活動報告

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山井の活動


165-衆-外務委員会-4号 平成18年11月1日
経済上の連携に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定の締結について承認を求める件(条約第二号)


○山口委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 民主党の山井和則です。これから四十五分間、質問をさせていただきます。
フィリピンの看護師、介護士受け入れということですが、冒頭、麻生外務大臣に、核保有発言についてお伺いしたいと思っております。
先日、フィンランドの議長団が日本の国会を訪問いたしました。そうしたら、その質問の三分の二は、日本は核武装をするのかという質問でありました。このように諸外国も非常に心配をしております。昨日の報道でも、アメリカのブッシュ大統領も、日本が核を保有することを議論するということに関して非常に、核を本当に持ったら困るということで懸念を表明したというニュースも流れておりました。
このことについて、フィンランドの議長団もこういう核武装の心配をしているということに関して、麻生大臣、いかが思われますか。
○麻生国務大臣 きのう、外務省の方にも大勢来ておりました。フィンランドの議長は前に総理大臣もしていましたし、来ておりましたので、私どもの方にその質問があるのかと思って待ち構えていたんですけれども、私の方には直接なかったんで、普通、ああいう話は直接ないとおかしいなと思うんですけれども、何で私にはないのかなと思って、こっちの方から質問したんです。日本では議論しちゃいかぬという話なものですから、なかなか議論がしにくいけれども、向こうはフィンランドだから議論してもいいんじゃないのかなと思って、むしろ私の方から話をしたというのが正直なところです。
私の方として申し上げているのは、ずっとたびたび、議事録やら何やら、きっと先生のことだから熱心にあちらこちら読まれた上なので、同じことを申し上げるようで甚だ恐縮ですけれども、もう一回言わせていただきます。
ずっと申し上げてきているのは、一般論としては、国の安全保障というものを考えるときにおいては、その時代時代において当然考えるべき時代背景がある。持たず、つくらず、持ち込ませずというのをもって非核三原則というのがほぼ決まりましたのが佐藤内閣のころであります。いわゆる沖縄返還のあの時代の話でありまして、当時はいわゆる冷戦構造のさなかでありまして、一九九〇年代以降の一極の時代とか、また今のように、いわゆる隣国、北朝鮮が核を持った、もしくは実験したと言い、かつ、それを搬送するミサイルの技術もかなり実戦配備、かつ、実験というよりは訓練の段階まで来ている、その射程距離が日本には届く、かつ、その射程距離がどんどん延びているという状況下にあるというのであれば、当然いろいろな国民的議論が起きてくるということを封殺すべきではないのではないか。
また他方、日本としては、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという三原則について、これを堅持することにつきましては、歴代の内閣が累次にわたって言明をしているとおりでありまして、政府としても、今後これを堅持していくという立場に変わりはないということを、きのうもフィンランドの人に申し上げておりますし、今またここで申し上げているところです。
加えて、この問題には、いわゆる原則以外に法律上の問題もあります。それは、原子力基本法という法律がありまして、この法律によって日本の原子力の利用というのは平和目的に限定されているというように、法律で決められております。
また、NPTという核不拡散条約というものに、これは条約ですけれども、これに非核兵器国として日本の場合はいわゆる義務を負っておりますので、このような観点から見ましても、日本が核兵器を保有することはないということを申し上げてきております。
○山井委員 私は、麻生大臣の答弁を聞いていてよくわからないのが、非核三原則は堅持する、核を持たないと決めていると言っているにもかかわらず、それならなぜ核保有の議論をしてよいということをおっしゃるのかがわからないんです。
核保有の議論について、麻生大臣はどう思われるんですか。
○麻生国務大臣 これは、昭和四十年当時、山井先生がどれくらい成長しておられたか、御年齢であったか存じませんけれども、三歳ぐらい、じゃ、そのころの記憶はほとんどない、全く、天才でも三歳ぐらいのときは余りないと思いますので、ないんだと思いますが、私は当時もう既に大分年を食っていましたので、そのころの議論を学生として、また社会人として聞いていましたから、そこそこの意味はわかるつもりでおります。
ただ、今、多くの方々が先生と同じような世代だと、どうしてそういう原則になったかという経緯を御存じの方はほとんどないという状況にあるときに、我々は議論をして、状況が変わったというのを前提にして議論をして、その上でみんな納得ずくで三原則を維持、堅持するということに決めるようにしないと、どなたも議論は一切することはまかりならぬ、そういうことをするということを、啓蒙の上議論をしない、啓蒙だけして議論、いろいろやり方はありますよ、だけれども、議論もさせないというのは私はいかがなものか。
