2006.2.24
【医療制度改革】川崎厚労大臣と議論
164-衆-厚生労働委員会-4号 平成18年2月24日
○岸田委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 民主党の山井和則でございます。三十分間、限られた時間ですが、川崎大臣と赤松副大臣に質問をさせていただきたいと思います。
内容は、医療制度改革、そして、四月一日の担当者会議で政省令とかいろいろな単価とかが出てくると言われております障害者自立支援法、その二つについて質問をさせていただきたいと思っております。
お手元に今、資料を配らせていただきました。ちょっと量が多いんですが、お許しをいただければと思います。これは十五ページになっておりまして、一枚一枚、字も小さいものもありますが、時間節約のために見ながら質疑をさせていただきたいと思っております。
まず最初に、今の仙谷先生の話にもつながるんですけれども、今回、医療制度改革の政府案が出ました。これで、特に今の病院の救急医療の空洞化の問題、きょうも午前中、谷畑先生からも御指摘がありました産科の問題、小児科の問題、本当にこの政府案で状況は改善するのか。もう一言言えば、今の仙谷先生の話にもありましたように、ずっとこの間、やるやると言って放置してきて、その中で事態は深刻化しているんじゃないか、逆に。それと同じ改革に今回なるんじゃないですかという心配を持っているわけです。
そこで、まずこの一ページ目を見てください。 これはおとついの朝刊であります。読売新聞、「小児科避ける新人医師 志望者が四割減 激務で敬遠か」。そして隣の日経新聞、要は、文章の中にこう書いてあります。「大卒時点では小児科志望の研修医が臨床研修中に「労働条件がきつい」などの理由で内科などに志望を変えるケースが多い。」そして読売の方では、「日本小児科学会の衛藤義勝会長は「このままだと、地域の小児救急医療が危機的な状況に陥る恐れもある。小児科医の労働条件を改善するなど抜本的対策も必要だ」としている。」と書いてあります。
そこで、まず川崎大臣にお伺いします。なぜこういうふうに小児科を志望するお医者さんが減っているんだと現状認識をされておられますか。
○川崎国務大臣 まず全体的な数字ですけれども、平成六年から平成十六年まで過去十年間で、小児科の医師数一万三千三百四十六人から一万四千六百七十七人、一〇%の増加となっております。医師全体の伸び率が一六%でしょうか、それからすると低いことは事実でございます。一方で子供さんの数が少なくなっていることも事実。また一方で、小児科の救急医療というものが大変時間的なものもかかるということも事実でございます。その数字をあわせながら、一〇%の増加というのをどう考えるかということになれば、基本的にはこのラインを維持していくべきだろうというように考えております。
一方で、この新聞記事は、これはもう委員もよく御承知のとおり、私の三重県でもそうでございますけれども、大学の医局に残らない、研修医制度というのは変わってしまったという中で、大学医学部の小児科に入局予定の医師が激減するという数字を書いたわけですね。そういう意味では、民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がなければならないだろうという認識をいたしております。
したがって、この新聞記事に書いたことが、小児科のお医者さんが少なくなったんだというストレートな判断はいたしておりません。
○山井委員 私は、そういう危機感のなさが現場と非常に違うというふうに思っております。
次のページを見てみてください。「小児救急 三十二時間勤務の「戦場」」、文章をちょっと読みますと、「月八回の当直。午後五時から翌朝九時まで一睡もせずに診療し、そのまま夕方まで病棟で勤務する。前日朝からの三十二時間連続勤務。」と書いてございます。そして、その次の三ページ。小児科医の不安のトップが「体力・健康への不安」、「翌日業務への影響」というふうに書いてございます。どんどん進みます。次の四ページ目。どれだけ小児科の勤務医が超過労働をしているか。月の超過勤務を百時間以上している人が三分の一以上いるということなんですね。
