166-衆-予算委員会第六分科会-1号 平成19年02月28日
○山井分科員 民主党の山井和則です。これから三十分にわたり質問させていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
私の地元は京都六区、京都南部でありまして、お茶日本一、いや世界一のお茶であります宇治茶の本場であります。そのことを中心に質問をさせていただきます。
先日二月十日に、私の地元で、社団法人京都府茶業会議所主催で春の大茶会というのがありました。この今の健康ブームの中で、お茶の重要性というのはますます見直されていますし、また、このぎすぎすした競争社会の中で、やはり一家の団らんの中心にはいつでもお茶があった。宇治茶の歴史というのは八百年ぐらいさかのぼるわけであります。鎌倉時代にさかのぼるわけであります。そういう意味では、健康飲料であり、かつ日本の伝統文化の中心、なくてはならないのがこのお茶であります。
例えば、言葉一つとってみましても、そんなむちゃな話はあるかというように、お茶がないとむちゃだと。あと、めちゃくちゃとか言われるように、これは無意識のうちに私たち使っておりますが、それほど日本文化、そして生活、家族の団らん、また人間関係の和みの中にお茶というのは溶け込んでいるわけであります。
このようなお茶の本場が私の地元宇治なわけですが、鎌倉時代に宇治に伝えられたお茶は、江戸時代に現代の宇治茶製法が宇治で誕生し、その後、宇治の茶匠たちのたゆまぬ研さんにより、その栽培法や製法は、宇治にとどまらず、滋賀、三重、奈良などの各地に広まりました。現在も、この地で栽培された茶葉は、京都府内に出荷、加工仕上げされ、日本茶の代名詞と言われています。そしてまた、宇治茶となって、日本はもちろん、世界へも届けられて、今ヨーロッパ、アメリカでも、健康ブームに乗じて宇治茶ブームというのも出てきているぐらいであります。
そこで、最初にペットボトルのことを取り上げさせていただきたいと思います。
実は、きょうは二月二十八日なんですが、今からちょうど四年前の二〇〇三年の二月二十八日に、私はこの分科会でペットボトルの問題を取り上げさせていただきました。少し読み上げさせていただきますと、「最近ペットボトルのお茶も非常にふえております。その中で、これは日本のお茶なんだろうか、中国のお茶なんだろうかと緑茶に関しても疑問に思ったりするわけであります。そういう外国の緑茶の場合はやはり表示をすべきではないかというようなことを思いますが、そのあたり、いかがでしょうか。」という質問をさせていただきました。二〇〇三年二月二十八日です。
その当時の答弁は、現在厚生労働省と一緒になって、食品の表示に関する共同会議を設置させていただいております、その場において御議論をいただきたいと思っておりますという答弁であったわけであります。
あれから年月がたちましたが、このたびペットボトルの原産国表示について制度改正を行われるとお聞きしました。
それで、例えば、きょう一例を持ってきたんですが、これは実は中国産のお茶なんですね。食品の表示に関する共同会議の議事録、これを見てみても、やはりこういう議論の中で、増田委員という方がこうおっしゃっていられるんですね。「緑茶飲料については、たまたま非常に安い茶飲料を飲んでみたが、中国製と書いてあり、非常に不味かった。それはたぶん抽出まで中国でやって、極めて安い価格で出回っているものだろう。日本茶というのは、日本の食文化を支えてきた飲料だとするならば、茶飲料にはそれなりの責任があり、日本の味覚を育てるという役割もあるのではないか」と。
それで、大手のメーカーではかなりがこの原産国表示をされているんですが、まだまだ中小のメーカーがされていない。茶の本場に住んでいる議員として、こういう、どこの国でつくられたのかもわからないペットボトルが流布しているというのは非常にゆゆしき問題であると思います。
この問題について、以前から私何度も国会で取り上げてきましたし、また茶業振興議員連盟の中でも、私の質問の後に、このことを提案として農水省にお願いしたわけであります。
このペットボトルの原産国表示につきまして、制度改正の趣旨、理由、今後のスケジュール等について、お答えください。
○松岡国務大臣 私から最初にお話をさせていただいて、具体的なことは事務方から報告させます。
山井先生、実は私、全く同じ考えでありまして、今、食品の原産地表示というのがありますが、これを実は一番最初に取り組んだのは、私が自民党の農業基本政策委員長でこれに取り組んできたわけであります。
ちょうどウルグアイ・ラウンドで、平成五年の末にああいう形でウルグアイ・ラウンドが妥結をいたしました。そしてマラケシュ協定ということで、これが発効した。で、どっと自由化になってどんどん入ってきた。そこで、やはり消費者の方にどうしても選択してもらう。消費者の方に情報をちゃんと与える、そしてその選択ができるような表示をする、こういうことから、最初は平成八年に、ブロッコリーと里芋とニンニクとショウガと生シイタケ、これをやりまして、そしてまた十年には、ゴボウとアスパラとサヤエンドウとタマネギ、それがまずスタートでして、それからずっと私は議論してきました。それから今日に至って、この歴史があるわけでありますけれども。
今のお茶につきましても、私も飛行機で行くときに、今カナダで物すごく日本茶がはやっているんですね。それは何でだというと、やっぱり健康なんですね。そして料理屋さんに行くと、よく日本茶が出る。必ず最初に出る。私もこれはNHKのテレビで見たんですけれども、あれを飲んでおくと、お酒を飲んだ後、二割方お酒が、人によって個人差があるんでしょうけれども、消化というか、アルコールを分解するのが二割方早いと。だから、まさにアルコールに対しても健康なんだと。だからお茶を飲むんだ、日本は。これは経験則なんですね。
中国にも行ってきましても、向こうも、出ると緑のものが出てきますから、ウーロン茶、ウーロン茶というけれども、やはりこっちももとは緑なんだなと。
私は今、これは必ずヨーロッパでも、世界じゅうで、日本のお茶というのは、健康だし、いい、またその飲み方も含めて、これを出していけば絶対売れると思っているわけです。だから、私は、このお茶の輸出ということも今非常に強く言っているわけです。
したがいまして、先生と全く一緒でして、だからこの原料原産地にいたしましても、梅干しとラッキョウ漬けなんかも、最初は加工地が原産地になっちゃう。だから、例えば紀州の梅でも、木を持っていって植えるんですよ。木も同じだから、もう全く同じものなんですね。しかしプロセスは違う。例えば鳥取のラッキョウでも、中国のラッキョウを持ってきてそこで加工すれば、そこが原産地になっちゃう。だから、我々はそのときも、原料原産地をつけようということで、ずっと議論して、つけてきたんです。そして、消費者の方に本当に、正しい、選択の情報を与えようと。どっちを買うかは消費者の選択だ、こういうことなんです。
この表示制度というのはこういう形で私も取り組んできた経過がありますから、先生の考えと、今お聞きしていて全く一緒だ、こう思っております。
そこで、具体的なことは、私が言うより、今の先生の御指摘を受けて、緑茶のどういうふうな表示を今考えているか、ちょっとこれは事務方から答えさせます。
では、改めまして。
これは、今先生からのものにつきましては、私ども、これを加工食品については義務づけてきたわけでありますが、緑茶飲料、これにつきましても近々追加の予定で、ちょっと具体的な日程は私ここに持ってきていないんですけれども、追加の予定で、きちんとこれを措置すべく、そういう形で今予定をいたしております。
三月下旬に第三十二回の共同会議をやります。そして、加工食品品質表示基準、これを改正案ということでやりまして、三―四月にかけまして、一カ月間パブリックコメントをやります。そして、五月から七月の間にWTOに通報いたします。これは二カ月かかります。そして、夏から秋にかけまして、JASの調査会の総会、そこで改正案を決定いたします。そして、秋を目途に官報告示をいたします。こういうことで予定をいたしておりまして、それから、移行期間が二年間ございますので、二十一年の秋には完全義務化、それまでの間は、義務ではありませんが、そういった方向を目指してやらせる、こういうことであります。
○山井分科員 平成二十一年の秋から完全義務化という答弁をいただきました。ありがとうございます。
ことしは二〇〇七年で、四年前にちょうど私も国会で取り上げさせていただきまして、時間がかかるなとは思いながらも、こういう、茶の大切さを認識していただいて原産国表示をしていただくのは非常にありがたいと思っております。松岡大臣の答弁を聞いていても、非常にお茶に思い入れを持っていただいて、私も感謝をしております。
昨年、私が園遊会に行きましたときに、天皇陛下と服部先生という料理の専門家が私の前でお話をしておられまして、日本人はなぜこんなに健康なのか、食べ物がいいのですかという質問を天皇陛下が服部先生にされたら、服部先生が、食べ物よりもやはり飲み物だ、緑茶が非常に健康にいいんだというお話をされていまして、私も非常に意を強くしたわけであります。
そこで、厚生労働省に次にお伺いしたいと思いますが、このようなお茶の健康への効果、また、世界三大のお茶として、紅茶、ウーロン茶そして緑茶と言われておりますが、こういうものと比較しての栄養効果についてお答えをいただきたいと思います。
○中林政府参考人 お答えいたします。
独立行政法人国立健康・栄養研究所というところがございますけれども、そこのホームページにおきまして、健康食品の安全性あるいは有効性に関する情報を公開しているところでございます。これによりますと、お茶にはカフェインやビタミンCが多く含まれている。中でも、緑茶にはアミノ酸が非常に多く含まれているという記載がございます。
また、近年、緑茶に関しまして研究等が行われてございまして、その効用につきましても多くの知見が得られつつあるところでございます。例えば、平成十六年度の厚生労働科学研究でございますけれども、その中で、高齢者における緑茶摂取と認知機能との関連を検討した研究がございます。その中では、緑茶摂取による認知機能障害の発生抑制効果が示唆された。あるいは、同じ独立行政法人でございますけれども、国立健康・栄養研究所におきましては、バイオ細胞を用いた試験によりまして、緑茶ポリフェノールの一種でございますけれども、それが過酸化水素等の活性酸素種により誘発した染色体損傷を抑制する作用がある、こうした結果も得られているところでございます。
なお、厚生労働大臣が審査を行いまして保健機能の表示の許可を行う、これを特定保健栄養用食品と申してございますけれども、この制度におきましては、茶の成分を利用した食品といたしまして、例えば、虫歯の原因にならない茶ポリフェノールを利用した菓子であるとか、あるいは緑茶弗素を利用したチューインガム等が、既に許可、そして販売されているところでございます。
以上でございます。
○山井分科員 認知症というのは二十一世紀最大の病とも言われているわけでありまして、そういうものに対する抑制効果がある、あるいは虫歯の予防にもつながる、これは言い出せば切りがありませんが、やはり八百年の歴史があるだけに、すばらしい飲み物だと思います。
しかし、一つ重要なのは、ペットボトルのお茶になると、そういう栄養効果というのは非常に少なくなるわけでありまして、やはり地元としては、急須でお茶を飲む、そうしないと栄養価が落ちてしまうということを私たちは言っているところであります。
