164-衆-厚生労働委員会-15号 平成18年04月14日
○山井委員 これから五十分間、質問をさせていただきます。
いよいよ医療制度改革の審議が始まりましたが、まさにこれは国民の命のかかった法案であります。私たち民主党は、今の医療の現状に対して、まさにことし、医療崩壊元年になるのではないかという強い危機感を持っております。
先ほど古川議員からも話がありました。現状認識が政府・与党と民主党とで大きく違うんではないか。そしてまた、菊田議員からも、新潟での水原郷病院を初めとする本当に切実な現状について話がありました。
昨年十一月、ここにいらっしゃる岸田委員長とも一緒に、超党派でイギリスの医療の視察に行きました。イギリスではサッチャー政権のもと、医療費抑制政策を十年以上進めたことによって、医師が少なくなり、きょうの午前中の自民党の木原議員の質問にもありましたが、手術の待機が何カ月あるいは何年にもなり、海外に手術に行く人も出てきたり、そういう荒廃した医療を立て直すために、ブレア首相が五年間に一・五倍医療費をふやす、そういうことをやってもまだ、一度荒廃してしまった医療を立て直すのは非常に難しいという厳しい現状でありました。
また、アメリカのクリントン元大統領は、医療保険制度、アメリカでは三割の方が公的な医療保険に入られておりませんけれども、それをつくることが必要だということを最優先課題として取り上げている。公的な医療の給付のパーセンテージが一番低いアメリカで、国民医療費は一番高くなっている。こういう世界の流れと逆行しているのが今回の政府案であります。私たち民主党は、このような医療費抑制、そして都道府県に解決策を任せるという政府案に非常に危機感を感じております。
そこで、今の日本の医療が抱える問題が集中的にあらわれていると思われる小児救急医療について、主に質問をさせていただきたいと思いますし、また、先ほど古川議員からも話がありました、福島での産婦人科医師の方の逮捕ということにも触れさせていただきたいと思っております。
きょうの菊田議員から我が党への質問の中で、我が党の小児医療緊急推進法案について質疑をさせていただきました。
改めて説明をすると、小児救急医療のシステム化、地域小児科センターにまとめていって、そこに行けば安心だという拠点をつくる。それと、医療機関の連携体制の推進。また、簡単なことでは病院に行かなくても家で対応できるようにという、保護者の不安を解消する救急相談体制、これも柚木議員から答弁がありました。また、こういう不採算な小児科の診療報酬の引き上げや、また一般財源からの補助金の投入。そして、五番目には、小児科勤務医の勤務条件の抜本的な改善が必要だと思っております。このことに関しては、私も先日の本会議の答弁で、過労によって残念ながら自殺をされました中原利郎医師の話もさせていただきました。
このような日本の医療の現状を象徴する危機的な状況にある小児救急、その中のまさに大きなネックとなっている労働条件の実態について、少し丁寧に議論をしていきたいと思います。
先ほどの菊田議員の資料にもございましたが、水原郷病院がピンチになっている、それも過重な勤務状況が背景と書かれております。「ある医師は「使命感に訴えて頑張っても限界が来ている。このままでは医療事故も起こりかねない、という声も挙がっている」と大量退職の背景を明かす。」とここにも書かれております。過重な労働が退職につながり、また医療事故にもつながってくる、そういう意味では、この小児科の勤務医の過重な労働状況というのは、勤務医のためだけではなくて、患者さんにとっても非常に危機的な状況であるということであります。
まず、A3の私の資料の一ページにございますが、二十代の小児科勤務医の平均の一カ月の時間外の労働時間は百時間を超えております。この時間外の月百時間の労働以外に、勤務時間にカウントされていない宿直の時間がまた大体平均五、六日分あるわけであります。そんな状況で、体力や健康の不安を訴える、翌日業務への影響の不安、医療事故への不安、そういうものがふえておりまして、限界、大変疲れるという回答をしている方が百九人中七十八人、七二%にも及んでいるわけであります。
また、これについては三ページ目に、小児救急医療拠点病院実態調査、二十七病院の結果、これは二月二十四日の私のお願いに対しまして、厚生労働省がわざわざ一カ月以上かけて調査をしてくださった結果が出てまいりました。
しかし、あの審議のときにも申し上げましたが、一般の小児救急をやっている中小の病院よりもはるかに恵まれたこの拠点病院二十七病院、平均よりもはるかにいい条件ということで申し上げますと、これを見てみますと、三番目、四番目を見ますと、夜間、深夜で、八人、五人、大体十三人ぐらいを診ている。また、十項目めでは、二十四時間以上の連続勤務の回数、二、三回。多い病院では十回も二十四時間以上の勤務をやっている。そして、二十四時間以上の勤務の場合は、一回当たり大体二十九時間働いている。
それともう一つ、十四にありますように、重要なのは、医師の宿直時の診療従事時間を把握している病院の割合が二病院しかないということであります。そして、夜勤で対応しているのは、次のページにありますように、六病院しかありません。四ページでございます。宿直で対応しているのが十病院であります。
そして、次の五ページ目を見ますと、(五)にありますように、十人以上の小児科医師数が確保されると、一カ月平均の当直、夜勤回数がかなり減ってくるというようなデータも出てきております。
こういう、平均百時間以上を二十代の医師の方は時間外で過ごしている。
四月一日から労働安全衛生法の改正法が施行をされました。このことについて、まず御質問したいと思います。
労安衛法の改正によって、事業者が果たすべき社会的責任として、労働時間に着目した健康確保対策が創設された、まさに川崎大臣は労働大臣でもありますから、この労安衛法の元締めであると思います。そして、その労安衛法では、百時間を超えるような時間外を一カ月にやると、脳と心臓疾患の発症の関連性が高いということで、過労死認定基準も月時間外八十時間以上、そういう意味では、過労死危険ラインということになっているわけであります。
そこで、まず最初にお伺いをいたします。
このような小児救急の現場においては、時間外月百時間以上を超えているお医者さんというのが非常に多いわけであります。このことに関しては、このような状況に置くということでは、病院の使用者は安全配慮義務違反に問われることになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 長時間の労働が民事上の安全配慮義務に反するか否かは個別の事案ごとに判断されるべきものと考えておりますけれども、労働安全衛生法上においては、職場における労働者の安全と健康の確保は事業者の責務と明記されており、過重な労働により労働者の健康が損なわれることのないよう適切な措置を講じることは、事業者の責務であると認識いたしております。
○山井委員 事業者の責務ということは、これを放置するということはその責務を果たしていないということになるわけですね。
そこで、問題になりますのは、繰り返しになりますが、医師の方にとってこれは大変な問題であると同時に、それでお子さんにとって十分な医療が提供できるのか、あるいは医療事故のリスクが上がるのではないか。
実は私も、小児救急の外来、二晩徹夜でおつき合いをさせていただきました。これは本当に大変な状況でありまして、晩もなかなか仮眠がとれないという状況があるわけです。特に、十二月、一月のインフルエンザの時期というのは本当に大変な状況であります。
医事新報の平成十八年一月七日号に、「医師の長時間労働は医療安全に有害ではないのか」、そういう論文がございまして、そこにダーソン博士の論文が出ておりますが、こう書いてあるんですね。睡眠不足と業務に関する影響を検討してみると、二十四時間睡眠をとらない際の作業効率は、「運転免許停止処分に該当する血中アルコール濃度に相当する」と。つまり、それぐらい作業効率というか、非常に危険な状態、車の運転はもうできない状態だというふうにこの論文では出ているわけなんですね。