それで、ここでこういう問題について、先ほど仙谷先生からもありましたが、既に平成十四年から小児科医師の勤務状況の改善をするということを、平成十六年の厚生白書に平成十四年からやっているということが書いてあるわけです。それで、平成十六年に出た報告書を見ると書いてあるわけですね、時間外労働が六時間をはるかに超えている、医療安全管理上も問題であると。義務労働時間の制限は医療安全上も緊急の課題であるという結論が出ているわけですよ、二〇〇二年から研究をやって。にもかかわらず、今、現状ではこの新聞報道にもありますような激務が放置されているんですね。
そこで川崎大臣にお伺いします。
これは救急全体の問題でありますけれども、今は小児救急に絞ってお伺いしますが、こういう夜間、宿直でやっているのか夜勤でやっているのか。御存じのように、夜勤だったら翌日は続けて勤務ができないことになるわけですけれども、夜勤でやっているのか宿直でやっているのか、そういう実態の調査をやっておられますか。やっておられるなら結果をお出しください。
○川崎国務大臣 宿日直勤務にかかわる許可を受けている医療機関に対して、平成十四年度以降、宿日直勤務の適正化のための取り組みとして、平成十五年度から十六年度にかけて、約六百の医療機関に対し個別の監督指導をいたしております。
認められた法違反について誠実な是正を図らせるとともに、宿日直勤務にかかわる認可基準を満たしていないものについては、当該基準を遵守するよう粘り強く指導しております。
現実、こういう実態があるということは承知いたしております。
○山井委員 小児救急に限ってそこを、宿直なのか夜勤なのかという調査はされていないんですよ。大臣、やはり労働条件の改善を図ることが小児救急医療を救う大きなかぎなわけですから、小児救急の現場において、宿直でやっているのか夜勤体制でやっているのかということはきっちり実態を把握しないと、労働基準法に違反しているのかどうかもわからないわけですから、根本的な問題だと思っております。
そして、その次のページにありますように、小児救急医療拠点病院というのを国の補助金で五十八カ所もやっておられます。こういう場所も含めて、夜勤でやっているのか宿直でやっているのか、こういう実態調査というものを、やはりこの医療制度改革の審議の前にその実態を調査して出していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 当然、労働関係での大きな課題でありますので、調べさせます。
○山井委員 やはりこれは委員会審議、別にやみくもに批判する気はありませんけれども、正確な現状認識をしないと議論が成り立たないわけですから、この新聞に書いてあるように、宿直と言いながら、一睡もせず仕事をして翌日また夕方五時まで仕事をする、これは若いお医者さんもそういう状況を見たら、特にきょうの朝、公明党の高木先生もおっしゃいましたけれども、三割以上の小児科医の方が女性ですよ。やはりそういう中では両立できないと思われるのは当然だと思うのですよ。
だから、そういう意味で、この小児救急医療をよくする一つの重要なポイントとして、国会で、労働条件がちゃんといっているのかということを議論する必要があると思います。
今、川崎大臣からも御答弁がありましたように、六ページにありますように、五百の病院に労基局が監査に入った、それによって次の七ページにありますように多くのところが違反の疑いがあるという指導を受けたわけですね。大臣、この結果についても、既にもう集約されているわけですか。平成十六年十一月に指導したわけですけれども、その後どうなったかということは集約されているのですか。されていなかったら、早急に出していただきたいと思います。
○川崎国務大臣 これらの指導を受けての医療機関における体制整備の問題については、来週末までに取りまとめて委員会にも御報告を申し上げます。
○山井委員 ぜひそういう現状を認識して、やはり労働条件をよくしていくというのは非常に重要なことであります。
それでは、全くテーマが変わりますが、次に、障害者自立支援法の話に入りたいと思います。
これは障害者の方々の人生、命にかかわる問題であります。
そこで、資料としてきょうお配りしております中で、十二ページを見ていただけますでしょうか。
