検索

yamanoi.net を検索
WWW を検索
最近の記事
過去の記事
連絡先
京都(後援会)事務所 (地図)
〒610-0101
京都府城陽市平川茶屋裏58-1
電話 0774-54-0703
FAX 0774-54-0705
email:kyoto@yamanoi.net

国会事務所
〒100-8981
東京都千代田区永田町2-2-1
  衆議院第一議員会館240号室
電話 03-3508-7240
FAX 03-3508-8882
email:tokyo@yamanoi.net

厚生労働委員会議事録(三位一体改革、小児医療)

164-衆-厚生労働委員会-9号 平成18年03月15日
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
 児童手当法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第九号)
 ○放課後児童クラブ(学童保育)について
 ○小児医療について
 ○介護施設整備について
 ○児童手当について
 ○教育格差について

○山井委員 これから一時間にわたりまして、川崎大臣、赤松副大臣に御質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 今回の法案では、三位一体改革に伴う児童手当の改革が主な論点の一つとなっておりますが、この資料、きょう九ページ配らせていただきました。今も西村議員の方から格差の問題が言われていました。後ほど触れていきたいと思いますが、きのうの読売新聞の夕刊では「進学も格差社会」ということで、所得によって大きく将来の進路が、大学に行けるかどうかがもう差がついてしまっている、そういうふうなデータも出てきております。そういう中で、私たちも、政府案よりはるかに多い子ども手当についての対案を出させていただいております。この教育の格差や子ども手当については、また後ほど質問をさせていただきたいと思います。
 きょうは、学童保育の問題、子育て支援の一環としての小児医療の問題、そして介護の施設整備、この法案にも関係している問題、そしてまた児童手当について、教育格差について、そういうところを詰め込んで、一時間で質問をさせてもらいたいと思っております。

 まず最初に、この三位一体改革により自治体の財政は厳しくなり、児童手当と並ぶ重要な子育て支援の一つである放課後児童クラブ、以下学童保育と呼ばせていただきますが、学童保育の現場からも、将来に対して不安の声が上がっております。
 川崎大臣にお答えをいただきたいんですけれども、この学童保育、二〇〇五年の統計では約一万五千カ所、六十五万人が利用と、法制化七年間に学童保育のクラブ数は一・六倍、入所児童数は二倍になってきております。共働き家庭の子供たちは、学校から帰った後の放課後や、春、夏、冬休みなどの学校の休業日には子供たちだけで過ごすことになります。この共働き家庭の放課後の生活と安全を守るのがこの学童保育であります。
 しかし、核家族化の進展や都市化の進行、また一人で子育てに取り組む母親が不安や孤立感に悩まされたり、また女性の社会進出、就労形態の多様化などにより、子育てに悩む保護者も非常に多くなっております。
 こういう中で、最初の資料を御説明しますと、実は、小学校低学年、学校で過ごす時間よりも学童保育で過ごす時間の方が約五百時間も多い。特に今、週休二日制になっておりまして、土曜日も学童に行くということになっております。そういう意味では、今まで学童保育というのは歴史があるわけですけれども、当初のボランティア的にちょっと預かるという時代から大きく役割が多様化し、かつ重要になってきたんではないかと思っております。
 最初に、川崎大臣にお伺いします。このような学童保育の重要性について、川崎大臣、いかがお考えでしょうか。

○川崎国務大臣 今お話しいただきました放課後児童クラブにつきましては、現状一万五千百八十四カ所、全国の小学校区が二万三千校でございますので三分の二、登録児童数は六十五万四千八百二十三、十七年の五月一日現在ということになっております。地方自治体の中で、ない組織があるのかということで、私も少し調べさせましたけれども、基本的には過疎地域の自治体、離島等以外は各自治体に行き渡った。しかしながら、校区単位ということになればまだ足りない。そういう意味では、市の中で二つはあるけれども、三つ目、四つ目という要請がある。
 そういった中で、今回平成二十一年度の目標一万七千五百カ所、十八年度予算案につきましては、九百カ所増の予算を計上させていただきました。地方自治体と積極的な意見交換をしながら、予算の獲得にしっかり努力をしてまいりたいと思います。

○山井委員 続きまして、大臣と副大臣にお伺いしたいんですが、今数をどんどんふやしている、それで待機児童、まだまだ学童保育を利用したくてもできないお子さんもいらっしゃるわけです。そこで、厚労省のある方は、まずは量ですということもおっしゃっておられるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、非常に役割は重要になってきております。例えば子供の安全一つとっても、さまざまな子供に対する痛ましい事件によって、やはり学童保育の時間を延長してほしい、きっちり学童保育で安全体制もしいてほしいというようなニーズも高まってきておりますし、またその中身ですね。やはり数十人のお子さん方のお世話をするというのは、そんな簡単な話ではないわけであります。
 そこで、親が子供を学童保育に預けるためには、やはり安定した預ける居場所が必要なわけであります。毎年のように指導員の方々がころころかわるとか、そういうなじみの関係がつくれなかったり、専門性が十分でなかったら不十分だと思っております。
 そこで、三位一体改革に関連した財源のことは後でお聞きするとして、まず、労働条件や就労形態についてお伺いしたいと思っておりますが、一例として、私、先日も学童保育に行ってまいりました。
 私も学生時代、母子寮やこういう学童保育でボランティアをしておりまして、こういう子供たちと遊ぶのが非常に好きなんですけれども、この宇治市の学童保育でも、二十の小学校でやっておりまして、千三百三十三人が利用している。一年から四年までで、一学級約五十人、二人の指導員体制で、宇治市は近畿で最も子育てに力を入れている、子育てしやすい町と言われておりまして、この学童保育にも力を入れているわけです。こういう学童保育も、もちろん一緒に遊ぶ、勉強するというのもありますが、例えば、障害児を受け入れるということも今非常に進んできております。
 それと、先ほども言いましたように、学校の先生よりも接する時間が長い。私も学生時代、母子寮や学童保育でボランティアをしていて痛感しているんですけれども、学校で見せる姿よりもより本当の姿を遊ぶ中で見せたりするんですね。そんな中で、いろいろいじめの問題や家族関係の問題点が見えてきたり、そういうことで、学校では発見されなかった虐待のことやいじめのことが学童保育からの通報によって問題が解決されたというような例もあるぐらい、非常に役割も重要になってきているわけであります。
 不登校、いじめ、引きこもりなどへの対応も求められておりますし、また、障害児の受け入れも、一九九八年の三千人から二〇〇四年には九千三百人に三倍増されているわけです。
 しかし、一年契約の方が多くて、来年の雇用が本当に保障されるかどうかもわからずに、よい指導というのはできないわけです。これだけ重要性、多様性、専門性が増してきた学童保育が、こういう一年契約の不安定な雇用形態のままでいいのか。それともう一つの質問は、やはりこの学童保育の指導員の専門性についてどう考えるのか。このことについて御答弁を願いたいと思います。

