166-衆-厚生労働委員会-7号 平成19年03月23日
○山井委員 民主党の山井和則です。
これから四十分間、国民年金法等の一部を改正する法案の審議、それと、きょうは午後二時に東京地裁の肝炎判決が予定をされております、そのことについても質問をさせていただきたいと思っております。
それでは、まずこの法案についてでありますが、今資料をお配りしておりますので、お目通しをいただければと思います。詳しくは後ほど園田議員から質問があるかと思いますので、私からは、概略についてちょっとだけお伺いをしたいと思っております。この国庫負担の引き上げということに関して、まず大臣にお伺いをしたいと思っております。
私たち民主党は、年金の抜本改革、一元化というものを目指しております。そしてまた、今までこのような引き上げの財源に定率減税の廃止などが使われたことに関して、私たちは大きく遺憾の意を感じております。
そこで、今後のことについてお伺いしたいんですが、特定年度において国庫負担を二分の一にするために必要な財源の見込み、今後の見込み、柳澤大臣、どのように考えておられますでしょうか、まずお伺いします。
○柳澤国務大臣 私ども政府・与党におきましては、基礎年金の国庫負担を平成二十一年度に二分の一に三分の一から引き上げるということを国民年金法等の一部改正法の附則でもって定めているわけでございます。したがいまして、これはある意味で、法律で定められた、我々政府・与党の負うている義務というふうに心得ておりまして、そのために一体どういうふうにするか、そのための財源を一体どのように調達するかということが非常に大きな課題であります。この課題に対して、与党の方の税制改正大綱等では累次にわたりまして言及をいたしておりまして、それは十九年度をめどとして税制の抜本的な改革を行う、そのことの中で基礎年金の国庫負担の増額に対する財源的な手当てを行う、こういうことを表明いたしている次第でございます。
私は、ですから、与党側の税制大綱にたびたびうたわれた措置が滞りなく円滑に実現されることを期待いたしている次第でございます。
○山井委員 何かあいまいもことして、理解ができない答弁であります。
園田議員からも後ほど質問させていただきますが、もう一点、このことに関連して、平成十九年度をめどに特定年度を定めることになっているが、いつ、どのように、だれがこれを決めていくことになるんでしょうか、お答えください。
○石田副大臣 基礎年金の国庫負担割合の引き上げにつきましては、平成十六年の改正におきまして、平成十九年度を目途に、所要の安定した財源を確保する税制の抜本的な改革を行った上で、平成二十一年度までに二分の一に引き上げる、御指摘の二分の一に引き上げる特定年度につきましては、別に法律で定める、こういうことになっておりますので、税制の抜本的な改革に係る動向を踏まえつつ、二十一年度までに引き上げを実施できるよう所要の法案を提出し、最終的には立法府の判断を仰ぐ、こういうことになると思います。
○山井委員 この財源問題については後ほどまた園田議員が質問をさせていただきますので、私からはこれまでにさせていただきますが、年金ということに関連して、柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。
先日、年金の給付見通し、出生率が下がったことに対する給付見通しというものが発表されました。あれは、要は出生率が下がったにもかかわらず、将来見通しは五〇%を上回る、逆に見通しが上がっている、そういう部分があるわけですね。やはりこういう一つのやり方を見ると、いかにも恣意的に年金の給付見込みを決めているのではないかということで、逆に年金の信頼というものを失うのではないかというふうに思っております。
このような年金の給付見通し、これは余りにも、賃金の引き上げや経済成長率、楽観的過ぎるのではないか、この点について、柳澤大臣、答弁をお願いいたします。
○柳澤国務大臣 年金につきましては、平成十六年度改正におきまして、長期的なフレームワークと申しますか、仕組みというものができ上がっていることは山井委員も御承知のとおりでございます。今度の、次の年金の財政の検証というものが法律上明記されておりますが、それは平成二十一年度において行う、こういうことになっているわけでございます。
