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2006年5月

民主党パーティーのご案内とチケット購入のお願い

下記のとおり、5月30日に、民主党のパーティーが開催される予定です。
 山井自身は、政治資金パーティーを行っておりませんが、党のパーティーでは、1枚2万円のパーティー券を販売するノルマ(30枚)があり、売れ残ると事務所から持ち出しになるため、自発的に買っていただける方に販売することにしております。
 そこで、1枚2万円という高額で心苦しいのですが、今回のパーティーのチケットを購入いただける方を募集しております。
 チケットを購入して民主党のパーティーを見てやろう、小沢代表、菅代表代行、鳩山幹事長、渡部国会対策委員長など民主党の国会議員を生で見てみたい、という方がいらっしゃいましたら、東京事務所(電話03-3508-7240 e-mail:tokyo@yamanoi.net まで、御連絡くださるようお願いします。

                    記
 2006 民主党パーティー「前進」の概要

日時:5月30日(火) 午後5時30分開場 午後6時開宴
会場:ホテルニューオータニ東京「鶴の間」
会費:20,000円

※このエントリーは、5月30日までトップにあります。

Posted at 2006年05月30日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年5月

2006年5月

厚生労働委員会議事録(社会保険庁問題)

164-衆-厚生労働委員会-24号 平成18年05月24日
 ○国民年金保険料不正免除

○山井委員 これから五十分間にわたりまして、川崎大臣と村瀬長官に、今回のこの保険料の免除、猶予の不正問題についてお伺いをしたいと思っております。
 一言で言うと、これはまさに年金納付率の偽装問題であります。今国会では、耐震偽装の問題が大きな問題となりました。
 社会保険庁にとって最も重要な数字を一つ上げろと言われたら、村瀬長官、どういう数字ですか。

○村瀬政府参考人 どういうふうにお答えしたらいいか非常に困るのですけれども、先ほど申し上げましたように、私が社会保険庁長官に任命されましたのは、さまざまな不始末をしっかり直せということで、先般も申し上げましたように、まず、お金の使い道をしっかり正せ。それから、国民のサービスがしっかりなっていないんだから、しっかり国民の視点になったサービスに変える。そして収納率も上げなさい。さまざまな案件があった上でやっておりまして、それが変わります宣言に入っているんだろうと思います。
 したがいまして、私自身は、やはり変わります宣言の中のものをしっかりやっていく、それは業務改革プログラムのものをしっかりやるというのが私の仕事だろうというふうに思っております。

○山井委員 質問にしっかり答えてください。一番大事な数字はと聞いているんですから。
 村瀬長官が一番力を入れておられるのは納付率の向上じゃないですか。この間、二年間。そして、今問題になっているのは、その納付率が偽装されているということなんですよね。
 午前中の審議にもありましたように、大阪では、本人に無断で不正に免除、猶予をしたことによって、二%、納付率が上がっているわけです。長官は二〇〇七年度までに八〇%を目指すと言って、この後も説明をいたしますけれども、どんどん厳しくリーダーシップをとっておられた。しかし、肝心のその数字が偽装されているのではないかということであります。
 ここ一連のこの報道によって、国民の年金に対する信頼はまた失墜しております。また社会保険庁か、また偽装したのか。そして、先ほどの内山議員の質問の中でも、これは刑事罰にも相当するかもしれない。本来、こういうことをやったら、民間の企業だったらこれは業務停止ですよ、勝手に本人に無断で手続をやって。午前中から答弁を聞いていて、そういう反省、危機感というのが全然ないわけです。
 法案審議ということを与党の方々、おっしゃっておられますが、その前提じゃないですか。年金に対する信用が失墜していますよ。納付率という最も重要な数字ですら、社会保険庁は偽装しているのかということではありませんか。
 それで、少しこの間の問題点をおさらいしてみたいと思っております。
 わかりやすくパネルを持ってきました。
 本来、納付率というのは、分母が納付対象者で、実際の納付者、これを上げるということですよね。だれが考えても、この納付者をふやすというのが本来のやり方なわけです。しかし、この納付者をふやすというのはなかなか大変だ。そこで村瀬長官が力を入れられたのが、この分母対策というものなわけですよね。実際納付者がふえなくても、納付対象者の方を免除や猶予で減らしたら、見せかけの納付率はアップする、こういう小手先のことをやっているわけです。
 資料を見ていただきたいと思います。実際、猶予と免除は不正にやっているじゃないですか。では、これを見ていただきたいと思います。資料、多いですが、七ページ、見てもらったらわかりますように、平成十四年、十五年、十六年と、納付率は確かに六二・八、六三・四、六三・六と上がっています。しかし、村瀬長官、御存じのように、実際、納付月数というのは、一万三千六百二十七、一万三千四百九十二、これは万月でありますが、こういうふうに、年々、納付者数と月数は減っていっているわけなんですね。そういう意味では、根本的な対策というのはできていないわけです。
 この間の、本人に無断で不正に免除した、不正に猶予した、そういう意味では、この年金の納付率が偽装されているというこの現状に対して、まず村瀬長官の見解をお伺いします。

○村瀬政府参考人 制度にあるものを純粋に対応しているということで、偽装ということについては若干違うんではないかと思いますが……(山井委員「不正の部分を言っているんですよ、不正の部分を」と呼ぶ)いや、先ほど納付率のことでお話がありましたから、それについてまずお答えをさせていただきたいと思います。
 まず、ここにあります納付率でございますけれども、納付月数と納付対象月数に合わせてやっているわけでございます。したがいまして、納付対象月数が必然的に減れば納付月数は減るわけでございまして、そういう点ではパラレルの関係には必ずしもない、対象の絞り方によっては全然違ってくるんだろうというふうに思います。
 したがいまして、納付率を上げる手段としましては、私は、分子をしっかりふやすことと、分母を法令に基づいてきちっと整理すること、この両方があって納付率を上げるということが、まず正しいやり方ではなかろうかというふうに思います。
 それから、あと、先ほど八〇%という話がございましたけれども、八〇%は平成十九年度の目標でございまして、平成十五年度に目標数値は決定をしております。

○山井委員 一つ基本的なことを村瀬長官にお伺いしたいんですが、今回の経緯ですね、朝から古川議員の質問もありましたが、今回の経緯を見ておりますと、十三ページに、昨日、社会保険庁から提出いただいた経緯、五月十五日、ABC放送から大阪事務局に対し免除申請書の偽造があるのではないかとの取材申し込みというのがあっております。三月の時点、京都でこの不正が発覚したときに全国調査したときには、どこもほかは不正やっていないという回答だったわけですよね。ところが、これ、私も関西ですから見ておりますが、夕方の「ムーブ!」という番組ですよ。そこからの取材があってこの問題が出てきたんです。
 村瀬長官、ということは、その番組の取材がなかったら、今回のこの不正の免除の問題はこんなに明らかになっていなかったということですか。

○村瀬政府参考人 私自身は、先ほどから申し上げていますように、五月十七日に事実関係を確認を、第一報を受け取りまして、詳細な事実関係を知ろうということで指示をして、その結果、公表できるものはすぐ公表すべきであるという方針に基づいてやらせましたので、五月十五日のものが果たしてその中にあったかどうかというのは、私自身はありませんし、現場がどう思っていたかというのは現段階では確認をしておりません。

○山井委員 ここに書いてあるじゃないですか。この取材を受けて調査は動き出したわけです。
 つまり、社会保険庁の自浄作用によって今回この問題が明らかになったんじゃないんですよ。そういう取材や、あるいは、古川議員も取り上げたこの二十八ページにあります大阪正義さんですか、この方からの告発によって明らかになったわけなんですよ。そういう意味では、この調査の不十分さというのがこれは明らかになっていると思います。
 それで、村瀬長官にお伺いしたいと思います。
 現時点では社会保険事務所十九カ所でこういう不正が明らかになっていると認めていられるわけですが、十九カ所以外については本当にないんですか。

○村瀬政府参考人 現段階では聞いておりません。

○山井委員 現段階では聞いておりませんということは、今後出てくる可能性もあるということですか。

○村瀬政府参考人 ないと信じておりますけれども、先ほど大臣の方からも、厳しく中身をもう一度再チェックしろという御指示もありまして、これからやらせていただくところでございます。

○山井委員 村瀬長官、これは割と重要なことですよ。十九だけの問題なのか、全国的にこれが広がっているのか、これは根本的な問題ですよ。今まで出ていた納付率のデータも、全部これは再計算しないとだめになってくるわけです。いつまでに調査結果を出すんですか。

○村瀬政府参考人 まず納付率の問題でございますけれども、まだ本年度納付率というのは公表をしておりません。
 それで、現在、大阪並びに長崎のものにつきましては、すべて免除ではないという前提で、納付率を変えるという処理をさせていただいております。したがいまして、これからの調査の中で納付率の問題で修正が必要な部分が出てくれば、正しいもので公表させていただくというふうに考えております。

○山井委員 村瀬長官、質問に答えてください。
 十九以外にあるかもしれないから調査をするということなんでしょう。それはいつまでに調査をするんですかと聞いているわけです。

○村瀬政府参考人 できるだけ早くやりたいと思っております。
 先ほど申し上げましたように、第一弾としては、事務局長を早く集めて話をしたいというふうに思っております。

○山井委員 村瀬長官、やはり事の重大さをわかっていないですよ。これから、政府は法案を出して法案審議を求めているわけですよね。それに対して、十九カ所だけの不正行為だったのか、全国に広がっているのか、これから調査しますと。
 それじゃ、実態が全然わからないじゃないですか。いつ調査結果出すのか、待ちますから、いつ出すのか言ってください。

○村瀬政府参考人 まず、第一段階で調査をした部分につきましては、先ほどの部分でお話し申し上げている部分でございます。したがって、それをさらに再調査という形でございますので、個別に当たらないと、今すぐ、では、いつまでできるかという形では出てきません。
 ただ、どういう文書で処理をしているかということがはっきりしておりますので、全くやっていないところはどこかという、そちらの方からは早くどんどんどんどんお答えができる形になるのではなかろうかと思っております。

