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2006年3月

医療費の推計に関する質問主意書

表題の質問主意書を提出し、答弁を受けたので、掲載します。

衆議院HP上の質問(pdf:62.2KB)
衆議院HP上の答弁(pdf:81.7KB)

平成十八年三月二日提出
質問第一二一号

医療費の推計に関する質問主意書

提出者  山井和則


医療費の推計に関する質問主意書

 医療制度改革は、国民の生命と健康に関わる重大な問題であり、この改革にあたって、将来の国民医療費の推移がどのようなものになるかという推計は、改革の方向性に大きく影響するものである。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 この推計について、政府は、平成十七年十月十九日付けの医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)において、制度改正なしで医療費が推移した場合、平成三十七年度の医療給付費が五十六兆円になると見通しており、その試算の現行見通しは「平成十六(二〇〇四)年五月の『社会保障の給付と負担の見通し』に即しつつ、起算点を平成十八年度概算要求とすると、」と書かれている。このため、試算の前提とされている平成十六年五月の「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障見通し」という。)を見ると、「平成十六年度予算を足下とし、一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二% 平成七~十一年度実績平均)を前提に、人口変動(人口高齢化及び人口増減)の影響を考慮して医療費を伸ばして推計。」とある。以上のことから、試案の推計は、「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二% 平成七~十一年度実績平均)」を用いて推計していると理解してよいか。
二 社会保障見通しの「平成七~十一年度実績平均」とは、「平成六年度を起算点とした、五年間の医療費の伸びの平均」と「平成七年を起算点とした四年間の医療費の伸びの平均」のどちらを意味するのか。
三 同じく社会保障見通しの前提とされる「一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二%」における高齢者とは、何歳以上を指しているのか。
四 試案においては「平成十八年度概算要求を起算点」として医療制度改革試案の推計を行っているが、この起算点の一人当たり医療費は、一般、高齢者それぞれ何を根拠にいくらとしているのか。
五 四の起算点の数字を元に、どのようにして平成三十七年度の国民医療費六十五兆円、医療給付費五十六兆円という数字を導き出したのか、計算式を明示して説明されたい。
六 五で計算された、平成三十七年度の国民医療費六十五兆円、医療給付費五十六兆円という数字は、その間に経済成長等を見込んでいると思われるが、現在の貨幣価値に換算した場合、いくらと考えられるか。
七 社会保障見通しでは「平成十六年度予算を足下とし」とあるが、この起算点の一般・高齢者の一人当たり医療費は、一般、高齢者それぞれ何を根拠にいくらとしているのか。
八 「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二% 平成七~十一年度実績平均)」の「実績」は、どのような基礎データを元に導き出されたものか、示されたい。
九、八の実績の計算は、医療費の伸びのみを計算したものか、若しくは、それに加えて次に示す事項について何らかの補正を加えたものか。補正されている場合には、それぞれどのような考え方に基づいて、どのような計算式で計算し、どれだけの補正を加えているか、示されたい。
 ア 診療報酬改定の影響
 イ 高齢化の影響
 ウ 制度改正の影響
十 九の項目以外に補正を行っている場合は、どのような補正を、なぜ、どのような計算式で、どれだけの補正を加えているか、併せて示されたい。

 右質問する。 

平成十八年三月十日受領
答弁第一二一号

  内閣衆質一六四第一二一号
  平成十八年三月十日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員山井和則君提出医療費の推計に関する質問に対する答弁書

一について

 平成十七年十月十九日に厚生労働省が公表した医療制度構造改革試案(以下「試案」という。)における平成三十七年度の医療給付費の見通しは、平成十六年五月十四日に厚生労働省が公表した「社会保障の給付と負担の見通し」(以下「社会保障の給付と負担の見通し」という。)の「一人当たり医療費の伸び(一般医療費二・一%、高齢者医療費三・二% 平成七~十一年度実績平均)」を用いて算定している。

二について

 社会保障の給付と負担の見通しにおける「平成七~十一年度実績平均」は、平成六年度を起算点とした、平成七年度から平成十一年度までの五年間の各年度の医療費の伸び率の平均である。

三について

 社会保障の給付と負担の見通しにおいて用いた「高齢者医療費三・二%」を算定した際の対象者は、七十歳以上の者及び六十五歳以上七十歳未満の者で一定の障害状態にあるもの(以下「高齢者」という。)である。

四について

 試案においては平成十八年度概算要求を起算点としているが、その起算点の一人当たり医療費は、政府管掌健康保険制度等の各制度の平成十八年度概算要求時点における医療費の見込額について、高齢者とそれ以外の者(以下「一般の者」という。)に区分し、高齢者と一般の者ごとに各制度を通じて合計した額を、高齢者及び一般の者の全体の人数でそれぞれ除して算出したものであり、一人当たりの高齢者医療費は八十二万円、一人当たりの一般医療費は十七万円となっている。

五及び六について

 平成三十七年度の国民医療費の見通しは、起算点における一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、一般医療費については毎年度二・一パーセントの伸び率を、高齢者医療費については毎年度三・二パーセントの伸び率を乗じて得た平成三十七年度の一人当たりの一般医療費及び高齢者医療費に、平成三十七年度時点で見込まれる一般の者と高齢者の人数をそれぞれ乗じて算出した平成三十七年度の一般医療費及び高齢者医療費の見通しの合計であり、経済成長率を用いて算出はしていない。お尋ねの「現在の貨幣価値に換算した場合、いくらと考えられるか」については、何を意味するのか必ずしも明らかではないのでお答えすることはできない。
 また、平成三十七年度の医療給付費の見通しは、同年度の国民医療費から患者が負担する額を控除して算出している。

七について

 社会保障の給付と負担の見通しにおいては平成十六年度予算を起算点としているが、その起算点の一般の者及び高齢者の一人当たり医療費は、政府管掌健康保険制度等の各制度の平成十六年度予算編成時点における医療費の見込額について、一般の者と高齢者に区分し、一般の者と高齢者ごとに各制度を通じて合計した額を、一般の者及び高齢者の全体の人数でそれぞれ除して算出したものであり、一人当たりの一般医療費は十七万円、一人当たりの高齢者医療費は八十万円となっている。

八について

 社会保障の給付と負担の見通しにおける一人当たり医療費の伸び(以下「一人当たり医療費の伸び」という。)の実績は、平成六年度から平成十一年度までの期間に係る、診療報酬の審査支払機関での支払が確定した医療費から老人保健施設療養費等を除いた医療費を用いて算出したものである。

九及び十について

 平成三十七年度の医療給付費の見通しについては、一人当たり医療費の伸びを前提に、人口変動の影響を考慮して算定しており、一人当たり医療費の伸びの「平成七~十一年度実績平均」の算定に当たっては、高齢化の影響等の人口構成の変化の影響及び患者負担の見直し等の医療保険制度改正の影響を除くための補正のみを行っており、診療報酬改定の影響その他の事項については補正を行っていない。
 高齢化の影響等の人口構成の変化の影響の補正については、基準とする年度の年齢階級別一人当たり医療費に、比較を行う年度の年齢階級別加入者数を乗じて得た医療費の合計額を、比較を行う年度の加入者数で除して得た一人当たり医療費と、基準とする年度の一人当たり医療費の相違率を、人口構成の変化の影響率として補正前の一人当たり医療費の伸び率から除外している。平成七年度から平成十一年度までの当該影響率は一般医療費について年平均〇・五パーセントである。
 また、一人当たり医療費の伸びの実績には、平成七年度から平成十一年度までの間に行われた医療保険制度改正による影響が含まれているため、将来の医療保険制度改正を見込まない医療費の見通しの算定に当たっては、当該期間における医療保険制度改正による影響を除外する必要がある。
 医療保険制度改正の影響の補正については、医療保険制度改正が行われた直後の期間における対前年同月比の実績の伸び率から医療保険制度改正の影響がないと考えられる期間における対前年同月比の実績の伸び率を控除することにより医療保険制度改正の影響率を算定している。当該影響率は、一般医療費については、平成九年度はマイナス三・九パーセント、平成十年度はマイナス〇・八パーセントであり、高齢者医療費については、平成九年度はマイナス三・五パーセント、平成十年度はマイナス一・八パーセント、平成十一年度は〇・七パーセントである。

Posted at 2006年03月28日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年3月

2006年3月

厚生労働委員会議事録(三位一体改革、小児医療)

164-衆-厚生労働委員会-9号 平成18年03月15日
 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う児童手当法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)
 児童手当法の一部を改正する法律案(小宮山洋子君外四名提出、衆法第九号)
 ○放課後児童クラブ(学童保育)について
 ○小児医療について
 ○介護施設整備について
 ○児童手当について
 ○教育格差について

○山井委員 これから一時間にわたりまして、川崎大臣、赤松副大臣に御質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 今回の法案では、三位一体改革に伴う児童手当の改革が主な論点の一つとなっておりますが、この資料、きょう九ページ配らせていただきました。今も西村議員の方から格差の問題が言われていました。後ほど触れていきたいと思いますが、きのうの読売新聞の夕刊では「進学も格差社会」ということで、所得によって大きく将来の進路が、大学に行けるかどうかがもう差がついてしまっている、そういうふうなデータも出てきております。そういう中で、私たちも、政府案よりはるかに多い子ども手当についての対案を出させていただいております。この教育の格差や子ども手当については、また後ほど質問をさせていただきたいと思います。
 きょうは、学童保育の問題、子育て支援の一環としての小児医療の問題、そして介護の施設整備、この法案にも関係している問題、そしてまた児童手当について、教育格差について、そういうところを詰め込んで、一時間で質問をさせてもらいたいと思っております。