ところが、昨年末に、実はその前年の国勢調査を受けまして、新しい将来人口推計というものを発表させていただいております。これによりますと、二〇五五年の合計特殊出生率でございますけれども、十六年度改正のころの二〇五〇年時点の合計特殊出生率に比べて、残念ながらそれが引き下げられる、一・三九から一・二六に引き下げられる、こういうことが明らかになったわけでございます。もとより、これは中位数という、人口推計上の低位の推計、高位の推計というものの中での中位の推計でございますが、そうした数字が得られました。
そこで、そういう人口推計を発表した以上、これらについてのいろいろな影響というものについても国民が早く知りたい、こういう期待があることは十分予想されることでございますので、私どもとしてもその国民の期待にこたえていく必要があるということで、正規の財政検証ではないわけですけれども、その正規の財政検証をこれから御議論いただくための、いわば議論の参考資料としていただくために暫定試算というものを公表させていただくことにいたしました。
この暫定試算というのは、年金への人口、経済の影響がどういう方式でもたらされるかということの、方式についてはもう前回の十六年度改正と全く同じ方式を踏襲するわけですが、その数字だけを新しく判明した数字によって置きかえる、こういうやや機械的な、評価を交えない機械的な推計をいたしたわけでございます。
その結果につきましては、これは何通りも発表をさせていただいているわけでございまして、大きく分けますと、経済が、あの十六年度当時よりも若干足元、それから将来見通しとも好転しているということですから、そちらのケースと、それから、いや、もう経済の変動については一切考慮しないで、人口の新しい推計の結果だけを入れかえるという場合にはこれがどうなるかというような、大別してそうしたタイプの推計を、暫定的な試算を発表させていただいたわけでございまして、これによって何か、国民の皆さんに無用な楽観論を振りまいたり、あるいは無用な悲観論を普及させたりというようなことをするつもりは一切なかったということを御理解賜りたいと思います。
○山井委員 この国民年金に関しては、御存じのように、納付率が年々、実質下がっております。反転したように見えているのは、御存じのように、免除、猶予をふやして、見かけ上の公表数値は上がっておりますけれども、実質上の、払っている方のパーセンテージは下がっているわけであります。こういう国民年金自体の崩壊をどうやって防ぐのか、このこともしっかり議論しないとだめだと思っております。
年金については、また後ほど話は戻りたいと思いますが、ちょっと話題を変えまして、先ほども申し上げました肝炎判決についてお伺いをしたいと思います。
柳澤厚生労働大臣、武見副大臣、石田副大臣、この間、この肝炎問題についてはなかなか進展はないものの、内心、非常な思いで、さまざまな、どうすれば解決できるかということに頑張ってきてくださったと私は信じております。
ただ、残念ながら、表面的に見れば、福岡で敗訴し、大阪で敗訴し、にもかかわらず国が控訴をしている。そして、まさにきょうが、二時ごろに東京地裁でC型肝炎訴訟の判決が下されるわけであります。裁判結果はどうなるかわかりませんが、私は、当然国が敗訴するものと確信をしております。
ここで大臣そして両副大臣にお伺いしたいのは、これは本当に裁判だけに任せておいていいのかということなんですね。国会議員として、政治家として、人の命を救うために、今こそ党派を超えた国会議員の決断、ひいては柳澤厚生労働大臣、武見副大臣、石田副大臣のリーダーシップが私は求められていると思っております。
少し議論を整理したいと思いますので、二枚目のペーパーを見ていただければと思います。
これは、読売新聞の今週の連載であります。ここに出ております原告番号十三番の女性、当時五十七歳の方は、柳澤大臣も御記憶あるかと思いますが、私が昨年の委員会で最期の言葉を取り上げた方でありますが、残念ながら、きょうの判決を聞く前に、C型肝炎からがんになって、判決、そして判決のみならず早期全面解決を首を長くして待ちわびながら、この世を去ってしまわれました。
そして、その次のページを見ていただきますと、「出産日が一転、感染日」。つまり、出産の際の止血に使われたフィブリノゲン、当時アメリカではもう、C型肝炎に汚染されて肝炎のリスクがあるということがわかっていた。また、この記事、一々読みませんが、こういう、日本各地でもこのフィブリノゲンを処方した方が、妊婦が、出産した女性が連続して肝炎になったということがわかっていた。にもかかわらず、そのまま放置をされて被害を拡大させた。
