2025.12.22
『木津川ダルク』薬物依存から
『木津川ダルク』を、訪問しました。
〜薬物依存から回復を目指すリハビリ施設〜
アルコール依存症、ギャンブル依存症と共に、社会問題になっているのが、薬物依存症です。
残念な事実ですが、京都南部でも、薬物依存症の若年化が進んでいます。
10代で大麻を吸って、依存症になる若者が少なくありません。
そのような若者を含め、困難を抱える若者の自立支援をされている保護司の仁木貴富さんの案内で、初めて、『木津川ダルク』を訪問しました。
この民家の生活訓練事業所に10数人が住み、薬物依存からの回復リハビリを受けています。
ダルクは「ドラッグアディクション・リハビリテーションセンター(Drug Addiction Rehabilitation Center)」の頭文字を取った名称です。
薬物依存からの回復を目指すリハビリ施設で、全国に関連施設が約80か所あります。
私も、2014年に、議員立法『危険ドラック禁止法』を、全党賛成で成立させた、中心議員の1人であり、厚労省や警察庁と協力し、違法薬物の取り締まりに取り組んでいます。
『危険ドラック禁止法』の成立により、一時期、社会問題になった危険ドラックによる被害を、激減させることができました。
『木津川ダルク』の加藤武士代表から、訓練施設の説明を受け、『薬物依存症対策基本法』の制定の要望をお聞きしました。
残念ながら、インターネットなどを通じて、違法薬物が入手可能であり、若者が、薬物依存症になる事例が、京都南部でもあります。
このリハビリは、障害福祉サービスとして行われ、薬物依存症から自立回復するリハビリの訓練事業所である『木津川ダルク』の取り組みは、非常に重要です。
アルコール依存症、ギャンブル依存症と共に、薬物依存症は、家庭を壊しかねない、人生が壊れかねない深刻な問題です。
その重たい、切実な問題に、取り組んでおられる加藤武士代表や、保護司の仁木貴富さんには、頭が下がります。
私も、厚労省や内閣府と連携し、薬物依存症の回復リハビリの支援に取り組みたいと思います。


『高市首相の30年前の著書に、山井さんが、福祉の専門家として登場してますよ!』
『覚えてますか?』 と、知り合いから聞かれました。
『本当ですか?全く記憶にありません』 と、答えましたが、気になるので、国会図書館で、取り寄せて調べてみました。
本のタイトルは、『高市早苗の永田町ぶっとび日記』。
1995年に出版。
『安心感の老後』を夢見る。という見出しの中で、福祉の専門家として、私のコメントが、紹介されていました。
『30年前に、私は、こんなことを言っていたのか?』と、
懐かしかったです。
この投稿のラストに全文を載せます。
当時、高市首相は、松下政経塾5期生。私は7期生で、2期下です。
また、政経塾1期生の野田佳彦議員の千葉県会議員選挙の応援を、2か月間、千葉に住み込んで、高市さんと私は一緒に、駅立ち、チラシ配り、ポスター貼りをやりました。
松下幸之助塾長の『現地現場主義』つまり、『現地現場で学びなさい!』の方針のもと、高市さんは、政経塾では、国際政治や外交を主に研究し、2年間、アメリカ議会で働いた後、1995年には、衆議院議員でした。
私は、5年間の政経塾での研修の後半は、数ヶ月、日本の老人ホームや老人病院で、食事介助、入浴介助、オムツ交換、話し相手、散歩同行などの実習をしたのち、スウェーデン、デンマーク、アメリカ、イギリスに2年半、留学し、世界の高齢者福祉や社会保障を研究し、1995年には、奈良女子大の専任講師として、社会保障政策を教えていました。
話は戻りますが、この本では、私は、スウェーデンやデンマークの充実した高齢者福祉について、『高福祉高負担』とコメントしています。
この本から30年が経ち、先日、12月10日に、高市首相に、国会質問し、医療・介護・障がいの充実を求めました。
もちろん、政党は違い、政策も違う面が多々ありますが、物価高対策や社会保障の充実については、高市首相を後押しし、間違った政策については、厳しくブレーキをかけたいと思います。
以下の引用の後半に、私のコメントが2回、出てきます。
『高市早苗の永田町ぶっとび日記』(サンドケー出版局、1995年出版、223-224ページ)
『安心感の老後』を夢見る
一九九四年の「敬老の日」は、デンマークで迎える羽目になった。衆議院議長派遣で、IPU(列国議員同盟)の国際会議に会派「改新」を代表して出席することになったからだ。
前年、先輩議員から「敬老の日の正しい過ごし方」なるものを教授されたことを思い出す。
「選挙区内の老人ホームすべてに祝電を送ること。後援会の高齢者にも祝電を送ること。秘書や家族と手分けして、朝から晩までかけて回れる限りの老人ホームを慰問し、ゲートボール大会に顔を出すこと」
どうも私はその手のことが苦手だ。普段の時間の空いたときに、高齢者施設をぶらっと訪ねてみることはあるけれど、それはむしろ国政の状況を報告したり、人生の大先輩たちと議論しながら歴史的な政治課題の考え方についてアドバイスをもらったり、必要な福祉施策を知るために入居者や職員と話をすることが目的である。
私は共働き家庭で祖父に育てられた「おじいちゃんっ子」なので、おじいちゃんやおばあちゃんと過ごすひとときを楽しみに出掛けているようなもので、とても「慰問」などと呼べる活動はしたことがないのだ。
先輩議員にアドバイスはもらったものの、結局九三年は何もしなかった。九四年も日本を離れる前に祝電を打つわけでもなく、秘書に代理慰問を頼むわけでもなし。敬老の日だからといっていきなり駆けつけるのも、政治家の場合は「物欲しげ(票欲しげ)」に見えるんじゃないかしら…職員の人たちがもっとも忙しい日によけいに忙しい目をさせるんではないかしら…なーんて変な気をまわしたりもして、多分これからもこの日は特に老人ホームを避ける私なんだろうと思う。
その埋め合わせに、というわけでもないが「希望と安心に満ちた高齢化社会」を創るための政策作りには凝っているところだ。
デンマークで迎えた敬老の日には、会議の休み時間を利用して、老人ホームの視察に出掛けた。福祉政策作りのヒントが一つでも欲しかったし、向こうでは九月十五日は敬老の日ではないので、私でも照れずに足を向けることができたのだ。
首都コペンハーゲンで「平均的な」老人ホームだという施設を訪ねて驚き!