これはここ数日間、厚生労働省が障害者団体の方々に配付をされているものです。この障害者自立支援法というのは、難病の方々も含む重度障害者が施設や病院ではなくて地域で暮らせるようにしていこう、そういううたい文句であったと理解をしております。しかし実際には、本当に重度の方が在宅で今回の自立支援法で生活できるのかという不安が、非常に今高まっております。
その一つ、十二ページにありますように、厚生省の資料には二つだけイメージが出てきているんですね。
一つが、家族と同居するALS、筋萎縮性側索硬化症、難病でありますね、この方のイメージ。イメージ二が、重症心身障害者がケアホームという施設みたいなところ、ケアホームに住んでいるパターン、この二つしか出てきていないわけです。
大臣にお願いをしたいのですが、十も二十もと言いませんが、せめて家族と同居しているイメージを出しているんだったら、家族と同居せずひとり暮らしをされている、人工呼吸器をつけておられるALSの方だったらどういうイメージでこの自立支援法で生活できるのかということを、それと、夜間もサービスを利用する脳性麻痺の障害者が自宅で生活するにはどういうイメージでサービスを受けられるのか、このような表をぜひとも御提示いただいて、ああ、なるほど自立支援法でこういう生活ができるんだなということで、障害者の方々に御安心を与えていただきたいと思うのです。大臣いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 昨年、全国の六十の市町村で実施した障害程度区分判定等試行事業の対象となったケースのうち、同じ最重度の脳性麻痺の四十代のひとり暮らしの男性の例、ホームヘルプサービスを月三百四十三時間という方もいらっしゃいます。また、月二十六時間という方もいらっしゃいます。
そういう意味では、地域で暮らす重度の障害者の方のサービス利用について、個々の利用者のニーズ、介護者の状況、居住環境などによって多様であり、また給付水準に関する市町村の判断も地域によって大きな格差が現在あります。特定の障害者像を想定して、これがあります、これがあります、これがありますという形でサービスモデル自体を今お示しすることは、なかなか難しいと考えております。
○山井委員 特定というよりも、脳性麻痺の障害者が夜間サービスを利用して在宅で暮らせる、これは障害者自立支援法の一つの大きな目的でありますよ。そういうイメージ図くらい出していいんじゃないですか。
それともう一つ、特定のケースはイメージ図を出していけないとおっしゃいますが、家族と同居しているALSの方については実際出しているわけですから、これを家族と同居していない方も出してくださいと言っているわけです。
それで、大臣、逆に私心配していますのは、家族と同居しているケースは出せます、同居していないケースは出せませんと厚生省が拒否しているということは、ALSの患者さんや御家族がどう思われると思いますか。やはり家族が同居しないと、あるいは家族の大幅な支援がないと、人工呼吸器をつけて生き長らえられないんじゃないかなというふうに思われるわけなんです。
何で私がこんなことを聞いているかというと、実際私の知り合いの若い方で、このままいけば時間の問題で人工呼吸器をつけないと命がなくなってしまう、そうなったときに、家族も体がかなり弱っているから、生きられるんだろうかということで大きな不安を感じている人がいるんですよ。
そういうイメージ図が出るかどうかで、全国のALSの患者の方が今七千人くらいと言われていますが、その方々が人工呼吸器をつけて生き続けようと判断するかどうかの瀬戸際だと思います。ぜひとも大臣、家族と同居するケースだけは出して家族と同居していないケースに関してはイメージ図は出せないとか、そういうことは言わないでいただきたい。
今言いましたようなALSのケース、脳性麻痺のケース、今おっしゃったようにさまざまなケースがあるでしょうけれども、一つのイメージ図でいいんですよ、障害者の方々、難病の方々を安心させるために、ぜひともお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○川崎国務大臣 イメージ図を出すということで、ある程度例ができ上がっている場合は確かにそれが基準になっていいわけですけれども、まさに今回の制度全体が一つ一つの状況に応じて判断しましょうということでございます。そういった意味では、御答弁が気に入らないということになるかもしれませんけれども、ひとり暮らしのケースを見ても、先ほど御答弁申し上げたように違います。
