164-衆-厚生労働委員会-32号 平成18年06月16日
○山井委員 きょうは、大臣、副大臣、長官、そして政府参考人の皆さん、長時間御答弁ありがとうございます。
それでは、私は、これから三十分間にわたりまして質問をさせていただきます。基本的に長官にすべて質問をさせていただきたいと思います。また、大臣には、お答えいただきたいときにお願いしたいと思います。
それでは、きょうもずっと朝から議論をしてきて、今の柚木議員の質問も聞いてきて、かなり論点は絞られてきたなと。結局、免除する人をふやすよりはやはり納付してくれる人をふやす、そして、もっと言えば、納付したい、納付せねばならないと思われるような国民年金の制度にしていかねばならないということだと思います。
私も、二日前に、ある社会保険事務所に行ってまいりました。受付に高齢の女性の方が案内で座っておられましたが、その方とちょっと雑談をしておりましたら、その高齢の女性の方がおっしゃっていたのは、いろいろ不正な問題はあるけれども、やはりこれは根本的にはシステムの問題なのよ、国民年金のシステムを何とかしなきゃねということをその受付の高齢の女性の方もおっしゃっておられました。
そういう観点から、私は、今回のこの不正免除問題というのは、やはり根本的な年金制度の抜本改革の必要性を示しているというふうに思っております。
それでは、村瀬長官、早速ですが、資料を見ていただきたいと思います。
一ページ目の資料ですね。グラフと表が書いてございます。きょうの内山議員の質問などともつながりますが、根本的なこの二つの折れ線グラフ、皆さん見てください、今議論されているのはこの上の折れ線グラフです。国民年金の第一号被保険者、つまり、加入者のうち何人が払っているか。正確に言うと納付月数ですけれども、何人が払っているか。しかし、その分母から免除や猶予を抜く、そういう操作をした納付率、まさに村瀬長官が八〇%を目標とされているのはこの上の方なんですね。
しかし、先ほどの内山議員や柚木議員の話にもあったように、そもそも問題なのは、加入者のうち何人が払っているのかという、この下のグラフですよね。こちらが根本じゃないか。内山議員が指摘したように、最新のデータでは、何と五〇・一%ですよ、ここにありますように。二人に一人しか払っていない。これは国民皆年金なんですよ。皆年金ですよ。皆年金でありながら、国民年金は二人に一人しか払っていない。この制度はこれでいいのかという気がするわけです。
そこで、長官にお伺いしたいと思います。
上の納付率は上がっておりますが、本来上げるべきなのは、加入者のうち払っている人をいかにふやすか、私は真の納付率と名づけておりますが、まさに下の真の納付率の方を上げるべきなんじゃないでしょうか。長官、いかがですか。
○村瀬政府参考人 私自身の考え方は、両方を上げるべきだというふうに思います。
一つは、分子ということで年金を一〇〇%いただける方をふやす、これは当然のことでございます。ただ、お金がなくてどうしてもお支払いできない方をほっておいていいのか、これはやはりほっておくわけにはいきません。そういう点で、例えば学生なり若年者なりの特例措置、これはお金ができたときにちゃんと払っていただいて満額にしていただく、それから、免除ということでちゃんと年金権を確保していただく、これは非常に大事なこと。したがって、やはり両方を追うべきだろうというふうに思います。
○山井委員 長官のおっしゃるとおりなんですよ。両方を追うべきなんですよね。実際、どうなっていますか。減免がふえる、免除や猶予がふえることで上の納付率の方は上がっていますけれども、実際、加入者のうち払っている人の数というのはどんどん減っていっているじゃないですか。
そういう意味では、分母対策は成功しているのかもしれないけれども、一番肝心の国民年金を払ってくれる人の数をふやすことに関しては、村瀬長官、うまくいっていないんですよ。そのことについてはお認めになりますか。