ホームは都心でももっとも眺めの素晴らしいウォーター・フロントの一等地にあった。すべての部屋から美しい川辺を見下ろせるように大きなガラスの出窓がある。
「長く社会に貢献した人たちが一番良い場所に住む権利を持つのは当たり前だわ」と園長さん。
全室個室。部屋の間取りは、リビング、ベッド・ルーム、キッチン、バスで一人用。東京なら家賃二五万円以上の部屋である。
キッチンは冷蔵庫やオーブンがあって、流し台や調理台は車椅子でも使えるよう、高さの調整ができる。トイレは車椅子の人が一人で使いやすいよう、リフトつきだった。
「できることはすべて自分でやっていただくことで、残っている能力を維持することが介護の基本方針です。だから、この国では寝たきり老人はほとんどいません」とのこと。
各部屋は個性溢れるコーディネイトだ。絨毯も家具も絵画も、長年自宅で使い慣れたものを持ち込むことになっている。園長さんによると「環境を急激に変えるとボケることがあるからです。介護の都合上、ベッドだけは規定のものですがね」。
ホームの中に、食料品店、書店、図書館、カフェテリアもあって、なかなか便利だが、外出して買物をする人が多いらしい。入居者と色々お喋りをしたが、皆さん実に陽気だ。
ちなみに家賃は年金の一五%という安さでまたビックリ。デンマークの失業率は一二%、最高所得税率は六五%、お買い物時の付加価値税は二五%という絶望的な数字が並ぶのだが、ECの調査によると、国民の九七%が「今の生活に満足している」と答えるのだから不思議な国である。だって九七%といえば失業者まで満足しちゃってるわけなんだから。
おまけに、GNPの一%ものODA予算(日本の三倍の比率)、PKOは国民の圧倒的支持を得て積極参加という国際貢献国。
この不思議な数字に対して、松下政経塾の後輩である山井和則君が解説をしてくれた。彼は福祉研究のためにスウェーデンに長く滞在し、現場の福祉施設で働きながら何冊もの著書を出版している、北欧型福祉の専門家である。現在は奈良女子大学で講師をしている。
彼によると、デンマークには専業主婦は存在せず、事情があって家に居る女性もすべて失業率にカウントされるとのこと。よってデンマークの基準にあてはめて日本の失業率を計算すると二〇%になるので、デンマークでの失業率一二%をもって経済がガタガタとは言えないのだそうだ。
「むしろ女性の社会参加を妨げ、それによって失業率を下げる日本のやり方にこそ問題がある」と山井君は手厳しい。
また、北欧人は高い税金と恵まれた福祉で勤労意欲がないと言われるが、これもまた間違っているらしい。女性の社会進出度を見ると、女性の勤労意欲は日本よりはるかに高いし、労働環境が整備されているから男女ともに残業をしないのだという。また、消費税二五%についても、ヨーロッパは「直接税よりも間接税中心」だから、一五%以上の国が多いとのこと。
「税金は高いけれど、大学まですべて無料の北欧と、税金は安いけれど、大学まで一人出すのに一千万円以上自己負担のかかる日本とでは、どちらが公私合わせた負担が安いかわかりません」と山井君はまとめてくれた。
食べ物はやたら塩辛いし、水道の水は飲めないし、九月だというのに暗くて寒いし「日本人で良かった」なんて思っていた私だが、堅実で元気で気の良い北欧の人たちに接しているうちに、幸せの基準って違うんだろうなあって思えてきた。とにかくお年寄りの幸せそうな笑顔には「完敗」だ。
「安心感」に満ちた老後をイメージできる国にこの日本を創り直していきたい。福祉施設建設、道路や駐車場整備、人材育成、年金制度の充実、新しい「福祉文化」創り …… と課題は盛り沢山だけど、政治家としての人生を賭けて取り組める仕事だと思っている。