どうして議論しちゃいかぬのかというのが私にはちょっとよく理解ができないので、政府としては決めておりますが、多くの議論を行われるということに関しましては、私は別におかしくないのではないか。言論封殺するつもりはありません。
○山井委員 一議員が議論をするのと日本政府の外交の責任者の外務大臣が議論するのとでは、全然意味が違うんですね。だからこそフィンランドも心配している。
それで、御質問したいんですが、そうしたら、核保有の議論をしてもよいということは、こういうことになりますよ。NPT、核拡散防止条約の脱退についても議論をしてよいという意味も持つわけですが、本当にそれでいいんですか。
○麻生国務大臣 重ねて申し上げますが、政府としてはというのであって、私は政府の一閣僚でありますから、私は議論を私がすると言ったようなことは一回もないのであって、議論をするのは大いにされてよろしいのではないか。国民の言論を封殺するつもりは私ども自由民主党にはないと申し上げております。
○山井委員 何か麻生大臣、逃げていられるような気がするんですよね。議論していいと言い出したのは麻生外務大臣じゃないですか。自分で議論していいと言い出していながら、今さら自分は議論する気はないというのは。
それで、安倍総理は、非核三原則は堅持する、これはもう結論が出ている、政策判断としてやったと言っているわけですから、そういう意味で、議論をされているこの麻生外務大臣の発言というのは閣内不一致ではないですか。
○麻生国務大臣 議論があってもいいとずっと申し上げてきておりますし、私どもは議論があってもいい、政府としてはこれは堅持します。
しかし、国民の中で、政府としてはこう思って、憲法九条はとかいろいろ意見がありますじゃないですか。そういった中にあっても、国民の中で議論があってもちっともおかしくないんじゃないでしょうか。一億二千万おりますので、いろいろ議論があって、それを全部封殺する、私は、議論をしたいわけじゃないです。そちらが御質問なさるから私が答弁しているだけであって、こちらから吹っかけたことは一回もありません。
○山井委員 麻生大臣がどう弁解をされても、麻生大臣の発言もあって、フィンランドの議長団も、これはもう全世界が心配しているわけですよ。唯一の被爆国である日本は、これからも核拡散防止条約の、核廃絶の先頭に立つと。その先頭に立つべき麻生外務大臣が逆のメッセージを発している、これは非常に問題だと申しておきます。
それでは、この問題ばかり議論しておれませんので、これは改めて、こういう問題はきっちり予算委員会を開いて私は議論すべきだと思っております。
それでは、看護師、介護士の議論になりますが、私は、きょう厚生労働委員会からやってまいりましたが、この問題、非常に関心を持っております。
私は、二十七歳から三十一歳まで四年間、海外の介護施設、日本の介護施設を回って、実習をしたりボランティアをして回りました。日本でも老人病院、特養、老健施設、十カ所ぐらい実習をさせてもらいましたし、シンガポールの老人ホームでは一カ月ぐらい、イギリスの老人ホームも住み込みで一カ月、アメリカの老人ホームでもボランティアとして手伝わせてもらったことがあります。
そのときに私が感じたことは、アメリカでも移民労働力が介護現場の中心となっておりました。やはり、賃金が安いという部分もあって、労働条件も悪いということで、移民労働力が中心でありました。イギリスでも、ロンドンあたりではかなりそうでありました。例えば、私がボランティアをしていたシンガポールの老人ホームでは、そこでは介護現場はシンガポール人はほとんどタッチせずに、半分がスリランカからの外国人の介護者、半分はフィリピンからの介護者でありました。
それで、そのときに私はつくづく感じたんですね。シンガポールで、介護は安い外国の労働者にやってもらう、そういう私が行ったシンガポールの老人ホームの一部の姿だったわけなんですけれども、その姿を見て、本当にこういうことでいいのかなということを考えさせられました。シンガポールのお年寄りは、中国語です。ところが、フィリピン人もスリランカ人も中国語はほとんどしゃべれません。そのことをフィリピン人やスリランカ人に聞いたら、いや、会話は余り必要ない、食事をさせてトイレへ連れていっておふろへ入れる、シャワーを浴びさせるぐらいだから、会話は中国語ができなくてもいいというようなことを言っておりました。
しかし、私も介護問題をライフワークとする人間として、例えば今の老人ホーム、七割が認知症のお年寄りです。どういうコミュニケーションか。御飯食べましたか、食べていないと。食べていないと言うけれども、本当は食べているんですよね。それで、でも、さっき食べたんじゃないのと言う。家に帰りたいと言う。でも、そのあなたの言っている家というのはどこですか。それは今の家じゃなくて、もう二十ごろの家だったりする。非常にコミュニケーションは、これは日本人でも難しいわけなんですね。