○村瀬政府参考人 現段階では、今委員おっしゃったように、納付月数は減っております。ただ、この部分につきましては、先般もお話し申し上げましたけれども、市町村から所得情報をいただくことによって、ある一定以上の所得がある方々については強制徴収ということでスタートをしてございます。
十七年度後半から、十七万件、強制徴収をやってございます。十八年度、三十五万件まで、十九年度、六十万件までふやす予定をしております。したがいまして、分子対策はしっかりやっていけばこれからふえてくるというふうに思っております。
○山井委員 これ、半分まで下がってきているわけなんですよね。それで、これから強制徴収でふやすということですけれども、それでも大体二人に一人しか払っていないわけなんですよね。これを見ていただきますと、このグラフを見てみると、長官が就任されたのが二年前ですから、実際に、それからこのグラフは下がっていっているわけなんですね。もう一つ重要なのは、このグラフの中で最新の今年度の調査結果、六七・八%と出ておりますけれども、これについては不正免除の分も含まれているから、これより低くなるということなわけですね。
そこで、これはやはり、なぜ半分の人しか払わないのか、払えないのか。国民年金制度を一つの商品と例えることをもしお許しいただけるとするならば、そもそも国民年金という商品が、魅力がなくてなかなか売れにくい商品になってしまっているんではないか。そういう意味では、もちろん現場の方々や本庁の方々が知恵を絞って、どうして売るか、どうしたらお金を払っていただけるか、その努力はもちろん必要です、当然必要です。しかし同時に、根本的には、入らないと損だ、入ろう、どうすれば喜んでもらえる、そういう商品に変えていくのか、そこが非常に重要なんですね。
本来、これは国民皆年金という義務でもありますから商品という例えは正しくないかもしれませんけれども、そういう意味では、国民年金制度そのものが、国民年金そのものが欠陥のある商品ではないかと私は思っております。
村瀬長官、国民年金制度というものに対して、やはり納付者をふやしにくい、そういうふうな御感想をお持ちでしょうか。
○村瀬政府参考人 私は実施庁の長でございますので、決められた商品をいかに効率的に売るかという部分、普及をさせるかという部分だろうと思います。その中で、現在の戦力でもって売れるかどうか、これが非常に大事な部分でございます。その点で、現在の社会保険庁の職員が収納に関してどれだけ汗を流して仕事をやっているかということにつきましては、まだまだ私自身は不十分だろうというふうに思っております。
したがって、そこをまずしっかりやるということが非常に大事な話というのは、実は、行動計画なり目標値の設定、こういうことにつながってくるというふうにお考えいただけたらというふうに思います。
それから、年金制度そのものという観点からいいますと、収納率は、実は二十代と五十代で極めて納付率が違います。これは昨日の参議院の予算委員会でもお話し申し上げましたけれども、五十代の方々であれば、七〇の後半から、地域によっては九〇近い納付率でございます。一方、二十代は五〇%を切るということで、若い方々にいかにこの年金制度を周知徹底して納めていただくか、まだ納められないのであれば、学生であれば学生納付特例、若年者であれば若年者の納付猶予という制度もございます。
したがいまして、そういう部分をしっかりお伝えするということが、制度を運営するためにも極めて大事な仕事なんだろうというふうに思っております。
○山井委員 これは、周知徹底とか啓蒙とか、そういう問題だけではないんです。そもそもこの国民年金という制度が、まさに今おっしゃったように、若い世代の人たちにとって信頼できない、魅力がないというものになってしまっているんですね。その根本的な問題を今回の不正免除の問題を通じて考えないと、トカゲのしっぽ切りや、目の前の事象にだけばんそうこうを張っても、これはだめなんですね。
ここは二年前に、百年安心という形で、年金制度改革、強行採決を与党の方々はされたわけであります。しかし、その当時から、私たち民主党は、国民年金はもう半分ぐらいの人しか納めていない、これではもちませんよということを本当に口を酸っぱくして言い続けてきました。まさにそのことを放置した結果、違法なことでもしないと納付率がなかなか上がらないということになっているんじゃないですか。
