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2005年10月

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律案

 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律案」(いわゆる、高齢者虐待防止法案)が、昨日の衆議院厚生労働委員会に委員長提案という形で提出され、可決されました。
 この法案は、山井と泉健太議員が民主党の取りまとめ役になってきました。
 前国会では、民主党と与党が別々に法案を提出しましたが、今国会で、山井と泉議員が自民党の馳ひろし議員、公明党の古屋範子議員と協議をして共同案を作り、他の党の賛同も得て、委員長提案になったものです。

 10月28日の衆議院本会議を通過、今国会中に成立し、2006年4月に施行の予定です。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律案要綱(pdf 38KB)
高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律案(pdf 45KB)

Posted at 2005年10月27日 固有リンク | Comments (2) | TrackBack

2005年10月

2005年10月

厚生労働委員会議事録(大臣所信に対する一般質疑 障害者自立支援法案について)

163-衆-厚生労働委員会-2号 平成17年10月12日
 大臣所信に対する一般質疑
◇人工呼吸器を必要とするALS患者が在宅で暮らせるのか
◇自動吸痰装置について
◇目標とするホームヘルプの水準について
◇精神通院医療の「重度継続」について

○山井委員 民主党の山井和則です。
 三十分間、尾辻大臣、そして西副大臣に障害者自立支援法についてお伺いしたいと思います。
 一般質疑でございますが、これは半年間、この厚生労働委員会でも議論をしてきたことでございます。来週になりますかわかりませんが、障害者自立支援法の法案審議のときには我が党はしっかりと対案を出して議論をしていきたいと思っておりますが、その以前に、政府案、わからないところだらけでありますので、そのことについて一つ一つ聞いていきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。


 きょう、朝から障害者自立支援法についての質問がございました。自民党の冨岡議員からも、この法案は生存権にかかわる部分があるという発言もございました。朝からずっと園田議員と厚生労働省の方とのやりとりも聞いておりましたが、恐らくここにいらっしゃる方、皆さん一致した意見は、なぜ税方式で応益負担なんだ、そんなことをやっている国は世界にあるのかと。このことは日本じゅうの学者の方も、はっきり言って日本じゅうの政治関係者も首をひねっているのではないかと思います。義務負担にする、義務的経費に変えるから応益負担という説明らしいんですが、それは全く論理的には成り立っていないわけなんですね。
 だから、そういう根本的なおかしさをはらんだ法案。ですから、名前は自立支援法案といいながらも、非常にかみ砕いて言えば、一割負担、応益負担を多少の減免はあるけれども原則的にはやっていく。自己負担アップ法案になぜ障害者自立支援法案と名づけているのか摩訶不思議。これが、厚生労働省が幾ら障害者自立支援法だといいながらも、現場の方々や障害者本人からはこれは障害者自立阻害法案であると言われるゆえんです。七月五日にも、一万一千人の障害者の方々や現場の方々が、この法案では自立ができませんというアピール行動をこの国会周辺で行われたところであります。
 そのような基本認識を述べたところで、最初の質問に移りたいと思います。
 まず、尾辻大臣、重度の方々にとってはこの自立支援法はまさに死活問題であります。そこで、抽象的な質問をしても仕方がありませんので、ALSの患者さんを例にとって質問したいと思います。
 ALSでは、特に、人工呼吸器をつけると二十四時間たんの吸引などの介護も必要になります。それで家族を介護で苦しめるからという理由もあって、人工呼吸器をつけずに死を選ぶ患者さんもおられるというぐらい深刻な問題でありまして、これは生存権の問題にもかかわる問題で、こういうことはあってはならないのではないかと思っております。そのためには、こういう方々を支援するサービスをしっかり整備せねばなりません。
 本日も、公明党の参考人で参議院にALS協会の会長の橋本操さんが来られて、話をされておられます。これは非常にすばらしいことだと思っております。
 そこで、この自立支援法では、ひとり暮らしや老夫婦で重介護を必要とするALS患者さんや、人工呼吸器をつけたALS患者さんが在宅で暮らしていける水準になるのか。地域格差をなくし、ぜひそのような水準にすべきだと考えますが、大臣いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 今私どもが御提案申し上げております、新しい制度におきます国庫負担の対象とする費用の基準、国庫負担基準でございますけれども、これにつきましては、先ほども御議論になりましたけれども、現在の大まかな区分を見直しまして、障害者の心身の状態を客観的にあらわすものとして、新たに開発をいたします障害程度区分に応じた設定とすることを考えております。
 そして、特に重度の障害の方を想定して、今お話しのようなことがございますので、ホームヘルプサービスのみを利用される場合には重度訪問介護、極めて重度の方であってもホームヘルプサービスのみ利用される場合もございますので、そういう場合には重度訪問介護、それから、重度であって複数のサービスを併用されるような場合には、重度障害者等包括支援という新たな給付類型を創設することといたしておるところでございます。
 これらの新たな給付に係る基準等につきましては、今後、サービス利用実態調査でありますとか障害程度区分試行事業の結果の分析を行いまして、重度訪問介護等の対象者の範囲、どういう方を対象にするか、あるいはまた、報酬基準や運営基準などとあわせまして、検討していくことにいたしております。
 そこで、具体的にALS患者の方というお話でございましたけれども、いずれにいたしましても、ALS患者等の重い障害を持った方でも、地域で暮らしたいという願いにこたえていくということは、これは極めて重要な課題であると考えておりまして、制度が変わりましても、新しい制度になりましても、現在サービスを利用しておられる方々にとって、大きな変化などは生じないように配慮しなきゃならないというふうに考えております。