 まず最初に、この三位一体改革により自治体の財政は厳しくなり、児童手当と並ぶ重要な子育て支援の一つである放課後児童クラブ、以下学童保育と呼ばせていただきますが、学童保育の現場からも、将来に対して不安の声が上がっております。
 川崎大臣にお答えをいただきたいんですけれども、この学童保育、二〇〇五年の統計では約一万五千カ所、六十五万人が利用と、法制化七年間に学童保育のクラブ数は一・六倍、入所児童数は二倍になってきております。共働き家庭の子供たちは、学校から帰った後の放課後や、春、夏、冬休みなどの学校の休業日には子供たちだけで過ごすことになります。この共働き家庭の放課後の生活と安全を守るのがこの学童保育であります。
 しかし、核家族化の進展や都市化の進行、また一人で子育てに取り組む母親が不安や孤立感に悩まされたり、また女性の社会進出、就労形態の多様化などにより、子育てに悩む保護者も非常に多くなっております。
 こういう中で、最初の資料を御説明しますと、実は、小学校低学年、学校で過ごす時間よりも学童保育で過ごす時間の方が約五百時間も多い。特に今、週休二日制になっておりまして、土曜日も学童に行くということになっております。そういう意味では、今まで学童保育というのは歴史があるわけですけれども、当初のボランティア的にちょっと預かるという時代から大きく役割が多様化し、かつ重要になってきたんではないかと思っております。
 最初に、川崎大臣にお伺いします。このような学童保育の重要性について、川崎大臣、いかがお考えでしょうか。

○川崎国務大臣 今お話しいただきました放課後児童クラブにつきましては、現状一万五千百八十四カ所、全国の小学校区が二万三千校でございますので三分の二、登録児童数は六十五万四千八百二十三、十七年の五月一日現在ということになっております。地方自治体の中で、ない組織があるのかということで、私も少し調べさせましたけれども、基本的には過疎地域の自治体、離島等以外は各自治体に行き渡った。しかしながら、校区単位ということになればまだ足りない。そういう意味では、市の中で二つはあるけれども、三つ目、四つ目という要請がある。
 そういった中で、今回平成二十一年度の目標一万七千五百カ所、十八年度予算案につきましては、九百カ所増の予算を計上させていただきました。地方自治体と積極的な意見交換をしながら、予算の獲得にしっかり努力をしてまいりたいと思います。

○山井委員 続きまして、大臣と副大臣にお伺いしたいんですが、今数をどんどんふやしている、それで待機児童、まだまだ学童保育を利用したくてもできないお子さんもいらっしゃるわけです。そこで、厚労省のある方は、まずは量ですということもおっしゃっておられるわけですけれども、先ほども申し上げましたように、非常に役割は重要になってきております。例えば子供の安全一つとっても、さまざまな子供に対する痛ましい事件によって、やはり学童保育の時間を延長してほしい、きっちり学童保育で安全体制もしいてほしいというようなニーズも高まってきておりますし、またその中身ですね。やはり数十人のお子さん方のお世話をするというのは、そんな簡単な話ではないわけであります。
 そこで、親が子供を学童保育に預けるためには、やはり安定した預ける居場所が必要なわけであります。毎年のように指導員の方々がころころかわるとか、そういうなじみの関係がつくれなかったり、専門性が十分でなかったら不十分だと思っております。
 そこで、三位一体改革に関連した財源のことは後でお聞きするとして、まず、労働条件や就労形態についてお伺いしたいと思っておりますが、一例として、私、先日も学童保育に行ってまいりました。
 私も学生時代、母子寮やこういう学童保育でボランティアをしておりまして、こういう子供たちと遊ぶのが非常に好きなんですけれども、この宇治市の学童保育でも、二十の小学校でやっておりまして、千三百三十三人が利用している。一年から四年までで、一学級約五十人、二人の指導員体制で、宇治市は近畿で最も子育てに力を入れている、子育てしやすい町と言われておりまして、この学童保育にも力を入れているわけです。こういう学童保育も、もちろん一緒に遊ぶ、勉強するというのもありますが、例えば、障害児を受け入れるということも今非常に進んできております。
 それと、先ほども言いましたように、学校の先生よりも接する時間が長い。私も学生時代、母子寮や学童保育でボランティアをしていて痛感しているんですけれども、学校で見せる姿よりもより本当の姿を遊ぶ中で見せたりするんですね。そんな中で、いろいろいじめの問題や家族関係の問題点が見えてきたり、そういうことで、学校では発見されなかった虐待のことやいじめのことが学童保育からの通報によって問題が解決されたというような例もあるぐらい、非常に役割も重要になってきているわけであります。
 不登校、いじめ、引きこもりなどへの対応も求められておりますし、また、障害児の受け入れも、一九九八年の三千人から二〇〇四年には九千三百人に三倍増されているわけです。
 しかし、一年契約の方が多くて、来年の雇用が本当に保障されるかどうかもわからずに、よい指導というのはできないわけです。これだけ重要性、多様性、専門性が増してきた学童保育が、こういう一年契約の不安定な雇用形態のままでいいのか。それともう一つの質問は、やはりこの学童保育の指導員の専門性についてどう考えるのか。このことについて御答弁を願いたいと思います。

○川崎国務大臣 まず、職員でございますけれども、十三年度調査で、従事者の約半数が経験年数三年未満となっております。一年というのは二三%、六分の一の職員が経験年数十年以上。
 雇用形態で言いますと、正規の職員が一万二千人、非常勤が約二万、パート、アルバイトが一万二千、ボランティア等が約二千、四万六千という数字になっております。
 いずれにせよ、放課後児童クラブにおける職員と児童の関係は、児童の健全育成の観点から重要であることから、職員には今御指摘のようにできる限り継続的に勤めていただけるよう、自治体において研修の充実などに配慮していただくことが重要であると考えております。
 国としては、こうした放課後児童クラブの職員については、子供を預かる時間帯が通常放課後に限られることから、非常勤とし、クラブの児童数など、その規模に応じて国庫補助を行っております。
 また、今お示しをいただきましたように、長時間開所する場合や障害児の受け入れを行う場合には加算するなど、改善を図っているところでございます。

○赤松副大臣 後半の部分の専門性云々のことについて、私の方から答えさせていただきます。
 先ほど来、山井議員のいわゆる現場に即した御指摘、しっかりいただきました。
 放課後児童クラブの職員につきましては、保育士や教員等、資格を有している者も従事しておりますが、地域の多様な人材を確保する観点や実際に運営されている状況を勘案して、特別な資格要件は現在は定めていない、こういう状況があります。そんな中で、専門性が必要じゃないか、こういう事態があるじゃないかという御指摘でございました。
 放課後児童クラブのような多様なニーズにどうこたえていくか、こういう点についてはその必要性を感じておりますが、現時点で、職員の資質の向上を図るために県単位やあるいは全国の単位で、放課後指導員の研修を実施しております。つまり、新たな専門性を持った人を引っ張ってくるというよりも、今いる人たちに対して、より職員の資質の向上を目指してさまざまな手だてを講じたい、こんなふうな考えでいるところでございます。

○山井委員 もちろん、そういう研修も重要でありますが、現場で何が困っておられるかというと、例えば私の知り合いの方は三十三年間も指導員をされておられます。齊藤高子さんという方ですが、その方がおっしゃるのは、現状では、せっかく学童保育に熱意があり働き続けていきたいという指導員がいても、一年契約の嘱託で待遇が悪過ぎる、先が見えないという理由でどうしても常勤の幼稚園や保育園に転職する人が多いと。
 やはりそういう現状があるわけなんですね。幾ら重要で魅力ある仕事でも、来年どうなるかわからない、十年勤めていったって給料は上がっていかない。やはりそれでは、責任を持って人生をずっと、この仕事をプロフェッショナルとしてやっていこうということにはなりにくいと思うんです。
 そこで大臣、改めてお伺いしたいんですが、やはり若い指導員の方々が夢を持って働き続けられる仕事でないとだめだと思うんですが、この指導員のお仕事について、川崎大臣、いかが思われますか。

○川崎国務大臣 基本的には放課後ということですので、指導員については通常六時間の非常勤としている、それを時間をもう少し延ばして常勤化しろというお説だろうと思いますけれども、基本的には今の国の考え方は、今申し上げたような考え方でやらせていただいております。

○山井委員 これ土曜日は丸一日ですし、休みの日の関係もありますから、最初に申し上げましたように、時間は小学校にいる時間よりも既にもう長くなっているという面があります。それとやはり、例えば学校の先生には見えないものを指導員の方が見ることもできる。長時間一緒に生活する中でいろいろな情報が入ってくるということもあるわけなんですね。やはり子供との関係の遊びの中から発見できることというのも、非常に多いわけです。
 そういう意味では、もう一つ最近ふえているのは、やはり少子化、核家族化の中で子育てに苦しむ親御さんもふえてきている。そういう親御さんの相談にも乗っている。それともう一つは、最近、子供の安全ということで、いろいろ子供の安全のチェックリスト、二十六項目のチェックリストをつくって、子供がちゃんと学童保育から家まで安全に帰れるかどうかのチェックもしろ、そういうふうなことも時代の要請として出てきているわけであります。
 それで川崎大臣にお伺いしたいんですが、国庫補助の基準は非常勤を前提とされているわけなんですけれども、これから子育て支援に国を挙げて力を入れていこうというときですから、やはり自治体に対しても、もっと国として、こういう学童保育、しっかりと指導員の方々が勤め続けられるようにすべきだというようなメッセージを発する必要があるんではないか。
 また、この国庫補助を非常勤前提ということではなくて、やはり専門性のある職員の方が長年、さっきもまさに答弁されましたように、半数の方が三年以下、もっと長いキャリアがあった方がいいケースもあるわけです。
 そういう意味では、その国庫補助の引き上げということと、やはり自治体に対してそういう働き続けられる労働条件をというメッセージを、大臣からお願いしたいと思います。

○川崎国務大臣 運営費補助、総事業費のおおむね半額を利用者負担ということもあります。これはもう委員御承知のとおりでございます。そういった意味では、自治体の意見もしっかり聞きながら、どういう判断をしていくかということで、勉強してまいりたいと思います。

