165-衆-厚生労働委員会-3号 平成18年10月27日
○山井委員 これから三十分間、柳澤厚生労働大臣に、続きまして自立支援法についてお伺いをさせていただきたいと思っております。
まず何よりも、柳澤大臣には、これからしばらくこの委員会でお世話になりますが、どうかよろしくお願いを申し上げます。
また、この間、先ほど柳澤大臣からもお話がありましたが、障害福祉部の方々におかれましては、全国の実態調査、本当に早急にしていただいたんだと思っております。この間、ここ一、二年になるかもしれませんが、自立支援法の施行に対して一番残業が多い部が障害福祉部ではないかと思っております。そういう中で、いろいろこちらの資料要求にもこたえていただいたことに心より感謝を申し上げたいと思っております。
また、何よりも、きょうも福島議員からも自立支援法の質問がありましたが、こういう障害者福祉は、特に党派を超えて、やはり障害のある方、もちろん望んで障害を持って生まれておられるわけではございませんわけですから、こういう障害者が社会で、そして望めば地域で暮らせる社会、自立生活をできる社会をつくっていく、これは党派を超えた願いであると思いますし、特に国会議員は、こういう弱い立場の方々の声を真摯に受けとめていかねばならないと思っております。
私、この三十分間を使ってやりたいのは、柳澤大臣、現状認識なんです。要は、現状認識が間違っていると対策が間違うのは当たり前なんです。もう施行されて半年もたっております。そして、その現状認識として、このたび厚生労働省からペーパーが出てまいりました。私が配付させてもらいました「障害者自立支援法の実施状況について」、一から五ページまででございます。月曜日にこれが発表になりました。
そして、私、今回お願いをしまして、もとの二十六都道府県の生データというのをいただき、同僚議員とともに読み込ませていただきました。大体、量でいいますとこれだけあったわけですけれども、二十六の原本を読ませていただきました。一言で言いますと、地方自治体からの悲鳴ですね。それとこの五ページの厚生労働省の発表とに、かなり落差があるのではないだろうかというふうに私は感じておりますので、そのことを一つ一つ議論をしていきたいと思っております。
そして、この資料の中の最後から二ページ目、通し番号でいきますと二十四ページ目に、先ほど園田議員、郡議員からも言及がありました、我が党の障害者自立支援法改正法案というものの要旨についてお配りをさせていただいております。簡単に申し上げますと、応益負担、定率一割負担を緊急事態として今は凍結する、やはりサービスの利用抑制や不安が非常に高まっているから、これを一たん凍結する。
そしてまた、今、郡議員からも切実な話がありましたが、作業所、グループホーム、そして多くの事業者が、このままではやっていけないという悲鳴を上げておられます。やはりこの方々が存続していけるように、今までのサービスが維持できるように、そういう支援をしていくということ、そして、この六つの緊急提言というものも述べさせていただいております。ぜひとも、この法案の審議、そして集中審議や参考人質疑をお願いしたいと思っております。
それで、早速入らせていただきますが、まず大臣にお伺いします。
今回、〇・三九ショックと言われているんですね。この資料の八ページ、新聞に出ております。「負担増で利用中止〇・三九%」「障害者〇・三九%が施設利用中止」、〇・三九、〇・三九と。これを見ると、八ページに新聞のコピーがございますが、ああ、割と低いのかなというふうに、一般の人が見るとそういう印象を受けるわけで、これ自体が、現場からすると、何かちょっと自分たちの現場の実感と違うなという意識があるわけです。
そこで、柳澤大臣に事実としてお伺いしたいんですが、今回、通所施設、入所施設の利用を中止した人は実数として何人で、それは何%に当たるのか、そのことをお答えください。
○柳澤国務大臣 これは実数を調査したということがなくて、率でもって答えていただくというか、公表されたものを集計したということでございますので、実数は、今ここでというか、我々のところでは把握しておりません。
○山井委員 本当にそんな答弁でいいんですか。これは全部実数が書いてありますよ。質問通告もしてありますし。時間もないんですから、質問通告したことぐらいぱんと答えてくださいよ。
答えられないのなら時計とめてくださいよ。こんなことで、ちょっととめてください、一たん。委員長、とめてくださいよ。これは通告している話ですから、ちょっと一たんとめてください。
○櫻田委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○櫻田委員長 速記を起こしてください。
柳澤厚生労働大臣。
○柳澤国務大臣 今手元に持ち合わせておりませんけれども、原資料に当たって調査をさせていただけば、あるいは実数の把握ができるかもしれません。
○山井委員 いや、ちょっと待ってください。これは通告していることですから、それでは通りません。これでは納得できません。きのう通告したんだから。それはだめですよ、そんなの。そんなんじゃ質疑する意味ないじゃないですか。それはちょっと困りますよ。頼みますよ。
ちょっととめてください、一たん。まず時計とめてくださいよ。三十分しかないんですから、ちょっととめてくださいよ。
○櫻田委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○櫻田委員長 速記を起こしてください。
柳澤厚生労働大臣。
○柳澤国務大臣 大変失礼しました。
資料を探しまして、十四府県の単純な合計によりますと、百八十五名の人がこのサービスを中止したということを掌握しまして、今申し上げた〇・三九という計数を計算した、こういうことでございます。
○山井委員 これも質問通告してあるんですが、その入所と通所のパーセンテージはそれぞれ幾らですか。
○柳澤国務大臣 十四府県のうちで、入所施設の退所者数が三十四名、通所施設の中止者数が七十九名、このように掌握しております。
○山井委員 ちょっと、三十四と七十九を足したら、さっきおっしゃった百八十にならないですよ。
ちょっととめてください。ちょっと待ってくださいよ。委員長、ちょっととめてくださいよ。こんなことをやっている時間はないんですから。ちょっと頼みますよ。
○櫻田委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○櫻田委員長 速記を起こしてください。
柳澤厚生労働大臣。
○柳澤国務大臣 今回の調査におきまして、県の公表をもとに我々集計をさせていただきましたので、一部の県については入所、通所別の申告がなかったということで、今のは、十四府県のうちデータが明らかな府県における入所、通所別の人数を申し上げたということでございます。
○山井委員 誠実に対応していただきたいです。実数とパーセンテージを質問通告で言っているんですから。
それで、私の事務所で計算したのがこの半ぺらのページで配っております。そちらと微妙にカウントが違うかもしれませんが、通所の場合は〇・七四%、入所の退所率は〇・一七%となっております。もしかしたら、計算方法で多少違うかもしれませんが。これはまた後で触れますが、次の質問に行きます。
それで、どういう現状かということで、長野県の調査にはこういうことが書いてございました。
事例一、サービスをとめた、または減らした例、資料の六ページですね。工賃が一万円だけれども、利用者負担が今回の自立支援法で一万二千六百八十七円に上がった。その結果、工賃を上回る利用料を払うことになったわけですね。ホームヘルプサービスの利用時間を五時間から三時間に減らした、買い物や外出などに利用していたが、自分でできる範囲で頑張ることとし、行事等の参加は我慢する。行事等の参加を我慢するようになってしまったわけですね。
次の事例二は、工賃が二万五千円だった方が、利用者負担が二万二千円になった。その結果、工賃と同じぐらいの利用者負担金を払わねばならなくなったため、通所をやめた。
そして、事例三では、工賃より高い負担金を払った例として、一万五千円の工賃だった方が、二万九千円も利用者負担を払うことになってしまった、こういう事例なわけですね。