○山井委員 これは地域間格差もございます。ぜひとも、こういうALSの患者さんを初めとする最重度の方々が地域で暮らしていける水準にしていただきたいと思いますし、それが当然のことだと思います。そういう中身が全く今の法案だけではわからないわけで、当事者の方々は非常に大きな不安を感じておられます。
 それで、引き続きお伺いしますが、きょう資料もお配りしましたが、こういうALSの患者さんや御家族の方にとって非常に今朗報となっているのが、この新聞記事にございます、たんの自動吸引装置であります。これは、大分の協和病院の山本先生や、また厚生科研で法化図教授が研究をされたことでありますけれども、こういう自動吸引装置ができれば、本当に家族の方々やALSの患者の方々にとっては非常に助かるわけであります。
 そこで、要望かつお伺いでありますが、早急に医療機器承認をし、また、購入しやすくするために障害者の日常生活用品の品目に加えるなり、保険適用することを早急にやっていく必要があると思いますが、大臣いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 御指摘の、人工呼吸器をつけている患者さんのための自動たん吸引装置につきましては、現在、医療機器としての薬事法上の承認申請を行うため、企業において資料作成などを進めておられるところだと聞いております。今後、承認申請がなされた際には、有効性、安全性について迅速に審査をしてまいりたいというふうに考えます。
 要するに、まだ申請が出ておりませんので、申請が出ましたら迅速に審査をいたしますということを申し上げたところでございます。