そこで、お伺いします。このような月百時間を超えるような条件において治療をするということは、そこで医療の質は保たれるのか、医療ミスがふえるリスクはないのか、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 まず、医師の健康の問題でございますけれども、現在の科学的知見では、脳、心臓疾患は、一日の睡眠時間が五時間以下になると発症する危険性が高まるとされております。月百時間以上の時間外労働を行うと、すなわち一日の睡眠時間は五時間以下になる可能性が高い。したがって、脳、心臓疾患の発生する可能性が高まると考えます。
一方で、長時間の労働が診療の質に与える影響について、これは、個別の事案についてはその事象に合わせながら判断しなければなりませんけれども、一般論としては、長時間に及ぶ過重な労働については、診療の質を保つ観点から好ましくないものと認識いたしております。
時間外労働が月百時間を超えた場合に医療事故の発生頻度が高くなるか。これはなかなか科学的知見がありませんので、どうなるかということは申し上げられませんけれども、今総合的に申し上げたように、余り好ましくないことであることは、同じように考えております。
○山井委員 まさに好ましくない、そういう意味では、これは小児救急に限らず日本全国の救急病院が同様の状況に、まさに労働事象の責任者である労働大臣が好ましくないと言われている状況にあるわけですね。だから今、崩壊しかかっているわけなんです。
それで、労安衛法の審議の際に、厚生労働省は次のように答弁しているわけですね。疲労を感じなくて申し出がなくても、必要な面接指導を行うように指導をしていきたいというふうに答弁をされていて、努力義務規定となっているわけであります。
患者にしても、必死になってその病院に行った、ところが、出てきたお医者さんもまさに睡眠不足でふらふらであったと。私も行ったことのある病院では、夜間に救急の患者さんが来た、そうしたら、三十分ぐらい仮眠したお医者さんが、患者さんが来られましたよといって起こされるわけなんですね。それが何度も晩にあるわけです。
こういう状況で、翌日の勤務も前日の勤務もしているというのは、非常に患者さんにとっても苦しいと思うんですが、こうした医師の異常な労働時間を許容している事業者である病院については、きちんと労働安全衛生法上の指導をすべきだと考えます。四月一日からこの改正法が施行されたわけですから、川崎大臣、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 個々の一つ一つの案件を調べながら、そのような対応をその職にある者が行うことになります。
○山井委員 当然、これは指導をする対象になるわけですよね。
そこで、このような指導をするときに、要は面接指導の対象にその労働者、ここで言うと病院の医師がなるかどうかを判断するに当たっては、事業者が労働時間を当然把握していないと面接指導が必要かどうかということも判断できないわけですから、ついては、病院はそこで働いている医師の労働時間を把握している、あるいは把握せねばならないと考えますが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 まず、面接指導でございますけれども、病院、診療所等は、その所属する医師の時間外労働が月百時間を超える場合には、本人の申し出があれば医師による面接指導等を行わなければならない、この点については、本年三月、関係団体へ周知をいたしました。
当然、医療機関においても、働く医師の労働時間について適正に把握する必要があると考えております。
○山井委員 当然、労働時間は適正に把握する必要があるという答弁をいただきました。
次に、労働基準法関係に関連してお聞きしたいと思います。
救急医療現場において、夜間、いわゆる宿直で勤務をされているケースも多いわけです。今回の二十七病院の実態調査におきましても、夜勤できっちりとやっているのは、二十七病院中六病院だけなわけですね、四ページにありますように。
そこで、確認をしたいと思います。
労働基準局長からの通達によりますと、宿日直勤務というのは、病室の定時巡回、少数の要注意患者の定時検脈など、軽度または短時間の業務のみが行われている場合であって、医療機関では診療行為を行わない休日及び夜間勤務についてのことである、それを宿日直勤務として扱う、こう書かれているわけですね。要は、病室の定時巡回とか、ごく軽度、短時間の業務についてであります。
しかし、この小児救急の実態を見てみると、五ページを見ていただいたらわかりますように、労働条件がましと言われている二十七の小児救急の拠点病院ですら、十五人とか二十人ぐらいは平均は診ているわけなんですね。これを宿直で診ているケースもあるわけです。ということは、明らかに今の労働基準局長の通達と違っていると思うんです。
そこで、宿直という勤務でありながら、これだけ、十五人、二十人の実際の医療行為を行っている、こういう場合は労働基準法違反になるのか。あるいは、違反にならないためには、どういう条件があれば違反になりませんか。
○川崎国務大臣 まず、医師の宿日直の許可基準、通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること、夜間に従事する業務は、特殊の措置を必要としない軽度のまたは短時間の業務に限ること、夜間に十分睡眠がとり得ることとなっております。
一方で、宿日直の許可を受けていた場合においては、夜間に昼間と同様の仕事を行ったときは、この許可基準に反することになります。
一方で、今、例外はあるのかというお話でございます。時間外労働に関する協定、三六協定を締結し、割り増し賃金が支払われていれば、直ちに労働基準法違反となるとは言えないものであります。
○山井委員 今の答弁にありましたように、宿直では、それこそ、十分睡眠がとれて、昼間の診療と同じような診療をやってはならないとなっているわけですね。そうでないと違反になる。しかし、例外が三六協定を結んで割り増し賃金を払っているということです。
それでは、お聞きします。二十七拠点病院のうち、三六協定を結んでいる病院はどこでしょうか。
○川崎国務大臣 労働基準法第百五条は、労働基準監督官に守秘義務を課しております。事業場から知り得た情報については公表しないという前提に立って、三六協定届等各種届を義務づけております。したがって、知り得た情報を今この場で開示するということは、御容赦賜りたいと思います。
○山井委員 ほかの聞き方をします。二十七のうち、幾つ三六協定を結んでいるか。あるいは、もっとストレートに聞きます。すべて労働基準法に合致しているんですか。そのことだったら答えられるでしょう。
○川崎国務大臣 一つ一つどうだというお答えは、今申し上げたようにお許しを賜りたいと思います。やっている数、やっていない数、逆算になりますからね。やっている数幾つといえば、やらない数幾つになりますので、その数の公表については御理解を賜りたいと思います。
○山井委員 それは全部結んでいるんじゃないんですか。労働基準法に全部合致しているということでいいですか。そこはちょっと明確に答弁してくださいよ。
○川崎国務大臣 これは正直、一つ一つの事業場に入って、そして労働基準監督署の人間が調査をし、そして認定をしていかなければなりませんから、そこまでの調査資料ではありませんから。今、これが三六協定をきちっと組んで、もとに行われたか、一方で、百時間以上の労働の実態があったとか、宿日直の実態があったとか、これは個々の事案をこれから個別に労働基準監督署がチェックした上でないと、なかなか事実関係を申し上げられない。
○山井委員 いや、ここが重要なところなんですが、要は、労基法違反になっているかどうかもチェックしないとわからないということなんですよね。
私は、何もこの二十七拠点病院をやり玉に上げて批判しているわけじゃないんです。これは最初にも申し上げましたように、中小の救急をやっている病院よりはるかにいい病院なんですよ、この二十七、国からの補助金が出ている拠点病院ですから。それですら、こういう平均八十時間、百時間を上回っているという状況があるわけなんです。