そういう意味では、この介護、看護の現場というのは、ただでさえ非常に労働条件も過酷ですし、かつ、ハイレベルのスキルがこれからますます求められている時代であります。そういうときに、安易な安上がりの労働力ということで万が一あるならば、そういう形で入れるのは非常に問題が多いと思っております。
ただし、一言つけ加えますと、スリランカ人、フィリピン人あるいはメキシコから来た介護スタッフと私も一緒に老人介護のお手伝いをしましたが、みんな非常に心優しいです、心優しい。もしかしたら日本人よりお年寄りを大切にする気風は残っているかもしれません、個々人は。しかし、個々人はそうであっても、その方々が大量に入ってくることによって、労働条件が今まで以上に悪化するんではないかということを非常に私は危惧しております。
そういう観点から質問をさせていただきますが、まず、麻生大臣、中心のことですので最初に一問お伺いしたいんですが、ちょっと私も調べさせてもらいましたら、大臣の地元福岡でも御親戚の方が麻生飯塚病院というのを経営されている。うなずいておられますが、この病院では八月から看護師が七対一というのを策定しており、人員増により安全なケアが提供されていると考えられて、大変喜ばしいことであると。
しかし一方で、この七対一という仕組みの導入によって、今まで以上に看護師不足というものが深刻化しているわけですね。こういうときに今回のEPAというのが導入されるのは甚だ問題があるんではないか。具体的には、フィリピンの看護師が安上がりな労働力確保の突破口となって、日本の介護、看護労働市場に悪影響を与えるのではないかと危惧されます。
日本の看護師不足の一つの大きな要因として、労働環境の低さに起因する離職率の高さ、後でも述べますが、一年目にもう九%も離職されているわけです。それで、フィリピン看護師が日本の看護師免許を取得する前後の労働者保護を徹底しないと、製造業のように安価な労働力に転じてしまって、結果的に日本人看護師の労働環境が影響を受け、看護師不足あるいは介護士不足に拍車がかかるのではないか、こういう心配をしております。
今回の条約の責任者、外務大臣として、このような受け入れが労働条件の悪化につながって、さらなる労働力不足につながるのではないか、このような懸念に関して、麻生外務大臣の見解をお聞かせください。
○麻生国務大臣 これは山井先生御存じのように、一番の問題は労働力がないことですよ。介護士という労働力がないの、それに対して需要が多いの。需要がすごくふえているんですよ。しかし、ないのは、万といたり、毎年ふえていますよね、ギャップが。すごくふえているんですよ。その介護士という労働力が不足しているギャップをどうやって埋められようとしておるのかが私らにはよくわからない。私どもは看護学校を持っていますから、自分たちのところはそれでできないわけじゃありませんよ。しかし、ないというところは、うちはないからだめですと言われるところがふえているところが大きな背景になっていた、私の知っている範囲ではそれが大きな背景だったと思っております。
それから、少なくとも、アメリカで看護婦の資格を取ったフィリピンの人たちが大勢おられるということも事実。そして、その人たちがそこそこの年齢になってから日本に来る。いや、そんな難しい顔をされるけれども、難しい話じゃないんであって、普通の話ですよ、この話は。難しい顔をする傾向があるのかどうか知らぬけれども、難しい顔をされると、こっちはもっと易しくしゃべらなきゃいかぬかと思っていろいろしゃべらないかぬのですが。
労働力の絶対量が不足していないという前提で話をされるのか、看護師、介護士という労働力が不足しているという前提でしゃべるのかによって私は全然考え方が違ってくると思いますけれども、少なくとも看護婦、介護士、いずれも、いわゆる町の病院で見ていると、看護婦というのは皆不足しておるというのが多く聞かれる話でもありますので、私どもとしては、そういったものを考えるという点においては、外国人労働者というのは大きなものだと思っております。
それから、これはたしか契約においては日本人とほぼ同じようなものを払わなければならないというように規定されていると記憶をしますので、そういった点については、もしそういうことを満たしていないというのであれば、その段階で、それは違反しているわけですから、むしろきちんとそういったものに対応していくというのが大切なんであって、払われないかもしれないと言うけれども、一応規定は払うことになっておりますので、それを前提にして話をしないと、あれもこれもと可能性だけいろいろ言っていくと、なかなか現実には即さないことになるのではないかと思います。
○山井委員 私、実は、今麻生大臣の答弁を聞いて、ちょっとびっくりしたんですね。というのが、今回のEPA受け入れの大前提は、人手不足対策ではありませんというのが今回の受け入れの大前提なんですよね。であるにもかかわらず、今の大臣の答弁を聞いていると、これだけ人手不足なんだからという答弁がのっけから返ってきたので、ええっ、ちょっとこの話は前提が変わってくるなと思うんです。