そこで、新聞記事を少し見てみたいと思います。私の資料の三ページ目に、読売新聞の六月十三日、「どうする社保庁改革」「論陣論客」というのがございます。非常に興味深い。片や元社会保険庁長官の堤修三氏、もう一人は千葉大学教授の新藤宗幸氏。新藤氏は「組織内改革進めるべき」、堤氏は「現場の声 制度に反映を」という。
しかし、じっくりこれを読んでみると、共通点があるんですね。線を引いてありますので、下の方です、読んでみます。
堤氏はこうおっしゃっています。「国民年金という売りづらい「商品」を、そのまま販売し続けなければならない。それが未納の大きな原因だ。「ねんきん事業機構」を設けるにしても、機構から制度について年金局に意見をいい、年金局もそれを尊重するような仕組みにしなければ、同じ問題が起こるだろう。」ということをおっしゃっておられます。
片や新藤氏、こうおっしゃっています。「年金部門と政府管掌健康保険部門を分離し、年金部門は「ねんきん事業機構」に衣替えするという。しかし、そんなことをしても保険料納付率は上がらない。単なる看板の掛け替えだ。」では、どう改革を進めるのか、それに対しては、「納付率が低迷するのは、国民が年金制度を信頼していないからだ。そもそも、年金制度をどう立て直すのかを、まず議論すべきだ。」
そして、真ん中の「寸言」のところにも書いてございます。そこでコメントがどう書いてあるか。「立場は違うが、社保庁の組織だけでなく、年金制度そのものを改革しない限り、未納問題は解決しないという認識では一致している。」ということになっております。
私、きょうの朝の九時半からずっと審議を聞いてきて、非常に不満であり不思議であるのが、どうして与党の方々は、処分のこととか組織のこと、もちろんそれも大切です、そのことばかり言って、なぜ根本的に、二人に一人しか払っていない国民年金制度、これはやはり変えないとだめなんじゃないの、何でその最も本質的な問題に疑問を呈しないんでしょうか。
村瀬長官、このような声を聞いて、やはりこれは、村瀬長官はもしかしたら、私、被害者じゃないかと思うんです、本来は小泉総理が年金の抜本改革をやるべきだったわけです。それをせずに強行採決をして、しかし、改革しているふりはしないとだめだから、長官に民間人を登用したら何か改革しているというイメージになる。はっきり言って村瀬長官も大変ですよね、こんな信頼を失っている国民年金制度というものに対して、どんどん納付率を上げろという使命を帯びてここに来られているわけですから。
だから、そういう意味では、やはり、ここに書いてありますように、組織や徴収方法とセットで年金制度をどう改革するのかということを議論すべきであると思います。
そこで、村瀬長官にお伺いしたいと思います。今回の調査で本当にいろいろなことを聞かれているんですね。不正にどう関与したか、本庁には確認したのか、その不正の発案者はだれか。これは、全件調査、不正調査、きっちりされていますよ。しかし、私、極めて不本意なのは、現場の方々に、なぜそんなに徴収が難しいんですか、どう変えたらもっとこれに加入してもらえると思いますか、やはり、そういうことこそを聞いて、セットで改革をしていくべきだと思うんです。
長官、いかがですか。やはり、こういう調査を機に、現場から、国民年金制度をどう変えるべきなのか、まさにその現場の一番説得力ある声をやはり今回の調査の中で聞いていく、そういうことをすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○村瀬政府参考人 まず、先ほどの新聞記事につきまして、ちょっとコメントをさせてください。
お一方が、私の前々任の長官でございます。そして、八〇%という目標を決めたときの長官でもあられます。そういう方が何をおっしゃっているかということをよく見ておいていただけたらというふうに思います。
