その前に、最近感じていることを1つ。
連日、耐震偽造問題が報道されています。 この問題の本質は、私は、建築の確認・検査について、その仕組みの問題点のチェックもせずに、安易に民間企業に任せたことにあると思います。「民間でできることは、民間に」というかけ声はいいですが、しかし、安全性や人の命にかかわる問題を、制度変更の際にきちんと検証しなかったことが問題です。
あとから容易に修復・カバーできないものは、事前に必要なコストをかけることがトータルコストの削減にもつながります。
これは、以下のイギリス医療の現状とも重なる問題です。 お金をかけるべきところには、きっちりお金をかける。 公的責任を持たねばならないところは、しっかり最低限は公が 責任を持つ。ある意味当然のことですが、経済的な効率性に目を奪われたり、プラス面の表現に騙されて物事のマイナス面を忘れてしまい、陥りがちなことでもあります。
今回は、イギリスの家庭医について書きます。 ヒヤリング内容のメモからまとめました。
日本のように好きな開業医(診療所)や病院を選ぶことは、イギリスではできません。地域の決まった家庭医がまず対応します。その仕組みを説明します。
イギリス家庭医協会を訪問し、ライヤ会長、アーチャー副会長(共に医師)などに話を聞きました。 ライヤ会長はインド系イギリス人。イギリスにはインド系の医師が多いのです。
イギリスのNHS(ナショナル・ヘルス・サービス)は、無料が原則。一部の薬が有料。しかし、歯科医療は8割自己負担。保険のきかない自由診療(全額自己負担)はごく一部。
プライマリー・ケア(一次医療)では、一人の家庭医が平均1800人の人口を担当。この家庭医を経ないと病院にも行けないので、ゲートキーパー(門番)とも言われる。 患者は気に入らない家庭医を変更できる。
眼科、精神科、耳鼻科なども含めて、すべてを一人の医師が担当。 家庭医で無理なときは、病院や専門医を紹介。 つまり、家庭医が受け持つ患者は登録制。家庭医から紹介してもらえないと、専門医や病院に行けない。
日本のように、誰もが直接病院に行けるシステムより、コスト的に効率的なので、イギリスではほんの一部の人しか病院に行かないシステムにしている。多くの患者が、自分の近所の家庭医で対応できるようになっている。
車の事故や急に倒れたという緊急時は、救急病院に行くが、95%の患者が家庭医で対応している。5%の患者が専門医や病院にかかる。
法律で必ず家庭医を持つことが決まっている。
イギリスはアメリカより社会主義的なので、貧困層でも家庭医にかかれるようになっている。アメリカでは貧困層は医療にかかりにくい (4000万人以上が医療保険に入れていない)。貧困層の健康管理もイギリスでは家庭医が行っている。
一次医療はチームで行う。診療所で行う。いろんなスタッフで行う。プラクティス・ナース、診療看護師は、医師の監督下で一定の医療行為が行える。
イギリスでは、手術が必要なような限られた重症の人しか病院に行けない制度にしている。下手に病院に軽い人が行っても、他の患者から感染症がうつされる危険性があるなど逆効果のことも。
日本の議員から「一人の家庭医が、1800人担当は多すぎるのでは?」 と質問。ライア会長は、「私も多すぎると思う」と回答。
また「本当に95%の患者に家庭医が対応できるのか?」との質問に対しては、
「イギリスでは、家庭医の質が高い。私たちはゲートキーパー(門番)。風邪の患者などは、ほとんどの患者は病院に行く必要ない」とのこと。
次に、ロンドン中心部のセント・トーマス小児科病院を訪問。 180床。うち20床が手術室。病院に見えない病院を目指していて、明るい雰囲気。
子どもが居心地よいように、子どもをメンバーに入れて病院の運営協議会をつくっている。
病棟の廊下も直線でなく、曲げている。長い廊下は、「病院的」で良くないので。
イギリス医療の最大に問題である「待機リストをいかに短くするか?」 という質問をした。
「この病院では、2年前は、一般の手術の待機期間1年半だった。 今は半年。半年後には4ヶ月にする。そのような目標が決まっていて、それが実行できないと病院は罰金を払わねばならい制度になっている」 とのこと。
「医療の質は下げず、治ってないのに退院させたりさせずに、待機リスト減らせるのか?」 との質問に対しては、
「この病院での入院期間の短縮が、手術後の質を低下させたというエビデンスはない。そんな問題は起こっていない。妥当な治療が行われている」とのことであった。
家庭医から病院への不必要な紹介を減らしている。しかし、平均入院期間はそれでもアメリカの3倍。ジョナサン・マイケル院長によれば、イギリスでは、星を病院につけて、格付けしている。 「3つ星」から「星なし」まで。
ちゃんと頑張っている病院に対してはそれなりに評価してほしいという要望が現場から出たからだ。
まとめるならば、根本的に、日本とイギリスでは、医療に対する期待と認識が違う。日本はとにかく、一刻も早く、医師や病院に行きたい、かかりたい。大病院志向である。
一方、イギリスでは、風邪では薬は出さない。まず「仕事を休め」と言う。実際、イギリスでは日本よりも仕事を休みやすい。
日本人からすれば、手術に3ヶ月から半年以上も待つイギリスは異常と思う。しかし、イギリスからすれば、日本は、フリーアクセス(医療にすぐかかれる)というよりは、医療の交通整理ができず、ムダ使いが多すぎるとのこと。
以上、支離滅裂な報告になりましたが、総合点では、日本の医療のほうが上ではないかと思います。
やはり、イギリスではサッチャーが医療費の伸びを長らく抑制したことが原因で、医療サービスが大幅に不足しています。
日本でも今、医療費の抑制が国会で大きな議論になっています。確かに、無駄な医療費の削減による伸びの抑制は必要かもしれませんが、イギリスの現状を見ると、下手に医療費の伸びを抑制すると、結局は、患者が一番被害を被り、再び、医療を向上させようとしても、医師や看護師のやる気が失われ、大幅に不足した中では、容易に立て直しは難しいことを感じました。
医師や看護師などの人材育成、養成は、短期間にはできません。日本でも小児科医や麻酔医をはじめ不足している分野は多いですが、それは待遇が悪かったからです。また、看護師も慢性的な人手不足です。
日本人が本当に質のよい医療を受けたいと願うのなら、そこで働く人に、人間らしい労働条件や待遇が必要だと思います。その意味では、いま日本で議論されている診療報酬下げの議論には疑問があります。
保守党のサッチャーは、医療を大幅に抑制した。しかし、労働党政権になり、医療予算を増やした。
イギリスの医療は、日本のような保険でなく、税金で行っている。
医療制度は、ナショナル・ヘルス・サービス(NHS)と呼ばれ、無料で医療が受けられる。NHSはヨーロッパ最大の雇用者。
ブレアは医師や看護師の給料をあげ、人も増やしたので、医療も少しは良くなった。 しかし、需要(医療を受けたい人)が供給(サービス量)を上回っている。 (需給バランスを改善する)方法としては、自己負担(今は無料)を有料にして抑制するか、手術待ちの待機者を増やすしかない。 手術待ちの時間は減ってきている。 イギリスでは、手術は2ヶ月待ちや半年待ちもざらであり、保守党政権時代には、115万人も手術を待っていた。 ブレアは選挙の公約で「100万人以下に待機者をする」とし、それを実現した。しかし、それは素晴らしいことなのか。 「まだ100万人も待機者がいる」と考えるべきかもしれない。 日本のように比較的手術をすぐに受けられる国は夢のようです。
イギリスでは、日本のように直接、患者が病院に行くことはできません。まず、決まった地域の家庭医に行かねばなりません。そこからの紹介状がないと病院にも専門医のところにも行けません。
イギリス在住日本人同士の会話では、「日本のほうが医師にすぐにかかりやすいのでよい」という声が強いようです。
イギリスの医療は税金だから、予算制。
勤務医も家庭医もNHSトラストという独立行政法人の職員。 公務員に準ずる待遇。
給料は勤務医、家庭医はだいたい同じくらい。最近、少しあがったので、「医師になろう!」という人も増えていいます。
イギリスには公的な医療以外に、自由診療もあります。これは全額自己負担。こちらのほうが、医師は儲かります。
イギリスの年間医療費は、1997年はGDP(国内総生産)の5%少しでしたが、ブレアが医療と教育に非常に力を入れ、予算をつぎ込んだので、現在、9.2%に倍増しています(ちなみに、日本は7.2%であり、ここ数年で日本は追い抜かれた格好になっている)。しかし、平均寿命も伸びているので追いつきません。
「日本で今、議論されているようにGDP比で医療費を抑制する、という議論はイギリスでは無いのか?」と、日本の議員が質問しました。
「保守党は、医療や教育をカットしてきた。しかし、労働党は、その2つに力入れて、評価されている。今や保守党もその2つを削れとは言わない。 医療により多くの予算をつぎこむことは与野党で合意済み。 今では、医療のどの部分によりお金を使うか、に議論がいっている」 とイアン議員。
「なぜ、労働党は、医療予算を増やせたか?」 との質問に対しては、 「経済が活況。ロシアの脅威がなくなったので、国防費が削れた。 自然増収もある。また労働党は最初2年間、失業手当などあらゆる予算を絞り込み、その予算を医療や教育につぎこんだ」 とのこと。
以上で、海外視察報告・イギリス(その2)を終わります。
次は、イギリスの家庭医協会でのインタビューです。(つづく)
今回の視察は、私が国会議員になって6年目にして、はじめて公費で正式に衆議院厚生労働委員会から派遣されて参加したものです。
参加議員は、自民党から岸田委員長、井上議員、民主党から仙谷筆頭理事、私、国民新党から糸川議員です。
まず、本文を書き始める前にいくつかお断りをします。帰国すると忙しくて、報告をゆっくり書くことはできないし、視察の感想も日が経てばぼやけるので、なるべく帰国の途の飛行機で大急ぎで書いているものです。
よって、非常におおまかな視察の感想であり、固有名詞など細かい点には誤りがあるかもしれませんが、お許し下さい。また、滞在地のヒヤリングに関しては多くの方々の話をお聞きしましたが、さしさわりがある部分もありますので、発言者など多少ぼやかして書く点もあります。
また、書きたいことは山ほどありますが、読者の皆さんもあまり長すぎると迷惑でしょうから、絞って短く書きたいと思います。
では、早速、イギリス視察(その1)を書きます。
今は、11月30日。ドイツのフランフルト空港を発ち、あと11時間で成田着。本当は昨日、帰国する予定でしたが、スペインのバルセロナからフランクフルトに向う飛行機が2時間も遅れ、その結果、視察団は日本行きの飛行機に間に合わず、フランクフルトで一泊することになったのです。
飛行機の上で本当はワインでも飲みたいところですが、今はアルコールを飲まず、ジンジャエールを飲みながら、パソコンに向っています。
さて、視察団がまず訪問したのはイギリスのロンドン。野上大使をはじめとするイギリスの日本大使館の方々やイギリスの国会議員、医療関係者、学者などからヒヤリングを2日間行いました。
まず、私が聞きたかったのは、「なぜ、ブレア首相はアメリカと同一歩調をとり、『イラクに大量破壊兵器がある』というデマ情報を流してまで、イラク攻撃をしたのか?」 という点です。
これについては、ブレアは「フセインを倒す」という確信犯であり、「先制攻撃は国際法上、許されない」ということは超えて、「テロを撲滅するには、フセインを倒さねばならない」という決意を持っていたとのことです。
もちろん、フセインは悪人ですが、だからと言って、大量破壊兵器があるというデマ情報を流して、イラクに先制攻撃をしかけ、ミサイルを撃ち込むことは国際法上、許されません。ブレア首相は私の好きな政治家であり、ブレアも思いもわからないではないですが、しかし、この問題については失望しました。
今年5月には、イギリスで総選挙がありました。イラク問題でブレア人気は落ちていましたが、保守党の党首が良くなかったので、議席減らしつつも労働党は勝利し、ブレアは3期目に入っています。
そんな中、イギリスの国会議員会館を訪問し、イアン・デービッドソン労働党下院議員と意見交換をしました。 イアン議員は、55歳、当選4期。1992年初当選。
ちなみに、イギリスの国会議員には議員バッヂがない(私も議員バッヂはあまり好きではありません)。
まず、国会議員の1週間の生活や仕事ぶりについて聞きました。
イアン議員は、毎週月曜日朝スコットランド事務所(地元選挙区)を出発。午後ロンドンに飛行機で到着。その後、さまざまな面会。
月曜日・火曜日は、午後2時半~10時まで議会。晩10時ごろ投票。
水曜日は、午前11時半~7時まで議会。
木曜日は、11時半~6時まで議会。その後、晩9時半の飛行機でグラスゴー(地元)へ戻る。
金曜日は、選挙区のために使う日。
土曜日は、選挙区の6ヶ所の公民館などで地元の方々の声を聞く。
最近は、相談は手紙、メール、電話が多く、事務所訪問は少ないが、移民の滞在延長のビザの相談などが増えている。
選挙区の有権者6万人。投票率50%。そのうち60%がイアン議員に投票。ちなみに、私の選挙区である京都6区の有権者数は40万人弱なので、その1/6の規模です。
イアン議員自身もスコットランド(イギリス北部)出身。古い労働党(オールドレイバー (Old Labor)、左寄り)なので、「ブレアの時代は終わった。ブレアは嫌いだ」と言っていました。ブレアはイラク攻撃など保守寄りの政策を進めていたからです。ブレアは次の総選挙には不出馬を宣言しています。
あと3年後に次の総選挙。労働党はおそらくブラウン財務大臣(55歳)が次の党首になる。保守党は12月上旬に党首選挙。キャメロン(39歳)かデービス(50歳)が党首になる。どちらにしてもブラウンより若い。
ブラウンにより、オールドレイバー(古い労働党)に戻るかどうかはわからない。それをイギリスが求めているのかどうか?