柳澤大臣、次の七ページでありますが、次は沖縄の調査であります。こういうサービス利用を中止した方がどうしているかという調査があります。在宅でサービス利用なし十一人、その他・不明六人。就職または就職活動中、これもどうしているかというのがまだめどが立っていないわけですね。過半数の方がサービスを受けていられないなり不明なわけです。
柳澤大臣、やはりこれは自立支援法の負担増の影響でサービス利用を中止して、そしてどうなっているかわからない、この実態調査というのは早急にしないとだめだと思うんです。
ことし三月一カ月だけでも、去年は一件だったのに、ことしは六件も障害者あるいは障害児が親から殺されて、親も自分の命を絶つという無理心中が起こっているんですね、六倍も。もしこれが引きこもってしまって、本当にそういう虐待とか事件にでもなったら大変ですから、法律によってサービスも受けずに家にいるようになられたんですから、この実態調査をしていただきたいんですが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 今お触れになられたそういうことが起こっては断じてならないんです。
したがいまして、私ども、こういうように、先ほども民主党の先生方もこの方向性というものについては、一定のとあえて言わせていただきますが、一定の御理解がいただけている。現場がこれをどう受けとめるかということの実態の把握が非常に大事だ、これも全く仰せのとおりだというふうに私も思っておりまして、部内を督励し、また都道府県、場合によっては市町村の方々に大変御負担、御迷惑になるかもしれませんけれども、早急にとにかく実態把握をしたい、このように考えて、その方向で今努力をしているところです。
○山井委員 こういうサービス利用を中止、中断された方の実態調査、ぜひ今のお言葉どおり早急にやってください。
次に、十ページに行きます。
厚生労働省からいただいた資料で、宮崎県が、中止をされた方が〇・〇%という回答が返ってきました。でも、〇・〇%というのはおかしいと思われませんか。
次のページを見てください、十一ページ。それがその宮崎県の中身です。
確かに、利用者負担増による退所者はゼロであります。しかし、制度そのものに不満がある者、例として、工賃以上に負担したくない、利用者負担をしてまでサービスを受けようと思わない、二人。これは利用者負担増が原因じゃないですか、まさしくこの二人も。だから、これは、例というのはおかしいわけですよ。そういうふうに、このデータにはさまざまな問題点があります。これも指摘にとどめておきます。
次に行きます。
十二ページ、千葉県のデータであります。今回の厚生労働省の発表の中でそのことがどうなっているかというと、三ページで、千葉県では通所日数を減らすなどの利用控えは〇・六%と出ているわけですね、利用日数を控えるとかで。ところが、この千葉県のもとのデータ、十二ページを見てみると、身体通所で三・四%、知的通所で一・四%。三・四と一・四の平均が〇・六になるのはおかしいんですね。要は、これは入所をまぜているから、薄まって数字が下がっているだけなんですよ。
柳澤大臣もこの十二ページを見てもらったら、三・四と一・四の平均が〇・六になるはずないことはすぐわかると思います。これも答弁を求めませんが。ところが、厚生省の発表を見ると、通所日数を減らすなどの利用控えが〇・六%と見ると、これは通所施設で利用控えが平均〇・六%と普通は読めるわけなんですよ。
こういうふうなデータ一つ一つを見ても、今回の発表というのが極めて、私が一日かかって見ても、明らかに数字がおかしいということが出てきているわけであります。これはもう指摘にさせていただきますが。ですから、この千葉県の例でも、通所だけ考えたら、利用抑制は一・八%なんですよね。〇・六の三倍あるわけですよ、通所施設の控えは。
次に、グループホームのことに移らせていただきます。
今回の厚生労働省の発表で、グループホームが、伸びた給付が一六・六%で、着実に伸びているということが書かれています。「「地域移行」を進める上で中核となるサービスとして着実に伸びている。」と。
しかし、こちらの資料の十三ページを見ていただきたいと思います。朝日新聞の記事でありますが、「減収 伸び悩む自立の家 グループホーム」と書いてありますね。二〇〇三年から毎年十カ所ずつ知的障害者のグループホームを新設してきた川崎市、しかし、国基準の事業収入は、支援費時代の三、四割減、これが、法人がホーム新設に踏み切れない最大の理由だと。現場の声を聞いたら、グループホームをふやせないといって苦しんでいるじゃないですか。でも、厚生省の発表によると、「「地域移行」を進める上で中核となるサービスとして着実に伸びている。」これはどっちが本当なんですか。
そして、その次の十四ページ。栃木県では、四グループホーム閉鎖、報酬が減って。障害者自立支援法が影響、運営困難に。
大臣、私は、言い出したら切りがないんですけれども、厚生労働省の今回の発表と現場感覚と、これはかなり開きがあるんですよ。
大臣にお願いしたいんですが、先ほど郡議員から小規模作業所の話もございました、こういう作業所やグループホーム、四月以降に閉鎖になったところが幾つあるのか、一度調べていただけませんか。
○柳澤国務大臣 これは、いろいろと厚生労働省としても工夫をしていまして、一つ一つのグループホームではなくて、一つのグループホームのネットワーク化というか、そういうもので一つの事業体としてとらえて、いろいろ条件を満たしていただくということの中で、今我々の提示している報酬でもって運営していただくというような、ある程度工夫をしていただくということを前提に私どものスキームをつくらせていただいている、こういう事情もございます。
ただ、今先生おっしゃったように、報道等にそういうことがあるということもよくわかりますし、それからまた、なお我々として実態を把握していかなきゃいけない、その努力はさせていただくつもりでございます。
○山井委員 ぜひ、その実態を、グループホーム、作業所、どれぐらいつぶれてしまったのかというのも調べてほしいと思います。
それで、今回の厚生労働省の発表で不思議なのが、施設の中止、通所の中止のことは書かれているんですが、その通所以外の在宅サービスの抑制などについては全く書かれていないんですね。利用控えに関しては〇・六%から二%だと。本当にこれは〇・六%から二%なんですか、利用控えは。在宅サービスはどうなっているんですか、大臣。
それで、実際、事例で説明します。十五ページを見てください。熊本県はどう書いているか。熊本は非常に知事さんも熱心なところです。退所または利用中止は一%、そして利用減少は回答総数の六%、こうなっていますよ。実際にも書いてありますように、利用者負担増による退所または利用減少の傾向が見られ、いろいろな国の措置があっても、利用を継続できないケースがあらわれている。次に、家族の負担感が大きくなった。そして最後に、今後も退所や利用控えを考えざるを得ないケースが潜在しているものと思われる。また、事業者も収入減少による事業運営の困難性を感じている。
このような施設、通所だけじゃなくて、ほかのサービスについてもどうなっているか。次のページに行きます。十六ページ、長野県の例。一つ二つだとそんなところばかり取り上げているのかと思われますから、大臣、十六ページを見てくださいね。長野県では、自立支援法によるサービスをやめた、または減らした人が十七人、ホームヘルプ、デイサービス、通所授産、タイムケア、そして下に、七人の方は外出や旅行の費用を削減した、六人の人は趣味の費用を削減した。
そして十七ページ、次にこれは沖縄です。「障害者孤立支援法? 施行後に負担急増 居宅サービス県内六十四人中止」、ホームヘルプでは三十二人、デイサービスでは三十人、ショートステイ二人、そのうちホームヘルプでは子供が十七人、子供のデイサービスが十人利用中止。本当にこれは、大人も大変ですけれども、お子さん、障害児がこういうサービスを利用中止せねばならないというのは、本当に私は涙が出るぐらいかわいそうだというふうに思います。