○山井委員 先ほど村瀬長官は、現時点ではほかにあるかどうかわからないとおっしゃった、そして調査はこれからしていくとおっしゃった。ということは、十九カ所でしか行われていないのか、全国に広がる話なのかは、現時点ではわからないということですね。

○村瀬政府参考人 先ほどから申し上げておりますように、第一弾段階の調査では十九であったということの御報告はしておるわけでございます。

○山井委員 そういう現状認識じゃ、これは本当に法案の審議にならないですよ。十九なのか、全国各地でこれをやっていたのか。先ほどまさにおっしゃったじゃないですか、納付率も、不正に免除していたのか猶予していたのかによって、全部再カウントするんでしょう。十九カ所以外にあるのかないのかもわからない。
 そして、村瀬長官、新たにこれが全国に広がっていたら、長官、どう責任をとられますか。

○村瀬政府参考人 どういう形で結果が出てくるかわかりませんので、それに対して、今責任をどうとれというふうに私にお話しいただいても、なかなか話しかねるというのが現状だろうと思うんです。

○山井委員 昨日、大阪の保険事務局の局長が更迭をされました。先ほど川崎大臣は、いや、更迭という名の人事異動だということをおっしゃって、私もびっくりしましたが。
 村瀬長官、この十六カ所の大阪の不正免除は組織的なものと認識されていますか。

○村瀬政府参考人 個々に調べないとわからないと思いますけれども、どちらかといいますと、事務所長が自分の権限下でやったというふうに認識をしております。それをとめられなかった、十分管理できなかったのは局である、こういう位置づけで思っております。

○山井委員 そのだれがどういう指示系統でやったかという調査はいつまでにされますか。

○村瀬政府参考人 処分をやるためには、当然のことながら事実関係を把握しないとできませんので、早急にそれはやらせていただきたいと思っております。

○山井委員 いつまでにその結果が出ますか。

○村瀬政府参考人 申しわけないんですが、できるだけ早くというお答えにさせていただけたらと思います。

○山井委員 要は、十九カ所だけの問題なのか、全国的に行われていた問題なのか、調査はこれからするからわからない。そして、一番大きな問題だった大阪においても、組織的だったのか個人的だったのかもこれから調査するからわからない。ということは、今出てきている不正免除の問題が氷山の一角なのかどうかもわからないということじゃないですか。
 そういう状況で、これから社会保険庁を変えようという法案の審議ができないわけですよ。真相究明と実態把握なくして、対策は立たないんですよ。これは、耐震偽装の審議のときにも、嫌というほど私たちが学んだことなんですよ。現状認識ができていないわけですよ。そういう現状認識もなくて、どうやって改革をしていくかという法案をよく出してこられるなと私は思うんです。
 それで、今、村瀬長官は大阪の保険事務局長が更迭された理由を、それは監督ができなかったという部分をおっしゃいましたが、川崎大臣、なぜ大阪の保険事務局長を更迭されたんですか。

○川崎国務大臣 さっきから御答弁申し上げておりますとおり、三月時点で京都の問題が出てきた。したがって、全都道府県に、それぞれの組織にしっかり調べて報告するようにと言ったときに、ないという報告があった。そして、その時点で、しっかり調べた結果がなかったのか、わかっていてもないという報告をしたのか、これはわかりません。
 しかしながら、現実に今回こういう事案が出てきて、この大阪のトップに立つ者では、今の大阪の実態をしっかり解明をして次の対応をすることについては無理であろうということから、更迭をして新しい人にその任に当たらせる、こういう判断をいたしたところでございます。

○山井委員 私たちは、法案審議のために時間は待ちますので、法案審議の前にしっかりと実態調査をして、この問題の真相を究明してほしいと思います。それは、真相がわからないわからないと答弁されていて、現状はわからないけれどもこう変えたいんですというような、そんなむちゃな話はないわけです。
 それで、村瀬長官にお伺いします。
 今回の本人の許可を得ず不正に免除する、あるいは猶予する、こういう年金の納付率の偽装方法があるということをいつ知られましたか。

○村瀬政府参考人 京都の件につきましては先ほど申し上げた日にちでございますし、大阪の件については先ほどの日にちということで、申し上げたとおりでございますが。

○山井委員 ということは、三月の中旬まで、こういうふうな不正で本人の承諾を得ずに勝手に免除や猶予をしてしまっているといううわさとかそんな話を、全国三百カ所回られたと聞きましたが、全国回っていて、二年間やっていて、全く聞かれたことはなかったわけですか。

○村瀬政府参考人 現実問題としては、やっている話は聞いておりません。
 ただ、いろいろな意見交換の中で、免除自体が申請免除から職権免除に変わる手だてはないかとか、それから、免除自体が継続免除方式がとれないかとか、いろいろさまざまな意見は出てきております。
 ただし、これを現在の法令でいってどうかということであれば、当然申請免除でございますから、それを間違った形でやっている、手続ミスをしているということは、私自身は確認をしておりません。

○山井委員 やはり、これは強くノルマを課してやっていけば、こういうことが起こるのではないかというのは、まさに現場主義の村瀬長官だったら気づいていてよかったんじゃないかな。
 それで、具体的に見てみたいと思いますが、例えば、村瀬長官は、社会保険事務局・事務所グランプリというのをやって、こういう納付率を競わせたり、あるいは、十一月八日には社会保険庁長官の名前で「「国民年金の収納率」緊急メッセージ」というのを出しておられますね。当面の目標は、免除対策、納付督励、強制徴収の実施により、全国の十二月末における改善幅を二%とする、この時期になって言いわけは無用である、まず行動を起こし、責任を持って結果を出すことに全力投球してもらいたいというふうにおっしゃっておるわけです。実行すべきことは既に決まっている、ただ、実行し結果を出すことのみと。そしてまた、その中で目標値を厳しく定めておられるわけです。
 私の資料の一番最後の三十六ページを、字が小さいですが見ていただきますと、私読みます、ちょっと字が小さいですから。アクションプログラム、目標納付率。私、今回の事件でなぜ大阪、なぜ京都なのかなということは、ちょっと不思議に思ったんですよ。これを見てみたら、例えば十六年度実績、京都は六二パーを、十七年度には七一・三、九・三%上げなさい、大阪は五四・三、そして十七年度目標が六三・五、九・二%上げなさい、つまり、ほかに比べて非常にハードルが高いんですよね。
 そしてまた、これはその前のページにありますが、各保険事務所ごとに目標値を決めているわけです。もちろん、私は、目標値を決めること自体は悪いと言いません。しかし、やはりここに無理があったから、今回のような不正な免除、猶予というのが起こったのではないか。
 村瀬長官の、これは分母対策と言われるわけですね、分母対策と言われるこのやり方、先ほどお見せした、分子をふやすんじゃなくて納付対象者を減らす、このやり方自体が結果的には不正な免除や猶予を招いてしまったのではないか、そういう意識は村瀬長官は持っておられますか。

○村瀬政府参考人 まず私の文書を見ていただきたいんですけれども、免除だけやれということは一切言っておりません。免除、納付督励、強制徴収、この三つが徴収率を上げる最大のポイントであるということで、すべてをやりなさいという指示をしているつもりでございます。また、事業をやる以上は、各目標を定めて、それに対して的確に仕事をやるというのは、これは当たり前のことだろうと思います。
 また、納付率という観点でいいまして、たまたま今、大阪、京都ということが話されましたけれども、今までやっていなかったからこそ納付率が上がらなかったということで、しっかりやっていただく必要が当然あるんだろうというふうに思います。

○山井委員 そうしたら、村瀬長官は、今回のこのような不正行為が行われた責任は全く自分にはないというふうに思われるわけですか。

○村瀬政府参考人 あるかないかと言われても非常に困るんですけれども、私の役割は何かといいますと、先ほど申し上げましたように、一つの仕事としては、国民年金の収納率を上げる仕事が私の仕事になってございます。
 では、それはだれがやってくれるかということになりますと、当然、四十七の事務局と三百十二の事務所でございます。三百十二の事務所が働きやすい環境をつくって、数値に基づいてしっかり仕事をやっていただく、これは私は、当然のことだろうというふうに思っております。

○山井委員 この朝日新聞の昨日の朝刊によりますと、分母を消せ、上からの必達目標、「上からは「分母を消せ、消せ!」と口やかましく言われた。村瀬さん自身の口癖だったと聞いている。」こう書いてありますけれども、どうなんですか。村瀬長官自身も、こういう分母を減らせということを口やかましくおっしゃったんですか。

○村瀬政府参考人 極めて心外な記事だろうというふうに思っております。私は、申し上げましたように、すべてをやれと言っておりまして、決して一つだけやれというふうには言ったつもりはございません。

○山井委員 川崎大臣にお伺いしたいと思います。
 今回のこのような不正な免除や猶予がなぜ起こったかということで、昨日の記者会見において、記者さんからの質問に対して、納付率の引き下げを意図したものではなかったと思うというお答えをされているんですね。(川崎国務大臣「引き下げ、引き上げだろう」と呼ぶ)そうです。大臣、それはどう思われますか。それは意図したものでなかったと、今でも思っておられますか。

○川崎国務大臣 私は、先ほどの答弁で二つの側面を申し上げました。一つは、担当者が何回も訪ねる、電話をかける、結果として、極めて所得が低く、かつ納付するのが難しいだろう、しかしながら、これを御理解いただければ年金というものが将来保障されていくし、また、所得が生まれた段階で十年さかのぼって支払うこともできる、したがって、自分は親心でやっているのにな、これを聞いてくれない、そういった中で、ひとりよがりで、やってやったらいいんだろうという判断をした人もいるだろう、もう一方で、やはり数字を上げるという目的を、手段を選ばず、まさに法律に照らしてやってはならないことをやってしまった、この二つの側面があるだろうと思っております。
 いずれにせよ、両方とも、どういう理由にしろ、法律に照らして違反だろうと思いますので、厳正に対処すると申し上げております。

○山井委員 先ほどお聞きした答弁では、大阪の保険事務局の局長が更迭されたのは監督責任を果たさなかったからだ、指示したかどうかはわからないということを答弁されていました。
 ということは、幾ら村瀬長官がこれは自分とは関係ないとおっしゃっても、こういう年金の納付率に対する深刻な国民の不安を招いた、実際、こういう違法行為を常態化して放置していて、それが全国に広がっているかもしれない、そういう状況において、川崎大臣は村瀬長官の監督責任ということをどう思われますか。