ある保守党議員は、「イギリスのためにはブレア首相はよい(保守党の政策に近いので)。 しかし、保守党にとっては(選挙に勝てないので)ブレア首相は良くない。 ブラウンはイギリスのためには良くない(左寄りなので)が、保守党のためには良い(ブラウン相手になら選挙に勝てるので)」 と言っていました。
(つづく)秋の臨時国会で「介護保険制度等に関する質問主意書」を提出しました。その答弁書が返ってきましたので掲載させて頂きます。
主な内容:身体拘束の全国調査、介護報酬、痰の吸引、介護サービスの打ち切り
平成十七年十月三十一日提出 質問第六五号
介護保険制度等に関する質問主意書 提出者 山井和則
介護保険制度等に関する質問主意書
介護保険法改正案が今年成立したが、改正の中で積み残しとなった課題も少なからず存在する。そこで以下の通り質問する。
一 高齢者虐待防止法も成立したが、国は今年二月に実施した身体拘束の全国調査の結果をいつまでに出すのか。
二 介護報酬を設定する際に、従事者に適正な賃金を支払った上で介護事業者にとって適正な剰余金を得られるよう考慮されているのか。
三 行政の指導により介護サービスの利用変更、利用打ち切りがあった場合は、ケアマネジャーではなく行政自ら利用者に対して介護サービスの利用を変更させた理由及び打ち切った理由を利用者に対して説明すべきではないか。
四 三において行政手続法の観点及び高齢の利用者が窓口で一度口頭で説明を聞いたところでただちに理解できないことから、介護サービスの利用を変更した理由及び打ち切った理由を書面で交付すべきと考えるがいかがか。
五 三において利用者が行政の説明に納得できない場合の救済手続きは、どのようなものがあるか。また不服申し立ては可能か。
六 在宅における痰の吸引が必要な者に対し、一定の条件を満たした介護職員が痰の吸引を行うことは、前回答弁書によれば「当面のやむを得ない措置」ということであるが、当面とはいつまでを指すのか。またこのような定義自体が不安定な状態であれば、介護職員、利用者ともに安心してサービスを受けたり、提供できる状況にないが今後どのようにするつもりか。
右質問する。
平成十七年十一月十一日受領 答弁第六五号
内閣衆質一六三第六五号 平成十七年十一月十一日 内閣総理大臣 小泉純一郎
衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の全国調査については、現在、その結果を取りまとめているところであり、本年内に公表する予定である。
二について
介護報酬については、介護職員に支払われた給与に係る費用を含めた介護サービスに要する平均的な費用の額を勘案した上で定めることとしており、社会保障審議会介護給付費分科会における介護サービス事業者の剰余金の実態を含む経営の実態等に係る調査も踏まえた議論を経て、設定しているところである。
三から五までについて
御指摘の「行政の指導により介護サービスの利用変更、利用打ち切りがあった場合」の意味するところは必ずしも明らかではないが、市町村が、特定のサービスを介護保険の給付対象ではないと判断し、介護支援専門員にその旨を指摘することがある。
これは、介護保険制度の居宅サービスにおいては、介護支援専門員が指定居宅サービス等について保険給付の対象となるかどうかを区分した上で、利用者の同意を得て、居宅サービス計画の作成及び変更並びに指定居宅サービス事業者等との連絡調整その他の便宜の提供を行うこととされているためである。
市町村から指摘を受けた介護支援専門員は、利用者に対しその旨の説明を行うことが想定され、通常は、利用者の同意により居宅サービス計画の変更が行われることから、市町村が改めて利用者に対して説明する必要は必ずしもないと考えているが、利用者が市町村に対して説明を求めた場合、利用者の理解が得られるよう十分説明を行うべきであると考えている。この場合、市町村が口頭で説明するか書面を交付して説明するかは、特に書面の交付を求められない限り、市町村がそれぞれの状況を踏まえ適切に選択すべきであると考えている。
また、この市町村の説明については、事実上の行為であり、利用者の権利を変更するものではないため、救済手続は設けられていないが、利用者が市町村の説明に同意せずにサービスを利用し、市町村が保険給付を行わなかった場合には、利用者は各都道府県に設置される介護保険審査会に対して審査請求をすることができる。
六について
在宅において痰の吸引が必要な者に対する介護職員による痰の吸引については、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(平成十五年七月十七日付け医政発第〇七一七〇〇一号厚生労働省医政局長通知。以下「平成十五年通知」という。)及び「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」(平成十七年三月二十四日付け医政発第〇三二四〇〇六号厚生労働省医政局長通知。以下「平成十七年通知」という。)で示した一定の場合には、当面のやむを得ない措置として許容されると考えている。
このALS患者に係る当該措置の取扱いについては、平成十五年通知において、「三年後にその実施状況や在宅ALS患者を取り巻く療養環境の整備状況等について把握した上で確認する」ことを示しており、ALS以外の療養患者及び障害者に係る当該措置の取扱いについては、平成十七年通知において、「ALS患者に対する措置の見直しと同時期に、その実施状況や療養環境の整備状況等について把握した上で見直される必要がある」ことを示しているところである。
163-衆-厚生労働委員会-7号 平成17年10月26日
○植民地時代の韓国・台湾のハンセン病療養所入所者による訴訟の判決に対する対応について
○精神病院への社会的入院の解消について(グループホームの設置場所、32条通院公費問題)
○障害程度区分、国庫基準について。
○山井委員 民主党の山井和則でございます。
一時間、尾辻大臣に質問をさせていただきます。まさにこの自立支援法の根幹的な部分についてお伺いしたいと思いますが、まずその前に、少しだけ時間をいただきまして、昨日、東京地裁の判決が出ました。台湾、韓国のハンセン病の元患者の方々、療養所の入所者の方々が厚生労働相の処分の取り消しを求める東京地裁の判決が出たわけでございます。
御存じのように、台湾側勝訴、そして韓国側は敗訴ということになったわけですが、大臣も御存じのように、四年前、ハンセン病の元患者の方々、そして被害者の方々を一括救済するということで議員立法で法律をつくったわけでありますが、その法律が不十分であったということで国会の責任も今回問われているわけであります。
この問題は、まさに患者の方々も大変御高齢になっておりまして、もうこれ以上、第二、第三の被害というものを、これ以上苦しめることは、本当にこれは日本の恥であるというふうに思います。植民地支配、またそれに続く隔離政策、そしてさらに、今日においてもまだこのような日本の政府の態度というのは、当然国際的に見ても許されるものではございません。このことに関しては、この議員立法において十分そういう想定がされていなかったという国会議員の責任もございますが、はっきり申し上げて、法改正ではなく告示を変えれば済むということであります。
そこで、尾辻大臣に二点お願い、御質問を申し上げます。
一点目は、この原告の方々、元入所者の方々が今日本におられるわけですから、ぜひともお目にかかって直接お話を聞いていただきたいということが一点。それともう一つは、まさにこれは法改正は必要なく、告示を変えれば、その運用解釈を変えれば済むことでありますから、尾辻大臣の政治的判断で早期に決着を図っていただきたいと思います。尾辻大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 昨日出ましたハンセン病の訴訟に関して二点お尋ねがございました。
一点は、原告の方々とお会いすることを考えてはどうかということでございました。これにつきましては、多くの方からもそういうお話がございますので、近くといいますか一両日中にはお会いしたいというふうに考えております。
それから、今後の対応についてのお尋ねでございます。改めて申し上げるまでもないことではありますが、昨日東京地裁で判決が言い渡されました二件の訴訟は、いずれも、戦前、日本が韓国、台湾に設置をいたしましたハンセン病療養所の元入所者の皆さんが、ハンセン病補償金の支給請求を棄却いたしました厚生労働大臣の処分の取り消しを求めておられたものであります。
今回の判決では、これもお話しいただきましたけれども、韓国のハンセン病療養所である小鹿島更生園の元入所者を原告とする訴訟については、海外の療養所が当然には補償の対象となるものではないということで国の勝訴になっておりまして、一方、台湾の療養所でございます楽生院に係る訴訟につきましては、国の敗訴という結果となりまして、全く同じといいますか、同様と言った方があるいは正確なのかもしれませんが、争点でもあるにもかかわらず司法判断が分かれたところでございます。
こういうふうに司法判断も分かれておりますので、今後の対応をどうするかということになりますと、やはり判決内容もいま一度詳細に検討する必要もありますし、また、私どもだけで結論が出せるわけじゃございませんで、関係省庁とも協議をしなきゃなりませんが、そうした上で対応は決めさせていただきたいと存じております。
○山井委員 先ほども申し上げましたように、これは法改正は必要ありませんし、まさに告示の部分の解釈運用を変えれば済むことでありまして、これはまさに全面解決するかどうかは尾辻大臣の政治判断にかかっているわけであります。原告の方々も御高齢であり、本当に、植民地支配、また戦後の強制隔離政策、これ以上の悲しみを与えるということは、国際的に見ても人権上の観点からも許されるわけではありませんので、早急な尾辻大臣の政治決断をお願いしたいと思います。
それでは、障害者自立支援法の議論に移らせていただきたいと思います。
この障害者自立支援法、半年審議をしておりましたが、まだ不明な点が多過ぎるし、障害者の方々も不安で不安でたまらないということをおっしゃっておられます。そんな中で、私は本当にきょうの限られた時間の中で最も根幹的な部分を幾つか取り上げさせていただきたいと思っております。
まず、尾辻大臣にお伺い申し上げます。
厚生労働省は、今から十年以内に七万二千人の社会的入院を精神病院から解消するということをお約束されていたと思います。また、この法案でも、脱施設、脱病院、地域で暮らせる社会にということを目指しておられるのではないかと私は今までの答弁を聞いて思っておりますが、その社会的入院の解消、そして脱施設、脱病院という方針について、尾辻大臣、間違いはないか、最初に確認をしたいと思います。
○尾辻国務大臣 障害者の皆さんが地域の中で暮らしていただくということが一番いいことでございますので、私どもは、その方向でぜひ世の中が進んでいくようにということを考えて今回の法案もお願いをいたしておるわけでございます。
特に、精神障害者の皆さんについて見ますと、どうしてもやはり今まで入院中心でございましたから、これを居宅中心といいますか在宅中心といいますか、その方向に持っていきたい、これは私どもの願っておるところでございます。したがいまして、今先生がおっしゃったことはそのとおりでございます。
○山井委員 今の、精神障害者の方々に対しては在宅中心、居宅中心でやっていきたいというのは、非常に重い発言だと思っております。
それでは、資料をちょっと見ていただきたいんですが、私の配付させていただいた資料の五ページ目、大臣、見ていただけますでしょうか。これは先日、柚木議員からも指摘があった資料であります。厚生労働省作成、利用者負担額の影響額。居宅においては、見直し前の負担額が十三億、しかし、見直し後は七十三億。通所においては、約六億が見直し後七十六億。入所施設においては、二百十七億が三百四十七億。つまり、居宅においては約六倍、利用者負担額がトータルでふえていく、そして通所施設においては約十二倍、負担額がふえているわけです。
先ほどおっしゃった、在宅中心が障害者の願いであるからその方向で進めていきたいという大臣の話と、利用者負担は在宅では六倍、通所の作業所や通所施設では十二倍、言っていることとやっていることが違うのではないですか。自己負担をこれだけふやすということは、当然、利用しにくくなるということじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 まず、お示しいただきました資料でございますが、利用者負担額の影響額として私どもがお出ししたものでございます。そして、これはマクロの数字で、総額であらわしておりますけれども、倍率を計算すれば、これはこの倍率であることは間違いありませんから、それぞれの皆さんの負担がどうなるかという計算をした今の倍率は、そのとおりであるということをまず申し上げるところでございます。
今回の利用者負担の見直し、そもそもどういう考え方でお願いするかということについては、何回も申し上げておりますから、改めて申し上げません。
ただ、今回の利用者負担の見直しにおきまして在宅サービスの上がり幅が大きいのは、従来入所施設は、応能負担のころより、まあ従来よりというふうに申し上げた方がいいわけでありますけれども、約九割の方に費用負担をいただいておりまして、その利用者負担率も食費を含め約一割程度の負担を既にいただいていたということがございます。従来、入所施設の方にはそれなりの負担をしていただいていた。それに対しまして、在宅の方でございますけれども、ホームヘルプサービスでありますとか通所サービスについては、費用負担をしていただいている方は約五%程度にとどまっておりまして、また、利用者負担率については約一%という低い水準にとどまっていたということが背景にございます。
すなわち、今までの水準が低かったので、今回皆さんにみんなで支え合おうということで負担をお願いしまして、そういたしましたら、その上がり幅が大きくなったということは、そのとおりでございます。
ただ、ぜひ申し上げたいことは、私どもは在宅中心にしたいということを申し上げております。そのことは、私どもは予算額で皆さんに私どもの気持ちはお示しをしておるつもりでございまして、平成十八年度の概算要求では、居宅サービスについては二百七十八億円増、すなわち、割合にして三二・六%増、給付費全体の伸びの一〇・八%を大きく上回る伸びを見込んで要求をいたしております。すなわち、総額で在宅に対して大きな予算要求をし、そこに予算をつぎ込んでこのサービスの量をふやそう、まさに在宅に力を入れようということを申し上げているところでございます。
○山井委員 いろいろ説明はございましたが、数字は紛れもない事実を物語っているわけです。今よりも通所と在宅の負担を急激にふやして、在宅サービス、通所サービスを受けづらくする法律である、このことは数字が紛れもなく語っているわけですね。
それで、今、在宅中心ということをおっしゃいました。尾辻大臣、改めてお聞きします。在宅中心、在宅移行、在宅という言葉の定義ですが、その在宅という言葉には病院や施設の敷地内は含まれていないですよね。当たり前ですが、確認します。
○尾辻国務大臣 恐らく、今そのお尋ねであれば、この後グループホームだとかケアホームの話が出てくるんだろうというふうに思いますけれども、あえて先走ってお答え申し上げるのもいかがかと思いますので、今のお話でいえば、極めて常識的に言えば、それは、病院の敷地の中が自宅だということにならないということはまず申し上げたいと存じます。
○山井委員 それで、まさにここからが問題なんですが、きょうの朝も菊田議員から質問がありましたが、厚生労働省は、今後、知的障害者のグループホームやケアホームを知的障害者の施設の敷地内につくることを許す方向で検討している、そして、精神障害者のグループホームやケアホームに関しても精神病院の敷地内につくることも含めて検討しているということを、きょう菊田議員の質問に対する答弁でおっしゃいました。