○川崎国務大臣 まず、職員でございますけれども、十三年度調査で、従事者の約半数が経験年数三年未満となっております。一年というのは二三%、六分の一の職員が経験年数十年以上。
 雇用形態で言いますと、正規の職員が一万二千人、非常勤が約二万、パート、アルバイトが一万二千、ボランティア等が約二千、四万六千という数字になっております。
 いずれにせよ、放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員には今御指摘のようにできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要であると考えております。
 国としては、こうした放課後児童クラブの職員については、子供を預かる時間帯が通常放課後に限られることから、非常勤とし、クラブの児童数など、その規模に応じて国庫補助を行っております。
 また、今お示しをいただきましたように、長時間開所する場合や障害児の受け入れを行う場合には加算するなど、改善を図っているところでございます。

○赤松副大臣 後半の部分の専門性云々のことについて、私の方から答えさせていただきます。
 先ほど来、山井議員のいわゆる現場に即した御指摘、しっかりいただきました。
 放課後児童クラブの職員につきましては、保育士や教員等、資格を有している者も従事しておりますが、地域の多様な人材を確保する観点や実際に運営されている状況を勘案して、特別な資格要件は現在は定めていない、こういう状況があります。そんな中で、専門性が必要じゃないか、こういう事態があるじゃないかという御指摘でございました。
 放課後児童クラブのような多様なニーズにどうこたえていくか、こういう点についてはその必要性を感じておりますが、現時点で、職員の資質の向上を図るために県単位やあるいは全国の単位で、放課後指導員の研修を実施しております。つまり、新たな専門性を持った人を引っ張ってくるというよりも、今いる人たちに対して、より職員の資質の向上を目指してさまざまな手だてを講じたい、こんなふうな考えでいるところでございます。

○山井委員 もちろん、そういう研修も重要でありますが、現場で何が困っておられるかというと、例えば私の知り合いの方は三十三年間も指導員をされておられます。齊藤高子さんという方ですが、その方がおっしゃるのは、現状では、せっかく学童保育に熱意があり働き続けていきたいという指導員がいても、一年契約の嘱託で待遇が悪過ぎる、先が見えないという理由でどうしても常勤の幼稚園や保育園に転職する人が多いと。
 やはりそういう現状があるわけなんですね。幾ら重要で魅力ある仕事でも、来年どうなるかわからない、十年勤めていったって給料は上がっていかない。やはりそれでは、責任を持って人生をずっと、この仕事をプロフェッショナルとしてやっていこうということにはなりにくいと思うんです。
 そこで大臣、改めてお伺いしたいんですが、やはり若い指導員の方々が夢を持って働き続けられる仕事でないとだめだと思うんですが、この指導員のお仕事について、川崎大臣、いかが思われますか。

○川崎国務大臣 基本的には放課後ということですので、指導員については通常六時間の非常勤としている、それを時間をもう少し延ばして常勤化しろというお説だろうと思いますけれども、基本的には今の国の考え方は、今申し上げたような考え方でやらせていただいております。

○山井委員 これ土曜日は丸一日ですし、休みの日の関係もありますから、最初に申し上げましたように、時間は小学校にいる時間よりも既にもう長くなっているという面があります。それとやはり、例えば学校の先生には見えないものを指導員の方が見ることもできる。長時間一緒に生活する中でいろいろな情報が入ってくるということもあるわけなんですね。やはり子供との関係の遊びの中から発見できることというのも、非常に多いわけです。
 そういう意味では、もう一つ最近ふえているのは、やはり少子化、核家族化の中で子育てに苦しむ親御さんもふえてきている。そういう親御さんの相談にも乗っている。それともう一つは、最近、子供の安全ということで、いろいろ子供の安全のチェックリスト、二十六項目のチェックリストをつくって、子供がちゃんと学童保育から家まで安全に帰れるかどうかのチェックもしろ、そういうふうなことも時代の要請として出てきているわけであります。
 それで川崎大臣にお伺いしたいんですが、国庫補助の基準は非常勤を前提とされているわけなんですけれども、これから子育て支援に国を挙げて力を入れていこうというときですから、やはり自治体に対しても、もっと国として、こういう学童保育、しっかりと指導員の方々が勤め続けられるようにすべきだというようなメッセージを発する必要があるんではないか。
 また、この国庫補助を非常勤前提ということではなくて、やはり専門性のある職員の方が長年、さっきもまさに答弁されましたように、半数の方が三年以下、もっと長いキャリアがあった方がいいケースもあるわけです。
 そういう意味では、その国庫補助の引き上げということと、やはり自治体に対してそういう働き続けられる労働条件をというメッセージを、大臣からお願いしたいと思います。