それで、麻生大臣、お聞きしたいんですけれども、私が質問したのは、これを受け入れたときに、それによって日本の労働条件、看護師さん、介護福祉士さんの労働条件が低いまま固定化されたり、今、離職率が介護職員で年間に二二%、介護士さんで一年目にもう九%やめてしまう。本来、労働条件を向上させて人を集める、賃金も上げる、これが先決だと思うんですが、そのようなことに対して、安易にフィリピンから安い労働力を入れる、同等の賃金とおっしゃいますが、やはりその施設の職員では一番安い労働力に事実上はなると思うんです。それによって、労働力が向上するブレーキになったり、労働条件悪化につながらないか、このことについては、麻生大臣、どう思いますか。
○麻生国務大臣 これは、グローバライゼーションの中で人のグローバライゼーションというのが大前提になっているというのは、EPAに関して言わせていただければ、いわゆる世界じゅう同じようなグローバライズされているというのが大前提、それはもう当然御存じのことだと思いますので、その点は触れなかったというだけの話だと思います。
それから、今の話で、扱いというか、そういった賃金とか環境というものがどんどんどんどん劣化していくのではないかという御心配のように見受けられますけれども、少なくとも、そういったようなことは規則で決められているという大前提、規定が最低限決められていますので、その規定を大前提にして話をしないと、その規定が守られなかったからどうするかという話は、それは守られなかったらそこはきちんと指導するなり介入するなり、いろいろなやり方をしていくのが当然なんだと思っております。
少なくとも、今のような状況の中で、私どもは、今の現状を考えたときに、いろいろ、やめていく比率が高いというのは決して、病院によっても違いますし、病院には人が居つかない病院もあれば、ずっと定着する病院もあれば、実にいろいろなんですよ、これはもう御存じのように、渡り歩いておられるという経験がおありのようだから。だから、そこらのところも、その病院によって種々違いがありますので、離職率が高い病院は、どうしてその病院は離職率が高いのかというようなところも調べてみるというのも非常に大事なところだと思います。
○山井委員 まさに、二年間受け入れて労働条件が悪化していないかどうかというのを検証するのは、これは非常に大事だと思うんですよ。麻生大臣は、そういうことにならないようにするということで、そこはきっちり守っていただきたいと思うんです。
そこで、例えば、これはイギリスでも問題になったことがありまして、劣悪な労働条件で看護師さん、介護職員が働かされたということや、アメリカでもそういう問題が出てきておりまして、その結果、結果的には看護師さん、介護職員の労働条件が悪化して、いわゆる自国民が魅力のない職場と考えて、集まりにくくなって、結果的には外国人を受け入れたことが人手不足に拍車をかけてしまった、そういう問題点もイギリスやアメリカでは出ているわけです。
そこで、厚生労働省にお伺いしますが、だれがどのようにして今回の就労、研修状況というのをチェックするんですか。
○岡崎政府参考人 国際厚生事業団が、あっせんからその後の就労等につきまして、すべて支援、それから相談をするということとともに、そこが年一回各事業場からきちっと報告を受け、また巡回して指導もする、こういうことにしておりますので、第一義的には、国際厚生事業団が今先生がおっしゃったようなことについてきちんとやられているかどうかを把握するということにいたしております。
さらに、労働基準法違反その他という問題が生ずれば、これは権限がある機関がそれぞれきちんと対応する、こういうことにしていきたいというふうに考えております。
○山井委員 年一回報告書を出してもらう、あるいは巡回するということで、本当にこれ、チェックできるんでしょうか。
きょうの資料の最後のページにも入れましたが、例えば、「外国人研修見直し 劣悪な環境、失跡が問題化」という共同通信の記事もあります。これによると、二〇〇一年から五年間で八千三百人の研修生、実習生が失踪し、行方が不明になっているというようなこともあるわけなんですね。やはり、これは本当に、今おっしゃった国際厚生事業団で年一回のチェックでいけるのかというのが、私は非常に心配に思っております。
このことは後ほど触れたいと思いますが、これはぜひ、こういうことを受け入れるとともに、やはり看護師あるいは介護職員の労働条件がよくなるような取り組みと並行してやらないと、これは問題があると思うんです。
そこで、まず看護師の方についてお伺いしたいと思いますが、ちょっと資料を見ていただきますと、資料の表紙に、病院に就職した新人看護職員の離職率は九・三%と。ここにパネルもつくってまいりました。今、看護師不足が非常に深刻です。私も先日、二日間、ある病院で看護師さんと一緒に回らせてもらいました。夜中の三時、四時、夜勤のときにナースステーションで話を聞いていると、私、実はもう二年前からこの病院をやめたいと言っているんだけれどもやめさせてもらえないの、やめたらもう次の人が来ないのということをおっしゃっておられまして、看護師不足、本当に深刻になっているんですね。