そして、きょうの判決のもう一つの大きな焦点はクリスマシンであります。
昨日も私は、判決前夜の集会に行って、このクリスマシンを投与されて出産の際にC型肝炎に感染した二十代の若者の方々の話を聞きました。ここにも書いてありますように、不必要な投与、原告側は、単なる止血剤として、使う必要のなかった患者に使われたということを強く主張しているわけであります。
そして、次のページをお願いいたします。
B型肝炎が多く見て百五十万人、C型肝炎が多く見て二百四十万人、合計約三百九十万人。国民の約三%、第二の国民病と言われております。そして、既に発症している方が、答弁によりますと、合計六十二万一千人、そのうちインターフェロン治療中がたった五万人、八%。大臣、なぜこんなに少ないのかということですね。
これは、きのうも集会で多くの方々から声が聞かれましたが、治療費がなかなか出せない、また副作用が強い、仕事を休まねばならない、生活が成り立たない、何よりも治療費が非常に高い。自己負担で、C型肝炎で年間約八十万円かかるわけですね。
さらっと私の考えだけ申し上げます。
次の六ページをお願いいたします。
そんな中で、これは、こういう治療費助成も含めて、やはり早急に政治が決断をすべきだと考えております。
これは、確かに、司法になると何よりも時間がかかります、そして微妙な年代で区切ったりということになります。かつ、これはカルテがない人は裁判もできない。しかし、ぜひ御理解いただきたいのは、今闘っておられる原告の方々は、自分たちに賠償金を払ってほしいということが主な目的じゃないんです。治療費助成、安心して治療が受けられる、そういう体制をつくるために、国が動いてくれないから裁判をするしかない、そういうやむにやまれぬ思いで今裁判をされております。
そして、七ページを見ていただけますでしょうか。
昨年十一月に答弁いただいたように、現在五万人がインターフェロン治療を受けておりまして、その方々の自己負担が年間二百億円。下から四行目に書いてあります。年間二百億円なんですね、ある意味で。そして、肝炎問題の研究班の熊田教授の報告にもありますように、こういうインターフェロン治療をすれば、中長期的には、本来なら肝硬変、肝がんになって八兆円ぐらいかかる国民の医療費が五兆円で済む、そういう統計も出ていることは、昨年の答弁でも、柳澤大臣も御存じかと思います。そういう意味では必ずしもむちゃな要求をしているわけではありません。
そして、かつ、これは毎年二百億円かかるという話ではなくて、御存じのように、今は非常に薬の効果も出ておりまして、七割ぐらいの方が一年でウイルスを完全に除去できる、そういうこともわかってきているわけですね。
そこでお伺いをしたいと思います。
柳澤大臣、昨日も私、原告の方々にお目にかかりましたが、きょう判決が出て、これで三度目の正直です、これでも政治が動かなかったら、私たちはもう国会から地元には帰らない、命がけで国の治療費助成や救済のために働きかけを続けるということを患者の方々、原告の方々はおっしゃっておられました。
大臣にお伺いします。きょう二時から判決が出るわけですが、やはり今こそ、司法だけに任せるのではなくて、政治の出番ではないか、やはり政治的な判断が必要ではないかと思いますが、柳澤大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 この肝炎の問題につきまして、山井委員が非常に、私の就任当初のころからでございますけれども、いろいろな角度から研究をなさり、また患者さんの声をじかにお聞きになる中で、御質疑の形で今おっしゃるような御主張をたびたび聞かせていただいているということでございまして、このことについては、私として、本当に敬意の気持ちを持って、毎回ですが、聞かせていただいております。
ただ、何回もそうしたお訴えに積極的に対応しない答弁ばかりしておるということを本当に申しわけないとは思いますけれども、現実にこのフィブリノゲン製剤というものは非常に有効な医薬品であったということでございますし、それからまた、患者を救うための医薬品において生じた問題については、その時代その時代の医学的な知見に照らして、裁判において厳正な司法判断を求めざるを得ないというのが行政の立場でございまして、その責任者の立場にいる私も、その考え方というものをむげに否定するということはできない、そういう立場であると私は自分自身認識をいたしているわけでございます。