○川崎国務大臣 運営費補助、総事業費のおおむね半額を利用者負担ということもあります。これはもう委員御承知のとおりでございます。そういった意味では、自治体の意見もしっかり聞きながら、どういう判断をしていくかということで、勉強してまいりたいと思います。

○山井委員 幼稚園、保育園、小学校に比べると、この学童保育というのは、今までどうしても一時的に預かってもらっているというイメージがあったと思います。しかし、そういう考え方を私たちはやはり変えていかなければだめです。
 共働きの家庭がふえ、また核家族化で、あるいは一人っ子がふえて、なかなか友達と遊ぶということも減ってきたり、異世代の、あるいは学年の違う人たちと集団で遊ぶということが減ってきた。そういう中で、今までの一時預かっておくという学童保育の位置づけから、これだけ多様な専門性を要求されるニーズとなっているわけですから、学童保育の指導員さんがやはり夢を持って、若い人たちが、仕事は好きだけれども不安定な雇用なのでほかの仕事に移ってしまう、そういうことがないように、ぜひとも厚生労働省としても音頭をとっていただきたいと思っております。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 児童手当、学童保育、いろいろなメニューがありますが、ちょっと先日の質問の続きになりますが、小児医療も危機的な状況を残念ながら迎えているわけであります。このことについて二月二十四日に質問をしましたら、川崎大臣から、小児救急医療の労働実態について調べる、調査するという答弁を得ました。このことに関しては非常に感謝をしておりますし、今その調査をしていただいていると聞いております。いつまでにどのような調査をするのかということを御答弁願いたいと思います。

○川崎国務大臣 二月二十四日、答弁をした後、指示をいたしました。全国の小児科勤務医師の労働環境については、国の補助金を受けて小児救急医療を行っている全国二十七カ所の小児救急医療拠点病院がその実態をよく反映していると思われることから、それら病院の夜間帯、二十二時まで、及び深夜帯、二十二時から朝六時までにおける患者数、医師数や小児科医師の一カ月間の勤務日数、勤務時間等について、緊急調査を実施いたしております。
 都道府県を通じながら、各病院ごとに今調査をお願いしており、三月中には結果を取りまとめて御報告できるだろうと考えております。

○山井委員 こういうふうにすぐに調査をしていただいたことには、心から感謝を申し上げます。厚生労働省の職員の方々も、本当にいろいろ資料要求が多い中で大変かと思います。ただ、一つ注文をつけるならば、二十七という数字が少ないように思いますので、またこれをふやす努力をぜひともしていただきたいと思っております。
 それで、そのことに関連して、またこの資料を見ていただきたいんですけれども、なぜこういう安心して子供を生み育てにくい社会に日本はなってしまったのか。先ほど西村議員からも話がありましたが、長年言われているけれども、結局、かけ声ばかりあるけれども、事態はますます深刻化して、危機的な状況になっているんではないか。
 この三ページにありますように、これも二月二十四日にお配りしたのと同じ新聞記事、「小児科避ける新人医師」、ここをちょっと読みますと、「大卒時点では小児科志望の研修医が臨床研修中に「労働条件がきつい」などの理由で内科などに志望を変えるケースが多い。」具体的に言うと、ここに書いてありますが、「研修中に小児科から他の診療科に志望を変更した医師は二百二十三人を数え、他の診療科から小児科に変更した七十人を大きく上回り、若手医師の小児科離れを裏付けた。」となっているわけですね。
 これに対して、この資料にも書いてありますが、川崎大臣からは次のような答弁をいただきました。「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がなければならない」と。要は、大学病院の小児科は減っているけれども、トータルではどうかわからない。したがって、「小児科のお医者さんが少なくなったんだというストレートな判断はいたしておりません。」という答弁をいただいたわけですが、この答弁にあります「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がねばならない」という答弁のこの掌握、どのように今されていますでしょうか。

○川崎国務大臣 十六年四月に臨床研修を開始し、新制度の研修医、対象者が二学年で一万四千八百七十人、二年の研修期間を今月修了することとなり、その後の進路についてほぼ固まっているだろう。そのため、当面、新制度の効果等を検証、分析するため、これは小児科だけじゃなくてこの研修医制度全体です、すべての研修医、臨床研修病院、大学病院を対象とする全般的な調査を先週から始めました。
 この調査では、臨床研修修了後の進路、どの診療科に進むかを含む質問をしており、今後、調査票の回収、集計、解析という作業を行い、結果はことしの夏までに取りまとめたいと考えております。

○山井委員 途中までは非常にありがたい答弁だったんですが、夏までにとおっしゃいますが、医療制度改革の審議は来月にもスタートするんではないかと思うんです。それで、まさに大臣答弁されたように、もう進路は決まっているんですよ、もう四月から勤めるんですから。
 やはり、今小児科のお医者さんが減っているのか減っていないのかというのは、これは法案審議の根本的なポイントになるわけで、少なくとも、現場の声やこういう新聞報道を見ると、私も小児科のお医者さん、小児科を目指している研修医、学生さん、その御家族、たくさん知り合いがいます。週末は多くのそういう人とも議論しています。そんな中で、減っているという声が非常に切実なんですね。
 やはりそれは、夏までというよりは、もう答えは出ているんですから、現時点で。法案審議の際には、あらあらでいいですからそういう実態を、減っているのかどうかということは、やはり出していただきたいと思うんですが、大臣、非常に重要な点だと思いますが、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 今調査、回収したところですから、毎週厚生労働委員会あるんでしょうから、理事会等で状況は御報告申し上げます。