○山井委員 これはまさに、こういう装置ができるかどうかによって、本当に、生き長らえるか、あるいは介護者の方々が共倒れしないか、家庭崩壊しないかということにかかわる非常に重要なことでありますので、申請が行われましたら早急にお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問、西副大臣にお伺いさせていただきます。
 先日、大阪で公聴会がございました、参議院の公聴会。私も傍聴をさせていただきました。そこで、大阪のことについて、非常にサービスが進んでいるわけですが、議論になりました。
 皆さん、資料の二ページ目を見ていただきたいと思います。これは、先週の社会保障審議会障害者部会で厚生労働省から配られた資料であります。このページ二を見て、皆さんどう思われますでしょうか。新聞でも、地域間格差が激しいホームヘルプ、そして大阪が一番進んでいる、全国で六・三倍というのが出ております。
 私は何を申し上げたいかというと、これだけ資料で出されると、何か大阪はサービスを利用し過ぎなのではないかというふうな印象を持たれるのではないかと思うんですね。でも、不思議と厚生労働省さんは、施設の部分は資料では出しておられないんですね。当然、施設でかかっている費用と在宅の費用と両方出さないとだめですよね、当たり前のことですけれども。
 それで昨日、厚生労働省さんに頼んで施設の費用も出していただきました。そしてそれをグラフにしたのがこのページ三でございます。ちょっと見にくいグラフですけれども、先ほど、大阪のホームヘルプ利用者が人口当たり日本一で断トツでした。しかし、施設利用者を比べると、このグラフにありますように、白抜きがトータルです。そして、在宅が黒い棒です。そして、施設にかかっているお金が横のしま線です。
 ちょっと細かい話になるかもしれませんが、私が聞きたいのは、この自立支援法なりで厚生労働省はどの方向を目指しているのかということなんですよ。都道府県、いろいろなタイプがあるわけです。西副大臣、これを見てもらったらわかると思いますが、西先生も近畿でいらっしゃいますから。要は、居宅サービスが進んで施設が少ないところと、居宅サービス、黒線が少ないから施設に頼っているところがあるんです。どっちを厚生労働省さんはこの自立支援法で目指すんですか。
 そう考えてみたときに、居宅サービスが進むことによって、施設じゃなくて地域で障害者が暮らせているモデルとなる地域、皆さん、どこか見てみてください。そうして見ると、まさにそのモデルとなるのが大阪なんですね。居宅サービスが進んでいるから施設が非常に少なくなっているわけです。
 実はこのことを、先日の公聴会で公明党の遠山参議院議員が見事、指摘をされました。遠山参議院議員、どうおっしゃったか。大阪市が取り組んだことはぜいたくではないと思う、今回の障害者自立支援法は大阪市のような先進的な取り組みを全国に広げるものだと思うと明確におっしゃっていられます。
 そこで、西副大臣に改めてお伺いをしたいと思います。
 遠山参議院議員はこういうことを公聴会でも述べていられるんですが、このような認識、つまり障害者自立支援法は大阪のような先進地域の取り組みを全国に広げるものだと思うというこの認識は、このとおりでよろしいでしょうか。

○西副大臣 お答え申し上げます。
 遠山参議院議員のおっしゃった真意というのは、私、必ずしも理解しているわけでも、またお聞きをしているわけでもないんですが、今のグラフを拝見いたしまして、今回の法案、障害者自立支援法案を通してやはりサービス量拡大をしていって、そして現在水準が低いところ、低い地域を中心にしてその水準を上げていく、いわゆる底上げをしていく、こういうことが大事であろうというふうに思っております。この法案の趣旨である自立、また社会参加、そういうことを進めるために、その地域地域に応じたやり方があるのではないか。
 ちょっと拝見しますと、大阪が在宅が多いということは事実なんですが、都市部とそれから若干地方とでもあり方が違うのではないか。もちろん、日常生活の生活空間の距離、御近所の距離とかそういう日常の移動距離等も違うんでしょうし、また、政策の進み方も現状としては違っているというふうに思います。
 しかし、住みなれた地域で過ごせる、そういう基本的な理念に合わせた方向性というのが望ましいのではないか、また、その方向でこれから整備が進められていくべきではないかというふうに思っております。

○山井委員 ちょっと漠然とした答弁だったので、改めて一点だけ確認しますが、遠山議員がおっしゃったように、今回の障害者自立支援法は、大阪市のような先進的な取り組みを全国に広げるものだと思うという認識を西副大臣も共有していられますか。それだけお答えください。

○西副大臣 基本的なことについては、共有しております。

○山井委員 ぜひ、このグラフを見て、在宅が進んでいる大阪はサービスを使い過ぎだというような誤解が生まれないようにせねばと思いますし、そういう意味では、社会保障審議会の資料も、何かホームヘルプが大阪が多いという資料だけじゃなくて、そのことによって施設が非常に少なくなっているということもきっちり私は出すべきではないかと思います。
 それでは、また尾辻大臣にお伺いしたいと思います。
 そこで、なぜ大阪がこういうふうに施設の割合が少なくなったかというと、やはり脳性麻痺で重度の方々というのは、大体月に二百時間から三百時間ぐらいのホームヘルプが必要なんですね。そういうホームヘルプが利用できる体制を大阪はしっかりと先進的につくり上げていったわけです。また、私の京都の知り合いも、二百時間、三百時間のサービスを一カ月利用することによって自立生活をされておられます。脳性麻痺の方でおられますが。
 そこで、そういう方々の深刻な不安は、今二百時間、三百時間サービスを受けて自立生活をしているけれども、そのサービスが維持されるのかということで、これが維持されなかったら死活問題だということなんですが、先ほどのALSの質問にも関連しますが、このような方々のサービス水準というのは、当然維持されるんでしょうね。明確な答弁をお願いします、尾辻大臣。

