164-衆-国際テロリズムの防止及…-6号 平成18年06月22日
○山井委員 民主党の山井和則でございます。これから三十分間、質問をさせていただきます。
まず最初に、一言申し上げます。
約二年半のサマワ駐留から陸上自衛隊がこのたび撤収することが決まりました。まさに、遅きに失した決断です。ただ、一人の犠牲者もなく無事に任務を終えることができるのは喜ばしいことであり、派遣された延べ五千五百人の陸上自衛隊員の皆さんに、心から感謝と敬意を表します。今後、安全に、速やかに撤収されることを望みます。
しかし、このイラクへの自衛隊派遣については、大量破壊兵器の存否など不正確でかつ恣意的な情報に基づき、安易にこれを支持して大義ない派遣となったこと、及び、イラク特措法に基づく自衛隊の活動に対して無理を重ねた法的構成と、国連中心の支援体制を構築してこなかったことは大きな問題であると考えます。今回があしき前例となり、今後とも、アメリカによる自衛隊への海外への支援要請は地球規模に拡大していく危険性があります。
そこでまず、安倍官房長官にお伺いしたいと思います。
この二年半の総括なんですが、国際貢献ということに関してはもちろん賛成でありますが、サマワは、この二年半を振り返って本当に非戦闘地域であったのでしょうか。
防衛庁からの資料をこのパネルにしてみましたが、陸上自衛隊宿営地内外における事案等で合計十四回、こういう危険な事案が起こっております。例えば、平成十六年四月七日、迫撃砲によるものと思われる爆発音、二十九日にも迫撃砲、六月十日にも迫撃砲、八月二十一日にロケット弾、十月二十二日もロケット弾とこういうふうに続いておりまして、また、平成十七年の六月二十三日には簡易爆弾が陸上自衛隊の車両のそばで、人道復興支援活動に向かう路上で爆発してフロントガラスが破損したというようなことも起こっております。
このような状況において、このサマワというのはやはり非戦闘地域であったと今でも言えるのでしょうか。
○安倍国務大臣 まず初めに、陸上自衛隊につきましては、まだもちろん任務が継続中でございますが、今までのところ一人の死傷者も出さずに、また、一発の銃弾も発射せずに任務を遂行してきたということは申し上げておきたいというふうに思います。
サマワの治安につきましては、イラクの他の地域に比べれば比較的安定をしております。宿営地に対する迫撃砲発射等の事案につきましては、今委員の御指摘があったように、あったのも事実でございますが、これらの事案やサマワの情勢を総合的に判断すれば、イラク特措法に言う戦闘行為に該当するというふうには認識はいたしていないわけであります。
つまり、サマワについては、いわゆる非戦闘地域であったというふうに考えているわけであります。
○山井委員 結局、そういう非戦闘地域というフィクションをつくってどんどんこれは拡大をしていっているわけであります。そして……(発言する者あり)
○三原委員長 静かに、静かに。
○山井委員 麻生外務大臣にお伺いをしたいと思います。
まず、イラク全土の状況なんですけれども、この間の武力行使において多くの民間人がイラクで亡くなったということが言われております。日本政府としては、どれぐらいの方が亡くなられたと把握しておられますでしょうか。
○塩崎副大臣 イラクの民間人の死亡者の数でありますけれども、多国籍軍の活動に巻き込まれて犠牲となったイラクの民間人の死者数については、公式にとりまとめられた情報はございませんで、非公式な推計があるのみであるというふうに承知をしております。
その一つであります、英米の研究者等がつくるイラク・ボディーカウントというところが推計をいたしておりますけれども、対イラク武力行使開始の二〇〇三年の三月からことしの六月十日までにイラクで死亡した民間人、これは軍人を含まないベースでありますけれども、この死者数は、最少で三万八千四百七十五人、それから、最大で四万二千八百八十九人というふうにこの団体からの数字では示されているというところでございます。
○山井委員 このように多くの、繰り返しますと、少なく見積もっても三万八千四百七十五人、多ければ四万二千八百八十九人の民間人の方々がこの間の武力行使でイラクで亡くなっておられるという報告が今ありました。
安倍官房長官、これだけ多くの民間の方々がお年寄りから子供を含めて亡くなっておられるということについて、いかが思われますか。
○安倍国務大臣 我々、イラクの復興支援に協力をしているわけでありますが、それは、一日も早く、そうしたテロのない、平和で安定した、イラク人の手による民主的なイラクが建設される日を目指して努力をしているわけであります。もちろん、そうしたお年寄りを含めて死傷者が出ていることは大変残念でありますが、そういう意味におきましては、この苦しいときこそ国際社会が一致協力してイラクの復興のために汗を流さなければならない、日本はしっかりとその国際的な責任を果たしている、このように思っております。