大臣、こういう在宅のサービス中止や利用抑制、ここは一切、今回発表されていないんですけれども、こういうことは調査してやはり発表していただくべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○柳澤国務大臣 都道府県の調査では、居宅サービスの利用についてデータをとっているものもあるが、この調査の方法と指標がさまざまでございますので取りまとめることが困難であった、こういうことでございます。そして、私どもが活用、利用可能なデータとしては、定点市町村、百四市町村における居宅サービスの費用の動向であったということで、それが前年同月比八・五%だということから、私どもとしては、全体としてサービスの利用量が増加しているものと、この数字を酌み取る限りではそのように理解をした、受けとめた、こういうことでございます。
なお、我々として、今こうした問題についても実態調査をすべく努めているというのが現状でございます。
○山井委員 ですから、柳澤大臣、重要なのは、こういう調査結果が既に厚生労働省に入っているわけですよ。施設も厳しい、ホームヘルプの利用中断、抑制が数%あると。にもかかわらず、公表されているのは、〇・六%とか二%とか低い数字ばかり公表されているわけですよ。これは明らかに誤解を招くんじゃないですか。もしトータルな調査ができていないんだったら、それができるまでその部分に関しては控えて、低いところもあるけれどもこんな高いところもあるとちゃんと書かないとだめじゃないですか。今、サービス量はトータルとしてはふえているという話でしたが、一人一人が大事なんですよ。
例えば、十八ページを見てください。これも今回の調査に入っているものです。大阪府、全体のサービス量はふえていると厚生労働省は大本営で発表しています。しかし、大阪の資料、十八ページを見たらどうなんですか。一人当たりの利用時間数、日数、大臣、十八ページを見てくださいね。利用時間、居宅介護一・四時間減、身体介護二・七時間減、家事援助一・四時間減、デイサービス〇・五日減、施設通所支援二・三日減というふうに、軒並みこれは、ほぼ全部マイナスになっているじゃないですか、一人一人の利用時間も利用量も。これで利用抑制が、〇・六%とか二%とかと違うでしょう。軒並み一人当たりが、みんなこれはサービスが減っているじゃないですか。
次の十九ページ。大阪だけじゃないですよ。大分県でも、利用人員は三月から六月で十人だけふえています。でも、居宅介護の平均利用時間数の推移は、三十三時間から二十九時間に減って、トータルで六千四百時間もホームヘルプの時間は減っているんですよ、この大分県も。
そういうことが何で今回の実態報告書で、こういう報告が届いていながら、なぜ表に出していないんですか。これは、やはりおかしいんじゃないですか、入っているんですから。
次に、施設のことにも行きたいと思います。
これは、京都新聞のきのうの朝刊一面記事であります。二十ページ。「障害者施設 年収一割減」、一施設につき千四百万円の減額というのが出ております、京都新聞。府南部の運営者は次のように語っています。「利用者負担の増加で、通所をやめたり、退所する障害者が出ている。これが施設経営を圧迫してサービス低下を招き、家に閉じこもる障害者を増やしている。これでは自立支援とはとても呼べない」、京都府の保健福祉部は「「国の想定と施設の実態に隔たりがある」とみて、国に改善を求めている。」というふうになっているわけです。
これは、柳澤大臣、先ほど申し上げた、トータルだけじゃなくて、一人当たりの在宅サービスが減っているのかふえているのか、それと施設の年収が減っているのかふえているのか、このことを早急に調査していただきたいんですが、いかがですか。
○柳澤国務大臣 いろいろ山井先生、非常に広範に資料を収集され、また、実際に非常に膨大な資料を分析されたということからいろいろ御質疑を、御指摘をいただいているわけですけれども、私どもとしては、このサービスの趨勢を給付費の趨勢でもって推しはかることができるだろう、こういうことで、そういう指標でもって一応の趨勢をつかむ、こういう努力をしたということでございます。
今先生から、そんなことだったらもうちょっと、全部悉皆の調査ができ上がった後で結果を公表すべきでなかったかということもございますが……(山井委員「いや、既に入っているということですよ、調査に」と呼ぶ)既に入っているんですけれども、それが全部集計できる同じような様式のものでないと、なかなかそれを集計することは難しい、こういうこともございまして、もともとが、こちらから全部様式を決めて、それに基づいてその実態の調査結果を申告してもらうというようなことではなくて、むしろ都道府県側の自主的な調査の結果を我々収集させていただいた、こういうようなことがありまして、集計についてはやや限界があったということでございます。
したがいまして、個々に当たりますとまたいろいろな事例が出てくることは当然でございますが、今申したように、こういう福祉の制度というのは個々のケースが大事だということも御指摘のとおりですので、我々としてはさらに実態の把握に努めて、必要な、もし欠くるところがあればそれを補っていく、そういう措置をとってまいりたい、このように考えております。
○山井委員 二十三ページにきょうされんの調査があります。きょうされんのデータについては厚生労働省も今回の発表で引用されていますが、例えば、きょうされんの調査では、四月から七月の通所施設の利用断念、抑制、そして断念を考えている、食費や利用料を払えない、そういう方が、身体に関しては七%、知的に関しては五%、精神に関しては九%なんですよ。
繰り返しますが、これは断念だけじゃないですよ。断念予備軍と言われる、断念を検討している人、利用料や食費を払えなくなった人、抑制をしている人、多少これは重なりがあるかもしれません、もしかしたらちょっと高く出ているかもしれません。しかし、〇・三九やそういう数字ではなくて七%、五%、九%。特に精神は十月から新しく制度に入ってきますから、ますます深刻な問題もあるわけですね。そう考えてみると、現状認識、かなり今回の発表と違うのではないか。
それと、最後のページ、佐賀県です。
佐賀県も、下線を引きましたが、利用中止が一・六%、デイサービスでは利用中止及び利用を減らしたのが三・七%というふうに非常に深刻な問題になっているわけです。
ですから、大臣にお願いしたいのは、確かに今回はフォーマットを決めてお願いをしたのではなかった、これは仕方ないんです。しかし、事ここに至った以上は、やはり二十六だけじゃなくて四十七都道府県に、最低限これだけは調べてくれ、そうしないと、どう見直していいのか、見直さなくていいのかわからないから早急にやってくれということをぜひ言ってほしいんですよ。
もちろん都道府県も大変ですよ。でも、これは当事者と親御さんが本当に一番切実なんですよ。本当に困っておられます。悲鳴が上がっているんです。ぜひその調査を早急にやっていただきたい。これはぜひお願いしたいんです。
柳澤大臣、お願いいたします。答弁をお願いします。
○柳澤国務大臣 我々も、制度の改善、あるいは私どもが想定したとおりに円滑に運営されていないというようなところがあれば、これは早急に手を打っていかなきゃいけない、こういうように思っております。
そのための実態調査がどういうことが有効であるか、どういう調査をしたら一番負担が少なく、また時間もかからず、また我々に有用な情報を与えてもらえるか、こういう観点で、調査方法についてもよく工夫をしてこれから取り組んでまいりたい、このように思います。
○山井委員 これは本当にせっぱ詰まっていますので、早急にやっていただきたい。
それで、二十二ページには、今度、自己負担への軽減策が全国の自治体で行われている。今回の自立支援法は、市町村の格差をなくするというのが目的だったはずです。でも、柳澤大臣、逆に、軽減策をやっている自治体とやっていない自治体でどんどん格差は開いているんですよ。それに対して厚生労働省はまだ調査もやっていないんですが、柳澤大臣、どの都道府県、どの市町村が自己負担に対してどういう軽減策をやっているか、この調査をやはりやるべきじゃないですか。
柳澤大臣、お願いいたします。
○櫻田委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。
答弁は簡潔にお願いします。
○柳澤国務大臣 これは、市町村として現実にいろいろな工夫をする、その工夫は、単に利用者の負担軽減ということだけではなくて、それぞれの地域の実情に応じて、やはり市町村も一つの財政団体でありますから、効率というようなことも考え、また利用者にとって温かいものである、そういうようなことを総合的に考えて、恐らくいろいろな支援策を講じていっていただいているんだろう、このように思います。
