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介護保険に関する質問主意書(2005年11月)

秋の臨時国会で「介護保険制度等に関する質問主意書」を提出しました。その答弁書が返ってきましたので掲載させて頂きます。

主な内容:身体拘束の全国調査、介護報酬、痰の吸引、介護サービスの打ち切り

平成十七年十月三十一日提出 質問第六五号
介護保険制度等に関する質問主意書  提出者  山井和則


介護保険制度等に関する質問主意書

 介護保険法改正案が今年成立したが、改正の中で積み残しとなった課題も少なからず存在する。そこで以下の通り質問する。

一 高齢者虐待防止法も成立したが、国は今年二月に実施した身体拘束の全国調査の結果をいつまでに出すのか。

二 介護報酬を設定する際に、従事者に適正な賃金を支払った上で介護事業者にとって適正な剰余金を得られるよう考慮されているのか。

三 行政の指導により介護サービスの利用変更、利用打ち切りがあった場合は、ケアマネジャーではなく行政自ら利用者に対して介護サービスの利用を変更させた理由及び打ち切った理由を利用者に対して説明すべきではないか。

四 三において行政手続法の観点及び高齢の利用者が窓口で一度口頭で説明を聞いたところでただちに理解できないことから、介護サービスの利用を変更した理由及び打ち切った理由を書面で交付すべきと考えるがいかがか。

五 三において利用者が行政の説明に納得できない場合の救済手続きは、どのようなものがあるか。また不服申し立ては可能か。

六 在宅における痰の吸引が必要な者に対し、一定の条件を満たした介護職員が痰の吸引を行うことは、前回答弁書によれば「当面のやむを得ない措置」ということであるが、当面とはいつまでを指すのか。またこのような定義自体が不安定な状態であれば、介護職員、利用者ともに安心してサービスを受けたり、提供できる状況にないが今後どのようにするつもりか。
 右質問する。

平成十七年十一月十一日受領 答弁第六五号

  内閣衆質一六三第六五号 平成十七年十一月十一日 内閣総理大臣 小泉純一郎

  衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対する答弁書

一について
 御指摘の全国調査については、現在、その結果を取りまとめているところであり、本年内に公表する予定である。

二について
 介護報酬については、介護職員に支払われた給与に係る費用を含めた介護サービスに要する平均的な費用の額を勘案した上で定めることとしており、社会保障審議会介護給付費分科会における介護サービス事業者の剰余金の実態を含む経営の実態等に係る調査も踏まえた議論を経て、設定しているところである。

三から五までについて
 御指摘の「行政の指導により介護サービスの利用変更、利用打ち切りがあった場合」の意味するところは必ずしも明らかではないが、市町村が、特定のサービスを介護保険の給付対象ではないと判断し、介護支援専門員にその旨を指摘することがある。

 これは、介護保険制度の居宅サービスにおいては、介護支援専門員が指定居宅サービス等について保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、利用者の同意を得て、居宅サービス計画の作成及び変更並びに指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うこととされているためである。

 市町村から指摘を受けた介護支援専門員は、利用者に対しその旨の説明を行うことが想定され、通常は、利用者の同意により居宅サービス計画の変更が行われることから、市町村が改めて利用者に対して説明する必要は必ずしもないと考えているが、利用者が市町村に対して説明を求めた場合、利用者の理解が得られるよう十分説明を行うべきであると考えている。この場合、市町村が口頭で説明するか書面を交付して説明するかは、特に書面の交付を求められない限り、市町村がそれぞれの状況を踏まえ適切に選択すべきであると考えている。

 また、この市町村の説明については、事実上の行為であり、利用者の権利を変更するものではないため、救済手続は設けられていないが、利用者が市町村の説明に同意せずにサービスを利用し、市町村が保険給付を行わなかった場合には、利用者は各都道府県に設置される介護保険審査会に対して審査請求をすることができる。

六について
 在宅において痰の吸引が必要な者に対する介護職員による痰の吸引については、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(平成十五年七月十七日付け医政発第〇七一七〇〇一号厚生労働省医政局長通知。以下「平成十五年通知」という。)及び「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」(平成十七年三月二十四日付け医政発第〇三二四〇〇六号厚生労働省医政局長通知。以下「平成十七年通知」という。)で示した一定の場合には、当面のやむを得ない措置として許容されると考えている。
 
 このALS患者に係る当該措置の取扱いについては、平成十五年通知において、「三年後にその実施状況や在宅ALS患者を取り巻く療養環境の整備状況等について把握した上で確認する」ことを示しており、ALS以外の療養患者及び障害者に係る当該措置の取扱いについては、平成十七年通知において、「ALS患者に対する措置の見直しと同時期に、その実施状況や療養環境の整備状況等について把握した上で見直される必要がある」ことを示しているところである。

Posted at 2005年12月05日 10:19 | TrackBack
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Comments

新しい介護報酬の案が提示されましたが、身体拘束を行っている施設にたいする減算があんなに少なくてよいのでしょうか。これでは抑止力としては働かないのではないでしょうか。

Posted by: がんばってください at 2006年01月30日 12:16
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