実際、私の自宅の近所におきましても、茶業会議所が宇治茶道場「匠の館」というものをつくって、やはり急須で入れて飲んでもらうと。確かに今緑茶ブームなんですが、大部分はペットボトルなんですよね。今御答弁いただいたような、重要な健康効果は、やはり急須でお茶を入れねばならない。そういう意味では、急須でお茶を入れるという文化を二十一世紀に守り育てていかねばならないと思っております。
そこで、私の地元では、京都山城「宇治茶の郷づくり」構想というものを今考えておりまして、八百年の歴史を有し、日本を代表する緑茶ブランドの商品は、山城地域の重要な宝であり、その振興は地域の活性化を図る上においても非常に重要だということで、宇治茶を通した和みの文化の継承とお茶する生活の実現ということで、京都南部を挙げて今この構想の実現に取り組んでおります。
そこで、経済産業省にお伺いしたいと思いますが、その一環として、この宇治茶を地域団体商標、地域ブランドに認定をしていただきたいというふうに思っておりまして、今出願登録をしているところであります。ぜひ一日も早くこの登録をお願いしたいと思います。そして、その上で、宇治茶のような伝統ある地域の特産品を地域団体商標として適切に保護し、地域の活性化につなげていくことが重要だと考えますが、経済産業省の見解はいかがでしょうか。
○関政府参考人 お答えします。
今先生から、伝統のある地域の特産品を地域団体商標として保護し、地域の活性化につなげていくことが重要との御指摘がありましたが、まさにこの地域団体商標はそれを目的として設立された制度であり、昨年の四月から運用を開始しております。
この目的のために幾つか主要な要件がございます。その一つは、商標の中に入っている地域がその当該産品の生産地である、あるいは主たる加工を行っている土地であるなど、その地域と産品との間に深い関係があるということ、それからもう一つまた大事なものとしては、その使われている商標が、出願された方がつくっているあるいは販売なりをしているものとして需要家が認識していること、そのような需要家が隣接都道府県程度には広がっているということでございます。
このほかにも出願団体の資格等の要件がございますが、現在、宇治茶を初めとしまして、六百七十余りの出願がございます。これらにつきましては、今申し上げましたような要件に照らして、出願案件を迅速かつ適切に審査してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。(発言する者あり)
○山井分科員 今、中井先生も、うじうじ言わずにさっさとやるようにという話が出ましたので、ぜひとも急いでいただきたいと思います。
先ほどの松岡大臣の答弁にもありましたように、お茶というのは非常に重要な日本の文化でありまして、お茶なしには日本人の生活は成り立たない、日本人の家族の団らんも成り立たないと思います。
例えば、おすしを食べた後にも必ずお茶が出てくるわけですが、あれはやはり生ものを食べた後にお茶を飲むと殺菌作用があるという。こういうのは本当にあらゆるところに行き渡っている日本の文化、日本人の食生活の知恵でありますので、ぜひとも京都ブランドとして宇治茶というものを早急に認めていただきたいと思っております。
それでは、改めまして松岡大臣に、茶業の振興、そしてお茶や茶業の重要性についてお伺いしたいと思います。
といいますのは、最近、過労死とか、ぎすぎすした人間関係、あるいは行き過ぎた競争社会ということが言われているんですね。私も、国会事務所にお越しになられた方には、時間があれば時々お抹茶をたてさせていただいたり、あるいは自分で急須でお茶を入れさせていただいたり、京都南部では男性が急須で客人にお茶を入れるという文化がありますので、もちろん時間があればですが、そういうことを私もさせてもらっていますし、また地元宇治田原町の茶の線香を立てて、お茶の香りというのは心を和ませる効果があります。
そう考えてみると、単に健康的な効果だけではなくて、急須でお茶を入れてお茶を飲む、そしてよもやま話をする、そういうゆったりとした語らい、空間、人間関係、スローライフとも言うんでしょうか、そういうものこそが、私は、今の失われた日本のよさを取り戻す一つのキーではないかというふうに思っております。
そういう意味では、茶文化の、和みの社会というものを、やはりお茶の普及を通して実現していく必要があるのではないかと私は思います。このような点に関して、お茶、そして茶業の振興について、松岡農林水産大臣の御決意、思いを改めてお伺いしたいと思います。
○松岡国務大臣 きょう山井先生からお茶の話をこうやってしていただきまして、非常に、何といいますか、心が豊かになったような、そんな思いがいたします。
といいますのは、やはり何といっても、お茶というのは確かに、おっしゃいましたように、日本としては大変な文化でありますし、これによっていろいろな人たちが精神を修養したり、また、人間関係の上でいろいろな役割を果たしてきたんだろうと思います。そういう意味で、本当にこれは日本が誇る大きな文化だ、こう思いますし、そういったことを支えていくお茶の生産、茶業というもの、これを我々はもう一遍改めて見直して、そしてこれをどうやってしっかりと発展させていくか、そういう観点で、今先生のお話をお聞きしながら思っておったところでございます。
そこで、私は今、輸出、輸出とこうやって言っておりますが、実は、日本の食文化、料理文化、こういったことが世界に伝わっていく、そして日本が理解されていく。非常に重要だと思っています。
反対、賛成、いろいろあるんですが、日本食の認証制度という言葉があったら、では私が何か排除するのかどうかと。そんな気持ちはさらさらなくて、これだけ世界が日本食ブームになってきた。それはやはり健康だから、おいしいからといろいろあると思うんですが、その中で、これが本当の日本ですよという形のものを、押しつけじゃなくて、そういったものを示していく。そのことによって、ああ、これが日本の本来か、本当の日本の料理というのはこういうものなのかということで、さらなる理解が深まれば、日本に対する理解とか日本に対する思いも持っていただけるんじゃないか、こう思って、世界において日本食のすぐれたものを推奨する。認証というと何か許認可みたいになるので、言葉を優良店の推奨制度に変えてやろうということで、今実は有識者にいろいろな検討をしてもらって、やろうとしているんです。
いろいろな国がいろいろなことをやっています。そういう中で、例えば先ほど先生から服部先生の話が出ましたね。あの方はフランス政府から一つの何かを認定された、表彰をもらっておるわけですね。フランスの政府というのは、外国人がフランスのことを広げてくれる、その人に対してそういった一つの資格を与えるような認証制度をやっている。よそはそういうことをやっている。
だから、そういった意味でも、私は、世界に羽ばたく日本のすぐれた、お茶も含めた農産物、そういう観点があってもいいと思っていますから。
そして、やはり日本人の胃袋、これが日本の農業の言ってみればお得意さんになるわけですけれども、消費者。日本だけで見ていますと、人口も減っていくし、胃袋も小さくなっていくし、消費拡大、需要拡大といっても、胃袋に限りがありますから、そうするとどうしても、やはりほかの胃袋や消費の対象を求めていく、こういう観点も必要だと思っています。そうすると、そこでまた大きな発展が国内的にもできるわけです。
そういうことも含めて、私は、今先生がお茶ということをおっしゃいましたが、私ども農林水産省といたしましては、お茶は、これはもう先生おっしゃったように一つの大変重要な産品でございまして、地域の重要な基幹作物だ、このような位置づけをいたしております。
そこで、高品質なお茶の生産を目指した地域の取り組みを支援していくということで、特に十九年度予算におきましても、強い農業づくり交付金、これらを活用いたしまして、高品質な品種の導入を含む茶園の改植や小規模な土地基盤整備、こういったこともやっていこう、こういうことでございまして、荒茶の加工施設の整備もやっていこう、霜の被害を防ぐための施設の整備もやっていこう、それから、お茶の機能性に着目した、健康食品という、新食品や新素材の開発もやっていこう、こういうことでございまして。
私も熊本に随分お茶の関係者がいるんですよ。こういった方々と、宇治茶とか八女茶とかいうほどまで、熊本は何とか茶というふうには、まだ有名じゃないんですけれども、しかし、おいしいお茶だと言われておりますので、よくその生産者の人たちの話も聞くんですが、こういった施策を通じまして、なお振興を図ってまいりたい。
私は、これからは大きな戦略作物としての、輸出という面も含めた、そういうやはり価値のあるこれは作物だ、品種だ、そう思っておりますので、我々も全力を尽くして取り組んでいきたい、このように考えております。
○山井分科員 松岡大臣から、これからはお茶の輸出も重要である、そういう御答弁もいただきました。私は、まさに世界の飲み物の中で最もすばらしいのがお茶だというふうに確信しておりますし、私の地元でいいますと、そのお茶のまさに本場が宇治なのであると思っております。そういう意味では、先ほどの地域ブランドの宇治茶の認証をぜひとも早急にお願いをしたいと思います。
それに関連して、この京都南部の交通、JRの、鉄道問題について最後に一問お伺いをしたいと思っております。
京都南部では、古都京都と奈良を結ぶJR奈良線は、列車の増発等によりまして利用者も増加しております。沿線地域は、関西発展の起爆剤と言われる関西文化学術研究都市の建設及び木津川右岸運動公園の建設等により、これから大きな発展が期待され、今後も人口の増加、通勤通学、そして観光の乗客の増加が見込まれて、将来的にも非常に有望な線であると思っております。そして、沿線の自治体も、駅前整備等を図って利用者の利便の向上に努めております。そして、奈良の手前にあります木津のあたりも、今回四月から、木津町、加茂町、山城町の合併によりまして新しく木津川市が誕生しまして、大きく発展が見込まれるわけです。
そんな中で、地元の要望としては、何としてもこのJR奈良線の複線化を急いでほしいと。考えてみれば、京都と奈良という千年の都を結ぶ非常に重要な幹線でありまして、まさに、先ほどの質疑でも申し上げましたように、宇治茶の本場という、非常に歴史的にも文化的にも、農業的にもすばらしい地域であります。この全線の複線化について、これも今までから国会で質問して、要望してきているんですが、現状と今後のめどをお聞きしたいと思います。
○大口政府参考人 先生の御質問にお答え申し上げます。
JR奈良線は、近鉄京都・奈良線とともに、京都駅と奈良駅を結ぶ大変重要な鉄道だというふうに認識しております。特に、地元にお住まいの方々を含めた通学通勤の足として、これまでもその機能は相当重視されておりまして、平成十三年三月の時点でございますけれども、このJR奈良線の複線化につきましては、京都駅とJR藤森駅の間、それから宇治駅と新田駅との間の複線化、それから、宇治駅及び山城多賀という駅がございますが、その駅において列車が行き違いができるようにするという事業が平成十三年に完成したところでございます。これは総事業費が百六十三億円かかっておりまして、そのうち、地元自治体にもまさに合力をお願いしまして、約半額ほどその事業費を持っていただいているところでございます。
