資料の二枚目を再び見ていただきたいと思います。今、西副大臣からも雇用の確保にも最大限努力するという答弁をいただいて、本当にありがたいことだと思っておりますが、よく話に出るのが、この資料の二ページにもありますように、当期剰余に関しては黒が出ているけれども、減価償却費等を考えた差し引きは全部赤字になっているという批判がこういう休暇センターについては出ているんですが、一つ大事なことで確認しておかないとだめだと私思いますのは、これは、やはり一般のところよりも一割、二割は安い方向で価格などを設定するとか、そもそも年金の受給者への還元であるとか、そういう目的から、この価格も黒字が出るようにという仕組みにはなっていないんですよ。そもそも、もうけが目的じゃないわけですから。
そういう意味では、このすべてのセンターで赤字になっているのは、経営努力や従業員の方々の問題ではなくて、黒字は目指さないという制度の枠組みであった。要は、これは宿泊料金とかも社会保険庁の許可というか報告することになっていたわけですから、そもそもそういう制度であったということ。これはちょっと確認をさせていただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 それぞれの施設の価格設定とか、そういうことは詳しく承知をいたしておりませんから、今正確にお答えすることは無理なんですけれども、被保険者へのサービスということでこうしたものはそもそも始まっておりますから、被保険者に対するサービスというのは料金も安くするとかそういうことにもなるわけでありまして、そうした面があっただろうなということは考えるところでございます。
○山井委員 まさにそういう面があったわけでありまして、ですから、今までのものが全部赤字だったから経営がだめだったのではということではなくて、今まではそういうシステムでやってきたわけですよ。でも、これからは、料金を例えば自由に上げたり、いろいろなことをフレキシブルにできれば、経営上もっと黒字をふやしたり、そういうことは可能になってくるというふうに思っております。そういう意味では、これはほかの用途に使うのではなくて、できれば今までの業種に、今までから必要性が多かったところはやっていくべきだと思っております。
それで、話は少し戻りますが、問題の一般競争入札ということでありますけれども、ほかの方法はそもそも考えられないのか、なぜ一般競争入札だけなのか、また、ほかの方法を何か御検討はされたのか、そのことをお伺いしたいと思います。
○尾辻国務大臣 恐らく念頭におありなのは、かつて私どもが総合評価方式なんというのをとって施設の売却をしたことがございます。その総合評価方式というのは、従業員ごと買っていただくと少々安くても構わないですから買ってくださいといったような方式をとったこともありますけれども、またこういう方式をとりますと、安く売ったという御批判もいただいたりもいたしております。ですから、今回、私どもは、検討はいたしましたけれども、そういう方式をとろうとしておるものではない、あくまでも一般競争入札だというふうに申し上げているところでございます。
○山井委員 それで、今の一般競争入札と先ほど言いました公共の福祉の向上、この両立をどう考えるかということなんですけれども、繰り返しになりますが、この種の施設がなくなりますと、近隣の方々や利用者の迷惑は甚大であるケースもあると思うんですね。
そこで、公共の福祉に反するものはもちろん認めるべきではないと思うんですが、そのあたりはどうやって判断するのか、そういうふうなことの、これは突然質問させていただいているんですが、大臣のお考えですね。まず聞きます、少なくとも公共の福祉に反するようなものは基本的にはもちろんだめということでよろしいですね、一般競争入札でも。
○尾辻国務大臣 公共の福祉に反するというのをどう解釈するかでありますけれども、少なくとも公序良俗に反するようなものはだめだというのは常識だというふうに思います。
○山井委員 問題は、それをどこでどうやって判断するかということになりますけれども、それは先ほどおっしゃったような地元自治体との事前の相談とか、そういう中でそこは多少判断することになるということでよろしいですか。
○尾辻国務大臣 申しわけありません、質問の御趣旨がよく理解できませんでしたので、もう一回御質問いただけますでしょうか。
○山井委員 公共の福祉に反するかどうか、これの判断は正直言って非常に難しいと思うんですね、何をもって公共の福祉に反するか。それと、最初は違う目的で買ったけれども、二年ぐらいでもうからないから変えちゃえというケースもあり得るかと思うんですね。そのあたりの判断というのは、やはり地元の自治体と一般競争入札をする前に多少議論をすべきではないかというふうに思いますが、要は公共の福祉に反するかどうかですね。それと、裏返すならば、今までの業種をどうやって続けていくか、そういうふうなことに関して事前に自治体と協議をすべきと思いますが、いかがですか。