しかし、今おっしゃったように、地域移行と在宅中心ということを言っているわけでしたら、病院の中のグループホーム、施設の中のグループホームというのはあり得ない話であります。グループホームの理念は、地域で暮らすということであります。
そして、資料の一ページ目をごらんください。これは厚生省児童家庭局障害福祉課が監修した平成元年の「グループホームの設置・運営ハンドブック」、当時の浅野史郎障害福祉課長、まさにこのグループホーム政策を進められた、原動力になった浅野史郎課長の際に作成されたものであります。これも午前中の菊田議員の質問と重なりますが、「グループホームとして使用する住宅は、原則として一般住宅地内に位置し、」「施設や通勤寮と同じ敷地の住宅は望ましくありません。」そして、「一般住宅地の中にあることは絶対の条件です。」ということが厚生省の監修として書かれております。
そういう意味では、今議論されているケアホーム、グループホームは、当然地域の中、つまり施設の敷地内ではない、病院の敷地内ではないと私は理解をいたしますが、大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 あえて先生が私にだけに答弁を求めておられる、まさに政治家同士で議論をしようと言っておられる御趣旨を私も理解しておるつもりでありますので、余り役人が答えるみたいな細かい部分にひっかかってお答えするつもりは全くありません。
ただ、一つだけ申し上げさせていただきたいことは、先ほどのお答えの中でもそう申し上げておるつもりでありますけれども、今後のグループホーム、ケアホームのあり方についての議論の中で、いろいろなことを選択の中で議論しなきゃならないということを申し上げたところでありまして、知的障害者の皆さんのケアホーム、グループホーム、それから精神障害者の皆さんのグループホーム、ケアホーム、これもどう整理するか、同じ中で考えるか分けて考えてみるかとか、そうしたことは今議論をしておるところでありまして、決して一定の方向を持って先ほど御答弁申し上げたつもりでないことだけは申し上げておいた方がいいかなと思うものですから、申し上げたところでございます。
そこで改めて、今の御質問についてお答え申し上げますと、グループホームやケアホームは、病院や施設と異なりまして、地域に住む人と自然に交わりながら、住居から離れた日中活動の場へ通うという点に特徴があると考えられます。また、今回私どもが言っておりますことの一つに、一つの施設の中で昼も夜も生活なさるよりも、夜お休みになるところ、住居とするところと、昼は通っていくという、その場所の移動、変化ということはぜひやっていただきたい、私どももその方向で考えたいと言っておるわけでございまして、そうした中でこうした問題も考えておるわけでございます。
まず基本に、そういうふうに思っております。したがいまして、基本に病院や施設とは異なるということを申し上げたところは御理解いただきたいと思います。
ただ、これは、これから先を申し上げると先ほどと同じことになりますので申し上げませんが、両論あるものですから、私どもは、その両論の御意見をよく伺いながら今後の答えを出したいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、私どもが方向を持って考えておるということはないことだけは申し上げておきたいと存じます。
○山井委員 これはもう結論が出ているはずなんですよ。七ページ目に、平成十四年十二月十一日、私の質問に対する坂口大臣の答弁がございます。このときは医療観察法案という非常に問題が多い法案を審議しておりまして、その中で厚生労働省は何度も社会的入院七万二千人を解消するということを約束いたしました。民主党に対して約束をいたしました。
その中で私が、病棟を改築したり敷地内につくって看板をかけかえて、それでまさか社会的入院をなくすということではないでしょうね、社会復帰ということは、隔離された病院の社会から地域に社会復帰することだと思うんですけれども、施設の敷地内ではなくて地域に社会復帰するということでいいのかということを聞きました。
坂口厚生大臣はこう答えております。「それはやはり、地域にお戻りをいただかないと意味がありませんから、そのように理解をいたしております。しかし、病院が存在するのも一つのその地域でありますから、その病院が存在するところの地域について、どこにつくるかということは、あるいはその病院に近いということだってそれはあり得るというふうに思いますが、そこに入っている人が、それぞれの郷里の、郷里と申しますか、おうちがあります地域にやはりお戻りいただけるようにしなければいけない」明確に地域に帰ることだと坂口大臣は約束しているわけです。
いろいろな議論があるんじゃないんですよ、尾辻大臣。もし、この厚生省の正式の答弁、大臣の約束を変えるならば、一回整理してください。この答弁、変わっているんですか、それ以降。
○尾辻国務大臣 今、坂口大臣の答弁を私も見ておりますけれども、お読みになったとおりでありまして、「それぞれの郷里の、郷里と申しますか、おうちがあります地域にやはりお戻りいただけるようにしなければいけないというふうに思っております。」という答弁をしておりますが……(山井委員「明確に言っているじゃないですか」と呼ぶ)これはこのとおりでありまして、私どもも全くそのとおりに思っております。先ほどから申し上げておるとおりでございます。
ただ、ここで禅問答みたいなことを始めてもしようがないと思うんですが、これを読みますと、坂口大臣がその前に何と言っておられるかというと、「病院が存在するのも一つのその地域でありますから、その病院が存在するところの地域について、どこにつくるかということは、あるいはその病院に近いということだってそれはあり得るというふうに思いますが、」という何か表現をしておられますから、その表現の中ではいろいろなことを意味されたんじゃないかなと、私は今これを読み返して理解をするわけであります。
改めてですが、こういう議論ですから率直に申し上げた方がいいと思いますので、改めてですけれども、さっき七万二千人の話もなさいました、その人たちを、やはり、まずできるだけ早く自宅に帰っていただきたい、それを進めたいという思いは、先生もそうおっしゃいますし、我々もそう思っております。
それを進めるときに、これは御意見の中にあるということで申し上げるんですが、多くの御意見の中には、直ちに十分なサービス量を地域で確保することが困難な今状況にある、ですから、現実的には、先ほど来先生がそれはやめるべきだと言っておられるようなことも、まず一定の条件のもとで考えてみたらどうだという御意見もあるということだけは事実でございますし、私どもはまた、そうした御意見をお聞きしながら答えを出していかなきゃならぬと思っております。
ただ、余り私がこういうふうに言いますと、何となく印象としてその方向で私どもが考えているというふうに理解されるとまた困ると思いますのであえて申し上げますが、決して、今、私どもがそういう方向で答えを出そうとしておるということではないことだけは繰り返し申し上げたいと存じます。
○山井委員 ノーマライゼーションの社会をつくっていく、施設や病院から出て、地域で障害のある方が暮らしていく社会をつくる、その中のグループホームというのは一番根幹じゃないですか。そして、そのグループホームが地域の中にあるというのは世界の常識じゃないですか。もしそんなグループホームを病院の敷地内や施設の敷地内につくったら、世界の福祉関係者から笑われますよ。そんなことをしている国はどこにあるんですか。
これはやはり根幹的なことですよ。大臣、私たちは国会審議しているんですからね、国会審議では根幹的なことは詰めないとだめなんですよ。大臣、この問題は、もし精神病院の敷地内にグループホームや看板のかけかえを許すのならば、社会的入院なんか二、三カ月で解消してしまうじゃないですか。大臣、このことはやはり国会審議中にはっきりさせてくださいよ。根本的な問題ですよ、これは。大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 外国のこともお話しになりましたのであえて申し上げますと、やはりその国々のそういうことに取り組んできた経緯、歴史もありますから、その中でそれぞれのやり方でやっておるというふうには理解をいたしております。ですから、日本はまた日本の与えられた条件もあります、これまでやってきたこともあります。そしてまた、今申し上げましたように、現実的に判断しなきゃならないということもあるわけでございまして、そうした中での判断をしなきゃならぬということでございます。
ただ、先生はそうおっしゃいますけれども、先生はそうおっしゃるんですが、また一方から強い御意見もあるわけでありますから、そうした御意見、国民の皆さん方の御意見であります、声であります。国民の皆さん方の声はやはりよく私どもはしっかり受けとめて、どこに答えを出すのが一番適切なのか、これは十分吟味をさせていただきたいと思います。
○山井委員 そういう根本的な政策変更というのは国会審議のほかでやることは許されませんよ、それは。
委員長、これまた理事会でこの問題は、やはりこの問題はこの法案の根幹にかかわることですから、きっちり、審議の終局までにこのことをはっきり方向性を出してもらうということで理事会に諮ってほしいと思いますが。委員長。
○鴨下委員長 後刻理事会で協議はいたします。
○山井委員 これは、日本の全国のこういうグループホーム関係者や大多数の福祉関係者は、尾辻大臣、もう悲鳴を発しておられるんですよ。こんな世界の笑い物になるような、今までの施設から出て地域に暮らそう、病院から出て地域に暮らそうということを百八十度ひっくり返すようなことを軽々と答弁しないでくださいよ。これはしっかり坂口大臣も言っているんですから、地域に戻ってもらわないと意味がないということは。そのことはぜひとも強くお願いをしたいと思います。
次に、きょうの午前中の答弁でも、精神障害者の病院からの社会復帰ということを部長さんもはっきりと答弁をされていました。しかし、今回の政府案で、本当に精神障害者の方々が地域で暮らしやすくなるのでしょうか。尾辻大臣、これは私もたびたび質問している三十二条、精神通院公費の問題ですからおわかりだと思います。
簡単に申し上げますと、厚生労働省は、三疾病、ここに資料がございます、この資料の三ページ、統合失調症、そして躁うつ病、てんかん、この三疾病に、三十二条を変えていくときの重度かつ継続の範囲を限るということを言っているわけですね。これは大臣も、二週間前に質問したことですから覚えておられると思いますが、この資料を詳しくは説明しませんが、しかし現場では、前回も申し上げたように病名では全く区切ることができないということになっているわけです。
地域で精神障害者が暮らすためには、服薬やクリニックやデイケアは、医療のベースからやはり不可欠なんですね。まさにこれから社会的入院を解消していくためにも、一つの命綱として非常に重要な役割を果たしているんです。それを今厚労省はなくそうとしているわけです。そしてその一部分を重度かつ継続で救おうとされているわけですよね。
それについて心からのお願いですが、疾病名で削るというのは現場の方々にとっては不合理だ、何で病名で削れるんだということは一致した意見です。ぜひとも、前回も質問しましたように、疾病名ではなく状態像で区切ってほしい。そして尾辻大臣は、そのときこう答弁されましたね、お約束いたします、もう一回、私もよく皆さんの意見を聞いてみます、そして判断いたしますということを二週間前に答弁をいたしました。この国会もあと五日間で終わろうとしております。ぜひその判断をお聞かせ願いたいと思います。
○尾辻国務大臣 こういうやりとりでありますから、先ほどの理事会でお求めになりました件につきましても、私からも改めてお願いをしておきたいと思うのでありますけれども。
私どもが例えば坂口大臣の答弁を変えたというふうに決めつけておられるんですが、私はさっき申し上げましたように、一番基本の精神のところでは坂口大臣の答弁のとおりに私どもは思っておりますと、まずそのことを認めました。それから、坂口大臣がその前段で言っておられることというのは、これは禅問答みたいなところがあって、必ずしも先生が言っておられるようなことを否定された答弁ではないのじゃないでしょうかというふうにも申し上げました。
先生が御議論をお進めいただくときに、どうぞその辺についても先生のお考えを明確にお示しいただいて、私どもとの違いというのをはっきりさせていただいた方が、また私どもも議論がしやすいと思いますので、あえてお願いをいたしたわけでございます。そのことは私からのまたお願いにもさせていただきたいと思います。
ところで、三十二条の議論でございます。これは、私も実は、率直に言いますけれども、不思議に思っていることが一つあるんです。これは最初は状態でと言ったはずなんです。それが専門家の皆さんの御意見が、私の理解しているところを言いますよ、途中から三疾病になったと私は理解しています。これが私にとっては正直に言って不思議に思っているところなんです。先日、先生に私なりによくもう一回調べてみますと言ったのは、実はその辺の思いがあって申し上げたことを今改めて率直に申し上げます。
それで、その後私も担当を呼んで、一体この辺はどうなっているんだ、私にもようわからぬということを言って、いろいろごしょごしょごしょごしょ言っていましたが、何かちょっと、これも正直に言います、ここで申し上げにくいようなことも言っておりました。何か本音のところはこうなんじゃないですかというような話もしておりました。私なりにその辺を不思議に思っていて、そのところは私なりによく調べてみたいと思って先生にお答え申し上げ、その後、私なりに聞いたところはございます。
ただ、そんな話を今していてもある意味で前進にはなりませんので申し上げるのですが、これだけは、この前もその思いを込めて申し上げたつもりでありますけれども、三疾病で限るなんということは絶対に思ってもおりませんし、そうするつもりもありません。
そしてまた、専門家の皆さんの御議論で、症状で判断できるというような話であればそれもよしと私は思いますし、いや、やはり疾病名だとおっしゃるならば、それでは疾病名をどうしましょうかと。今とりあえずどなたにも文句がないのが三疾病だというふうに私は理解しているんですが、その三疾病はだれも文句を言わないのだから、とりあえずその三疾病はそうしておきましょうと。それで、今後これにどう加えていきますかねという御議論をしておられるさなかだと私は理解しておりますので、そういう御議論をしていただければというふうに思っておるところでございます。
○山井委員 今のは非常に重要な点でありますので、確認をしたいんですが、先ほども私の知り合いの方から電話がありまして、やはりこの三十二条だけは何とか救ってほしいと。要は、精神障害者の方あるいはうつの方、本当に閉じこもりがちになって社会復帰できない、あるいは社会参加できない、もっと言えば本当に自殺をするかどうかわからない、そういう方々を現場の方々が必死になって支えておられるわけですよね。その方々がデイケアに行ったり服薬を受けたりクリニックに行く、その命綱がこの重度かつ継続の部分になるわけなんです。
そういう意味では、現場にぜひ裁量の余地を持たせてほしい。しゃくし定規に三疾病とか決めてしまうと、もう現場としてはにっちもさっちもいかなくなってしまうんですね。これは現場の方々の切なる願いであり、悲鳴であり、日本の社会がどうやって自殺を減らしていくのか、精神障害者に優しい社会をつくっていくのかという、まさにこの一番重要なところですので、三疾病に限らず、状態像で判断していくということをぜひ明確に御答弁いただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、このことにつきましては専門家の皆さんの御議論をずっといただいております。ですから、ぜひその専門家の皆さん方がきっちりした御意見を出していただき、結論を出していただきたい。せっかく専門家の皆さんに集まっていただいて議論していただいているわけですから、これは私から言わせていただくと、しっかりした答えを出していただかなきゃ困ると思っておりまして、ぜひその答えを出していただきたい。その答えが出る前に私が何か予断を持って申し上げるというのはやはり避けておこうというふうに思っておりまして、先ほども状態でという答えが出ればと言っただけでありまして、そっちの方向がいいとか、何とかと言っていることでないことだけは、誤解があるといけませんので改めて申し上げたいと思います。