さて、その結果でございますけれども、一日の列車の運転本数は、平成十三年の三月に六十三本ふえまして、その後、さらに十四本ふえ、現時点では、事業前に比べて、事業を完成する前に比べてでございますけれども、合計七十七本増発されているという状況にございます。
こうしたことから、朝夕の通勤時間帯における京都と奈良の所要時間も、まさに快速列車の運行などによりまして、それまでは一時間を若干超えていたわけでございますけれども、二十分短縮されまして、約四十分前後で運行がなされているところでございます。
こうしたことから、奈良線の一日当たりの輸送人員も、これは年度によって凹凸はございます、しかし、毎年の平均にならしますと、大体一千五百人程度ずつ着実に増加してきているのが現状でございます。
さて、先生の御質問のポイントは、JR奈良線のまさに残る単線区間の複線化の問題ではなかろうかな、こう思うわけでありまして、確かに、現在、単線区間として、JR藤森駅と宇治駅の間、それから新田駅と今度市に昇格されます木津駅の間、その間につきまして今後どういうふうにしていくのかというところが問題かと思っております。
現在、JR西において、これまでの線増をやった効果がどういうものであったのか、それから、関西文化学術研究都市を含む沿線の自治体さんの面の開発状況というんでしょうか、そういうものの開発状況の進捗状況、それから事業の採算性、さらには、地元の自治体とのまさに協力の度合いの進捗化の状況、そうしたことを全部勘案しながら、事業主体でございますJR西において、現在、鉄道という公共サービスを提供する役割をどういうふうにしていくのか、そういうことも含めまして検討されているというふうに承知しております。
以上でございます。
○山井分科員 時間が来ましたので終わらせていただきますが、最後になりますが、かねてからの私の要望は、委員会では水が出てくるわけですが、委員長、ぜひこれは、お茶を入れたらもっと穏やかな和みのある審議になるのではないかと思いますので、最後にそのことも要望しておきたいと思います。
ありがとうございました。
166-衆-厚生労働委員会-2号 平成19年02月21日
◎精神障害者退院支援施設について
◎パート労働法改正における差別禁止の対象者の見込みについて
○山井委員 これから三十分質問をさせていただきます。
まず最初に、今も筒井議員から厳しく指摘がありましたが、先般の柳澤大臣の問題発言、もう本当に失言というより暴言だと思います。
ここで、あえて私は情けないのでその内容は申し上げませんが、やはりそういう意味では、これから日本の少子化対策の中心となっていく大臣としては、国民の信頼を失って、世論調査でも半数以上の方がやめるべきだと言っている、こういう状況においては、私たちとしても、厚生労働大臣としては不適格だと言わざるを得ません。そのことを冒頭に申し上げます。
それで、本日は、格差国会ということで、パート労働法改正、そして請負、派遣という本当に苦しんでおられる非正規雇用の方々のことを質問したいと思いますが、冒頭に一問だけ障害者のことを質問させていただきます。
といいますのが、お配りした資料の最後のページにあります精神障害者退院支援施設についてであります。
これは、ここに資料もございますが、簡単に申し上げますが、四月一日からスタートの予定で、十年以内に精神障害者を、社会的入院を七万二千人、地域復帰をさせるということで、もうここ七、八年、厚生労働委員会でも議論をしてきました。
そんな中で、重い重い約束として、日本は世界一精神病院に入っている社会的入院の精神障害者が多いという恥ずかしい状況を脱却するために、十年以内に退院をしてもらうということになったわけですね。このために、私もここ数年間、数回質問をしましたし、この厚生労働委員会でも数十回の審議がされたと記憶をしております。
にもかかわらず、最後の土壇場になって厚生労働省はとんでもないプランを出してきました。皆さん聞いて驚かれると思いますが、何と、病院の敷地内の病棟の看板を、退院施設と看板をかけかえたら、それで退院したことにする、社会復帰したことにする、そういうふうな退院施設なわけであります。
これをやることによって、標準期間は二、三年と言われていますが、それが二、三年で終わらない危険性は非常に高く、ついの住みかとなって敷地内に永遠に居続ける、そういうことになりかねない。しかし、統計上は病院からは退院したんです、もう社会的入院じゃないんです、福祉施設ですからと。こんなからくりをよく考えるなというふうに私も驚きました。
そして、このために九十四億円もの病棟を施設に転換する改築費などを出している。そういうお金はもっと地域移行のために使うべきであります。
名目だけの入院減らしになるのではないか。そして、看板のかけかえにすぎない。そして、これをやっていくと、ハンセン病と同じように、一生病院の敷地内に閉じ込めてしまうということになるのは確実であると私は考えます。
これを十月からやる予定が関係団体の大反対に遭って四月一日に延期したわけですが、四月一日からの施行も、これは当然撤回すべきだと考えます。石田副大臣、いかがですか。
○石田副大臣 今回のこの問題につきましては、受け入れ条件が整えば退院可能な精神障害者の方々について地域生活への移行、こういうことは大変大事な課題であるということは御存じのとおりでございます。
それと、退院支援施設について、長期に入院されている方々等が生活訓練を行って地域生活に円滑に移行していただくような必要がある。そういう意味で、選択肢の一つとして、こういう施設も必要である、このように考えております。
そして、その利用者については、しっかりと地域への移行を推進するための地域移行推進協議会、これを設立する。そして、地元の市町村との連携を図りながら、地域生活に向けた個別の支援計画による支援を行っていく、こういうことで地域生活への移行の円滑な促進を図っていきたい、こういうことで考えているものでございます。
○山井委員 また改めてこれは審議をさせていただきますが、これはもう大変なことになりますよ。精神障害者を一生病院の敷地内に、ここに入ったら社会的入院ともカウントされないわけですから、こういうことはぜひ撤回していただきたいと思います。
そこで本題ですが、格差是正国会、非正規雇用の方々の賃金、待遇をどう上げていくかということであります。これについてはまた法案審議でやりたいと思いますが、その中の最初に、パート労働法について質疑をさせていただきたいと思います。
このパート労働法について、読売新聞に二月十三日付でどのように報道されたかというのを読み上げさせていただきます。
差別的待遇禁止…パートタイム労働法改正案、決定
政府は十三日の閣議で、労働時間や職務内容が正社員とほぼ同じパートタイム労働者について、賃金面などで差別的な待遇を禁止する短時間労働者雇用管理改善法(パートタイム労働法)改正案を決定した。
柳沢厚生労働相は十三日の衆院予算委員会で、約千二百万人いるパートの「四、五%」が対象になるとの見通しを明らかにした。
というふうに、大きく読売新聞で報道をされております。
その報道の内容は、この資料にもあります。「パート法改正の差別禁止 対象は「四~五%」」と。そして、ほかの新聞でも大きく報道されております。
おまけに、この週末の、例えば「報道二〇〇一」の朝の番組でもこの数字は大きく報道されておりますし、まず最初に整理しておきたいのは、この格差社会是正の一つの大きな柱であるのがパート労働法の改正。そのパート労働法改正の目玉が差別禁止。先日の大臣所信の中にも、差別禁止を含んだパート労働法の改正をここに出しますということを大臣所信でおっしゃいました。そして、その目玉である差別禁止、何が今問題になっているかというと、私の地元の団体の方々も、四、五%もいるかということなんですね。
職務、責任が同一、まず第一条件。期間の定めのない無期、二番目。三番目、配転とかそういう人材活用などの仕組みも一緒。この三点セットなわけです。これをいわゆる正社員パートと呼ばれているんですね。正社員パートが四、五%もいるだろうか。私もこの週末、いろいろ聞いてみましたが、そんなにいるだろうかということが言われております。
例えば、この資料の中で八ページ目をごらんください。日経新聞一月三十日号で、イオンの人事担当課長は、該当するパート社員はいないということを答えておられます。
私は、ここで質問をしたいのは、この四、五%というのは多過ぎるのではないかということ。それと、そもそもその根拠は何なのかということであります。
そこで、柳澤大臣にお伺いをしたいと思います。
この四、五%の根拠は平成十三年の調査というふうに国会の答弁でも聞いております。そして、その調査は、きょう添付させていただきました調査結果、三ページ目、これですね、平成十三年、二十一世紀職業財団の調査結果であります。これは、この結果をして答弁をしたということを参議院の委員会でも答弁をされています。
そこで、まず柳澤大臣、この平成十三年の調査では、雇用契約期間、いわゆる有期雇用か、期間の定めのある雇用か期間の定めのない無期雇用かということは調査をしていますか。
○柳澤国務大臣 私の発言は、今、山井委員の御指摘になられたとおり、平成十三年の二十一世紀職業財団が実施した多様な就業形態のあり方に関する調査による数字でございます。
これによりますと、責任の重さが同じかパートの方が重いこと、あるいは残業、休日出勤が同じかパートの方が多いこと、三番目、配転、転勤等の取り扱いが同じであることも含めて同じ仕事をしているパートのいる割合は四、五%という数字を認識しておりまして、四、五%かなというふうに、私ももともと四、五と言っていることもございまして、四、五%かなと答えたというふうな記憶でございます。
○山井委員 それでちょっとお聞きしたいんですが、ですから、大臣が答弁の根拠とされたこの平成十三年の二十一世紀職業財団では、そのパートの方は雇用無期契約か、あるいは有期一年、二年とか、そういう期間の定めのある雇用か、そのことは調査はされていますか。
○柳澤国務大臣 私もその調査書そのものを全文読んだわけじゃありませんので、今この場でつまびらかにいたしておりませんけれども、契約期間の有無については承知をいたしておりません。
○山井委員 承知をしておりませんじゃなくて、ここで調べているんですかどうですかというのを聞いているんですよ。後ろで聞いてもらってもいいですから。これは非常に基本的な質問ですよ。
○柳澤国務大臣 契約期間の有無そのものは、調査をしていないということのようです。
○山井委員 わかりました。
それで、大臣も御存じのように、今回のパート差別禁止は三条件なんですよ。この配付資料の二ページ目を見ていただけますか。業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が同じ。職務の内容ですね。二ページ目のここに線を引いておきました。それで二番目、期間の定めのない労働契約を締結している、これが二番目の条件。三番目の条件は、職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一。これは三点セットなんですよ。