そういうものを、単に一つの次元である利用者負担をどれだけ軽減しているかということ、そういう角度だけから見て調査を進めるということについては、我々は極めてちゅうちょを感ずるわけでありまして、市町村の取り組みはいろいろバラエティーがあってしかるべきで、それを一つの観点から調査結果に結びつけるというのはやはり難しいというふうに考えているわけでございます。(山井委員「委員長」と呼ぶ)
○櫻田委員長 既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了していただきたいと思います。
○山井委員 もうそろそろ終わりますが。
それで、最後に申し上げますが、二十一ページの滋賀県の報告書に、大臣、どう書いてあるか申し上げます。「制度の変更が、利用者にも事業者にも急激な変化として実際に影響が及んでおり、何らかの対策を講じないと、地域の福祉資源が衰退するなど「入所施設から地域生活への移行」という滋賀が進めてきた施策の目標が実現できなくなる懸念があります。」
自立支援法によって、滋賀も大阪も全国で最先端を走って、障害者が地域で暮らせる運動を進めてきたわけですよ。そういう運動がこの法律によって頓挫しかねない。また、十年、二十年、親や地域の方々がお金を出して、バザーをしたりして、小規模の作業所をつくってこられた。そういう作業所が今つぶれたりもしている。利用抑制になっている……
○櫻田委員長 山井和則君に申し上げます。
申し合わせの時間が経過しておりますので、ぜひ御協力をお願いします。
○山井委員 そういうことですので、ぜひともこれは集中審議や法案審議、参考人質疑をやっていただきたいと思います。
最後に申し上げますが、もし時間のことをおっしゃるのでしたら、今後、通告したことにはちゃんと答えていただきたい。そういうことをやっていただかないと、こちらも計算しているんですよ、三十分ということで。通告したことぐらいちゃんと答えてくださいよ、今後。そうしないとこういうことになってしまうでしょう。
ということで、最後に……
○櫻田委員長 山井和則君に申し上げます。
既に持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了していただきたいと思います。
○山井委員 最後に、法案審議、参考人質疑、集中審議を理事会で諮っていただきたいと思います、委員長。
○櫻田委員長 ただいまの件につきましては、理事会で協議させていただきます。
○山井委員 これにて質問を終わらせていただきます。
165-衆-国際テロリズムの防止及… -4号 平成18年10月19日
◇平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法の一部を改正する法律案
○山井委員 民主党の山井和則でございます。これから四十一分間にわたりまして質問をさせていただきたいと思います。
まず何よりも、今回のこのテロ特措法の延長、本来、通常国会で法案を提出して、これだけ重要な問題ですから、じっくりと時間をとって議論すべき問題であったと思います。さらに、十月九日の北朝鮮の核実験、やはり、これによって日本における危機管理あるいは防衛問題に関する状況というのは、テロ対策も含めて大きく状況が変わりつつある、そういうときであると思います。
また、月曜日の質疑を聞いておりましても、この五年間に対する総括というものが極めて不十分であると思っております。伴野議員の質問の中でもございましたが、原口議員や伴野議員、与党の理事の方々とも現地を視察された。そういう中で、本当に灼熱の太陽のもと、日本のために精いっぱい汗を垂らして任務に励んでおられる自衛隊員の方々には、心より敬意を表したいと思います。だからこそ、このテロ特措法がこのままの形で延長していっていいのかということをじっくり審議せねばならないと思っております。
私たち民主党としては、テロに対しては全力を挙げて闘っていかねばならない、そして、自衛隊員の方々に対しても最大限の支援をせねばならないと思っております。しかし、今回の議論を聞いていて思うのは、何か、二年、二年、一年、一年と場当たり的、そして、総合的なテロ対策ということに取り組まずにただ漫然と措置法を延長していくというやり方は、まさに官僚丸投げ、問題先送り、そのために約五百十六億円もこの予算が投入されております。
私、ここでまず最初に問いたいのが、防衛庁長官のリーダーシップということであります。本当に、政治家としてきっちりとしたリーダーシップをしていっておられるのか。
なぜそういうことを聞くかというと、まず最初に質問したいのは、十月九日の北朝鮮の核実験の第一報をどういうふうな形で聞かれたのかという問題であります。これは、危機管理上大きな失態であったのではないかと思います。
きょうお配りしております資料を見ていただきたいと思います。
整理をしますが、結論を言いますと、中国から第一報が十時半に入った、それから久間長官に連絡が入ったのが、何と二時間十分後なわけですね。結局、飛行機が到着してからですから、二時間十分後なわけです。
この問題について、久間長官、どのように考えておられるか、まず答弁をお願いします。
○久間国務大臣 他の委員会でも答えましたとおり、私に正式に入ったのは、大阪空港に着いたときでございますから、十二時三十分、このとおりでございます。
ただ、この間も申し上げたわけでございますけれども、防衛庁としては、私が留守中には北川政務官が代理をするということで指定しまして、もし実験を行った場合にはどういう対処をするかということについて指示の文案をつくりまして、そういうことでみんな構えをしておったところであります。
そして、十二時三十分に連絡が入りまして、一時の飛行機でその場で引き返したわけでございます。それで、羽田空港に着いて具体的な内容を聞いて、その指示文書どおりの指示をしたということでございますから、個人で云々というよりも組織として行動するわけでありまして、その間に官邸において緊急の閣僚の参集があったわけでございますけれども、そのときも一時には北川政務官が出ているわけでございますから、組織できちっと対応しておった、私はそういうふうな認識を持っております。(発言する者あり)
○山井委員 今も原口理事から、大臣は、そんなだったら要らないじゃないかという声が出ております。
大体、こういう緊急事態、日本の危機にこそ政治家のリーダーシップが最も必要とされているのではないですか。今の話を聞いていたら、こういう緊急事態においても、長官と二時間十分も連絡がとれなくても、それでちゃんと対応できるというのは、私が最初に言った、まさに、官房長官がアドバイスしないでくださいよ、長官に聞いているんですから。
長官、そのことについて問題があったとは感じないんですか。
○久間国務大臣 さっきからも何度も申しておりますように、私の留守中のそういうような対応についてきちんと決めているわけでございます。これは、組織としてどういうふうに対応するかというのをどう決めておくかというのが大事でありまして、それを私が全部が全部やらなきゃいかぬというような前提に立ってやることじゃございません。これはおたくが大臣に仮になったときでも言えるわけでありまして、留守中はどうするか、そういうことをやはり組織として決めておく、これが組織ですから、その辺については御理解いただけるんじゃないでしょうか。
○山井委員 北朝鮮が核実験をするというのは、これは大変なことですよ、日本にとっては。そういう緊急かつ重大な事態において、長官としばらく連絡がとれなくてもいいと。そして、御存じのように、週末にこういう核実験があろうということはわかっていたわけでしょう。不意打ちでもないわけでしょう。私は、そういう危機的な状況こそ、日本の防衛の責任者がいなければならないと考えます。
おまけに、安倍総理もこのときいなかったわけじゃないですか。十時四十分に総理に報告があった、十一時二十分に内閣官房より防衛庁に連絡があった。四十分の落差があるわけです。こういう官邸対策室を設置したら、まさにそこと連携して行動すべきじゃないんですか。いかがですか。
○久間国務大臣 よく、週末にあるとわかっていたじゃないかとおっしゃいますけれども、週末にあるというのはわかっていなかったわけでありまして、核実験をする可能性があるという報道はされておりましたし、その報道についてはキャッチしておりました。それが週末にあるということがはっきりしていたわけじゃございませんで、その辺については御理解賜りたいと思います。
