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厚生労働委員会議事録(障害者自立支援法)

165-衆-厚生労働委員会-8号 平成18年12月06日

○山井委員 これから三十分間、自立支援法の見直しについて議論をさせていただきます。
 まず冒頭ですが、きょうの午前中は、本当に参考人の方々から非常に貴重な現場の声をお聞きすることができました。また、この声を真摯に受けとめて、この自立支援法の見直しに、私たち国会議員、取り組んでいかねばならないと思っております。
 そしてまた、この間、新聞報道等によりますと、自民党、公明党が千二百億円程度の補正予算を要求している、また、政府も内々そういうふうなことに合意しつつあるというようなことも聞いております。こういう障害者福祉というのは、ある意味で政党、党派というのは関係なく、みんなの願いが障害者が地域で暮らせる社会をつくっていきたいということですから、この間の自民党、公明党、そして、厚生労働大臣を先頭とする、また中村局長を先頭とする厚生労働省の障害福祉部の方々の御努力には、本当に敬意を表したいと思っております。やはり、現場で困っておられる方々は非常に多いですから、この補正予算をてこに、障害者の方々が喜べる社会にしていかねばならないと思っております。
 また、その前提としては、十月三十一日に、一万五千人以上の、史上最大の障害者関係者の方々が日比谷公会堂や国会周辺に集まられて、自立支援法、出直せということで運動をされました。やはり、その方々の現場の声、そういうものが政治を突き動かしてきたんだと思います。
 私たち民主党は、きょうの資料にもお配りしておりますように、臨時国会が始まって当初、自立支援法改正法案というものを提出しました。ここに資料もございます。一割負担、応益負担の凍結、それと施設への財政支援ということを書きまして、六つの緊急提言も書きました。先ほどから与党の方々の見直しの御議論を聞いておりますと、ある意味で、私たち民主党を初めとする野党が、この一年半、こういう問題が起こりますよということを言ってきたことや、また我が党が臨時国会冒頭に緊急提言をしたことが多く含まれております。そういう意味では、やはりこういう声を真摯に踏まえて、これからも議論をしていきたいというふうに思っております。
 そこで、限られた時間ですので、順番に申し上げたいと思います。

 まず最初、私たちの法案にも書いてございます、応益負担の凍結、一割定率負担の凍結のことについて質問をさせていただきたいと思います。
 この資料の中の三ページ目に、私の住んでおります宇治市で、ここに書いてございます十四の施設関係者の方々が市長あてに要望を出されました。私も、すべての関係者からもう何回も話を聞き、この四月以降、本当に悲鳴にも似た要望を聞いてきております。
 少しだけ読み上げますと、自立支援法の「理念や考え方とは裏腹に施設の現場では利用者負担の増大、支援費の大幅減に伴うさまざまな問題がでています。法施行に伴い利用者負担の増を理由に施設を退所する方、サービス利用を控える方が生じています。」「施設経営も現状のままで推移していけば施設の運営自体が困難になってくることが予想されます。しかし、日々の利用者支援にあたっている施設の現場においては、施設の経営がどんなに厳しくなっても、常により質の高いサービスを利用者に提供していくことが求められていることはいうまでもありません。」こういう声もございます。
 また、この資料の一番後ろと二枚目に、これも私、日々聞かされている現場の悲鳴が、地元の洛南タイムス、城南新報でも報じられております。これは、保護者の方々、施設の方々が宇治市議会に要望されたときの記事でございます。ある施設職員の方は、次のように語っておられます。「職員の安定的雇用ができず、利用者へのサービス提供に影響が出るが、サービスは落とせない。にっちもさっちも行かない。」また、次のページによりますと、ある保護者の方は、「「自立支援法が続く限り、地獄の生活を送ることになる。処置費に戻してほしい。それでも一割負担をしろ、給食費を払えというなら払う。しかし、施設だけは何とか守ってほしい」と涙ながらに懇願」されたというふうに出ております。本当にこの自立支援法で現場の方々は苦しんでおられるわけです。
 我が党の菊田議員、田名部議員からも質問がありましたが、そもそもやはり応益負担に問題があるのでないかと、午前中、藤井参考人からも話がありました。冷静に考えていただきたいんですが、好んで障害を持って生まれたわけではありません。そして、重い障害がある人ほどより多くの利用料が必要となるというのがこの応益負担の考え方です。でも、障害が重ければ重いほど働くチャンスは減って、所得を得るというチャンスも低いわけですね。その人に対してより多くの自己負担を求める。やはり、これは本当に、この理念、正しいでしょうか。
 それともう一つ。午前中も藤井参考人がおっしゃっておりました。この法律は、やはり越えてはならない一線を越えたのではないか。つまり、私も多くの障害者から聞かされたのは、なぜトイレに行くのに、なぜおしっこをするのにお金がかかるんだ。一般の人だったらお金がかからないわけですね。それによって、先ほどの尾上参考人のDPIの方々のアンケートでは、四割の人がサービスを減らしておられる。どんなサービスを自立支援法の自己負担増によって減らしたかというと、トイレを我慢している、外出を我慢している、入浴の回数を減らした、こういうことになっているわけです。
 そこで、お伺いをしたいと思います。この利用料以外に食費や交通費も別途あるわけで、やはりこの応益負担、定率一割負担は凍結して、応能負担に戻すべきではないでしょうか。あるいは、もっと大胆に軽減をすべきではないでしょうか。大臣、いかがですか。