まさにこれは、チェックしないとわからない。繰り返しになりますが、私はこの二十七が悪いから調査しろと言っているんじゃないんです。やはり、先ほどの水原郷病院においても、あるいは産婦人科の問題においても、すべての医療の問題で、この勤務条件の過酷さが医療現場を崩壊させているという問題になっているんですから。
大臣、この二十七病院が本当に労働基準法に合致しているかどうか、やはりこれは調べてみるべきじゃないでしょうか。そうしないと、労働大臣である川崎大臣もわからないと言ってしまったら、まさに日本じゅうだれもわからないわけであって、では、だれが救急をやっているお医者さんの労働条件を守るのか。現場の方々は、本当にもう燃え尽きてしまったといってやめられる方が多くて、御存じのように開業医ブームが起こっているわけなんですね。
そこで、もし労働基準法はちゃんと守られているんだということを言うのであれば、やはり一度調査をして、ちゃんと守られていますということを公表すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○川崎国務大臣 今、知り得た情報を公表することは御勘弁願いたいと申し上げました。
これは、基本的には事業場と労働基準監督署の信頼関係の中でやっていく、そして、基本的使命である監督指導等を通じて法違反の是正を図り、労働者の労働条件の確保を図っていくことが任務でございますから、そうした趣旨に沿いながら順々にやらせていただくということでございます。
○山井委員 私がこだわりますのは、ここが今の医療崩壊の根幹の問題なんですよ、ここをきっちりしないと。若いお医者さんたちがなぜ産科や小児科を今敬遠しているかというのは、労働条件が悪い、それを、ふらふらになって、夜間でも子供や妊婦の方を診ねばならない。それで、もしちょっとでもミスがあったら、訴訟になったり、先ほどの話もあったように、逮捕されたりもしかねない。国が守ってくれないんだったら、もうやっていられないという状況になりつつあるわけです。
そこで、ほかの聞き方をします。
ということは、三六協定を結んでいても、時間外で割り増し賃金を払わないと労基法違反になるということですね。
○川崎国務大臣 二つの案件、三六協定を締結することと割り増し賃金を払うこと、この二つが要件でございます。
○山井委員 先ほどの労安衛法での労働時間の把握が必要という答弁と結びつけて、改めて大臣に確認します。
医療現場において、医師の労働時間把握が必要であって、労働時間把握をした上できちんと時間外の割り増し賃金を払わねばならない、それでよろしいですね、大臣。答弁お願いします。
○川崎国務大臣 それで結構でございます。
○山井委員 しかし、この資料の三ページにもありますように、十四、医師の宿直時の診療従事時間を把握している病院の割合、八・七%。二十三の病院のうち二つしか、宿直時間中、何時間実際に診療をやっているか把握していない。ほかのデータでは、平均して十五人から二十人の患者を診ているというのがあるわけですよね。
ということは、大臣、この二十三病院中二つの病院しか宿直時の診療時間を把握していないということは、たとえ三六協定を結んでいても労基法違反になるということですか。
○川崎国務大臣 割り増し賃金を払っているとすれば、どういう形で払っているかという実態が、例えば自主申告でやっているか事業所側がきちっとチェックしているか、どちらの形でやっているかはわかりませんけれども、自主申告でやっているということになれば、支払われているということになろうかと思います。
○山井委員 時間を把握しないとだめなんじゃないですかと言っているわけですね、把握していないとここに書いてあるわけですから。
そうしたら、大臣にこういう実態があるから要望したいと思います、労働時間を把握して割り増し賃金を払わねばならない、この二つが条件だということですので。ところが、それがなかなか守られていない実態があるわけです。大臣、このことをきっちり通達を出していただけますか、日本の病院に。労働時間を把握して、そしてきっちりと割り増し賃金を払わないと労基法違反になりますということを、通達を出してもらえますか。出せるでしょう、大臣、今の答弁どおりですよ。
○川崎国務大臣 労安法については、通達は既に出しております。
それから、もちろん個別指導という形で我々は取り組んでいかなきゃならないということでございます。
○山井委員 いや、私が言っているのは、今それが守られていない現状があるから、今医療崩壊が起こっている、その危機感の中で、改めてやはり厚生労働省から、労働時間を把握して時間外の割り増し賃金をきっちり払わないとだめですよということを通達で出すべきじゃないですか。それぐらいのことをやらないとだめだと思いますが、大臣。
○川崎国務大臣 今ずっと議論してまいりました三六協定問題については、当時十三年四月になります、さかのぼって通達は出しております。
そして、通達だけですべて済むかという話になりますので、個別の指導を一つ一つしてまいりますとお答え申し上げている。通達は出しています。
○山井委員 結局、その通達を出しても今の状況になっているから、改めて通達を出してやらないとだめだと私は思います。そういうことを強く望みます。
それで、この問題でやはり出てくるのは、宿直でこれだけ多くの患者さんを診ているということですから、提案でありますけれども、今回、政府案の中では、地域医療計画を策定してその中で小児医療も位置づけられているわけですけれども、その際に、小児救急に関しては、夜間は夜勤とし、三交代などシフト勤務とするということをやはり明記する。
そのようにしていかないと、今も話を聞いていてわかると思いますが、月平均百時間を上回っている、かつ、夜間も宿直といいながら十分に寝ることができなくて、三十二時間連続勤務が月に何回もある。そういう状況では、今の小児救急のみならず、救急医療体制というのはもう長続きできないです。患者さんも安心して医療にかかれないんです。
そういう意味では、やはりここは、基本的に宿直でもこれだけの患者さんを診ているという実態が出てきた以上は、大臣おっしゃったように、宿直というのは昼間のような業務をやったらだめです、十分寝られないとだめなんです。その実態にもう合っていないんですよね、救急の現場が。ですから、原則夜勤にするというふうにすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 小児医療の現状と問題意識、それは同じような意識を持っております。集約化を図っていかなければならない。しかし、一方で、それぞれ地域の事情があって、現実に行われている医療行為もある。そうしたものを考えながら都道府県において集約化を進めてほしい。
しかし、私の地元の市でいえば、両方ともの市が持ちたいといって、なかなか県の指導どおりいかないというのも実態でございます。そういった意味では、やはり都道府県がしっかり地域と話し合いをしながら小児医療の集約化を進めていかなければならない。
そして、数字で見ていただいたとおり、私ども、同じ感想を持ちました。十人以上の医師がいるところについては割合労働体系がそろってきているな、しかし、医師数の少ないところについては、その数字を見る限り、かなり厳しい実態になっておる。したがって、集約化というのが一番大事である、このように認識いたしております。
○山井委員 これは夜勤にするというようなことにしないと、安心感を持って働き続けられないんです。四割の小児科医が女性なんですよね。それを多くの方が途中で、やはりこの労働条件じゃやっていけないということで、勤務医をやめたり、開業に走ったり、また医師自体をしばらく休んだりされているわけです。やはりこれは厚生労働省が、今の宿直という名のもとに三十二時間連続勤務を月に何回もさせる、こういう現状を変える、そういう決断をしないと、今のこの医療崩壊、小児や産科の問題、これは解決できませんよ。今おっしゃったように都道府県に任せます、それじゃ無理ですよ、余りにも無責任です。
次に、それと関連して、産婦人科のことに行きたいと思います。