○川崎国務大臣 そういった意味で、大阪の問題については京都の事件以来の話でございます。先ほど御質問ございました長崎の例、東京の例も、どうであるかと言われたときに、大阪の事案に照らしてみれば、他の案件というものは少し違うように思っている。したがって、大阪の案件については、すぐ担当者をかえて、徹底的な調査、新しい体制づくりに励んでほしいということで、人事の更迭を命じたところでございます。
 したがって、村瀬長官は、今そうした全体の解明のために、まず四十七都道府県の局長を集めてもらってしっかり話をしてもらい、そして、その局長から再度こういうことはないんですねと、一人一人の局長に村瀬さん自身から語りかけてもらおう、こう思っております。

○山井委員 結局、村瀬さんのやってきたこの二年間の中でこういう不正というものが起こったというのは事実なわけですね。そして、かつ、マスコミからの五月十五日の取材がなかったらこのことの実態も明らかになっていなかった。三月の調査では全くこういう問題は出てこなかった。自浄作用もないわけですよ。これでも村瀬長官に監督責任はないとおっしゃるわけですか。
 これは村瀬長官にお伺いしたいと思います。
 昨年、年間の納付率はいつ発表になりましたか。

○村瀬政府参考人 正確な日にちは今覚えておりませんが、六月の上旬だったというふうに記憶しております。

○山井委員 昨年六月の上旬ですか。
 ことしはいつ、前年度の納付率は明らかになりますか。

○村瀬政府参考人 今までの予定からいきますと、同じ時期ぐらいにやりたいというふうに思っています。
 ただし、先ほどもお話ありましたように、内容のチェックというのが入ってくると、若干時間はずれ込むかもわかりません。

○山井委員 大阪の場合は、不正な免除、猶予によって二%ぐらい納付率が上がっていた。そして、全国にもこういう不正があったかどうかということはわからない。これから調査するということは、正確な納付率というのはいつ出るんですか。

○村瀬政府参考人 大阪について申し上げますと、四月にさかのぼって、すべて免除の部分について、先ほどありました三万六千件ですか、あの分につきましては解除をいたしますので、当然、それによる納付率ですから、委員おっしゃっているような不正な納付率なんというのは出てこないというふうに私は思っております。
 京都も、その件につきましては三月までにすべて終わっておりますので……(山井委員「全国を聞いているんです、全国を」と呼ぶ)
 全国は、先ほど申し上げましたように、個別の調査をし次第ということですから、例えば、大丈夫だというところは個別にできますけれども、それをやらない限り正しいものは出てこないということで、しばらくお待ちくださいというのが先ほどの答えでございます。

○山井委員 今この場で聞いたって、前年度の三月末までの納付率も、いつ出てくるかもわからない。そうしたら、法案審議の最大の前提じゃないですか、納付率が上がっているのか、下がっているのか、前年度が幾らだったのか。そういう基礎的なデータも出てこない。年金審議のときでも、年金審議の一番重要なデータというのは出生率ですよ。それが、審議が終わってからぽろっと出てきた。
 今回、私たちは待ちますよ、その納付率が出るまで。そして、そういう現状を踏まえてしっかり法案審議をすべきだと思いますが、村瀬長官も、どう思われますか、その点について。

○村瀬政府参考人 まず、先ほども申し上げました二月末の数字というのは出ているわけですね。その中で、大阪の部分は、これは当然修正しなきゃいかぬ。それから、長崎の部分も修正しなきゃいかぬということで、二月の段階における数字というのはある程度出るんだろうと思います。
 三月の最後の段階については、先ほど申し上げましたように、大至急局長を集めて再確認をします。その上で、できるだけ早く出したいというのが私の方のお答えだというふうにお考えいただきたいと思います。

○山井委員 結局、その二月の時点でも、十九以外にも不正が行われていたかどうかがわからないわけですよね。そういう根本的なデータも出てこないわけじゃないですか。
 川崎大臣、お話を聞いていてどう思われますか。恐らく、私は、多くの国民の今の感想というのは、社会保険庁、またこういう偽装が明らかになったと。まず納付率なり不正がどこまで全国で行われているのか、そして、本当の納付率は何%なのか、そして、組織的にやっていたのかどうか、そういうことをまず解明しないと、その社会保険庁をどう改革するかというような議論には入れない、実態がわからないんですから。
 私、きょうもカウントしていたんですが、与党の上野議員も十七分間がこの年金の不正免除問題ですよ。上田議員も十数分間、半分以上が不正給付問題ですよ。つまり、法案審議といったって、法案審議の前提が成り立たないじゃないですか。これは私たちだけが言っているんじゃなくて、それが多くの国民の思いだと思いますよ。こういう一番肝心な年金の納付率までが偽装されている、そういう状況において法案の審議はできない。
 川崎大臣、どう思われますか。集中審議をまずやって、真相究明をして、実態把握をする、それが先決だと思いますが、大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 一昨年の年金の議論以来、社会保険庁を解体的に出直しをしなければならないという中で、与党の中でずっと議論をしてまいりました。また、村瀬長官も、まさに二年後には解体的に出直しをしなければならない途中経過的な社会保険庁を引き受けながら、少しでも職員が意欲を持って働いてもらいたい、国民の奉仕者としてしっかりやってもらいたい、こういった思いで今日まで努力されてきた。
 しかしながら、一方で、またこのような事件が出てしまった。まことに残念だと思うと同時に、やはりこの組織は解体的な出直しをしなければならない。したがって、法案の審議をお願い申し上げたいと思っております。

○山井委員 ぜひこの集中審議をまずすべきだということを理事会で諮っていただきたいと思います、委員長。

○岸田委員長 理事会で協議いたします。

○山井委員 恐らく、きょう朝から聞いていられた若い与党の議員さんもびっくりされていると思うんですね。今までの年金改革の議論を聞いていなかった人も、こんな現状なのかと。本当に、こんな現状で法案審議どころじゃないということをお感じになったんじゃないでしょうか、これは。
 午前中から議論を聞いていて私は思うんですけれども、村瀬長官、そもそも年金制度の問題点を現場に解決を押しつけていったんじゃないですか。納付率を九%上げろとか、一二%上げろとか。でも、実際、若い世代なんかはどうやって面談するんですか。電話するのも大変ですよ。そういう時代の変化、納入の難しさ、そういう制度の根本的な問題をほったらかしにして、その制度の矛盾を、現場にむち打って、もっともっと数字上げろ、数字上げろと。それをあおった結果が、やむにやまれず現場がこういう違法行為にまで走ってしまった、そういうことじゃないですか。
 村瀬長官、やはりこの年金制度では納付率を上げるのは無理がある、村瀬長官はそう思われませんか。

○村瀬政府参考人 なかなかお答えがしづらい質問でございますけれども、まず、我々がやらなければいかぬことは何かといいますと、やはり収納する要員を確保することが必要だ。だから、職員が収納にもっと責任を持って動く、こういう組織にやはりすべきだろうということで、今回、与党との協議の中でも、与党の御議論の中でも、まず収納要員をふやしたいということで議論いただきまして、今回の改革法案の中でも、システムを駆使し、また、外部委託をしながら、千人規模で収納要員をプラスにするんだ、こういう形をやっていただいております。
 したがいまして、現行のシステムの中でも、職員、収納要員をふやすことによって、また今回、先ほどありましたように、使い方は間違えましたけれども、所得情報をいただくことによって、きめ細やかな納付ができる。こういうことをやっていけば私は必ず収納率は上がるのだろうというふうに思っております。

○山井委員 やはりその認識が間違っていると思います。今のシステムで納付率をどんどん上げていくというのは、ある意味で非常にコストもかかりますよ。
 村瀬長官、そこでお伺いしたいんですけれども、なぜ若い世代の方々が年金保険料を払ってくれないんだと思われますか。そこが今の問題点の根本ですよ。その現状認識を持っていられないと、納付率も上がらないと思います。なぜ、この分子の方ですね、実際の納付者はふやしにくいんですか。なぜだと村瀬長官は思われますか。

○村瀬政府参考人 まず、十六年度の年金法改正で、先ほどおっしゃったように、若い方々がなかなか納めにくいということで今回の猶予制度ができたわけでございます。そして、三十歳までは猶予ができる。三十歳以降、ある程度ゆとりがあるときに、さかのぼって納めていただく仕組みをつくっていただきました。それから、十六年度の年金法改正におきまして、その免除制度というものの中で多段階免除ということで、納めやすい仕組みをおつくりいただきました。
 そして現在、与党の協議の中では、適用の拡大ということで、十六年度の年金法改正でできなかった二分の一というのも御検討いただいているところで、さまざまな形で現在御検討をいただいております。
 したがいまして、その制度を的確に使っていけば、若年者に対する年金権の確保というのも私はできるんじゃなかろうかというふうに思っております。

○山井委員 やはりここは、かねてから年金審議の際に私たち民主党が主張しているように、基礎年金の部分を消費税にしていく、そういう抜本的な改革をしないと、百年安心ということにならないわけですよ。そういう制度改正を、国民年金を含む一元化という抜本的な改革をせずに、小手先でこういう納付率だけを上げよう、そういうことをすること自体に無理があるわけです。
 そこで、川崎大臣にお伺いしたいと思いますが、私たち民主党は、やはり一体化して歳入庁にしてやっていくという方法でしかこの問題は根本的に解決できないのではないかと思いますが、その点について、川崎大臣、どう思われますか。

○川崎国務大臣 自営業者等の納税者、サラリーマンを除いた場合は三百五十万、年金の対象は二千二百万、かなり母数、先ほどから母数、母数という話をされるけれども、母数が余りにも違う組織を一緒にしても、効率が上がるものではないと思っております。