○山井委員 そうしたら、また委員長さんにもお願いしますが、ぜひともこのことは、まさにもう回収してそれも持っておられるわけですから、できるだけ早くオープンにしていって、そのことを見て、ふえているんだったらふえているでいいし、減っているんだったら、では、今回の医療制度改革の審議の中でどうするんだということをしっかりと議論したいと思います。一番困るのは、減っていないんじゃないかと言っていて、国会審議が終わって大幅に減っていましたということになると、それは非常に困るわけであります。
 次に、これも二月二十四日の質問の続きなんですが、このきょうの資料にもございますが、労働条件の実態調査をされて、二年前の調査で六百の病院に指導監督を、これは小児だけではありませんが、全般的に指導監督をされたと。その中で、その結果を一週間以内に出してくださるという答弁を川崎大臣からいただきました。その結果と、この資料の左側の上に改善報告件数とありますが、これが指導を受けて改善したという報告なのか、これから改善するという報告なのか。その二点についてお伺いしたいと思います。

○赤松副大臣 私の方から答えさせていただきます。
 今御指摘の点、平成十五年度から十六年度にかけまして、労働基準監督署において宿日直許可を受けている五百九十六の医療機関に対し監督指導を行ったわけでございます。その結果がお示しの資料なわけでございます。
 監督指導によって、何らかの労働基準関係法令違反が認められた四百三十機関のうち、約八七%の三百七十三機関において法違反が是正されております。
 宿日直許可基準を満たしていないとして指導を行った二百四十機関のうち、約八〇%の二百機関において改善の報告がされております。改善報告のあった二百機関については、労働基準監督署において、報告の内容からおおむね改善されたものと判断したと理解をいたしております。
 今、最後に、改善したものとしていないものと、その辺の区別はどうなのかということでございますが、改善された旨の報告のほか、これから改善する旨の報告も、両方のものが含まれております。

○山井委員 改善した旨の報告と改善する旨の報告というのは全く違うんですよね。ですから、お願いをしたいと思いますが、すると言ってしていないケースというのも残念ながらあるんじゃないかと思うんですよね。
 やはり指導した以上は、改善すると言っていますでは済まないので、この五百九十六、本当は六千六百もともとあるわけですから、そのうちの五百九十六、指導を出した以上は、五百九十六のうちどれだけが改善されたのか、すると言っていない、されたのか、このことの調査をして報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 御指摘の点、よくわかります。
 ただ、今は、改善された、それから改善したいと言っている分の区別につきましては、今後とも粘り強く指導いたしまして、しっかりとした結果が出るように働きかけをしていきたい、こんなふうに思っております。

○山井委員 ちょっと今の答弁は納得できないんですよね。指導をして、まあ直すと言っているからいいじゃないかというような話で、やはり指導した以上は、そこを直したかどうかということを労働基準監督署がチェックせずに、直すと言っているからまあいいじゃないかということにはならないと思うんですね。
 ここはあえてもう一度答弁していただきたいと思いますが、やはり指導した以上は、改善をしたのかどうか、調査して報告していただきたいと思います。私は別に当たり前のことを言っているわけです、これはもう二年前に指導しているわけですから。いかがですか。

○赤松副大臣 その方向で結果を出していくというのは正しいことだろうと思います。ただ、いついつまでとか期限を区切られても、なかなか難しい側面がありますので、その方向で努力をしたい、そんなふうに思います。

○山井委員 ぜひ急いでいただきたいと思います。
 なぜこういう質問をするかというと、指導が入っても、どうせお医者さんもいないんだし、ほかも守っていないんだから、直しますと言ったらそれで済むんじゃないかと。これは私は病院を批判しているわけではありません。実際お医者さんもいないとか、さまざまな事情があるわけなんですよね、夜間も患者さんがたくさん来るとか。確かにそういう事情はあるけれども、指導をしたところがきっちり改善されているかどうかということをチェックするのは、これはやはり厚生労働省の責任だと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思っております。
 それにも関連しますが、三月九日の新聞で、医療事故が非常に多いという記事が出ておりました。皆さんもごらんになられたと思います。年間百四十三人が死亡、医療事故で。そして、何と半年間で九万一千件もヒヤリ・ハット事例、あわや医療事故というケースがあったということであります。
 そこで、きょうの資料五ページを見ていただきたいんですが、今、アメリカでもヨーロッパでも、長時間労働が医療事故につながるんではないか、つまり労働時間が長くなると事故がふえるというような論文や研究が非常にふえているわけなんですね、これは。
 そこで厚生労働省にお伺いします。こういう労働条件や労働時間と医療事故に関する調査、今までされていますでしょうか。

○赤松副大臣 医療事故に関しては、私自身も、個人的にも非常に強い関心を持っている問題でございます。
 医療事故に関しまして、そういう調査をしたことはあるのかという御質問でございますが、委員御承知だろうと思いますが、発生予防、再発防止を目的として、平成十六年、今から一年半ほど前ですね、平成十六年十月より、特定機能病院等二百七十二病院に対して、財団法人の日本医療機能評価機構に対しての報告を義務づけておるところでございます。
 報告された事例につきましては、日本医療機能評価機構において分析をし、取りまとめて公表されております。この制度の中では、医療事故の当事者の勤務状況について、直前一週間の当直または夜勤の回数、二交代制などの勤務形態の報告をあわせて求めております。
 しかしながら、医療事故と当事者の勤務状況との関係を明らかにするに足りる事例収集が残念ながら現時点ではできておらず、今後、日本医療機能評価機構において適切な事例収集、分析、取りまとめが行われるように促してまいりたい、そんなふうに厚生労働省としては考えております。