このことに関してはきょうも何度か質問や議論が出ております。二月十八日に、残念なことですが、福島県立大野病院で産婦人科の医師が逮捕されてしまった。患者さんは、お母さんはお亡くなりになられたので心からお悔やみを申し上げますが、このことに関しても、一人きりで本当にその地域の産婦人科を支えて献身的にやってこられた、その方が、本当にやはり医療というのは残念ながら一〇〇%確実ということはないわけであります、そのときから一年以上たってから逮捕をされてしまった。
このことに関しては、先日も、仙谷議員、鴨下議員、公明党の渡辺議員、社民党の阿部議員を初めとして、川崎大臣のところに産婦人科の医師の方々と要望にも行かれたわけであります。陳情書も六千五百二十人の方が、周産期医療の崩壊をくい止める会というのをつくって、危機的な状況になっているわけであります。
この三つあるうちの一つの要望項目に、周産期医療にかかわる産科医、小児科医の過酷な勤務条件の改善というのが入っているわけですね。こういう過酷な勤務条件を放置しておいて、それで、残念ながらこういう事故が起こったら逮捕された、こういうことで、現場で働いておられる医師というのが本当にもつのか。私の知り合いのある研修医の女医さんはこう言っていました。産婦人科を志望していた、でも、この福島県の事件を見て、もう自信がなくなって産婦人科を自分はあきらめたということを言っていました。
やはりこの問題に対して、厚生労働省として、今後こういうことにならないようにどう取り組んでいくのか、大臣の決意をお聞かせください。
○川崎国務大臣 異状死の問題とそれから周産期医療の問題、少し切り分けなければならないだろうと。
福島の方々が、仙谷委員、鴨下委員とお見えになりました。阿部さんもいらっしゃって、そのときにお話を聞きましたのは、一つは、我々、周産期医療の集約化を図っている中でございました、こういうお話がございました。そういう意味では、医師が一人しかいないという病院においてハイリスクの分娩行為が行われるということは、やはり基本的には、他の病院へ移していかなきゃならない課題に整理をしていかなければならないんだろう。福島県でも、集約化に向けて動き出しているというのが一つでございました。
もう一つは、こうしたものに対して、医療というものと警察というものが直接つながってしまうということについてはどうであろうか。そこは前にも御答弁申し上げたように、こういう問題について第三者機関できちっとした調査といいますか、いろいろな形で検討していただいて、一つの結論を出していくというものがあった方がいいのではないか。
現実に、モデル事業として行わせていただいております。たしか今十四件やっておると思いますけれども、そうしたものを最終的に拡大していって、異状死という問題が出ましたときにそこへ届け出ていく、それによって医療や法曹界の専門の方々で御判断をいただく、こういうシステムをつくり上げていくことができないだろうかというのが大きな課題であり、一方で、余り時間をかけてもいかぬな、こういう認識もあります。そうしたものへ向かって、今、鋭意努力をさせていただいているところでございます。
いずれにせよ、今モデル事業の結果がそろそろいろいろな形で出てきておりますので、そうしたものも御議論をいただきながら、方向性は、皆さん方からいただいている御意見を大事にしながら進めていくつもりでございます。
○山井委員 これはやはり、この医療制度改革の審議の中で一定の解決策を出していかないとだめだと私は思います。これは本当に一気に、今こういう産婦人科あるいは救急医療体制の崩壊というのが始まっているわけです。それに対する解決策が国会審議の中で出なかったら、何のためにこれを審議しているかわからないわけですね。今回の政府案の中では、都道府県に任せて集約化を図ると、しかし、これはなかなか進まないわけです。やはり国が強力なリーダーシップをとらないとだめなんです。
そこで、この産婦人科の問題に関しましては、今おっしゃった拠点に集めるということと、やはり訴訟の問題が非常に多いわけですね。大体これは、医師全体の五%しか産婦人科医がいないのに、医療事故訴訟の三〇%以上が産婦人科関連であり、六倍以上のリスクになっているわけです。
こんな中で、一つこれは、さまざまな方々が今要望されているのが無過失補償制度であります。裁判になって白黒はっきりつけないとお金が出ないというようなことでは、やはり医師の方々も、裁判には時間がかかりますから、訴えられたら安心して医療ができなくなってしまうんですよね。くたくたになって医療をやって、それで本当に幾ら頑張っても時にはうまくいかないことがある、そのときに訴えられる。こういう状況を放置して小児科や産婦人科を推進するといっても、それは無理なわけなんです。その部分のリスクはやはり公的な無過失補償制度をつくっていく。
そういう意味で、労働条件の整備とともに、小児科や産婦人科のお医者さん方をある意味で安心させる、こういう無過失補償制度の検討、大臣、いかがでしょうか。
○赤松副大臣 私の方からお答えさせていただきます。
今山井委員が御指摘をなさった、無過失補償制度をつくるべきじゃないか、そういうお声が強いということは十分に承知をいたしております。
この周産期医療にかかわる紛争解決が円滑に図られることは極めて重要なことであり、今回の医療法改正でも、医療事故事例が発生した場合などには、患者等からの相談に応じて、必要な情報提供や助言を行う医療安全支援センターを制度化することにしております。
今の御指摘の点につきましては、一つは補償の前提となる事実関係等をだれがどのように認定をするのか、もう一つは補償の財源をどのように確保するのか、この認定の仕方、そして財源の問題というふうな課題があるということは十分御承知のことだろうと思います。
また、医療事故の事実関係の認定といった課題に関しましては、現在、患者、家族と医療機関が事実に基づいて十分に話し合い、早期の紛争解決に資することを期待して、診療行為に関連した死亡を対象に、中立的な立場で原因究明を行うモデル事業を実施しているところでございます。
厚生労働省としましては、モデル事業の実施を通して課題の整理を行うとともに、患者に対する諸外国の補償制度の研究により、検討に必要な資料の収集及び整理を行ってまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
○山井委員 この産婦人科医療の問題も本当に党を挙げて、私たちはこの間、これから議論していきたいと思いますし、まさにこういう制度を具体的につくるというような方向性をやはり審議の中で出していく、そうしないと、審議の意味もないと思います。
そこで、川崎大臣に実はたってのお願いがあります。
というのは、ぜひ、先ほどもどなたかおっしゃいましたが、私たち民主党も、小児や産婦人科医療だけがこれはひどいとはもちろん思っていません。私たちがこの法案を出している理由は、矛盾や問題点が集約されているがんや小児科の問題を通じて、今の日本の医療をよくしていきたい、底上げをしていきたい、そういう思いなんですね。残念ながら、最もそういう矛盾が集約されている、過酷な労働条件と言われている小児科の病院、産婦人科の病院、川崎大臣、ぜひこの産婦人科の病院と小児科の病院に一度足を運んでいただきたいと思うんです。唐突なお願いですが、いかがでしょうか。
○川崎国務大臣 産婦人科の病院は私の地元の後援会長でございますので、一カ月に一遍ぐらいはお邪魔させていただいております。
○山井委員 小児科はどうですか。
○川崎国務大臣 小児科は相手の後援会長でございますけれども、小児科の救急というのは時間があれば見たいと思います。
ただ、正直言って、私、月曜から金曜まで、朝から晩まで、委員会の審議、本会議等でなかなか時間がとれない。ぜひ時間をおつくりいただいて、行かせていただきたいと思っております。