○尾辻国務大臣 現在のホームヘルプサービスにおきましては、まずは、先ほど申し上げましたように、限られた国費でございますから公平に配分するという観点から、市町村を単位として国庫負担の対象とする費用の基準、国庫負担基準でございますが、これを設けているところであります。基準はそのとおりであります。
 それから、その上で、でございますが、市町村がサービスの利用を希望する障害者に対して行う支給決定につきましては、障害者一人一人の状況を総合的に勘案して決定するということになっております。
 今お話しのようないろいろなケースが出てくるわけでございますけれども、それでは、今度新しい制度でどうするかということになるわけでございますが、国庫負担の対象とする費用の基準は市町村を単位とした国費の配分ルールであることは現在と変わりはなく、市町村がサービスの利用を希望する障害者に対して行う支給決定について、障害者一人一人の状況を見ながら行うことになるということでございますから、基本的に変化をいたしません。
 ですから、大きく変化することはありませんから、一番御懸念の百二十五時間で切るのではないかといったようなことを考えておるものではないということを申し上げておきたいと存じます。
    〔委員長退席、石崎委員長代理着席〕

○山井委員 この点に関しては、先ほど大阪市の先進事例ということで確認しましたように、こういう二百時間、三百時間で自立生活をされている方々がこの法案で自立生活ができなくなるということでは、全く先ほど答弁された趣旨と違ってくるわけですから、そこはきっちりお願いをしたいと思います。
 それで、次に精神障害者、精神医療のことに移らせていただきます。
 資料の五を見ていただければと思います。これは、尾辻大臣には、この通常国会以来、ほぼ半年にわたって毎回質問をしている問題であります。
 御存じのように、国を挙げて自殺予防ということをやっている中で、精神通院公費助成制度、いわゆる三十二条というのは、精神疾患の方々というのは非常に所得が少ない方が多い、また、長くつらい精神疾患という病気で、通うのがなかなか大変だ。そんな中で、精神病院から退院できない、また、社会復帰できない、そういう悩みの中で、三十二条、精神通院公費助成制度というのができて、五%、あるいは自治体によっては〇%の自己負担で、精神科のクリニックに通ったり、あるいはデイケアを利用できるというサービスがあったわけですね。
 はっきり言いまして、これが多くの方々の自殺防止になったり、あるいは精神病院からの退院の受け皿になったり、また、そこでいい治療やデイケアでのサービスを受けて、就労に戻ったり、家族との円満な関係に戻ったり、そういう効果を上げていたわけです。
 しかし、今回の自立支援法の中で、理由もなく、利用者が多いというだけのような理由で、これがばっさり今切られようとしているわけです。それに対して、この三十二条の存続を求めるという二十三万人もの署名が厚生労働省にも行っているわけです。
 そこで、この三十二条から自立支援医療にかわる中で、厚生労働省はずっと、重度かつ継続の人たちだけは上限を設けて負担を少なくするということを言ってきたわけですね。そして、その重度かつ継続の三つの疾病は、結局、てんかんと躁うつ病と統合失調症と言ってきたわけです。
 半年間、この議論をずっと国会でもやってきました。しかし、大臣、今ゆゆしき問題になっています。先週も自立支援医療検討会がありました。しかし、幾ら現場の精神科医の議論を聞いても、今言った三つの病名だけが重度でかつ継続ではない、三つの病名では切れないんだ、何で厚生労働省は三つで切ろうとするのかという批判の声がわんさと上がっているわけです。
 先週の検討会、私も傍聴しました。そこに出ていた精神科医の方々がここのようなデータを出して、一々説明しませんが、丸がついているものの三つの病名だけを重度かつ継続で、上限を設けて自己負担を軽くしようとしているんですけれども、後でじっくり見てもらったらいいですが、この三つの病名だけがお金がかかって長期化するとは言い切れないんですよ。ほかの病名でも長期化しているものもあれば、ほかの病名でも重度化している、お金がかかっているのもあるわけです。
 この半年間、検討会では現場の方々が毎回のように、病名で区切らないでください、区切れないんですからと言っているわけですよ。先週の検討会で、座長の方はとうとうどうおっしゃったかと思いますか。そうおっしゃらずに、もう一回調査し直して、何とかなりませんかと。何とかなりませんかという、そんなもの、現場は病名では区切れないということを言い続けているわけです。
 だから、ここで大臣に言いたいのは、その病名に入るかどうかで自己負担も決まって、自己負担がアップしたら、デイケアやクリニック通院が抑制されて、自殺する人も出てくるかもしれない、そういう命綱なんですよ。その命綱を、どこで基準を切って安くするかということがいまだに決められない、そういう病名で決められないという状態なわけです。
 ですから、私は要望をストレートに申し上げます。病名じゃなくて状態像で、精神科医の方が、この方は統合失調症じゃないけれども、非常に重度で継続的だというふうに判断される方とかは、やはり状態像で上限を設けて自己負担を軽減できる、そういうふうにすべきではないでしょうか。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 私が承知しておりますこの問題に対する検討の経緯でございますが、当初、やはり今おっしゃるように状態で判断するのがいいというふうに考えたようであります。
 そこで、専門家の皆さんの御意見を聞いたら、これは私が理解しているところなんですが、なかなか状態で判断するというのが難しいと。それでやはり疾病名でいかざるを得ないというところになって、とにかく疾病名でいくというふうにまず決めたんだけれども、ではその疾病名をどうするかというので、とりあえず、だれもが認めるというか、一番わかりがいいのが三疾病だけれども、しかし、これでとめるという話ではない。
 今少なくとも私どもが思っておりますのは、何もこの三つの疾病でとめるなんということを考えているわけじゃありません。専門家の御意見を聞いて、そして新たに加えるものがあったら加えていただいて、それもどんどん広げていけばいいというふうに考えておるわけでございまして、そうしようと思っておるところでございます。
 ただ、なかなか状態で決めにくいという専門家の皆さんの御意見があるというふうに私は理解をいたしております。