ところが大臣、この平成十三年の調査では、契約期間はそもそも聞いていないんですよ。ということは、大臣が答弁されたこの四、五%の中には、契約期間の定めのある人が入っているということになるかと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 そういう人たちも入っていないとは断言できないし、入っているかと思いますが、ただ、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じと回答したものであることから、いわゆる短期の契約者等差別的取扱禁止の対象とならないもののほとんどは、この配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じということからは既に除外されているのではないか、このように考えます。
○山井委員 でも、今のは非常に重大な答弁ですよ。
そうしたら、これは契約期間が有期か無期か聞かなくても、配転があるということでそれは無期だろうと推測できるということですか、今の答弁を聞いたら。大臣。
○柳澤国務大臣 要するに、調査のどんぴしゃりの結果はないものですから、それに類似しているものとして、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じということでもって相当のことが推測されるのではないか、こういう考え方のもとでこの数字を取り扱わせていただいた、こういうことでございます。
○山井委員 推測というのは、その四、五%のうち、有期の人がこれは含まれているわけです。
例えば、きょうお配りした六ページの、平成十八年のパートタイム労働者実態調査報告書では、パートの方の契約期間は、期間の定めのない人が二一%なんですよね。五人に一人なんですよ。パート労働者の五人に一人しか期間の定めがないわけですよ。
ですから、今回大臣が答弁された四、五%の中にも、かなりこれは、有期雇用の方、つまり、今回の差別禁止の対象になっていない方が含まれているおそれがあるわけですよね。四、五%でその有期の方が入っていない、ほとんど含まれていないという根拠は何ですか。
○柳澤国務大臣 私どもが今度差別的取り扱いの禁止の対象となるというふうに考えておりますパートの労働者というのは、期間の定めのない場合だけではなくて、期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合も含むというふうに考えておりますので、契約期間の定めの有無だけで判断をするということはできないのではないか、このように考えます。
○山井委員 ですから、この四、五%の中で、期間の定めのない人と反復更新の人はどれぐらいのパーセンテージなんですかと聞いているんですよ、大臣。
○柳澤国務大臣 その点については、調査結果として私どもがつかんでいるものはないということでございます。
○山井委員 それは調査結果がないというのは、調査していない数字を答弁したということですか、そうしたら。どういうことですか、それは。大臣。
○柳澤国務大臣 どんぴしゃり調査した結果はないわけですけれども、そこからかなりの程度推測できるという調査がたまたまございましたので、その調査について、四、五%かなというふうに考えていますということを申し上げたということでございます。
○山井委員 かなりの程度とかという問題じゃないんですよ。これは、パート労働法の一番の重要なポイントですよ。
そして、なぜ私がこんなことを言うのかというと、この要綱の中の二番目に、期間の定めのない労働契約というのが三点セットの重要な条件の一つに入っているんですよ。もし、かなり同一だったら、二番目の条件は要らないということになりますよ。法案、書きかえになりますよ、これ。そうでしょう。
ですから、四、五%のうち、無期の人は、そして反復更新の人はどれぐらいなんですか。
○柳澤国務大臣 期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合を含めることといたしております。
それが幾らかということについては、私どもは、いわばそのうちの四、五%というか、それも立場によって違う回答が出ているわけですけれども、そのうちどれぐらいかということについては、これは答える資料はないということを申し上げているわけです。
○山井委員 そうしたら、平成十八年の資料だと、二割がパートだと言っているから、例えば〇・二掛けたら、五%じゃなくて一%じゃないですか。どれだけ有期が含まれているかわからなかったら、これは四、五%と言えないじゃないですか、そうしたら、資料がないんだったら。
大臣は、差別禁止は全体の四、五%と明確に答弁されているんですよ。(柳澤国務大臣「かなと言っているんですよ」と呼ぶ)かなと言っていると。四、五%かなということを私どもは考えておりますと明確に答弁して、かなが入っているとかそういう次元の話ではなくて、新聞にも出ているじゃないですか、四、五%と。
そして、毎日新聞の社説にも四、五%だと出ているわけですし、朝日新聞にも大きく表にまでなって、差別禁止は四、五%と。その数字が、今の資料がないというのでは、それは通りませんよ。ちゃんと明確な根拠を言ってくださいよ。この四、五%がすべて無期あるいは反復更新だという根拠を言ってください。
○柳澤国務大臣 どんぴしゃりの数字はなかったので、それに近いものとしてこういう数字がありますので、我々はその近傍の数字だというふうに考えていますということを申し上げたのです。
○山井委員 柳澤さん、そういう答弁にはなっていないのですよ。差別禁止は四、五%かなという答弁になっているのですよ。
そうしたら、これ、答弁をもう一回ここで言いかえてくださいよ。差別禁止じゃなくて有期の人も含んだものが四、五%だという答弁にかえてくださいよ。
○柳澤国務大臣 先ほど来お答えいたしておりますとおり、期間の定めのある契約であっても、それが反復更新され、期間の定めのない契約と同視し得る場合も含めることになっております。
他方、アンケート調査かと思いますけれども、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じと回答したものが数字として把握されているわけですから、そういうことから私どもはそれを、先ほど申し上げましたようにこの差別取り扱い禁止の対象となるパート労働者の近傍の数字というふうにとらえて議論をお願いしたいのです、こういうことを申し上げたのです。
○山井委員 何回言ったらわかるんですか。ですから、無期雇用と反復更新で通常の労働者と同視できる人はこの四、五%のうちどれだけですかと聞いているわけですよ。有期の反復更新のものも含まれているわけでしょう、どれだけなんですか。ちょっと、同じ答弁だったらやめてくださいよ。もう四回目ですから、これ。
○柳澤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、どんぴしゃりの数字はなかったわけです。そこで、それと近い数字で、これもまた先ほど申したように、配転、転勤等の取り扱いが正社員と同じというアンケート調査に対して答えていらっしゃる数字でございますので、それから、我々の法律上の定義もそうしたものを含むということに明確になっておりますので、これをとらえて、近傍の数字であろうという想定のもとで、私どもは内部のいろいろな議論も進めていた、こういうことでございます。
○山井委員 だめですよ。委員長、ちょっとこれ、質問できませんよ。通常の労働者と同視できる無期か反復更新というのはどれだけのパーセントですかと聞いているのに答えていないじゃないですか。ちょっと一回時計をとめてくださいよ。五回も同じ答弁を聞いてもしようがない。
○谷畑委員長代理 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷畑委員長代理 それでは、速記を起こしてください。
今、山井委員の方からの申し出がありまして、少し理事同士の協議もいたしまして、次回にその数字を、考え方と含めて出していきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
○山井委員 これは非常に重要なことなので、その数字を聞いて、繰り返しになりますが、通常の労働者と同視できる人がこのパーセンテージの中に無期、反復更新で何パーセント含まれているのか、八割だったら〇・八掛けだし、二割だったら〇・二掛けでこのパーセンテージは全然変わるわけですから、これはすべての新聞記事、テレビ報道をかえないとだめになるわけですよ。
ですから、その答弁を聞いてから、私、残された時間、次、質問しますので、これで終わらせていただきますが、ちょっと理事さん、それで協議してください。その答弁を聞いて質疑します。
○谷畑委員長代理 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○谷畑委員長代理 それでは、速記を起こしてください。
今、理事との協議の中で、次回に、いわゆる考え方を含めて、しっかり出していただいて、そして、今、山井先生の残された五分の質問は、次回にそのことを譲るということで、もう一度していただくということでいきたいと思いますので、よろしく御了解のほどお願いを申し上げます。
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166-衆-予算委員会-6号 平成19年02月09日
◎事務所費の公表について
◎キヤノンの法令違反の内容の公表について
◎障害者自立支援法の実施による障害当事者や事業者への影響について
◎肝炎患者の救済について
○山井委員 民主党の山井和則です。
これから一時間にわたって、安倍総理を中心に、格差国会ということで、格差論議の第一弾をさせていただきたいと思います。
まずその前に、先ほど自民党委員からの質問の中で我が党の代表のことが触れられました。政治資金規正法に基づききちんと報告、公表されて、さらに、詳細を明らかにする旨先日の本会議でも明言している件について、何か違法なことでもあったかのような発言をされたことは甚だ遺憾であります。
政治資金規正法は、その第十二条第一項第三号において、「有する資産等」として、明確に「土地」「建物」「地上権」「土地の貸借権」を列記しております。
そこで、総務大臣にお伺いします。不動産の取得は規正法で認められていますよね。
○菅国務大臣 認められております。
○山井委員 認められているということであります。
我々民主党は、事務所費について国民に隠し立てしているとの不信を与えることのないよう、使途のはっきりしていない多額の事務所費の詳細を公表すべきと考えています。この点については、来週の十三日の質疑で同僚議員から、該当する、使途のはっきりしない多額の事務所費を計上しているここにおられる大臣の見解を伺い、議論をしたいと思います。
さて、この国会は格差国会であります。民主党は、そのため、格差是正緊急措置法案を今つくっております。私はその策定チームの事務局長をしておりますが、本当の格差是正ができるのは民主党なのか与党なのか、競い合おうではありませんか。
今や労働者の三分の一の千数百万人が非正規労働者、働いても生活保護以下の生活しかできないワーキングプアと言われる方々が約四百万人。格差是正は待ったなしであります。
安倍総理も最低賃金引き上げをおっしゃっておられますが、具体的に一円なのか十円なのか百円なのかはさっぱりわかりません。私たちは、全国平均で時給千円を目指して、その趣旨を書き込んだ法案を現在つくっております。アメリカでも最低賃金は時給五ドルから七ドルに引き上げることが決まり、今や、先進国で日本の最低賃金は最低になりつつあります。