ただ、少なくとも、言っておりますことは、今の三疾病に限りと、そんな狭くこの問題をとらえようという、そういうことではありませんということだけは、そのとおりでありますから申し上げておるところでございます。ぜひ御理解いただきたいと存じます。
○山井委員 これは本当に、そういう大事なところを国会審議中にやはり明らかにするのが当たり前でありまして、ぜひともそういう答えが出るまで国会審議を続けていきたいというふうに思っております。
次に、この法案の最大の不安の一つが、尾辻大臣、障害者の方々からこういう声を聞くわけです。私のサービスはこの法案になったらどうなるんですか、維持されるんですか減るんですか、あるいは、障害程度区分で幾つぐらいになるんですか。そしてまた、その障害程度区分というのは国庫補助基準で幾らぐらいになるんですか、それがないと不安で不安で仕方がないという切実な声が連日のように私のもとに届けられております。
尾辻大臣、そこで、もう半年も審議しているんですから、そして障害者の方々がどんなサービスが利用できるのかさっぱりわからないというふうに不安のどん底におられるわけですから、障害程度区分は幾つに分けるのか、そして、それぞれの基準はどういうふうな基準で分けるのか、また、それぞれについてどれぐらいのサービスの量や国庫補助基準にするのか、やはりそろそろ明らかにすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 何点かお述べになりましたので、まず障害程度区分の基準というところでお答え申し上げたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。その後、お述べになりましたことで御質問がありましたら、また改めての御質問をしていただきまして、お答え申し上げたいと思います。(山井委員「簡略にお願いします。そろそろ明らかにしてくれという質問ですから」と呼ぶ)
それでありましたら、まず、どの程度の段階を考えておるのかということでございましたので、六段階程度を考えておりますということは申し上げたいと思います。
それから、今、これはもう御案内のとおりでありますけれども、試行事業をやってその分析をいたしておりますので、この後、この分析も進めますと同時に、まさに関係団体の皆さんの御意見も聞かなきゃいけませんし、また同時に有識者の御意見も伺いながら、年内には必ず、必ずと言いますとまた後でということがありますので、年内にはという表現に改めさせていただきますが、年内には適切な障害程度区分を設定したいというふうに考えております。
○山井委員 先ほども聞きましたように、六つに分けるということで、その中で、それぞれ、例えば一番高いランクだったら何時間ぐらいのホームヘルプが受けられて、どれぐらいの国庫補助基準になるんでしょうか。
○尾辻国務大臣 より詳しくお答え申し上げるなら局長からお答え申し上げた方がいいと思うのですけれども、きょうのところは先生は私に答えろということでございますから、私に答えられる範囲で申し上げますと、それぞれの程度区分において基準はつくりますけれども、その基準の中でサービスを受けていただくということでございます。ただ、介護保険のように限度額を決めてここまでというやり方ではございませんので、適切なサービスを受けていただくということが一番基本でありますし、また、契約を基本にしておるわけでございますから、契約に基づいてということになるわけでございます。
今先生がお尋ねになっておられる、一番最初の不安というふうにおっしゃったことで大きくお答え申し上げますと、今まで受けておられる適切なサービスが受けられなくなる、そういう意味での水準を落とすということは、決していたしませんということは繰り返し申し上げておるところでございます。
○山井委員 今まで受けている適切なサービスは水準を落とさないと言っても、個々の人にとったらさっぱりわからないわけです。ある私の知り合いの方は、市役所に行って、この自立支援法が通ったら私のサービスはどうなるんですかと聞いたら、市役所の担当者は、さっぱりわかりませんと答えているんですよね。尾辻大臣、私たち国会で法律を審議する人間として、障害者の方々が自分たちのサービスがどうなるかが全くわからない、それで法案を通すということができると大臣は思われますでしょうか。
例えばALSの方々も、多くは重度訪問介護というのに当たると思います。ALSの患者さん方、そしてまた重度の障害者の方々、二十四時間的なサービスを必要とする方々、多くの方々、私もいろいろ話をしておりますけれども、その方々にとっても、重度訪問介護というのは、国庫補助基準、何時間ぐらいサービスを利用できるのか、それをぜひ知りたい。それが三百時間なのか五百時間なのか、それによって今までの生活が続けられるのかあるいは続けられなくなってしまうのか、人工呼吸器をつけている方は地域で暮らせるのか暮らせないのか。そういうことが決まるのは、やはり数字が出ないとだめなんですね。
尾辻大臣、この重度訪問介護、一カ月大体何時間ぐらいのホームヘルプが受けられるのか、そして国庫補助基準は幾らぐらいでしょうか。
○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、障害をお持ちの方で今サービスを受けておられる方、この方々が適切なサービスを受けておられるという、その水準を私どもが下げるということは決して考えておりませんし、また、そんなこともいたしません。ですから、必要なサービスは必ず受けていただきますということだけは繰り返し申し上げておるところでありまして、それはそのように御理解いただきたいというふうに思います。すべての方々にそのことはお約束をいたしておるところであります。
もう一回言いますけれども、必要なサービスは受けていただきます。受けていただけるようにしますということでございます。そして、その金が足らなくならないように、ちゃんと予算の措置もします。必要な経費として、義務的な経費として国は責任を持ちますというところも申し上げておるところでございます。
ただ、今そうした中で、では重度の障害をお持ちの方は一体どうなるんだというお話でもございましたので、そのことについても改めて申し上げておきたいと存じます。
地域で暮らしておられる重度の障害者の方々を支えていくということは、これは極めて重要な課題であると私どもも当然認識をいたしております。そこで、これももう繰り返し繰り返し申し上げておるわけでございますが、新しい制度においては、重度訪問介護、それから重度障害者等包括支援といった新たな給付の仕方をつくるところでございます。
今後、その重度訪問介護や重度障害者等包括支援について国庫負担基準を設定してまいります。このぐらいの国庫負担をいたしますという基準を設定いたしますけれども、その場合に、現在、全身性障害者に係りますホームヘルプサービスの国庫負担基準は月に二十二万円、約百二十五時間程度、一日四時間で計算しておりますので大体月に約百二十五時間、そして基準額として二十二万円でありますけれども、それが今の基準であるということをまず申し上げました。
その利用実態を見ますと、地域間でサービス水準に大きな格差がありますから、限りある国費を公平に配分していくことが必要だというふうにも、当然のこととして私どもはしなきゃなりません、考えなきゃなりません。まず、申し上げた現在の月二十二万円という水準について、特に重度の障害者の方々の全国のサービス利用実態などを踏まえて、今度は上げる方向で見直していく。この基準額は、まず国庫負担基準額は上げる方向で見直していくということはお約束を申し上げておきたいと存じます。
○山井委員 要は、百二十五時間じゃ重度の方が生活できないのは当たり前であって、上げる方向でというのは、それが二百時間なのか三百時間なのかどうなのかがわからないと、今受けているサービスが維持できるかどうかがわからないんですよね。
尾辻大臣、くしくも必要なサービスは維持されるとおっしゃいますが、障害者の方にとっては、今、圧倒的多数の方は必要だからサービスを利用されているわけなんですよ。それをどう判断するのか。そういう意味では、尾辻大臣、障害者の方々はやはり安心と担保が欲しいとおっしゃっているわけですよ。このままの法案で通ってしまったら、来年の四月か十月、認定というか支給決定を受けるまで、私は今のサービスが受けられるのだろうか、どれだけ減るのだろうか、そういう悶々とした思いをずっと抱えないとだめなわけですよね。
だから、私が尾辻大臣に申し上げているのは、重度訪問介護やあるいはトップの障害程度区分で幾らぐらい、あるいは幾らぐらいの時間なのか、せめてそれを明らかにするか、あるいは、今受けているサービスは原則として維持しますよ、今どっちかのことを言わない限り、障害者の方々は、私の生活どうなるのと。これは死活問題で、一生続いていくことなんですよ。
きょうも傍聴人も来られていますが、国会周辺に多くの方がきょうも来られています。その不安な顔を大臣もごらんになりましたか。私の一生がどうなるかわからない、この法案で。さっぱりわからないわけですよ。それでは国会で法案審議をやったことにならないんじゃないですか。やはり、今のサービスは維持する、個々人に対して原則維持するということを言うか、あるいは、障害程度区分で一番重いところは何時間、幾らぐらい、そういう具体的な数値を出すか、やはりそれをしないと、私たち国会議員は法案審議をやったことにならないんじゃないですか。
与党の議員の方々も、地元に帰って、この法案通ったら私のホームヘルプサービスはどうなるのと聞かれて、どう答えられるんですか。半年か一年、決まるまで待っていてくださいと言うんですか。そんなことも言えないのでは、私たち国会議員としたら、審議したという責任を果たせないんです。
大臣、やはり障害者の方々の安心と担保をしっかり約束できるような答弁をお願いします。
○尾辻国務大臣 まず、御質問に対して外してお答えするつもりはありませんけれども、最初に申し上げたいことは、今回、これももう本当に何回申し上げたかわからない、何回お聞きになったかわからぬとおっしゃるだろうと思うんですけれども、支援費制度の中で地域間格差がある、その格差を小さくして、全体のサービスの水準の底上げを図るんだという、まずこの私たちのやろうとしておること、これは御理解をいただきたいと思うわけであります。
ただ、そういって、これもそのときにいつも私が申し上げておることは、高い水準にある地域の引き下げを行おうとするものではないということは、これまた何回も申し上げました。全体の量を……(山井委員「個々人のことを聞いているんですよ、個々人のことを」と呼ぶ)ですから、申し上げております。全体の量を等しくして下を上げるというと、当然上が下がるわけでありますから、平均化されてそれは上が下がるということになりますけれども、私どもが今申し上げているのは、先ほどの予算額でも申し上げました、全体を大きくして底上げをしようとしておるわけでございますから、下の水準は上がりますけれども、上を下げようということは考えておりません。
決してそんなことにはならないんだという基本的なところは、申し上げておるとおりでございますから、ぜひそのとおりに御理解いただきたいと思います。
ただ、やや慎重に申し上げておりますのは、その水準の一番高いところ、それもいろいろな状況の変化などがありますから、状況の変化によってもサービス量が下がったりいろいろするわけでありまして、それを絶対下げないと私が言って、妙に言葉じりにひっかかってしまわれたりとかいうことがあってはならないとつい思ったりするものですから、やや慎重にそこの思いを申し上げておるところでありまして、サービスの水準は下げません、適切なサービスは必ず受けていただきますと言っておりますことの御理解は、ぜひ賜りたいと存じます。
○山井委員 必要なサービスは受けてもらうとか適切なサービスを受けてもらうとか、それじゃだめなんですよ。障害者の方々はそれぞれの人生がかかっているわけですよ。自分のサービスがどうなるのかわからないわけですよ。だれが適切、だれが必要と判定するんですか。障害程度区分もはっきり決まっていない、本人の意向も二次判定まで聞いてもらえない、今までの実績、どれだけサービスを利用しているのかも現段階では二次判定まで聞いてもらえない、そういう状況でどうやって安心しろと言うんですか、障害者の方々に。
繰り返し言いますが、この法案をこのまま通したら、支給決定するまで障害者の方々はどうやって安心して晩眠れるんですか。何ら担保がないじゃないですか。必要なサービス、適切なサービスを受けられるというけれども、自分のサービスはそれのどこに当たるんだろうかと。私は、この法案の最大の問題点の一つは、肝心の一人一人のサービスがどうなるのかということがこの国会審議でさっぱりわからないということなんですよ。当事者不在ということなんですよ。国会で審議するのは、やはり一人一人の障害者の暮らしがどうなるのか、そのことはしっかり担保しないと私はだめだと思っております。
だから、そういう意味では、尾辻大臣にもぜひとも、原則としてサービスはやはり維持するということを言うなり、やはり先ほども言ったような具体的な時間数あるいは国庫補助基準を出してもらわないとだめだと思います。
委員長にこれもお願いしたいと思います。理事会で、ぜひとも、やはり審議が終わるまでに、ある程度のこういう数字のめどを出すと。これこそが国会議員が国会で審議をしている意味じゃないでしょうか。
皆さんいかがですか。そんな肝心なことも国会で決められなくて、何をやっているんですか、私たちは。もしそれに反対するのならば、そういうことも決めないで与党の議員は地元の障害者にどう説明するんですか。多分大丈夫だと思うよと言って、半年後、一年後、支給決定が低かったらごめんなさいで済ますのですか。その人の人生はどうなるんですか。
それで、時間も残り少なくなってきましたので、チラシ問題に入ります。
皆さん、このA3の裏表のチラシを見てください。見たことがある人、ありますか。尾辻大臣、見たことありますか。不思議と民主党議員にはほとんど配られておりません。私も取り寄せてもらいました。
そして、右上を見てください。「皆様の御理解・ご説明用に厚生労働省・障害福祉課において御用意しました。」話によると、十月上旬に用意したらしいですね。そして、「真のねらいは何なのですか。」「財政対策がねらいなのではないですか?」右上の方に「定率一割負担」「サービスが受けられない利用者が出てきませんか?」「ご安心下さい。」と書いてあるんですね。安心装置一、二、三、四。
そして、私が一番ショックを受け、かつ、多くの障害者の方々がお怒りになっているのは、この下です。「この法案には、当事者である障害者団体も反対しているのではないですか?」ということに対して、これこれの団体が賛成しているということが書かれています。
まず尾辻大臣、一点目。安心装置二、三と書いてあるけれども、これは三年限りの経過措置です。そういうことをしっかり明記しないとだめじゃないですか。通信販売でも、この商品いいですよ、こんなにいいですよと書いてあって、実はそれは三年限りですよ、そんなもの詐欺じゃないですか。「ご安心下さい。」と書きながら、実は三年で終わりだ、そんなものばらまいてどうするんですか。
それと、この「法律の成立を望む要望書が出されています。」という各団体の名前が書いてありますけれども、ある団体の人に聞いたら、こんなことをチラシに入れられているのは私は知らないと幹部の人も言っているわけですよね。障害者団体の了解も得ずに、勝手にチラシに入れて配っていいのか。
さらに、尾辻大臣、御存じのように、尾辻大臣もわかっているでしょう、ここに書いてある団体でも、中央のトップと地域では全然意見が違うんですよ。昨日お見えになった育成会の参考人、全家連の参考人、このままの法案じゃだめだとおっしゃっていたじゃないですか。全く違うじゃないですか。でも、こんなチラシ配ったら、全国のそういう団体の方々が賛成しているのかと思うじゃないですか。こんなチラシ配りますか、厚生省が。