○山井委員 幼稚園、保育園、小学校に比べると、この学童保育というのは、今までどうしても一時的に預かってもらっているというイメージがあったと思います。しかし、そういう考え方を私たちはやはり変えていかなければだめです。
 共働きの家庭がふえ、また核家族化で、あるいは一人っ子がふえて、なかなか友達と遊ぶということも減ってきたり、異世代の、あるいは学年の違う人たちと集団で遊ぶということが減ってきた。そういう中で、今までの一時預かっておくという学童保育の位置づけから、これだけ多様な専門性を要求されるニーズとなっているわけですから、学童保育の指導員さんがやはり夢を持って、若い人たちが、仕事は好きだけれども不安定な雇用なのでほかの仕事に移ってしまう、そういうことがないように、ぜひとも厚生労働省としても音頭をとっていただきたいと思っております。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 児童手当、学童保育、いろいろなメニューがありますが、ちょっと先日の質問の続きになりますが、小児医療も危機的な状況を残念ながら迎えているわけであります。このことについて二月二十四日に質問をしましたら、川崎大臣から、小児救急医療の労働実態について調べる、調査するという答弁を得ました。このことに関しては非常に感謝をしておりますし、今その調査をしていただいていると聞いております。いつまでにどのような調査をするのかということを御答弁願いたいと思います。

○川崎国務大臣 二月二十四日、答弁をした後、指示をいたしました。全国の小児科勤務医師の労働環境については、国の補助金を受けて小児救急医療を行っている全国二十七カ所の小児救急医療拠点病院がその実態をよく反映していると思われることから、それら病院の夜間帯、二十二時まで、及び深夜帯、二十二時から朝六時までにおける患者数、医師数や小児科医師の一カ月間の勤務日数、勤務時間等について、緊急調査を実施いたしております。
 都道府県を通じながら、各病院ごとに今調査をお願いしており、三月中には結果を取りまとめて御報告できるだろうと考えております。

○山井委員 こういうふうにすぐに調査をしていただいたことには、心から感謝を申し上げます。厚生労働省の職員の方々も、本当にいろいろ資料要求が多い中で大変かと思います。ただ、一つ注文をつけるならば、二十七という数字が少ないように思いますので、またこれをふやす努力をぜひともしていただきたいと思っております。
 それで、そのことに関連して、またこの資料を見ていただきたいんですけれども、なぜこういう安心して子供を生み育てにくい社会に日本はなってしまったのか。先ほど西村議員からも話がありましたが、長年言われているけれども、結局、かけ声ばかりあるけれども、事態はますます深刻化して、危機的な状況になっているんではないか。
 この三ページにありますように、これも二月二十四日にお配りしたのと同じ新聞記事、「小児科避ける新人医師」、ここをちょっと読みますと、「大卒時点では小児科志望の研修医が臨床研修中に「労働条件がきつい」などの理由で内科などに志望を変えるケースが多い。」具体的に言うと、ここに書いてありますが、「研修中に小児科から他の診療科に志望を変更した医師は二百二十三人を数え、他の診療科から小児科に変更した七十人を大きく上回り、若手医師の小児科離れを裏付けた。」となっているわけですね。
 これに対して、この資料にも書いてありますが、川崎大臣からは次のような答弁をいただきました。「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がなければならない」と。要は、大学病院の小児科は減っているけれども、トータルではどうかわからない。したがって、「小児科のお医者さんが少なくなったんだというストレートな判断はいたしておりません。」という答弁をいただいたわけですが、この答弁にあります「民間病院、そういう全体の数の掌握、これを私どもは急がねばならない」という答弁のこの掌握、どのように今されていますでしょうか。

○川崎国務大臣 十六年四月に臨床研修を開始し、新制度の研修医、対象者が二学年で一万四千八百七十人、二年の研修期間を今月修了することとなり、その後の進路についてほぼ固まっているだろう。そのため、当面、新制度の効果等を検証、分析するため、これは小児科だけじゃなくてこの研修医制度全体です、すべての研修医、臨床研修病院、大学病院を対象とする全般的な調査を先週から始めました。
 この調査では、臨床研修修了後の進路、どの診療科に進むかを含む質問をしており、今後、調査票の回収、集計、解析という作業を行い、結果はことしの夏までに取りまとめたいと考えております。

○山井委員 途中までは非常にありがたい答弁だったんですが、夏までにとおっしゃいますが、医療制度改革の審議は来月にもスタートするんではないかと思うんです。それで、まさに大臣答弁されたように、もう進路は決まっているんですよ、もう四月から勤めるんですから。
 やはり、今小児科のお医者さんが減っているのか減っていないのかというのは、これは法案審議の根本的なポイントになるわけで、少なくとも、現場の声やこういう新聞報道を見ると、私も小児科のお医者さん、小児科を目指している研修医、学生さん、その御家族、たくさん知り合いがいます。週末は多くのそういう人とも議論しています。そんな中で、減っているという声が非常に切実なんですね。
 やはりそれは、夏までというよりは、もう答えは出ているんですから、現時点で。法案審議の際には、あらあらでいいですからそういう実態を、減っているのかどうかということは、やはり出していただきたいと思うんですが、大臣、非常に重要な点だと思いますが、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 今調査、回収したところですから、毎週厚生労働委員会あるんでしょうから、理事会等で状況は御報告申し上げます。

○山井委員 そうしたら、また委員長さんにもお願いしますが、ぜひともこのことは、まさにもう回収してそれも持っておられるわけですから、できるだけ早くオープンにしていって、そのことを見て、ふえているんだったらふえているでいいし、減っているんだったら、では、今回の医療制度改革の審議の中でどうするんだということをしっかりと議論したいと思います。一番困るのは、減っていないんじゃないかと言っていて、国会審議が終わって大幅に減っていましたということになると、それは非常に困るわけであります。
 次に、これも二月二十四日の質問の続きなんですが、このきょうの資料にもございますが、労働条件の実態調査をされて、二年前の調査で六百の病院に指導監督を、これは小児だけではありませんが、全般的に指導監督をされたと。その中で、その結果を一週間以内に出してくださるという答弁を川崎大臣からいただきました。その結果と、この資料の左側の上に改善報告件数とありますが、これが指導を受けて改善したという報告なのか、これから改善するという報告なのか。その二点についてお伺いしたいと思います。

○赤松副大臣 私の方から答えさせていただきます。
 今御指摘の点、平成十五年度から十六年度にかけまして、労働基準監督署において宿日直許可を受けている五百九十六の医療機関に対し監督指導を行ったわけでございます。その結果がお示しの資料なわけでございます。
 監督指導によって、何らかの労働基準関係法令違反が認められた四百三十機関のうち、約八七%の三百七十三機関において法違反が是正されております。
 宿日直許可基準を満たしていないとして指導を行った二百四十機関のうち、約八〇%の二百機関において改善の報告がされております。改善報告のあった二百機関については、労働基準監督署において、報告の内容からおおむね改善されたものと判断したと理解をいたしております。
 今、最後に、改善したものとしていないものと、その辺の区別はどうなのかということでございますが、改善された旨の報告のほか、これから改善する旨の報告も、両方のものが含まれております。

○山井委員 改善した旨の報告と改善する旨の報告というのは全く違うんですよね。ですから、お願いをしたいと思いますが、すると言ってしていないケースというのも残念ながらあるんじゃないかと思うんですよね。
 やはり指導した以上は、改善すると言っていますでは済まないので、この五百九十六、本当は六千六百もともとあるわけですから、そのうちの五百九十六、指導を出した以上は、五百九十六のうちどれだけが改善されたのか、すると言っていない、されたのか、このことの調査をして報告をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 御指摘の点、よくわかります。
 ただ、今は、改善された、それから改善したいと言っている分の区別につきましては、今後とも粘り強く指導いたしまして、しっかりとした結果が出るように働きかけをしていきたい、こんなふうに思っております。

○山井委員 ちょっと今の答弁は納得できないんですよね。指導をして、まあ直すと言っているからいいじゃないかというような話で、やはり指導した以上は、そこを直したかどうかということを労働基準監督署がチェックせずに、直すと言っているからまあいいじゃないかということにはならないと思うんですね。
 ここはあえてもう一度答弁していただきたいと思いますが、やはり指導した以上は、改善をしたのかどうか、調査して報告していただきたいと思います。私は別に当たり前のことを言っているわけです、これはもう二年前に指導しているわけですから。いかがですか。

○赤松副大臣 その方向で結果を出していくというのは正しいことだろうと思います。ただ、いついつまでとか期限を区切られても、なかなか難しい側面がありますので、その方向で努力をしたい、そんなふうに思います。

○山井委員 ぜひ急いでいただきたいと思います。
 なぜこういう質問をするかというと、指導が入っても、どうせお医者さんもいないんだし、ほかも守っていないんだから、直しますと言ったらそれで済むんじゃないかと。これは私は病院を批判しているわけではありません。実際お医者さんもいないとか、さまざまな事情があるわけなんですよね、夜間も患者さんがたくさん来るとか。確かにそういう事情はあるけれども、指導をしたところがきっちり改善されているかどうかということをチェックするのは、これはやはり厚生労働省の責任だと思いますので、ぜひともお願いをしたいと思っております。
 それにも関連しますが、三月九日の新聞で、医療事故が非常に多いという記事が出ておりました。皆さんもごらんになられたと思います。年間百四十三人が死亡、医療事故で。そして、何と半年間で九万一千件もヒヤリ・ハット事例、あわや医療事故というケースがあったということであります。
 そこで、きょうの資料五ページを見ていただきたいんですが、今、アメリカでもヨーロッパでも、長時間労働が医療事故につながるんではないか、つまり労働時間が長くなると事故がふえるというような論文や研究が非常にふえているわけなんですね、これは。
 そこで厚生労働省にお伺いします。こういう労働条件や労働時間と医療事故に関する調査、今までされていますでしょうか。

○赤松副大臣 医療事故に関しては、私自身も、個人的にも非常に強い関心を持っている問題でございます。
 医療事故に関しまして、そういう調査をしたことはあるのかという御質問でございますが、委員御承知だろうと思いますが、発生予防、再発防止を目的として、平成十六年、今から一年半ほど前ですね、平成十六年十月より、特定機能病院等二百七十二病院に対して、財団法人の日本医療機能評価機構に対しての報告を義務づけておるところでございます。
 報告された事例につきましては、日本医療機能評価機構において分析をし、取りまとめて公表されております。この制度の中では、医療事故の当事者の勤務状況について、直前一週間の当直または夜勤の回数、二交代制などの勤務形態の報告をあわせて求めております。
 しかしながら、医療事故と当事者の勤務状況との関係を明らかにするに足りる事例収集が残念ながら現時点ではできておらず、今後、日本医療機能評価機構において適切な事例収集、分析、取りまとめが行われるように促してまいりたい、そんなふうに厚生労働省としては考えております。