○山井委員 抜本改革を先送りしている、そういう意味では、私は根本的な責任は小泉総理にあると思っております。それで、社会保険庁長官の首をかえてどうなるという、根本的な問題では全くありません。
 一つ私は村瀬長官にお願いしたいんですが、この二ページ目、朝日新聞の記事の中に、分母減らしということを組織的にやった社会保険事務所のケースが書いてあるんですね。
 「通知免除等の取り消しに係る作業計画について」と題する文書が職員に配られているわけであります。そしてそこについては、「Q 納付率の粉飾目的で分母減らしを行ったとあるが?」それに対して「A 申請書一枚を出さなかったばかりに年金を受け取れない事例を何度も見てきた。勇み足ではございましたが、積極的に行動した結果です。 A4判一三ページ。想定問答集のほか戸別訪問や電話対応をこなし」云々かんぬん、こういうふうなマニュアルがあるわけです。
 やはり、現場でどういうふうに行われていたかということを、これはきっちりと把握する必要があると思いますが、早急にこの資料を委員会の理事会の方に提出してほしいと思いますが、村瀬長官、お願いします。

○村瀬政府参考人 今おっしゃっている部分というのは今初めて私も見たのですが、大阪の方の某事務所でつくっている部分だというふうに記憶しております。
 理事会の方で御指示があれば、お出しさせていただきたいと思います。

○山井委員 いや、これはちょっと、理事会の問題じゃないんですよ。何でもかんでも理事会と言ってもらったら困るんですよ。出してもらったらいいんですよ。出してもらえますか。

○村瀬政府参考人 では、出させていただきます。

○山井委員 それで、少し戻りますが、納付率、例年は六月上旬に出しているということをおっしゃっていますが、そうしたら、ことしも再調査をしない部分のものとかは、第一弾は六月上旬ぐらいに出してもらえますか。第一弾はいつ出しますか。それとも、めどは立たないんですか。

○村瀬政府参考人 先ほどから架空の数字だとおっしゃっているんですが、それを出して何をされるのかというのがよくわからないんですが、必要であれば出させることは構いません。ただ、せっかくやるのであれば、しっかりした形でお出し申し上げたいというように思います。

○山井委員 わかりました。そのしっかりした形で、いつごろ出されますか。

○村瀬政府参考人 先ほどから何回も申し上げていますように、早くに調査をしてということで、調査期間がまだ決まっておりませんので、それができた段階で、どれくらいということで御報告申し上げたいと思います。

○山井委員 この問題は、やはり、年金にとっての出生率、そして社会保険庁にとっても納付率というのは一番重要なデータであるわけです。
 先ほど、二月までのデータは出ているということをおっしゃいましたが、その二月末までのデータについても、こういう不正な免除や猶予というものが含まれている可能性はあると認識しておられますか。

○村瀬政府参考人 先ほど申し上げましたように、京都は三月末で全部終わっておりますので入っておりません。大阪と長崎については入っております。したがって、今、大至急その分の取り消し処理をするように手はずを整えさせているということでございます。

○山井委員 先ほどインターネットのニュースを見ましたら、損保ジャパンの社長が不祥事の引責で辞任をされたと、一部業務停止になっているわけですね。保険契約の水増しとかそういうもので引責辞任をされたわけであります。もちろん、御本人が何をされたということではないでしょうが、監督責任ということだと思います。
 やはり、民間の発想でいくと、お客様、消費者あるいは国民の信用を失ったというのは、これは本当に大問題であると思います。今回のこの年金の免除、猶予を四万人分以上、少なくとも勝手にやった。やはりこういうことに関して、ますます失われてしまった年金に対する信頼というのは、非常に大きな問題と思います。
 そのことについて、村瀬長官としてはどのように責任を感じておられるのか、お伺いしたいと思います。

○村瀬政府参考人 損保ジャパンの例を出されましたけれども、私はよく中身を存じ上げておりませんので、本件についてはコメントを差し控えさせていただきます。
 私自身の問題につきましては、まずやらなければいかぬことは何かといいますと、やはり信頼を回復するために、先ほどさまざまな御指摘がある部分を、まずきちっと正すということだろうと思います。その結果につきましては、また大臣とよく御相談を申し上げたいというふうに思っております。

○山井委員 この三十三、四ページに、まさに長官が非常に力を入れられたアクションプログラム、分母対策というものが入っているわけですね。三十三ページには、右の方には、社会保険事務局・事務所グランプリというものがつけてありますし、また、左のアクションプログラムについての策定手順。その中の幾つかを三十四ページに入れましたが、留意事項、納付対象月数の削減対策(分母対策)ということについて、具体的な目標値を設定し、これを展開して取り組んでいる。そして、ステップ二についても、二行目のところに、分母対策ベース部分。ステップ三、分母対策強化部分。そして、三、納付対象月数の削減対策(分母対策)ということを言っているわけです。
 今回の不祥事でつくづく感じるのは、このような分母を減らしていく、そして分子を強制徴収によって上げていく、やはりこういうやり方には限界が来ているのではないかと思っております。
 最初におっしゃった八〇%の目標、これの達成というのは、長官、現状では非常に難しいんじゃないですか。そのことについて、こういう状況になっても八〇%の目標達成はできると考えておられるのか。もしできると考えておられるならば、どういう道筋でやっていくのか、今までどおりでできると考えておられるのか。そのことをお伺いしたいと思います。

○村瀬政府参考人 現在、目標値という観点で、十七年度ということからいきますと、六九・五%というのを目標値に掲げてやらさせていただいております。それがどういう結果が出るかまだわかっておりませんけれども、二月末現在という数字からいきますと三・八%ということで、では、当年度、それが一〇〇%達成できるかということについては、極めて厳しい状況であることは間違いないというふうに思っております。
 ただ、今後、分子対策という観点からいえば、分母をしっかり整理した上で、職員をふやし、そして強制徴収も三十五万件程度までふやそう、そして十九年度は六十万件までというふうに考えておりますので、この部分については、現段階においてはまだまだ望みを捨てない数字なんだろうというふうに思っております。

○山井委員 きょうの議論を聞いていて、十九カ所以外にもあるかどうかわからない、また、組織的にやっているかどうかもわからない、また、その結果がいつ出るかどうかもわからない。そしてまた、今回のこのような深刻な不正行為についてもマスコミからの取材がなかったらわからなかった。そういう現状では、これから法案を審議するにしても、現状の実態がわからないわけなんですよ。
 このような今までの、十一月の八日に出た、先ほど読み上げました緊急メッセージ、目標値を設定して分母対策、分子対策をやっていく、こういうやり方自体が限界がある。やはり、これは方向性を変えないとだめだというような認識は、この期に及んでも村瀬長官としてはないんでしょうか。いかがですか。

○村瀬政府参考人 私は現状の社会保険庁長官でございます。したがいまして、私に与えられたことをまずしっかりやるということが仕事だろうというふうに思っております。

○山井委員 時間が参りましたが、この五十分間の答弁を聞いても、現状に対する危機感そして反省。今回のことによって、どれだけまた年金に対する信用が失墜し、一歩間違うとこんなことでますます若い世代が年金に入らなくなってくるという可能性も大きくなってくるわけです。
 そしてまた、今回気になっているのは、安易に所得の少ない人や若い人は免除や猶予でいいじゃないかということになると、全額受け取れる人がどんどんどんどん減っていってしまうわけなんですね。やはり、低所得者を年金でどんどん切り捨てていく、そういう選別、そういうものを私は感じてなりません。
 耐震偽装の問題と同じように、真相究明、実態把握なくして改革案は出てこないんです。そういう意味では、しっかりと調査をしてもらって、その調査を一日も早く、組織的なのか、十九カ所以外どこがあるのか、そういうデータ、そして、前年度のこの三月末までの納付率は何%だったのか、そういうことをきっちりと委員会に出していただいて、そして、それが出た上で法案の審議をやっていきたい。逆に言えば、そういう根本的な実態把握もデータも出てこないのに法案の審議をできるはずがない、そういう法案の審議をしても国民から理解と信頼を得られるはずがない、そういうことを強く訴えて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

Posted at 2006年05月24日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年5月

2006年5月

医療制度改革強行採決に伴う新聞記事に見る山井

5月18日

西日本新聞社

医療法案、18日通過へ 民主、採決取り消し要求

(前略)
 民主党の仙谷由人「次の内閣」厚生労働相と山井和則・衆院厚生労働委員会筆頭理事は17日、国会内で記者会見し、厚労委での強行採決について「もっと審議をじっくりとやるべきだ。採決は無効だ」と述べ、採決取り消しを求めた。

 山井氏は「医師不足や病棟閉鎖など、さまざまな問題がある現状で医療費を抑制するのだから、慎重に審議しなければ医療が受けられなくなる」と審議時間の不足を強調。「この法案によって産科難民、小児科難民が増える」と批判した。



5月19日


朝日新聞 

医療改革法案が衆院通過、野党側との議論すれ違ったまま

(前略)
 ●医師不足問題も
 さらに野党側が力を入れたのが、地方や産科・小児科での医師不足問題だ。国民に負担を求めるばかりで、国民の望む本当の「医療改革」は手つかずだ、という批判だ。
 民主党の菊田真紀子氏は、常勤医の大量退職で診療科の一部閉鎖に追い込まれた病院の例を取り上げ「地域医療は破綻(はたん)寸前」と追及。同党の山井和則氏は小児科医の超過勤務が月平均100時間を超えているという調査を取り上げた。
 川崎厚労相も「診療科や地域による偏在で医師の不足感がある」ことは認たが、解決策は示せないまま。「都道府県がリーダーシップをとり、国は支援をする」と、地域の取り組みに期待する考えを述べるにとどまった。
(後略)

東京新聞

巨大与党の『強行採決』考

 
(前略)
 「なぜ、こんなに急いで採決するのか。二〇〇二年の医療制度改革では五十六時間審議したのに、今回は三十五時間弱。まだ審議しなければならない問題がたくさんある。与党が野党の言うことに耳を貸さず、どんどん強行採決するなら、国会は要らない。選挙が終わった時点で与党の多数が決まっているんだから」
 衆院厚労委の野党側筆頭理事、山井和則議員(民主)は、医療制度改革関連法案が十八日の衆院本会議で可決された後も、前日の同委の強行採決に怒りが冷めやらない。
(中略)
 野党側の反発は、同法案自体にも及ぶ。
 前出の山井委員は「要は医療費を抑制する法案。これが成立すれば、お年寄りの自己負担がアップするだけでなく、今まで以上に早期に病院から退院させられる」。(以下略)