○尾辻国務大臣 今お願いしておりますこの法律をお認めいただいて、実際に独立行政法人がスタートして、そこがどういうふうにしてまた作業を進めるかということでございますので、細かなことについて今私から申し上げるというものでもございませんが、今のお話は、突き詰めて言うと、売るときに転売禁止みたいな条項をつけるのかと。もしそういうふうに突き詰めて具体的な話でありますと、そこまで譲渡条件につけられるかなというのは率直に思うところでございます。
○山井委員 ここは、先ほど言いました、後は野となれ山となれになるのかどうかというところにも関係してくると思いますが、今までから必要性が高い施設に関してはできるだけその業種が存続すればうれしいなという答弁、先ほど大臣おっしゃってくださいましたけれども、確認ですが、そういう立法者の意思があるということでよろしいですね。
○尾辻国務大臣 私どもの気持ちの中にその思いがあるということだけは申し上げます。
○山井委員 それをいかに、ある意味で実際の運用の中に落とし込んでいくかということが、本当にこれは私たちの責任だと思います。私たちが立法府に身を置く者としてそういうつもりでやったと言っても、実際は何の縛りもかからずに、結果的にはとんでもないことをしてくれた、社会保険庁というのはこんな無責任な役所だったのかということになっては、ある意味で本意ではないと思うんですね。
それで、私の一枚目の資料に改めて戻りますが、要は病院などに関しては「譲渡に当たっては、病院機能の公益性を損なうことがないよう十分に検証した上で、適切な方法によって結論を得る。」とか、社会保険診療所に関しては「施設の中心的な機能の維持を条件とした一般競争入札」というふうなことが書かれているわけで、有料老人ホームに関してもそうであります。ところが、この宿泊施設等が一般競争入札となっているのですけれども、もちろん、病院の場合は命がかかっているのだとかあるかとは思いますが、このラインが、下半分はいろいろな配慮をする、ところが上はぼんと一般競争入札となっているわけなんですね。やはりここは、きょうの質問でもずっと言いましたように、地域への貢献、町づくりの視点、そういうことを考えて何らかの配慮をすべきではないかと思いますが、ここはクリアにカットしてありますけれども、この宿泊施設等に関してもそういう公益性は社会保険庁や厚生労働省としても認めているのだということでよろしいですね。
○尾辻国務大臣 きょうの資料としてお出しをいただいておりますこの紙でありますけれども、これは私どもがお出ししたものをそのままお使いいただいておるわけでございます。
それで、私どもがこの紙で御説明申し上げようと思っておりますことは、基本的には一般競争入札なんですと、基本的には今度の譲渡、売却に当たっては一般競争入札にいたします、そのことを書いた上で、ただ、下の方に書いてありますものは、それぞれの特殊な事情もありますので、それについての配慮すべきことということをあえて書いておるわけでございます。決して途中で大きく線を引いておるというわけではございませんで、繰り返し申し上げますと、基本的には一般競争入札でございますという説明の紙だと御理解いただきたいと存じます。
○山井委員 少し雇用のことに改めて戻りますが、そこに働いておられる方々の数というのは、正社員の方は少ないかもしれませんが、パートの方とかを含めると非常に大きいわけでありまして、やはり小さな都市や町にとっては、そこが、その雇用の場がなくなってしまうということになると、地域の雇用に与える影響も非常に大きいと思うんですね。まさに、厚生労働省さんは、地域の雇用を確保する、その先頭に立って旗振りしているところが、逆に地域の雇用不安を悪化させることになってはだめだと思うんですが、そのような地域雇用に対してどのような対応をしていくおつもりなのか、西副大臣、お答えいただきたいと思います。
○西副大臣 お答えいたします。
先ほど来ずっと御論議があるように、年金資金への損失を最小化する、こういう前提と、それから基本的に一般競争入札ということで宿泊施設の売却が行われるという条件の中で、私どもが今後町づくりを含めた雇用関係をどう維持していくかということは大変難しい問題でもありますし、また、直接なかなかタッチできないといいますか、それぞれの町のことですのでかなり難しい問題であるというふうに思っております。
施設それから用地をこれから購入していただくわけですが、購入していただいた方がその場でまた新たな事業を起こしていただくということ、もちろん業績のいいところは今の事業をそのまま継続しさらに発展していくという可能性もありますし、また新たな事業を起こしていただくことによって、その中でさらに雇用が創出されるということを期待しているところでございます。