また、短時間労働者、つまりパート労働法についても、政府もパート労働者の支援と言っていますが、現在の政府案の差別禁止は、千二百七十万人のパート労働者のうちほんの数%しか対象にならず、ほとんどのパート労働者は差別禁止の対象にならず、逆に、大部分のパート労働者への差別を容認しかねないパート差別法ではないかという批判すら出ております。
一方、民主党が策定している格差是正緊急措置法案では、すべてのパート、短時間労働者に対する差別を禁止するパート労働法改正を盛り込んでいます。政府のようにかけ声やスローガンだけではなく、民主党は具体的な実効性のある法案をつくっております。どちらが本当に格差是正、非正規労働者やフリーター、ワーキングプアの方々を支援する実効性のある法案なのか、勝負しようではありませんか。
さて、そんな中で、最初に、改めて柳澤大臣に要望したいことがあります。
それは、枝野議員から一昨日要望がありましたキヤノンの件であります。枝野議員は、偽装請負でたびたび厚生労働省の指導を受けているというキヤノンの新聞報道を取り上げました。そのような違法行為でたびたび国の指導を受けている企業のトップが、政府の基本政策を決める経済財政諮問会議の中心メンバーであるということはいかがでしょうか。この点について、厚生労働省には、キヤノンへの指導内容を公表し、この委員会に提出していただきたいと思います。柳澤大臣の答弁をお願いいたします。
○柳澤国務大臣 結論的に申しますと、個別の、今御指摘の企業名を挙げての現在の労働行政の執行の状況を申し上げるわけにはまいらないということです。
ただ、一般的に申し上げまして、労働者派遣法の法令違反が起こった場合にどうするかということを申し上げますと、各労働局におきましては、まず是正指導を行い、違法状態の解消を図っているところでございます。
また、派遣先につきましては、労働者派遣法において、このような是正指導を行ってもなお違反している場合には勧告が行われる、それで、この勧告に従わなかった場合には公表できる。こういうように、公表そのものが法制度の中で一種のペナルティーとしてしっかり法定化されているということでございますので、ただいま私が冒頭に申し上げたことのとおりとなるわけでございます。
○山井委員 これは、一般の会社ではなく、経済財政諮問会議のメンバーという政府の一員、公職であるわけですから、当然公表すべきと考えます。
それで、またこれも枝野議員が一昨日要望した件ですが、キヤノンの御手洗会長も、恐らくこの件について御意見、自分の御見解をお持ちでしょうから、この予算委員会に参考人としてお越しいただき、お話をお聞きしてはどうかと思います。再度、委員長にお願い申し上げます。
○金子委員長 理事会で協議をいたします。
○山井委員 さて、本題に入ります。
今の安倍内閣の格差拡大社会で最も御苦労されている、一番しわ寄せを受けておられるのが、障害者や障害のあるお子さんたちではないでしょうか。民主党が現在作成している格差緊急是正法案には、格差拡大の深刻な例としてこの障害者の問題を盛り込んでおり、去る一月三十一日に、議員立法として障害者自立支援法の改正法案も提出をいたしました。これは、定率一割負担、障害が重いほど自己負担が重くなるという天下の悪法、この部分を凍結するということを盛り込んで、昨年までの措置費、支援費制度に自己負担を戻す、そういう内容をメーンとしております。
そこで、以下、今の障害者や障害のあるお子さんたちが置かれている状況について、基本的な質問をこれから安倍総理に行わせていただきます。安倍総理も、以前、自民党の社会部会長であり、このような福祉の問題の御専門とお聞きしておりますので、基本的なお考えをお聞かせいただければ幸いでございます。
まず、障害者自立支援法について、一つだけパネルをまず最初にお見せして、簡単に御説明をしたいと思っております。
今問題になっていることが大きく四点あります。
一つは、定率一割負担、応益負担というものを導入したということで、大幅に自己負担がアップしたということであります。
二番目は、この法律によって、月割り制から日割り制というものに施設の報酬が変わりまして、その収入が大幅に減少して、そして施設職員の方々の給料やボーナスがカットされている。
それと三つ目は、障害者の方々の授産施設や作業所、そういう働きに行って工賃、一カ月の給料をもらっている場でも、給料を例えば一万円もらっているにもかかわらず、そこに働きに行ったら逆に一万五千円とか二万五千円払わねばならない、そういう現状が今起こっております。
最後に、こういう負担を一番直撃を受けているのが障害のあるお子さんたちの療育、児童デイサービスにおいても原則一割の負担が入って問題になっているということです。
そこで、安倍総理にまずお伺いしたいと思います。安倍総理、スペシャルオリンピックスというのはお聞きになったことはございますでしょうか。名誉会長を細川佳代子さんがされているということで、障害者の方々のスポーツなんですが、いかがでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 スペシャルオリンピックスというのは、これはパラリンピックとは違いまして、自閉症の方々とか知的障害の方々も含めて、そういう方々が参加をして、いわばメダルをとるという種類、タイプのスポーツではないわけでありまして、かなりこれは世界各国が注目をして、また参加をして、支援をしているわけでございます。これは、特にケネディ家が中心になってこの運動が始まった、このように承知をしております。
○山井委員 安倍総理、そのような取り組みをいかが思われますか。
○安倍内閣総理大臣 こうした取り組みは、障害を持ちながら、いわばチャレンジド、こう言われていますが、そういう中において、まさに目標を持って頑張っていこうという勇気を与える取り組みだろう、このように思います。
○山井委員 確かに、障害のある方々が新たな生きがいを持たれる、そういう勇気を持つというすばらしい取り組みだということを安倍総理から御答弁いただきました。
この新聞記事を見ていただきたいと思います。昨年十月三十一日の朝日新聞でございます。
「自立支援法で生活費負担増 スペシャル五輪断念 知的障害者 長野の施設 参加費捻出できず」、長野県の知的障害者の施設浅間学園が、障害者自立支援法のあおりを受け、熊本県で開催されるスペシャルオリンピックスの国内大会出場を断念していたことがわかった。自立支援法で学園の生活費の自己負担がふえ、参加費用の捻出が難しくなったという。大会関係者によると、長野以外にも自立支援法が要因で出場を断念したケースがあるという。スペシャルオリンピックス日本の細川佳代子名誉会長は、「長野以外も(同様の理由で)出場を断念したケースがあると聞いている。私たちの活動目的は障害者の自立と社会参加応援。そのチャンスを阻まれるのは残念だ」と話しておられる。
この法律、名前は障害者自立支援法ですけれども、この一例を見ても、障害者の自立を阻害しているんじゃないですか。安倍総理、いかがですか。
○安倍内閣総理大臣 私はその個別の例については詳しく承知をしておりませんし、また個別の例について質問の通告はございませんが、この障害者自立支援法につきましては、障害を持った方々もいわば引きこもらず、自宅とかそういうところに引きこもらざるを得ない状況から、社会や地域に出ていくように、そしてまた就労の機会、チャンスに恵まれるようにという目的でこの法律ができたわけであります。また、国の責任もこれは明確になっているわけでございます。
そういう中におきまして、負担の上限の設定、一割負担をお願いしているわけであります。みんなで支えていこうという精神のもとに一割の負担をお願いしているわけでありますが、負担の上限を設定するなど、また、障害が重い方の負担が過重なものにならないような仕組みをつくっているわけでありますが、さらに、現場の状況、皆様の声に耳を傾けながら、新たに、補正予算あるいは十九年度当初、そして二十年度の当初で千二百億円のさらなる予算を組んだところでございます。
○山井委員 いろいろ趣旨のすばらしさをおっしゃいました。障害のある方々が引きこもらないように、そしてまた就労ができるように、そういう趣旨は大賛成であります。しかし、おっしゃっておられる趣旨と実際起こっていることが正反対ではありませんか。
この障害者自立支援法、やはり現場では非常に苦しんでおられます。そこで、障害者の方々、在宅で暮らしておられる方々がどういうふうな御不便になっているかということを、次、またグラフで見てみたいと思っております。
これは障害者団体がやった三百八十七名に対するアンケート調査でありますが、自立支援法で自己負担がふえた、それによってサービスが減った、どんなことになったか。三百八十七人中ですが、トイレに行く回数を減らした方十七人、おふろに入る回数を減らした方二十四人、食事の回数を減らした方二十二人、外出を減らした方八十二人、その結果、体調を崩した方が一割以上の四十二人ということなんですね。
安倍総理、こういう現実に関して安倍総理はいかが思われますか。
○安倍内閣総理大臣 この後、厚生労働大臣から詳しく、今個別事例をいろいろと挙げておられますから、個別事例についても御説明をさせていただきたい、このように思うわけでありますが、法の施行後、毎年、この障害福祉サービスの予算につきましては一〇%以上の伸びを確保しております。また利用者数においても、前年度に比べて一〇%近くふえているのも事実であります。
障害福祉サービスは、全体としては着実に充実をしていると思います。そしてその上で、さらに、先ほど申し上げましたように、きめ細かな対応もしなければいけないということで、千二百億円の予算で特別の対策を講じたところでございまして、負担がより厳しいとされている通所の利用者や障害児世帯を中心にもう一段の負担軽減措置を行うことによって円滑な運用に努めていきたいと思っております。これは、まさに障害者の皆さんにとって、この仕組みをつくってよかったと思っていただけるような運用に努めていかなければならないと考えています。
○山井委員 安倍総理にもう一問お伺いします。
安倍総理、今、障害者の方々にこの法律を入れてよかったと喜んでもらえるようにとおっしゃったわけですが、みんな、もう本当に困っているわけです。
どういう声があるか。トイレに行くのにもお金がかかると。今までの支援費制度のときには、障害者年金しかない人は無料だったわけですね。トイレに行くのにもお金がかかる、食事をするのにもお金がかかる。生きていくための最低限の行為にすべてお金がかかるのはおかしいということを私の知り合いの障害者の方がおっしゃっておられますが、これについて、安倍総理、どう思われますか。
○柳澤国務大臣 実際に委員の今おっしゃられたようなことがどこで起こっていらっしゃるかということも……(山井委員「全国で起こっていますよ」と呼ぶ)いや、そういう意味ではなくて、入所の方々で起こっているのか、あるいは在宅の方々で起こっているのか、そういうこともやはりしっかりと指摘をしながら問題を我々に提起していただかないと、私どももイメージのしようがないわけでございます。
それで、私どもは、通所、在宅の方々であれば、特にその方々に対して今回配慮する措置を講じたのでございまして、その後の状況なのか、あるいはその以前の状況なのかということも、非常に我々としては関心があるところでございます。
○山井委員 これは、特別対策でやっても、ここに厚生省の資料がありますが、現在が、通所の授産施設だったら、低所得者、無料で利用できた方が一万二千五百六十円になった。でも、これが低減になっても八千八百円にしかならないわけですね。