Posted at 2006年05月19日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年5月

2006年5月

厚生労働委員会議事録(医療制度改革関連法案)

164-衆-厚生労働委員会-20号 平成18年05月10日
 

○山井委員 これから五十分間にわたりまして、川崎大臣、赤松副大臣に質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
 一昨日、福島県で地方公聴会を行わせていただきました。その中でも、医師不足の問題、また勤務医の労働基準法違反とも言える過重労働の問題、そのことによって、このままでは、若手医師も集まらず、小児科や産婦人科、救急医療は崩壊する、そういう危機的な声を聞かせていただきました。そんな中で、きょうの私の五十分間の質問では、主に医師不足問題と小児科、産科などの勤務医の労働条件の改善について議論をしていきたいと思っております。
 このことについては、アメリカのワシントン・ポスト紙でも、日本では出産に新たな苦悩が出ている、アメリカでも取り上げられております。

 きょうも朝から議論を聞いておりましたが、福島議員、大村議員からも、診療報酬の改定、また医師不足の問題、このことについて産科、小児科対策をどうするかという議論が出ておりました。またその中でも、とにかくこの法案を通して、その後フォローをしていこう、そういう声も与党からございました。私は、これはやはり極めて無責任であると思っております。まさにこの医療制度改革の一つの大きな核心が、今全国で危機的な状況にある小児科、産科、救急医療、麻酔科や外科、本当に言い出せば切りがありませんが、そういう医療崩壊、そして医師、特に勤務医の不足問題、やはりこの問題をどうしていくのか、このことに方向性を出さずしてはこの審議というのは終われないと思います。
 きょう、資料をお配りしておりますので、お目通しいただければと思います。
 そんな中で、今の古川議員の質疑でもありましたけれども、今回の法案の中で、都道府県に任せていくという方向性が出ております。しかし、都道府県の力では財源も権限も全く足りない。私も多くの都道府県の関係者に聞きましたが、このままでは本当に大変なことになるという声を聞いております。
 例えばこの連休中の報道でも、「「当直診療 綱渡り」 激務に疲れ退職開業」「医師不足 悪循環」。昨年一月以降、二十四道府県の六十三病院で輪番制がもうできなくなってしまったという記事であります。また、二ページ目を見ますと、産婦人科医の減少のグラフ。そして、北海道大学の調査として、何と当直は年に百二十三回、当直明けに休みがとれる病院はゼロ、当直日の朝から翌日夕方まで連続三十時間以上の勤務を三日ごとにこなさねばならない、こういう現状。
 厚生大臣でもあり、また労働大臣でもあられるわけですから、こういう問題を本当にどうしていくのか。
 産科、小児科、救急医療の現場のこの崩壊現象の中には、余りにも過酷な労働基準法違反の現状があります。また次のページを見ていただきますと、採算が成り立たないということで病院の小児科が二二%減り、また小児救急でも、二日連続、三十二時間連続勤務というものが続いております。そして、もう一枚だけ今説明をいたしますと、四ページ目にございますように、これは今回厚生労働省が二十七の小児救急拠点病院をお調べになったわけですけれども、ここでも非常に過酷な労働条件というのが出てきております。
 このことに関しては後ほども述べますし、先ほども与党の議員の方々もおっしゃっておられましたが、女性の医師が、小児科では、若い人では四割以上、また産婦人科では三分の二に達している。やはり女性医師の方々がどうやって働いていけるか、このことは、医療現場だけではありませんけれども、日本社会というものが働く女性をどう支えていくのか、まさにそのおくれというものが今のこの小児科、産婦人科の危機的な状況にも如実にあらわれているわけであります。
 そこで、また二〇〇二年には岩手県でお子さんの病院たらい回し死亡事件というのも起こりました。そのときにも多くの署名で、こういうたらい回し事件が起こらないように小児救急の整備をしてほしいということで、厚生労働省にも要望に行かれたわけです。こういう過酷な労働条件で、また勤務医が足りない。その結果、こういう十分な医療が受けられなくて亡くなってしまう赤ん坊やお子さんも出てきている。まさに危機的な状況であります。
 そこで、まず川崎大臣にお伺いをしたいと思います。
 このような小児医療、産科医療を初めとする夜間当直体制が中心となっている救急医療の現場の現状認識として、労働基準法を遵守していると認識しておられますか。

○川崎国務大臣 労働基準監督署において、平成十五年度から十六年度にかけて個別に監督を行った五百九十六の医療機関のうち、四百三十の機関において何らかの労働基準関係法令違反が認められているところでございます。医療機関すべてにおいて労働基準関係法令が遵守されているとは言えない状況にございます。

○山井委員 そのことは、先月も、私、国会で質問をさせていただきました。まさにその指導した四百数十の病院が、その結果、指導によってちゃんと労基法に適合するようになったかどうか、その結果もまだ出ていないということを先日の私の質疑で答弁もいただいております。調査をやったけれども、それが改善されたかどうかも把握できていない。いつまでに把握するのかと聞いても、努力をしているからいつまでとは答弁できないと、先月は赤松副大臣は答弁をされました。
 しかし、公聴会の声を聞いても、例えば福島公聴会の村田参考人はこうおっしゃっているわけですね。
 小児科の救急医療に当たっていますが、最近、深夜帯、十二時から翌日の朝までの時間が非常に増加しております。そして、深夜帯勤務の当直の医師が燃え尽きてしまってやめてしまう、そこの当直勤務の補てんに難渋しているのが現状です。当然、当直をしても翌日は通常の勤務です。御存じの方がほとんどだと思うんですけれども、その理解がない方もいらっしゃるのでぜひ言ってくれと言われたんですけれども、もう僕たち、三十二時間勤務あるいはそれ以上の連続勤務が続いています、人の命を預かる職種で、これはまさに異例、異常な状況です。
 まさに、悲鳴が今医療現場に満ち満ちているわけであります。
 そこで、まさに大臣も、労基法を守っているとは答弁は今できなかったわけなんですけれども、ではこの現状をどうするかということですが、やはり小児科、産科を初めとするこういう小児救急医療の現状、前回の質問でも川崎大臣から、月平均八十、百時間を超える、過労死ラインを超えている労働実態というのは、人の命を預かる仕事として好ましい状態とは言えないという明確な答弁もいただいております。
 提案させていただきますが、早急にやはり労働基準監督署が立入調査をして、勤務医の労働時間の把握、そして時間外労働にはちゃんとそれに対する賃金を払う、そういう調査、指導をすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 労働基準監督署において、小児科、産婦人科、救急病院を含め医療機関で働いている方々の相談など、さまざまな情報を精査しつつあります。一方で、法律違反のおそれのある事業場を選別し、個別に監督を行い、今御指摘のありました割り増し賃金の支払いを初めとして、問題が認められた場合に必要な指導を行ってまいりたい。そういった意味では、一つ一つを説得しながらやっていかなければならないというように考えております。

○山井委員 大臣、確認しますが、そういう意味では、労基署に指導を徹底させるということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 これは、先日からお話をいただき、そして私どもも個別に一つ一つの事案について解決を目指して努力をしたい、こう申し上げたとおりでございます。

○山井委員 そこで、問題なんですが、実は、そのことはもう今まで再三国会でも問題になり、また厚生労働省もやられていることでもあるんですね。私の資料にありますように、まさに川崎大臣答弁されたように、二〇〇二年には七千の医療機関対象に調査、過酷な当直医、実態調査を二〇〇二年にして、そして次の七ページにありますように、まさに五百の病院にメスを入れて過酷勤務改善へ、労基局と。平成十六年、やっているじゃないですか。大臣、やったはずなんですよ。
 やったはずなのに、今なぜ全国の小児科、産科、救急医療現場で、二日連続の三十二時間から三十六時間の連続勤務や過労状態で、多くのお医者さんがもう続けられないということでどんどん開業医に流れていく。やっているのになぜこういう問題が今でもあるんですか。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 根本的な解決策のためには、先ほども議論をいただきましたけれども、集約化を進めていかなければならないという方向性でありますけれども、また、それもおしかりいただきましたように、そのスピードが遅いということは事実だろうと思います。しかし、私どもとしては、やはり地域の事情はいろいろございますけれども、集約化へ向けて知事さん等のリーダーシップ、我々もしっかり協力をしていかなければならない、このように考えております。

○山井委員 大臣、やはりこれは、労基法違反、そういう違法状態が常態化してしまっているんですよ。川崎大臣は医療の責任者であると同時に、日本のまさに労働者の労働状況を守る責任者なんですよ。医師の方々、医療従事者も労働者であるわけですから。これが放置されているということは、本当に情けない、恥ずかしいことだというふうに自覚をしてもらわねばなりませんし、今までのやり方でやっては不十分だということを認識してもらわねばなりません。
 そして、実は、こういうことを言うと病院の経営者の方々から、当直の時間をきっちり把握して割り増し賃金をきっちり払ったら、もうそれは経営が成り立たない、小児救急返上させてもらいます、救急やめます、そういう声も出てきているんです。ですから、大臣、これはセットでやらないとだめです。厳格に時間外の労働時間を把握して割り増し賃金を払う。同時に、そのことによって、もう産科や小児科や救急は不採算だからやめるという病院が出ないように、そこに診療報酬なり補助金の形でちゃんと担保する。
 それと、もう一つ言うならば、根本的にはお医者さんが足りないから回らないのじゃないのという現状があるわけですよ。やはりそういう財政的な手当ても、きっちり労基法を守る、病院が損をしない手だてをしっかりする。そしてまた、そのことが、医師が不足だからやりたくてもできない、そうならないような状況をつくっていく。大臣、その方向性を目指すということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 議論の中で一つ違うと思うんですね。要は、集約化を図らなければならない。ですから、この病院で今やっていた、この病院でやっていた、しかし、両方をセットで守るという方向づけをするのかということになると、そこは知事さんのリーダーシップで集約化の方向を出してくださいというお願いをしています。
 一方で、そうした集約化がなされたときに、国は、まず診療報酬できちっと方向づけはしなきゃなりませんね。それは、午前中の御質疑にもお答えいたしましたように、診療報酬のパイは二十八兆というパイでございます。しかしながら、我々の政策経費としては一千億もない政策経費でございますから、そこで箇所づけをしてどんどんやれというのは正直言って限界があることは事実。
 一方で、今までの政治の流れは、ある程度いったものについては、なるべく行政経費は、地方にサービス経費はもう移譲していくべきだ、税源移譲というものをやってきた今日までの流れでございますから、この個別の予算だけはまた厚生労働省が枠を獲得してやれということについては、なかなか無理な話だろう、このように私は思っております。
 したがって、診療報酬で全体的な方向づけをしていく、しかし一方で、先ほどから申し上げる集約化というものをされているところには、できるだけの予算的な措置をするように優先的にやっていかなければならない、このように思います。