○山井委員 まさにそこなんです。大臣今まさに、毎日詰まっているとおっしゃっていますが、小児科のお医者さんは昼間勤務をして夜中も寝ずに宿直して診療しているんですよ。ですから、それは、今、昼間大臣のお仕事があっても、晩行かれたらいいじゃないですか。翌日の勤務に差しさわると思われるでしょう。でも、笑われますが、そういう状況になっているわけですよ。ふらふらになってから翌日の診療をまたしないとだめなわけですよ。こういう過酷な状況になっているわけです。(発言する者あり)まさにそうでしょう。今も声がありましたけれども、そういうふらふらになった状態で急患が来たらどうするのか。
それで、これは一ページに戻りますが、百時間以上の時間外の労働を小児科医の方々はされている、二十代の方々が。それで、体力、健康への不安、翌日業務への影響、七二%の方が限界、大変疲れると言っておられる。
繰り返しになります。きょうの最初から言ったように、百時間以上というのは過労死の危険ラインで労安衛法の指導対象になっているわけです。本来お医者さんが大丈夫ですかと聞く、聞かれる側がお医者さんになっているわけです。これで小児救急体制が、大臣、持続可能だと思われますか。大臣、いかがですか。
○川崎国務大臣 これは先ほどから申し上げているとおり、そうした認識のもとで集約化を図らなければならないと申し上げているんです。
ただ、現実問題として、よく私の地域の問題を出しますけれども、県やまた三重医大の方から集約化を図れという御提案があっても、各市の市長さんや議会の方々は自分の市にどうしても小児医療はなきゃならないというお立場になって、残念ながら両方に分かれた形の中で集約化できないままある。
したがって、それを説得していくという我々の努力、これは県が中心になりながら、努力があるんです。ですから、そういうものを踏まえながら、目指す方向は一緒でございますけれども、あした一挙にできるかと言われたら、それは少しずつ、一歩ずつ皆さん方を説得しながらやっていかなきゃならない。目指す方向は全く一緒でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○山井委員 政府のやり方ではますます事態は、小児救急は危機的な状況になっている、そして、今回のような都道府県任せでは、この形は、まさに今大臣も認められたように、なかなか進まないんですよ。だから、私たち民主党は、危機的な状況だということで小児救急緊急推進法案を出して、システム化とともに、不採算と言われる部分に一般の税の部分や診療報酬部分をもっと大幅に入れて、もっと国が力を入れてやっていかないと、今の政府案の都道府県任せではだめだということの思いを込めてこの法案をつくっているわけです。
それで、この法案の中では、先ほども言いましたように、基本的には夜勤にする、こういうことをしないと医療事故のない安心して受けられる小児救急医療体制が、維持可能な体制がつくれないということなんです。ぜひとも、単に都道府県任せにするのではなくて、大臣の決断をお願いしたいと思います。
次に、医療費推計の話に移ります。
私の資料の最後のページ、十三ページ。時間にも限りがありますから、簡単に申し上げますが、医療の伸び率とそして年金の伸び率が比較してあります。年金の伸び率は一九九五年から二五年まで三十年間ずっと下がっている。しかし、皆さん、この資料を見て不思議なことに、医療費の伸びだけは二〇〇四年を境にぐんと上がることになっているんですね。
私たち民主党は、二〇二五年に五十六兆円に医療給付費がなるのはうそがあるんじゃないか、過大じゃないかということを言っていますが、こうグラフにしてみると、年金は高齢化の効果が一番反映されているんでしょう、何で年金とパラレルではなくて、医療費だけこんな急にはね上がるという推計を出しているんですか。
このことも非常に問題がある。わざとたくさん医療費がかかるといって、こういう医療崩壊の現状を無視した医療抑制一辺倒の法案を出してきている。でも、その医療費はこれだけかかるというのも、このグラフを見れば、明らかに非常に不可解な、作為的な推計ではないかと思うわけです。
それで、実際、その中でお伺いしますが、二点であります。
平成九年の制度改正効果を見るに当たって、制度改正の影響のあった期間を平成九年四月から平成十年三月ととっているが、実際に改正が行われたのは平成九年九月からである。なのに、なぜ四月から影響があった期間としてとっているのか。
それと、平成十八年の六十五歳から七十四歳までの認定障害者を百万人ととっているわけですけれども、資料にもらっている年齢階級別加入者及び一人当たりの医療費、このタイトルの資料をもとにしてこの推計をされたということを確認したいと思いますが、いかがでしょうか。
○赤松副大臣 今御指摘の点の、いわゆる平成九年の健康保険法改正の実施が九月であったのに、四月から直後の期間にしたのはなぜかということでございますが、医療費の将来見通しに用いる一人当たりの医療費の伸びにつきましては、過去の実績をもとに今算出しているところでございますけれども、いわば自然体の伸びを見込むためには、過去の制度改正による影響を除外する必要がございます。この制度改正の影響につきましては、制度改正が行われた直後の期間における実績の伸び率から、制度改正の影響がないと考えられる期間における実績の伸び率を控除することにより算定をしたというわけでございます。
この平成九年度改正に関しましては、制度改正の施行は九月ではございましたけれども、法案提出時点では平成九年五月施行を予定していたということ、また、五月の施行を前提に制度改正の内容を早くから報道されていた、いわゆるアナウンス効果というものがあったという点から、毎月の医療費の伸びの実績を見ますと、明らかに四月以降の伸び率が低下した、こんなふうなことが指摘できるわけでございます。
このように、平成九年の改正につきましては、四月からの制度改正の影響が出ていたために、平成九年四月からの一年間の伸び率を用いた、こういうことでございます。
それから、後段の部分でございますけれども、六十五歳から七十四歳の障害認定者数は、平成十八年度で百万人と見込んでいるところでございますけれども、これについては、現在、平成十四年の制度改正により、老人保健の対象年齢が七十歳から七十五歳に段階的に引き上げられているために、七十歳代前半の障害認定者の実績値を把握することができないことから、推計を行っているものでございます。
具体的には、老人保健の実績から得られる六十五から六十九歳の障害認定者の皆さんの数をもとにしまして、介護保険の七十歳代前半の要介護認定率の実績が六十歳代後半に比べて高くなっていることを反映させて推計をしたものでございます。
○山井委員 もう質問は終わりますが、最後に申し上げたいと思います。
川崎大臣、小児救急医療について、考える方向性はそう変わらないとおっしゃいましたが、やはりこれは労働条件を、夜間を宿直ではなくて夜勤としていく、それで安心して働ける、医療事故のリスクの少ない体制をつくっていく、やはりそこをきっちりとやるということを民主党の小児医療緊急推進法案には書いてありまして、やはりそういう決断がぜひとも必要であります。
さらに、先ほど、労働時間を調べて割り増し賃金を払うようにきっちりすべきだと言いましたが、これは何も私は病院をつぶせと言っているわけじゃありません。こんなことを言うと、そんなんじゃ病院はつぶれると思われるかもしれませんが、もちろんその分、もっと診療報酬をつけるなり、そういう救急病院に公費を入れるなりして、そこの割り増し賃金が正規に支えられるようにしていかねばならないと思います。
本当は、産婦人科や小児科のお医者さんが不足しているわけですよね、特に勤務医が。このことをふやしていくということもきっちりやっていかないと、都道府県に任せて集約化、集約化と言うだけの政府案では、やはり事態は深刻化していく一方であります。
国会議員の最大の使命は国民の命を守ることでありまして、私たち民主党は、恐ろしい危機意識、ことしが医療崩壊の元年になる、このまま政府案が通ったら、そういう意識を持っております。
十一月にイギリスに行きましたが、イギリスの厚生省の官僚から言われました。ブレア首相が医療費抑制政策から転じて、医療を立て直すために五年間で一・五倍に医療費をふやすことをした。その結果、年間の医療費のGDP当たりのパーセンテージは日本を抜いた。日本七・八%、イギリスは七・五%だったけれども、イギリスはもう九%に上がっているわけですね。しかし、長年医療費抑制でやってきたことを立て直すためには、五年やってもまだまだうまくいかない。