○山井委員 それは、厚生労働省として、医療事故がこれだけ問題だという以上は、そこで何が問題なのか、労働時間なのか労働条件なのか、やはりそこはきっちりと調査するというのが当然国の責務だと思います。そして、私、手元に持っているんですが、看護師不足が背景とかさらっと新聞に書いてあるんですけれども、余り安易にこういうふうに決めつけるのもよくないと思うんですね。何がその背景にあるのか。
 まさに今、副大臣からも答弁いただきましたが、この出ました医療事故情報収集等事業報告書、私も手元に持っております。この中で、労働時間、労働条件、勤務体制とどう関連づけて調査がされているかというので、皆さんのお手元に書きました。これを見ていただきたい、川崎大臣も見ていただきたいと思います。
 どう出ているかというと、この情報収集の際のアンケート、直前一週間の勤務時間、どちらかに丸をしてください、一時間から百五十時間、あるいは不明。ちょっと残念ながらこれは調査になっていないんじゃないですかね。一時間から百五十時間に決まっているじゃないですか。一週間で百五十時間以上働けないですよね、人間というのは。それで、あとは不明。これじゃ調査項目にならない。それともう一つ、直前一週間の夜勤回数はゼロから七回ですか、不明ですかと。一週間というのは七日間しかないんだから、最大やっても七日しかできないですよね。ゼロから七回に決まっているじゃないですか。
 要は、申しわけないけれども、非常に失礼なことを言うかもしれないですけれども、普通の感覚でいえば、このデータ収集から、労働条件や労働実態と関連づけてこれは答えが出てこないと思うんですよね。いかがでしょうか。

○赤松副大臣 御指摘の点、私もそのとおりだろうと思います。
 先ほど冒頭に言いましたように、これは厚生労働省がやっているわけではなくて、第三者機関のチェックが必要であるということでこの日本医療機能評価機構にお任せしていたと。その結果が、今御指摘になったように極めてその回答方法にあって、ちょっと不明確な側面があるということ、御指摘のとおりだろうと思います。
 この日本医療機能評価機構そのものも、委員御指摘のようなこともあり、回答方法の明確化などを今検討されておるということでございますので、私たちとしては、その後適切な分析と取りまとめが行われるものと期待をいたしているところであり、ぜひそのようにしてほしい、こういう要望も投げかけているところでございます。

○山井委員 正直言いまして、この報告書自体は、私、読ませていただいてある意味ですばらしい報告書でありますので、その中の一部を取り上げて批判するのは失礼かもしれませんが、少なくとも労働時間と労働実態のところはきっちりとやっていただきたいと思います。
 それで、次に、私の資料の施設の基盤整備の部分ですね、七ページの資料、地域介護・福祉空間整備等交付金の見直し、このことについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、村井議員と私から、主に村井議員から資料要求をさせてもらっていて、この資料について、この三百九十億円の内訳、そして対象範囲を拡充、四百七十六億円、この一、二、三の交付金にかわるわけですね、この内訳をぜひとも示していただきたいということを村井議員からもお願いしているんです。
 なかなか出てきていないわけでありまして、これはちょっと質問通告しておりませんけれども、この内訳を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 村井委員からの御要望を聞いておりまして、今、そのことについていつまでに出せるか検討しているところでございます。

○山井委員 ぜひとも早急によろしくお願いいたします。村井議員もそれを見て質問する準備を今いたしております。
 それで、私が心配しておりますのが、この交付金の見直しによって特別養護老人ホームや介護施設の整備が、進む自治体がもしかしたらあるかもしれませんが、おくれる自治体も多く出てくるのではないか。なぜかというと、私が知っているある自治体では、実はこういう制度改革によって、計画していた特別養護老人ホームの整備一つを断念したという自治体があるんですね。つまり、こういう一般財源化することによって、やはりそれはもちろん地方自治体の優先順位の問題ですけれども、介護施設の基盤整備がおろそかになる自治体が出てくるのではないか。
 御存じのように、今回、療養型病床を二十三万床も減らすということも厚労省はおっしゃっているわけですから、そういう中でこの介護基盤の整備がおくれることになると、これは大変なことになるのではないかと思います。
 この点について、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 今回の三位一体の改革では、地域介護・福祉空間整備等交付金を見直しまして、特別養護老人ホームなど、広域型介護施設の整備に対して助成する都道府県交付金を廃止、税源移譲するということにしておるということは今御指摘のとおりでございます。
 一方で、都道府県交付金に相当する補助を都道府県等が行う場合には、総務省におきまして必要な地方財源措置が講じられる、このように承知しておりまして、今後、広域型介護施設の新築等が必要な場合は、都道府県により適切な対応が行われるもの、そのように考えております。
 また、地域介護・福祉空間整備等交付金のうち、市町村交付金は継続し、介護療養病床を改修して老人保健施設とするような場合については、市町村の判断で市町村交付金を活用した支援ができるようにする予定としております。

○山井委員 ぜひ、これによっておくれる自治体がないように、きっちりチェックもしていただきたいと思っております。
 今、長期療養病床の削減という話が出ましたが、このことについて、医療型療養病床の自己負担、厚労省のデータ、九・四万円というのがちょっと安過ぎるのではないかということを赤松副大臣に先日言って、このことに関しては、厚労省も都道府県別等で調べたいということをちらりとは聞いておりますが、この自己負担の調査についてはいかがでしょうか。