○山井委員 まさにそうおっしゃると思って、この資料もお配りしたんですが、五ページ、我が党の小児医療緊急推進法案のポイントというのがあります。まさにその資料の一番下に書いてあります。やはり診療報酬だけでは限界がある、そんな小手先のことではだめなんですよ。きょうの午前中も、診療報酬で夜間の産科や小児救急を手当てしたと言ったけれども、現場の声を大臣は聞かれたことはありますか。全く不十分だという声が満ち満ちているわけですね。診療報酬を上げると自己負担も当然アップするわけです。
 そういう意味では、やはり一般財源からお金を投入していく、そして勤務医、こういう救急の現場を救うということしか選択肢はないんです。それを選択しないとするのであれば、今、都道府県にやってもらうということですが、それは、そういうことを言いながら医療崩壊を放置することになってしまいます。
 そして、大臣が集約化とおっしゃることが私一つ非常に気になっているんですが、大臣、実際の例で、参考人の方もおっしゃっておられましたが、集約化することによってその病院にますます患者さんが集まって、労働条件がますます悪化したというケースもあるんですね。ですから、労働条件が悪いから集約化します、それだけでは一つの答えにならないんです。
 そこで、次の質問ですが、やはり労働大臣として、夜間の救急に関しては、小児科、産科、一般の救急も含めて実際に仮眠もとれないケースに関しては、当直じゃなくて夜勤でやっていく、三交代制あるいは二交代制にしていく。あるいは、欧米で法制化されているように、一週間の医師の労働時間を六十時間以内に制限する。やはり、集約化とおっしゃるのも結構ですけれども、集約化してどういう労働条件を勤務医の方々に保障するのかという目標を、労働大臣である川崎大臣は示す責任があると思います。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 医療現場をどうしていくかという議論をしていく中で、規制の方を強めろと。規制を強めた結果、小児医療というものがよくなるという議論展開をされていますけれども、私はそうは思いません。私はそう思いません。あなたはその議論をされているけれども、私はそうは思わない。
 やはり一つ一つの個別のケースを、集約化という方向でなり、そしてあの表でも出ましたように、また委員の御要求で出しましたとおり、やはり十人程度の医師が集約されたところについては、ある意味での労働条件も守られていることは事実でございます。
 一方で、委員が御心配いただくように、より集約化されたときに患者数がふえるんじゃないか、こういうお話をいただきました。そこはもう一つの議論だろうと思うんです。一次ケアというものを全部その集約された病院でやらなければならないのかということになると、必ずしもそうではないだろう。
 一次ケアというものをどこで担っていくか、そして本当に救急的に必要なものをどこに集約させてやるかという議論を、やはり各地域各地域で、私ども知事さんと一緒になって考えていかなきゃならぬ。そこはぜひ御理解を賜りたい。

○山井委員 大臣、私が質問したのは、夜勤や交代制、あるいは一週間の労働時間を六十時間に制限する、そういう目標というものをやはりきっちり厚労省が労働省として示す必要があるのではないかという質問をしたんです。規制じゃないんです。これは、夜勤や交代制にするということは労基法を守れということを言っているんですから、それを規制だと言ってそれを締めつけるのはおかしいと言ったら、今のこの過重労働を是認することになりますよ。
 やはり、どういう労働条件が勤務医にとって好ましいのかということを労働大臣である川崎大臣にここで言ってもらわないと、全国の勤務医の方、あるいは産科、小児科、救急を目指そうとしている若いお医者さん、あるいはその御家族、また、そういう人たちにかかろうとしている家族も安心できないんじゃないですか。
 大臣、どういう労働条件を、すぐにとは言いませんが、目指すのですか、厚生省としては。

○川崎国務大臣 今、すぐにでないと言われましたから、まさにそのとおりですね。将来的な目標としてしっかりしなきゃならぬ。
 また、我々も、労働基準監督署や現場を通じながら、指導しながらやってきている。そして、それが実行されるようにしていかなきゃならない。それはもう一緒です、共通のその目標を持って進む。
 そして、それが一〇〇%今実行できて、かつ、それが守られないところは医療停止にするかということになると、そこまでは私どもは踏み切れない。したがって、現場というものでしっかり話し合いをしていこう、こう申し上げているんです。(山井委員「目標は」と呼ぶ)今言われたとおり、将来の目標だというのなら、私も同意をいたします。

○山井委員 これは大事なことなので改めて確認したいと思いますが、将来の目標としては、やはり夜間の宿直のところは、三交代あるいは二交代の交代制、あるいはきっちり夜勤としていく。そして、週六十時間以内ぐらいの労働を厚生労働省としても勤務医に対して目指すということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 将来の方向性としては、そういう方向を目指さなきゃならぬということは意見の一致でございます。

○山井委員 もう一言聞きます。
 将来、大体何年後ぐらいを考えられますか。

○川崎国務大臣 ですから、医療体制をきちっと仕上げるということも大事だろうし、病院によってはすぐ実行できるところもある。だから、どんどん指導しますよ、指導はしていく。
 しかし、現実問題として、全部のところをいつまでにやれるかということについては、私もまだそこまで詳細承知しておりません。しっかり掌握したら自分の考え方を述べたいと思うけれども、今の時点で何年と言われると、私もかなり踏み込んだ発言をしていますので、どうぞ御理解賜りたいと思います。

○山井委員 今回の法案の中で、医療費適正化計画とかいろいろな年次計画があります。それも一面必要な面はあるかもしれませんけれども、やはり五年後には、今言ったような、夜間は救急においては夜勤体制あるいは交代体制にしていく、あるいは週六十時間以内の労働にしていく。すぐにはできないけれども五年後には、厚生労働省が先頭を切って、勤務医の方々、あるいはそういう救急にかかる患者の方々がいい医療を受けられるためにもそれを目指します。やはりそういうことをまさに法案に入れていく、そういう法案にしないと、自己負担のアップとかそういうことだけではだめなんです。
 関連して次に行きますが、では、今回、小児救急拠点の二十七病院については実態調査をしましたが、同様に産婦人科の勤務医や一般の救急病院についても実態調査をすべきではないですか。

○赤松副大臣 今、山井委員御指摘のように、小児救急医療拠点病院につきましては既に調査を行いました。
 今お尋ねの、産婦人科あるいは一般の救急病院についてでございますが、まず、産科医療につきましては、小児救急医療のように受診行動の特性が医師の勤務状況に強く影響を与えるものとは言えないで、むしろ、産科の医師が減少する中で各地域において産科医師を広く薄く配置することによって、個々の医師の勤務状況は影響を受けているものと考えております。
 そのために、産科医療の確保という観点からは、各都道府県を中心に、先ほど来、山井委員また大臣とのやりとりがありますように、産婦人科医療については、地域におけるニーズの状況や各病院における医師の配置などについての分析を行って、集約化の必要性などその機能のあり方を検討して、具体的対策を実施していくということがまず大事だろう、こんなふうに考えております。
 また、一般の救急医療につきましては、既に救命救急センターにおける常勤医師数や昼夜別勤務医師数等の調査を行い、医療の質の評価を定期的に実施しているところでありまして、これを通じて適正な救急医療の確保を図っている、こういうところでございまして、今、小児救急医療拠点病院と同じように二つの分野における労働実態の調査を行う必要は、現時点においてはない、こんなふうに考えております。

○山井委員 要は、これはお医者さんの数とか調べるだけじゃだめなんですよ。今回の拠点調査でもわかったのは、二十七病院中二つの病院しか宿直時間中の労働時間の把握もできていないということなんですよ。そういうことを調べないと、何人体制でやっているか、それだけ調べても労働実態は全然わからないわけです。ですから、この調査もぜひお願いしたいと思います。
 それで、先ほど川崎大臣から、余り強く労働条件のことを言って、それに従わない病院はすぐ停止にするというわけにはいかないということをおっしゃいました。
 私も繰り返して言いますが、別に病院の経営を、首を絞めるためにこういう質問をしているわけではなくて、やはり当たり前の労働条件を確保する、そしてそのいい労働条件をとれる病院がちゃんと黒字でやっていける、そういう体制をつくっていかないとだめですし、そのためには、やはり突き詰めていけば、お医者さんが足りない。お金の問題よりもお医者さんが足りないという声を現地では聞くわけですね、交代勤務にしたいけれどもお医者さんがいないじゃないのと。
 そこで、川崎大臣にお伺いします。きょうの資料にもありますが、医師は足りているのか足りていないのかということですね。九ページを見てもらいますと、医師は足りているのか、先日の質問で、大臣は足りていますとおっしゃっていました。
 それで、四月二十五日に医政局に書面で質問しました。では、小児科医師は足りているのですか、産婦人科医師は足りているのですかと聞くと、不足感があることは承知しているという回答。なお、医師の診療科ごとの必要数については、これまで計算したことがないという答弁だったんですよね。
 そこで、大臣にお伺いしますが、改めて聞きます。医師は今足りているのですか、これが一つ目の質問。同時に、小児科の勤務医は足りているのですか、産婦人科の勤務医は足りているのですか。いかがですか。