なぜか。一番の根本は医療現場のモラルなんです。今まで日本の医療を支えていたのは、多くの医師の方が本当に献身的にやってこられたんです。しかし、こういう過酷な、過労死ラインのところで働くのが当たり前、そういう状況になって、もうもたなくなってきているわけですよ。言ってはなんですけれども、過労死ラインで必死になって現場で支えてこられた病院の現場の方々を、厚生労働省は今見捨てようとしているんですよ。
やはりそういう方を支えていく、そして、安心して患者さんが医療にかかれる体制をつくっていく、それこそが本当の医療改革なのに、その改革の方向が見えないだけじゃなくて、まず医療費を抑制していこう、そして具体的なことは都道府県に任せよう、これでは医療崩壊を加速するだけではないでしょうか。
この審議を通じて、こういう国民の命を守るということに関しましては、私は党派は関係ないと思っております。じっくり建設的な審議、議論を重ねていって、税金をいただいて議論しているわけですから、この審議の中で、今言ったような医療崩壊の、僻地の医療、産婦人科、救急、麻酔科、外科、あらゆる医療の問題点の解決策を、医師不足の問題も含めてしっかり道筋を出していく、そういう建設的な議論をしたいということを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。
表題の質問主意書を提出し、答弁を受けたので、掲載します。
⇒衆議院HP上の質問(pdf:95.1KB)
⇒衆議院HP上の答弁(pdf:96.4KB)
平成十八年三月二十三日提出
質問第一八〇号
医療費の推計に関する再質問主意書
提出者 山井和則
平成十八年三月十日付内閣衆質一六四第一二一号の答弁書(以下、「前回答弁書」という。)の内容について、いくつかの疑問が生じたので、以下のとおり質問する。
一 前回答弁書によると、平成十六年五月十四日に厚生労働省が公表した「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障の給付と負担の見通し」という。)に用いられた平成十六年度予算編成時点における医療費を「一人当たりの一般医療費は十七万円、一人当たりの高齢者医療費は八十万円と」見込んでいる。この数値を基礎として、国立社会保障・人口問題研究所の平成十六年度推計人口を一般と高齢者に分けてそれぞれ一人当たり医療費に乗じて国民医療費を算出し、医療給付費を国民医療費の八十五%として計算を行うと、平成十六年度予算における医療給付費は二十七・八兆円となった。一方、「社会保障の給付と負担の見通し」を見ると、平成十六年度予算における医療給付費は二十六兆円となっている。同じ平成十六年度予算を基礎とし、前回答弁書に従い一人当たり医療費から計算した医療給付費と、「社会保障の給付と負担の見通し」に書かれた医療給付費との間で二兆円近いずれが生じ、整合しない。私の計算に間違いがあれば、どこが間違いなのか具体的にご指摘いただきたい。もし計算間違いでないならば、なぜ整合しないか答弁されたい。
二 前回答弁書では「平成三十七年度の国民医療費の見通しは、起算点における一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、一般医療費については毎年度二・一パーセントの伸び率を、高齢者医療費については毎年度三・二パーセントの伸び率を乗じて得た平成三十七年度の一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、平成三十七年度時点で見込まれる一般の者と高齢者の人数をそれぞれ乗じて算出した平成三十七年度の一般医療費及び高齢者医療費の見通しの合計であり」とある。また平成十七年十月十九日に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)では、起算点の医療費は「一人当たりの高齢者医療費は八十二万円、一人当たりの一般医療費は十七万円」とされている。このことから、試案における平成三十七年度の国民医療費推計は、次の計算で行ったと理解して間違いないか。間違いがあれば、具体的にご指摘いただくとともに、正しい計算方法をお示し頂きたい。この際、文章で分かりにくい場合は、数式にてお示し頂きたい。
ア 起算点の一人当たり医療費 一般医療費十七万円 高齢者医療費八十二万円
イ 一般医療費の伸び率二・一パーセントを平成十八年度から平成三十七年度まで十九回乗ずる。つまり、一・〇二一を十九回乗じて、伸び率を決める。結果は、一・四八倍。この伸び率を起算点一般医療費十七万円に乗じ、平成三十七年度一人当たり一般医療費は二十五・二万円。
ウ イと同様の計算により、平成三十七年度一人当たり高齢者医療費は、百四十九・二万円。
エ 平成三十七年度人口を、国立社会保障・人口問題研究所の中位推計に従い、一般九千三百四十万人、高齢者二千七百八十万人とし、それぞれに一人当たり平成三十七年度医療費を乗じて、平成三十七年度一般・高齢者医療費を算出する。その結果は、一般二十三・五兆円、高齢者四十一・五兆円。
オ 一般医療費と高齢者医療費を合計して、平成三十七年度国民医療費六十五兆円。
三 二と同様の計算により、平成十六年度を起算点、一人当たり一般医療費十七万円、一人当たり高齢者医療費八十万円として、「社会保障の給付と負担の見通し」の推計を私どもが再計算すると、平成三十七年度の国民医療費は六十七・八兆円となった。ここから医療給付費を国民医療費の八十五パーセントとして計算すると五十七・六兆円となった。一方、「社会保障の給付と負担の見通し」を見ると、平成三十七年度国民医療費六十九兆円、医療給付費五十九兆円となっている。この不一致はなぜ生じるのか。私の計算に間違いがあるならご指摘いただきたい。そうでないなら、理由を教えていただきたい。
四 前回答弁書を見ると、「社会保障の給付と負担の見通し」において、採用した平成十六年度予算編成時点での見込額から、起算点における高齢者一人当たり医療費は八十万円としたとある。一方、「平成十六年度医療費の動向」によると、高齢者一人当たり医療費は、七十三・九万円であるという。予算と実績の乖離はなぜかくも大きいのか、答弁いただきたい。
五 前回答弁書を見ると、試案における平成三十七年度医療費推計に当たっては、起算点として、一人当たり高齢者医療費八十二万円が用いられているとある。一方、「平成十六年度医療費の動向」による平成十六年度高齢者医療費一人当たり実績は七十三・九万円である。この平成十六年度高齢者一人当たり医療費七十三・九万円を起算点に平成十八年度概算要求で八十二万円となるには、年率五・三四%の伸び率を前提としていることとなる。この伸び率は、近年の高齢者一人当たり医療費の推移を見れば、妥当性を欠くのではないかと思われるが、政府の見解を述べられたい。
六 前回答弁書を見ると「社会保障の給付と負担の見通し」における「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七~十一年度実績平均)」の算出に当たっては、高齢化等の人口構成の影響と医療保険制度改正の影響を除く補正が行われているとある。一方「社会保障の給付と負担の見通し」には、「平成七~十一年度実績平均」とのみあり、補正が行われたことが記されていない。なぜ補正の事実を明記されなかったのか答弁いただきたい。
七 前回答弁書を見ると、「社会保障の給付と負担の見通し」における「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七~十一年度実績平均)」の算出に当たっては、高齢化の影響等の人口構成の変化の影響を、医療費の伸び率から除外しているとある。採用した伸び率から、高齢化等の人口構成の影響が除外されているのならば、推計に当たって、起算点となる年度から推計する年度までの高齢化等の人口構成の影響を算出して、人口構成の影響を除外した伸び率による推計の結果に乗ずる必要がある。しかるに、二に示した前回答弁書の計算には、この高齢化等の人口構成の影響の計算が含まれていない。方法的に間違いであると思われるが、いかがか。
