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衆議院本会議議事録(障害者の自立の支援及び社会参加の促進のための身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案答弁)

163-衆-本会議-7号 平成17年10月18日

○山井和則君 民主党の山井和則でございます。
 菊田議員から御質問いただきました点について、園田議員とともにお答えをさせていただきます。
 まず、精神通院公費、更生医療、育成医療についてでございますが、私たち民主党案では、従来どおり存続し、政府案にあるような障害者に一律の一割負担を求める自立支援医療は導入はいたしません。
 その理由は、まず、精神通院公費制度というのはどのような制度かといいますと、心に病を持っておられる方々がどうしても適切な医療が受けられないということで、自己負担を軽減し、クリニックやデイケアに通いやすくして、それによって社会復帰や職場復帰あるいは自殺予防に貢献している、まさに心の病を抱えている方々の命綱と言われる制度であります。これに対して、政府案はカットするということで、短期間に二十三万人もの方々から反対の署名が集まりました。
 御存じのように、日本では七万人を超える、治療が終了したにもかかわらず精神病院から退院できない社会的入院の方々がおられ、三万人を超える自殺者が毎年おられます。そのような方々にとっての命綱のこの公費負担医療をカットするということは、もっと精神病院への入院をふやし、そして社会復帰をおくらせ、ひいては自殺者すらふやしかねない、自立支援医療どころか自殺支援医療であると民主党は考えております。
 そして、更生医療、育成医療についても、まさに難病や心臓病や腎臓病を初めとする、そういう病に苦しんでおられる障害児や障害者の方々に対する大切な公費負担制度、これは民主党は存続させると考えております。通常国会でも、この政府案の前提となる基礎的データが大きな誤りがあったということが明らかになっております。私たち民主党は、このような公費負担制度で障害児や障害者の医療はしっかりとこれからも守ってまいります。

 二番目の質問の、政府案と民主党案の最大の違いは何か、そしてその理由はという質問にお答えいたします。
 公的な国の財政負担を明確にする、あるいは精神を加えた三障害を一体的に整備していく、このことについての方向性は、政府案と民主党案は共通しております。しかし、最大の違いは、定率の一割負担を政府案では導入し、サービス利用にブレーキをかけて、事実上障害者の自立を阻害する法案になっているということであります。民主党では、今までどおり、所得に応じて負担をする応能負担をとっております。
 御存じのように、国際的に見ても、先進国に比べて日本では、知的障害者が施設に入所している割合が数倍、精神障害者が病院に入院している割合が先進国水準の数倍。こういう大きく立ちおくれた二十世紀の日本の障害者福祉の現状をこれから何とかして挽回しようとするやさきに、障害者に一割の定率負担を導入する、このことはまさに福祉の流れを逆行させると言わざるを得ません。(拍手)
 七月五日には、一万一千人もの障害者の方々が、このままの自立支援法案では自立できませんという史上最大規模の要請行動を国会に炎天下の中行われました。そして本日も、この時間、大阪の御堂筋で三千人を超える障害者の方々が、私たち当事者の声を聞かないで私たちのことを決めないでという要請行動を行っておられます。私たち民主党は、このような障害者の切実な声にしっかり耳を傾け、あらゆる障害を対象とした包括的障害者福祉法を制定してまいります。
 皆さん、障害者の社会参加にブレーキをかける政府案か、障害者の社会参加を推進する民主党案か。そして何よりも、最も弱い立場の方々に負担を押しつける政府案か、最も弱い立場の方々を体を張ってでも守っていく民主党案か。これは、根本的な政治理念が問われています。
 一番心配なことが政府案にはあります。来年の四月、この法案が通れば一割負担が導入されます。そのときに、それによって作業所に通えなくなる障害者が出てきます。また、それによって閉じこもりになってしまう障害者が出てまいります。また、それによって家庭崩壊やあるいは自殺や心中事件すら起こりかねません。
 実際、ことしの二月には殺人事件まで既に起こっているんです。神戸で、障害者の息子さんを育てておられたお母さんが息子さんを殺して、自分も自殺を図られました。裁判の公判では、お母さんは障害者自立支援法の動きを知って、障害のある息子さんの前途を悲観して心中を図ったということが述べられております。
 政治とは人の命を守るものです。間違っても人の命を奪ってはなりません。それが証拠に、障害のある方に一割の定率負担、応益負担、つまり障害が重いほど自己負担を重くするというこの制度、世界じゅうで導入するのは今回の政府案が世界初であります。世界の福祉の流れに逆行することは改革とは呼ぶことはできません。これが民主党案と政府案の最大の違いであります。
 最後になりますが、与党は、対案は歓迎だ、正々堂々と議論しようと言うならば、なぜ民主党案に対して正々堂々と質問をしないんでしょうか。正々堂々と質問もせずに批判だけする、これでは、プロレスに例えたら、リングの上で戦おうと言っているのに、そっちだけがリングの下からパイプいすを投げ込んでいるような状況じゃないですか。(拍手)
 なぜ通常国会で対案を出さなかったのか。与党が修正協議をしようと言ってきたからじゃないですか。
 そして、改革の案に値しないということをおっしゃいました。それは障害者の方々が決めることであります。
 しっかりと時間をとって、私たちも対案を出したわけですから、参考人質疑、公聴会もしっかりやって、どちらが本当の改革案なのか、しっかりと障害者の方に決めてもらおうではありませんか。
 質問をして答弁をされたら勝ち目がない、正々堂々とこんな障害者をいじめる法案は壇上では議論できない、だから質問もしない、こんなやり方に断固抗議して、私の答弁を終わります。(拍手)

Posted at 2005年12月02日 14:08 | TrackBack
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