ただ、訴訟の問題とは別に、肝炎対策を推進するということに対しては、私どもは積極的にこれは、当然のことでございますけれども、努力をしたい、このように考えておりまして、これまで申したことで申しますと、早期発見、早期治療の促進、さらには治療水準の向上というような観点から、診査体制、診療体制、それから治療方法の研究開発、こういうようなことの進展のために総合的な取り組みを推進していきたい。今までも推進してまいりましたけれども、今後さらにそうした取り組みを強化してまいりたいというふうに考えているところでございます。
○山井委員 フィブリノゲンが有効な薬だということをおっしゃいましたが、この記事にも書いてありますように、大臣、その薬のせいで多くの人がC型肝炎に感染しているわけですよ。その人たちの人生はどうなるんですか、命は。有効な薬では済まないでしょう、それは。
きょうも傍聴席に、この八ページの記事にあります、出産時に血液製剤フィブリノゲンを投与されて肝炎に感染した森上さん御夫妻もお見えになっております、あそこにマスクをしておられますが、来週水曜日からまた入院。肝臓移植もして、本当にもう、目もなかなか見えない。そしてまた、これも委員会で取り上げましたが、移植前には医師から保険が適用されるはずだと言われていたのに、その後しばらくたってから、厚生労働省から、保険はききませんと。全額一千万円以上払ってくださいということになってしまった。そういう問題も出てきているわけですね。
そして、もうお一方、先日も私取り上げさせていただきましたが、昨日の集会に行って、この二ページの、きょう判決が出ます原告番号十三番の女性、当時五十七歳の長女の方、そしてお母さん、妹さん、お姉さんにもお目にかかりました。こういうものをお借りしてくるのはどうかと思いましたが、私はやはり、柳澤大臣、石田副大臣、武見副大臣に、きょうの判決を聞くことなくお亡くなりになられた原告十三番の方のお顔を見ていただきたいと思うんですね。
柳澤大臣、ここにそのお写真がございます。きのうの集会、長女の方がお母さんのこの遺影を抱いて来ておられました。そして、昨年私がこの委員会で取り上げたと言ったら、非常に感謝してくださいまして、きょうもこの遺影をお借りすることになりました。きょうも、長女の方、お姉さん、そして亡くなられた原告の方のお母さんもこの傍聴席にお見えになっております。
前回も申し上げましたように、亡くなる直前にこうおっしゃっているわけですね、原告十三番の方は。
ちょっと説明しますと、一九八四年七月に出産して、一カ月後にC型肝炎に感染していることがわかり、フィブリノゲンを出産のときに投与されていた。そして、二〇〇〇年八月にガンを発病し、二〇〇二年十月から東京原告になられた。しかし、きょうの判決を待つことなく、二〇〇三年の六月十二日にお亡くなりになった。それで、最後のビデオを長女の方が撮影された。それはなぜかというと、まさにこうやってその声をだれかが行政に届けてほしいという思いなんですね。
私は二十年間、どこに相談の窓口があるか分からず、苦しみ、闘ってきました。ようやく、闘いの窓口にたどりつきました。が、もう体がついていきません。どうか裁判を早く終わらせてください。そして製薬会社の人たちも、自分達のしてきたことを認めてください。国は争うことなく現実を見つめ、人の健康と命の重さを認めてください。私はとにかく元気になりたいんです。そして、この問題を各ひとりひとりが、自分の問題として受けとめて下さい。
わたしは、こんなふうになりたくなかった。平凡でもいいから走り回り、みんなで…、楽しく、笑い転げながら、これからも生活をしていきたかった。
そして、二〇〇三年六月十二日、三人のお子さんの名前を最後呼びながら、安らかに天国に召されたわけであります。
この原告十三番の女性の方の御冥福を心よりお祈り申し上げます。
大臣に申し上げたいのは、この人一人じゃないんです、原告だけじゃないんです、多くの方々が国が控訴している間にガンを発症し、インターフェロン治療がもう手おくれになり、そして亡くなっていっておられるんですよ。
大臣、司法判断とおっしゃいますが、多くの人が亡くなってしまわれているわけです。