大臣、私は、やはりこういうチラシは大問題がある、そして、障害者団体の方々の気持ちを逆なでする、やはりこのことには私は強く抗議したいと思います。大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 まず、このチラシと言っておられますものでありますが、これは、基本的には先生方に御説明申し上げるためにつくったものでございまして、したがいまして、先生……(山井委員「野党には来ていない」と呼ぶ)いや、ですから、説明をお求めいただいた先生のところに持っていっているだけでありますから、何かこれ、大量で配布したとか何とかというものではありません。ぜひそこは御理解いただきたいと思います。説明に来いとか、持ってこいとおっしゃった先生のところにお持ちしているだけのものであるということをまず申し上げます。
したがいまして、どういう経路で地方に行ったとかいうお話、今、たしかおっしゃったようでありますが、その辺について、わざわざ私どもが地方まで持っていって配るとか、そんなことをしたものではないということをまず申し上げます。
それから、障害者団体も反対しているのではないですかということに対する団体のお話がございましたけれども、障害者自立支援法案の特別国会での成立を強く要望しますというふうに意見をお寄せになりまして、これは九月にお寄せになったんですが、その中に、ここに書いてあります団体全部、連名でそういうふうに意見をお出しになった、それをただそのとおりに書いてあるというだけでございます。別に、意見書をお出しになったわけですから、こういう御意見をこういう団体の皆さんがお出しになっておられますということがついているだけでありまして、いわば事実が述べてあるだけのことだというふうに考えます。
以上、お答え申し上げます。
○山井委員 このような団体に中央と地方とで大きな違いがあるということも大臣は御存じはないんでしょうかね。そして、こういうふうなチラシをやることがどれだけ障害者の方々の気持ちを逆なでするのかということもおわかりにならないんでしょうか。
そろそろ時間も終わりに差しかかってまいりましたが、やはり大臣、きょうの質問、一時間させていただきましたが、最初質問した、この法案は脱病院ですか、脱施設ですかということに対して、大臣は、在宅です、在宅というのは施設や病院の中ではないですということをおっしゃりながら、次の質問になったら何かトーンダウンして、施設や病院のグループホームやケアホームも議論中ですということをおっしゃる。
また、精神通院公費のまさに命にかかわる問題に関しても、検討会に任せると。では国会は何なんですか。細かいことは検討会でやるというのはもちろんありますよ。でも、根幹的な、ノーマライゼーションの核であるグループホームを地域につくるのかどうか、やはりそういうことは国会で議論しないでどうするんですか。そしてまた、重度包括支援や障害程度区分も、時間も限られていない。決まっていない。そしてまた、今のサービスが受けられるかどうかもわからない。
これでどうやって障害者の方々にこの法案がいいと言えるんですか。私は、この法案というのは、本当に徹底して当事者不在であると。もし当事者不在じゃないと言うならば、当事者の方々を安心させるための基準を、やはり審議中に出していただきたいというふうに思います。
政治というのは、やはり最も弱い方々を体を張ってでも守っていく。しかし、この法案では、世界の流れである地域生活移行、ノーマライゼーション、在宅に移行するということがきっちりできるかどうかわからない。逆に、さっき言ったような三十二条やグループホームのような逆行する面もあるわけなんですね。
そういう意味では、この法案、きっちりと慎重審議をしてやはり障害者の、この法案の主人公はあくまでも障害者なんですから、障害者の方々がこの法案で私の生活どうなるかわからぬという状況での審議終了ということは決して許されないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
163-衆-厚生労働委員会-5号 平成17年10月21日
○大村秀章議員(自民)、桝屋敬悟議員(公明)、笠井 享議員(共産) の質問に対する答弁
(前略)
○大村委員 ぜひ、その努力をしっかりと進めていただきたいというふうに思います。また、引き続き我々もフォローをしていきたいというふうに思います。
さて、お待たせをいたしました。民主党の案につきまして御質問させていただきたいと思います。
今回、この障害者自立支援法に対しまして、民主党さんの方から対案という形で法案が、大変短い期間の中で大変御努力をされたということ、これは評価をしたいというふうに思います。こういう形で対案を出されて、そして、中身についてはこれから一つずつ申し上げたいと思いますけれども、こういう形で議論を進めていくということは、私は大変結構なことだろうと思いますし、そういう意味では、せっかくお出しいただいたものですから、少し中身を見させていただいて、きょうはぜひ山井委員と園田委員と、そんな肩に力を入れずに、ざっくばらんにいろいろ意見のやりとりができれば、そんなことで、ちょっと御質問をさせていただきたいというふうに思います。
まず、マニフェストですね。この間の選挙の民主党のマニフェストとの関係について御質問をさせていただきたいというふうに思います。
この点については、補助金の全廃、もうほとんど生活保護費以外の全廃のことを言っている。それはまた後ほど御質問あろうかと思いますが。私はまず、この民主党のマニフェストの二十五ページの、「介護保険の適正化、障がい者福祉の拡充に取り組みます。」というところの項目の中で、「二〇〇五年の法改正で先送りされた被保険者と受給者の範囲の拡大(介護保険のエイジフリー化)を二〇〇九年度から実施します。」こう書いてあります。御存じのとおりですね。
それで、民主党さんというのはマニフェストを、前回の国会での介護保険の議論のときもそうなんでありますけれども、常にエージフリー化というのを主張されてこられた。私も、個人的には何となしにそのことを申し上げてきたものでありますけれども、そういう中で、一貫して介護保険の対象年齢の拡大、その中で障害者福祉もやるんだということを主張されてきたんですね。
だけれども今回は、今までの既存の法律をそのままにしている、そして支援費の制度をそのままにしている。それで御負担はどうなるのか、まあ、それは取らないということなんでしょうけれども、そういう民主党さんが今まで言われてきたこのマニフェストのことと今回の法案というのは、その方向が私は違うというふうに言わざるを得ないと思うのでありますけれども、その整合性という点はいかがでございましょうか。
○山井議員 大村議員の質問にお答えいたします。
まず、冒頭ですが、本当にこういう貴重な時間を使って対案に対して質問をしていただきましたことに、心より感謝を申し上げたいと思います。
それで、今回私たち、対案を出させていただきましたが、冒頭に一言申し上げますが、非常に評判がよくて、多くの障害者の方々、団体の方々は、やはりこういう方がいいという声が圧倒的多数というふうに私は認識をしております。
先ほど尾辻大臣からも、やはり丁寧に利用者、障害者の方々の声に耳を傾けて議論していきたいという話がありましたが、やはり通常国会と違ってこういう対案が出たわけですから、そういう選択肢が出たわけですから、じっくり、どっちがいいのかということを、まさにこれを決めるのは障害者の方々、現場の方々であると思いますので、そういう審議をしていきたいというふうに思っております。
また、与党の議員さんにおかれましても、まだまだもちろん不十分な点はあるかもしれませんが、民主党の対案を出して、どちらがいいと思うということを、ぜひ地元の障害者の方々に聞いていただければと。
それで、質問に答えさせていただきます。
大村議員も、限られた時間なので、はしょっておっしゃったのかもしれませんが、私たちの対案の半分しかおっしゃっていないんですよね。当面支援費を続けて、来年四月から精神障害者も入れていくということを書いていますが、その後にちゃんと、二年間かけて包括的障害者福祉法制をつくっていくということは書いているわけでありまして、それで「検討」の中でも、年齢拡大を進めていくということもこの法案の附則の中に書いているわけでありまして、全く整合性はとれているわけであります。
しかし、ここで非常に重要な部分は、政府・与党が言っている介護保険の普遍化、年齢拡大、エージフリーというものの定義と、私たち民主党が言っております定義が明らかに違うと思いますので、これは議論が混乱すると思いますので、私たち民主党が考えておりますエージフリー、ちょっと片仮名でわかりにくいので年齢拡大と言いますが、そのことの三原則をこの場ではっきりと申し上げて、大村議員の誤解を解きたいと思っております。
まず一つ目は、あくまでも障害者福祉をよりよくしたい、障害者福祉により多くの財源を持っていきたい、そういう思いで介護保険を一部障害者福祉に活用できるところは活用したいというのが私たちの基本的な考え方でありまして、老人の方向けの介護保険に障害者福祉を統合する、無理やりくっつけるということでは全くありません。障害者福祉と老人の介護保険のニーズが全く違うのは明らかなわけですから、そこは、保険でできる部分は介護の部分でするけれどもそれ以外は税でやるということ。
二番目は、当然、所得保障とセットでやるということ。
三つ目は、これは一番重要なことです。あくまでも当事者の方々の御理解がないと制度改正なんかできないわけですから、やはりじっくり時間をかけて、二年間、私たち民主党は時間をかけて、どういう年齢拡大だったら当事者の方々が納得して安心してもらえるか、そのことをじっくり時間をかけてやりたいと思っております。
そう考えてみると、まとめると、民主党は、介護保険をいいとこ取りして障害者福祉をよくするために年齢拡大をすべきと考えておりまして、障害者福祉のマイナスになるような年齢拡大、あるいは障害者の方々の理解や賛同を得られないような強引で性急な年齢拡大、そして所得保障を伴わない年齢拡大は行わないし、反対をいたします。
最後に一言つけ加えますが、やはり今回のやり方は非常に強引でありまして、障害者の方々と政府が信頼関係を壊してしまったのではないかと私は思います。ですから、大村議員にお願いしたいと思います。もうこれで終わりますが、質問をされるときには、自民党はこのことについてどう考えているのかというのを言って、民主党に聞いていただきたい。私たちはマニフェストに入れて方向性は決めているんです。決めていないのは自民党なんです。そのことを最後に申し上げて、答弁を終わります。
○大村委員 質問に正確にお答えいただきたいと思います。
時間がありませんので、次に行きます。
ただ、一点申し上げますが、今、山井委員が言われたこと、マニフェストにはそこまで書いていないんですね。介護保険の財源を使ってこちらであれするんだということは書いていないんですね。ただエージフリー化ということが書いてあるということ、これから見て、私は民主党のメンバーではありませんし、国民の皆さんもそこまであれしない。ですから、マニフェストには介護保険のエージフリー化と書いてある、その点について、今回のものとはやはり違うんだなということは指摘をさせていただきたいというふうに思います。
次に、精神障害者に対する福祉施策についてお伺いをいたしたいと思います。
民主党の対案というのは、現行の法制度をそのまま残している、特に精神障害者の保健福祉をそのまま残している、こういうことでございます。今回、精神障害も含めた三障害を一元的に取り扱うということをしております。これは、障害者基本法の理念からも三障害を一緒に扱いましょうということでこれまで進めてきている、そういうものとはやはり違うということ。そして、多くの方々は三障害を一つにするということは評価をされている、民主党さんもたしか評価をされておられたというふうに思うんですが、今回はこれを先送りされているということ。この点についてのお考えもお伺いしたいと思います。
もう一つ、時間もありませんのであわせてお伺いいたしますが、今回、民主党さんの法案の十二ページの第三条でございますけれども、精神障害者の支援費の支給については、「別に法律で定めるところにより、平成十八年四月一日からこれを実施する」というふうに書かれております。特別国会はもうあと少しで、十日ぐらいで終わるわけでありますけれども、この「別に法律で定めるところにより、」というのは、では来年の通常国会にお出しになるのか、お出しになって来年の四月に施行するのかということなんですね。
では、それを前提にして、制度も中身もよくわからないのにどうやって予算を組むのか、予算を確保していくのか、そして市町村とか都道府県、実際にこういう業務に、事業に携わる方々についてどういうふうな説明をされるのか、準備期間もないわけでございます。そういう意味では、地方自治体そしてまた現場に混乱を招くということになると思います。要は、本当にこれが現実的なことかというのは、これを見ればだれもそう思えないと思いますけれども、その点もあわせてお聞きをいたしたいと思います。
○山井議員 大村議員、本当に私たちが一番訴えたいところを質問していただきまして、ありがとうございます。
最初に申し上げますが、三障害一元化、そしてあらゆる障害を包括した法制をつくっていく、これは多くの人が賛成していることであります。しかし、大村議員、はっきり申し上げますが、多くの圧倒的多数の精神障害者の方々は、政府案のこの拙速な三障害一元化に関しては大変危惧を持って、多くの方が反対をしております。そのことを申し上げます。
つまり、どういうことかといいますと、精神も一元化するという理念、このことに関してはだれも反対しないと思うんですね。問題は、まず一元化すると言いながら、その一方で精神障害者の方々にとって一番重要な一つである医療の部分の精神通院公費、三十二条の部分を打ち切ることになっているわけでありますね。これに対しては二十三万人の方が反対署名もしております。
同時に、精神障害者も一元化すると言いながら、ホームヘルプに関しても小規模作業所に関しても通所利用者に関しても一割負担を入れて、精神障害者の方がサービスを受けにくくしている。
そして、三つ目。これももう御存じだと思います、拙速に政府がやっている障害程度区分で、一次判定では、何と三人に一人の今既にサービスを利用している精神障害者の方が自立と判定されて、サービスが受けられない。二次判定を入れても五%の人がサービスを受けられない。
だから、圧倒的多数の精神障害者関係の方々は、理念は賛成だけれどもこんな拙速にむちゃにくっつけられたらたまらない、だからもっとじっくりやってくれと。今、大村議員は民主党案は先送りだとおっしゃいましたが、逆に圧倒的多数の方々はもっと時間をかけてやってくれと。一元化の理念は方向性は正しいけれども、やはり今までばらばらだったものをやっていくためには、この認定の問題も、介護保険の認定で精神障害者の方がすぐにはかれるはずがないわけでありますね。そういう意味では、一元化という理念は政府案はすばらしいと思いますが、しっかり時間をかけてやるべきであると思っております。
それと、次の質問に移りますが、来年四月から精神障害者の部分を支援費に入れるのを別の法律でつくるというのは時間もないし現場が混乱するのではないか、これも本当にすばらしい質問をしていただいたと思います。
まず、私たちは、特別国会、もう終わろうとは考えておりません。やはり十一月もしっかり審議をして、やろうと思っておりますから、早急にこの法律はつくろうと思っております。自治体が混乱する、現場が混乱する、まさに皆さんに言いたい。二年半前に導入した支援費をこんな急に根本的に変える。大村議員、自治体が混乱するとおっしゃいますが、私たちは既にある支援費に精神を入れるわけですから、自治体にとっては今ある制度ですからそれほど大変なことではないんです、根本的に変える政府案の方がよっぽど今自治体は混乱しております。
