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厚生労働委員会議事録(建設労働者の雇用の改善等に関する法律改正案)

162-衆-厚生労働委員会-30号 平成17年06月29日
 建設労働者の雇用の改善等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第三七号)
 ◇建設労働者が置かれている現状の認識
 ◇改正により、建設労働者の雇用状況、労働環境は改善するのか
 ◇建設労働と人材派遣について
 ◇労災隠しについて
 ◇技能労働者の人材育成について
 ◇建設国保について

○鴨下委員長 次に、山井和則君。

○山井委員 これから三十分間質問をさせていただきます。
 今、一時間、同僚の小林議員がすばらしい質問をしてくださいましたが、本当にこの法改正は、ただでさえ今までから雇用が不安定で、また非常に労働条件が悪い中で働かされていた建設労働者の雇用改善が、ますます責任が不明確になるのではないかという危惧を持っております。そういう視点から、尾辻大臣と衛藤副大臣に質問をさせていただきたいと思います。

 公共事業の減少、そして住宅産業というものの低迷もある中で、本当に建設労働者の雇用を取り巻く環境はますます厳しくなっております。東京や愛知では一部景気が回復していると言われておりますが、私の地元である京都南部でも非常に厳しい状況が続いておりまして、そんな中で、仕事にありつけても、賃金の不払いや単価の切り下げ、そういう厳しい状況が続いております。
 私もよく、朝、駅前で街頭演説とかしているんですけれども、十年ぐらい前ですか、そのころはたくさん、京都南部から大阪に行く建設労働者のトラックが、朝八時ごろは、どんどんどんどん引きも切らず走っていた。ところが最近では本当に見なくなってしまったわけですね。
 私は児童虐待の問題なども今までから取り組んでおりますが、いろいろそういう相談にも乗らせてもらいますと、何が引き金になったのかというと、結局は、一家の大黒柱であったお父さんの仕事がなくなってしまった、それがきっかけで非常に家庭的にも不安定になった。それで、最近ふえている相談は、お子さんが大学に進学できないという相談、あるいは、もっと言えば、親が仕事がなくなったという家庭の苦しさを見るに見かねて、子供が勝手に高校をやめてしまう、そして、高校をやめて、もう家計を支えるために働きに行くわと言い出す、そういうふうな非常に厳しい状況が、特に建設労働者の方々の間では深刻化していると思います。
 また、もう一つ、私は心に深く思っておりますのは、ホームレス自立支援法案というのを、私、与野党の方々と協議して、つくるお手伝いをさせてもらったんですけれども、それで釜ケ崎や山谷、いろいろなところに行っても、いろいろな方の話を聞いたら、やはりもともと建設現場で働いておられた、その方々が、病気をきっかけになかなか仕事にありつけなくなっている。先ほど小林議員もおっしゃっておられましたけれども、五十を過ぎたらなかなかやり直しというのは、本当に厳しい状況になってくるわけです。
 そういうホームレスの方々のお話をお聞きしても、もともとは、万博の工事をやったとか大きな発電所の工事をやったとか、輝かしい日本産業あるいは日本の発展のために寄与されてきた方々が非常に多いわけです。そういう意味では、そういう日本の社会を支えてこられた方々が、これからも働き続けられ、また誇るべき日本建築の伝統を継承する、そういう若い建設労働者がこれからもしっかりと熟練の労働者として育成されていくようにせねばならないと思っております。
 そういうふうなことを考えるにつけ、小林議員の質問と多少重なったり、また引き継いでとなりますが、今まで悪質ブローカーによって、あるいは口きき屋によって行われていたことが、今回の法案によって合法化されるのではないか、またそういう拍車がかかるのではないかという大きな懸念を持っております。
 最初に尾辻大臣にお伺いをしたいと思います。
 このような日本の建設労働者が置かれている現状について、大臣はどのように御認識でしょうか。