きょうも森上さんが来られているのは、もっと早くインターフェロン治療が治療費助成があって受けられていたら、自分は肝臓移植までしなくて済んだのに。だから、自分は体調が悪いけれども、自分の命をかけてでも、この現実を見て、一人でも多くの人がインターフェロン治療やいろいろな十分な治療が受けられるように国に動いてほしい、そんな思いで来られているわけです。
柳澤大臣、お聞きしづらいですが、判決が出た、そして将来的に動いた国が、でも、そのときまでにもう患者さん、原告は亡くなってしまわれていたとなったときに、その判決はどういう意味があるんですか。
○柳澤国務大臣 山井委員は、きょう二時、裁判の判決が出るということを前提といたしまして、その後の展開の中で一つの想定をお立てになられて、仮にその想定のとおりに、国が何らかの手だてをしたときに、そのタイミングとの間で不幸にして亡くなられるというような方が起こったときにどうするんだという、まことに切実なお話を承ったわけでございますけれども、本当にそうしたことを申し上げるのは心苦しいということを感じつつ申し上げますけれども、私どもとしては、行政としては、やはりこの判決が出ましたら、判決の内容について子細な検討を加えて、そして関係省庁とも話をして、その後の対応を決めていくということを行っていくことになるだろう、このように思います。
私どもといたしましては、とにかく、そうしたこととは別に、先ほど来申したように、一般的な肝炎対策をさらに一層強化していくというこの取り組みに専心をするということになろうと思う次第でございます。
○山井委員 もう言うまでもないことですが、一番患者の方々が求めている治療費助成が入っていないじゃないですか、その中に。このままいかれたら、どんどん亡くなっていくんですよ、悪化していくんですよ。
そして、この原告十三番の方もインターフェロン治療をされていたんですよ。一回目やって、そして二回目やったけれども、子供の進学のころと重なって治療費がもう続かなくなって、それを断念されたわけですよ。そして、がんになられて五十七歳で亡くなられたんですよ。当時治療費助成があったらまだ生きていられたかもしれない。きょうもその亡くなられた方のお母さんがお見えになっているんですよ。何で母親を置いて娘さんが先に亡くならないとだめなんですか。
やはりこれは、厚生労働省そして厚生労働大臣のお仕事というのは、救える命を救うことではないですか。武見副大臣、石田副大臣からも、このことについて一言御答弁をいただきたいと思います。
○武見副大臣 今までのお話、非常に深刻かつ重く受けとめて聞かせていただいております。
そして、その上で、私自身も副大臣の立場として、訴訟の問題について、これはやはり大臣と同じ立場をとるということは申し上げなければなりません。
そして、その上で、やはりこうした肝炎にかかわる問題というものを一刻も早く解決するために可能な予防措置から始まる、改めて早期診断、早期治療、そしてその治療のためのさらなる技術開発というものとその普及、これらを徹底して行うための諸策というものは、やはりでき得る限り国としても努力をし、そしてそのため万全を期すという考え方を、私自身、政治家として持っております。
○石田副大臣 今、山井委員からお話を伺っておりまして、私は、実は薬害エイズのときにちょうど委員でおりまして、随分そのときにいろいろなことも勉強もさせていただきました。現実に司法の場で争っているということ、これは事実でありますから、きょうの二時の判断をこれは待たなければいけないということは事実でありますけれども、私は、それと同時に、現に苦しんでいる患者さんがいらっしゃるということは厳粛に受けとめていかなきゃいけない、こういうふうに個人的には思っております。
○山井委員 救える命を救うためにこそ国会議員がいて、そしてこの厚生労働委員会もあるんだと思います。党派を超えて、この政治決断のために、やはり今こそ行動するときだと思います。今動かなかったら何のために国会議員がいるのか。多くの患者さんの方々を見殺しにすることはできない。後で治療費助成をしても、後でインターフェロン治療をしても、もう後でやっても手おくれなんです。このことは今後また、判決が出てからこの委員会で議論をしていきたい。