以上です。
○大村委員 質問したことにお答えいただきたいというふうに思うんですけれども。
一つは、今申し上げましたが、要は、もし四月からやるんだったら今出していただけばいいじゃないですか、そこのところ。出さないのにそれは国会が何か延長してどうのこうの、そういうことを言われても、とにかく今ないものを前提にというのはちょっと無責任だ、私はこういうふうに言わざるを得ないと思います。これはまさに現場は混乱をするということにならざるを得ないということを申し上げたいというふうに思います。
それから、時間がどんどんなくなっていきますので、次に参ります。
それでは次に、これはちょっと法案の内容についてお聞きしたいと思いますけれども、知的障害者福祉法の二十五条二項の第一号、ここのところにグループホームの支援費についてのことが書かれております。これは法律でありますから予算補助になっているわけでありますが、これを今回改正されて、二十五条にまた引かれております。
この点について、要は民主党さんの案では、すべていわゆる在宅サービスなど他のサービスは義務的負担にする、しかしグループホームを除くと書かれているんですね。ということは、これはそのまま裁量的経費に残る、予算補助に残るということに法律上はなるわけでございます。また、児童福祉法の第五十五条の二につきましても、この「児童デイサービスに係るものを除く。」というものをそのまま引っ張っておられるわけでございます。ということは、これも除くということで、義務経費にすべて移すということで言われておりますけれども、この部分は裁量経費にそのまま残るわけでございます。
これについて、これからグループホームはやはり障害者の福祉施策の中で大変大事だ、これはふやしていくということでやっていこう、そういう意味で義務化をしていくというのが政府案ということであります。一方で民主党さんの方は、これはそのまま置いてきぼり、残っているということでありますけれども、この点について、これはいわゆる法案のミスということでよろしいのでございましょうか。ちょっとその点についてだけお考えをお聞かせいただきたい。
○山井議員 大村議員にお答えいたします。
正直言いまして、私たち、この対案を三週間でつくりました。その中で、日夜いろいろな議論をする中で、一日でも二日でも一週間でも時間があれば、もっと完璧な法案にできるという思いで作業をしてきましたが、正直言いまして、国会審議は待ってくれませんので、時間的な制約があったことも事実であります。
御指摘の知的障害者のグループホームの部分や児童デイの部分に関しても、私たちは法文の作成の際に議論し、大変悩んだ部分でありました。そして、その部分をきっちりとこれから力を入れていきたいという思いは、大村議員と当然思いを共有しております。
しかし、確かに時間的な制約、技術的な制約の中で、今回の法律の中で積み残している部分があることは私は率直に認めねばならないと思いますが、その部分については、私たちの法案は二段階で、次の段階では包括的障害福祉法制というものを整備しておりますし、その中ではしっかりやっていきますし、また、大村議員あるいは与党の方々がお望みであれば、私たちはきっちりそういう修正協議も行ってまいります。与党のように修正協議に応じないというようなことは、もちろんございません。
○大村委員 要は、二段階といったって、皆さんが考えている包括法というのはまだ四年先なんですね。だからこれはそのままずっと残してしまうということなんでしょう。積み残しと言われましたけれども、平たく言って、目こぼしをした、法案のミスだということなんですね。その点は指摘をしておきたいというふうに思っております。
もうどんどん時間が参りますので、次に進んでいきたいというふうに思います。
さらに申し上げますと、負担能力についてでございます。
利用者負担につきましては、民主党さんではその点についてはさわっておりません。したがって、扶養義務者の負担能力を残したままということなんですね。例えば、身体障害者福祉法の十七条の四、居宅生活支援費の額というのを見るところで、その二項の二号で「身体障害者又はその扶養義務者の負担能力に応じ、」ということを、それはほかの法律にもすべて、知的障害者福祉法、こういうものに全部そういう扶養義務者の負担能力というのが書かれておりますが、それはそのままになっておる。
本人以外の負担能力を勘案するということは、障害者の自立の観点からやはり問題が多いということを民主党さん自身が主張されてこられたというふうに私は認識をいたしております。そういった意味で、我々は、さきの法案審議の際に、特に親兄弟のところの負担能力とは切り離しましょうということも決めさせていただいたということだと思います。そういう意味で、今までの、本人の負担能力で見るべきだということを主張されてきた、そのことと、今回この点について一切さわっておられないということについて、今までの民主党さんの主張とはこれもやはり矛盾をするというふうに私は思いますけれども、その点についていかがお考えか、お聞きをしたいと思います。
○山井議員 一言、先ほどの大村議員の理解に誤解があったのではないかと思いますので、つけ加えさせていただきますと、私たちは、与党の方々が知的障害者の部分、児童デイの部分を修正すべきというふうに合意してくださるならば、早急に合意する用意はございますので、四年間先送りということではございません。加えさせていただきます。
○園田(康)議員 ただいま大村議員からお話がございました積み残しという部分でございますけれども、利用者負担の負担能力の積み残しという点でいけば、実は政府案の中にも、もう御承知だと思いますけれども、精神保健福祉法の保護者制度のあり方、これは参議院の附帯決議の中でも入っておりましたけれども、これを検討するという形で、本来ならばこの精神保健福祉法の中にも、ただいま御指摘のとおり保護者制度のあり方というものがそのまま残っていて、政府案でもそのままいっているという形になっております。
したがって、もう少し丁寧にお話をさせていただきますと、まず、大村議員が確認答弁でもお話になったかというふうに私も確認といいますか理解をしておりますけれども、親兄弟は今回の扶養者義務から外したという形でおっしゃっておられるわけでございますけれども、これはあくまでも選択制という形で、選択できることを政府が認めたという形になっております。
すなわち、この場合の税制上と医療保険上の扶養を決定するのは障害当事者であるのかという疑問がまず残ってまいります。どちらが有利か、負担が減るかということに関して勘案するのは、やはりこれは最終的には、障害者本人が選ぶというよりも親兄弟がそのまま判断するという形になりはしないかという危惧を持っております。
同時に、現行の支援費制度におきましては、これは、範囲は確かにおっしゃるとおりで、法文では扶養者義務という形でそのまま残っておりますが、ただしその範囲においては政省令で定めるという形になっておって、その中においては親兄弟はそこから外したという経緯があったわけであります。子供とそして配偶者、ここに限定をしていた支援費制度を、今回は残念ながらその親兄弟を除いた部分も加味して選択制をとっているということが、私はどうも後退をしているというふうに指摘せざるを得ないところでございます。
○大村委員 この点について、負担能力を考える上において、扶養義務者の位置づけというのは政府案ではどうなっているのかということを政府にお聞きしたいと思います。
それから、先ほどのグループホームについて、予算補助に残る、ほかは義務化するんだけれどもこれだけは積み残してしまう、こういうことで本当に予算が組めてしっかり実行できるのか、この点についても、二つあわせて簡潔にお答え願いたいと思います。
○中村政府参考人 お答えを申し上げます。
従来の支援費制度における費用負担については、本人のみならず一定の扶養義務者にも負担義務は課されておりましたが、今回の障害者自立支援法案では、扶養義務者の負担は廃止をいたしており、障害者本人、障害児の場合は保護者のみを法律上の負担義務者としたところでございます。
グループホーム、児童デイサービスについてのお話がございましたが、十五年度、十六年度、大変、グループホーム三三%、児童デイサービス四二%の伸びを示しております。この財源が確保できないということが、支援費制度が行き詰まっており、今回障害者自立支援法を提出して義務負担とさせていただいたところでございますが、これが義務負担から外れているということは、今支援費制度が抱えている問題点をそのまま、そのままでありましたらその問題をグループホームや児童デイサービスについては抱えるということになるのではないかと思っております。
○大村委員 時間がだんだんやってまいりました。締めくくりに入りたいと思います。
また、民主党さんの基本的な考え方という一枚紙がございますけれども、これを本当は質問したかったんですが、ちょっと時間がありませんので指摘をさせていただきますと、この中に、モラルハザードで過剰な利用にならないようにするという言葉もございます。そういう意味で、モラルハザードになるということをもう想定されておられるのかということも、これは指摘をせざるを得ないのかなというふうにも思います。
それからまた、民主党さんの法案、先ほど山井委員からも冒頭御発言がありましたが、検討規定ですね。結局、二年議論をして検討をして四年後に必要な措置を講ずる。要は四年間先送りをするということなのかなというふうに思わざるを得ないというふうに思います。
そういう意味で、先ほど山井委員が、三週間で何とかやり上げたので、とにかく出さないかぬので時間の制約があってと正直に言われておりましたけれども、そういう内容なんだなということを指摘せざるを得ないのかなというふうに思います。
そういう意味で、改革とか対案とか、こういうふうに言われまして、私は出されたことは評価をしたいと思いますが、出される以上は、もう少し中身を詰められないと、法案としてなかなか審議の対象にならないのかなという気がいたします。そして、四月から施行なのにもかかわらず、その法律は別途定める、これでは現場が実際に動かない、こういうことを申し上げておきたいというふうに思います。
そういう意味では、この政府案、我々政府・与党でつくってきた案といわゆる比較対照するというのはなかなか難しい法案だと言わざるを得ないというふうに私は申し上げたいと思います。
最後に、私は、この法律を一日も早く成立させまして、やはり政省令、運用等いろいろなところを詰めて現場でもしっかりワークする、そういう内容にしていかなければいけないというふうに思います。
それで、制度ももちろんなんですが、一番大事なのはやはり予算の確保だというふうに思います。そういう意味で、今年度一月の予定が四月になるわけですが、今年度の予算の確保、そして来年度の予算の確保、そうした点について、新しい制度をワークさせる意味での、裏打ちをさせる意味での予算の確保について、これからが予算の議論でありますから、大臣の決意を最後にお伺いをして私の質問を終わらせていただきたいというふうに思います。
○尾辻国務大臣 障害保健福祉関係予算の推移を見ますと、平成十五年度が六千六百五十九億円、平成十六年度が六千九百四十二億円、平成十七年度が七千五百二十五億円と着実に伸びております。
今後とも、サービスに必要な財源を確保しながら、制度をより安定的に運営することが極めて必要でございます。障害のある方に必要なサービスを安定的に供給する体制をつくること、これが一番肝心なことと考えておりまして、今後とも、制度運営に万全を期しますとともに、必要な予算の確保に努めてまいります。
○大村委員 ありがとうございました。
○桝屋委員 公明党の桝屋敬悟でございます。
さきの国会に続きまして、いま一度、自立支援法関係の審議をさせていただきたいと思います。
さきの国会では尾辻大臣と一時間ぐらい議論をさせていただいたことを今思い出しておりますけれども、本日は、三十分の持ち時間でありますから、十五分ほど民主党の提案者に、そして残り十五分政府と議論したい、このように思っております。
まず、山井先生初め園田先生、本当に御苦労さまです。限られた時間の中で対案をおつくりになった、まずは敬意を表したいと思います。
私は、郵政の特別委員会でも対案に対して議論させていただきまして、何で前回出してくれなかったんですか、こう申し上げたわけでありまして、本当に前回出していただきたかったな、こう思っているわけであります。
と申しますのは、対案の内容を見させていただきましたけれども、ますます民主党の障害者福祉に対する基本的なスタンスが私は見えなくなってまいりまして、とりわけ山井委員におかれては、いつだったでしょうか、どこかのシンポジウムで随分先生と一緒にパネリストとして出席をいたしまして、当時、私はまだ、自立支援法や障害の福祉と介護保険のリンクということについては大変慎重な姿勢を持っていた一人だったんですが、山井先生の弁舌を聞いて、説得をされて意識を変えた一人でありまして、そういう意味では、一体どうなっておるんだということを正直に聞きたいと思うんです。
決して揚げ足をとるつもりでもありません。ここは国民の皆さんが見ていますから、対案をお出しになった基本的なスタンスを、小さい問題、先ほど大村委員との議論の中でいろいろ議論もありましたけれども、小さい、時間がなかったので十分でないというところは全部差っ引いて私は議論したいわけであります。
思い出しますと、前回の国会で介護保険の改正の議論をいたしました。きょうは中村局長は後ろに座っておられますが、当時は介護保険のときに、山井さんや民主党と中村局長のやりとりを聞いていて、随分ひどいことを言うものだなと思って聞いていたんですね。特に介護予防、あの分野の話を徹底的にやられていましたね。恐らく反対だろうと私は理解しておりました。何で賛成になったのか、僕はいまだによくわからぬです、あのときの議論は。だけれども、賛成をされた、大人の対応をされたなということで、私を説得した山井さんの、なるほど、ここはやはりよくわかった対応だな、こう思ったんです。
それで、支援費制度の議論になりまして、支援費制度も結構また激しいことをがんがんがんがんやって、自立支援法案に多分賛成されると僕は理解していました。きょうは時間がないから言いませんが、だって現行の支援費ではどうにもならぬということはお互いによくわかっているわけでありますから、だからここは賛成されるんだろうと思っておりましたら、反対をされた。何でそれに反対するのかというのは、僕はいまだに腑に落ちていないんですが。
今回対案をお出しになると聞いて、なるほど、対案をお出しになるぐらいのお気持ちだったのか、こう思ったわけですが、出てきた対案を見て、裁量経費を負担金にしているのは結構ですけれども、その他は現行の制度をそのままやる、もちろん今から何年かかけて検討するというんですが、それはないだろうという正直な気持ちです。
だって、現在の制度を残して、問題があるというのは十分皆さんも御理解されていると思いますから、そこを解決するための諸制度を、いろいろな仕組みを組み込んだ上でやっていくというんだったらわかるんだけれども、現行制度を続ける、負担金だけする。これでは、だって、山井さん、チャンスは今なんです、これだけおくれてきた障害の施策でありますから。介護保険はもう二巡目になっているわけですね、この前見直しまでして進んでいるわけでありますから。今始めないと手おくれになる。チャンスは前髪でという言葉がありますが、お気持ちはわかるけれども、この対案を見る限りチャンスを失ってしまう。私は、この激しい社会保障の制度の今の動きについていけないんじゃないかと。
これはぜひ、多分そういう思いなんだろうというふうに僕は理解しているんですが、私の理解は違いますか。スタンスがよく見えないんです。御説明を簡単に、十五分ですから。
○山井議員 桝屋議員の御質問にお答えをいたします。
桝屋議員とは、障害者福祉をどうすればよくなるのか、介護保険はよくなるのかという議論を本当にずっと今までやってまいりまして、そういう桝屋議員から一番本当に重要な部分の御質問をいただいたことを、非常に限られた時間の中でこういうふうに民主党にも質問をしていただいて、感謝しております。