○柳澤国務大臣 障害者自立支援法につきましては、たびたび申し上げておりますように、これが当初の措置費から支援費に変わり、支援費をぜひもっと安定的な財源で裏打ちしてもらいたい、かたがた、障害者の支援については地域的な偏りもあるので、それを全市町村の障害福祉計画のもとでみんなが均てんできるような、利用者が非常に拡大できるような、そういう制度にしたい、こういうようなことでつくられたものでございます。
 そうした中で、これを一部、九割は財政で背負うわけですけれども、残りの一割について負担をしていただきたいということを制度として導入させていただいたわけですが、しかし、よく考えてみると、やはりそこには所得による一定の限度もあるじゃないかということで、これについては上限を設ける。さらには、いろいろな形で減免措置も講ずることによって、きめ細かに支払いの能力に対応できるような、そういう制度にしようということで一歩一歩進めてまいりました。そうしたことによって、この制度が円滑に運用され、定着し、そういうようなことで障害者のできるだけ多くの方というか、ほとんど全部の方がこの制度のもとで地域の普通の生活ができる、そういう方向に持ってまいりたいということでつくり出した制度でございます。
 したがって、私どもとしては、基本の制度の趣旨は守りながら、それに沿う形で、現実の移行期にありますこの困難さというものに対して必要な施策を講じて、先ほど申したように定着を図っていきたい、このような考え方をとっているわけでございます。

○山井委員 今私が聞いた肝心の、重い障害のある人ほどなぜ重いお金を払わねばならないのかということに対する御答弁はございませんでした。このことは大きな問題提起として受けとめていただければと思います。
 次に、日割り制の問題です。
 自己負担の問題とともに、要は人数割りから日割り制になったということで、本当に施設経営は非常に厳しくなっております。九割ぐらい保障するという声も政府から出ておりますけれども、私も現場を回っておりますが、逆に言えば、一割マイナスというのはやはり非常に厳しいわけなんですね。ですから、やはり日割り制をなくすなり、あるいは九五%か一〇〇%、ある程度保障する。そうしないと、きょうもるる議論があったように、職員の方のボーナスが減った、あるいはリストラされた、正規職員が非正規職員になった、それではいいサービスができないわけであります。
 その点について、大臣、いかがでしょうか。
    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○柳澤国務大臣 障害者自立支援法におきます事業者への報酬の支払いは、日払い方式になったわけでございます。これは、利用者にとりましては複数のサービスを組み合わせて利用することができるということ、それからまた事業者にとっては、利用者から選ばれる存在になることによってサービスの向上に努めることが促されるというようなことから、こうした制度を導入させていただきました。
 現に私が訪ねました施設におきましても、この制度になってから、どこか別のところの通所の施設がいいかもしれないといって自転車でそちらの方に出向いてしまった人がいるんですよと、施設の長が苦笑いしながら話をしておりました。現にそういう反応がもう起こっているということも、現実の一端でしょうけれどもあるわけでございまして、そういたしますと、今私が申し上げましたように、やはり事業者も本当に利用者の方に目を向けて、利用者の方々に魅力のある、そういう施設にしなければいけない、こういうようなことも促されざるを得ない、そういうことにもなろうかと思いまして、この日割り方式ということには非常に意味が、我々のねらいとしては込められているということをぜひ御理解賜りたいと思います。
 しかし、さはさりながら、実際に移行期で、まだそれほどのいろいろな心構え、準備ができないうちにそういうことが現実のものになるということには戸惑いもあるだろうということで、私どもは従前の報酬の八割を保障しますということを申し上げたのでございますけれども、今回、与党の方々からは、別途これをもうちょっと引き上げるようにという御提案がありましたので、私どもとしては真剣に検討して、改善が図れるものなら図りたい、このように考えているというところでございます。