○川崎国務大臣 医師数については、何回もお答え申し上げています。今二十六万ぐらい、十年後に大体三十万ぐらいの医師数になるだろう、そういった意味では、全体の流れの中ではまず足りていると考えていいんだろう、こういう認識を何回も申し上げております。
 一方で、小児科医でございますけれども、平成六年が一万三千三百四十六人、平成十六年が一万四千六百七十七人。小児人口は平成六年で二千四十一万人。ですから、一万三千三百四十六人でありますと六・五人ということになります、小児一万人当たりの小児科医師数。それが十六年で八・三ですから、そういう意味では、着実に小児科医の数はふえてきている、こういう認識をいたしております。
 一方で、これを勤務医と開業医に分けられるかということになると、そこのしっかりした数字が、今小児科医の勤務医が八千三百九十三人でございます。したがって、約六千人が開業医ということになるであろうと思います。
 そういった意味で、基本的な認識はどうだといえば、小児科医に関しては、ある程度の数はいるんだろう、こう思っています。先ほどから言っている集約化。それから、一部の地域、これは前から申し上げておりますとおり、東北とか関東の一部、それから私どもの東海ブロック。京都は多くていいですよね、正直申し上げて。私どもの東海ブロックについては少ない。
 したがって、全体の医師数が少のうございますので、その中で、多分、産科も小児科も少し数が足りないのではなかろうか。地域の偏在があるということは、私ども、認識いたしております。それは、大学教育の問題から始まりまして、さまざまな問題をやはり詰めていかなければならないだろうという思いをいたしております。
 それから、産科につきましては、ちょっと状況が違うという認識を私はいたしております。産科については、平成六年、一万一千三十九人、平成十六年、一万百六十三人、若干減っております。ただ、出生数が百二十三万人から百十一万人に下がっておりますので、出生千人当たりからしますと、八・九人が九・一人の医師になっているということで、若干ふえていることになっておりますけれども、現実は、産科を標榜されているけれども婦人科という形に変わってしまっているのではないだろうか。これは医療事故の問題、それから二十四時間の体制の問題、それから女性医師のウエートがふえてきている、こういう問題があるだろう。したがって、これも、一つは集約化をしていかなきゃならない。
 それから、小児科の場合は診療報酬で手当てをすることができる。また、先ほどから申し上げている方向性として、今後の改定でも、小児科の救急についてはつけていくという方向で方向性を示していったらいいだろう。しかし、産科の問題につきましては、正直言って、分娩費用につきましては診療報酬ではございませんので、どういう形でそこへ手当てをしていくべきかという問題は、また違う切り口を考えなければならないだろう、こういう認識をしております。
 いずれにせよ、小児科、産科の問題について、私どももしっかり議論をしながらやっていかなきゃならぬということは感じているところでございます。

○山井委員 今、過去から何人ふえたとか、今何人いるとか、そういう議論がありましたが、やはりこれは、ここ数年で一人の患者さんにかかる時間というのもすごく長くなっています、インフォームド・コンセントのことなど。また、例えば小児救急では、夜間に来るお子さんも非常にふえております。そういう意味では、やはりお子さんの数が減っているからお医者さんの数はそれほど多くなくていいということは言えなくなっているわけなんですよね。
 ですから、そういう意味では、次の質問に移りますが、これは先日、柚木議員からもお尋ねがあったことなんですけれども、今、医師の需給検討会をやっておられます。昨年の二月二十五日からされております。
 正直言いまして、きょうの議論を聞いていても、もはや医師全体が足りているか足りていないかというのは大きな問題じゃない。要は、産婦人科、小児科、あるいは麻酔科、外科、もっと言えば、福島議員からも話がありましたが、開業医じゃなくて勤務医が足りているのか、また青森にその方がいるのか、そういう診療科ごと、あるいは勤務医がどれぐらいいるのか、またどれぐらい必要なのかということを議論していかないと、トータルの医師が足りていますよ足りていませんよという議論をしていても、もう政策は議論できないということが明らかになったと思います。
 そこで、今のこの検討会、もうすぐ報告書が出るそうですが、要望があります。やはり、小児科、産婦人科等の診療科別の必要数、それと今の数、必要数と今の数を出すべきだと考えます。また同時に、開業医と勤務医に分けても、必要数と現状の数を。やはり開業医のことと勤務医の問題は別ですから、はっきり言いまして、小児科や産科の問題では、開業医をどんどんふやしても今の問題の解決にはつながらない部分があるわけですね。
 そして、あわせて要望しますが、それとともに、やはり女医さんが、小児科の若手の四割、産婦人科の三分の二以上となっています。そういう意味では、育児・出産休暇をとっている女医さんのことを、ちゃんととっている分をカウントするとか、先ほど申し上げた、やはり、当直で三十六時間連続勤務とかじゃなくて、交代制で、あるいは週に上限六十時間以内ぐらいという、労働基準法をある程度守れるという前提での必要数というものを出さないと、今の過重労働の人で人数を言いますと言っても、問題の解決にならないんですね。
 たくさん質問しましたが、診療科別、開業医と勤務医に分けて、そして必要数と不足数、そして女性医師のそういう休業の部分を見越して、また労働基準法に準拠するという前提で、こういう形で需給の数値を出さないとこれからの政策論議のもとにはなり得ないと考えますが、大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 これはもう、一回御答弁したことでございますけれども、前回の医師需給の推計においては、医師全体の供給量と医療需要について、それぞれ上位、中位及び下位の三つの推計を行い、検討してもらいました。
 新たな医師需給の検討会、ここにおいて、なかなか難しいですよと私は前提を置きましたけれども、診療科別の必要数について、本当に出すことができるかどうか、それも含めて検討してほしいと。
 あわせて、今、勤務医と開業医の数も出してくれと、なかなか難しい御質問をいただきましたけれども、検討させることですから、それもできるかどうかやらせてみましょう。
 ただ、例えば、小児科医の問題一つ考えましても、先ほどもお答え申し上げたように、一次医療というものを全部救急でやるのかというところをしていきませんと、そういう意味では、小児科の開業医もこの中に少し加わっていただかなけりゃならない、いや、本当に小児科医だけなのか、ホームドクターを持って、最寄りの内科医に相談してもいいはずじゃないかという切り口もしっかりさせなきゃならない。
 実は、この間、私、子育てを支援している女性グループと懇談しまして、そのときに八〇〇〇番の話をしましたら、こうしたリーダー的な立場の人もだれも知らなかった。私、正直言って、びっくりしたんです。シャープ八〇〇〇番、知らないと。
 残念ながら、やはり、制度をつくりながら、まだ身が入っていないということも事実だろうと思います。八〇〇〇番の問題なり、地域の医師によるネットワーク、一次医療ネットワーク、救急医療ネットワーク、そして真に必要な二次医療としてのまさに救急体制、そういうものを数的にどう考えながら、今、山井議員の質問にどう答えられるか、検討はさせてみます。

○山井委員 私が何を言いたいかというと、やはりこれ、地域間、診療科間、また開業医と勤務医間の偏在が問題になっているわけですよね。そこが問題の本質であるとわかった以上は、そこまでのデータを出さないと議論ができない。まさに川崎大臣おっしゃったように、この必要数と不足数の議論をしていくと、では、集約化も含めてどれぐらいの勤務医が必要なんだ、どれぐらいの勤務医になれば先ほど言った交代制や夜勤が組めるのか、そのことを厚生労働省が自分たちでやはりプランを立てないとだめなんですよ。
 今までは大学の医局がコントロールしていたということもあって、厚生労働省がそこまで出張らなくても、ある程度自然に何とか成り立っていたところがあったんですね。ところが、研修医制度も始まって、また大学の独立法人化の影響も受けて、それだけではコントロールができなくなってきた。そうなると、都道府県にただ任せるだけでは、先ほど古川議員からも話がありましたが、これはやはりきっちりコントロール、調整できないんですよ。
 そこをやはり厚生省が、どれだけ必要数があるのか、そして、将来、少子化のこの時代において、産科や小児科の医療を、一次、二次、三次、どうやっていくのかというプラン、計画をまず出さないと、今のこの法案だけではますます医療崩壊、お産難民、小児科難民、介護難民がふえていくだけです。ですから、そのことをぜひともお願いしたいと思います。
 次に、一昨日、公聴会でも大きな議論になりました、福島県立大野病院事件についてお伺いをしたいと思います。
 このことについては、きょうも新聞記事を載せさせていただきました。十二ページにあります。妊婦の方がお亡くなりになられまして、もうこのことに関しては心よりお悔やみを申し上げたいと思います。と同時に、このことは、全国の産婦人科医のみならず医師の方々に大きな衝撃を与えておりまして、仙谷議員初めこの委員会でも多くの方々が取り上げておられます。これについて、前回、無過失補償制度が必要だという質問をしまして、厚労省からも、検討するという答弁でございましたが、やはりこれは訴訟の問題が一つの非常に大きな問題となっております。
 そこで、きょうは、公聴会でも出たんですが、異状死の定義が不明確である、やはりこのことをはっきりしてもらわないと現場としては安心して医療ができないし、もっと言えば、難しい患者の方々を排除することにも、一歩間違うとなりかねないという深刻な問題になっております。
 この異状死の定義、どう考えているのか、厚生省いかがですか。

○赤松副大臣 異状死の定義を明確にせよという御主張があることは十分承知をいたしておりますが、医師法第二十一条では、医師は、死体または妊娠四カ月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届けなければならないとされております。
 ここで言う異状とは、法医学的な異状とされておりますが、具体的にどのような死が異状死に該当するかについては、個々の状況に応じて個別に判断される必要があるため、死体を検案した医師が個別に判断している、こういう状況であります。
 なお、異状死の届け出の判断基準をお示しすることにつきましては、異状死は個々の状況に応じて個別に判断されるべきものであり、一律に基準を示すことは困難である、また、仮に一定の考え方で届け出対象となる異状死の範囲を限定した場合、その範囲に含まれるか否かの判断を行う必要があるが、その判断の公正さをどのように担保するかといった問題があり、委員十分御承知だと思いますが、現時点では困難であると考えているわけであります。
 ただ、一方で、医療事故等につきましては、警察ではなく第三者機関に届け出る仕組みが必要だ、こういう声も強く寄せられておりまして、諸外国では、一つは、警察に届け出が行われた上で、別の者が死因の調査等に当たる事例、あるいはまた、警察とは別の行政機関に対して届け出が行われて、その行政機関が死因調査等を行う、こういった事例があると承知をいたしております。
 死因究明制度の検討を行うためには、その体制の確保のあり方や中立性、公平性の確保の方法、異状死の届け出との関係など、課題の整理が必要であり、昨年より実施しております診療行為と関連した死亡の調査分析モデル事業の実施状況を踏まえ、死因究明制度についての検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