したがって、標準的なサービスモデルを今示せと言われても、なかなか難しいと考えております。
○山井委員 この問題はぜひとも引き続き取り上げていきたいと思っております。これは生存権にかかわる問題ですから、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
次に、赤松副大臣に療養型病床の削減の問題についてお伺いしたいと思います。
このことについては、私も十七年間介護問題に取り組んでおりますので、言いたいことは山ほどありますが、きょうは一つに絞ってお伺いします。
どういうことか、療養型病床の自己負担、患者さんが払っているお金は幾らなんでしょうかという一番根本的なことをお伺いしたいと思います。
きょうお配りしてあります資料の十一ページを見てください。これが昨日厚生労働省からいただきました自己負担の表です。議論が拡散してはなんですので、医療保険の七十歳以上というところについて議論をいたします。
委員の皆さんも見てください。現行九・四万円。これはおむつ代一・五万円、日常生活費一・五万円、すべてを含めて保険外負担も含めたのが、十一ページにありますように現行九・四万円と厚生労働省は認識をしているわけなんです。
赤松副大臣、これが本当にそうなのかということなんですが、私は実感として、こんなに安いか、皆さんもどう思われますか。
それで、私、昨日これを見てみました。神奈川県川崎区で市民団体が冊子を出しておられるんです。どんな老人ホームどんな療養型病床がありますかという冊子を出しています。別に高いところだけ選んだのではありません。
読み上げます。にじのまち病院療養型病床一カ月十四万円、有馬病院二十万円、麻生リハビリ病院三十五万円、たま日吉台病院十九万円、鶴見総合病院十五万六千円プラスアルファ、横浜病院八万円、横浜いずみ台病院十五万円、江田記念病院二十万円、サンフラワー新港北病院二十万円、つづき病院十九万円、浦賀病院十二万円、相模原伊藤病院十五万円、言い出したら切りがないんですけれども、こういうのがついているわけです。これは三十一カ所選び、ここに書いてあるところをこのままのとおりピックアップしました。平均幾らになったと思われますか。
これは、厚生労働省が九万四千円とおっしゃっているわけですね。最初に申し上げておきますが、これはもちろん、地方は安いです。でも、一応これは首都圏のところが載っています。三十一病院の平均が、赤松副大臣、十七万六千円なんですよ。
この療養型病床の議論というのは、今回の制度改正の大きなポイントですよね。その現状認識で、厚労省は九・四万円と認識しています。でも、少なくとも首都圏では平均は十七万六千円ぐらいだというのが、こういうふうに普通に調べたらだれでもわかるわけです。この開き、どっちが正しいのか。
それで、厚生労働省に、九・四万円というんだったらデータを見せてください、どういう計算で、どういうデータでこれは出てきたんですかと言ったら、いや、それは出せないというわけなんですよ。
だから、やはりここはデータを出していただいて、かつ、地方が安くて大都市が高いんだったら、それはそれでまた考えないとだめなわけですから、今回の食費、医療費などの負担の増に関しても、九万四千円なのが十二万四千円になりますよという法案を議論するのか、首都圏の人にとっては十七万六千円平均が二十万六千円になりますよという法案を議論するのとでは、全然議論の前提が違うと思うんですね。
赤松副大臣、これは改めてデータを出してもらって、地域別のやはり実態をもう一回データで出してほしいと思うんですけれども、副大臣、いかがでしょうか。
○赤松副大臣 今、山井委員から具体的に、川崎を中心とした首都圏の三十一の部分につきまして、十七万六千円、こういうふうな数字が挙げられました。
今、既に山井議員は厚労省とのお話の中でもう知っておられると思いますが、皆さんいらっしゃるのであえて申し上げますと、その九万四千円の金額を算出した経緯というのは、一月当たりの一部自己負担の平均額に、病院団体を通じた調査で把握したおむつ代、日常生活費の平均額を加えて平均的な額を推計したということで、九万四千円という数字が出てきたわけでございます。