○山井委員 これに関連して、利用抑制が非常に深刻な問題となっているんですね。結局、本当はきょうは体調が悪いから休みたい、でも施設の報酬が減るから休めない、あるいは、風邪を引いて休むときは、本当にごめんなさいと施設に謝って休まないとだめだ、あるいは、よく休む重度の方がなかなか施設に通いにくくなる、そういう深刻な問題も起こっているわけです。
 この利用抑制について等、きっちりと厚生労働省がフォーマットをつくって、全国の自治体に利用抑制の調査などをすべきだ、経営実態や雇用の問題、そして滞納の問題等をすべきだということを今までからお願いしておりましたが、この件について答弁をお願いいたします。いつ調査結果が出ますか。

○柳澤国務大臣 たびたび山井委員を中心とした方々からそういう強い要請がございまして、私どもも、実態を把握することは何よりも必要である、こういうようなことから、現在、調査を行っております。
 共通のフォーマットで、そうした利用抑制というようなことを中心として今尋ねているわけでございますけれども、やはりこれはかなりきめ細かな調査が必要になってくるというようなことから、やや時間がかかっているわけでございます。できるだけ早くこの調査結果を皆さんにお示しするように、今、努めているところでございます。

○山井委員 要望ですが、年内には出していただきたいというふうに思っております。
 それでは次に、引き続きまして療育、きょうの午前中も池添参考人からございました療育のことについてお聞きしたいと思います。
 私の家の近所にも、宇治福祉園、かおり之園、双葉園などの、障害児の療育をやっている施設がありまして、この二週間、私もずっと回ってまいりました。しかし、そこで出会ったのは、二歳、三歳の障害のあるお子さんを抱いたお母さん方が、この自立支援法は何とかしてほしい、そういう本当に切なる願いを聞かされました。先日もTBSの番組でも、鎌倉市の療育施設でお母さん方の悲鳴、それも報道されておりました。この鎌倉市の例でも、平均的に四、五倍、自己負担が上がったというわけであります。
 そこでお伺いをしたいと思いますが、やはり午前中お越しになっていた参考人の方々もおっしゃっておりましたが、若い世代はただでさえ収入も少ない、そして、障害のあるお子さんがおられたらパートにも行きづらい、そしてまた、ただでさえ障害のあるお子さんを育てて苦労されているところをさらに応益負担で一割定率負担というのは余りにも酷ではないか、やはりこれは応能負担に戻すべきではないかというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 障害児を持たれた親御さんというのは本当に御苦労が多いということも、私も近回りにそういう方がいらっしゃいますので、よく承知をしております。
 そういうことで、山井委員からはせめてこの部分だけでも、応益制というのは私どもこれを申し上げておりません、むしろ定率負担ということで理解をお願いしたいわけですけれども、それを撤回すべきではないかということでございますが、私どもは私どもなりの配慮をさせていただいておるということもひとつ御理解いただきたいわけでございまして、就学前の障害児の方につきましては、一般の子育て世帯との均衡を図るということで、保育所の保育料程度の負担水準になるように負担を軽減させていただいた。それから、入所施設につきましても、課税世帯のうち、より所得の低い世帯という区分を設けさせていただいて、これに対して負担の軽減を行ったところでございます。
 しかし、この点についても、今回、与党の方で経過的な措置ということで申し入れがなされましたので、これについて私ども真剣に検討させていただきまして、現行制度の運用がより法の趣旨にのっとったものになりますように必要な対応を検討していきたい、このように考えております。