安倍総理に根本的なことをお伺いします。障害が重いほどたくさん自己負担をせねばならない、このような制度というものに関してどう思われますか、総理として。
○安倍内閣総理大臣 であるからこそ、我々は負担の上限を設定しているわけでありまして、軽減措置を図っている。そして、先ほど申し上げましたように、通所の方々あるいは障害児を持たれている世帯の方々に対して、さらなる軽減措置を講じたわけでございます。
○山井委員 今、安倍総理、だからこそ軽減措置を図っていると言うならば、軽減措置を図る前に、そもそも、障害が重いほど自己負担が重くなるというこの定率一割負担の制度を導入しなかったらいいじゃないですか。
○安倍内閣総理大臣 この一割負担というのは、みんなでこの仕組みを支えていこうという基本理念において、障害者団体の方々とも話し合いを行いながらこれは導入したわけであります。多くの方々も、自分たちも一緒に負担していくんだ、そしてその中で当然……(発言する者あり)
○金子委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 サービスを利用していく上において堂々と利用していくし、また、利用を提供するサービス側に対してもいろいろと意見も堂々と言える、こういうことでございました。
そしてまた、いわば障害が重い方、当然、その中で一割という率であればそういうことになっていくわけでありますが、介護保険制度も一割ということによりまして、これは介護が重くなっていく上において重たい仕組みになっていくわけでありますが、しかし、その中で当然、この障害者の方々に対しては、先ほども申し上げましたように、軽減措置を講じているところであります。
○山井委員 今、介護保険とのかかわりをおっしゃいましたが、若いときにしっかり働いて資産を形成する能力がある、そういう介護の問題と、もともと障害があってなかなか就労のチャンスに恵まれないというケース、もっと言えば、障害のあるお子さん方、全く所得、収入が本人にはない、そういうケースというのは全く違うわけなんですね。
そこで、今、安倍総理からも、障害のある御家庭あるいはお子さんたちに関してはかなり配慮をしているという御発言がありましたので、お聞きしたいと思います。
実は、きょう、与党の議員の方々からも、この障害児の療育の問題、ぜひとも頑張らないとだめだという励ましをいただいたんですが、一歳半健診などで、生まれた赤ちゃんに障害があるということがわかったときのショックというのは非常に大きいわけですね。先日お目にかかったあるお母さんも、一カ月半の間毎日、ティッシュの箱がなくなるぐらい泣き続けたということをおっしゃっておられました。
そういう方々にとっての一番大切なサービスが、安倍総理、児童デイサービスや通所療育サービスと言われるものなんですね。週に何回か、あるいは毎日、その専門の施設に行って、そこに行くことによってお母さんも、子供がいろいろな障害で言うことを聞いてくれないともうパニックになってしまったりしている、それに対してどういうふうなかかわり方をしたらいいかとか、そういうことが教えられたりするわけです。
安倍総理、こういう障害のある御世帯に対する療育サービスについていかが思われますか。安倍総理に感想を聞いているんです。いやいや、感想を聞いているんです。(発言する者あり)
○柳澤国務大臣 一割負担と先生はおっしゃいますけれども……(発言する者あり)いやいや、そうじゃなくて、上限というのは定額なんです。上限は定額ですから、スライドして、サービスの量にスライドして伸びていくというものではないんです。もう頭打ちになってしまう。その頭打ちの限度を四分の一にしたということでございますから、これは最大限でも九千三百円ということでございますので、通常の介護だったら三万七千二百円なのが今度は九千三百円になったということでございますので、そこはよく御理解を賜りたいと思います。
○山井委員 質問もしていないのに勝手に出てこないでください。
安倍総理、今の療育サービスについていかが思われますか。
○安倍内閣総理大臣 ただいま委員長が指名をされたから、厚生労働大臣が立ったわけであります。確かに私が手を挙げたわけでありますが、指名するのは委員長の権限ではないか、このように思うわけでございます。
それでは、お答えを申し上げます。
我々も、障害者の方たちに対して、障害者の方が大変な困難を抱えている中で頑張っておられる、それを支援していく、そういう思いがあるのは同じですよ、それは。その中で、みんなでそれを支えていく仕組みをつくって持続可能なものになっていく、そういう安心感の中で、そしてさらには、先ほど申し上げましたように、その中で就労したいという方々には就労を支援していく、当然のことであるわけでありますが、その支援を行っていく。あるいはまた、きめ細かな、先ほど大臣から答弁をいたしましたように、対応、軽減措置もとっていく、それは当然のことであります。
その中でさらに、現場において新しい仕組みを導入するわけでありますから、いろいろなきしみが起こっているのであれば、これは我々もそうした声に耳を真摯に傾けながら対応したところでありまして、その中で我々は、緊急に補正予算の中にも含め、そしてまた十九年、二十年の当初予算も含めて千二百億円の予算を、対策を組んだわけであります。その中でも、特に通所の方々が厳しい状況にある、また、障害児を持っておられる世帯の方々が厳しい状況にある、そういう方々を中心に我々は対策を組んだわけでございます。
○山井委員 安倍総理、思いの問題と実際起こっていることとは違うんですね。それは、精いっぱい障害のある御家庭を応援したいという思いはわかりますよ。でも、私がきょう聞いているのは、実際、今やっていられることは逆の結果になっていますよということなんですよ。
それで、実際、この障害者の療育や児童デイサービスでも、自己負担のアップによって利用抑制、何と九月、十月の二カ月だけで千六百人もの障害のある御家庭がこのような児童デイサービスや療育サービスを完全にストップしたり、利用回数を減らしているわけですね。それで、今年度から、この四月から軽減をしたとしても、去年の十月よりは数倍高い自己負担を払わねばならないわけですよ、特別対策をした後でも。
実際、あるお母さんはおっしゃっていました。この療育サービスを受けていなかったらどうなっていましたかと言ったら、もう自分は子供と一緒に心中していたかもしれない、療育サービスに行くことによって、自分も同じ悩みを抱えていられるお母さん方と出会って本当に救われたと。また、あるお母さんはおっしゃっていました。ここでいい療育サービスを受けて、だからこそ、やはり自分だけで我流でやっているのと、プロの方々のお世話を受けて指導を受けるのとで、全然違うみたいなんですね。もし療育施設に行かなかったら、学校に上がってからまたいじめを受けていたんじゃないか、でも、それでも、かなり療育施設でサービスを受けて成長することができたという声もありました。
もっと言えば、将来の人生にもかかわるんですね。二歳から六歳の間は一番いい療育サービスを受けることが大切なんです。脳の発達もあります。体の発達もあります。本人にとっても家族にとっても一番大切なサービスが、この障害者自立支援法によって、サービスの利用が抑制あるいは中止に千六百人もなっている。実際、私の地元の調査では、その数倍じゃないかと言われているんですね。
だから、安倍総理が、自分たちも思いは一緒だ、頑張っているという答弁はそれで結構なんですが、実際、逆の結果が起こっていて、特別対策をやっても自己負担は去年よりも数倍になる、こういう現実について安倍総理はどう思われますか。
○安倍内閣総理大臣 まず私から答弁して、詳しくは厚生労働大臣から答弁しますが、先ほど申し上げましたように、利用率においては一〇%、これは向上しているわけでございます。
そしてまた、個別の例でいろいろと申し上げますが、この仕組みを導入した大きなねらいの一つは、障害を持っている人たちが家に引きこもらなくてもいい、社会にも出ていけるし、就労するチャンスをつかむことができるようにしていくという制度でございます。
東京都の知的障害者の小規模通所授産施設におきましては、それまで、書類封筒詰め、ペン封入作業などを実施して、座位作業から立位作業への転換等、作業の効率化に努めた結果、平均の、均衡賃金約九万円を実現したという例もあるわけでございまして、そういう、うまくいっている例もあるわけでございます。
つまり、この制度を導入するまでは……(発言する者あり)
○金子委員長 御静粛に願います。
○安倍内閣総理大臣 このように、収入をある程度実現することができなかった方々が、収入を引き上げることに成功している事例もあるということも申し上げておきたいと思います。
○山井委員 安倍総理、今、私は非常に大事なことをおっしゃったと思いますよ。全体としてサービス利用者はふえているんだと。でも、そうじゃないでしょう。全体が伸びることも大事ですけれども、実際、その陰で、今まで利用していたのに利用できなくなった方がたくさんいるという、このことが問題なんじゃないですか。それでうまくいっているケースもあるとおっしゃいますが、政治というのは、うまくいっているケースよりも、逆にそういうセーフティーネットからこぼれている人に配慮をするのが本来の政治なんじゃないですか。
安倍総理、子どもの権利条約、これは一昨日も高井議員が質問をされました。一番根本的な理念ですので、読ませていただきたいと思います。子どもの権利条約、九四年に日本も批准しております。第二十三条の三項で、障害を有する児童の特別な必要を認めて、与えられる援助は、父母または当該児童を養護している他の者の資力を考慮して可能な限り無償で与えるものとすると書いてあるわけですね。これを批准しているんですよ。にもかかわらず、これだけ負担増をしている。やはり、こういう子どもの権利条約にのっとって、かなりお金のある方は払うのは結構でしょうけれども、財政的に厳しい方は無償にする、そういう方向性について、これは基本的な考え方ですから、安倍総理、いかが思われますか、こういう考え方。
○柳澤国務大臣 山井委員が障害者の問題について非常にいろいろの情報をお集めになられて、私、厚生労働委員会でいろいろなことを、情報をもたらしていただいた、そういうことを踏まえて今回の特別措置を講じたのでございます。それでございますので、そのことをぜひ理解していただいて、山井委員のように障害者の方々と非常に意思疎通がよくいっていらっしゃる方々だったら、この四月からはこうなるんだから、それでひとつお考えいただいたらどうですか、そういうことこそやっていただきたいと私は思いますよ。
いいですか。ですから、今度の、四分の一なんです。所得の少ない人は……(発言する者あり)
○金子委員長 御静粛に願います。
○柳澤国務大臣 一番低いんだったら三千七百円なんです。ですから、もう、一日当たり百何円というようなことで、できる限りの配慮をしている。それで、一番所得のある方でも、先ほど申し上げたように九千三百円ということに今度は引き下げていただきましたので、ぜひもう一度お考えいただいて、通所の方も入所の方も、特に通所の方、在宅の方が問題なんですが、ぜひこの新しいスキームのもとで御利用をいただいて、そして、先ほどの、この制度の本来の趣旨をぜひ生かしていただきたい、このように思います。