八 前回答弁書にある「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%、平成七~十一年度実績平均)」算出に当たって適用した補正方法を平成十二~平成十六年度までの各年度において行うことは、技術的に可能なことである。そこで、平成七年度から平成十六年度までの各年度について、前回答弁書に述べられた方法に従った一般・高齢者それぞれの、実績伸び率、高齢化等の人口構成の影響の補正率、医療保険制度改正の影響の補正率、実績から二つの影響を除外した推計用の伸び率を示していただきたい。そして、この近年五年の伸び率平均を用いて、平成三十七年度の国民医療費と医療給付費を推計するといくらになるか答弁いただきたい。
九 前回答弁書を見ると、高齢化の影響等の人口構成の変化の影響を補正するために、基準とする年度の「年齢階級別一人当たり医療費」を用いたとある。これは、国民医療費の五歳階級別医療費を意味すると理解するが間違いないか。
十 国民医療費の五歳階級別医療費は、平成十年度から平成十五年度までは公表されているが、それ以前については公表資料がない。そこで、推計の前提となっている伸び率「一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%」の算出に当たって用いた平成六年度から平成九年度までの国民医療費の五歳階級別医療費を教えていただきたい。もし存在しないのであれば、その期間の補正をどのような根拠によりどのような方法によって行ったのか、明確に回答いただきたい。
十一 前回答弁書によると「医療保険制度改正の影響の補正については、医療保険制度改正が行われた直後の期間における対前年同月比の実績の伸び率から医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間における対前年同月比の実績の伸び率を控除することにより医療保険制度改正の影響率を算定している」とある。そして、一般医療費については平成九年度と十年度、高齢者医療費については、平成九年度と平成十年度と平成十一年度に医療保険制度改正の影響の補正が行われたとある。この五回の補正を行うに当たって利用した「医療保険制度改正が行われた直後の期間」とはそれぞれいつからいつまでの期間であるのかお答えいただきたい。また、それぞれの期間について、伸び率を控除する基礎とした「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」はいつからいつまでの期間を採用したのか、その期間と選定基準をお答えいただきたい。
十二 十一で示された期間について、それぞれの伸び率の実績を示されたい。
十三 十一で示された五つの「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」については、改正の前と後の両方にそのような期間があり得るが、実際に補正の基準とした期間が「医療保険制度改正が行われた直後の期間」より前の時期であるならば後の、後の時期であれば前の期間においても「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」が存在する可能性があるので、その期間及びその期間における医療費の伸び率実績を示していただきたい。
十四 十三において、推計に使われていない「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」があるならば、推計に採用した期間を選んだ理由について、それぞれ根拠を示して説明されたい。
十五 前回答弁書を見ると、平成三十七年度の国民医療費の見通しは「経済成長率を用いて算出はしていない」とある。また、一人当たり医療費の伸びの「平成七~十一年度実績平均」の算定に当たっては「診療報酬改定の影響その他の事項については補正を行っていない」とある。では、平成七年度から平成十一年度までの診療報酬の伸び、名目経済成長率の伸び及び一人当たり国内総生産の伸びは、平均するとそれぞれ年率いくつであるのか教えていただきたい。
十六 平成三十七年度の医療費推計に当たり「診療報酬改定の影響その他の事項については補正を行っていない」とすると、推計期間において、この伸び率測定期間と同じ伸び率の診療報酬改定があると考えて推計を行ったことと同じであると思われるが、そのように理解して良いか。また、診療報酬改定は金額に大きな影響を与えるのに、その影響を排除しなかった根拠を教えていただきたい。
十七 将来における診療報酬改定が無かった場合及び一人当たり国内総生産の伸びと同じ率であった場合に平成三十七年度国民医療費はいくらになると政府は推計するか、答弁いただきたい。
右質問する。
平成十八年三月三十一日受領
答弁第一八〇号
内閣衆質一六四第一八〇号
平成十八年三月三十一日
内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する再質問に対する答弁書
一について
厚生労働省においては、平成十六年五月十四日に厚生労働省が公表した「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障の給付と負担の見通し」という。)における平成十六年度予算編成時点の医療給付費の見通しは、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた「日本の将来推計人口(平成十四年一月推計)」の平成十六年度推計人口を用いて算出したものではなく、平成十六年度予算編成時において政府管掌健康保険制度等の各制度が適用されると見込まれる者の人数を用いて算出していること等から、御指摘の「ずれ」が生じていると考えている。
二について
平成十七年十月十九日に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)における平成三十七年度の国民医療費の見通しの算出方法を詳細に述べると、政府管掌健康保険制度等の各制度について、平成十八年度概算要求時点の年齢階級別一人当たり医療費に、高齢者医療費については毎年度三・二パーセントの伸び率を、一般医療費については毎年度二・一パーセントの伸び率を乗じて得た平成三十七年度の年齢階級別の一人当たりの高齢者医療費及び一般医療費に、平成三十七年度に見込まれる高齢者(七十歳以上の者及び六十五歳以上七十歳未満の者で一定の障害状態にあるものをいう。以下同じ。)とそれ以外の者(以下「一般の者」という。)の年齢階級別人数をそれぞれ乗じて算出した平成三十七年度の高齢者医療費及び一般医療費の見通しを各制度を通じて合計し、平成三十七年度の国民医療費を算出している。
三について
厚生労働省においては、社会保障の給付と負担の見通しにおける平成三十七年度の国民医療費及び医療給付費の見通しは、国立社会保障・人口問題研究所が取りまとめた「日本の将来推計人口(平成十四年一月推計)」の平成三十七年度推計人口を用いて算出したものではなく、政府管掌健康保険制度等の各制度が適用される者の平成三十七年度の人数の見込みを用いて算出していることや、平成三十七年度の年齢階級別の一人当たり医療費を用いて算出していること等から、御指摘の「不一致」が生じていると考えている。
四及び五について
平成十七年八月十日に厚生労働省が公表した「平成十六年度医療費の動向」における一人当たり高齢者医療費については、高齢者に係る医療保険制度における医療費を対象としており、公費負担医療制度における医療費等が含まれていないが、社会保障の給付と負担の見通しにおける一人当たり高齢者医療費と試案における一人当たり高齢者医療費については、公費負担医療制度における医療費等が含まれているため、両者の高齢者医療費が異なっている。
したがって、厚生労働省としては、「平成十六年度医療費の動向」における一人当たり高齢者医療費と試案における一人当たり高齢者医療費を比較して算出した伸び率を、一人当たり高齢者医療費の伸び率として議論することは適切ではないと考えている。