○山井委員 ぜひ大幅な軽減をお願いしたいと思います。
 続きまして、まさに今、保育所でも利用料を取っているんだからという議論がありましたが、保育所は日割り制になっていますか。療育施設で本当に困っているのは、職員の人はいるわけですね、ところが今、インフルエンザがはやっていますよ、お子さんが来なくなったら、その分、収入が入ってこないわけですよ、でも職員の方はいるわけですね。そうしたら、何回も休みがちな子供というのは、ある意味で不採算なお子さんといってはじき出されかねないという問題もあるわけですし、二歳や三歳の子供が急に体調が悪化して休むのは、もうこれは仕方ないじゃないですか。でも、休むときに、先生、休んでごめんなさいと言って休んでいる。やはりこういうのはどう考えてもおかしい。
 繰り返し言いますが、保育園に行って、幼稚園に行って、子供が病気で休んだらそこの収入を減らす、そんな制度がありますか。これはやはり障害児いじめじゃないですか、こういう制度は。職員の方も、これだけ発達障害児などのニーズがふえ、急拡大している、待機児童もふえている、にもかかわらず、経営は日割り計算でますます苦しくなって施設がつぶれかかるのはどう考えてもおかしいということをおっしゃっております。
 この施設への財政支援なり、日割り制を見直すということについて、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 保育所が日割りであるということは、私、聞いておりません。そういうことはないというふうに認識をいたしております。
 このたびの施設の事業者につきまして、日割りになったことによって、特に通所のケースが多いと思いますので、通所の場合にはなかなか減免のところの適用者が少なくなっているというような調査のデータもございますので、それらに配慮して、今回、従来の報酬の八割を保障するということについてさらなる上乗せの提案がございましたので、これについて検討をして対処をしていきたい、このように考えております。

○山井委員 もう一つ、現場に行って深刻な相談を受けました。それは、こういう通所をする療育施設においても、障害の申請をしないとサービスを利用できないんですね。ところが、やはり二歳、三歳という親も障害をなかなか受け入れられないときに障害の申請書を出すというのは、なかなかこれはハードルが高いんです。
 今、発達障害のお子さんも含めたら六、七%、多い人は一〇%、二〇%とさえおっしゃっているんですね。より多くの人が利用しやすく、間口を広くする、それはやはりこういうところを早いうちから利用した方がその後の発達保障にも役立っていくということは明らかであると思います。
 その意味では、具体的な提案になりますが、こういう申請書の中から障害という言葉を除く。例えば、将来の発達の開きが予想されるとか、将来の発達のばらつきが予想されるとか、何らかの表現に変えたり、また障害福祉サービス受給証というのも、児童デイサービス利用証でいいと思うんですよ。やはりできるだけ利用しやすいように改善していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 これは非常に、山井委員の現実に即してよく事実をごらんになった立場からの御質問だと思って、受けとめました。
 私の友人で、知的障害を持っているかなり重症の障害児をお持ちの方がいらっしゃるわけですが、彼が言うには、こう言うんですね。ずうっと何にも言葉を発しない、しかし、ある日突然、本当に父親たる自分の言葉に反応することを常に夢見ているということを聞いたことがあります。
 そういうようなことで、こういう障害をお持ちのお子さんを持っている御両親も、やはり現実に、障害というものをこういう形で現実ではあっても突きつけられるということに、恐らくきつい思いをされるということは十分あり得ると思います。この点は、委員の御発言の趣旨がどうやったら生かされるかということで、今後、工夫、検討してまいりたい、このように思います。