○山井委員 まさにこの雇用の問題、本当にこれは一つ一つが雇用不安を生んでいく危険性があるというふうに私も深刻に思っております。
それで、民間にできることは民間にということをよく言われておりますけれども、繰り返しになりますが、一般競争入札で売っていく、先のことに関してどうなるかわからないという不安があるんですけれども、私が思いますのは、民間企業が持っていた場合でも、これだけ大きなものを売る場合は相当地元自治体などと話をすると思うんですね。なぜならば、ウェルサンピア京都でも十七年間も地域の方々に愛され親しまれやってこられたわけですよね、もしそこが社会保険庁ではなくて一般の民間企業がやっていても、経営が苦しくなったから、はい、売りますよ、後はどうなっても知りませんよということでは、逆に、その企業の社会的責任、まさに今問われている一般企業の社会的責任やモラルが問われると思うんですね。普通に考えれば、一般企業より社会保険庁や厚生労働省というのはもっと高いモラルがあってしかるべきですよ、これは根本的な問題ですけれども。
だから、そういう意味では、売却する際においても、そういう社会的責任、そして町づくりや地域に対する今までの貢献、貢献というか支えてもらったという恩返しの気持ちも含めて、やはりこれからもできるだけ地元自治体や地域の意向に沿った売却というものを進めていきたいということを、大臣、ぜひもう一度思いとして述べていただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 きょうるるお述べいただきましたように、今まで施設が地元の住民の皆さんに、先生のお言葉をそのままかりて申し上げますと、愛されて地元に密着をしてきた、根を張ってきた、本当にそういう役割を果たしてきたということを改めてありがたいというふうに思うわけでございます。そして、その原資となりましたものが国民の皆様方からお預かりをしております年金の積立金であるわけでございますから、私たちは、そのことに対する大変大きな責任を負っていると思います。そうしたすべての責任を負っているという立場から、これを売却するということになりましたときに、その責任を負っている分、慎重に地元の皆さんとの話もしながら進めていかなきゃならないものだということは、もうそのとおりでございますから、きょう先生がお述べいただきましたことも十分に踏まえながら、肝に銘じながらやらせていただきたいと存じます。
○山井委員 そろそろ時間ですので締めくくらせていただきますが、これは、極端な言い方をすれば、年金資金等への損失の最小化を図るというのは目的の一つにすぎないのですね。その前提としたら、社会保険庁や年金制度への信頼回復や公共の福祉の向上というのがあるわけです。ですから、一円でも高く売るために結果的にはその町の町づくりがめちゃくちゃになっても構わないということは、国がやる政策として私は許されないと思っております。
また同時に、先ほどから大臣からもそもそもここに働いている職員さんには何ら罪はないんだということを、大臣、おっしゃってくださいましたよね、そういう何ら罪のない、もっと言えば必死になって働いてきた方々を国の都合で、もともと厚生年金保険法という法律によってつくった施設を、またこういう新しい法律で、現場の人に罪がないのにその方の生首を切るなんてことは、私は国家がやることは許されないというふうに思っております。
そういう意味では、この法案の中で、もっと、これは附帯決議をつけるなりいろいろな形をして、この法案では語り尽くされていない立法者の意思はこうなんだと、雇用の確保やできるだけ今までの事業に関しては必要性が高いものは残していきたいというようなことを私はつけていくべきだというふうに個人的に思っております。このことについて最後に西副大臣に答弁をお願いします。
○西副大臣 大臣から種々お話がございました。山井委員のおっしゃられた種々の、特に宿泊施設を中心にきょうお話がありましたが、当然、この法律そのものの第一義は一円でも多く国民の年金の資金に繰り入れる、こういう大きな課題が趣旨ではございますが、その周辺を取り巻くいろいろな情勢、聞かせていただきましたことを、私たち政府としてできる限りの対策は考えていきたいというふうに考えております。
○山井委員 民間企業でも、今の時代、一円でも高くだけではだめだ。社会的責任ということが言われ、それをまさに指導していくのが厚生労働省なわけですから。厚生労働省が、もう雇用は関係ない、町づくりも関係ないとか、そんなことを言っちゃったら、日本の国は本当に秩序がこれからなくなりかねないわけですから、ぜひとも、一円でも高く売りたいということとともに、やはり地域の福祉の向上、そして雇用の確保、そういうことをしっかりやっていっていただきたいと思います。
質問を終わります。