それと、今言いましたように、総理大臣にかわって官房長官が官邸に残ってその対策を講ずることにもなっておるわけでありまして、防衛庁においても北川政務官をその代理として指定しておったわけでございます。確かに二時間という空白が生じておるというのはおっしゃるとおりでございまして、そういうものに対して非難されるならば非難は甘んじて受けますけれども、組織としてはやはりどこかで代理者が代理せざるを得ないようなケースは出るわけでございますから、その辺については御理解賜りたい。特に、民間機の場合は連絡がとれない場合が実はあります。そこのところについてはぜひ御理解賜りたいと思います。
○山井委員 危機管理の本質は、最悪の事態に備えてプリペアドネス、準備しておくということですよ。そういう意識が欠如しています。
また、今回のこの状況を見て、防衛庁長官、国民はどういう印象を持ったと思いますか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○山井委員 北朝鮮で核実験が行われた、にもかかわらず、肝心の防衛庁長官がそのことを二時間十分も知らなかった。こういうことで、国民は本当に不安に思っておりますし、また自衛隊員の方々も、本当にこれは、私は非常に不安を感じている方も出てくると思いますよ。
そこで、次に麻生外務大臣にお伺いします。
これを見てみたら、十時四十分に総理に報告されている。十時三十分に中国から第一報が外務省に入って、十分で総理と官邸に報告が行っている。これはわかるんです。それで、昨日、外務省から資料を出してもらいました。これをお配りしております。皆さん、見てください。二ページ目です。十時三十分に中国外交部より中国日本大使館に連絡が入った、北朝鮮が間もなく核実験を行うであろうと。それで、十時三十分過ぎ、上記の情報を外務大臣に伝達。十時四十分ごろ、上記の情報を官邸、内閣官房に伝達。そして、同じく、瞬時に、十時四十分ごろに総理に伝達。これは当然ですよね。
外務大臣にお伺いしたいんですけれども、これは、外務省から防衛庁への連絡というのは直接されないんですか。
○麻生国務大臣 今、久間長官の方から組織の話があったと思いますが、危機管理の話は内閣官房だと存じますから、外務省から内閣官房に上がるということになっております。
○山井委員 単なる事務連絡じゃないですよ、これは。核実験が行われたといったら、まさに非常に深刻な問題ですよ。そのことについて外務省から直接じゃなくて、では、直接これからも伝えないということですか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○麻生国務大臣 危機管理というものは一本化されておきませんと情報が錯綜しますから、基本的には、危機管理室というのが内閣官房にありますので、そこに情報は集中させてやるというのが組織というものであります。
○山井委員 久間長官、今の答弁でよろしいですか、これからも、いろいろな緊急の事態が起こっても直接は来ないというようなことですが。
○久間国務大臣 防衛庁あるいはまた自衛隊がどういう行動をとるか、それは絶えず我々としても緊張を持って対処するわけでございますけれども、情報の伝達はどういうルートで来た方が一番正確であるか、そういうことも踏まえながらやらぬといけません。
私たちもいろいろな情報がいろいろなところから実を言いますと入ることは入るわけですけれども、やはりそういう意味では、きちんとしたルートできちんとした最終的な報告が来るというのが大事だと思っておりますから、私は、それは一本化でいいと思います。
○山井委員 正確さと同様に速さが必要なんですよ、こういう危機管理においては。
そこで官房長官にお伺いします。
一本化は必要だと。一本化のために、これは首相官邸に十時四十分に連絡が行ったんですよね。外務省から官邸に行くまでに十分。どうして、内閣官房、首相官邸から防衛庁に情報が行くまで四十分かかっているんですか。四十分間、何をされていたんですか。
○塩崎国務大臣 幾つかの情報がございました。これはインテリジェンスにかかわることでありますから余りつぶさにはできないところでありますけれども、今先生が御指摘の、北朝鮮で核実験をするかもわからないという情報が、中国からの連絡だったわけです。つまり、行われるかもわからないという情報で、そこの十一時二十分ごろというふうに書いてあるのは、核実験を実施した可能性があるという情報なんですね。
これは二つの違う情報でございまして、起こるかもわからないという、十時半に中国から北京にある日本の大使館に伝わったことについては、私にも四十分ごろに連絡がございました。そして、一本化されている危機管理の体制のもとで、安危室の方からしかるべきところには連絡が行っております。
したがって、防衛庁にも、起きるかもわからないという情報は、私が記者会見の十一時前後と言っているのは、多少のずれは、いろいろなところに連絡をいたしますので時間の差はありますけれども、十一時前後には、起きるかもわからないということは伝わっていたはずでございます。
もう一つ、起きたかもわからないということについては十一時二十分に防衛庁に伝わっているということであって、実際は、そういうことで、きちっと危機管理の体制のもとでこの連絡体制はできているものであります。
もちろん、こういったことで、今、山井議員のおっしゃっているように、スピードが大事だ、そのとおりでありまして、改善すべきところは改善をしていかなければならないと思っておりますし、反省点が全くないということはありませんので、私の方でも、今、安危室の方に、この連絡体制をきちっと、国民の皆様方にも、それから国会の皆様方にも御心配がかからないようなスピーディーな対応をもう一回見直して構築し直そうということでやっているわけでありますが、しかし、基本的には今回の点でも抜かりはなかったというふうに考えております。
○山井委員 官邸に入ってから防衛庁にこの連絡が入るのに四十分もかかって、抜かりがなかったということは私はないと思いますよ。今後もそういうことになるんですか。(塩崎国務大臣「委員長」と呼ぶ)ちょっと待ってください、まだ私は質問しているんですから。
それで、久間長官、久間長官の記者会見を聞くと、十一時の時点でわかっていたら飛行機で飛び立っていなかったということをおっしゃってますね。これは、官邸からすぐに連絡があれば、久間長官は飛行機に乗る前にそこでとまっていたわけですよ。そうでしょう。だから、そういう意味では、やはり四十分もかかっているというのは問題があるわけです。
こういう重大なときに、連絡が遅くなって飛行機で防衛庁長官が飛び立ってしまった、そういうことで国民の安全というのは守れるんですか。
大体、久間長官、週末ごろに核実験がありそうだという情報をつかんでいたわけですよね。それで、核実験で、もしかしたら放射能が大量に漏れて大問題になったかもしれない。
国民の命を守る政府として、危機管理上重大な時期に防衛庁長官が大阪に向かっておられたということですが、大阪は何のために行く予定だったんですか。
○久間国務大臣 それは、たびたび申し上げているように、党務でございます。(山井委員「具体的には」と呼ぶ)具体的には別に申す必要はないと思います。党務ですから。けれども、大体皆さん方も類推できると思います。
○山井委員 私がわからないのは、これだけ、核実験が行われるかもしれないという差し迫ったときに、防衛庁長官というのは党務を優先されるんですか。やはり危機管理の方を優先させるべきではないかと私は思います。
○久間国務大臣 そこはいろいろな判断があろうかと思います。
ミサイルが飛んでくるかもしれないとなりますと防衛出動がありますから、その場合と、地下核実験が行われるというのとは若干違うわけでありまして、そのときに、党務を優先させるか、あるいは残っておくか、それは私の判断でありますから、委員から指摘されることではないと思います。
○山井委員 私は非常に失望を禁じ得ません。やはり防衛庁長官たるもの、このような差し迫った危機があるかもしれないというときには党務よりも危機管理を優先させる、それが私は防衛庁長官のあるべき姿ではないかと思っております。
それでは、次に移ります。