○山井委員 それは、厚生労働省として、医療事故がこれだけ問題だという以上は、そこで何が問題なのか、労働時間なのか労働条件なのか、やはりそこはきっちりと調査するというのが当然国の責務だと思います。そして、私、手元に持っているんですが、看護師不足が背景とかさらっと新聞に書いてあるんですけれども、余り安易にこういうふうに決めつけるのもよくないと思うんですね。何がその背景にあるのか。
 まさに今、副大臣からも答弁いただきましたが、この出ました医療事故情報収集等事業報告書、私も手元に持っております。この中で、労働時間、労働条件、勤務体制とどう関連づけて調査がされているかというので、皆さんのお手元に書きました。これを見ていただきたい、川崎大臣も見ていただきたいと思います。
 どう出ているかというと、この情報収集の際のアンケート、直前一週間の勤務時間、どちらかに丸をしてください、一時間から百五十時間、あるいは不明。ちょっと残念ながらこれは調査になっていないんじゃないですかね。一時間から百五十時間に決まっているじゃないですか。一週間で百五十時間以上働けないですよね、人間というのは。それで、あとは不明。これじゃ調査項目にならない。それともう一つ、直前一週間の夜勤回数はゼロから七回ですか、不明ですかと。一週間というのは七日間しかないんだから、最大やっても七日しかできないですよね。ゼロから七回に決まっているじゃないですか。
 要は、申しわけないけれども、非常に失礼なことを言うかもしれないですけれども、普通の感覚でいえば、このデータ収集から、労働条件や労働実態と関連づけてこれは答えが出てこないと思うんですよね。いかがでしょうか。

○赤松副大臣 御指摘の点、私もそのとおりだろうと思います。
 先ほど冒頭に言いましたように、これは厚生労働省がやっているわけではなくて、第三者機関のチェックが必要であるということでこの日本医療機能評価機構にお任せしていたと。その結果が、今御指摘になったように極めてその回答方法にあって、ちょっと不明確な側面があるということ、御指摘のとおりだろうと思います。
 この日本医療機能評価機構そのものも、委員御指摘のようなこともあり、回答方法の明確化などを今検討されておるということでございますので、私たちとしては、その後適切な分析と取りまとめが行われるものと期待をいたしているところであり、ぜひそのようにしてほしい、こういう要望も投げかけているところでございます。

○山井委員 正直言いまして、この報告書自体は、私、読ませていただいてある意味ですばらしい報告書でありますので、その中の一部を取り上げて批判するのは失礼かもしれませんが、少なくとも労働時間と労働実態のところはきっちりとやっていただきたいと思います。
 それで、次に、私の資料の施設の基盤整備の部分ですね、七ページの資料、地域介護・福祉空間整備等交付金の見直し、このことについて質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、村井議員と私から、主に村井議員から資料要求をさせてもらっていて、この資料について、この三百九十億円の内訳、そして対象範囲を拡充、四百七十六億円、この一、二、三の交付金にかわるわけですね、この内訳をぜひとも示していただきたいということを村井議員からもお願いしているんです。
 なかなか出てきていないわけでありまして、これはちょっと質問通告しておりませんけれども、この内訳を出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 村井委員からの御要望を聞いておりまして、今、そのことについていつまでに出せるか検討しているところでございます。

○山井委員 ぜひとも早急によろしくお願いいたします。村井議員もそれを見て質問する準備を今いたしております。
 それで、私が心配しておりますのが、この交付金の見直しによって特別養護老人ホームや介護施設の整備が、進む自治体がもしかしたらあるかもしれませんが、おくれる自治体も多く出てくるのではないか。なぜかというと、私が知っているある自治体では、実はこういう制度改革によって、計画していた特別養護老人ホームの整備一つを断念したという自治体があるんですね。つまり、こういう一般財源化することによって、やはりそれはもちろん地方自治体の優先順位の問題ですけれども、介護施設の基盤整備がおろそかになる自治体が出てくるのではないか。
 御存じのように、今回、療養型病床を二十三万床も減らすということも厚労省はおっしゃっているわけですから、そういう中でこの介護基盤の整備がおくれることになると、これは大変なことになるのではないかと思います。
 この点について、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 今回の三位一体の改革では、地域介護・福祉空間整備等交付金を見直しまして、特別養護老人ホームなど、広域型介護施設の整備に対して助成する都道府県交付金を廃止、税源移譲するということにしておるということは今御指摘のとおりでございます。
 一方で、都道府県交付金に相当する補助を都道府県等が行う場合には、総務省におきまして必要な地方財源措置が講じられる、このように承知しておりまして、今後、広域型介護施設の新築等が必要な場合は、都道府県により適切な対応が行われるもの、そのように考えております。
 また、地域介護・福祉空間整備等交付金のうち、市町村交付金は継続し、介護療養病床を改修して老人保健施設とするような場合については、市町村の判断で市町村交付金を活用した支援ができるようにする予定としております。

○山井委員 ぜひ、これによっておくれる自治体がないように、きっちりチェックもしていただきたいと思っております。
 今、長期療養病床の削減という話が出ましたが、このことについて、医療型療養病床の自己負担、厚労省のデータ、九・四万円というのがちょっと安過ぎるのではないかということを赤松副大臣に先日言って、このことに関しては、厚労省も都道府県別等で調べたいということをちらりとは聞いておりますが、この自己負担の調査についてはいかがでしょうか。

○赤松副大臣 今御指摘のありました点、二月二十四日の当委員会におきまして答弁をしたとおり、一月当たりの一部自己負担の平均額に、日本療養病床協会が行った調査で把握された、いわゆる差額ベッド代以外のおむつ代、日常生活費の平均額を加えて、平均的な額を推計したものでございます。
 山井委員から要求のございましたデータについては、日本療養病床協会が昨年七月に行った調査における個々の病院にかかわるデータを示すものと思われますが、これは同協会が保有するものでありまして、厚生労働省としては、全国平均額のみ同協会から報告を受けているものであることから、これを提出することは困難であることでございます。
 しかしながら、委員御指摘のように、地域別の精査を行うべきだというこの御提案に沿った対応といたしまして、例えば地域ブロック別にデータを求めるといったことが考えられます。
 本件については、理事会で協議をされている事項でありますが、データを保有する日本療養病床協会の御協力が前提になりますので、同協会ともしっかり相談してまいりたい、そんなふうに考えているところでございます。

○山井委員 また、理事会でもこれは協議をしていきたいと思いますが、今ちらっと聞いたけれども、都道府県別はなんだけれどもブロック別だったらいいとか、そういう何かせこいことを言わないで、なぜ都道府県別で出せないのか、ぜひともそこはきっちりとやっていただきたいと思っております。
 また、川崎大臣に戻ってお伺いしたいと思います。
 おとついですか、櫻井充議員が予算委員会で取り上げられた医師不足の問題、これはちょっと重要な問題なんで、お伺いしたいと思います。
 現状認識ですね。厚生労働省は、医師は不足していると現状認識しているのか、あるいは足りていると認識されているのか、その根拠は何でしょうか。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 医師の総数でございますけれども、平成十六年で二十七万三百七十一人、これを平成二年でいいますと二十一万一千七百九十七人、昭和三十年、このころですと九万人でございます。そういった意味では、医師の数は順調にふえてきていると承知いたしております。
 大体、七、八千人の方々が新しい免許をお取りになる。リタイアをする人たちを引くと、毎年三千五百から四千人程度順調に増加しており、平成十年に取りまとめられた医師の需給に関する検討会報告によれば、遅くとも平成二十九年ごろ、約十年後、供給医師数が必要医師数を上回り、将来的には供給過剰になるとの報告であります。
 その一方で、もちろん、医師の偏在による小児科や産科といった特定の診療科や、僻地などの特定の地域における医師不足が深刻な問題となっており、総務省及び文部科学省とともに関係省庁連絡会議を開催し、昨年八月には医師確保総合対策を策定いたしました。
 すなわち、数的には基本的には足りている。しかしながら、診療科によって、特に救急の問題、それから僻地などの問題というところに医師の不足というものが目立っていることは事実でございます。

○山井委員 この現状認識は非常に重要なことなので、もう一歩お伺いしたいんですが、今医師はトータルでは足りているとおっしゃいました。そして、確かに私が手元に持っているのでも、毎年三千五百人から四千人ふえているということも言われております。
 しかし大臣、お考えいただきたいんですけれども、医療の高度化、インフォームド・コンセントでいろいろな説明をすることが求められること、また医療事故への対応、さまざまなことによって、一人のお医者さんが診られる患者さんの数というのは減ってきているという部分もあるわけなんですね。
 ですから、事実として毎年三、四千人ふえている、このことは事実です。問題は需要ですよ。需要に対して、三、四千人ふえて、足りているのか足りていないのか。ですから、需要の数のデータを持っておられるんですか、今日の需要医師数というのを。

○川崎国務大臣 先ほどの話に対して、要は人口はふえていないけれども、先ほど言いました平成二年二十一万人が二十七万人、六万人ふえてきている、そういう意味では、委員の言われるとおり、人口がふえていないのに医師の数が六万人もこの十五年間でふえたということは事実です。そういう意味では、需要はふえているんだろうと、一つ一つの単位からすれば。
 しかし、それを全体的に専門家で議論してもらって、今私が申し上げましたように、基本的には足りているという認識をいたしております。

○山井委員 その専門家で議論して足りているという認識というのは、議論されたのはいつのことですか。

○川崎国務大臣 平成十年でございます。

○山井委員 八年前じゃないですか。それから多くのことが変わってきているんじゃないですか、状況は、研修医制度にもなりましたし。八年前の現状認識、それで医療制度改革を議論するというのはちょっと難しいんじゃないかと私は思います。
 それでは、まさにその八年前の資料をここに、その答弁が来ると思って書いてあります。これがその八年前の調査なんですね。
 そうしたら、八年前の上位推計、中位推計、下位推計という需要がありますけれども、この需要、三つのパターンが示されたんですけれども、どのパターンで今の日本は必要数が推移しているんですか。