それから、先ほどの全件調査の件でございますけれども、全件調査につきまして優先をさせたのは何かといいますと、今回の不正免除問題でございます。したがいまして、その全件解明をやるために、しっかりやるということで優先的にさせていただきました。
したがいまして、今後の問題で、我々の組織がどうしていったら本当に皆さん方いいのかという具体的な提案だとかというのについては、別途、後からとってもいいんだろうというふうに思っております。
○山井委員 ぜひ別途、後からとっていただきたいと思います。そうしないと、単に犯人捜しだけをして、そして今までどおりの国民年金の制度、これでは問題の根本的な解決にはなりません。
今回、抜本改革をすべきだということを私たちは言っているわけです。
資料の四ページ目を見てください。与党・政府の皆さんは今回の年金制度が百年安心とおっしゃっている。百年安心と二年前におっしゃって、まさに二年で事実上これはもう破綻しているじゃないですか。私たちはそのときからマニフェストで、国民年金を含めた一元化、所得比例年金にしていく、そして基礎年金の部分は最低保障年金として消費税でやっていく、そうすれば無年金の人は出てこない、そして、後ほど古川議員からも議論がありますが、徴収の方は歳入庁にしていくと。まさにこれが抜本改革なんですよ。ねんきん事業機構のような看板のかけかえだけでは、この問題は永遠に続きます。
この資料の右下にもマニフェストが書いてあります。私たちははっきりと社会保険庁を廃止すべきだということを政策でも打ち出しております。小泉総理は何か、民主党は改革抵抗勢力だとおっしゃっているようですけれども、まさに私たちは、国民年金を含めた一元化、抜本改革も言っているし、社会保険庁の廃止、そして歳入庁構想も言っております。にもかかわらず、来年の通常国会で、何やら政府・与党は共済年金と厚生年金の一元化だけをすると。一番今問題になっている国民年金、また先送りじゃないですか。
そこで、では、この影響は、この不正免除の問題はどこにしわ寄せが行っているのか、次に移りたいと思います。
長官、お伺いします。
この資料の二ページ目を見ていただきたいんですけれども、ここに毎日新聞の「見せ掛け 納付実績アップ サラリーマンにツケ回し 肩代わり二兆円」という見出しが出ております。それで、三枚目に出ている資料がこのパネルになっております。
村瀬長官、賦課方式ですので、納付した保険料が基礎年金の給付に回っている、こういう仕組みになっておるわけですけれども、二〇〇四年度、国民年金の加入者全員が保険料を払うなら、国民年金の拠出金は幾らになりますか、また実際の拠出金は幾らになっておりますか。
○村瀬政府参考人 二〇〇四年度における基礎年金の拠出額でございますけれども、総額で十六兆四千億でございます。そのうち国民年金の拠出が三兆七千億でございます。一方、国民年金の第一号被保険者がすべて、一定の条件でございますけれども、一号被保険者で免除者や未納者を含めて拠出金を算定するという形になりますと、国民年金の拠出額は五・六兆円になります。
○山井委員 そうなんですね、ここに表があるわけです。つまり、本来、加入者が全員払えば五・六兆円の拠出金になるはずだ。しかし、これだけ免除、猶予が多いために、実際は三・七兆円になっている。差額約二兆円。この差額については、長官、だれが肩がわりしていることになっていますか。
○村瀬政府参考人 制度の問題でございまして、これは、申しわけないんですけれども、実は年金局の所管でございまして、私自身が実施庁という立場で申し上げられる部分じゃないんですが、一応、年金局長に了解を得た上でお答えをさせていただいてもいいですか。
基礎年金制度は、給付費を公的年金加入者全員で公平に負担するという考え方に基づきまして、国民年金、厚生年金、共済年金、各制度ごとの保険料納付済みの扱いとなる被保険者数に応じて拠出金を負担する、こういう仕組みになってございます。したがって、国民年金の第一号被保険者全員が保険料を納めた場合と比べれば、国民年金に免除、未納者があるということによりまして、その年だけを見ますと、国民年金、厚生年金、共済年金の各制度が負担する基礎年金拠出額一人当たりの単価、これは当然割高になってございます。その分は、それぞれの、先ほどの制度に合わせて、被保険者数によって負担をしている、こういう仕組みになってございます。