それで、先ほどの大村議員の質問とも多少重なることがあると思いますが、お許しいただきたいと思っております。
まず第一点は、私たちは永遠にこの対案で支援費を続けると言っていないことは、当然、あの対案を見たら御理解いただけると思います。二年間続けていって、そして包括的障害者福祉法制をつくっていくということであります。
それで、まさに今問われているのは、介護保険の年齢拡大あるいはエージフリーと言うけれども、一体それは何なのかという議論の認識が、改めて申し上げますが、今の政府と民主党とでは違います。ですから、先ほど言ったような私たちの、介護保険のいいところの一部を障害者福祉に活用して障害者福祉をよくしていくという考えが、今回の対案のとおりなのであります。
それで、先ほど桝屋議員が、今がチャンスだ、先送り、それはないだろうとおっしゃいましたが、そこの現状認識は私たち全く違っておりまして、多くの障害者の方々から聞くのは、支援費制度が入って、今まで施設にいたのが在宅で暮らせるようになった、あるいはグループホームで暮らせるようになった、よかったなと、はっきり言って大部分の方は喜んでおられるんですよ。これからグループホームをもっとふやしていこうというときに、一割負担導入か、応益負担導入か、それはないだろうというふうに私たちは認識をしているわけで、やはり支援費制度ができて二年半で急に変える方が当事者不在じゃないかなと私は思っております。
○桝屋委員 そこは見解を異にする立場ですね。
今、山井さんは、支援費が始まって喜んでおられるということをおっしゃったけれども、多少現場の声に引っ張られ過ぎていると思いますよ。確かに喜んでおられるところはあるけれども、実際に今の支援費ではどうにもならぬというさまざまな問題があるというのは、痛いほどあなたはおわかりになっているんじゃないですか。
議論もしてきたし、何よりも私は、将来介護保険を利用する、あなたの言葉で言うと、介護保険を利用するという立場、僕も同じ立場ですよ、そう考えたときには、やはり、支給決定の手続であるとか認定の事務であるとか、あるいは、介護保険と違って障害者の世界というのは、さっきの議論にありましたように施設だけでもたくさんの施設がある、この体系の見直しをしなきゃならぬ。サービスの内容の見直しをしなきゃならぬ。何よりも、自立生活給付の中で、介護給付については体系をつくっていかなきゃならぬ。もう介護保険は動いているわけでありますから、私は、むしろチャンスを失うという立場だということを申し上げておきたい。いささか現場の声に引っ張られ過ぎているんじゃないか。
それと、時間がありませんから、次のテーマに行きます。
どうしても反論があれば、私は、本当に心配して申し上げているわけでありまして、もっと言いますと、では、これから二年やろうというのは、恐らく政府案の中でいいところは随分あるんだろうなと私は思っているんですが、それはそういう理解なんですか。できるだけ短く。
○山井議員 わかりました。
本当に、桝屋議員のおっしゃることに私も賛同する点はありますが、根本的な問題は、応益負担、一割負担を導入すると、やはり障害者の方々の自立生活、社会参加に大きくブレーキがかかっちゃうんです。だから、一元化の方向とか年齢拡大の方向性は、おっしゃったように、同じ思いのところはかなりあります。しかし、主人公は障害者の方々なんですから、障害者の方々が今のこの急な改革ではサービスを受けられなくなるという不安がこれだけ多いんですから、やはり慎重にやるべきだと考えております。
○桝屋委員 そうすると、将来障害者施策が介護保険を利用するとして、一割負担の世界、介護保険は一割負担の世界ですよね、ここを変える、そこはだめだという発想ですね。そこはどうなんですか。
○山井議員 まさにそこがポイントでありますが、一例を申し上げたいと思います。ドイツでは介護保険を全年齢でやっております。障害者を含んでおります。しかし、障害者福祉の部分は、自己負担ゼロでやっております。だから、介護保険とくっつくから一割負担がそのまま入ってくるという考えは私たち民主党は持っておりませんし……(桝屋委員「持っていないのね」と呼ぶ)持っておりません。所得保障ときっちりセットで考えてまいります。
○桝屋委員 表と裏の議論、多分立場の違いだろうと思いますが、私どももこの自立支援法、障害者の皆さんが本当にお悩みになって迎えられているということは十分わかっていまして、だからこそ、何らかの手を打たなきゃならぬという思いで今日までやってきたわけでありますが、どうも制度に取り組む姿勢の違いではないかなと私は思っております。
もう一つ聞きますと、今回、裁量的経費を負担金にするとされていますね。負担金にするというこの難しさ、簡単なことではないわけでありまして、それはお気持ちはわかるけれども、負担金にする以上、我々は単に財政当局を恐れているとかそういうことじゃないんですよ、本当に国民の皆さんに理解をしていただく……
後ろで首を振るのはやめてくれないかな。だれだ、それ。真摯な議論をしているときに、何だ、その態度は。国会議員同士の議論をやっているんだ。どんな思いで僕らがやっていると思っているんだ。それ、下げてくださいよ。後ろに要りませんよ、サポートなんか。山井さん、要りませんて。あなたと私の議論じゃないか。(山井議員「はい。続けてください、続けてください」と呼ぶ)いや、不愉快なんですよ、後ろで。下げてくださいよ。(山井議員「いえいえ、ちょっと私もいろいろと資料を」と呼ぶ)何を言っているんだ。
負担金にするということは我々だって大変に苦労があると思っています。障害者の皆さんもそうだし、やはりタックスペイヤー、税を負担されておられる皆さん方も、あるいは市民の皆さん方にも、とりわけ支援費を始めて大変に苦しんでいるわけでありますから。みんな見て悩まれているわけでありますから。
したがって、私は、サービスの給付の手続であるとか、あるいは認定の事務とか、あるいは障害程度区分とか、まさに介護保険で始めたようなその手法というものを始めないと、それは自己負担の問題も含めてですよ、負担金にするということは容易なことではないというふうに思っているのであります。そのことを民主党の皆さんも理解されているんじゃないかな、私はこう思っているんですが、その点はどうでしょうか。
○園田(康)議員 基本的な御認識を私もやはり皆さんと共有をさせていただきたいというふうに思っております。すなわち、今おっしゃっていただいた支援費制度そのものの評価というもので、いわゆる問題があったと。
私たちは、当事者団体あるいは当事者の方あるいは家族、そういった方々の御意見をよくよく聞きながら、今日までこの施策といいますか取り組みをさせていただいたんです。その中で、やはり今までの措置制度、支援費制度が導入される前までのその措置制度であった時代の、いわゆる地域に縛られていた、あるいは施設に縛られていた、そういう形からどんどんどんどん外に出ることができる、社会参加もできるようになってくる、そしてその中で障害者基本法ができてきて、その中からみずからの権利意識が芽生えて、そして参加をするようになってきた。これが第一歩であったというふうに私は思っておりますし、それは、ここにいらっしゃる皆さんも一緒に制度を拡充していこうという方向になってきたのではないかと思っています。
ただし、その段階において恐らく与党の皆さん方が一番御苦労されたのは、あるいは政府の皆さんも御苦労されたのは、その中での裁量的経費という部分に関して予算確保がなかなかままならなかった。そして、それがいわば足かせになってしまって、残念ながら、この支援費制度がスタートして二年たったときに、毎年毎年予算不足という形で、やはり私たちは、その点に問題があったのではないかということ、まずここの基本を押さえていただきたかったなというふうに思っているんです。
そうしますと、確かにおっしゃるとおりで、私も、あるいは民主党としても、今回の政府案の中において、その支給決定の方法であるとか、あるいは障害程度認定の区分のあり方であるとか、そういった手法を考えるという部分に関しては評価をさせていただいておりますし、三障害一体としてやるというのは、これも当然のごとくやっていかなければいけないというふうに思っています。したがって、改革ということではなくて、これはいわば今までの、新しく支援費制度が導入されたときの制度の議論を思い出していただいて、それをしっかりと拡充していくという考えに基づいていただきたいわけであります。
したがって、だからこそ、今回の障害程度認定区分であるとか支給決定のあり方の中において、確かにいわば介護保険の手法を取り入れるというのはいいのかもしれませんけれども、ただし、介護保険そのものを入れてくるというのは、これは少し私は違うと思っています。新しい制度をこの障害施策の中で取り入れて、取り入れてといいますかつくっていくわけですから、そうですよね、つくっていくということであるならば、それはしっかりとしたデータのもとの中で、あるいは障害当事者の皆さんが生活をしておられる実態に即してきちっとつくっておくべきである。
そして、また後ほど、私も午後の議論の中で政府案のこの障害程度認定区分の中身をしっかりと明らかにさせていただきたいと思っておりますけれども、そういう形で拙速にやることがさまざまな混乱を生んでしまうということの危惧があるんだということで、私たちはまず、制度をきちっと拡充をしていく、改革ではなくて拡充をしていった上で、そして二年後の議論に基づいてしっかりとした総合福祉法を、きちっとした制度そしてシステムの中でつくっていこうというふうに申し上げているわけであります。
○桝屋委員 介護保険が始まって、介護保険も走りながら考える、完全にでき上がったものではなくて、本当に現場で走りながらやってきている。それが、正直な話、私も苦しい思いで言っておりますが、我が国の福祉の現場だろうと思うんですね。
そういう意味では、皆さん方は現場の声とおっしゃっているけれども、ぜひ理解していただきたいのは、我々も皆さん以上に、皆さんと同じように現場へ行って障害者の皆さんと懇談をしている、話をしてきて、あるいは市町村の現場へ行ってきて、相当な準備もできていて、これはもう今やらなきゃならぬ、もちろん問題がないということは言っていないですよ、多くの問題を抱えながらでも次の段階に行かなきゃいかぬ、改革のときが来ていると私は思っております。これは立場の違いだろうと思います。
もう一点だけ。皆さん方のスタンスが僕はもう一つ見えなくなったのは、さっき大村議員も言われたけれども、マニフェストの中で、国と地方の関係で、生活保護以外は全部地方へ一括交付金として渡すんだと。その先でありまして、一括交付金と渡して、社会保障の分野は地方に任せようというふうに僕は理解しておりました。二十兆円のうち十八兆と書いてあったから、多分生保は一・九兆円ぐらいだから、この四千億ぐらいの支援費の部分はあのマニフェストをつくるときにはこの案のとおりになっていなかったんじゃないか。ここはむしろ、地方に渡すよりも、国の責任、生活保護と同じ世界に入れていくという発想ですよね。だから、そこは大きく変わったんじゃないかというふうに思いますが、どうですか。
○山井議員 非常に重要な点を御指摘いただき、ありがとうございます。
私たちのマニフェストでは、二十兆円のうち多くを一括交付金にするということは確かに書いてございますが、逆に、生活保護とか一部に関しては残していくということになっておりまして、それで、ここからが重要なんですが、御存じのように、今まさに厚生労働省もおっしゃっているように、障害者サービスの地域間格差というのはめちゃくちゃ大きいものがあります。これを早急にやはり底上げしていって、ある程度格差なくできていった時点において地方に任せないと、今から地方に任せたらだめだと思います。
それと、もう一点だけつけ加えさせていただきますが、やはり認識の違いです。現場を回ったとおっしゃいましたが、先日も一万一千人の方が、今のこの自立支援法では自立できない、当事者抜きに当事者のことを決めないでということをおっしゃっていましたね。私もこの五カ月間で六十数カ所回りました。でも、圧倒的多数は、やはり今回の自立支援法では、申しわけないけれども、自己負担と応益負担で社会参加、自立生活にブレーキがかかるという声が多いんです。だから、私たちはやはり、この法案、今が非常にピンチだというふうに思っております。
以上です。
○桝屋委員 ピンチだからこそ、私どもは改革をという立場だと。政治は少し先を見て、痛みがあるかもしれないけれども、その痛みをどう克服するかという知恵を出しながら私は取り組んでいくと。残念ながら、皆さん方の対案は、この対案は山井さんの本音とは違うんじゃないかと僕は思っておりますが、我々と見解を異にするなというふうに言わざるを得ない、こういう思いがいたします。
残された時間、ちょっと政府案に対して議論したいと思います。
今の民主党の議論と続く話でありますが、今回負担金になるということで、今までは裁量的経費であったがゆえに現場の裁量というものがかなり自由にできた、これが負担金になりますから、大臣、この前も申し上げたかもしれませんが、昔、無認可の施設を例えば身体障害者福祉法や知的障害者福祉法の法の施設にすると、途端に運営がぐちゃぐちゃになって、四角四面になって、非常に現場はまさに利用者のニーズにこたえられないという経験を私はしたことがありまして、その実態を見てきたことがありますが、今回の改正がそうなってはならぬなと。とりわけ制度の移行期において、柔軟な対応というものを私は求めておきたいというふうに思います。
そういう意味で、これは事務方に伺いますが、一つは、まず自立支援で重度の障害者の方々がどんな支給になるかということであります。障害程度区分ごとにこれからは単価も設定される、そして国庫負担金の基準が設定されるというふうに思っておりますが、重度障害者の実態から見ますと、それぞれ市町村において支援費においてはさまざまな工夫をしているわけでありまして、ここは、負担金になるからといって四角四面におやりになるのかどうか。流用とまでは僕は言いませんけれども、柔軟な対応が現場で求められるんじゃないかと思っておりますが、そこはそういう対応、運用が可能かどうかお尋ねしたいと思います。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
負担金になった後の配分方法の問題だと思います。委員からお話ございましたように、新制度では、支援の必要度に合わせまして総合的に障害程度区分を導入いたしますので、基本的には障害程度区分ごとに国庫負担の基準を設定する、こういうことが基本になろうかと思いますが、今議論にもありましたように、全国的には大変大きな地域格差がございます。新制度に移行する場合に、当然、今そのサービスを受けておられる方々の現状に大きな変化が生ずるということはまさに一番大変なことでございますので、今委員からお話がございましたように、制度移行時の対応をどうするかについては、新たに定める国庫負担基準の水準、これは新しい基準を今定めようと思っておりますが、そういったことも踏まえながら、激変緩和については当然検討させていただきたいと思っております。
○桝屋委員 ありがとうございます。十分な検討をお願いしておきたいと思います。
それからもう一点、今回の自立支援法の世界で行われる給付について、利用施設について、今までは、私も長い間現場におりましたけれども、月額単価で支弁されていた措置費の時代が長く続いてまいりましたけれども、今度は日割りになる、基本的に日割りだろうと。それはある意味ではいいことでありまして、日割りにすれば、恐らく定員以上の処遇も、お世話することも可能だろう、そこはそれで私はいいことだなと思っているんです。
しかし、今、自立支援法の案を見て地方が心配していますのは、定員がオーバーしたときよりも、むしろ私の地元では定員が確保できない、障害者の皆さんでありますから、体の状態を悪くして入院をされたり、さまざまな状況がある、定員に満たないことがある、そうすると十分な運営費が確保されないということがあるのではないかという心配もしているのでありますが、この点は移行期においてどうでありましょうか。
○中村政府参考人 二つ申し上げたいと思います。