もう一つ深刻な問題、核保有論議の問題が出てきております。これはまさに日本の国のあり方に根本的にかかわる問題です。
御存じのように、中川昭一自民党政調会長、こう発言されたわけですね、先日の民放の番組で。憲法でも核保有は禁止されていない、核があることで攻められる可能性が低くなる、やればやり返すという論理はあり得る、当然議論があってもいいと。このことに関して、国内や諸外国から深刻な懸念や不安の声が上がっているわけであります。もちろん、日本の国には非核三原則がございます。核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず、これは国是であると思います。
そこでお伺いしたいんですが、このことについて麻生外務大臣の御見解、やはりこれは議論することはいいとお考えなのかどうなのか。外務大臣としての御答弁をお願いします。
○麻生国務大臣 中川政調会長の発言は、これは国の安全保障のあり方について、それぞれの時代状況、国際情勢などを踏まえたさまざまな国民的議論があり得るということを述べたものである、私自身はそう承知しております。その点に関してはいろいろな議論がある。
ただ、日本の政府としては、今ほど言われた三原則を堅持することにつきましては……(山井委員「原稿を読まずに答えてくださいよ」と呼ぶ)別にあなたに言われる必要はないと思いますが。正確に御答弁を申し上げるためにはきちんと読んでいる方が丁寧だというのが私の見解でありますので、あなたの指摘を受ける必要はありません。
非核三原則を堅持することについては、歴代内閣から累次にわたって明確に表明されておるというのは御存じのとおりだと存じます。したがいまして、政府としてこれを堅持していく立場に変わりはないということだと存じます。
また、法律上も、原子力基本法がありますので、原子力活動は平和目的ということに限定されていることも御存じだと思いますけれども、そういった意味では、NPT上、非核兵器国として、核兵器の製造や取得などは行わない義務を、NPT条約に加盟しておる日本の立場としては持っておるということも事実だと存じます。
このような観点から見ても、日本が、今、核兵器を保有するということは考えられませんし、私も、今、閣内におりますということも御存じのとおりです。
○山井委員 麻生大臣、私の質問に答えていただきたいんです。
核保有の議論が今問題になっているんです。議論をすることはいいことだと思っておられるんですか、それを聞いているんです。
○麻生国務大臣 この国は言論統制をされている国ではありません。この国は自由主義国家でありまして、共産主義国家とか社会主義国家とわけが違いますし、我々としては、言論はかなり自由に行われるのがこの国のいいところだと思いますので、言論を封殺するというような考え方にはくみしません。
○山井委員 麻生大臣、私の質問に答えてください。
核保有を議論することはいいと考えられているんですか、どうですか。そのことを聞いているんですから。
○麻生国務大臣 言論の自由を封殺するということにくみしませんという以上に明確な答えはないと思いますが。
○山井委員 一国民あるいは一議員が言うことと、外務大臣が言うことは違うんですよ。全く意味が違うわけですよ。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○山井委員 国を代表して外務大臣が言うことになるわけですからね、これは。そういうことだから、諸外国から懸念を持たれるわけです。
それでは、久間長官にお伺いします。
こういう核保有の議論はあっていいという議論があります。久間長官はいかが思われますか。
○久間国務大臣 私も、議論をするなとは言いませんが、議論すると間違ったメッセージを送ることがありまして、そういう点が非常に気になるということをたびたび言っているわけでありまして、やはりタイミングとか場所とかいろいろなことがございますから、言うときには、私自身は注意して言わなきゃいかぬと思っております。
○山井委員 塩崎官房長官、今議論ありましたように、誤ったメッセージを出す、だから慎まねばならないということを長官もおっしゃっておられるわけです。
塩崎官房長官、この中川政調会長の発言というのは政府の見解と同じですか。
○塩崎国務大臣 この中川昭一自民党政調会長の発言の後、直ちに、翌日だったと思いますが、安倍総理は、政府としてこの三原則の見直しを議論することはないということは明確におっしゃっているわけでありまして、政府としてこのような議論をするということはあり得ない。非核三原則は、変わらぬ政府としての方針です。
今、政調会長の発言が政府と同じかという話がありましたが、私は前回のこの委員会の場でも御答弁申し上げましたように、政府の要人ではない政調会長が、みずからの発言についてはみずから説明責任を負うべきだということを申し上げました。中川昭一さんはそのとおり説明責任を果たして、説明をし直したと私は聞いております。
そういうことでありますから、政府の原則とはまた別のところでの発言だというふうに我々は理解をしております。
○山井委員 安倍総理は自民党の総裁でもあるわけです。
それで、この発言に対して、誤ったメッセージを与えるということで、これは被爆者団体の方々からも本当に怒りの声が上がっております。例えば、憲法は戦争放棄をうたっているのに核保有なんというのはもってのほかだ、我々の命をどう思っているのかと憤るのは長崎原爆遺族会会長の下平作江さん、こういうのが京都の新聞でも報道されておりますし、また、長崎市長の伊藤市長も、北朝鮮の核実験強行という緊張した国際関係の中で、与党政策責任者のこうした発言は被爆地の市長として看過できないと言っております。それで、公明党もこの発言に対しては懸念を表明しております。
さらに、ブッシュ大統領もこのことについて次のように述べております。「日本が核兵器についての立場を再考するという発言について(中国が)懸念を抱いているのを知っている」、こう述べているわけなんですね。これは、明らかに誤ったメッセージが諸外国に対してもう伝わっているわけです。
議論をするということは、見直す可能性があるということに受け取られるのは当然ではないでしょうか。官房長官、いかがですか。議論をするということは、見直す可能性があるというふうに諸外国に受けとめられても仕方ないんじゃないですか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○塩崎国務大臣 外交は政府が行うものでございます。そして、その政府の責任者たる内閣総理大臣が、非核三原則は変わらぬ日本の政策だということを言い、この問題について政府として議論することはないということを明確に言っているわけでございます。したがって、対外的にはこれ以上のことは私はないと思っています。
一方で、先ほど麻生外務大臣からお話がありましたように、自由民主党では言論統制はいたしておりません。しかし一方で、説明責任というのは必ず、高い立場の人になればなるほどあるわけであって、それは中川昭一政調会長がみずから説明責任を負わなければいけないことで、それについては中川さんも負って、そして実際に説明をしたということだと私は理解しております。
○山井委員 政府の見解と違うということは、やはり政調会長に、注意をするなり撤回するように求めるべきではありませんか。いかがですか。
○塩崎国務大臣 先ほど来申し上げているように、自由民主党の中は言論の統制はございませんので、説明責任、個人の政治家としての責任をきっちり果たさなければならないというこの一点だと思っております。
○山井委員 非核三原則、そして非核運動の先頭に立つというのは、これはまさに日本の国の誇れる国是ですよ。そのことに対して諸外国がどう受け取るかというのは非常に重要なんです。実際、ブッシュ大統領も中国も諸外国も、議論していいということを外務大臣や政調会長がおっしゃっているということで、見直す可能性があるというふうにもう受け取ってしまっているじゃないですか。これは、やはり誤ったメッセージが届いているんじゃないですか。
その意味では、今まさに北朝鮮に対して核は持たないでくださいと、唯一の被爆国である、最も核の恐ろしさ、悲惨さを知っている日本こそが、最も今そのリーダーシップを、世界の中で旗を振るべきときに、その逆のメッセージを海外に対して与えている。あの被爆国である日本さえもそういう議論をしている、そのことを、与党中枢の政調会長や外務大臣までもが議論がいいと言っている。これが誤ったメッセージでなくて、何になるんですか。