ただ、最後に本当に申し上げておきますが、これはもう患者の方々、原告の方々も命をかけて闘っておられます。そして、繰り返し申し上げますが、自分のためじゃないんです。だれかが原告となって名前を出して、偏見に耐えながらも、だれかが裁判をして勝たないと国が動かないからなんです。三百九十万人の肝炎患者のために原告は闘っておられる、そのことをぜひ御理解いただきたい。ここまでしないと政治が動かないというのは、国会議員として非常に恥ずかしいことです。
あと少しだけ時間がございますので、タミフルのことにちょっと触れさせていただきます。
タミフルも似たような構図じゃないですか。先週、今週と、我が党の田名部議員、柚木議員がタミフルと異常行動の因果関係等々質問しました。しかし、因果関係は認められない、認められないと言って、しかし、一転してその判断を今厚生労働省は変えようとされている。それだったら、昨年の十一月、昨日も私お目にかかりましたが、タミフル脳症被害者の会の軒端代表などが昨年末に使用制限をしてほしいと言ったときに方針を決めていたら、例えば、この二月にタミフルを投与後転落死されたお子さんの命は失われていなかったんじゃないですか。
そこで、お伺いをしたいと思います。
私の地元でも、三十八歳の方が亡くなられました。タミフルを服用し、その日の晩十時に寝て、夜中一時には布団の中で亡くなってしまわれました。このことについて、私も厚生労働省に問い合わせをし、要望したことがあります。しかし、厚生労働省は、因果関係は認められないの一点張り。本当、けんもほろろでした。
今回異常行動ということをまた調べ直されるということですが、こういう、異常行動じゃなくて、そのまま寝て亡くなられた突然死というのもこの調査の対象にぜひ入れてほしいと思います。
大臣、単に異常行動という範疇でなく、こういう突然死というもの、そして、これも、タミフルに関係ない関係ないといってはねられ続けているんですよ。そういう例が日本じゅうにいっぱいある。ですから、こういう突然死というものも入れていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 タミフルのことにつきましては、二月に少年の男女がほとんど、もうきびすを接するように、この短い間にお二人、高層の住居からの転落という形でとうとい命を落とされたということがございまして、私も大変ショックを受けまして、二十七日に最後の、二回目のそうした死亡事故がありましたので、即二十八日の日に、いわば注意をさらに喚起いたしたわけでございますけれども、三月になりまして、またさらに、それは不幸中の幸いというか、死亡事故には至らなかったんですけれども、同様の異常行動が見られるということの中で、私も、これはもうとにかく緊急の安全性情報という、特別の注意喚起というか、そういうことをせざるを得ない、こういうことで決断をいたしました。
そして、現在の考え方は、この個別の症例の検証によって、そこで因果関係が何か見つかるかというと、それはむしろ否定的だと。それから、疫学の調査においても、タミフルの服用があったかなかったかでそうした行動をとった人の数が有意に差が生ずるかというと、それもないというようなことで、私ども、これは因果関係は定かでないというか、因果関係はむしろない、こういう立場でございました。
これ自身を今すぐどうこう変えるということではないんですけれども、もう一度しっかりと検証し直すということをやってみたい、こういうように考えて、これから早急にその調査を、あるいは検証作業を進めるわけでございますが、その中には、今山井先生が御指摘になられたような、突然死というようなことも当然に検討の対象にさせていただくということの中で、検証、調査にできるだけのことをしてまいりたい、このように考えております。
○山井委員 もう時間が来ましたので終わらせていただきますが、このタミフルの問題は、これはきっちり集中審議をやるべきだと思いますので、そのことを委員長に要望したいと思います。よろしいですか。
○櫻田委員長 理事会で協議させていただきます。
○山井委員 そして、最後に申し上げますが、できればやはり党派を超えて、人の命を守るのが国会議員の最大の責務でありますから、この肝炎の早期全面解決のために頑張りたいと思います。
しかし、万が一与党が、このような、次々と失われ行く命を放置するのであれば、それは私としても絶対に黙って見ていることはできない、そのような民主党の思いを最後に申し上げて、質問を終わります。
ありがとうございました。