それに対して、今、余りに差が大きいじゃないか、どうしてこういう数字が出てきたのか、実際にそういうデータの提示をしろ、こういうふうな御指摘だろうと思いますが、私どもがやった調査というのは、昨年七月に日本療養病床協会を通じて、調査目的を明確に示した上で、今回緊急に協力を得て調査を行ったということで、今、個々の医療機関のデータを改めて提示しろということにつきましては、その時点の調査の目的外ということに当たりますので、改めてやり直さなくちゃいけないということになります。慎重に考えなくちゃいけない、こんなふうに思っております。
○山井委員 そうしたら、もう一回やり直してもらって、そのデータを見てまた審議をすべきだと思いますが、これはいつ出してもらえるんですか。
今言ったように、首都圏じゃ平均が十七万六千円、この三十一見たところでは。ところが、厚生省の実態は九・四万円、これじゃ差があり過ぎると赤松副大臣、思われませんか。このまま本当に突っ込んでいいんですか。これはずっと私も言い続けますよ。これは実態の問題ですから、現状認識が間違っていたら、法案なんか全然意味をなさないですよ。
○赤松副大臣 委員御自身がおっしゃったように、首都圏ということに限定された話ですし、こちらの方は首都圏だけではなくて全国というような部分があって、数も違いますし、それぞれの、さまざまなデータの集め方にも違いがあると思うんですね。
したがって、今、我々の出した平均的な額を加えて平均的な額を推計したというものと、今の御指摘との差というものについて、一概にはそう言い切れないんじゃないか、こんなふうに思っております。
○山井委員 首都圏とこれは二倍近く違っているんですよ。
委員長、これはちょっと理事会で、ぜひこのデータを出してもらうのと、地域別のものを精査しないと、このままじゃ、それは審議の前提が全然違ってくるわけですから、委員長、よろしいですか、理事会で協議ということで。
○岸田委員長 改めて理事会で協議いたします。
○山井委員 続いて、仙谷先生もおっしゃっておられました二〇二五年度の医療給付費、これも、時間に限りがありますので余り長々とは申し上げませんが、大きく、過大に書き過ぎているんではないかと思うんですね。
ここの資料にも入れさせていただきましたけれども、九ページにありますように、二〇二五年の、これは国民医療費の方ですけれども、百四十一兆と以前は言っていたのが、今では六十五兆になっている。この説明は先ほど水田保険局長がされましたが、私は納得しておりません。
川崎大臣に一言だけ申し上げたいんですけれども、五十六兆になるというものを四十八兆に抑えるために今回法案が出てきたわけですから、この五十六兆という前提が大きく狂えば、この法案の趣旨も、前提が変わるんですから、この法案の趣旨が大きく変わるということでよろしいですか。この一問だけ聞かせてもらいます。
○川崎国務大臣 国民医療費もしくは給付、それがどのぐらいの想定になるか、一つの立案を立てる過程の中で、GDPの伸びとかいろいろな数字を入れながらやっていきますね、当然。過去は大きく状況が違いました。そういう意味では、百何十兆と数字を出したのは明らかに間違いであったんだろう。もしくは、そのときの経済状況が余りにも上昇志向だったということは間違いないと思うんですね。
今現在として、私どもは五十六兆になるという数字をお出ししたわけですから、それを前提に法案ができていることは事実でございます。
○山井委員 今、いいことを言ってくださいました。百四十一兆と思ったけれどもそれは間違いであったと。では、十年ぐらいたって、五十六兆と思ったけれどもあれは間違っていたということになったら、この法案、この法改正は必要じゃなかったということに後でなりかねないわけであるから、そこの部分はきっちりと精査をしていきたいと思っております。
それでは、次の質問に、時間にも限りがありますので、参ります。
また障害者自立支援法についてですが、大臣にお伺いしたいんです。先ほどの質問にも関連するんですが、これは、重度の方々がやはり施設から出て在宅で暮らすためには、グループホーム、ケアホームというものが非常に重要なんですね。前国会で尾辻大臣は、サービス水準は落とさない、議事録をこの後ろにもつけてありますが、そういうことを約束しておられるわけです。