○山井委員 つまり、今の話をまとめますと、この約二兆円国民年金の拠出金が減っている分は、厚生年金の加入者、そして共済年金の加入者が肩がわりしている。大きくいえば、サラリーマンの方々が肩がわりしている、その年に限っていえば。そういうふうな図式になっているわけですね、これ。
ですから、そういう意味では、この国民年金の問題、なぜ私たち民主党がずっと言い続けているかというと、国民年金がどんどん穴があいたままだったら、その負担が、これはやはりサラリーマンの方やほかの方々にも肩がわりになってくるということなんですよね。国民年金だけが独立している問題じゃなくて、基礎年金で全部つながっているわけなんですから。だから、そういう意味では、今回の不正免除問題は、その年においては不正にそのお金をサラリーマンの方々に肩がわりさせた、そういうことにもなるわけです。長官、このことについてどう思われますか。
○村瀬政府参考人 先ほどお話し申し上げましたように、一点、厚生年金、共済年金の被保険者だけではなくて、国民年金をお支払いになっている方にもその部分が負担増としていっておりますので、そこはぜひ御理解をいただけたらというふうに思います。
したがいまして、今御質問の中で、先ほども何回もお話し申し上げておりますけれども、制度全体の仕組みというのは年金局が考えつくっているわけでございまして、その部分で免除者という観点がふえればどういうことになるかといいますと、その分には税が後ほど三分の一なら三分の一行くという、こういう仕組みでございまして、全体の問題からいきますと、免除者や未納者がいることによってサラリーマン等が保険料を割り増しで負担させられているということは、基本的には、将来の給付費ということも含めて考えれば、財政計算上はないのではなかろうかというふうに私は思っておりますが。
もし正確な答弁が必要だとあれば、年金局長にお願いできたらと思います。
○山井委員 今の考え方は、簡単に言えば、免除する人とか未納の人がふえればふえるほど老後は年金を払わなくていいから、年金財政は助かるという話じゃないですか、国家財政は。しかし、その人の人生はどうなるんですか。それに、内山議員が言ったように、結果的には生活保護でもっとかぶることになるかもしれないんでしょう。余りにもそれは安易な考え方なんですよ。
では、大体、これは不正に免除して、ずっと免除が続いて、二万円ぐらいの年金でその方がどうやって暮らしていけるのか。もしかしたらこれは村瀬長官が考えることじゃないかもしれないけれども、やはり年金というのはシステムだけの話じゃなくて、日本国民の老後をどう支えていくのかということとセットで考えないとだめだと思うんです。
それで、今回、この調査はまだまだ続くわけなんですけれども、村瀬長官にお伺いしたいのが、これは不正に免除されてそのままずっと免除が続いたとしたら、三分の一程度で、国民年金は二万円程度になるんじゃないかと思います。そういう人たちは、これは老後どうやって暮らしていくと想定しているのか、イメージしているのか、そのことをお伺いしたいと思います。
○村瀬政府参考人 不正免除ということで、将来三分の一、二万円という論理で今御質問ございましたけれども、基本的に、今回、不正の免除をやった人たちというのは、実は長期未納者なんですね。それでいえば、年金権の確保も将来ひょっとしたらない方かもわからない。(山井委員「そんなことを聞いていない。二万円でどうするかということ」と呼ぶ)いやいや、そういうことがありますから、そういう点では、ちょっと論理的に、二万円に即結びつけて云々というのはなかなか答えがしづらいということを私としては申し上げたいと思います。