○赤松副大臣 今御指摘のありました点、二月二十四日の当委員会におきまして答弁をしたとおり、一月当たりの一部自己負担の平均額に、日本療養病床協会が行った調査で把握された、いわゆる差額ベッド代以外のおむつ代、日常生活費の平均額を加えて、平均的な額を推計したものでございます。
 山井委員から要求のございましたデータについては、日本療養病床協会が昨年七月に行った調査における個々の病院にかかわるデータを示すものと思われますが、これは同協会が保有するものでありまして、厚生労働省としては、全国平均額のみ同協会から報告を受けているものであることから、これを提出することは困難であることでございます。
 しかしながら、委員御指摘のように、地域別の精査を行うべきだというこの御提案に沿った対応といたしまして、例えば地域ブロック別にデータを求めるといったことが考えられます。
 本件については、理事会で協議をされている事項でありますが、データを保有する日本療養病床協会の御協力が前提になりますので、同協会ともしっかり相談してまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。

○山井委員 また、理事会でもこれは協議をしていきたいと思いますが、今ちらっと聞いたけれども、都道府県別はなんだけれどもブロック別だったらいいとか、そういう何かせこいことを言わないで、なぜ都道府県別で出せないのか、ぜひともそこはきっちりとやっていただきたいと思っております。
 また、川崎大臣に戻ってお伺いしたいと思います。
 おとついですか、櫻井充議員が予算委員会で取り上げられた医師不足の問題、これはちょっと重要な問題なんで、お伺いしたいと思います。
 現状認識ですね。厚生労働省は、医師は不足していると現状認識しているのか、あるいは足りていると認識されているのか、その根拠は何でしょうか。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 医師の総数でございますけれども、平成十六年で二十七万三百七十一人、これを平成二年でいいますと二十一万一千七百九十七人、昭和三十年、このころですと九万人でございます。そういった意味では、医師の数は順調にふえてきていると承知いたしております。
 大体、七、八千人の方々が新しい免許をお取りになる。リタイアをする人たちを引くと、毎年三千五百から四千人程度順調に増加しており、平成十年に取りまとめられた医師の需給に関する検討会報告によれば、遅くとも平成二十九年ごろ、約十年後、供給医師数が必要医師数を上回り、将来的には供給過剰になるとの報告であります。
 その一方で、もちろん、医師の偏在による小児科や産科といった特定の診療科や、僻地などの特定の地域における医師不足が深刻な問題となっており、総務省及び文部科学省とともに関係省庁連絡会議を開催し、昨年八月には医師確保総合対策を策定いたしました。
 すなわち、数的には基本的には足りている。しかしながら、診療科によって、特に救急の問題、それから僻地などの問題というところに医師の不足というものが目立っていることは事実でございます。

○山井委員 この現状認識は非常に重要なことなので、もう一歩お伺いしたいんですが、今医師はトータルでは足りているとおっしゃいました。そして、確かに私が手元に持っているのでも、毎年三千五百人から四千人ふえているということも言われております。
 しかし大臣、お考えいただきたいんですけれども、医療の高度化、インフォームド・コンセントでいろいろな説明をすることが求められること、また医療事故への対応、さまざまなことによって、一人のお医者さんが診られる患者さんの数というのは減ってきているという部分もあるわけなんですね。
 ですから、事実として毎年三、四千人ふえている、このことは事実です。問題は需要ですよ。需要に対して、三、四千人ふえて、足りているのか足りていないのか。ですから、需要の数のデータを持っておられるんですか、今日の需要医師数というのを。

○川崎国務大臣 先ほどの話に対して、要は人口はふえていないけれども、先ほど言いました平成二年二十一万人が二十七万人、六万人ふえてきている、そういう意味では、委員の言われるとおり、人口がふえていないのに医師の数が六万人もこの十五年間でふえたということは事実です。そういう意味では、需要はふえているんだろうと、一つ一つの単位からすれば。
 しかし、それを全体的に専門家で議論してもらって、今私が申し上げましたように、基本的には足りているという認識をいたしております。

○山井委員 その専門家で議論して足りているという認識というのは、議論されたのはいつのことですか。

○川崎国務大臣 平成十年でございます。

○山井委員 八年前じゃないですか。それから多くのことが変わってきているんじゃないですか、状況は、研修医制度にもなりましたし。八年前の現状認識、それで医療制度改革を議論するというのはちょっと難しいんじゃないかと私は思います。
 それでは、まさにその八年前の資料をここに、その答弁が来ると思って書いてあります。これがその八年前の調査なんですね。
 そうしたら、八年前の上位推計、中位推計、下位推計という需要がありますけれども、この需要、三つのパターンが示されたんですけれども、どのパターンで今の日本は必要数が推移しているんですか。

○川崎国務大臣 先ほど二十七万人とお答え申し上げましたね。この数字でいけば、必要医師数、中位で平成十七年二十六万ですから、上位数が二十九万、ちょうど、十六年で二十七万ですから、中位と上位の間ぐらいの想定になりますね。

○山井委員 いや、その答弁だけではなぜその数になっているのか全然わからないわけで、それはグラフを見たらその間に位置することぐらいだれでもわかるんです。ですから私が言いたいのは、今、医師の需給に関する検討会、新たに八年ぶりにもう一回やっておられますよね。それで先日聞いたら、その結果が出るのがまた二、三カ月先だということみたいなんですね。今まさに、八年もたっているからやり直していますと、やってくださっているんですか、ありがとうございます、それで、結果はいつですかと言ったら、二、三カ月先と聞いたんですよ。
 ところが、医療制度改革の審議をするのは二、三カ月先でもいいんですが、もうちょっと早いような気もするので、やはりせっかく出すのであれば、私が何を心配しているかというと、医療制度改革のときに今の川崎大臣の答弁のまま医師は足りているという前提で国会審議を行って、二、三カ月たって需給検討会の答えが出て、やはり足りませんでした、いろいろな医療の高度化や患者のニーズの高まりによってやはり足りませんでした、そういう回答がもし出たら、審議はゼロからやり直しになりかねないと思うんです。
 ですから、私、もちろん完璧なものは求めませんが、やはり八年前の検討で今回の医療制度改革を議論するというのは、ちょっと無理があると思う。今、検討会をやっているんだったら、現状で医師が足りているのか足りていないのか、その調査というものはやはりもう一度きっちりと早急にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 新しい議論を開始していることは事実でございますけれども、現時点では医師は足りているというふうに理解しております。