○尾辻国務大臣 地域格差などがありますことは、きょうも御指摘いただいたりいたしておりますけれども、総じて言いますと、全産業について、経済状況は改善傾向で推移しておると思います。
 ただ、そうした中であっても、建設業について見ますと、これは、バブル崩壊以降の民間投資の減少と近年の公共投資の削減の動き等を背景といたしまして、今なお厳しい状況にあると認識をいたしておるところでございます。
 数字は、先ほど小林先生がお述べになった数字そのものでございますけれども、特に建設投資が、平成二年に八十五兆円でピークを迎えました以降、平成十六年には五十三兆円となっておりますので、ピーク時と比較しますと四〇%減少をいたしております。それに対して、建設業の労働者の数は、平成九年の六百八十五万人と比較いたしますと、平成十六年は五百八十四万人でございますから、約一五%の減少にとどまっております。仕事はうんと減っておるけれども労働者の数はそんなに減っていない、このことが極めて象徴的に建設業界を物語っておるというふうに存じます。
 したがいまして、労働者をめぐる雇用環境は依然として厳しいものがございますし、当然のこととして、建設労働者の賃金水準についても低下傾向にあります。こうした建設労働者をめぐる現状については、極めて厳しい状況にあるというふうに考えておるところでございます。

○山井委員 尾辻大臣から、厳しい状況に置かれているという御答弁がありました。
 そこで、尾辻大臣にもう一つ続けてお伺いしたいんですが、問題は、小林議員の質問にもありましたように、今回の法改正によって、ますます責任体制が不明確になって、制度が複雑化するのではないかという危惧を私たちは持っております。また、派遣に対する突破口、解禁につながるのではないかという危機感を持っているんです。シンプルな質問ですが、今回の法改正によって、本当にそういう厳しい状況に置かれている建設労働者の雇用状況、労働環境はよくなるんですか。

○尾辻国務大臣 厳しい状況にありますから、できるだけ改善をする方策をとらなきゃいけないというふうに考えておりまして、先ほどトータルプランのお話もいたしました、予算措置もいたしました、それから、法改正もしなきゃいけないということで今度のお願いをいたしております。
 ただいまの御質問にお答え申し上げますと、私どもは、こうした厳しい状況を、すべての皆さんとはもちろんいきませんけれども、少なくとも一部の皆さんに対して改善をする方策だ、そのための法律だというふうに考えております。

○山井委員 これは、五百八十万人の労働者の方がおられて、この法案の対象になるのは二万数千人足らずというふうにも予測されているわけですけれども、本当に雇用改善をしていくために、もっと大きな抜本的な取り組みが必要でありますし、逆に、私は、この法改正がますます労働者の置かれている環境を悪くしてしまうのではないかというふうに心配をしております。
 そこで、衛藤副大臣にお伺いしたいんですが、建設事業主団体は建設事業主を主たる構成員とする社団法人等としておりますけれども、この構成員として人材派遣業者等が入ることはあり得ますか。また、この事業への参加は建設業許可の取得を明記しているわけですけれども、当然、人材派遣業者の参入を排除すべきであると考えますが、いかがでしょうか。

○衛藤副大臣 実施計画の認定を受けることができる建設業の事業主団体につきましては、厚生労働省令におきまして、構成員の一定の割合が建設事業であるものに限定するものというぐあいに考えています。
 さらに、仮に実施計画の認定を受けた事業主団体の構成員に人材派遣業者がいたとしても、送り出し事業主または受け入れ事業主となれる構成員は、建設事業を適正に実施している事業主に限ることとしておりまして、人材派遣業者は建設業務労働者就業機会確保事業を利用することはできないものであります。