やはりここは、安倍総理も美しい国とおっしゃっておられますが、日本の国の一番美しい部分というのは、平和を愛し、核兵器の根絶のために先頭を切って闘う、この姿勢こそが美しい国なんじゃないですか。にもかかわらず、塩崎官房長官の答弁を聞いていたら、三原則は維持すると言いながら、片や言論の自由の政党ですからと。そういうあいまいな答弁、あいまいな姿勢は、このような、核というような重要な問題にとっては私は許されないと考えますが、塩崎長官、いかがですか。(発言する者あり)
○浜田委員長 静粛に願います。
○塩崎国務大臣 今、山井議員は、麻生外務大臣も与党のとおっしゃいましたけれども、外務大臣は政府のポストでございます。恐らく、政党の役員と政府の閣僚とを取り違えて受け取る外国のリーダーは余りいないと私は思っています。
なお、中川昭一さんのサンプロでの発言の中でも、明確に、非核三原則は守りますということも彼は言っているということをつけ加えておきたいと思います。
○山井委員 守りますと言いながらも、議論をすること自体が見直しの可能性がある、まさに久間長官がさっきおっしゃったように、そういうメッセージを与えているわけです。それで、麻生大臣も、議論はいいということを実際おっしゃっておられるわけですよね、中川政調会長だけではなく。
これはもっと議論したいのですが、時間もありますので次に移らせていただきますが、本当に、こういう肝心なところであいまい答弁をしてぶれていく、そういうことでは、国民の信頼も国際的な信頼も得られません。
次に、これも久間長官の答弁についてお伺いします。
先日の委員会の中で、伴野議員の質問に対して、給油を受けている側の米軍もしくは艦船が攻撃を受けた場合には日本は反撃ができるのかというようなことに関して、はしょって言いますと、現実にはどうするかといいますと、その場合は、武器等防護の規定に基づいて、やはり反撃せざるを得ないんじゃないかというふうに答弁されているわけなんですね。
それで、昭和五十八年三月八日の衆議院予算委員会で、谷川国務大臣は、我が国が自衛の目的以外の場合については米艦艇を守れないという趣旨のことを答弁されているわけです。
そういう意味では、疑念として、これはやはり憲法解釈の変更ではないか、そういうふうな懸念が今出てきているわけですけれども、久間長官、これについてはいかが思われますか。
○久間国務大臣 憲法解釈上の話というよりも、具体的にそういう状況になったときに、例えば委員だったらどうされるか。恐らく、やはり現在の法令を使ってでも、とにかく守ろうとすると思います。そして、そのときに何でやるかという選択の話だと思いますけれども、私は、同じ場所におって同じような給油活動をやっておるときに攻撃されたときに、それを、こっちとこっちと峻別して分けるなんということはできないんじゃないか。だから、武器等防護等の規定を利用して、それで反撃ができるんじゃないかということを言ったわけで、これは憲法の解釈の話とはちょっと違うんですけれども、その前段で私が、私自身の、集団的自衛権、個別的自衛権というふうに今峻別している仕方そのものがいいんだろうかというような、そういう話をしたので、その問題と案外誤解されたのかもしれませんので、その辺、私の参議院の予算委員会での答弁の仕方がちょっと悪かったのかもしれませんが。
私は、そういう現場にあった場合に、これはだれが見てもやはり黙って見過ごすということはできないんだろう、そういう前提に立って、あえてそれをやるなら武器等防護の規定で防護するでしょうねというようなことを言ったわけでございますから、その辺の状況についても御理解賜りたいと思いますと同時に、もし皆さん方がそういう現場の指揮官だったらどうするかというときに、それはそれでやってよろしいよというようなことを言ってもらわないと大変だろうと思うんですよ。だから、そこのところをひとつ御理解しておっていただきたいと思うわけです。
○山井委員 そのことに関して、きのう理事会で、答弁についてペーパーが出ているわけなんですね。だから、私が聞いているのは、その説明ではなくて、今までの憲法解釈と変わっているんじゃないかということを質問しているわけですよ。そのことについてはどうなんですか。
○久間国務大臣 何回も言っていますように、憲法解釈上は変わっていないわけです。ただ、そういう具体例を言われたものですから、具体例のそういう場合には反撃できるんじゃないかということを言ったわけですから、そこのところを誤解のないようにひとつお願いいたしたいと思います。
○山井委員 このことに関しては、周辺事態法とかいろいろなことに関係してくる、集団的自衛権にも関係する非常に大きな問題です。時間がないのでここまでにしておきますが、このことはまた議論を深めていきたいと思っております。
それで、テロ特措法の五年間の総括です。
先ほども申し上げましたが、伴野議員や原口議員も現地を視察されて、灼熱の太陽のもと、本当に汗だくになって国のために任務を遂行しておられる自衛隊員の方々には、心より敬意を表したいと思います。
それで、月曜日の答弁も聞かせていただきましたが、テロ対策として給油というものが最も効果的で最適なのかということが、やはり十分今まで説明が果たされていないというふうに私は感じます。そのことについて答弁をお願いいたします。
○久間国務大臣 最適かどうかは、それはまた、それぞれの国、それぞれの人が判断しますから。ただ、私も最適というふうに断言はできませんけれども、少なくとも、テロ特措法に基づいて我が国が補給活動を行っていることにつきましては、海上阻止行動が粛々と整然と行われて、それによってかなりの成果も上げているのも事実でございまして、それで世界各国からも非常に感謝されておる、そういう実態を踏まえれば、これは非常に効果は上がっている。
最適かどうかということをいいますと、それはもっといろいろなことがやれればできるかもしれませんけれども、我が国としてやれる限度もございますので、そういう中で、こういう選択をあのとき選んで、そして法律をつくってやってきて、二年、二年と延長して、さらに一年延長して、もう終わるかと思っておりますけれども、なかなか終わらない。あと一年、とにかくお願いしたいということで延長の法案を出させていただいているわけでございますので、どうぞその点もひとつよろしくお願いいたします。
○山井委員 明確なテロ戦略も先の展望もないから、これは泥縄式と言われるのではないでしょうか。
それで、内閣法制局も来ていただいておりますので、ちょっと御答弁願いたいんですが、先ほど久間長官から、憲法解釈の変更はない、そういう答弁がございましたが、その点について内閣法制局としてはいかがでしょうか。
○山本政府参考人 御答弁申し上げます。
御指摘の答弁につきましては、ただいま長官からもお話がありましたし、また、昨日防衛庁から配付された資料もありますとおり、現行のテロ対策特別措置法及び自衛隊法において認められている、自己等または武器等の防護のための武器使用についてのものであるというふうに承知しておりまして、そうであれば憲法解釈の変更をするものではないというふうに承知しております。
○山井委員 久間長官のこの議事録では、米艦船が攻撃されたら日本が反撃できるというふうにも受け取れる発言になっているんですが、久間長官、いかがですか。
○久間国務大臣 米艦船が攻撃されたらというふうに限定されますが、同一地点で同じ行動をやっておって攻撃されたときに、それが米艦船の攻撃だから私は知らないよというようなことはできないのであって、それは、ほとんど同一地点における攻撃については武器等防護の規定を適用したとしてもいいんじゃないかということを言ったわけであります。
その辺の状況並びにシチュエーションがそういうふうな状況でありますから、全然違うところを攻撃されている米艦船に対して、我が自衛艦が反撃できる、あるいは航空機が反撃できるということを言ったわけではございませんで、補給活動をやっているその現場で攻撃されたときに、これは、向こうが無防備だから、こっちはその態勢ができているからといって、向こうに対する攻撃だというふうにみなして、うちは知らないよということはなかなかできないんじゃないか。