○川崎国務大臣 先ほど二十七万人とお答え申し上げましたね。この数字でいけば、必要医師数、中位で平成十七年二十六万ですから、上位数が二十九万、ちょうど、十六年で二十七万ですから、中位と上位の間ぐらいの想定になりますね。

○山井委員 いや、その答弁だけではなぜその数になっているのか全然わからないわけで、それはグラフを見たらその間に位置することぐらいだれでもわかるんです。ですから私が言いたいのは、今、医師の需給に関する検討会、新たに八年ぶりにもう一回やっておられますよね。それで先日聞いたら、その結果が出るのがまた二、三カ月先だということみたいなんですね。今まさに、八年もたっているからやり直していますと、やってくださっているんですか、ありがとうございます、それで、結果はいつですかと言ったら、二、三カ月先と聞いたんですよ。
 ところが、医療制度改革の審議をするのは二、三カ月先でもいいんですが、もうちょっと早いような気もするので、やはりせっかく出すのであれば、私が何を心配しているかというと、医療制度改革のときに今の川崎大臣の答弁のまま医師は足りているという前提で国会審議を行って、二、三カ月たって需給検討会の答えが出て、やはり足りませんでした、いろいろな医療の高度化や患者のニーズの高まりによってやはり足りませんでした、そういう回答がもし出たら、審議はゼロからやり直しになりかねないと思うんです。
 ですから、私、もちろん完璧なものは求めませんが、やはり八年前の検討で今回の医療制度改革を議論するというのは、ちょっと無理があると思う。今、検討会をやっているんだったら、現状で医師が足りているのか足りていないのか、その調査というものはやはりもう一度きっちりと早急にやっていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 新しい議論を開始していることは事実でございますけれども、現時点では医師は足りているというふうに理解しております。

○山井委員 これは、これから医療制度改革を議論するというときに大臣が医師は足りていると断言して本当にいいのか、その根拠はどこにあるのか、そのことは、これからまた議論をしていきたいと私は思っております。このことについては、本当に根本的な問題ですから、単なる偏在なのかそもそも医師が足りないのかによって、とる政策が全然違ってくるわけですから、ここは引き続き議論をしたいと思います。
 それで、もう時間がございませんが、三位一体改革によって、あと、施設整備費の都道府県の分が一般財源化されるという流れもあるわけですが、今、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという消防庁の検討会が行われているということで、話によると近いうちに結論が出る、出そうだということでちょっと質問をさせていただきたいと思います。
 御記憶にあるかと思いますが、長崎県で認知症のお年寄りのグループホームが火事になってお年寄りが亡くなられた、それを通じて、厚生労働省さんも夜勤を義務づけられたというようなことをされたわけです。その中で、今、消防庁さんが検討会をされているわけなんですね。それで、認知症のグループホームにスプリンクラーを義務づけてはどうかという議論がされております。
 ここで、お伺いしたいと思います。消防庁の大石次長さんと川崎大臣にお伺いしたいと思いますが、この件についてどう考えておられますでしょうか。

○大石政府参考人 お答えいたします。
 ことしの一月八日でございましたが、長崎県大村市の認知症高齢者グループホームにおきまして、七名の高齢者の方が亡くなるという大変痛ましい火災がございました。このような火災は二度とあってはならないという考え方で、消防庁は、検討会を一月十九日に発足させたわけでございます。
 この検討会におきまして、このような施設における消防用設備それから防火管理等の防火安全対策のあり方について検討をいたしているところでございます。実は、本日も四回目の検討会が開催されたところでございます。
 認知症の高齢者グループホームには、入所者に自力では避難することができない要介護者の方が含まれているわけでありまして、火災発生時に、夜間、職員が一人で全入所者を短時間で避難させることは難しい、犠牲者を出さないようにするための対策が必要であると考えているわけであります。
 このため、防火管理者の選任義務の対象の拡大とか、自動火災報知設備の設置とか、それから自動的に消防機関に通報する装置、これを置いていただく、こういったことに加えまして、ただいまお話ございましたように、消火それから延焼拡大の防止をする、そして入所者全員が避難することができる時間を確保する、そのために、住宅用スプリンクラーの設備の設置を図る必要があるのではないかと考えまして、この考えに基づいて、去る三月三日の三回目の検討会において、消防庁の案をお示しして意見交換を行ったところでございます。
 今後、三月中に検討会での結論を得まして、必要な制度改正を行ってまいりたいと考えております。

○赤松副大臣 後段の部分を私の方から答えさせていただきます。
 先ほど御指摘のあったこの長崎県大村市におきますところの認知症高齢者グループホームの火災は、本当に悲惨な事件でありまして、まことに、お亡くなりになった皆さんに対して心から御冥福をお祈りするとともに、人命第一であることを念頭に置きまして、再びこのような事件が生ずることのないように、必要な対策を講じなくちゃいけないということを心に銘記しているところでございます。
 厚生労働省としましては、先ほど委員から御指摘ありましたように、今回の介護報酬改定の中で、夜勤職員の配置を義務づけ、あるいはまた火災発生時の通報体制を確保することや、住宅地等に立地し、地域との連携を確保することを指定基準において義務づける等の対策を講じたところでございます。
 先ほどのスプリンクラーの設置義務づけの話でございますが、先般、NHK「クローズアップ現代」でこの部分をやっておりまして、私もしっかり見させていただいて、強く感じるところがございました。
 この問題につきましては、厚生労働省的には五つほどの観点があると思っております。一つは今回の火災の原因がいまだに不明確であるということ。
 二つは、たばこやライターを入居者自身に持たせていた、避難訓練を一度も行っていなかった、消防署への通報まで時間がかかり過ぎた等の特別な事情が重なった今回のケースを前提として、すべてのグループホームへ義務づけることが適当なのかどうかということが二つ目。
 三つ目が、さまざまな防火対策を徹底し、自動火災報知設備や消防機関への自動通報設備の設置を義務づけた場合においても、さらに住宅用スプリンクラーの設置まで義務づける必要があるのかどうかという観点。
 そして四つ目は、設置費用を負担し切れるのか、住宅用スプリンクラーの費用対効果は十分なのか、これは特にNHKの「クローズアップ現代」でもかなりこの辺が強調されておりましたけれども、そういう点。
 さらに五つ目は、スプリンクラーを義務づけた場合は、建物の状況によっては、グループホームのよさである家庭的な環境が保てなくなったり、閉鎖を余儀なくされたりする事業所も出てくるんじゃないかというふうに幾つかの検討課題が残っております。
 先ほどの消防庁のお話とは少し違うんですけれども、十分慎重にしていかなければならない、厚生労働省としては早急な結論は出すべきじゃない、こんなふうに思っているところでございます。

○山井委員 いや、私も三月中に結論を出したいという話を聞いて、そんな急な話なのかとちょっとびっくりしたんです。
 こんなところで取り出すのはちょっとおこがましいんですが、なぜ私がこんな質問をするかというと、私は、実はもともとは、議員になる前はグループホーム研究者だったんですよね。こんなところに持ってきてもしようがないんですが、世界で初めて認知症のグループホームの本を書いたのは、スウェーデンのバルブロー・ベック・フリスさんというお医者さんで、その本を翻訳したのも私なんです。
 二年間スウェーデンにグループホームの調査で留学していまして、今まで四冊グループホームの本も書いていまして、二十七からですから十八年間、グループホーム問題、ずっとこれに私は取り組んできて、今議員に実はならせてもらっていまして、このグループホームに対する思い入れは半端じゃないんですね。(発言する者あり)そうですね、障害者の方々のグループホームもありますし。
 それで、今のグループホームの問題点は、利用料が非常に高いとか、やはり介護報酬が低くて職員の方々が十分に集まらないとか、職員の数が少なくてなかなか十分な夜間の介護ができないとか、人里離れたところにぽつんと、今回も民家が近所になかったという中で火災が起こったので、そういう問題が言われているんですよね。
 そこで、消防庁さんにお伺いしたいんですが、消防庁さんが、お年寄りの方が火事で死んだらだめだ、そういう使命感のもとにやってくださることに何かけちをつけるようで非常に申し上げにくいんですけれども、スプリンクラーというのは幾らぐらいなのかということと、それをつけるとしたら、結局だれがお金を払うことになるのかということと、それともう一つ、検討会のメンバーを見たら、何か消防関係者がほとんどで、厚生省の人が一人と、グループホーム協会の人が一人という中で、やはり現場の人がちょっと少な過ぎるんじゃないかなと思うんですが、大石次長さん、いかがでしょうか。

○大石政府参考人 まず、設置費用のお話でございますけれども、そのグループホームの規模などによっても当然異なるわけでございますけれども、延べ面積が三百平米程度の認知症高齢者グループホームであれば、約三百万円程度で設置ができると我々は考えております。それから、負担のお尋ねですが、消防法令では、住宅用スプリンクラー設備の設置義務は、通常、施設の運営主体が負うことになっているわけであります。
 それから、検討委員会のメンバーでございますが、消防関係者ばかりではないかという御指摘があったわけですが、厚生労働省の担当課長さん、それから高齢者等のケア、防火対策に詳しい学識経験者の方、それから利用者の立場を代表されて主婦連の代表者の方、それから認知症グループホーム協会の代表の方、こういった方々に入っていただいて御意見をいただいております。
 また、そのグループホームの方々の生の意見を反映する場がないのではないか、このような御指摘に対しましては、実は、消防庁では、この検討会と並行いたしまして、既に二回、グループホーム関係者の方々と話し合いの機会を持ちまして、御意見をいただいているところでございます。