その一つのポイントは、新しい人を入れることも大切なんですけれども、せっかく養成した人がどんどんやめていったら、これは本当にもったいない話なんですね。それで、これ、九・三%、十一人に一人は一年以内に離職してしまっているんです。麻生大臣の御親戚は麻生医療福祉専門学校というのも地元で経営されていると聞いておりますが、看護師学校養成所百四十校分に相当する人が一年間でやめてしまっているんですね。では、なぜなのかということです。
それを見てみますと、「新卒看護職員の職場定着を困難にしている要因」というこの資料を見てみますと、トップが、「看護基礎教育終了時点の能力と看護現場で求められる能力のギャップ」、これが病院調査でも七六%、学校調査でも八〇%でトップなんですね。今、医療事故の問題とか非常に深刻になっています。いろいろ、ヒヤリ・ハット事例、そういうものを自分自身経験してしまった新人看護師は、もう怖くなってやっていく自信がなくなるというケースが非常に多いわけです。
それで、厚生労働省にお伺いしたいんですが、幾つかに分けてちょっと細切れに質問しますが、まず、現時点で日本は三年制ですよね、白石審議官。この今の三年制の看護基礎教育、それで非常にこういうふうに、これでは不安で離職率も上がっているという現実もあるんですが、この三年制で、今のカリキュラムで十分だというふうに厚生労働省、考えておられますか。
○白石政府参考人 委員御指摘のとおり、看護職員の労働実態、いろいろ調査で把握しておりますと、離職率、今新人の御指摘がございましたけれども、全体の職員でも大体一一%ぐらいという実態でございまして、特に夜勤の回数等々は、いろいろな看護の基準等もございますので、着実に改善はしておりますけれども、今御指摘がありましたように、医療技術の進歩、あるいは患者の高齢化等による重症化、そういったこともありまして、看護職員の役割は非常に複雑多岐になっている。しかも、いろいろな安全の話もございました。そういうことから考えれば、全般的に業務密度が高まっているというふうに私どもも考えております。
そうしますと、それに対応するためにということで、いろいろなレベルでの研修あるいは資質向上ということ、あるいは職場環境の改善という観点で例えば院内保育所とか、そういうふうなこと等々もあるわけでございますけれども、その中で、特に御指摘になりました新人の場合のことを考えると、看護基礎教育の御指摘がございましたけれども、そこの部分につきましては、御指摘のように、養成所の修了時点の能力と現場で求められるレベルというものの間には乖離がある、必要な能力が必ずしも身についていないのではないか、特に実習がなかなか思うほど行われていないんじゃないかというふうなことが、いろいろ指摘がございました。
それを受けまして、本年の三月から、看護基礎教育を充実すべきだという観点からの検討会を組織いたしまして、今も議論が行われているという事態でございます。今後とも看護基礎教育の充実が大変重要だという観点で、現在、見直しの議論が進められているということでございます。
○山井委員 麻生大臣、申しわけございません、それで一つお伺いしたいんですが、今答弁があったように、今、日本は看護基礎教育は三年なんです。フィリピン、今回受け入れるわけですけれども、フィリピンは何年か。麻生大臣にお伺いしておりますが、麻生大臣、いかがですか。フィリピンの看護基礎教育、何年か。
○麻生国務大臣 他国のことまでよく知りませんけれども、たしか看護大学、四年じゃなかったですかね。
○山井委員 そうなんですよ。日本は三年なんです。ところが、今回受け入れる、来てくださるフィリピンの方は四年なんですね。今白石審議官から話がございましたが、日本では実習が少ないのが問題になっている。例えば、フィリピンでは四年で、看護師の基礎教育、実習時間が二千百四十二時間。それで日本は半分以下の千三十五時間、そういう統計もあるんですね。
この件について、私、先日、厚生労働委員会で取り上げまして、この基礎教育を三年から四年にする必要があるのではないかということを質問しましたら、川崎大臣からは、その方向性で検討しなきゃいかぬと考えていますという答弁をいただいておるんですが、三年制を四年制に向けて基礎教育延長を検討するということについて、厚生労働省、いかがでしょうか。
○白石政府参考人 議員御指摘のように、看護基礎教育の充実が重要だということで、先ほど申し上げましたように、看護基礎教育の充実に関する検討会を開催して検討してございますが、その中におきましては、この問題も当然視野に入っている、そのことも議論の俎上に上っているという状況でございます。
○山井委員 確認ですが、そうしたら、四年制に延長するということも視野に入れて検討しているということでいいですか。
○白石政府参考人 そのようなことも排除せずに議論が行われているのを見守っているところでございます。