○山井委員 これだけ多くの民間人が亡くなっておりますし、また、イラクの調査機関では、十万人以上が亡くなっているという結果も出ているわけであります。
私たち民主党は、イラクへの自衛隊派遣には最初から反対でありますし、国連のきちんとした行動であれば別でありますが、アメリカが始めたこのような戦争に協力する余地はありません。
そこで安倍官房長官にお伺いしますが、なぜ今陸上自衛隊が撤退するのか。人道復興支援は終わったのですか。
○安倍国務大臣 陸自部隊の活動しているムサンナ県においては、治安、復興の両面において、応急復旧的な支援措置が必要とされる段階は終了いたしました。イラク人自身による自立的な復興の段階に移行したものと考えられるため、これまでの陸自部隊の活動は、その目的を無事に、そして立派に達成をした、このように判断し、サマワから撤収させることとしたものでございます。
我が国としては、今後も、イラクとの幅広い長期的なパートナーシップの構築に向けまして、各国また国連とも連携協力をしながら、円借款による経済活動の基盤整備を中心とする対イラク支援を継続していく考えでございます。
○山井委員 人道復興支援が一段落ついたということですが、そんなもの、今なぜそれが一区切りするのか、全く説得力がないわけですね。逆に、イギリス軍やオーストラリア軍がこれから撤退する、その際にこれは撤退するにすぎないだけじゃないですか。国会が閉会してからまたこのようにこそくに報告するというのも、私はとんでもないことだと思っております。
額賀防衛庁長官にお伺いをいたします。
この拡大していく航空自衛隊の活動範囲、今後どのように拡大するのですか、また、いつから拡大するのですか。
○額賀国務大臣 今、陸上自衛隊はそういうことで撤収を先日命じたわけでありますけれども、航空自衛隊の人道復興支援活動あるいはまた安全確保支援活動につきましては、国連等の要請があったことはもう委員も御承知のとおりでございまして、小泉首相もこれについては前向きに考えたいということで、我々も検討をしてきたところでございます。
また、多国籍軍においてもさまざまなニーズがありますので、我々航空自衛隊で、実際にどういうニーズがあるのか、そして航空自衛隊でどういう仕事ができるのか、そういうことについて検討をしてきているところであります。
したがって、今後、国連等の要望に応じて具体的にどういうふうに展開することができるかどうか、まだ判断をしておりませんけれども、これから実施要項を決めてしっかりと対応していきたいということをこの前明らかにしたわけでございまして、具体的にいつからどういうふうにということはまだ考えておりませんけれども、国連の要望はバグダッド空港それからエルビル空港等を要求しておりますので、そういうところの安全等々について今調査をしているところでございます。
○山井委員 今までは人道復興支援というものが前面に出ていたわけですけれども、これからますます安全確保活動、後方支援というものが中心になっていくわけで、まさに多国籍軍支援、アメリカ軍との一体化という懸念が高まってくるわけですね。今回、陸上自衛隊が撤退しても、航空自衛隊の輸送機がアメリカ軍その他の支援活動をやる意味で、仕事量の拡大以上に、撤退どころか、ますます踏み込んでいくということになるわけであります。
そこで、今後どのようにこれを国民に説明していくのか、安倍官房長官にお伺いしたいと思います。
○安倍国務大臣 空自の任務につきましては、これはアナン事務総長からも要請をされてきたものでございまして、私がアナン事務総長とお目にかかった際にも、空自の協力の要請がございました。こうした要請も踏まえまして、多国籍軍に加えまして国連の活動も支援を行うことといたしまして、新たにバグダッドやエルビルへの移送を行う旨決定をしたわけでございます。
このような方針につきましては、二十日に発表されました内閣総理大臣の談話においても御説明がなされたわけでありまして、また、本日の審議を含め、政府として国会などの公の場において適宜説明をしていきたい、時期に応じ説明することを通じて国民の理解を得ていきたい、このように考えているところでございます。
○山井委員 現時点ではなかなか中身が見えてこないわけですよね。やはりそのあたり、アメリカとはきっちり話をしながら、国民に対する説明責任が極めて不十分だと考えます。これは、実際派遣される航空自衛隊に対しても私は極めて失礼な話だと思います。国民に十分な説明もせず、国民の理解も得ずに、非常にこれは危険な任務につかせることになるわけです。