○山井委員 本当にお年寄りの命を守るためにやってくださっていることには敬意を表するんですが、三百万円のスプリンクラーをつけて本当に効果があるのかということも一つありますし、また、それを自己負担、結局は利用者負担にはね返るわけですから、そうしたらますます、ただでさえ今、裕福な方しかグループホームに入れないというのが問題になっていて、ますますお金のある人しか入れなくなる。また、その三百万円をかけるんだったら、もしかしたら人手をふやした方が防火のためには役立つかもしれない。
 だから、私は、スプリンクラーをもちろん全否定するわけではないですけれども、まだまだ検討すべき課題はあると思いますし、はっきり言って、障害者福祉の目玉でもあります障害者向けのグループホームにもこれは波及する問題なわけなんですね。
 そういう意味では、消防庁さんの取り組みにも敬意を表するとともに、やはり現場の意見をじっくり聞いて、時間をかけて議論してほしいと思いますが、厚生労働省、いかがでしょうか。

○赤松副大臣 厚生労働省としては、先ほども申し上げましたように、慎重に対応していきたい、そんなふうに思っておりますが、今御指摘のあったように、施設のサービスや経営に与える影響等を精査しながら、消防庁とも連携をとりつつ、性急な結論が出ることがないように慎重に検討を進めてまいりたい、そのように思っております。

○山井委員 最後に一言だけ大臣に申し上げたいんですけれども、話は戻りますが、先ほど、医師は足りているということを大臣答弁くださいました。
 私は、やはり審議で一番重要なのは、エビデンス・ベースド・ポリシーといいますか、根拠とデータ、調査に基づいた政策論議をするのが国会だと思うんですね。足りていると力強くおっしゃられるわけですけれども、実際、需要がどうなのかということを調べたのは八年前なんですね。そういう意味では、私はもう一度、今の需要が八年間でどう変わっているのかということを、やはり今回重要な医療制度改革の審議をするんですから、検討会の議論をちょっと前倒ししてでもやった方がいいのではないかと思うんです。
 くどいようですが、最後に大臣の御答弁をお願い申し上げます。

○川崎国務大臣 そこのところは、先ほどの発言のとおりでございます。新しい調査は新しい調査として、できた時点で御報告を申し上げます。

○山井委員 ぜひ審議のときにそのデータが出てくることを期待しております。
 ありがとうございました。

Posted at 2006年03月15日 固有リンク | Comments (1) | TrackBack

2006年3月

2006年3月

生存権に関する質問主意書

表題の質問主意書を提出し、答弁を受けたので、掲載します。
衆議院HP上の質問(pdf:75.2KB)
衆議院HP上の答弁(pdf:73.3KB)

平成十八年二月十六日提出
質問第八一号
生存権に関する質問主意書
提出者  山井和則

 日本国憲法は、第二五条第一項において「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」としているが、生活を営むためには、生命を維持することは大前提となる。ところが、人工呼吸器を装着できれば生命の維持が可能であるにもかかわらず、社会的支援の不十分さから、人工呼吸器の装着を選択できずに死亡に至る国民がいる。
 そこで、以下のとおり質問する。

一 人工呼吸器をつけている自力で動けない患者の呼吸器を外せば死亡すると認識している者が、呼吸器を外して死に至らせた場合、これは殺人の罪(刑法第一九九条)にあたるか。
二 一の場合、たとえ本人の同意があったとしても、同意殺人の罪(刑法第二〇二条後段)にあたるか。
三 人工呼吸器をつけなければ必ず死ぬが人工呼吸器をつければ確実に生存できることが分かっている患者が、人工呼吸器を拒否して死亡した場合、これは一種の自殺にあたるか。
四 三において、真に自己の尊厳の意思からではなく、経済的な理由や周囲への配慮から人工呼吸器を拒否したことが明白な場合はいかがか。
五 平成一五年度厚生労働科学特別研究事業「ALS患者にかかる在宅療養環境の整備状況に関する調査研究」報告書によれば、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の約七割が人工呼吸器をつけていない。その中には、経済的な負担に耐えられないと考えたことや、夜間も含めて二四時間の吸痰などの介護の手が確保できない、あるいは家族の過重な介護負担を懸念して装着を拒否する人も少なくないといわれるが、この現状をどう考えるか。
六 五のような状態を放置することは、人工呼吸器を必要とするのに、それを選択できない患者の生存権を侵すもので、憲法第二五条第一項に反するのではないか。
七 一般人の観念から経済的な負担や介護負担の懸念なく、純粋に患者の生きる意思により人工呼吸器をつける選択が可能なよう、法律に基づく施策の運営が適切になされなければ、それは憲法第二五条第一項違反の常態にあると考えるがいかがか。
八 人工呼吸器をつけて生存が確保される場合であっても、痰の吸引を含む介護を受託する事業者が少ない等の社会的な制約から、家族が継続してほとんど毎日休みなく、夜間の定時の吸痰等の介護に従事しなければならない状況では、その家庭は「健康で文化的な最低限度の生活を営」んでいるとは言い難いのではないか。

 右質問する。


平成十八年二月二十四日受領
答弁第八一号

  内閣衆質一六四第八一号
  平成十八年二月二十四日
内閣総理大臣 小泉純一郎

       衆議院議長 河野洋平 殿

衆議院議員山井和則君提出生存権に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


衆議院議員山井和則君提出生存権に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 犯罪の成否については、個別具体的な事実関係に基づき判断すべきものであるが、一般論として述べれば、御指摘の場合においては、刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十九条の殺人の罪又は第二百二条の同意殺人の罪が成立することがあると考える。

三及び四について

 御指摘の「一種の自殺」がどのようなことを意味するのか必ずしも明らかではないこと等から、御指摘の場合が「一種の自殺」にあたるかどうかについて、お答えすることは困難である。

五について

 御指摘の平成十五年度厚生労働科学研究費補助金により実施された調査研究においては、調査対象となったALS(筋萎縮性側索硬化症)患者のうち、経済的負担、家族の過重な介護負担等を懸念して人工呼吸器の装着を拒否する者の有無等に関する調査が行われていないこと等から、お尋ねについてお答えすることは困難である。

六から八までについて

 人工呼吸器の装着を必要とするALS等の患者(以下「ALS等患者」という。)及びその家族の経済的負担や介護の負担を軽減するため、医療保険制度による訪問看護及び入院等に関する給付、特定疾患治療研究事業による患者等の治療費の自己負担額の一部又は全部の負担、在宅人工呼吸器使用特定疾患患者訪問看護治療研究事業による訪問看護に関する給付、介護保険制度及び障害者支援費制度等によるヘルパーの派遣に関する給付等を行っている。また、生活に困窮するALS等患者に対しては、生活保護制度による訪問看護及び入院等に関する扶助を行っている。さらに、ALS等患者を含む在宅の重度障害者に対する生活支援の実態調査及び効果的な支援方法に関する研究事業を行っているところである。
 ALS等患者については右に述べたような措置を講じていることから、ALS等患者に対する措置の現状が、憲法第二十五条第一項の規定の趣旨に反するものであるとは考えていない。

Posted at 2006年03月08日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年3月

2006年3月

予算委員会分科会議事録(第二名神、国道163号、他)

164-衆-予算委員会第八分科会-2号 平成18年03月01日
 ○第二名神の整備について
 ○京都周辺の幹線道路ネットワークの整備について
 ○城陽-八幡間の整備について
 ○国道163号・24号の重複区間の渋滞解消について
 ○国道163号の道路改良について
 ○京阪八幡市駅のバリアフリー整備について
 ○厚生年金施設(ウェルサンピア京都)の売却スケジュール等について
 ○地域雇用機会増大計画の同意について


○山井分科員 民主党の山井和則でございます。
 三十分間、北側国土交通大臣、そして政府参考人の皆様方に御質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いを申し上げます。
 まず最初に、第二名神を初めとする全国の高速道路に関して、国幹会議を踏まえた今後の整備についてお伺いを申し上げます。

 国幹会議を経て、各会社の整備すべき路線が指定をされました。第二名神は近畿にとって重要な路線であるのみならず、第二東名と一体となり新たな国土軸を形成する重要な道路であると考えております。そうした中、西日本、中日本株式会社が整備する路線に第二名神が指定されたことは喜ばしいことであります。亀山から大津、城陽から八幡、高槻から神戸などの整備は促進されることと期待します。
 しかしながら、私の地元であります抜本的見直し区間に関しましては、主要な周辺ネットワークの供用後の交通状況等を見て改めて事業の着工について判断されるとされました。地元、京都南部では、自治体が既に第二名神を前提とした都市計画を策定しており、関西学研都市や工業団地のさらなる発展、山砂利採取跡地の整備、中部圏と直結する幹線道路などという意味でも、全線整備を期待する声が大きいのが現状でございます。このような地元の期待、状況等をよく見つつ判断していただきたいと申し上げます。
 そこで、第二名神を初めとする高速道路の整備について、今後の手続と整備方針をお伺い申し上げます。
    〔主査退席、三原主査代理着席〕

○北側国務大臣 先般の国幹会議で、新たな直轄区間も含めまして新直轄区間八百二十二キロ、これを確定いたしました。そして、高速道路株式会社が整備を行います区間一千百五十三キロ、これも確定をさせていただいたところでございます。
 これから、各会社と、それから独法の日本高速道路保有・債務返済機構との間で建設と管理に関する協定を三月末を目途に締結するというふうな段階に来ているところでございまして、その後、この四月から、その協定締結後、本格的に民営化会社として高速道路整備が始まるというふうに認識をしているところでございます。
 今後とも、新直轄方式とそれから民営化会社による高速道路整備、これを適切に組み合わせをさせていただきまして、必要な高速道路整備をしっかりと行っていきたいと思っております。
 御指摘のございました第二名神につきましては、委員も地元中の地元でございまして、大変御心配をおかけしているところでございますが、先ほどおっしゃっていただきましたように、主要な周辺ネットワーク、これは、第二名神の大津までの間と、これがもう近々、数年後にできます。それから第二京阪ですね、この二つの供用開始後の交通状況等を見て判断するということでございますが、本当に、地元の京都、大阪を初め、地元の方々の大変な熱意というのはしっかりと受けとめておりますので、ぜひこれが進捗できるように、前に進めさせていただきたい、また、委員の御協力を賜りたいと考えているところでございます。