○山井委員 ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。
 それで、少し非常に残念な新聞記事を読み上げさせていただきたいと思います。昨日の中日新聞の朝刊であります。
 滋賀県甲良町の駐車場で、四日夜、とめてあった乗用車から三人の死体が見つかった。父親四十三歳と、いずれも養護学校に通う長女十四歳と二女十歳。死因は一酸化炭素中毒で、無理心中と見られる。母親は三年前に他界し、父親は在宅支援サービスを活用しながら一人でまな娘を懸命に育てていた。その生活を一転させたのは、四月からの障害者自立支援法。過重な負担が父の背中にのしかかった。
 生活が苦しい、娘の将来が不安、車内に残された遺書には絶望の言葉がつづられ、自宅からは消費者金融の督促状が見つかった。娘二人は二〇〇三年四月から養護学校に通学していた。十一月、母親が病死。子供は自宅から通っていたが、平日は養護学校の寄宿舎などで過ごすこととなった。
 四月に施行された障害者自立支援法がじわりと父親を追い込む。ヘルパー利用は、本人負担がこれまでの月千円程度から月六千円にふえ、受けた短期入所費も、千円程度だったのが二万円に膨れ上がった。出費がかさむと職員にこぼしていた。
 父親は、五年前から勤めている製造業の工場で、平日の朝九時から夕方五時まで、月給は月に二十数万円ほど。まじめで無口。同僚に家族のことを話すことはなかった。
 父親は、仕事帰りに、十一月三十日、役場の福祉課を訪れたが、そのとき、十二月一日のサービスをキャンセルした。週末明けの月曜日。三人の遺体は車の中で折り重なって見つかった。
 この一家の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 おとついです。もちろん、こういう真相ということはなかなかわからないかもしれません。しかし、審議の際にも、ただでさえ御苦労をされている障害者の御家族に負担を与えるのではないかと大きな問題になりました。また、この三月にも、去年より五倍もの障害者を巻き込んだ心中事件が起こって、このままいけばこういう犠牲者がふえるんじゃないかということが委員会でも指摘をされていました。きょうの朝の藤井参考人も、障害者の家庭というのは鉛をおぶって歩くようなものであるという話がありまして、そして、今回の自立支援法は、その鉛をおぶってさらに坂道を歩けというような法律だということをおっしゃっていました。
 大臣、この滋賀県は全国でもトップレベルの先進地です。そして、今回政府がやろうとしている九割保障とか軽減を先取りしてやっているところなんです。それだけのことをやってもこのような悲劇が起こってしまっているわけであります。その意味では、私は、今回の軽減策なり見直しは急いだ方がいい、それも大幅にやらないと大変なことになる、そういうふうに思います。
 大臣、このような痛ましい犠牲者をもうふやさないという御決意を語っていただきたいと思います。

○柳澤国務大臣 いずれにしても、私も、もしそういうことが事実であれば、本当にお気の毒だというふうに申さざるを得ないと思います。
 私ども、そうした悲劇が起こらないように、本当にきめ細かく、負担能力をよく見て負担のレベルを決めていこうということで今いろいろと努力をいたしておるところでございますので、ぜひそういったもので、正確な情報と申しますか、相談なぞもぜひしていただいて、そして、そうした悲しい結果につながるようなことのないようにしていただきたい、こういうように思います。
 私どもとしては、今申し上げましたとおり、いろいろな方面からの御意見、さらには我々の調査のデータを踏まえて改善をしてまいりたい、こういうように思っております。ただ、国の制度であるだけに、すぐあしたからとか、ただいまからというわけにはまいりませんので、よく利用者の皆さんも新しい改善策等についても正しい御理解をいただいて、そういうようなことについて余り悲しいことを引き起こさないようにぜひお願いをいたしたい、このように申し上げます。

○山井委員 お母さんからのお便りを一つ読ませていただきたいと思います。きょう、午前中、参考人に来られた方からいただきました。
 息子が二才すぎた頃から、他の子と違うと感じ初め、二才半の時に小児科へ行き、いきなり五分程で”この子は自閉症です。”と言われました。二~三枚の説明書きを渡され、”障害”という事はまったく考えもしない現実と受けとめれない私達がいました。先生に療育をする事でこの子達の未来も自分で出来る事も増え、いろんな経験を通して成長します。との言葉に私達は自分の子供でありながらこれからどうかかわってあげればいいのか全くわからず、障害児の療育施設へ通う事にしました。それまで半年の期間がありましたが、家で子供と二人きりでいると精神的にも肉体的にもつかれ、この子と一緒に死んだ方がこの子のためかなとパニックをおこすたびに考えました。でも同じ子供をもつ親との交流や親身に息子にかかわってくれる先生や苦手な事に経験をかさねていくことで克服していく息子の成長を見れた時に、どんな子供も成長する力があり、親も子供とのかかわり方を日々勉強できました。
 私のまわりの人でもこの自立支援法が施行されてから、毎日お金の問題で療育に行けない人もいます。子供をのばしてあげれる場を、お金のために奪わないで下さい。長い人生生きていくため、親がいなくなった後も少しでも自分でできる事をふやし一番脳が発達するこの大切な時期を見守っていただけるのなら、この法案をもう一度考えてほしいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
という療育施設に通っておられるお母さんでした。
 最後に申し上げますが、やはり、党派を超えて、そして厚生労働省の方とも一緒になって、何としても、障害者が暮らしやすい、そして、やはり日本に暮らしてよかったと障害者の方が思えるような形にしていかねばならない。その意味では、私は、今回の補正予算、またきょうの参考人質疑は、これで終わりではなくて、ここからスタートで、どうやってこの困っておられる方々を支えていくかということの大きな議論をこの厚生労働委員会でせねばならないと思います。この法律一つが障害児の人生、障害者の命を左右しているということの重さを私たちは感じねばなりません。
 最後に、大臣にお答えいただきたいんですが、そういう趣旨も踏まえて、ぜひともこの補正予算の中でも、こういう療育児の、障害のあるお子さん方の支援というものにも大幅にやはり支援をしていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 ただいま山井委員がおっしゃられたとおり、障害児の皆さん方は、施設を利用することによって少しでも発達、それからいい方向への状況の改善ということの希望がふえるんだろう、こういうように思います。ですから、施設をできるだけ円滑に利用していただけるように、所得の状況に応じて御負担いただけるような、そういうことを目指して改善をしていきたい、このように考えております。