次に、このパネルで、今回のバグダッド方面にまた輸送機が飛んでいくということについて少し考えてみたいんですが、これはきょうお配りしたこの資料にも出ておりますけれども、二〇〇三年五月一日以降でも、ムサンナ県では、死傷者、これはサマワがあるところで二人でありました。しかし、バグダッド周辺では四百八十七人もこれは亡くなっているわけですね。また、六月以降は、バグダッドではアメリカ軍とイラク軍による過去最大規模の武装勢力の掃討作戦も展開されています。そして昨年は、イギリス軍の輸送機がバグダッド周辺でテロ組織の対空ミサイルで撃墜をされた、そういうことも起こっているわけです。陸上自衛隊以上に、ますますこれは危険な任務じゃないですか。
額賀防衛庁長官にお伺いします。
このように、テロ組織の対空ミサイルの射程内に入って実際昨年イギリスの輸送機が撃墜されていても、それでもこのバグダッド空港周辺は戦闘地域ではないのですか。
○額賀国務大臣 バグダッド地域全体が戦闘地域であるのか非戦闘地域であるのかということについて、今我々は区別をしているわけではありません。ただ、バグダッド飛行場については、これは比較的、人員輸送それから物資の輸送等々について極めて重要なところでありますから、治安も物すごく重要視しているところであり、この地域については、飛行場については、我々は、非戦闘地域である、仕事の対象地域である、実施区域の一つであるという形で対応させていただいております。
おっしゃるように、さまざまな、イギリスの飛行機が攻撃をされて墜落した事件もありました。それは一月のことでありましたけれども、その後半年間は、そういう事故、事件というものは起こっておらないわけでございます。
もちろん、我々が空自を実際に飛ばす場合には、多国籍軍あるいはまた関係のイラクの政府治安当局と綿密な打ち合わせの上で、しっかりと安全を確保した上でこの任務を遂行させたいというふうに思っております。人員それから物資の輸送でございますから、これは、一分一秒を争う、そういう中で仕事をしていくわけではないので、きっちりと安全を確保した上で仕事をさせたいというふうに思っております。
○山井委員 今の話を聞いていると、自分たちが行く地域は非戦闘地域だと勝手に定義する、まさにこれは、本当にフィクションの世界であるわけですよね。そこで、本当に日本の輸送機がバグダッドあるいはエルビルまで行って撃墜されるということが起こらないのか。そのことは、これは非常に本当に重大な問題だと思います。
これから秋以降の総裁候補と言われているお二人にお伺いをしたいと思います、安倍官房長官と麻生大臣に。このような地域に自衛隊を派遣して、万一、日本の輸送機が撃墜されたときの責任問題についてはどのような覚悟を持っておられますか。麻生大臣、安倍官房長官にお伺いします。
○麻生国務大臣 二人いらっしゃるというお話だったのでどちらかが言うお話ですけれども、ほかにも大勢いらっしゃるということをまず大前提にしておいていただかぬと失礼に当たりますので、お断りしておきます。
今、自衛隊を派遣するという話から、いろいろこれからに返ってみますと約二年有余になりますけれども、少なくともこの二年半の間、犠牲者はゼロだったという事実はまず認めていただかにゃいかぬところです。
ここが、結果として、お出しになりました資料を見ましても一人豪州兵のみということになっておりますが、それは、その地域だけが、いい、平和な地域、だから一人だったのか、自衛隊、豪州、イギリス軍等々の現地の人たちとの連絡がよく、人間関係もよかった結果として一人になったのか、極めて判断の大事なところなのであって、一人だけだったからここだけ平和だったなんという判断は明らかに偏っていると、基本的にはそう思っております。
二つ目は飛行機の輸送の話ですが、これは国連からの要望だったと、私は、アナン事務総長にお目にかかったときにはそういう印象を強く持ったのが事実です。そして、国連から直接要請を受けたのに対しまして、私どもとしては、そういったことは防衛庁が判断されるところでもありますので、御要望としては預かっておきますとお答えをしたと記憶いたします。
少なくとも、バグダッド周辺、空港周辺半径五キロ以内でいわゆる戦闘地域というような状況であろうかと言われると、その判断は、私どもがいただいている資料では、この五年間、そのようなことはないというような感じがいたしております。したがって、そういった状況が起きたら、巻き込まれたときには、政府として、基本的に、そういった危険地域、だから民間航空ではなくて自衛隊員が出ていくわけですから、ある程度危険を顧みず出ていってもらえる、日本で持っております組織というものは、これは自衛隊ということになろうと存じまして、これは政府の責任として対応していかねばならぬものだと存じます。