同一地点での同一行動をやっているときの話でございましたから、そういうふうに答えているわけであります。
○山井委員 もちろん、日本の自衛隊員の命を守ることは非常に重要なことであります。ただ、その中でどういう仕切りをきっちりやっていくのかということで、泥縄式ではなくて考えていかねばならないというふうに私も思っております。
それで、もう一枚配っております最後の資料で、このテロ特措法の改正法案が閣議決定された時点と、十月九日、核実験が行われた時点とでは、防衛上、戦略上の環境に大きな変化があるのではないかと私たち民主党は当然考えております。それについて、変化があったとは考えていないというような答弁なんですが、これはどう考えても大きく変化していると思うんです。いかがですか。
○久間国務大臣 今この時点で我が国の防衛上重大な変更があったというわけではございませんので、テロ対策特措法に基づく行動については粛々と行っていく、そういうことを言っているわけでございます。
これから事態がどんなに変化してもそのままかと言われると、それはまた別でございまして、我が国の防衛政策上一番重要なところに重要な装備あるいは機材、そういう態勢を整えるということはあり得るわけでございまして、ただ、今の時点でインド洋上における補給活動をやめるかと言われますと、その必要はないというふうに判断しているということを言ったわけであります。
○山井委員 インド洋のこと、アフガニスタンに対するテロ対策、これは本当に重要でありますが、隣国北朝鮮の脅威というのは非常に大きいものであると思います。
もう時間が参ったようですので、最後に一問だけ、ちょっとイラクのことをお伺いしたいと思っております。
これは今まで何度も質問が出ておることでありますが、過酷な状況の中でイラクでの復興支援に参加された自衛隊員の皆様には、本当に心より敬意を表するわけであります。しかし、大量破壊兵器も実際はなかった、アルカイダとフセインの関係もなかったということがアメリカの委員会の報告書で出てきたわけでありますね。それで、九・一一で亡くなったアメリカ人の被害者の数が二千七百四十九名、今日では、それを上回るアメリカ兵がイラクで亡くなっている、そして、現在はもう内戦状態で、泥沼化しつつあるというようなイラクの状況もあります。
これに対して、安倍総理などは、当時はイラクが大量破壊兵器を持っていないことを説明する責任があった、それを十分していなかったからそう信じる合理的な理由があったというふうに答弁をされているわけです。しかし、御存じのように、アメリカのブッシュ大統領もイギリスのブレア首相も、このことに関しては情報が誤っていたということを認めておられますし、ブレア首相も、その関係で一年以内に辞任されるというような事態にも立ち至っているわけであります。
イラクでは、この間、罪のない、軍人を除く民間人が五万人以上もミサイル攻撃などでお亡くなりになっているという現状で、このような攻撃を支持した日本においても、この支持というものが、本当にこれは誤った情報、誤った判断に基づいて、やはり問題だったのではないか。実際、五万人以上ものお年寄りや子供たち、罪もないイラクの方々が亡くなっているわけですよ。
このことについて、麻生外務大臣、最後に答弁をお願いしたいと思います。
○麻生国務大臣 今御指摘のあったとおり、ブッシュ大統領が誤りを認めたというのは、イラク攻撃は誤っていたということを認めているわけではありません、御存じのとおりです。イラクの武力行使の決定自体ではなくて、いわゆる大量破壊兵器を持っていたという、米政府が収集した情報が結果として誤っていたということだと承知をしております。
日本政府がイラクに対して武力攻撃を決定した背景というのは、これは御存じのように、安倍総理の方からも御答弁のあっているとおりであって、累次の安保理決議に基づいて、国連査察団の累次の報告等につきましても全く反論というものが出ておりませんので、日本政府として主体的に判断したというように理解しておりますので、この決定が誤っていたと私どもも思ってはおりません。
○山井委員 もう終わりますが、とにかく、そういう誤った情報に基づいた誤った判断がこれだけの大きな問題を引き起こしているという問題があるわけです。
最後になりますが、本当にこの核武装の問題、これは最も日本の国の根幹にかかわる問題です。私の住んでいる宇治市でも非核平和都市宣言をしておりますが、全国民の最大の願いなんですね、核を廃絶するというのは。そのことに対して、その方針を転換したと受け取られかねない発言をしていく、そういうことについて断固たる措置をしないと、やはり、そのことを安倍総理、日本国政府は容認したというふうに受け取られるわけですから、このことは引き続きしっかりと対処していただきたいと思います。
以上で質問を終わります。
○障害者自立支援法及び児童福祉法の一部を改正する法律案要綱(Word:20.5KB、pdf:15.2KB)
○障害者自立支援法及び児童福祉法の一部を改正する法律案(Word:30.0KB,pdf:38.5KB)
法律案要綱のテキスト
障害者自立支援法及び児童福祉法の一部を改正する法律案要綱
第一 障害者自立支援法の一部改正(第一条関係)
1 障害者等が障害福祉サービスを受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の一割負担を凍結し、障害者等又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。
2 国及び地方公共団体は、当分の間、障害福祉サービスの円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定障害福祉サービス事業者及び指定障害者支援施設の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。
第二 児童福祉法の一部改正(第二条関係)
1 障害児が障害児施設支援を受けたときに要する費用に係る自己負担の額については、その経済的負担の軽減を図るため、当分の間、現行の一割負担を凍結し、障害児又はその扶養義務者のうち政令で定めるものの負担能力に応じたものとすること。
2 国及び地方公共団体は、当分の間、障害児施設支援の円滑な提供の確保を図るため必要があると認めるときは、指定知的障害児施設等の設置者に対し、財政上及び金融上の支援を行うものとすること。
第三 その他(附則関係)
1 この法律は、平成十九年一月一日から施行するものとすること。
2 所要の経過措置を定めるものとすること。
山井が中心になって取りまとめてきた、障害者自立支援法改正に向けての民主党の緊急提言が、党内で了承されましたので、掲載します。
要旨(Word 25KB,PDF 17KB) 民主党「次の内閣」厚生労働担当大臣 三井辨雄
障害者自立支援法フォローアップ作業チーム
主査 谷博之、副主査 山井和則、園田康博
4月に施行された障害者自立支援法により、逆に、障害者の自立が「阻害」されている。定率一割負担や食費などの負担増で、サービスの利用を中止したり、減らす障害者が増える一方、施設などの事業者も報酬が2割程度減り、作業所やグループホームでは、閉鎖や新規計画が頓挫するケースも相次いでいる。
障害者や家族、福祉現場からは、「3年後の法見直しまで待てない!」「今すぐ抜本的な見直しを!」という悲鳴があがっている。
民主党は、この危機的な状況に対する「緊急避難措置」として、改正法案を提出し、緊急提言を行う。
1.民主党の「自立支援法改正法案」(2点を改正)
(1) 定率一割負担の凍結(当面は今年3月までの旧制度に準じた費用負担に戻す)
(2) 障害児・者福祉サービスを維持するために必要な支援
自立支援法の以上2点を改正する(2007年1月1日施行)。
2.民主党の「6つの緊急提言」
法改正とともに、その趣旨を含めた以下の「6つの緊急提言」の実施を求める。
(1) 障害者の所得保障を早急に実現する
(2)障害者のサービス利用の抑制・中止について、緊急の実態調査を行い、対策を講じる
(3)障害程度区分認定においては、従来のサービス水準が確保できるように配慮する
(4)自治体による独自補助や地域生活支援事業について、格差の実態調査と対策を行う
(5)精神科病院の敷地内への退院支援施設の設置は白紙撤回する
(6)自立支援医療における更なる負担軽減を講じる