○山井委員 ぜひこのことは、繰り返しになりますが、やはり人手不足の根本的な解消、労働条件をよくしていく、またこういう新人看護師さんが離職しないようにする、そういうこととセットにしないと、やはり何か安上がりの労働力を入れて、日本は看護師人手不足、介護職員人手不足の問題を解消するんじゃないかということを思われたら、若い日本の看護師あるいは介護職員志望者が減っていってしまうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、千人が入ってくるわけですが、この千人、その就労状況、ちゃんと就労しているのか。残念ながら、外国人の研修生、実習生では、女性の方がセクハラに遭ったり、あるいは寮に閉じ込められて逃げようにも逃げられなかったとか、そういうこととかも問題になっているわけで、これはチェック体制が非常に重要だと思っております。
それで、まずお聞きしたいんですが、千人が行かれた施設、病院は、どこの施設、病院に行かれたかというのは、当然これは公表されるんですね。
○岡崎政府参考人 個々の受け入れ施設については個別の問題でございますので、その受け入れ施設自体を個別に公表するということは、現在のところ考えておりません。
○山井委員 それはちょっとおかしいんじゃないですか。千人も入ってきて、どこにいるかは公表しない。私たち国会議員が、どういう仕事ぶりをされているか一回見に行きたい、訪問して激励したいと思っても、教えてもらえないんですか、それは。
○岡崎政府参考人 就業状況については国際厚生事業団が責任を持って対応いたしますが、個々の受け入れ施設との関係において国会その他から要請があった場合には、必要に応じて私どもとしても対応するということは考えてまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 でも、必要に応じてじゃないでしょう。隠すものですか、こういうのは。まさに国際交流をやっていくんでしょう。隠すのはおかしいんじゃないですか。そうしたら、これは、来年か再来年の四月かからもしかして入ってきて、どこに入ったかもわからないわけですね。それで二年間終わってしまうわけですね。それは問題じゃないですか。このこと、ぜひちょっと後でまたこれは詰めないと、こんなこともオープンにしないというやり方は私は大問題だと思いますよ。もし何か問題が起こったときにチェックしようがないじゃないですか。
それで、そのチェックが国際厚生事業団で、これが年に一遍、巡回とか報告書なんですけれども、それで本当にチェックできるんですか。国際厚生事業団というのは、人数、何人ですか。
○岡崎政府参考人 国際厚生事業団、現在の職員は十六人というふうに理解しておりますが、これは、今その業務をしていない現在の状況の人数でございます。当然のことながら、この業務をするに必要な人員については国際厚生事業団の方で手当てをして、必要な体制を組んでいくというふうになると承知しております。
○山井委員 いや、それを何人にするのかとか、きっちりこれは審議の中で言ってもらわないと、十六人で千人の人をチェックする。ただでさえ、今までこういうのが、サービス残業とか、あるいはうまくなじめなくて、それこそいじめられてしまう人ももしかしたら出てくるかもしれない。あるいは、私も特養で一日六十人のおむつ交換とか入浴介助五十人とかやりましたけれども、これは本当に腰痛になりますよ。腰とか痛める方もめちゃくちゃ多いんですよね。
そういう意味で、これは、ある意味で大切な、来られたフィリピンの方がきっちり就労できているのかというのを、千人をチェックするというのは非常に重要なことですよ、支援も含めて。それを十六人で、まだ何人にふやすかわからない。
それで、年に何回行くんですか、現場に。
○岡崎政府参考人 チェックにつきましては、受け入れ施設からの書面による報告と、それから国際厚生事業団から少なくとも年一回は行く。ただ、これは通常のペースで行くということでありますが、フィリピン人の就労している方からいろいろな苦情、相談があった場合には、当然のことながら必要な回数随時対応していく、こういうことを考えているところであります。
○山井委員 それは、年一回訪問して、二年間で二回かわかりませんけれども、それでどういう状況になっているのか、これはきっちり把握できないですよ。今まで、五年間で、ほかの外国人研修、実習生、八千三百人も失踪しているわけでしょう。あるいは、これは本当に体を壊される方も多いですよ。
そういうきっちりとしたサポート体制をつくらないと、私も現場によく行きますが、今でも、サービス残業で、夜勤が八時に明けても十二時ぐらいまで残っている介護職員というのは多いわけですよ。そういうことも原因で、三十歳になったらもう仕事を続けられない、子供を産んだら仕事を続けられないということで、多くの介護職員が、よりお年寄りを大切にしたいと思っても、バーンアウトして倒れていっているという現状があるわけですよね。そういうある意味で過酷なところに、言葉も不十分なフィリピンの方に来てもらいながら、年に一遍の巡回、それではきっちりとこれはチェックできないんじゃないんですか。
そうしたら、二年後にこれは千人の枠を見直すことになっているわけなんですが、どのような項目で、労働条件が悪化していないかとかうまくいっているかとか、そういうことをいかにしてチェックするんですか。どういう体制ですか。