○安倍国務大臣 もう既に麻生外務大臣が答弁したとおりでありますが、バグダッドにおいては、民間の航空会社も既に運航を行っているとはいえ、全く危険がないという地域ではないのはもちろんのことであります。だからこそアナン事務総長も、日本の能力の高い航空自衛隊にこの任務を遂行してもらいたいという依頼があったわけであります。イラクの復興支援のためには、そうした任務をだれかがやはりやらなくてはならないわけであって、その中で、私たちもしっかりとこの復興支援の中で責任を果たしていくという決意をしたわけでございます。
我々は、こうした決意を行った以上、しかし同時に、なるべく危険がないように最大限の調査等を行ったわけでございまして、その上で最終的な判断を政府全体として行ったところでございます。
○山井委員 これは、我が国には憲法という枠があるわけでありまして、戦闘地域には行けないわけですよね。それをなし崩し的にどんどんこういうふうに踏み込んでいく、これは本当にあしき前例になりますよ。これからますます地球規模にどんどん支援要請が来ることになります。
それで、今後もう一つ心配なのが、撤収する際はこれは危険性が増すわけなんですよね。実際、今回、サマワからタリルまで百キロ、長い車列を組んで撤退する。そして、その後タリルからアリ・アルサレムまでは航空機になるということですが、この場合、長い車列が毎日同じような時間に通行するというのは非常にねらわれやすいですし、また、宿営地がこれから警護を解いていく、その段階というのも非常にねらわれやすいわけですね。ここには万全の態勢をしいていただきたいと思いますが、どのように安全確保するのか、また、どこの軍が守るのか、そのことについてお答えください。
○額賀国務大臣 先ほど、バグダッドで英国の輸送機が墜落したのはこの一月と言いましたけれども、一年半前のことでありました。
今、陸自が撤収する際にやはり安全が一番大事だと委員が御指摘いたしました。そのとおりだと思います。したがって、人道復興支援をするにしても、民間の日常生活を行うにしても、治安というものは一番大事なんですね。したがって、航空自衛隊も、治安確保のためにそれなりの、我々のできる範囲で仕事をさせてもらうということは大事なことだというふうに、あなたもだから考えていただけるものと思っております。
したがって、陸上自衛隊が今度撤収する際にも、やはり安全があって初めてできるわけでありますから、これまでと同じように、南部の治安を担当している英国、豪州とよく連携をとる、それから、イラク政府それから現地の治安部隊と連携をとりながら、安全をしっかりとした上で撤収を図らなければならないというふうに思っております。
それから、この二年半の陸上自衛隊の活動が成功した背景は、やはり現住民、地域の人たちと極めて良好な関係を築いてきたということがあったと思います。もちろん、仕事をやってのけたということもそれが実績として残っているわけでございますけれども、この撤収の際も、そのバックグラウンドとして、地域の方々とよく了解する中で、たたえられながら撤収をする、そういう環境づくりにも万全をし安全を確保したいというふうに思っているところであります。
○山井委員 ここは、これから一カ月あるいは一カ月半かけて撤収されるということですが、ぜひとも、最後の最後まで安全の確保をしていただきたいと思っております。
少し視点が変わりますが、自衛官の方の自殺の割合について少し額賀防衛庁長官にお伺いしたいと思っております。
私心配しておりますのは、いただいた資料では、イラク特措法に基づき派遣された経験のある隊員のうち自殺された方が六名であるということなんですね。問題は、この割合をそれ以外の隊員の方々の自殺される割合と比較すると、約二倍高くなっているわけであります。
もちろん、こういうみずから命を絶たれるという不幸なことは、因果関係というのはなかなかこれは証明されることではありませんが、客観的な事実として二倍自殺率が高いという歴然たる事実があるわけでありまして、そういう意味では、帰国後の隊員の方々のサポートというのは、これは本当に十二分にサポートしていく必要があると思いますが、防衛庁長官、いかがでしょうか。
○額賀国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。このデータが、イラクに派遣された隊員のうち帰国後に自殺した方が六人いるわけでございまして、その割合と防衛庁・自衛隊員全体の中の自殺率を考えると、おっしゃるように二倍ぐらいの数字のデータにはなっているんだけれども、これが総体的に自衛官がイラクに行かれたから自殺したのか。六人の自殺の原因を考えると、イラクに派遣されたから自殺をしたということは直接断定できない、ストレートに結びつくものではないというふうに我々も理解をしているわけでございます。