○山井委員 これは、これから医療制度改革を議論するというときに大臣が医師は足りていると断言して本当にいいのか、その根拠はどこにあるのか、そのことは、これからまた議論をしていきたいと私は思っております。このことについては、本当に根本的な問題ですから、単なる偏在なのかそもそも医師が足りないのかによって、とる政策が全然違ってくるわけですから、ここは引き続き議論をしたいと思います。
 それで、もう時間がございませんが、三位一体改革によって、あと、施設整備費の都道府県の分が一般財源化されるという流れもあるわけですが、今、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという消防庁の検討会が行われているということで、話によると近いうちに結論が出る、出そうだということでちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 御記憶にあるかと思いますが、長崎県で認知症のお年寄りのグループホームが火事になってお年寄りが亡くなられた、それを通じて、厚生労働省さんも夜勤を義務づけられたというようなことをされたわけです。その中で、今、消防庁さんが検討会をされているわけなんですね。それで、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという議論がされております。
 ここで、お伺いしたいと思います。消防庁の大石次長さんと川崎大臣にお伺いしたいと思いますが、この件についてどう考えておられますでしょうか。

○大石政府参考人 お答えいたします。
 ことしの一月八日でございましたが、長崎県大村市の認知症高齢者グループホームにおきまして、七名の高齢者の方が亡くなるという大変痛ましい火災がございました。このような火災は二度とあってはならないという考え方で、消防庁は、検討会を一月十九日に発足させたわけでございます。
 この検討会におきまして、このような施設における消防用設備それから防火管理等の防火安全対策のあり方について検討をいたしているところでございます。実は、本日も四回目の検討会が開催されたところでございます。
 認知症の高齢者グループホームには、入所者に自力では避難することができない要介護者の方が含まれているわけでありまして、火災発生時に、夜間、職員が一人で全入所者を短時間で避難させることは難しい、犠牲者を出さないようにするための対策が必要であると考えているわけであります。
 このため、防火管理者の選任義務の対象の拡大とか、自動火災報知設備の設置とか、それから自動的に消防機関に通報する装置、これを置いていただく、こういったことに加えまして、ただいまお話ございましたように、消火それから延焼拡大の防止をする、そして入所者全員が避難することができる時間を確保する、そのために、住宅用スプリンクラーの設備の設置を図る必要があるのではないかと考えまして、この考えに基づいて、去る三月三日の三回目の検討会において、消防庁の案をお示しして意見交換を行ったところでございます。
 今後、三月中に検討会での結論を得まして、必要な制度改正を行ってまいりたいと考えております。

○赤松副大臣 後段の部分を私の方から答えさせていただきます。
 先ほど御指摘のあったこの長崎県大村市におきますところの認知症高齢者グループホームの火災は、本当に悲惨な事件でありまして、まことに、お亡くなりになった皆さんに対して心から御冥福をお祈りするとともに、人命第一であることを念頭に置きまして、再びこのような事件が生ずることのないように、必要な対策を講じなくちゃいけないということを心に銘記しているところでございます。
 厚生労働省としましては、先ほど委員から御指摘ありましたように、今回の介護報酬改定の中で、夜勤職員の配置を義務づけ、あるいはまた火災発生時の通報体制を確保することや、住宅地等に立地し、地域との連携を確保することを指定基準において義務づける等の対策を講じたところでございます。
 先ほどのスプリンクラーの設置義務づけの話でございますが、先般、NHK「クローズアップ現代」でこの部分をやっておりまして、私もしっかり見させていただいて、強く感じるところがございました。
 この問題につきましては、厚生労働省的には五つほどの観点があると思っております。一つは今回の火災の原因がいまだに不明確であるということ。
 二つは、たばこやライターを入居者自身に持たせていた、避難訓練を一度も行っていなかった、消防署への通報まで時間がかかり過ぎた等の特別な事情が重なった今回のケースを前提として、すべてのグループホームへ義務づけることが適当なのかどうかということが二つ目。
 三つ目が、さまざまな防火対策を徹底し、自動火災報知設備や消防機関への自動通報設備の設置を義務づけた場合においても、さらに住宅用スプリンクラーの設置まで義務づける必要があるのかどうかという観点。
 そして四つ目は、設置費用を負担し切れるのか、住宅用スプリンクラーの費用対効果は十分なのか、これは特にNHKの「クローズアップ現代」でもかなりこの辺が強調されておりましたけれども、そういう点。
 さらに五つ目は、スプリンクラーを義務づけた場合は、建物の状況によっては、グループホームのよさである家庭的な環境が保てなくなったり、閉鎖を余儀なくされたりする事業所も出てくるんじゃないかというふうに幾つかの検討課題が残っております。
 先ほどの消防庁のお話とは少し違うんですけれども、十分慎重にしていかなければならない、厚生労働省としては早急な結論は出すべきじゃない、こんなふうに思っているところでございます。