基本的には、日払い方式に改めるのを基本に置いておりますが、今委員からもお話ございましたように、障害者施設、それぞれの施設の利用者の方の特性に応じまして、キャンセルの問題ですとか入院や外泊の問題など、さまざま定員と実員の乖離が生ずるようなことがございますので、そういったことについて一定の配慮を行うことは、これは当然だろうということが第一点でございます。
第二点は、それぞれの制度の施設がございますが、いわば措置制度に使っている期間が長い施設ほど月額払いが定着しておりますので、そういった施設については現にかなり定員を下回っておられながら運営されているところもありますので、一挙に日払い方式を適用されると本当に経営が破綻してしまうというおそれもあろうかと思います。激変措置を講じ、そういったことがないように軟着陸をよく考えていきたい。
その二点でございます。
○桝屋委員 それからもう一つ、現場でよく聞く声、山井さんに負けないぐらい私も現場を回ってきているつもりなんですが、現場に行きますとこういう誤解があります。
自立支援法の第七条にこういう規定があります。これは、介護保険それから健康保険法等の他法の制度をまず優先して使いましょうねという規定、それとあわせて、国または地方公共団体の負担、特に地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において給付を行わないという条文であります。
これは今までの制度の中にもあった規定でありますから私は安心をしておりましたけれども、現場に行ったらどういう話になっているかといいますと、この規定によって、例えば一つの、デイサービスにしても何にしてもサービスを実施する、それを地方自治体が上乗せをして実施するという場合、往々にしてあるわけであります、横出しじゃないですね、上乗せの部分、同じサービス、国のサービスと相当なサービスで上乗せをするという場合に、その上乗せの部分については、今度は自立支援法の世界では、この条文に基づいて何らかの調整がされるんじゃないか、地方自治体が単独で出している部分については、その分国庫負担金は削られるんじゃないかというような、誤解といいましょうか、そんな声があるのであります。私はそういうことがあってはならぬと思っておりますが、この点も確認をさせていただきたいと思います。
○中村政府参考人 お答え申し上げます。
第七条の性格については委員からお話があったとおりでございまして、自立支援給付のいわゆる上乗せ、横出しとして地方自治体の単独事業として行うものについて、自立支援給付の給付の対象とは別のサービス部分に対して給付されるものでありますので、この規定の対象とはなりません。つまり、調整するというようなことは考えておりません。
○桝屋委員 もっともっと伺いたいところがあるのでありますが、最初に民主党の皆さんと激しい議論になりまして、大変声を荒げて反省しておりますが、ただ、せっかく議員が、民主党の皆さん方が対案をお出しになった、懸命に私も議論したい、こう思った次第でありまして、御容赦をいただきたいと思います。
きょう、本会議であるいは趣旨説明で元気いっぱいに提案をされたあの何とかさん、第二の山井さんのような方が来られて、厚生労働委員会も元気で明るくなるなと喜んでおりますが、本当は彼ともう一回議論をしてみたいな、こう思いながらも、最後に大臣に、今のような支援費の移行期におけるさまざまな取り扱い、さっき山井さんは御答弁の中で、まだまだ地域によって差がある、こうおっしゃった、僕もその認識は同じであります。したがって、そこは賛成なんでありますが、差があるということは相当進んでいる地域がある、相当進んでいる地域がやはり今回の自立支援法の新しい体系に入るときにはさまざまな苦労があるだろう、移行期における十分なる配慮を最後に大臣に求めたい、回答を求めたいというふうに思います。
○尾辻国務大臣 まさに地域差がある、これを何とかしなきゃいけないという思いが今回の障害者自立支援法案をお願いしておる大きな理由でもあります。
そこで、今度の自立支援法案にいろいろと御理解を十分いただいていないところがあるわけでありますが、その一つとして、今お尋ねいただきましたから申し上げますと、私どもは全体のレベルを上げようと思っているわけでありまして、予算の額を、総枠を同じようにして今の話をしますと、上と下があるわけですから、総枠が一定しているということになると、上が下がって下が上がって、こういうことになるわけでありますけれども、総枠をふやしながらこの制度を全体にかさ上げをしようというふうに思っておりますので、決して平均値に、上が下がって下が上がって落ちつくというようなことを考えているわけでもないし、今後の予算もそういうことで考えているわけではないということを申し上げて、上の方の水準は維持しながら下を上げてまいりますということを改めて申し上げておきたいと存じます。
○桝屋委員 終わりますが、最後にどうしても山井さんともう一言。
チャンスだと僕はさっき申し上げた。大臣も今言われたけれども、予算の確保、僕ら与党も全力を挙げます。ただ、ここ二、三年のうちに、恐らく、障害者の福祉施策の予算をどうするか、端的に言いますと消費税議論も始まると思うんです。私は、それを見越すと今から制度を開始しなきゃだめだ、こう思っているんですが、山井さんの御意見を伺って終わりたいと思います。
○山井議員 本当に質問ありがとうございます。
思いは共有をいたしますが、やはり応益負担、一割負担というのは世界にも例を見ない制度でありまして、障害者の社会サービス利用にブレーキをかけるわけなんですね。だから、これは正直言って私はやはり禁じ手だと思っております。
以上です。
○桝屋委員 大臣が御答弁になったように、限りない応能負担に近いところにまで今来ているわけでありまして、次の大きなる議論をしなきゃならぬときが来ているのじゃないか、チャンスを失ってはならぬということを申し上げて、質問を終わります。ありがとうございました。
○山井議員 笠井議員にお答え申し上げます。
そもそも応益負担といいますと、定率負担とも言いますが、障害が重いほど多くの自己負担を払うという制度であります。しかし、これはまさに福祉の理念に反しておりまして、世界じゅうを見ても、障害者福祉において障害が重いほど多くの自己負担を取るという応益負担の考え方を導入している国はありません。今回のこの法案が初めてであります。
だれも望んで障害を持って生まれたわけではありません。なおさら、だれも望んでより重い障害に生まれたわけではありません。そういう方々からより多くの自己負担を取ろうとするこの応益負担という考え方は、福祉の理念に反すると思いますし、やはり改革という以上は、理念が最も重要でありますから、そういう理念の間違った政府案ではなく、私たちは、所得に応じた自己負担ということで、支援費の応能負担というものを当面続けようというふうに考えております。
○笠井委員 ありがとうございました。私も、今山井議員が答弁された点は非常に重要な点だと思います。
もう一つ伺いたいんですけれども、民主党案では、難病なども対象とした包括的障害者福祉法の検討というのがございますけれども、策定段階での障害者の皆さんの意見の反映という点についてはどのように担保をされているか、お考えを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
○山井議員 笠井議員の質問にお答えさせていただきます。
今御質問いただきました障害者の声をいかに改革に入れていくかということは、最も重要なことであると思います。一番重要なのは、まさにこの制度の主人公は障害者の方々であるということです。
そういう意味で、私たちは、まず何よりも時間をかける、今後二年以内に包括的障害者福祉法制を策定するというふうに書いておりますけれども、二年間じっくり障害者の方々の声を聞かせていただきたい、検討会をつくってやっていきたいと思っております。今御質問されましたように、難病や、また難病の中にもいろいろなケースもありますし、障害によってもさまざまな違いがあります。これを丁寧にやっていかねばならないと思います。
一つだけ最後につけ加えさせていただきますが、今回の政府案の最大の問題点は、当事者不在、まさに利用される側の障害者の方々が障害者の声をもっとしっかり聞いてくれと言っているにもかかわらず、無理やり強引にこういう応益負担の制度を導入しようとしている。こういうやり方もやはり改革には決してなじまないというふうに民主党としては考えております。
○笠井委員 ありがとうございました。私も同感です。よくわかりました。
そこで、政府案について伺いたいと思うんですが、私、政府案の最大の問題点は、今お話もありましたが、障害者福祉を現在の収入に応じた応能負担から、サービス利用は障害者が利益を受けるということだとして応益負担に変えたことだと思うんです。
大臣は繰り返し答弁の中で、きめ細かな配慮、激変緩和をつけるなど限りなく応能負担に近づけている、こうおっしゃったり、負担の軽減に努めていると言われたり、予算もふやしていると言われております。しかし、私、何とおっしゃろうと、こういうやり方というのは、従来の収入に応じた負担方式によって低く抑えられて、ホームヘルプや通所施設について言えば九五%が無料で利用できたものが、すべて一律に一割の定率負担とされて、手厚い福祉が必要な重い障害の方ほど重い自己負担で、サービスを利用しにくくする。大臣は、すべての人に受けられるようにと言われたけれども、まさにそれに逆行して、福祉を壊すスキームにほかならないと私は思うんです。
そこで、中村社会・援護局長に伺いたいと思います。
局長は、参議院の審議の中で、「今度の法律というのは、やっぱりサービスは買うものだと、みんな買う主体になると、」「それが新しい福祉の考え方」、こういうふうに答弁されましたけれども、私、これはおよそ福祉の考えからいったら信じがたい答弁だと思うんです。健常者でも、本来社会保障の負担というのは応能であるのが原則であるべきでありまして、ましてや障害者の方々に応益なんというのを持ち込んでくるというのはもってのほかだと思います。まさに障害者の皆さんはハンディキャップがあるからこそ、その差を埋めるということで、それを支援するというのが、それこそが障害者福祉ではないかというふうに思うんです。
私、その担当責任者である局長の発言、重大だと思いますので、障害者のサービスは買うものだ、そういう発言については撤回していただきたいと思うんですけれども、いかがですか。
(後略)
163-衆-本会議-7号 平成17年10月18日
○山井和則君 民主党の山井和則でございます。
菊田議員から御質問いただきました点について、園田議員とともにお答えをさせていただきます。
まず、精神通院公費、更生医療、育成医療についてでございますが、私たち民主党案では、従来どおり存続し、政府案にあるような障害者に一律の一割負担を求める自立支援医療は導入はいたしません。
その理由は、まず、精神通院公費制度というのはどのような制度かといいますと、心に病を持っておられる方々がどうしても適切な医療が受けられないということで、自己負担を軽減し、クリニックやデイケアに通いやすくして、それによって社会復帰や職場復帰あるいは自殺予防に貢献している、まさに心の病を抱えている方々の命綱と言われる制度であります。これに対して、政府案はカットするということで、短期間に二十三万人もの方々から反対の署名が集まりました。
御存じのように、日本では七万人を超える、治療が終了したにもかかわらず精神病院から退院できない社会的入院の方々がおられ、三万人を超える自殺者が毎年おられます。そのような方々にとっての命綱のこの公費負担医療をカットするということは、もっと精神病院への入院をふやし、そして社会復帰をおくらせ、ひいては自殺者すらふやしかねない、自立支援医療どころか自殺支援医療であると民主党は考えております。
そして、更生医療、育成医療についても、まさに難病や心臓病や腎臓病を初めとする、そういう病に苦しんでおられる障害児や障害者の方々に対する大切な公費負担制度、これは民主党は存続させると考えております。通常国会でも、この政府案の前提となる基礎的データが大きな誤りがあったということが明らかになっております。私たち民主党は、このような公費負担制度で障害児や障害者の医療はしっかりとこれからも守ってまいります。
二番目の質問の、政府案と民主党案の最大の違いは何か、そしてその理由はという質問にお答えいたします。
公的な国の財政負担を明確にする、あるいは精神を加えた三障害を一体的に整備していく、このことについての方向性は、政府案と民主党案は共通しております。しかし、最大の違いは、定率の一割負担を政府案では導入し、サービス利用にブレーキをかけて、事実上障害者の自立を阻害する法案になっているということであります。民主党では、今までどおり、所得に応じて負担をする応能負担をとっております。
御存じのように、国際的に見ても、先進国に比べて日本では、知的障害者が施設に入所している割合が数倍、精神障害者が病院に入院している割合が先進国水準の数倍。こういう大きく立ちおくれた二十世紀の日本の障害者福祉の現状をこれから何とかして挽回しようとするやさきに、障害者に一割の定率負担を導入する、このことはまさに福祉の流れを逆行させると言わざるを得ません。(拍手)
七月五日には、一万一千人もの障害者の方々が、このままの自立支援法案では自立できませんという史上最大規模の要請行動を国会に炎天下の中行われました。そして本日も、この時間、大阪の御堂筋で三千人を超える障害者の方々が、私たち当事者の声を聞かないで私たちのことを決めないでという要請行動を行っておられます。私たち民主党は、このような障害者の切実な声にしっかり耳を傾け、あらゆる障害を対象とした包括的障害者福祉法を制定してまいります。
皆さん、障害者の社会参加にブレーキをかける政府案か、障害者の社会参加を推進する民主党案か。そして何よりも、最も弱い立場の方々に負担を押しつける政府案か、最も弱い立場の方々を体を張ってでも守っていく民主党案か。これは、根本的な政治理念が問われています。
一番心配なことが政府案にはあります。来年の四月、この法案が通れば一割負担が導入されます。そのときに、それによって作業所に通えなくなる障害者が出てきます。また、それによって閉じこもりになってしまう障害者が出てまいります。また、それによって家庭崩壊やあるいは自殺や心中事件すら起こりかねません。
実際、ことしの二月には殺人事件まで既に起こっているんです。神戸で、障害者の息子さんを育てておられたお母さんが息子さんを殺して、自分も自殺を図られました。裁判の公判では、お母さんは障害者自立支援法の動きを知って、障害のある息子さんの前途を悲観して心中を図ったということが述べられております。
政治とは人の命を守るものです。間違っても人の命を奪ってはなりません。それが証拠に、障害のある方に一割の定率負担、応益負担、つまり障害が重いほど自己負担を重くするというこの制度、世界じゅうで導入するのは今回の政府案が世界初であります。世界の福祉の流れに逆行することは改革とは呼ぶことはできません。これが民主党案と政府案の最大の違いであります。
最後になりますが、与党は、対案は歓迎だ、正々堂々と議論しようと言うならば、なぜ民主党案に対して正々堂々と質問をしないんでしょうか。正々堂々と質問もせずに批判だけする、これでは、プロレスに例えたら、リングの上で戦おうと言っているのに、そっちだけがリングの下からパイプいすを投げ込んでいるような状況じゃないですか。(拍手)
なぜ通常国会で対案を出さなかったのか。与党が修正協議をしようと言ってきたからじゃないですか。
そして、改革の案に値しないということをおっしゃいました。それは障害者の方々が決めることであります。
しっかりと時間をとって、私たちも対案を出したわけですから、参考人質疑、公聴会もしっかりやって、どちらが本当の改革案なのか、しっかりと障害者の方に決めてもらおうではありませんか。
質問をして答弁をされたら勝ち目がない、正々堂々とこんな障害者をいじめる法案は壇上では議論できない、だから質問もしない、こんなやり方に断固抗議して、私の答弁を終わります。(拍手)