○山井委員 このことに関しては、本当に、やはり安心して子供を産める国にしていかねばならない、そのためにもきっちりと党派を超えて取り組んでいかねばならないと思いますし、医療後進国であるアメリカのワシントン・ポスト紙に、日本ではお産で悩んでいると書かれるような情けないことにならないように、きっちりとこれは取り組んでいかねばならないと思っております。
 そして、次に、医療費適正化計画についてお伺いします。
 これもきょうの質問の流れの中なんですが、要は、入院日数を減らす、それで医療費を削減する、それだけでは余りにも乱暴過ぎる。ですから、国の基本方針の中に、入院日数が短くて退院させた人がすぐにまた再入院していないか、また、それによって医師や看護師やコメディカルの方々の労働条件が悪化していないか、何よりも患者の方々の満足度が下がっていないか、そういうこともやはりセットで判定基準にしないと、ただ早くほうり出せばいいのか、それだと安かろう悪かろうになって現場は大混乱しかねないわけですが、この点についていかがでしょうか。

○赤松副大臣 山井委員の御指摘は、医療費適正化計画の中の一つの指標として、今おっしゃったような再入院率やあるいは患者の満足度、こういったものを入れるべきじゃないのか、こういう御提起だろうと思います。ただ、医療費適正化計画そのものについての指標は、午前中話題になりましたようなメタボリックシンドロームの有病者、予備軍の減少率とか、平均在院日数の短縮日数とか、言ってみればこういった指標が目標になる、こういうことでありますけれども、今御指摘の再入院率や患者満足度については、医療費適正化計画とは直接的には関係がないということで、医療費適正化計画における目標にしようとする考えはありません。
 ただ、医療費適正化計画が連携を図ることとされている医療計画の中におきましては、医療の質の向上を図るために、事業ごとの機能分化や連携によって地域の医療需要に即した医療提供体制を構築して、その結果について評価することにしておりまして、地域の状況を反映する指標の選定に当たっては、今後国が示すもの以外に、各自治体で独自に選定するものもあると認識をいたしております。
 そういった意味では、都道府県が策定する医療計画においては、今御指摘のようなそういう情報を住民、患者に公表することによって、その質を高めていくということが重要な場面が出てくる、こんなふうに考えております。

○山井委員 医療費の過大な伸びをある程度抑えることはもちろんこれは必要ではありますけれども、そのことが患者さんの医療の質を低下させるということになったらこれは本末転倒でありますので、そこはきっちりとチェックをしていただきたいと思います。
 それに関連して、やはりこの入院日数短縮で、一番、ある意味で直接被害をこうむるのは看護師さんやコメディカルの方々と言われております。実際、十五ページに資料を載せましたが、新人看護師の九・三%、十一人に一人が一年以内に離職をしている。これは看護師学校、養成所百四十校分の人が一年間にやめてしまっている。なぜやめているのかというと、ここの資料にもありますように、専門的な知識、技術が不足しているが七七%、医療事故が不安であるが七〇%、また、看護基礎教育終了時点の能力と現場の能力のギャップがあるということが八割というふうになっております。
 そこで、簡単に申し上げますが、やはりこれは看護師の基礎教育を三年から四年に延長すべきではないか。もう一つは、卒後臨床研修を看護師の方々にも制度化すべきではないかと考えます。いかがですか。

○川崎国務大臣 御指摘いただいた看護師の問題、方向性としては十分その方向を考えなきゃならないと思っております。
 医療の高度化等、近年の医療を取り巻く環境の変化に伴い、医療従事者の資質の向上が強く求められており、看護師についてもその資質の向上を図っていくことが重要であると認識しております。
 そこで、看護師の養成のあり方については、国民の看護ニーズに的確に応じられるよう、看護基礎教育のさらなる充実を図ることを目的として、本年三月より、看護基礎教育の充実に関する検討会を開催し、検討をいたしております。
 また、看護師の資質を確保し、向上させるためには、新人看護職員に対する研修について何らかの制度化をすることが必要であるとの検討会での報告を踏まえ、今後、その制度のあり方、実施に際しての課題等について検討を始めたいと考えております。

○山井委員 きょうはどうしても勤務医の方々の話中心になりましたが、勤務医の方々だけじゃなく、看護師の方々そしてコメディカルの皆さんが、本当にこれは現場で必死になって、不十分な労働条件の中、頑張っておられるわけであって、やはりまずその方々がやめるのを防がないと、ただでさえ人手不足が、もっと不足をしてしまうということがあると思います。
 それでは次に、ちょっと違った質問ですが、最後のページにありますように、今回の政府案、高齢者の自己負担アップでありますが、では実際、次の三つの点で幾ら高齢者全体の自己負担がふえるのか、御答弁願いたいと思います。
 まず一番目。現役並み所得の高齢者の定率負担の見直しで幾ら年間ふえるのか。また、七十歳代前半の定率負担の見直し、一割から二割へで幾らふえるのか。そしてまた、高齢者の療養型病床における食費、居住費負担の見直しで幾らふえるのか。御答弁願います。

○赤松副大臣 今回の制度改正によりまして、患者負担の見直しを行わなかった場合と比べまして、患者負担の影響はそれぞれ、平成二十年度で、御指摘第一点、現役並み所得がある高齢者の患者負担の二割から三割への引き上げ等は約一千百億円、二つ目の、七十歳から七十四歳までの高齢者の患者負担の一割から二割への引き上げは約一千二百億円、療養病床に入院する高齢者の食費、居住費の負担の見直しは約二百億円の増加を見込んでおります。

○山井委員 このことだけじゃなくて、介護保険料も値上げになり、年金も引き下げになる、そういうダブル、トリプルパンチがずっと小泉政権下で続いているわけであります。その中でまたこの引き上げ。そしてまた、片や、米軍再編には二兆、三兆円のお金を簡単に出すということで、私は、明らかにこれはおかしいと思っております。
 では、川崎大臣、次の質問に移りますが、きょうの議論をまとめてみると、やはり医師不足問題、もちろんその医師不足の中身は、偏在の問題、診療科の問題、地方の問題ありますが、先ほどの古川議員の質問にもありましたが、やはりこれは都道府県に任せるだけではなくて、まさに、これこそ国がリーダーシップをとらねばならないと思います。
 今、お産難民、小児科難民、介護難民、そして、こういう医療崩壊。また、ある医師の方の話をかりれば、立ち去り型サボタージュ、逃散。もう過重な労働条件だからやってられない、開業医の方に流れてしまう、一人抜ければ残された人の労働条件はもっときつくなるからもっと逃げてしまう。この流れを食いとめることは都道府県に任せてできることではないと思います。
 ブレア首相は、サッチャー政権下十数年の医療費抑制政策の中で、まさにそういう医療崩壊の危機に瀕したときに、五年間で一・五倍に医療費をふやす、これによってGDP当たりの医療費は日本はイギリスに抜かれました。そして、かつ、医師を一万人ふやすということを目標に掲げて今取り組んでおられます。
 川崎大臣、やはりこれは、すべての医師をふやせとは言いませんが、小児科の勤務医、救急の勤務医、産科の勤務医とか、ピンポイントで勤務医をやはりふやしていく。そして、ふやす前提としては、いい労働条件でないと定着しないし、若い医師の方々も目指さないわけですから、そこには、最初の議論にもつながりますが、診療報酬だけではなくてやはり一般財源からも投入していく。
 そういう、国家として子供の医療をしっかり守っていくんだ、子育て支援と、まさに国家的な取り組みと国会挙げて言っているときに、現場を見てみたら、お産ができない、子供が病気になったらたらい回しになって亡くなってしまう、そんな現状をほっておくのか。今問われているのは、国として医療を守るのか、医療現場を国として守るのか、厚生労働大臣として守るのかという意思が問われていると思います。
 そのことについて、やはりこれは財源を集中投入していくべきだと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 そこは多分、民主党さんと私どもの考え方の基本的な違いであろうと思います。
 診療報酬というものを基本にしながら、各県がそれぞれ計画を立てていただくというのは、例えば小児科のお医者さんが足りないといいましても、東京と東北地域と私どもの東海地域とは、また実情が違います。それぞれの県で、本当に、小児医療に従事する人、産婦人科に従事する人がどういう形で必要なのか、これをきちっと積み上げていきませんと、国全体で産婦人科医が何人いればいいという話だけではうまくいかないというのは、ずっと議論を通してやってきたことでありますから、そういう意味では、やはり各県のお考えをまとめていただいた中の積み上げにしていかなければならないだろう、このように思います。
 一方で、科目ごとに私どもが目的を持ってふやすことができるかとなるとこれはなかなか難しい、正直申し上げて。
 したがって、言われるとおり、待遇とか診療報酬とかそういうところでインセンティブをしいていかなければならない。民主党さんはそこへ税をたくさん使えとおっしゃるけれども、私どもは、今そうしたような議論についてはなかなか難しい、このように感じております。

○山井委員 これは、やはり、子供の未来にどれだけ国としてお金をつぎ込むかという大きな選択の問題、決断の問題です。与党はそこにはお金は使いたくない。それだったらそれで結構です。私たち民主党は、チルドレンファーストということで、そういう子供に関しては最大限サポートしていきたいと考えております。
 また、そのために、小児科の方々、産婦人科の方々、現場の方々の声を聞いてみると、出産のサポートをしたい、あるいはかわいい子供の命を救いたい、そういう志を持って多くの若い人が最初は志望されるらしいんですね。しかし、余りにも過酷な、先ほど言ったような三十六時間徹夜の勤務が月に何日もある、そして、月の平均の時間外労働が百時間、百五十時間。そういう中で、もともと持っていたそういう気持ちだけではもう続けられなくなる。やはりそれを、そういう志ある医療現場の方々を支える、また、ひいてはそのことによって患者を支える、それこそが私は政治の最大の役割だと思っております。
 その意味では、医療崩壊、そして、この医師不足の現状にこの期に及んでも十分な財源を投資しようとしないという与党、政府の今回の政府案に強い怒りを表明して、私の質問を終わります。

Posted at 2006年05月10日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年5月