○山井委員 ありがとうございました。

Posted at 2006年12月06日 12:00 | TrackBack
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Comments

先生・・・
東京の重度の自閉症の娘を持つ母親です。
現在、授産施設で軽作業を行っていますが
月給は1000円です。
それでもいい・・・本人が喜んで通ってくれればと行き場のある施設に本当に嬉しそうに行っています。
でも障害者自立支援法が施行されてからは、本当に苦しい生活です。我が家は都営住宅に住んでいますが、娘の報酬が1000円であるのにも関わらず、給食費の実費、重度ですので3万円弱の負担を強いられ、まるでずっと私立の大学費を払わせているようです。
軽減措置も区から送られてきましたが、資産届なるものがあって、家族全ての預貯金の残高最後のページの添付を要求されたり、ここまでさらさないと障害者は働いてはいけないのでしょうか?プライバシーも無いし、税金を使わせてやっているんだから何でもしろみたいなやり方で悔しい思いをしています。
好きで障害になったわけじゃないです。
苦労してここまで育てて来ました。並大抵の苦労ではなかったです。合併症で水頭症もあるので、汚染硬膜が出回った時期にも脳外科手術を受けているのでヤコブ病も心配です。
汚染血剤の時期も重なり、エイズでは無い事がわかりましたが、厚生労働省には踏んだり蹴ったりの人生を味わっています。
それでも親だから頑張れます。娘の笑顔の為なら何でも我慢できます。でも、親が亡き後、この障害者自立支援法は生計を共にする高額所得者にかかるわけです、つまり兄弟たちに重い荷が待っているかと思うと、例え妹思いの息子でも好きな人生を歩ませたいのが親心でして、それでなくても小さい頃から娘に手がかかり、淋しい思いをさせたのにも関わらず一度も困らせた事の無い子です。昨年の12月に障害者権利条約で「全ての障害者は差別なく同年齢の市民と同等に扱う」というのが決まりましたが、まるで矛盾してますよね?
障害者の親たちは、恥ずかしい国日本だと思っていますし、日本で障害児を育てる事の難しさ、後退した福祉、弱い物苛め、差別された格差社会と絶望の淵にいます。
質問してくださり本当に本当にありがとうございます。あまりマスコミにも取り上げられず、取り残されてる孤独感がありました。
どうか、これからも私たちの立場になって、代弁して頂きたくお願い申し上げます。

Posted by: 対田 和美 at 2007年02月16日 00:43

相楽郡加茂町(現木津川市)在住のいちサラリーマンで、障害のある子供(自閉症)の親です、昨年の夏に地元の報告会で山野井先生に意見を述べさせていただきました。この厚生労働委員会の議事録の内容ですが・・・まさにこの通りであると思います。昨年はじめてお話を聞き、代議士がこの問題についてかくも真剣な取組みをなされていることに対し、厚くお礼申し上げると伴に今後も、継続して、障害者自立支援法の改正に向けれ、尽力して頂きますよう、付してお願い申し上げます。
私もいちサラリーマンで年齢的にはくだり坂であります。自分の子供の将来を思うと、この資料あったような、滋賀県の一件について、深く憂慮するものであります。この問題は与党・野党を問わず、超党派でご議論いただけますよう希望します。代議士の取組みについて、いち市民として、応援しております。
障害者の気持ちは当事者しかわかりません。われわれも努力して、自分の子供が世話になる作業所に協力したいと思っております。

Posted by: 村上康行 at 2007年03月17日 10:46
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