○岡崎政府参考人 二年間千人という枠は現在通知しているところでありますが、その後については、それまでの間の受け入れ状況等を勘案して判断していく、こういうことにしております。当然のことながら、問題が生じていないかどうか、それから、労働条件その他に問題が生じていないかどうか、そういったことも考慮しながら考えていくことになるというふうに考えております。
○山井委員 それは、十六人なり、ちょっとふやしても、それで千人がきっちり就労できているかとか、そんなことをチェックできるはずないじゃないですか。それは無理ですよ。だから、やはりそういう体制を整えてこういう法案を出してもらわないと、それは困りますよ。
ただでさえ今、労働市場の規制緩和で、偽装請負だとか社会保険の加入漏れとか、日本の国内の人でも非常に深刻なんです、問題。それを、自分の権利も主張できない、そういう日本語もたどたどしい女性が例えば一人でぽんと来て、セクハラにでも遭ったり、体を壊したときにどうするのか。やはり、そういう体制をちゃんと答弁できないと、こういう法案も通せないですよ、これは。
次に、そのことに関連して、では二年後、例えば二年間は千人ですけれども、その後、二千人にするか五千人にするか、あるいは五百人に減らすかということに関しては、そのときは、きっちり当然この報告をして国会審議をして、労働条件の悪化につながってないかとか、そういうことを検証して、これはきっちりチェックしないとだめだと思うんですが、二年終わって、その後の受け入れ枠の数を決めるときに、国会審議というのは当然してもらえるんでしょうね。
○麻生国務大臣 今、四百人プラス六百人、合計千人ということで、とりあえず今回の場合千人、二年間ということでスタートをするということであって、まずは円滑なスタートをさせるということが大問題だと。最初のとき、とにかく、山井先生、これまでずっとこれは議論してきたところで、この話はもう長いんですよ、十年以上やってきている話ですから。
そういった意味では、この話を千人でスタートさせるということでありまして、それがどういう結果になるかというのに関しましては、今御指摘にありました質問のところも出てくるでしょうし、うまくいくところもあるでしょうし、これは実にいろいろ差が出てくると思いますね、私どもの感じでも。うまくいっているところのようにしてもらえばいいわけなんであって、そういったところにつきましては、この人数枠を今後どうするかについて、今の段階で全く何にも決まっておりません。
フィリピン政府からも、取り急ぎ千人だけれども次は二千人ですよなんという要望も向こうからは正式に出てきているわけではございません。
○山井委員 それで、麻生大臣、お聞きしているのは、その次の人数を決めるときには国会審議をしてもらえるんですねということです。
○麻生国務大臣 今の段階でその件について特に詰めたわけではありませんけれども、まずはスタートしてみた結果どうなるかというところを見ているだけであって、次の場合のときに、千人を二千人にふやすときに、法律にするのかとか、法案にしてまた出すのかとか、国会審議をするのかを含めて、今の段階で詰めているわけではございません。
○山井委員 やはりそれでは非常に心配なんですね。
その二年後、労働条件が悪化しているか、あるいは賃金の低下を招いていないかとか、いろいろなさまざまな問題が出てきて、もしかしたらフィリピンは、では次は五千人だ、一万人だと言ってくるかもしれないし、もしかしたら現場の職員じゃなくて経営者の方々は、こういう安い労働力が入ってきてくれるんだったら、うちも入れてくれ、うちも入れてくれ、同じ賃金でももう人が集まらないからうちも入れてくれというふうになる可能性があるんですね。
やはりそこは国会に検証結果を報告して審議をするということを言ってもらわないと、一回これを決めたら、二年後、もしかしたら一万人になるかもわかりません、そのときは野党はもう議論に加われませんよということでは到底納得ができない。いかがですか。
○麻生国務大臣 転ばぬ先のつえという話はよくあるので、多分そのおつもりなんだろうとは解釈しておりますけれども。受け入れの人数の枠について等々は、これは今まさに始まるばっかりですから、今の段階から、二年後の先はどうなるということを今は申し上げられるわけではありません。
ただ、基本的には円滑にスタートさせることが大事なんだと思っておりますので、この問題に関しましては、この二年間の実績等々を踏まえて、国民の間にどのような反応が出てくるか、どういった意見が出てくるか、もっと受け入れろという意見が出るのか、それとも、いや、とてもいけないというのが出てくるか、これまた病院によって、人によって違うということも確かだろうと思いますが、そういったところを踏まえて研究をしていかねばならぬところだと思っております。
○山井委員 いや、それでは到底納得ができませんので、ぜひ、委員長、これは理事会でこのことは議論をまたしていただきたいと思っております。二年後、結果がきっちり報告されて、私たちもきっちりそれを議論できるという担保がないと、これはそんなフリーハンドを与えるということは私は極めて問題だと思っております。