そこで、川崎大臣にお伺いしますが、重度障害者は、今回の自立支援法への移行によって、グループホームで、今までのサービス量、受けていたサービス量は確保できるのですか。水準を維持するということですから、グループホームで、重度障害者は自立支援法に移行しても今までの受けていたサービス量は確保できるのですか。この一点をお伺いします。
○川崎国務大臣 今度の制度全体はおわかりになっていると思います。新しく設けるケアホームにおいては、利用者にふさわしいサービスが提供されるよう、利用者の数や障害程度に応じ、サービス管理責任者や介護サービス等を提供する生活支援員を配置するとともに、重度障害者に配慮した加算を設定する、夜間体制をとっている場合には報酬加算といった仕組み、こうした状況の中で、基本的には、このケアホームにおいてサービスが提供されるということでございます。
○山井委員 そこはやはり、後で園田議員も言ってくださると思いますが、サービス量が維持されるということをきっちり言ってもらわないと、説明を聞いてもしようがないんですよ。約束は、サービス水準を落とさないということなわけですから。
それで、大臣にもう一つ、さっきに戻りますが、お伺いしたいと思います。
ちょっと確認をしたいんですけれども、ALSで人工呼吸器をつけた人がひとり暮らしをされるのを、厚生労働省としても自立支援法で支えていってくださるわけですね。そこは明確にしておいていただきたいと思います。
○川崎国務大臣 現在対象になっている方は、基本的にはそのままの政策が続けられると考えております。
○山井委員 これからのことも非常に重要なわけですから、今までの人はいいけれども、今後はもう無理ですよということじゃ話にならないわけです。
そうしたら、大臣にもう一つお伺いします。
これも、私、本当に自立支援法に関しては百ぐらい聞きたいことがあるんですが、もう時間に限りがありますので、もう一点だけお聞きしますと、精神病院の社会的入院の患者さんを十年以内に七万二千人減らすということを、医療観察法案の審議のときに、四年前に当時の坂口大臣、約束をされました。
しかし、今回、何と病院の敷地内に地域移行ホームというのをつくって、同じ敷地内、あるいはちょっと改築しただけで社会的入院が減りました、そういう計画を出してこられているんですよね。議事録もつけましたけれども、坂口大臣も、社会的入院を解消するという以上は地域に帰ってもらわないと意味がありませんと明確に言っておられるわけです。
大臣、まさか同じ敷地内にいて、定義が地域移行ホームに変わっただけで社会的入院の数が減ったというふうに統計的に処理されるなんてことはないでしょうね。それでは厚生労働委員会で半年かけてあのとき議論したのは何だったのか。常識で考えたら、社会的入院から地域に復帰するということは地域に復帰しないとだめで、そこにいて、看板が変わったから、ちょっと改築してよくなったから社会的入院じゃありませんよ、これは介護施設です、それではおかしいと思うんです。
ぜひとも、社会的入院の解消という部分にその数をカウントすべきではない、敷地内から出た時点でカウントするということにするのが極めて当たり前の考え方だと思います。大臣、いかがですか。
○赤松副大臣 今の御指摘でございますけれども、私たちは、今入っておる病院施設から実際にいわゆる地域移行型ホームを経て、そして現実にグループホームやケアハウスに行くという流れの中に、原則として二年の地域移行型ホームをつくったわけですが、これはやはり、一言で言えば、社会的入院解消に向けての一歩、準備段階、そういう第一歩を踏み出したもの、こういうふうな位置づけにしてまいりたい、そんなふうに思っております。
○山井委員 いや、だから、準備段階だったら解消したということにはならないわけですね。その部分は社会的入院のカウントの中に入るわけですね、まだ準備しているわけですから。
○赤松副大臣 あくまで中間的な準備段階、こういうふうな位置づけであります。
○山井委員 だから、社会的入院の解消というか、入院のカウントからは減らされないわけですね。
○赤松副大臣 直ちにそういうことにはならないと思っております。
○山井委員 医療制度改革はこれから議論が始まりますし、自立支援法については、本当にこれ、深刻に人の命と生活がかかったことでありますし、日本の本当の豊かさとは何かということを問う問題でありますので、これからもきっちり議論していきたいと思います。
ありがとうございました。