六について
社会保障の給付と負担の見通しにおいては、簡潔に記述する観点から、補正を行ったことについては省略して記述したところである。
七について
二についてでお答えしたとおり、社会保障の給付と負担の見通し及び試案における医療費の見通しは年齢階級別に算出した医療費を用いて算出しているため、将来の高齢化等の人口構成の変化は年齢階級別人口の変化を通じて医療費の見通しの中に反映されている。
八について
一人当たり一般医療費の伸び率の実績については、平成七年度は二・九パーセント、平成八年度は四・一パーセント、平成九年度はマイナス〇・七パーセント、平成十年度は〇・九パーセント、平成十一年度は一・〇パーセント、平成十二年度は一・六パーセント、平成十三年度は二・一パーセント、平成十四年度はマイナス一・二パーセント及び平成十五年度は〇・四パーセントである。また、一人当たり高齢者医療費の伸び率の実績については、平成七年度は三・八パーセント、平成八年度は三・七パーセント、平成九年度はマイナス〇・二パーセント、平成十年度は〇・六パーセント、平成十一年度は三・四パーセント、平成十二年度はマイナス四・〇パーセント、平成十三年度は一・二パーセント、平成十四年度はマイナス三・五パーセント及び平成十五年度は〇・八パーセントである。なお、平成十六年度の伸び率の実績は確定していないのでお示しできない。
医療保険制度改正の影響の補正率は、一般医療費については、平成九年度はマイナス三・九パーセント及び平成十年度はマイナス〇・八パーセントであり、高齢者医療費については、平成九年度はマイナス三・五パーセント、平成十年度はマイナス一・八パーセント及び平成十一年度は〇・七パーセントである。医療保険制度改正の影響の補正率については、医療保険制度改正が行われた直後の期間における対前年同月比の実績の伸び率から医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間における対前年同月比の実績の伸び率を控除することにより算定しており、平成十二年度以降の医療保険制度改正の影響の補正率については、平成十二年の介護保険制度創設を含め医療費に大きな影響を与える制度改正が毎年のようにあったことから、お示しすることはできない。
また、高齢化等の人口構成の影響の補正率については、平成七年度から平成十一年度までの期間について一括して算出し、一般の者については年平均で〇・五パーセントとしたところであり、各年度の補正率は算出していない。
なお、近年五年の伸び率平均を用いた平成三十七年度の国民医療費及び医療給付費の見通し並びに平成十二年度以降の高齢化等の人口構成の影響の補正率については、右に述べたように、制度改正が毎年のようにあったことから平成十二年度以降の医療保険制度改正の影響等を適切に推計することができないため、お答えすることができない。
九及び十について
先の答弁書(平成十八年三月十日内閣衆質一六四第一二一号)九及び十についてでお答えした「年齢階級別一人当たり医療費」の年齢階級は、五歳階級別の年齢階級を意味するものではない。平成七年度から平成十一年度の一般医療費についての高齢化の影響等の人口構成の変化の影響の補正率は、基準とする年度を平成六年度とし、旧厚生省が公表した「国民医療費」における零歳から十四歳まで、十五歳から四十四歳まで、四十五歳から六十四歳まで、六十五歳から六十九歳までの年齢階級別一人当たりの一般診療医療費と歯科診療医療費の合計額を基準に算定しており、平成七年度から平成十一年度までの年平均で〇・五パーセントとなっている。
十一及び十二について
「医療保険制度改正が行われた直後の期間」(以下「直後の期間」という。)及び直後の期間における伸び率の実績並びに「医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間」(以下「影響のない期間」という。)及びその期間における伸び率の実績は、次のとおりである。
一般医療費の平成九年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成九年四月から平成十年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率はマイナス一・一パーセントであり、影響のない期間は平成七年四月から平成九年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は二・七パーセントである。
高齢者医療費の平成九年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成九年四月から平成十年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率はマイナス〇・五パーセントであり、影響のない期間は平成七年四月から平成九年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は三・〇パーセントである。高齢者医療費の平成十一年度の医療保険制度改正の影響の補正については、直後の期間は平成十一年七月から平成十二年三月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は六・〇パーセントであり、影響のない期間は平成十年九月から平成十一年六月までの期間、その期間の対前年同月比の伸び率は四・一パーセントである。
なお、平成十年度の医療保険制度改正の影響の補正については、平成九年度の医療保険制度改正が翌年度にも影響した結果の補正を行った上で算出したものであり、平成十年度における直後の期間及び影響のない期間は平成九年度と同一である。平成十一年度の医療保険制度改正の影響の補正率については、平成十一年度の高齢者の医療保険制度改正が入院外医療費のみに影響を及ぼすものであったため、入院外医療費についての制度改正の効果を計算し、それを入院外医療費以外の医療費を含めた医療費に換算する補正を行ったものである。医療保険制度改正の影響の補正に際しての伸び率の実績からは診療報酬改定の影響を除いている。
また、厚生労働省においては、影響のない期間の選定に当たって、直後の期間とできるだけ近い期間を選定している。
十三及び十四について
十一及び十二についてで述べた影響のない期間は、いずれも医療保険制度改正の前の期間を用いている。厚生労働省においては、高齢者医療費について、医療保険制度改正が相次いで行われたため、医療保険制度改正の影響がある平成九年度、平成十年度及び平成十一年度の後の期間のうち比較的近い時期に適切な影響のない期間が存在しないと考えている。また、一般医療費については、影響のない期間を高齢者医療費に係る期間とほぼ同じ期間とすることが適切であると考えており、医療保険制度改正の影響がある平成九年度及び平成十年度の後の期間のうち比較的近い時期に適切な影響のない期間が存在しないと考えているため、十一及び十二についてでお示しした期間としたところである。
十五について
平成七年度から平成十一年度までの間における、診療報酬の伸び率は年平均〇・一パーセント、名目経済成長率は年平均〇・四パーセント、一人当たり国内総生産の伸び率は年平均〇・二パーセントである。
十六について
平成三十七年度の医療給付費の見通しについては、将来にわたって、平成七年度から平成十一年度までの期間と同じ伸び率の診療報酬改定を行うことを想定したものではないが、将来の診療報酬改定の影響を特定することができないため、診療報酬改定の影響の補正を行わなかったものである。
十七について
平成三十七年度の国民医療費の見通しについては、過去の一定期間の実績から得られた一人当たり医療費の伸び率を基に算出したものであり、将来における診療報酬改定がなかった場合や、一人当たり国内総生産の伸びと同じ率であった場合を仮定して平成三十七年度の国民医療費の見通しを算出することについては適切ではないと考えており、そのような見通しについては、算出していないのでお答えすることはできない。