○山井委員 はっきり言いまして、大臣の聞いていられる報告と検討会の審議は違います。現場のお医者さんたちは、状態像の方がいいと一貫して言っているんです。病名では切れないということを最初から言い続けているんです。厚生労働省が病名で切りたいと言っているだけなんですよ。
 ですから、大臣、もう一度確認します。これはもう来年の四月からスタートして、検討会では十一月九日の検討会、あと一カ月弱でもう結論を出してくださいというところまで来ているわけですね。ですから、今大臣がちらっとおっしゃったように、三つの疾病からスタートして様子を見て広げていくんじゃなくて、三つの疾病で切る論理的な理由はデータからは一切出てこないんですから、三つの疾病では切らないということを今言ってください。

○尾辻国務大臣 少なくともお約束を申し上げます。
 今私は、私が理解しておるところでお答えを申し上げました。そこで、今先生から、少し違うんじゃないかというお話がございました。もう一回、私もよく皆さんの意見を聞いてみます。そして判断をいたします。

○山井委員 通常国会でも私は、この部分は、申しわけないが、自立支援医療じゃなくて自殺支援医療になる。精神科クリニック、デイケアというのは、本当に一番苦しんでいられる方々が、家庭が崩壊したり、あるいは会社に通えなくなったり、本当にそういう方々が通っていられるところですよ。そこの自己負担をアップするということは、それをきっかけに通院やデイケアがストップして自殺につながる危険性というのが正直言ってあるわけですよ、これは。そういうところですから、やはり慎重にやってもらわないと。
 だから改めて要望しますが、三つの病名で無理やり切るということはしないでいただきたいというふうに思います。それで、先ほどお約束しますとおっしゃってくださったので、その趣旨は通ったと理解します。
 それで、あと時間が少しですので、もう一つ聞かせていただきます。
 先日、私、近所の障害者の当事者の方々、お母さん方と、この自立支援法について話し合いをしました。そうしましたら、脳性麻痺で障害一級の当事者の男性の方が、尾辻大臣、私にこういうことをおっしゃったんですね。自分は生まれながらに脳性麻痺だ、トイレに行くにも介助が要る、御飯を食べるにも、おふろに入るにも、外出するにも介助が要る。でも、何でトイレに行くのにお金がかかるの、何でおふろに入るのに一々お金がかかるのと。
 それで私は、いや、選挙が終わったところなので、なかなか法案審議も短時間しかされないかもしれないよと言ったら、ちょっと待ってくださいよ、政治家にとってはいっときの法案審議かもしれないけれども、僕らはそこで応益負担、一割負担を入れられたら、一生その一割負担から逃れられない。何でトイレに自分が行くのに一々お金がかかるの、社会参加せいと言うときながら、何で週に一遍社会参加するより二回した方がお金がかかるのと。自分がトイレに行ってお金がかかるなんて、そんな法案、一体だれが考えたんやということを言われました。
 世界で、障害年金しか持たない生まれながらの障害者から、トイレに行くサービスに対して自己負担を取っている国はないんですよ。それが福祉だからですよ。
 尾辻大臣、世界で障害者福祉のこういうトイレに行くサービスに自己負担を障害者年金で取っている国はない。なぜだと思われますか。改めてお答えください。

○尾辻国務大臣 外国の例をつぶさに調べたわけじゃございませんから、外国との比較については申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