○山井分科員 ぜひとも、この地元の期待を受けとめて、早期に着工の判断がなされることを期待しております。京都南部にとりましては、地元自治体も、すべてこれを前提としたまちづくりをしているわけですから、ぜひとも、その期待を受けとめていただきたいと思っております。
 次に、谷口道路局長さんにお伺いをいたします。
 それに関連して、京都周辺の幹線道路ネットワークの整備方針についてお伺いします。
 会社と機構の新協定に向けて協議を行っていくという答弁を今いただきましたが、京都周辺においては、第二名神を初めとして、第二京阪、京奈和自動車道、阪神高速道路など、幹線道路網の整備が求められます。関西復権の起爆剤である関西学研都市の発展という意味においても、それらの幹線道路ネットワークの整備方針は非常に重要であります。今後の整備方針をお伺いいたします。

○谷口政府参考人 お答えいたします。
 京都は、言うまでもなく、長い期間我が国の都であったわけでございます。そうしたことで、歴史、文化にすぐれておりますし、高い集積がある地域だと思っております。特に京都の南の方につきましては、今委員の御指摘のございましたような幹線道路ネットワークの状況が著しいということでございまして、特に重要な地域だという認識を持っております。
 ただ、ネットワークとしての計画はあるわけでございますが、整備状況はまだこれからにかかっているということではないかと思っております。そうした意味で、きちっとしたネットワークを早くつなげていくということが重要かと思っておりまして、京都の周辺はもちろんでございますが、京都周辺地域と域外のネットワーク構築ということが大きな課題になっております。
 具体的に二つだけ例示を申し上げますと、一つは第二京阪道路でございます。
 京都の南から枚方まで供用できておりますが、京都という大きな都市と大阪というようなものを連携していくということが重要でございますので、これを、国直轄事業、また、西の会社の有料道路事業としての合併事業ということになるわけでございますが、枚方から門真市までの間の整備促進を図りたいと思っておる次第でございます。先ほど大臣の答弁にもございましたように、第二名神等の今後の展開にもかかわるというようなことでございます。
 また、もう一つは京都高速道路ということでございまして、京都市内と山科地域を結ぶ新十条通及び京都市内と京都南部を結ぶ油小路線や洛南道の整備を引き続き推進していく必要があるかと思っております。
 これらに加えまして、学研都市連絡道路等の整備を推進するなど、関係する幹線道路網の早期整備に向けて取り組ませていただきたいと考えておる次第でございます。

○山井分科員 ぜひとも、まさにおっしゃってくださいましたように、京都は伝統の都でありまして、またその中でも京都南部、関西学研都市を初めとして、これからまさに研究あるいは産業の大きな核となっていくというふうに期待されておりますので、整備促進をお願い申し上げたいと思います。
 そして、今の答弁にも関連するんですが、三つ目の質問は城陽―八幡間についてであります。第二京阪の枚方以南、京奈和自動車道、そして京都高速の整備が進められると、それと接続している第二名神の城陽―八幡の四キロの整備が必要になります。
 資料をちょっとお配りしておりますが、このパネルのピンクの地域になります。第二京阪、京奈和、京都高速、そしてこの間の八幡―城陽、たった四キロなんですが、この区間は既に施行命令が出ており、建設決定済み未着工区間と言えると思います。ここがつながれば、京都市と関西学研都市が結ばれ、国道二十四号線の渋滞緩和にも役立ちます。地元は首を長くして着工を待っております。今後の整備方針についてお伺い申し上げます。

○谷口政府参考人 お答えいたします。
 第二名神高速道路、いわゆる第二名神高速道路と言った方がいいかもわかりませんが、名古屋市と神戸市を起終点とする全体延長百七十四キロメートルという高速自動車国道でございます。第二東名と一体となって、三大都市圏を相互に結び、人の交流、物流を支える大動脈ということで、新しい世紀の国土の軸となる重要な路線という認識を持っておるわけでございます。
 今御質問のございました城陽―八幡間でございますが、二つの抜本見直し区間に挟まれている区間ということになるわけでございますが、抜本見直し区間の扱いにつきましては、先ほど大臣が御答弁されたとおりでございます。
 城陽ジャンクションから八幡ジャンクション間四キロメートルということにつきましては、これも西日本会社が受け持つという区間になったわけでございますが、用地買収に向けた地元設計協議を行うための準備として、現在、測量及び土質調査を実施中ということでございます。また、八幡ジャンクション付近では、一部用地買収も行っているということを聞いております。
 当該区間につきましては、引き続き地元の御理解と御協力をいただきながら用地買収を促進し、第二京阪道路、京奈和自動車道と接続して初めて自動車専用道路ネットワークが完成する、つながるということでございますので、事業の促進を会社の方にお願いして、我々の方もできるだけサポートしていきたいと考えておる次第でございます。

○山井分科員 今御答弁いただきましたように、やはり道路というのはつながるとますます波及効果、そういう効果が大きくなってまいりますので、京奈和自動車道、第二京阪、京都高速、そういうものを結ぶ上でも、この城陽―八幡の、たった四キロの区間でございます、着工を目指して、どうか早急によろしくお願い申し上げます。
 それでは次に、もっとローカルな話になって恐縮ですが、京都南部にございます国道百六十三号線と国道二十四号線の重複区間の渋滞解消のためのバイパス整備についてお伺いを申し上げます。
 ローカルな話なのでわかりにくいと思いまして、少し地図を持ってまいりましたが、これが京都から奈良に走っております国道二十四号線、そしてこれが百六十三号線であります。珍しい地域でありまして、この国道二十四号線と百六十三号線が重複しているわけなんですね。この間の渋滞が非常に激しく、一日二万台以上の車が走っております。
 つきましては、この緑の点線で示しました山城町の上狛交差点から木津町の大谷交差点までの都市計画道路、天神山線、東中央線及び木津川架橋について、一般国道百六十三号線のバイパスと位置づけて整備してほしいというのが地元からの要望でございます。
 この件について、現在の状況と今後の見通しはいかがでしょうか。

○谷口政府参考人 お答えいたします。
 国道百六十三号と国道二十四号は、今委員御指摘のとおり、京都府山城町上狛四丁町交差点から木津町大谷交差点間約一・八キロメートルにわたりまして重複区間となっておる次第でございます。
 この重複区間は、二車線にもかかわらず、重複しているというゆえでございますが、今お話しいただきましたように、約二万二千台の交通が集中しておるということで、主要な交差点で交通渋滞が発生するなど、幹線道路としての機能が低下しているという認識を持っております。
 このため、国土交通省では、緊急的な対策として、主要交差点の改良事業などに取り組んでおりまして、具体的には右左折レーンの延伸とか、そういうようなことを主体にして交差点改良をしていこうということで、用地買収の段階が多いわけでございますが、関係機関と協議を進めさせていただいているところもございます。そういうことで、当面はこうした渋滞緩和というようなことになるわけでございます。
 一方、抜本的な対策として、今御指摘いただきましたバイパス整備でございますが、その周辺では土地区画整理事業が実施されているということでございまして、そうした土地区画整理事業内を通過する天神山線や東中央線が都市計画道路として計画決定されているということでございます。この区画整理事業につきましては、十八年度より当該道路に関する造成が開始されると聞いておりまして、今後は、区画整理事業の進捗を勘案しつつ、関係機関と調整を図りながら整備主体の検討を進めさせていただきたいと考えておる次第でございます。

○山井分科員 ぜひともこの百六十三号線のバイパスという位置づけで整備を急いでいただきたいというふうに思っております。
 次に、この百六十三号線の京都南部、精華町から南山城村、この部分について質問を続けさせていただきたいと思います。(地図を示す)
 この木津町より東の部分は京都府の管轄になっているわけですけれども、この赤い色が百六十三号線、そしてこの緑色が名神高速、そしてこの黄色い道路が名阪国道であります。この間に位置しておりまして、ちょうど無料の一般道路ということもありまして、非常に渋滞が激しいわけであります。
 それで、交通量の三〇%にまで広域的な都市間交通、運輸、流通の大型車がどんどん走っている。にもかかわらず、非常に道路の幅は狭くて、そしてまた、木津川に沿って蛇行しているということで非常に危険な箇所も多いわけです。朝夕は慢性的な渋滞となっておりまして、名阪国道が雪などでとまったときには大渋滞になってしまう、そういう非常にもろい道路となっております。
 そして、ここに関しては、同時にこの近所の方々にとっての生活道路でもありまして、通勤、通学の方もここを歩いているというケースがある、自転車で走ったりもしている。それで、何と二〇〇四年には年間七件もの死亡事故がこの地域だけで起こってしまっているという痛ましい状況になっております。
 このため、加茂町、和束町、笠置町、南山城村という地元自治体からも、バイパスの建設、歩道の設置、道路の拡幅などの要望が出てきているわけであります。写真は手配りをさせてもらっておりますが、どういう道路で、狭くてトラックがたくさん走っているかということもここに出ております。これを見ていただければと思いますが、朝夕渋滞をしたり、本当に大きなトラックが走って、その横を歩行者が歩いたりしているという現状があるわけであります。
 この区間は京都府の管理になっており、京都府も予算を投じて整備を急いでいるわけですが、ぜひともこういう重要な道路であり、また事故も非常に多発しているということで、国としても御支援、バックアップをお願いしたいと思います。この区間の整備状況と今後の見通しをお聞かせください。

○谷口政府参考人 お答えいたします。
 一般国道百六十三号は、大阪市を起点として三重県の津市に至る延長約百九キロメートルの国道であります。そのうち、京都府域を約三十キロが通過しているということでございまして、山城町から南山城村間の約二十三キロメートルについて京都府が管理をしているということでございます。
 先ほど委員の方から図面を提示していただきましたが、名神高速道路と名阪道路の中間にあるということで、津に至る産業的な役割が非常に高まってきているというような認識を持っております。交通量は一万一千から一万七千台というような利用のされ方でございますが、大型車混入率が最大で約三五%というようなことで、高いというような区間が多いということでございます。
 また、今お示しいただきましたが、この区間には、急峻な山と河川に挟まれた地域を通過している区間が多いということで、十分な道路幅員が確保されていない箇所、また線形不良箇所があり、事故につきましては、平成十一年から十六年の六年間に死亡事故が十三件発生しているというぐあいになっております。
 その対策として、加茂町井平尾から同町銭司間において平成十四年度より京都府が井平尾特改として、また延長〇・九キロメートルのバイパス整備事業というものに着手しておりまして、今年度は用地買収及び工事を行うということを聞いております。また、大型車が多いということでございますので、交通安全対策として、笠置町及び南山城村地区のそれぞれ延長一・一キロメートルというぐあいに聞いておりますが、歩道整備を推進されるというぐあいに聞いております。
 国土交通省といたしましては、今後とも、京都府、非常に厳しい財政状況というぐあいに聞いておりますが、京都府からの要望を踏まえ、必要な支援を行ってまいる所存でございます。