○山井委員 続いて衛藤副大臣にお伺いしますが、これは先ほどの小林議員の質問とも多少重なるんですけれども、建設業務労働者就業機会確保事業では、送り出される常用労働者は送り出し元の常用労働者としての地位が守られるということでよろしいですか。先ほどの答弁では、適切に指導とかそういう答弁であったように思うんですけれども、建設業法や労働安全衛生法に規定された元請責任、使用者責任を法律に明記すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 例えば、現場の方の話を聞くと、いろいろなところから一つの仕事場に行く、そうしたらもともとの給料が違ったりして、本当にそれでうまくやっていけるのか。例えば、給料が多少違ったら、おまえ、たくさん給料もらっているんだからもっと働けよとか、そういうふうなことに、ただでさえ人間関係をきっちりやるのが難しいところに、ますますそういう難しさも入ってくるんではないかというような現場の方々の不安もあるわけなんですけれども、その点、衛藤副大臣、いかがでしょうか。

○衛藤副大臣 送り出し労働者は、送り出し事業主との雇用関係を維持しながら受け入れ事業主のもとで就業するということでございますので、送り出し事業主の常用労働者としての地位は、送り出し期間中も変更されるものではありません。
 また、送り出し終了後においても、送り出し労働者を戻ってきた際に解雇することは、経営上やむを得ないと考えられる場合もあり得ますけれども、基本的には、送り出し前に雇用し、送り出し終了後に解雇するような場合には、制度の趣旨に反するものでありまして、悪質なブローカーの温床となることが懸念されているため、指針等におきまして送り出し終了を理由に解雇してはならない旨を定めるということを検討しております。これらの指針等に基づいて、適切に指導してまいりたいというぐあいに思っています。
 なお、そのような運用をした者に対しましては、実施計画の認定を取り消すとか、あるいは建設業務労働者就業機会確保事業の許可を失効させるなど、適切に対処してまいりたいというふうに思っております。
 さらに、建設業における元請責任につきましては、建設業の関係労使が参画する労働政策審議会の議論において、労働基準法上の災害補償責任については受け入れ事業主の元請事業主に責任を負わせるべきとの意見がありまして、特例を設けたところであります。
 また、労働安全衛生法については、元請事業主の果たすべき責任に関する規定が設けられており、この中で送り出し労働者をも含めた安全衛生管理体制の確立が図られるものというぐあいに考えています。

○山井委員 今答弁をお聞きしましたが、そういう中でも、実質上は非常に雇用関係が不明確になって、ますます無責任になっていくということはこれは明らかなわけでありまして、そこで一つ、例えば労災隠しについてお伺いしたいと思います。
 現状でさえ労災隠しが非常にふえているという指摘が現場からあるわけですね。事故が起こっても、ゼネコンとかに言ったら業者から外されてしまう。そういう中で、自分の健康保険でとにかく処理しておいてくれと。ちょっとしたけがだったらそれでもいいかもしれないですけれども……(発言する者あり)よくないんですよ、ちょっとしたけがでもよくないんです。よくないんですけれども、本当に、長期的に障害が残る場合とかだったらこれは大変なことになってしまって、この労災隠し、今でも大問題なのに、それがますますこういう複雑な制度にすると問題になっていくんではないかというふうに思うわけです。
 そこで、まず、この労災隠しの現状について厚生労働省はどう認識されていますか。

○衛藤副大臣 労災隠しにつきましては、労働災害の発生事実を隠ぺいするために、故意に労働安全衛生法に基づく労働者死傷病報告を所轄労働基準監督署長に提出しない、あるいは虚偽の内容を記載したものを提出するというようなものでございます。
 その場合には、労働安全衛生法違反の罪に該当するのでありますけれども、その送検件数については、平成十五年、百三十二件というぐあいに増加傾向になっております。そのうち建設業の関係が約百件を占めているところでございますので、委員御指摘のとおり、この心配について、我々も同様に心配している、そのような現状でございます。

○山井委員 いや、まさにそれは氷山の一角で、本当に多くの労災が隠されてしまっていると思うんですが、問題は、この法改正により使用者責任がより不明確になり、労災隠しに拍車がかかるのではないかという強い不安があります。今後どのように労災隠しをなくそうと考えておられるんですか。