そういうことを考えると、全体的にこれをもうちょっと敷衍して考えますと、例えば一般職の国家公務員の自殺の割合とか、それから一般の国民全体の男子の自殺の割合とか、そういうことを考えると、自衛官の場合は三八・六になっているけれども、一般の国民の男子の場合でいくと四三・四になっている。そういうことを考えると、自衛官だけが高い割合ではないというデータもあるわけでございまして、それでなくても最近は自殺というのは多くなっているわけでありますから、もうちょっとその背景は別の視点からの分析をしてみる必要があるのではないかというふうに思っているところであります。
もちろん、イラクに派遣する前のヘルスケア、それから帰ってきてからのヘルスケア、健康診断等々については、万全を期していかなければならないというふうに思っております。
○山井委員 今も答弁ありましたように、一般の隊員の方の自殺率が三八・六ポイント、そして、イラク特措法に基づき派遣された経験のある隊員のうちの自殺の割合が七八・九ポイントと、約二倍になっているわけであります。このような対応、ぜひとも十分によろしくお願いしたいと思います。
それで、また額賀防衛庁長官にお伺いしたいと思いますが、陸上自衛隊が撤収して航空自衛隊が残るわけですね。これは、飛行中の安全または空港での安全ということにも関係してくるわけですけれども、どこの軍に守ってもらうことになりますか。
○額賀国務大臣 これは例えば、我々はさまざまな情報を、その空港の地域の天候の情報だとか治安の状況だとかそういうのは、米国を初め多国籍軍、あるいはまた北部のエルビルであれば、そこで仕事をなさっているのは韓国であります。そういう国々と、飛行場と関係のあるところで仕事をなさっている多国籍軍のそれぞれの国々と緊密な連携をとりながら安全を確保していかなければならないというふうに思っております。
みずからのことでありますから、C130の防護装置等々さまざまな安全条件について、十分な形が整わなければ仕事はしないぐらいの覚悟を持って今度の仕事をさせなければならないというふうに私は思っているところであります。
○山井委員 このたび撤退する陸上自衛隊は自衛隊の一部であって、実際、航空自衛隊の活動範囲が拡大され、結果的には全面的な撤退というのは、次の内閣、つまり、次の総理の宿題として残ったわけです。アメリカでもブッシュ大統領は、全面撤退は次の大統領の仕事とおっしゃっているわけですね。
そこでまた改めて、次の総理になる可能性が高いと言われている麻生大臣そして安倍官房長官にお伺いしたいと思います。
このような全面撤退について将来的にどのように考えておられますか。これはまた今後の総裁選びの際にも大きなポイントになってくると思いますが、イラクからの自衛隊の全面撤退について将来的にどのようにお考えなのか、麻生大臣と安倍官房長官にお伺いします。
○麻生国務大臣 安易な予測みたいな話は余り意味がないことだと思っていますので何ともお答えのしようがありませんが、少なくとも、選挙をやって、新しい憲法を制定して、それに基づいて新政権をつくって、組閣が終わったマリキという今の内閣のもとで防衛大臣、治安大臣、石油大臣等々を決めて、今スタートしたばかり、治安がどれぐらいで移譲されるか私は最大の関心がありましたけれども、治安権限を移譲された中で、今回、名前を挙げて治安権限の移譲が行われたのがサマワということになって、まことに光栄だったと私自身はそう思っております。
ほかの地域でも同じようなことが全面的に成っていくのかということに関しましては、これは今後、いわゆる宗教的にとか地理的にとかいうと、バグダッドから北西部に至る部分とかクルド人の地域とか、いろいろ分け方が分かれているところなので何とも申し上げられませんけれども、全体で完全に撤退が終わるのがいつかというのを今の段階で予測するのは、極めて難しいと存じます。
○安倍国務大臣 今回のサマワでの自衛隊の任務の終了につきましても、これにつきましては、イラクの政治プロセスの進展の状況あるいはまた治安権限の移譲状況、または現地の治安の状況、さらには、現地で活動している多国籍軍の状況等々を判断して最終的に決断をしたわけであります。
今、今後の自衛隊の撤収の時期という御質問でございますが、これもやはり同じように、現地の、またイラクをめぐる治安の状況、あるいは多国籍軍の取り組みの状況、また、復興の状況等々を適切に判断して決めていきたい、こう思っています。
○山井委員 これは、安易にアメリカの大義なきイラクへの武力行使を支持して、そして、海外の戦闘地域に非戦闘地域というフィクションをつくって自衛隊を派遣したのは、本当に大きな禍根を残すあしき前例になると思います。
最後になりますが、陸上自衛隊員が全員無事に帰国されることと、航空自衛隊の撤退を求めて、質問を終わります。
ありがとうございました。