○山井分科員 京都府も非常に頑張っているわけですが、国からの支援もどうかよろしくお願いをいたします。
 それでは次に、竹歳総合政策局長さんにバリアフリーに関してお伺いを申し上げます。
 これは三年前にもこの委員会で取り上げさせてもらったことがあるんですが、私の地元に京阪八幡市駅というのがありまして、この写真にありますように、非常に階段が多くて、エスカレーターとエレベーターがないわけであります。このことと、この国会において、交通バリアフリー法とハートビル法を総合した面的な新しい法案が出ると聞いております。この京阪八幡市駅は、一日に一万人以上の方が利用されまして、交通バリアフリー法の対象の駅にもなっているわけですが、財政的な困難ということで、なかなか先には進まないわけですね。
 そんな中で、今回出てくる交通バリアフリー法とハートビル法を総合した面的なバリアフリーの整備を進める新しい法案について、今後、市町村財政が厳しい中、障害者も住みやすいまちづくりのために、このような、八幡市駅のようなバリアフリーが必要な駅の整備も含めて、計画的なバリアフリー整備に対して、この新しい法律を通じてさらなる国の支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○竹歳政府参考人 お答えいたします。
 今御指摘ございましたように、今国会に交通バリアフリー法とハートビル法を統合拡充した法案を昨日提出させていただきました。本法律案では、従来は駅中心のバリアフリーでしたけれども、駅以外のところでもバリアフリーを進めようというようなこと、それから、基本構想をつくるときに市民の皆様方からいろいろな御提案もいただけるような、新しい仕組みも考えているところでございます。
 今御質問のございました市町村を支援するためのいろいろな財政措置でございますが、従来からいろいろな措置がございましたが、今回の法案を提出するに際しまして、予算措置、税制、政策金融等々、手厚い措置を講じて全国のバリアフリー化を進めてまいりたいと考えております。

○山井分科員 非常に財政が厳しい折でして、高齢社会も進んでいって、このままの駅では非常に困るという声が強いわけですけれども、なかなか遅々として進まないという現状がありますので、国からの財政支援、バックアップをどうかよろしくお願いを申し上げます。
 それでは次、厚生労働省青柳運営部長さんにお伺いを申し上げます。
 これは、昨年の国会でも取り上げましたが、時間の都合もありまして、四点まとめて、私の地元にあります京田辺市のウェルサンピア京都について要望を兼ねた質問をいたします。
 まず第一点、今後の売却スケジュールはどうなるでしょうか。
 次に、昨年の厚生労働委員会の質疑においても、当時の尾辻厚生労働大臣が、この売却に関しては、後は野となれ山となれとは思っていない、ぜひ今までの機能が引き継がれるような形で売却できれば一番うれしいという答弁をされています。
 このウェルサンピア京都は、同様の二百六十一施設のうち三番目の黒字を上げている優良な施設であり、関西学研都市のエリア内で、当時、京都府と京田辺市が誘致をし、道路や下水道整備も自治体が整備したわけであります。さらに、この施設は人口六万人の京田辺市で唯一の宿泊施設で、例えば、ここがなくなれば、京田辺市の新年の賀詞交歓会をする場所もなくなってしまう。ほかの民間の宿泊施設がないということであります。こういう状況にかんがみて、ぜひ現状機能の維持をお願い申し上げます。
 そして、地元自治体が取得を希望する場合には何らかの優遇をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 三つ目に、日本で三番目の黒字を上げるために、従業員の方々は多くの努力をされてきました。そして、その中で、売却に際して、できる限り従業員の方々が引き続き勤務ができるように要望申し上げます。
 最後に、民間が取得を希望される場合には、ぜひしっかりと精査をしていただきたい。どういうことかといいますと、例えば、買い取ったがうまくいかないからと、二、三年で施設を解体したり、他の用途に転用するというような企業が取得することがないように指導していただきたいと思います。
 以上、多いですが、一括して答弁をよろしくお願い申し上げます。

○青柳政府参考人 ウェルサンピア京都につきましてお尋ねがございましたので、まとめてお答えをさせていただきます。
 まず、お尋ねのございましたウェルサンピア京都については、御承知のように、昨年の十月に国から独立行政法人の年金・健康保険福祉施設整理機構に現物出資をしたところでございまして、今後、平成二十二年の九月までの間に、機構が民間へ譲渡等を進めるということが決まっております。
 現在、機構におきましては、既に運営停止をしました施設等について売却を進めるということをしておりますが、運営中の施設につきましては、個々の施設の事業価値あるいは不動産価値、こういったものをきちんと調査を行っている段階でございまして、今後その結果を踏まえて、平成十八年度以降の譲渡の方針を策定する予定というふうに承知しております。このウェルサンピア京都もその中に含まれるというふうに御理解をいただきたいと存じます。
 二点目のお尋ねでございます。
 この機構におきましては、ただいま申し上げたように、二十二年の九月までの間に民間に譲渡するということになっているわけでございますが、その場合には、私ども、いわばノルマといたしまして、年金資金への損失の最小化を図るということをきつく申し渡されておるわけでございまして、その観点からは、この譲渡に当たりましては、原則一般競争入札によるということがルールになっていることは、議員も御承知のとおりでございます。
 したがいまして、お尋ねにありました、例えば地元の自治体への優先譲渡といったような形で、あらかじめ譲渡先について制限を設けるということは、残念ながらできません。しかし、地元自治体と事前によく相談をいたしまして、その結果を買い受け者に地元自治体の意向としてきちんとお伝えをするということによりまして、結果として地元の意向が反映されるようなことも期待してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
 それから三つ目のお尋ねが、従業員の方の雇用の保持ということについてのお尋ねでございました。
 このウェルサンピア京都の職員の方については、運営を委託している公益法人の職員という身分でございますので、職員の雇用問題につきましては、一義的には雇い主である委託先の法人が責任を持って対処していただくものというふうに考えております。私ども、それから独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構におきましては、委託先の法人が行います再就職援助等に対しましても、国と独立行政法人で協力をいたしまして、例えば、施設購入者への雇用の依頼でありますとか、関連団体におきます求人情報の提供の依頼でありますとか、地方自治体や地域の経済団体等への再就職支援の依頼、こういったものを通知等によりまして、あるいは個々の事例が生じましたときによく関係機関で協議をするということのフレームワークをつくらせていただきましたので、これに基づきまして職員の雇用問題に十分配慮してまいりたいと考えております。
 最後に、四点目、まず継続して経営ができるようにきちんと譲渡してもらいたい、そして譲渡後の転売等についても不安があるというお尋ねであったかと承知をしております。
 現在、機構がこの譲渡を行うに当たりましては、施設を単に不動産として売却するのではなく、施設の事業価値にも着目をして売却をすることがより高い価値につながるということが期待されるような場合には、事業を廃止せずに、いわば生きたままこれを売却するということを一つの基本的な考え方としております。したがいまして、このような場合にありましては、結果として施設の事業継続は図られるという形になるわけでございます。
 そしてまた、譲渡後の施設の転売については、これは基本的には買い受け者の判断によるということによらざるを得ません。私どもの基本的な方針に基づきます整理機構の業務方法書の中では、この点について、例えば公序良俗に反するような使用等の禁止、そしてそういった使用に該当するようなものについての転売、転貸等の禁止がうたわれているわけでございますので、私どもとしては、本来の目的に沿った事業継続が可能な形で売却されることが最も施設にとっては望ましい姿ではないかと現時点では考えております。
 以上でございます。

○山井分科員 これがウェルサンピア京都の写真でありますが、地域の方々や従業員の方々にとっても、非常に繁盛している、お客さんもたくさん来てくれる、利用のお客さんもよく回転している、そんな中でなぜ売却されるのかという声があるんですけれども、それは、今回売却するということはいいわけですけれども、問題は、機能が維持されるように、やはり京田辺市にとって、また学研都市にとってかけがえないまちづくりの中心なわけですから、ぜひともその機能が維持されるように御努力をいただきたいと思います。
 最後の質問になります。
 これは昨年四月にも要望した件でありますが、京都南部の雇用機会増大促進地域の指定の延長についてお伺い申し上げます。
 宇治、城陽、久御山、宇治田原の四市町の地域指定はこの三月末、平成十八年三月末に終了する予定であります。現在、経済状況は全国的には好転していると言われておりますが、私の地元である京都南部の地域経済は好転しておらず、多数の求職者に対して相当程度雇用機会が不足しているという厳しい状況が続いております。
 ついては、近々京都府から申請が上がってくるかと思いますが、ぜひ四月以降の地域指定の延長に厚生労働省として同意をしていただきたい。いかがでしょうか。

○高橋政府参考人 お尋ねの宇治市等を含みます地域におきます雇用開発計画、地域雇用機会増大計画でございますが、御指摘のとおり、本年三月で終了するというものでございますが、京都府におきましてはこの計画を更新したい、こういう御意向であるというふうに承知をいたしております。
 今後、京都府知事から厚生労働大臣に対しまして、正式にその計画への同意を求める協議というものが出ることになろうかと思います。その場合には、厚生労働大臣の諮問機関でございます労働政策審議会での御意見も伺いながら、同意の可否を判断していくということになろうかと思います。前広にいろいろ御相談はいただいておるわけでございまして、現時点におきまして、同意につきまして特段支障となるような御事情というものはないのではないかというふうにも理解をいたしておりますが、いずれにしましても、正式な協議をいただきましたら判断をしていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。

○山井分科員 質問時間が終わりましたので、終わらせていただきます。ありがとうございました。

Posted at 2006年03月01日 固有リンク | Comments (2) | TrackBack

2006年3月