○衛藤副大臣 送り出し労働者に関する使用者責任につきましては、雇用関係にあることに着目いたしまして送り出し事業主が負うものと、それから指揮命令関係に着目し受け入れ事業主が負うものとがありますけれども、いずれも法令の規定により明確に区分されているところであります。
 また、建設業の関係労使が参画する労働政策審議会の議論におきまして、建設業では安全衛生など広く元請事業主が責任を負うこととなっていることを踏まえまして、送り出し労働者に係る災害補償責任については受け入れ事業主またはその元請事業主に責任を負わせるべきとの意見があり、改正法にはそのような特例を設けたところでありまして、責任関係は実態に即して明確にされています。
 労災隠しにつきましては、これまでにもその防止を図ってきたところでありますけれども、送り出し労働者についても労災隠しが行われないよう、周知徹底、啓発を図るとともに、適切に指導してまいる所存であります。

○山井委員 これ以上このことについて議論はしませんが、やはりこれはもっと根本的な問題、結局、現場の方も労災が起こっても上に上げることができないという、この構造を私は変えていかねばならないと思っております。
 そこで、これも小林議員の質問に続くんですが、やはり、この就業機会確保事業が労働者の派遣の解禁につながるのではないか、そのおそれがあるということが現場の一番の不安であります。きょうの朝も、中根議員から、愛知の地元の方からも非常にこの不安の声が上がっているという話を聞かされました。先ほどの小林議員の質問にありましたように、労働者派遣法に準ずる規定ぶりになっている点もあるわけであります。
 そういう意味で、先ほど尾辻大臣と青木局長からそれに関する答弁がありましたが、尾辻大臣の方から、派遣解禁につながるものではないということをきっちりと答弁していただきたいと思います。現場としては、これが解禁になると壊滅的な打撃を受けるという非常に大きな不安感が出ておりますし、実際、メディアでは派遣への解禁の第一歩ということが報じられているわけですね。大臣いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 改めて申し上げます。
 今回の法改正で導入いたしますところの事業でございますけれども、この事業は、建設事業主が一時的に余剰となった労働者を同一の事業主団体に属する他の建設事業主に送り出すことにより、その雇用を維持し、雇用の安定を図ろうとするものでございます。
 したがいまして、このために、事業主団体において実施計画を作成し、厚生労働大臣の認定を受ける必要がありますし、また、一時的に余剰となる常用労働者の雇用の安定を図る範囲内でのみ実施可能といたすことといたしておりますし、また、送り出しを専門とする事業主、送り出しのみに従事する労働者は認められないということも定めておりますし、さらにまた、労働者の送り出し先は実施計画にあらかじめ記載された同一の事業主団体の構成事業主に限られること、こういったような実施要件が定められておるところでございます。
 このように、労働力の需給調整を図ることを目的とし、専ら他の事業主に派遣するために派遣労働者を雇用することを認めておる労働者派遣事業とは、趣旨、規制の態様が異なるものでございます。
 改めて申し上げますけれども、派遣ではございません。

○山井委員 実質的に口ききや悪質ブローカーの存在を合法化して拍車をかけるのではないかという懸念がぬぐい去れないわけであります。
 そこで、改めて尾辻大臣にお伺いしたいと思いますが、そもそも建設労働者の派遣事業の導入はだめとなっておりまして、なぜ労働者派遣事業の適用除外業務となっているのか、その趣旨を改めて尾辻大臣からここで御説明いただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 建設業務に係りますところの労働者派遣事業は、労働者派遣法によって禁止されておるところでございます。
 これは、建設業が重層的な下請関係により作業が行われる実態にありまして、こうした状況のもとで建設業務において労働者派遣事業が行われる場合には、雇用関係の不明確化を招き、建設労働者の雇用の改善等に関する法律により行われている雇用関係の明確化や雇用管理の近代化等雇用改善の取り組みを損なうということがございますし、さらに、労働者に対する不当な支配や中間搾取等の弊害を生ずるおそれがあるということが理由でございます。