○山井委員 これは特別対策をやっても、ここに厚生省の資料がありますが、低所得の方は、千百円だったのが五千円になる。五倍に高くなっているんですよね。それで、今、柳澤大臣、数千円だという話になりましたが、私は、そこの感覚、本当に御苦労されている方々の感覚とちょっとずれているんじゃないかと思いますよ。
ここに、障害児のお母さんからいただいた手紙があります。
九月までは九千三百円だったのが、十月以降は二万円になった。そして、ぜんそく予防に毎日薬を服用のため、かかりつけの小児科医へ週二回、障害がある子供のための歯の予防、治療、言語指導、摂食指導で障害者口腔センターに毎月二、三回、眼科二カ月に一回、耳鼻科二カ月に一回、発達診断の病院に六カ月に一回、そして学習支援のコース、年に約十三万円もかかっている。子供にかかる家庭の出費が負担になることは明らかです。弱い立場の人からお金を巻き上げなくてもいいではありませんか。幼児からこのような不安があるのですから、成長するにつれ、もっと費用がかかるのかと思うと、この法案には憤りを感じざるを得ません。
私が言いたいのは、このような、自立支援法だけじゃないんですよ、お金がかかるのは。病院に行っても、そこに行く足代もかかる。そして、本当だったら、パートをして、その何千円か値上がりになったものを稼ぎたいけれども、障害のあるお子さんがおられたらパートにも行けないわけです。私が話を聞きたいと言っても、預かってくれる場所もないから国会にも来れないんですよ。そういう意味では、ただでさえそういう御苦労をされている方々に、なぜさらに負担をかけるのか。もっと軽減をしようと言うべきところじゃないのかと私は思います。
それでは、安倍総理にお伺いをします。このような状況の中で、非常に残念な事件が起こりました。昨年の十二月六日に、琵琶湖のほとりで、障害のある娘さん二人とお父さんが無理心中をされたという事件が起こりました。安倍総理、このことは御存じでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 報道等によって承知をしております。
○山井委員 そして、その報道が、自立支援法の影響もあったと書かれていることについては御存じでしょうか。
○安倍内閣総理大臣 私は、自立支援法とのかかわりについては、それは承知をしておりません。
○山井委員 この記事を見てください。ここに書いてあります、「障害の娘二人負担重く」、滋賀県の「甲良の無理心中」「父「将来不安」と遺書」「のしかかる自立支援法」と。
でも、不思議ですね。この無理心中が報道されているのは、自立支援法の影響ではないかということでこの無理心中の事件は非常に残念ながら報道されているわけで、安倍総理が、この無理心中は知っていたけれども、自立支援法の影響があったかもしれないということは知らなかったというのは、非常に何か変な話のように思います。
それで、娘さんが、十歳、十四歳という障害のあるお子さんが養護学校に通っておられました。お父さんが四十歳。そして、自立支援法で、ヘルパーの利用がそれまで月千円だったのが六倍の約六千円に増加。そして、短期間娘さんを預かってもらう短期入所サービスが、千円だったのが、自立支援法によって二万円となりました。出費が痛いと役場の職員にお父さんはこぼしておられたそうです。親子水入らずの時間は週末だけで、一緒に博物館にも行きました、娘もとてもうれしそうでしたと学校の連絡ノートに残っておりまして、お父さんがみずからお弁当をお子さんたちのためにつくる、非常に子煩悩な方だった。残念ながら三年前に奥さんが病死をされてしまわれていたということなんですね。
それで、十二月の初旬、「週末明けの月曜日。三人の遺体は、車の中で折り重なって見つかった。」と。そして、この問題について、やはりここに書いてありますように、「四月に施行された障害者自立支援法。過重な負担が父の背中にのしかかっていた。」というふうに報じられております。
つけ加えておきますが、これは滋賀県であります。滋賀県は、全国で最も軽減措置をやって、いろいろな措置をやって、まさに今回政府が発表された特別対策を先行してやっていたところであります。まさにこの滋賀県をある意味でまねて、今回特別対策をやったわけです。そういうところでもこういう事件が起こったわけなんですね。
安倍総理、聞きづらいことをお聞きしますが、この御家族にとって自立支援法というのはプラスに働いたと思われますか、マイナスに働いたと思われますか。
○安倍内閣総理大臣 それは前もって、個別の事例について質問されるのであれば、それを前もって通告していただかなければ、それについてどういう状況かということは、我々としてもその背景について調べさせていただかなければいけないから、これはわからないじゃないですか。(発言する者あり)
○金子委員長 お静かに願います。
○安倍内閣総理大臣 そして、先ほど申し上げましたように、この自立支援法というのは、もちろん、障害児を持っておられる方々については、厳しい状況があるということにかんがみて、特別対策を行いました。しかし、この障害者自立支援法においては、これによって、先ほど例として挙げましたように、工賃が上がっていった人もたくさんいるわけであります。それを実現した人もたくさんいるんですよ。
先ほど申し上げました例もありますが、それとはまた別に、大阪府の知的障害者の授産施設においては、それまで縫製作業等で月平均で大体三千円から一万円ぐらいの工賃だったものが五万円に上がった、これは洋菓子の製造販売に事業を転換して、その中で、この授産施設で働く障害者の方々の月平均の工賃が五万円を実現した、こういう例もたくさんあるわけでありますよ。そういうことを我々は実現するためにこの障害者自立支援法を進めているということもどうか知っておいていただきたい、このように思います。
○山井委員 安倍総理の現状認識が現場と大きくかけ離れていることに私は驚きました。
今回の自立支援法で、工賃は下がっているんですよね。実際、私の地元の施設でも、一万円だったのが七千円になりました。その理由は明らかです。ここに京都新聞の報道もありますが、全国的に障害者施設で年収が一割減、ここに、報道に出ております。こういうふうに大幅に減っているわけですよ。障害者施設の収入が減っているんですから、工賃も下がる方向に働くのはある意味で仕方がないことなんですよね。
それに対して安倍総理は、そういう一部の例外的な、本当に例外ですよ、自立支援法で工賃が上がったところというのは、そういうところを取り上げるということに関しては、私はやはり現状認識が大きく違うのではないかというふうに思います。
それで、今工賃のことをおっしゃいましたので、続いて安倍総理にお伺いします。
私の知り合いの、よく行く知的障害者の施設であります。そこでは、知的障害の方々もこういう織物をつくって、これはコースターであります。これは百六十円でありますが、こういうものを日々つくって、そして、週末やバザーやいろいろなお祭りには、毎週末のように、御両親や、主にお母さんですが、当事者の方々が出かけて、こういうものを売り歩いているわけなんですね。それで一万円という工賃を得ているわけです。こういう障害のある方も、こういう可能な範囲で織物とかをやって、それで一万円を稼がれるということに関して、安倍総理、どう思われますか。
○柳澤国務大臣 そのような通所の共同作業所等で一生懸命、ある意味でこれは創造的な仕事という範疇のものだと思いますけれども、そうしたことを実にけなげにやっていらっしゃることは、私どももよく承知をいたしております。
そういうことで、むしろ、できるだけそれが、値段が高く売れるように私ども努めていかなくちゃいけない、このように考えます。
○山井委員 そういうものができるだけ高く売れるように努めると。
それで、この施設は一カ月の工賃が一万円だったわけですね。しかし、ここに厚生省の資料がありますが、今回の自立支援法で、そこから平均すると、食費も含めて一万二千五百円を徴収する。つまり、働きに行って、それよりも自己負担の方が多くなったわけなんですね。
安倍総理、これはやはり、働く場で、逆に働きに行ってお金がかかるということが就労の支援になると思われますか。実際、今何が起こっているかというと、今までは子供が働きに行ったら一万円を稼いできてくれた、ところが、この自立支援法が入ってからは逆にお金がかかる。そして、この特別対策をやってでも、この厚生省の資料にありますように、低所得者の場合は八千八百円、ほぼ工賃が消えるぐらい払わないとだめになってきているわけなんですね。
だから、先ほどから安倍総理の答弁のキーワードは就労支援ということなんですが、実際にはこの自立支援法で、特別対策をやったとしても、働きに行ったら、その半分か全額以上を逆に払わないとだめな制度にしてしまったわけなんですね。これは、やはり障害者の労働意欲をそぐのではないかというふうに思います。
それで、安倍総理にお伺いしたいんですが、先ほどからいろいろな答弁をされていますが、実態をぜひ知っていただきたいのは、これは個別の話じゃないんです、全国の平均的な話をしているんです。三千万円、一つの施設で自立支援法以降赤字が出ました。そしてそれは、六年間、来る日も来る日も、お祭りやバザーや週末のいろいろなときに、御両親や当事者や、一番多いときにはボランティアの人が百人以上手伝って、地域を挙げて障害者の施設を応援しようということでためてきた三千万円、六年間かかったお金が一年間で、自立支援法で、赤字になって消えてしまったんですよ。
安倍総理、私はやはり、普通の企業の収入減という話と、こういう、本当に地域や家族やボランティアが支えておられる施設というのは違うと思うんですよ。今回の特別対策で九割の保障をされるということですけれども、本当に涙と汗で稼がれた、そういうところの収入が自立支援法で減るというのは私はおかしいのではないかと思います。安倍総理、いかがですか。
○柳澤国務大臣 まず、工賃の点は、山井委員もよく御存じだと思うんですけれども、これは、平均の一万五千円を上回るというような事態を避けようということで今回の特別措置を講じました。
それからまた、今いろいろおっしゃっていただいたんですが、収入が六万六千円まででしたら、資産をこの場合には調べさせていただきますけれども、五百万円以下であったらこれはゼロにするというようなことでございますので、今いろいろなケースをおっしゃられましたけれども、非常にきめ細かな措置が今回講じられております。
先ほどのことを申しますと、当初一万五千円を上限にすると言っていた、低所得者第一の階級についても、これを三千七百五十円にする、低所得者二については、二万四千六百円にするというのを六千百五十円にするとか、あるいは、年間収入六百万円程度の方ですけれども、三万七千二百円というのを九千三百円にするというようなことで、極めてきめ細かな措置を講じておりますので、この四月から新しい制度のもとで、ぜひこの制度を御活用いただいて、さらにまたいろいろ問題があれば、我々聞くにやぶさかでないというか、十分聞いて、この制度の定着を図ってまいりたい。山井委員も、この方向は悪くないとおっしゃった上での御議論をなさっているわけですから、ぜひそのような方向での御努力をお願いしたい、このように思います。
○安倍内閣総理大臣 私ども、今回の千二百億円の措置によりまして、今言われたような問題についても、収入保障を九割に引き上げたわけでございます。また、いわば工賃と利用料との関係におきましても、ただいま大臣から答弁をいたしましたように、平均工賃一万五千円を下回る場合には、それを超えないような措置をとったわけであります。今回も、おおむね年収の六百万円以下の方々については、すべて、平均の工賃一万五千円を下回る利用料にしているわけでございます。