 ただ、今の基本的な部分についてはやはり申し上げておいた方がいいと思いますので申し上げますけれども、私どもがこの法案を考えますときに、負担をお願いすることの是非については今みたいなお話もあるかもしれませんけれども、とにかく無理のないところで御負担をいただきたいということをお願いしておるつもりでございます。
 したがって、先ほど来、応能だとか定率だとかという話もございますけれども、私は先日申し上げましたけれども、限りなく応能負担にしたつもりでありますということだけは申し上げました。その思いでこの法案を考えておるということも申し上げました。
 それから、もう一点だけぜひ言わせてください。それは、私どもとしては、今、先ほど先生も言われたいろいろな格差がある、この格差のある、格差でありますから低い方という表現をしますけれども、低い方の皆さんのこれをどうしても上げていかなきゃならない、上げていきたいという強い思いでこれを考えておりますということ。それから、将来ともに、国にお金がなくなりましたからサービスできなくなりましたなどということは絶対言っちゃいけない、それを絶対に言わないようにしておきたいという思いがあるということも、ぜひ御理解いただきたいと思います。

○山井委員 大臣、申し上げますが、申しわけありませんが、大臣の答弁は論理のすりかえです。お金がなくなってきたからトイレに行くのに自己負担を入れる、一割負担を入れる、あるいは地域格差があるから応益負担にする、それは全く論理的な答弁にはなっていないんです。応能負担でありながらそうすることもできるんです。
 それと大臣、世界の例はそれほど知らないがということをおっしゃいましたが、はっきり言って、世界の例は調べるべきです。なぜ世界で税金で応益負担をやっている国はないのか、そんなことは、世界で初めてのこういう制度をつくるんだったら考えるのが当たり前でしょう。世界で障害者福祉を唯一保険でやっているのはドイツだけです。ドイツは、御存じですか、障害者福祉は自己負担ゼロですよ。唯一保険制度でやっている国でも自己負担はゼロなんです。
 つまり、なぜ生まれながらに障害を持っている人がトイレに行くときに自己負担を取るのがおかしいか、もっと言えば、応益負担で障害が重い人ほどたくさん負担することがおかしいか。
 私は考えました。なぜ世界でそういうことをやっている国がないのか。それは、そんなことをすると障害者の方々の尊厳を傷つけるからです。
 生まれながらに障害を持ちたいと思って生まれているんじゃないんですよ。トイレに行かないと生きられないじゃないですか。御飯を食べないと生きられないじゃないですか。そういうところにまでお金を払わないとだめだ、そのことに関して、日本じゅうの障害者は今、どんな国なんだ、この国はということで嘆き悲しんでいるわけですよ。
 障害者の尊厳を傷つける、人の道に反する。政治の根本は何ですか。税金のむだ遣いを削って、何のために削るか、最も弱い立場の人たちのためにお金を使うからじゃないんですか。そういう根本的な理念がこの障害者自立支援法では完全に逆行しているから、多くの全国の障害者が反対をしているわけであります。
 法案審議がまたこの衆議院でも近づいてきましたが、私たち民主党は正々堂々と対案を出して、やはりそういう筋の通らない、そして障害者の尊厳を侵す、そういう法案は断固として私は阻止していきたいと思います。
 以上で質問を終わります。

