活動報告

Activities

山井の活動

『高プロ導入も撤回を求める。高橋まつりさんの母』(1日、朝日新聞)
高橋まつりさんの母幸美さんも『働き方改革法案は、過労死防止と矛盾する。絶対に許すことができない』
NHK記者の佐戸未和さんを過労死で亡くした母恵美子さんも『制度の拡大で長時間労働が野放しになり、ずさんな労務管理の言い訳になるだけだ』。

『裁量労働制の拡大を削除したのに、なぜ、最も過労死や長時間労働の原因となる高度プロフェッショナル(残業代ゼロ法案)を削除しないのか?』

TBS報道 >> 3月1日

<東京過労死を考える家族の会の代表 中原のり子さんのメッセージ>

家族の会のみなさんの願いはただひとつです。
自分たちのような思いを誰にもさせないために過労死過労自死のない社会にしてください。
働く者の命よりも労働生産性の方が大事ですか?
命よりも大事な仕事って何ですか?

この度の裁量労働取り下げについて、裁量労働の時間外労働が一般労働の時間外労働より長いことは社会一般常識と家族会の被災者の様子を見れば 一目瞭然です。
裁量労働の被災者は、会社の時間管理もなく労災認定も困難で、命や健康を害して被災しても社会的支援がありません。
不誠実なデータの下、働き方改革を検討することは難しい状況にあると断言します。

しかし、高度プロフェッショナル労働制(以下、高プロ)や過労死ラインを超えた上限時間が残される事については大きな懸念が残ったままです。
「働き方改革」の関連法案は、裁量労働制の切り離しですむものではなく、高プロも上限設定も白紙撤回すべきです。
労働実態の再調査は、裁量労働制だけでなく高プロや上限設定のためにも欠かせないと強く思います。
信頼できる調査なしには法案審議はできない筈です。
過労死防止のためには、過労死等防止対策推進法の見直しとこれまでの調査研究を踏まえた大綱の改正が先決です。

亡夫(小児科医師・中原利郎)は、1999年に勤務先から長時間労働・過重労働が原因で鬱病発症して勤務先の屋上から投身自殺しました。
医師は高プロの対象業務として想定していないと言っても、その働き方はまさしく残業代無し・勤務時間無制限の「高プロ」先取りの勤務体系でした。
亡くなる前に「馬車馬のように働かされている」「病院に搾取されている」「病院に殺される」とつぶやいていました。
「小児科医は天職」と自負する夫が「小児科医師なんて誰からも感謝されないくだらない職業だ」と言い残し、社会に絶望して亡くなりました。
上限規制がなく、超長時間労働によって高度のプロの仕事が果たせるのでしょうか?
健康確保措置は効くのでしょうか。
医師の面談といっても、医師の働き方そのものが過労死ライン越えての超過重労働です。
小児科医師だった夫の健康確保してくださる手立てはありませんでした。

高プロでは、人は過労死します。

残業代ゼロ、高プロが人の命を奪うことを誰より痛切に感じているのが、私であり、過労死家族会の仲間です。
みんな大なり小なり高プロのような残業の歯止めがない働かされ方で過労死したのです。
高プロは「スーパー裁量労働」つまり残業代ゼロの最たるもので 、こんな働き方を政府は許容するべきではないと思います。

裁量労働性だけ削除して、本丸である高プロを削除しないのは矛盾している・絶対に認められません。
亡夫と私たち家族は、既に高プロの被害者なのです。
上限時間に於いても、亡夫の裁判所で認定された時間外労働は83時間でした(医師の当直は労働時間に含まれていません)
過労死家族会では100時間満たないで過労死している遺族が複数います。
100時間という数字が独り歩きしないか不安です。
「100時間未満」の時間外労働を容認することは、時間短縮に真面目に取り組もうとしている企業の努力に水を浴びせるものです。「過労死ライン=80時間」より長い上限設定は、過労死を助長するものです。
除外業種・職種が広範囲に存在するのも大きな問題です。
「建設・運輸・医師・研究開発」「教師」においても、とりわけ長時間労働による過労死が問題になっています。

先週面会した加藤厚労大臣にも裁量労働性と高プロのセット削除を強く求めましたが、私たち遺族の心からの叫びに納得するお返事は頂けませんでした。
また安倍総理は、電通遺族・高橋幸美さんと面談され、政府が取り組んでいる長時間労働の是正策に関し高橋さんは「ぜひ実効性のあるものにしてほしい」と要望を伝え、首相は「なんとしてでもやりますよ」と応じ、施政方針演説でも、まつりさんの自殺に言及し「二度と悲劇を繰り返さないとの強い決意で、長時間労働の是正に取り組む」と述べています。
しかしながら、2/28の院内集会で、高橋幸美さんは「過労死防止と矛盾する裁量労働制だけでなく高プロの撤回を強く求めます。過労死を増やす法律、人の命を奪う法律はやめて下さい。過労死を無くし、人の命を守る法律を作って下さい。」と発言されました。高橋さんとの約束は守って欲しかったです。

高プロは年収要件があり、高所得者が対象と言われますが、それは最初だけです。
実際、塩崎前厚労大臣は『小さく産んで大きく育てる』と発言されていますし、以前経団連は、ホワイトカラーエグゼンプション残業代ゼロでは、年収400万円以上が望ましいと発言されたこともあります。

高プロが万一、今回導入されたら、あっという間に年収要件が引き下げられるのは明らかです。
また、もし仮に年収要件が維持されたとしても、高収入であれば過労死ラインを越えて働かせることができる理由には決してなりません。
高収入であれば過労死しても構わないはずがありません。

働き方改革という名のもとに、人の命を奪う、過労死を増やす法律を強行するのは絶対にやめて頂きたいです。

私たち遺族は、三十年も前から「過労死防止」の声をあげ続けています。
どれほど犠牲者がでたら、政府は解ってくれるのでしょうか?
一日の上限時間・インターバル規制・健康確保措置全てが整っていない(究極の労働時間撤廃制度)を社会に送り出すことは止めて戴きたいです。
長時間労働は、過労事故死・業務上のミス(重大な医療事故)・過労死・過労自殺を生み出す最悪の働き方です。
労働者が生産性向上を目的に、活き活きと働き続けられる真の働き方改革の在り方を、更に検討して頂きたく存じます。
労働者が想像力を発揮し、生産的でいられるのは一日平均6時間以下の場合であるという研究結果もあります。
(出典・UTOP FOR REALISTS,著者 ルトガー・プレグマン『奴隷なき道』文芸春秋 2017年5月 翻訳 野中香方子)過労死弁護団幹事長の川人博先生の情報提供です。


国会内のお蕎麦屋さんで、ピリ辛肉そばを食べました。
美味です。