こうしたきめ細かな配慮を行いながら、当初の目的である障害者の方々の、未来を見詰めて就労したいという方々の夢が実現するように、我々はこの制度をさらに、運用していきながら、また障害者の方々の声にも耳を傾けながら、障害者の方々にとっていい制度となるようにしていきたいと思います。
○山井委員 過去一年半、この議論はし続けてきているんですよ。それで私たちが、野党が、こういう法案をやったら大変なことになりますよということを必死で訴えた。それを、強行採決したんじゃないですか、与党が。今聞いた答弁、一年前にも聞きましたよ、まずはやってみましょうと。その結果、何になりましたか。工賃を上回る利用料を払って、まさに安倍総理が、障害者が引きこもらないようにとおっしゃったのに、利用料が高いからと言って、どんどん今、引きこもる障害者がふえているじゃないですか。
残念ながら、私が聞いただけでも三組の御夫婦が、十月に自立支援法が障害児の療育サービスに導入されてから、離婚をされました。もちろん、その理由がすべて自立支援法にあったとは言いません。自己負担が九万円だったのが三万七千円に上がった、十月から。ではどうするんだと。今までからうまくいってなかった御夫婦だろうかとは思いますが、その中でそういう、障害のあるお子さんを育てる御家庭というのは、ただでさえ大変なんですよ、それは。そういう方々に対して、この自立支援法はそういう方々の負担を軽減させる方向に行っているのか、それか、重くする方向に行っているのか、その根本的なことを私は聞いているんですよ。いろいろ軽減措置とおっしゃっているけれども、去年の十月は四月より上がっているじゃないですか。
そして、これは非常に重要なことがありますよ。所得に応じての応能負担から、応益負担、定率一割負担に変えたことによって、実は、ごく一部の高所得の方々だけは自立支援法で自己負担が減っているんですよ。そして、低所得の人ほど自己負担の倍率は高いんですよ。まさにこれが格差社会じゃないですか。
安倍総理、法律というのは一番困っている方々を守るものじゃないですか。しかし今、一番困っておられる方々に対して負担を与えていると思います。法律というのは人の命と暮らしを守るものです。にもかかわらず、逆に、法律の影響も一つじゃないかということで、こういう心中事件やあるいは離婚された家庭というのも出てきたという話も出ている。にもかかわらず、柳澤大臣は、一回やらせてくださいよ、そう言ってこの法律をやったんじゃないですか。そしてやってみて、一年で千二百億もつけないとだめになるような、まさにそれは欠陥法じゃないですか、完全な。どこにそんな法律があるんですか。
○安倍内閣総理大臣 しかし、委員はそのようにおっしゃいますけれども、先ほど申し上げましたように、利用者は一〇%はふえているわけであります。そしてまた、予算におきましても、障害者全体について一〇%ふやしていますし、自立支援に対しては一一%、我々は予算をふやしているわけでございます。
そして、さまざまな軽減措置をとっております。月額六万六千円までの収入の方は、定率負担をゼロにするということもしております。そしてまた、新たに食費等の負担をいただくことになる入所施設の方については、食費等の負担をしても少なくとも手元に二万五千円が残るように、負担を軽減しているわけでございます。
そしてまた、利用者負担につきましても、今回の千二百億円の施策によりまして、実際は一割負担ということになっておりましたが、居宅サービスでは四%、そして通所サービスは四%、入所サービスは五%、このように、一割ということではなくて、四%、四%、五%という負担になっておりますし、さらに、利用者負担については上限が設定をされておりますので、重度の方ほど負担率としては低くなる、こういう仕組みになっています。
○山井委員 民主党は、ですからこそ、そこまで軽減軽減とおっしゃるんだったらもとに戻せばいいじゃないですか、そういうことで法案を出しているわけです。
先ほどちょっと九万円から三万円と言ったみたいですが、間違いで、九千円から三万円に値上がりしたということです。
安倍総理の答弁で、私、一番気になるのは、トータルで人数がふえたからそれでいいじゃないか、そうじゃないんですよ。トータルの人数がふえようがどうしようが、この法律によってサービスを受けられなくなった人が数多く、数千人単位で出ているという、その現実に目を向けてほしいんです。
それで、時間の関係もありますので、最後にB型、C型肝炎のことに移りたいと思います。
先日、安倍総理は、係争中の中国残留孤児の方々、裁判で負けた方々に会われました。しかし、B型、C型肝炎の感染者の方々は三百九十万人。そしてこれは、B型肝炎に関しては、こういう注射針、皆さんも経験あると思いますが、昔は回し打ちでしたね、これによって感染したと言われるそういうB型肝炎の訴訟で、十七年かかって、ここに新聞報道もありますが、最高裁で勝訴したわけですね。にもかかわらず、まだ政府の幹部の方には一人も会ってもらえない。
そして、C型肝炎に関しては、ここにございますこのフィブリノゲンですね。アメリカでは、当時もう禁止をされていた。C型肝炎ウイルスが混入しているということで禁止をされていたこのフィブリノゲン、それを放置したということで、日本では訴訟が起こっておりまして、多くで国が負けております。しかし、国はまた上告をしております。
やはり、こういう、感染者は三百九十万人、そして、B型、C型トータルすればその中の半数ぐらいの方がそのうち肝硬変になって肝がんになるのではないか、こういう切実な問題に対して、ぜひとも、安倍総理、お会いになって、やはり政治決着をやっていただきたいと思うんです。
二つまとめて質問をしますが、ぜひとも会っていただきたい、中国残留孤児の原告の方々に会われたように。それとともに、ハンセン病の訴訟のときにも、小泉総理の政治決着で最後は収拾が図られました。やはり今回も、裁判をしている間に、原告の方や多くの患者の方々が肝硬変、肝がんになって亡くなっていかれるわけなんですね。一刻の猶予もないと思います。ぜひとも、治療費の助成を含んだ抜本的な救済策を講じて、そして、訴訟を長引かせるのではなくて、政治的な決断を安倍総理にお願いしたいと思います。
○安倍内閣総理大臣 さまざまな事情によってB型肝炎、C型肝炎になられた方々の御苦労は大変なものがある、このように思っております。またさらに、その肝炎が悪化した事態になったときの状況等に対して不安を持って日々生活をしておられる、こう思うわけでございます。その中におきまして、B型肝炎のケースまたはC型肝炎のケース、それぞれあるわけでございます。
現在、B型肝炎につきましては最高裁の判決が下された、このように承知をしているわけでございますが、この患者さんの皆様方の声をどのように私ども聞いていくか。総理として私が会うかどうかは、また係争中ということもあり、それは勘案をしなければならないわけでありますが、そのことも踏まえ、そしてまたさらには、これはやはり政治的にも判断が必要であろう、このように思うわけでありまして、そうしたことを勘案しながら判断してまいりたいと思います。
○山井委員 C型肝炎の東京地裁の判決は三月二十三日に出ます。これは、ほかのトンネルじん肺の訴訟もそうですが、上告、上告とやっていけば、結局やっているうちに、残念ながら、原告の方々や御病気の方々は、高齢ということもあって御病気で亡くなっていかれるんですね。裁判ばかりに任せるのであれば、立法府、政治というのは必要ないと思います。ぜひとも、三月二十三日をめどに、この肝炎の問題も政治決着をしていただきたいと思っております。
安倍総理、障害者自立支援法の問題ですが、先ほども言いましたように、こういう親子心中というような、そんなことも起こってきているわけです。これはどこの場所でお亡くなりになられたかというと、湖東三山、琵琶湖の東の湖東三山の、もみじの名所の西明寺というお寺の門前なんですね。その車の中でしちりんをたいて、親子三人が一酸化炭素中毒で亡くなられた。なぜその場所であったかというと、その西明寺の前であれば、子供たちも天国に仏様によって導いてもらえるんじゃないかという最後の親心だったわけですね。
政治というのは、最も弱い人々を助けるのが政治ではないでしょうか。政治というのは弱い人たちのためにあると思います。にもかかわらず、安倍総理は、今回の参議院選挙の争点が憲法改正というようなこともおっしゃっておられる。しかし、きょうの御答弁を聞いてみても、一人一人の障害のあるお子さんや障害者がどれだけ苦しんでいるかという実態をお話ししても、工賃がふえているところがある、そして就労支援をしていると。安倍総理がおっしゃっているその答弁と実態は全然違うんですよ。安倍総理はこういう一般の庶民の痛み、生活というものが、やはりちょっとわかっておられないんじゃないかというふうに、私はきょうの答弁を感じました。
憲法改正とか、そういう大きな議論をする前に、日々、障害のあるお子さんたちを抱えた御家族は、本当にこの子の将来どうなるのだろうかということで、本当に必死に生きておられます。ここに障害者の施設のパンフレットもございますが、本当に一人一人の障害のあるお子さん方がこれから社会でどうやって生きていくのか。いじめに遭うんじゃないか、就職はできるのか。そして、親亡き後、子供はどうやったら生きていけるのか、そんなことで、日々の暮らしで苦しんでいるわけです。そして本当にお母さん方も、親子心中をしようか、そんな思いを持ちながら苦しんでいる。
そして、肝炎患者の方々も、この肝炎というのは、感染してから二十年、三十年たってから発病する、あした、あさって発病するんじゃないかという、そんな恐怖におびえながら暮らしておられる。そういう、一日一日苦しみながら生きておられる方々の声を、一番最優先で対応するのが本当の政治なのではないでしょうか。
○金子委員長 時間が参りましたので、簡潔に願います。
○山井委員 安倍総理、私は最後に申し上げたいと思います。
滋賀県の障害者福祉の開祖である糸賀一雄先生はこうおっしゃいました、障害児の方々のことについて。この子らを世の光にということをおっしゃいました。本当に美しい国というのは、障害のあるお子さんや障害のある人々も笑顔で暮らせる社会、それこそが本当に美しい国なのではないでしょうか。
きょうは、格差是正の第一弾で障害者のことや肝炎のことについて取り上げましたが、これからも格差是正についてしっかりと議論していきたいと思います。
ありがとうございました。
明日、2月9日(金)の予算委員会で、民主党のトップバッターとして、山井が質問に立つことになりました。
質疑の様子は、NHKで生中継される予定です。
時間は、16時~17時の1時間。
<質問に向けてのメールマガジンより抜粋>
今日までお世話になった方々への感謝の気持ちを胸に秘め、「政治は弱い人々のためにある」という私の政治理念をしっかり訴え、安倍総理と正々堂々と論戦をします。民主党は、この国会を「格差是正国会」と位置づけており、格差是正緊急措置法案を現在策定中で、3月には国会提出の予定です。
私は、民主党の格差是正チームの事務局長として、法案策定に取り組んでいます。今回は、格差の1つとして、障害者自立支援法で苦しむ障害者や障害児の方々に関して質問し、安倍総理から格差是正と、障害者や障害児の支援についての答弁を求めます。