これは先ほどの答弁にもありましたけれども、では、うまくいっているのかチェックしたいと思って私がその現場を一回見させてくださいと言っても、これは教えてくれないわけでしょう。だから、チェックしようがないじゃないですか。それで厚生事業団がたった十六人しかいなくて、うまくいっていますという報告書が出たら、それはマスコミも、多分、公表されないんだから行けないし、ブラックボックスじゃないですか、そんなの。このことはちょっと今後も議論していきたいと思います。
それで、もう一つ大きな問題点は、きょうもパネルにつくりましたし、資料の二ページ目にも入れておりますが、今回三つのスキームがあって、一つ心配なのは、先ほど丸谷先生も質問されたかと思いますが、養成校コースは、このコースが唯一、養成学校に行けば試験なしで介護福祉士を取れるわけなんですよ。ところが、恐らく来年の通常国会には、この介護福祉士法が改正で、すべての日本人は試験を通らないと介護福祉士になれないという法案が出てくると予想されているんです。
そこで、お伺いしたいと思います。
その法案が可決された暁には、すべての日本人は試験を通らないと介護福祉士になれないということになります。そしたらその時点では、当然、この今回のEPAにおいても、フィリピンの方も日本人と同様に試験を受けてないと介護福祉士になれないということでよろしいですか。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
介護福祉士制度については先ほど来議論に出ておりますので省略させていただきまして、本年七月、私どもの方の介護福祉士制度の見直し検討会につきまして、今、山井委員から御指摘ございましたように、すべての者について一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験するという方向で一元化を図ることが適切ではないか、こういう報告書がまとめられたところでございます。
その上で、現在、社会保障審議会の福祉部会で九月よりこの議論を行っておりまして、成案が得られましたら、来年の通常国会の方に所要の法案を提出することといたしたいと考えております。
一方、それで、もし、この法案が提出されまして、仮にすべての者に国家試験を課すこととされた場合でも、現在養成ルートにいる人たちのこともございますので、施行されるまでには数年の準備期間が必要であるというふうに考えており、現行制度がその法案が通った暁に直ちに実施されなくなるというものではございません。
けれども、今回の日比経済連携協定に基づくこの介護福祉士候補者の受け入れに係るスキームは現行の資格取得体系を前提としたものでございますので、我が国の介護福祉士資格取得方法の見直しが行われた場合には、協定との関係で問題が生じないように、関係省庁とも緊密に協議してまいりたいというふうに考えております。
○山井委員 明確に答弁してください。
その法案が通れば、日本人はすべて、介護福祉士は試験が必要になってくるんです。そのときには、当然日本人と同じように介護福祉士の試験をフィリピン人も受けることになるんですね。裏返せば、日本人は全員試験を受けないとだめなのに、フィリピン人は試験を受けなくても自動的に介護福祉士になれる、そんなことはおかしいと思います。明確に答弁をお願いします。
○中村政府参考人 具体的なことにつきましては、私どももまだ法案提出について審議会で議論をしているところでございますので、法案審議の際に御審議いただきたいと思いますが、私どもは、基本的な考え方は、あくまでも現行制度に基づいてこの協定がつくられているということですので、現行制度が変わった場合には、その変わった制度に基づいて基本的には考えていく。私どもは、今度の場合でも、日本とフィリピンの方、同等のものとしてお願いしているものでございますので、当然そういう前提で私どもは考えてまいりたい。しかし、これは外交の問題もございますので、そういった意味で、関係省庁とよく協議はさせていただきますが、あくまでも私どもの基本は、今回も同じように、国内と入ってこられる方は同等ということを基本に考えております。
○山井委員 もう時間がなくなりましたので、最後に一言で終わりますが、今おっしゃったように、フィリピンでも一番関心が高いのは、試験はハードルが高いからこれは無理だな、やはりねらい目は、養成校に行ったら自動的に免許がもらえる、ここだなということになっているわけですよ。
だからここは、中村局長は今微妙な発言で、厚労省としてはそう思うけれども、外務省とまた協議をしたいということですが、これは法案審議をしているんですからね、法案審議中にそこはぴしっと結論を出さないと、これが、フィリピン人が日本人と違って、試験を受けなくても資格を取れるんだという今回の議論なのか、それは違うんだ、日本と同じようにしっかりと資格を取らないとだめなんだということになれば、今回の審議の中身、違いますから、来週水曜日も質疑をしますので、それは早急に結論を出して、次のときには答弁をしていただきたいと思います。
以上で質問を終わります。ありがとうございます。