○山井委員 私が申し上げたいのは、根本的に、これは低所得の方々が、未納や免除、猶予というような形でどんどん国民年金からはじかれようとしているわけなんですよね。やはり、これ、私たち国会議員が知恵を絞らないとだめなのは、それこそ三十年先、五十年先の日本、今の若者の未来を考えて、どうすれば所得の少ない人でも老後、やはりある程度、一定以上の生活を保障できるのか、そのためにはどういう年金制度でいいのか、そのことをやはり今議論しないとだめなんですね。目先のことだけ考えて、免除にすればそれがいいやということでは、問題は全く先送りで解決にならないわけです。
それで、この調査結果、七月中旬に出るということです。真相究明、そして問題のある職員の処分、これも当然必要でしょう。組織の改革、必要でしょう。しかし同時に、そのこととともに、この国民年金が二人に一人しか納付していない、そういう状況をどう改善していくのかという抜本的な議論もやっていかねばなりません。
そういう意味で、これは国民の不安と期待というのは、この年金問題に対して非常に大きいものがあります。きょうから国会は閉会になるそうですけれども、やはり私たちも税金でお給料として働かせてもらっている、そういう身である限り、閉会になったからこの問題は終わるというわけには当然いかないと思います。
そうしたら川崎大臣にお伺いしたいと思いますが、これはもちろん理事会で後で議論することでありますが、大臣の御見解として、これだけ調査結果が七月中旬に出てくる、きょうはこれは中間報告ですよ。これはやはり、最終結果が出てきたときにもう一度この委員会でしっかり審議すべきだ。間違っても、次にこの問題を議論するのは十月や十一月、そんな無責任な話はあり得ない。そんなことをすれば、ますます年金への怒りと不安というのは私は高まると思います。大臣、この閉会中に調査結果が出た時点で審議をする、このことについてどう思われますか。
○川崎国務大臣 そのことについては、先ほどお答え申したとおり、委員会で御議論ください。
基本的に、年金制度全体の考え方が与野党で大きく隔たりがある。わざわざ委員も質問の中で、単年度で見ればという言葉をつけられました。三十年、四十年というサイクルで見れば、制度一つに、例えば厚生年金の方に負担を大きくかぶせる制度ではない、率を決め、金額を決め、制度設計の中にやっているわけですから。国民年金の未納者が多いがゆえにすぐそれがはね返って厚生年金の負担増になる、三十年、四十年のサイクルになるという話とは、明らかに違うということを申し上げておきます。
○山井委員 朝の理事会でも、閉会中に調査結果が出たときに審議をしようということを言っておりますが、与党が反対をしております。(発言する者あり)協議をしようということですから、ぜひ、今の言葉を信じたいと思っております。拒否はしていないそうでありますから。ぜひとも閉会中にそのことを、私は審議をすべきだと思います。
なぜこれだけ納付しない人がふえているのか、それは、年金制度に対する信頼が低下しているんですよ。その年金制度に対する信頼を高めること、これは私たちが国会で真剣に議論することですよ。
今、川崎大臣、与党と民主党とで年金についての考え方が違うとおっしゃった。しかし、大きな違いは何か。与党は今の年金制度で百年安心と言っていることですよ。私たちは百年安心じゃないと言っていることですよ。国民の多くはどうですか。国民の中で、百年安心と思っている人は少ないと思いますよ。
それに、過去一年間、社会保障合同会議やりました。私たち民主党は、最優先課題として国民年金の改革を議論しないとだめだと言ったにもかかわらず、それを逃げ続けているのは与党じゃないですか。やはり、国民年金の問題、まさにこの不正免除問題を契機にもう一度これは議論をせねばならないと思います。
まとめになりますが、きょうの議論を通じて、本当の納付率、見せかけの納付率じゃなくて、加入者のうち納付している人の数というのは、村瀬長官の頑張りがあってもどんどん減っている、そしてその部分はサラリーマンの方々によって肩がわりをされているということが明らかになってまいりました。
○岸田委員長 山井議員、簡潔にお願いいたします。
○山井委員 次、ぜひ、閉会中じっくりと、調査結果が出たときに審議をしたいと思います。
ありがとうございました。