Posted at 2005年10月25日 固有リンク | Comments (3) | TrackBack

21日の質疑と今週の予定(メルマガ721号(10/24)より抜粋 一部編集)

 21日(金)の障害者自立支援法と対案の審議の報告。
 さて、21日は大村議員、桝屋議員、阿部議員、笠井議員が民主党の対案について質問をしてくださり、私と園田議員が答弁しました。
 大村議員と桝屋議員は、「介護保険の年齢拡大を民主党はどう考えるのか? 民主党案とどう整合性をとるのか?」というのが主な質問。

 私は

 あくまでも「障害者福祉をよくするために」、介護保険の一部を障害者に活用する、つまり、介護保険の「いいとこどり」が民主党の考え。
 間違っても、介護保険を障害者福祉に活用することによって、障害者福祉が後退するものにはしない。保険方式が活用できない介護以外の障害者サービスは今まで通り、税方式で行う。
 そもそも障害者のニーズと高齢者のニーズは大きく異なる(社会参加、就労支援など)ので、高齢者向けの介護保険に障害者を飲み込むのは無理がある。
 さらに、障害者福祉の主人公や障害者の方々なのだから、障害者の方々が主張しておられるように、じっくり障害者の方々の声を聞いて、時間を十分にかけて、障害者の方々の納得を概ね得ながら、制度改正をすべき。今回の政府のやり方のように、障害者の大多数が不安と反対の意思表示をしているのに、無理やり、拙速に、強引に制度改正しようとするのはおかしい。

という趣旨の答弁をしました。

 また、民主党案は「精神障害者を切り捨てている」という批判に対しては、
「私の聞く限り、大多数の精神障害者は、政府案に反対している。3障害一元化という言葉は美しく、理念に反対する人は少ないが、一方では、精神通院公費制度(32条)をなくし、1割負担導入でホームヘルプサービスや作業所などのサービスを受けにくくし、おまけに、障害程度区分でも精神障害者は軽く出る傾向があり、大多数の精神障害者はこの拙速な改革に反対している」
 などと答弁しました。

 野党席からは大きな拍手を得ました(当然か?)が、「山井議員は、現場に引っ張られすぎている」というような批判も与党議員から受けました。
 社民党、共産党議員からは、民主党案を評価する質問がありました。
 まあ、与党議員とは激しい議論になりましたが、民主党案の障害者福祉の考え方はきっちり言えたと思いますし、質問という形ではなく、答弁で明確に党の主張が示せたことは、目指すべき国会論戦のあり方だったと思います。

 さて、今週ですが、25日(火)午前中は、障害者自立支援法についての参考人質疑を衆議院厚生労働委員会で行います。また、26日(水)は、5~6時間、この法案の審議を行う予定。
 そして問題の採決ですが、26日(水)の夕方か、28日(金)の午前中を与党は目指しているようです。
 私個人の感触としては、26日の委員会採決はないように思いますが、しかし、与党が最終的にどう判断するかはわかりません。

 この法案の審議を半年していますが、問題点が多く、また、肝心の個々人の障害者が利用できるサービスが現状維持されるのか減るのかが全くわかりません。そして、大幅にカットされる面もあります。
 このような状況で、法案を成立させることは議員として非常に無責任と私は思います。

Posted at 2005年10月25日 固有リンク | Comments (1) | TrackBack

2005年10月

2005年10月

障害者自立支援・社会参加促進法案

 先週金曜日、10月14日に、民主党は、政府の障害者自立支援法案への対案として、山井が中心となって「障害者自立支援・社会参加促進法案」をまとめ、提出しました。
 その法案・要綱と新旧対照表を掲載します。

<障害者自立支援・社会参加促進法案>

Posted at 2005年10月17日 固有リンク | Comments (2) | TrackBack

2005年10月