○山井委員 いや、私も三月中に結論を出したいという話を聞いて、そんな急な話なのかとちょっとびっくりしたんです。
 こんなところで取り出すのはちょっとおこがましいんですが、なぜ私がこんな質問をするかというと、私は、実はもともとは、議員になる前はグループホーム研究者だったんですよね。こんなところに持ってきてもしようがないんですが、世界で初めて認知症のグループホームの本を書いたのは、スウェーデンのバルブロー・ベック・フリスさんというお医者さんで、その本を翻訳したのも私なんです。
 二年間スウェーデンにグループホームの調査で留学していまして、今まで四冊グループホームの本も書いていまして、二十七からですから十八年間、グループホーム問題、ずっとこれに私は取り組んできて、今議員に実はならせてもらっていまして、このグループホームに対する思い入れは半端じゃないんですね。(発言する者あり)そうですね、障害者の方々のグループホームもありますし。
 それで、今のグループホームの問題点は、利用料が非常に高いとか、やはり介護報酬が低くて職員の方々が十分に集まらないとか、職員の数が少なくてなかなか十分な夜間の介護ができないとか、人里離れたところにぽつんと、今回も民家が近所になかったという中で火災が起こったので、そういう問題が言われているんですよね。
 そこで、消防庁さんにお伺いしたいんですが、消防庁さんが、お年寄りの方が火事で死んだらだめだ、そういう使命感のもとにやってくださることに何かけちをつけるようで非常に申し上げにくいんですけれども、スプリンクラーというのは幾らぐらいなのかということと、それをつけるとしたら、結局だれがお金を払うことになるのかということと、それともう一つ、検討会のメンバーを見たら、何か消防関係者がほとんどで、厚生省の人が一人と、グループホーム協会の人が一人という中で、やはり現場の人がちょっと少な過ぎるんじゃないかなと思うんですが、大石次長さん、いかがでしょうか。

○大石政府参考人 まず、設置費用のお話でございますけれども、そのグループホームの規模などによっても当然異なるわけでございますけれども、延べ面積が三百平米程度の認知症高齢者グループホームであれば、約三百万円程度で設置ができると我々は考えております。それから、負担のお尋ねですが、消防法令では、住宅用スプリンクラー設備の設置義務は、通常、施設の運営主体が負うことになっているわけであります。
 それから、検討委員会のメンバーでございますが、消防関係者ばかりではないかという御指摘があったわけですが、厚生労働省の担当課長さん、それから高齢者等のケア、防火対策に詳しい学識経験者の方、それから利用者の立場を代表されて主婦連の代表者の方、それから認知症グループホーム協会の代表の方、こういった方々に入っていただいて御意見をいただいております。
 また、そのグループホームの方々の生の意見を反映する場がないのではないか、このような御指摘に対しましては、実は、消防庁では、この検討会と並行いたしまして、既に二回、グループホーム関係者の方々と話し合いの機会を持ちまして、御意見をいただいているところでございます。

○山井委員 本当にお年寄りの命を守るためにやってくださっていることには敬意を表するんですが、三百万円のスプリンクラーをつけて本当に効果があるのかということも一つありますし、また、それを自己負担、結局は利用者負担にはね返るわけですから、そうしたらますます、ただでさえ今、裕福な方しかグループホームに入れないというのが問題になっていて、ますますお金のある人しか入れなくなる。また、その三百万円をかけるんだったら、もしかしたら人手をふやした方が防火のためには役立つかもしれない。
 だから、私は、スプリンクラーをもちろん全否定するわけではないですけれども、まだまだ検討すべき課題はあると思いますし、はっきり言って、障害者福祉の目玉でもあります障害者向けのグループホームにもこれは波及する問題なわけなんですね。
 そういう意味では、消防庁さんの取り組みにも敬意を表するとともに、やはり現場の意見をじっくり聞いて、時間をかけて議論してほしいと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 厚生労働省としては、先ほども申し上げましたように、慎重に対応していきたい、そんなふうに思っておりますが、今御指摘のあったように、施設のサービスや経営に与える影響等を精査しながら、消防庁とも連携をとりつつ、性急な結論が出ることがないように慎重に検討を進めてまいりたい、そのように思っております。

○山井委員 最後に一言だけ大臣に申し上げたいんですけれども、話は戻りますが、先ほど、医師は足りているということを大臣答弁くださいました。
 私は、やはり審議で一番重要なのは、エビデンス・ベースド・ポリシーといいますか、根拠とデータ、調査に基づいた政策論議をするのが国会だと思うんですね。足りていると力強くおっしゃられるわけですけれども、実際、需要がどうなのかということを調べたのは八年前なんですね。そういう意味では、私はもう一度、今の需要が八年間でどう変わっているのかということを、やはり今回重要な医療制度改革の審議をするんですから、検討会の議論をちょっと前倒ししてでもやった方がいいのではないかと思うんです。
 くどいようですが、最後に大臣の御答弁をお願い申し上げます。

○川崎国務大臣 そこのところは、先ほどの発言のとおりでございます。新しい調査は新しい調査として、できた時点で御報告を申し上げます。

○山井委員 ぜひ審議のときにそのデータが出てくることを期待しております。
 ありがとうございました。

Posted at 2006年04月13日 19:40 | TrackBack
« 予算委員会分科会議事録(第二名神、国道163号、他) | Main | 医療費の推計に関する再質問主意書 »
Comments

昨日の委員会定足数を割り込むなど大変でした。
私の岩国市では住民投票以来、混沌としており、明日からの市長選も安倍幹事長はもちろん町村・野田氏も応援に駆けつけるなど、自民党候補関係は必死の様相を呈しています。

どうぞ、お元気で頑張って下さい。

Posted by: 姫野 at 2006年04月15日 17:12
コメントする









名前、アドレスを登録しますか?