○山井委員 まさに、そこで今問題点として指摘されていることが今回の法改正により拍車がかかるんではないか、まさにそういう懸念を私たちは持っているわけであります。これについては後ほど同僚議員からもさらに指摘があると思いますので、次の質問に移らせていただきます。
 一つ現場の方々がおっしゃっているのが、世界に誇る日本建築の伝統継承がうまくいかなくなっている、最近では若手の熟練技能労働者の教育が難しくなっている。ますますこの法改正というのはそういう建設労働者の不安定さを増して、現場で時間をかけてじっくり技術指導することも難しくなるんではないか。本当はしっかりと時間をかけて一人前の建設労働者になりたいという思いは強いけれども、こういう不安定な労働の中ではそういう人が育っていかない。これは日本の建設労働の現場にとって非常に深刻な、中長期的な大問題でもあると思っております。
 そこで、この点の教育訓練や建設雇用改善助成金の諸制度の改善が必要と考えるが、いかがでしょうか。また、手続の簡素化が必要と考えますが、いかがでしょうか。

○衛藤副大臣 建設業におきましては、技能労働者の高齢化が著しくなっています。そういう中で、若年労働者に対する教育訓練の推進が難しくなっているという、共通の認識をしている次第でございます。
 厚生労働省といたしましては、技能労働者の育成のために、長期間の公共職業訓練等を実施しており、さらに、事業主等がその雇用する労働者に対して実施する教育訓練について、建設雇用改善助成金を中心とした助成措置を講じているところでございます。
 今後とも、建設業の労使の意見を聞きながら、この建設雇用改善助成金の見直しを進めてまいりたいと思います。
 また、簡素化につきましても、適宜見直しを行っているところでございますが、今後とも、利用者の意見を伺いながら、可能な限り見直しを行ってまいりたいというように考えております。

○山井委員 この法案に対する不安の中に、要は建設事業主団体がどのようなものになるか、そういう不安もあります。まず、各都道府県建設業協会などの社団法人、次に事業協同組合及び協同組合連合会のうち一定の要件を満たすもの、三つ目に、適正な事業運営を確保するための厳格な要件を満たす任意団体が含まれることになっています。
 衛藤副大臣にこれもお伺いしたいんですけれども、問題は、果たしてどこまで社会的信頼度が担保できるのか。先ほどの答弁にもありましたが、悪質なブローカーが入らないようにするということですけれども、小林議員の質問の続きにもなるんですけれども、そこをどうやって担保するのか、そのことについて衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。

○衛藤副大臣 労働者の就業機会確保事業につきまして、いかに中間搾取等の防止を図るのか、その担保をしていくのかということでございますけれども、やはり、許可を受けるに際しましては、建設業の労使等から成ります審議会の審査を経ることとする、あるいは不適格者の排除をちゃんと行う、あるいは当該事業主団体のみで労働者を送り出すことはできる、いわば、又の関係をつくらないとか、あるいは常用雇用されている者に限定するとかいうぐあいにしてまいりたいと思います。
 また、都道府県の労働局に担当者を配置いたしまして指導監督を行う、あるいは定期的に事業報告を聴取する、それから都道府県労働局におきまして労働者や関係事業主から申告や相談を受けるなどいたしまして、需給調整システムの運用の適正化を図る等をやっていきたいというぐあいに考えている次第でございます。

○山井委員 ここのところをやはりきっちりやっていかないと、まさに中間搾取がますます横行してしまうということになりますので、ここはきっちりやっていただきたいと思います。
 そして、また衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。そもそも、送り出しされる労働者の賃金や労働条件はどのように決定されるのか、そして送り出し先は労働者が選択することができるのか、このことについてお伺いしたいと思います。

○衛藤副大臣 送り出し労働者は、送り出し事業主との雇用関係を維持しながら受け入れ事業主のもとで就業するということでございますので、送り出し事業主との間で締結している労働契約等におきまして賃金や労働時間等の労働条件が定められています。したがって、送り出し期間中の就業に係る送り出し労働者の賃金は、送り出し事業主から支払われるわけであります。
 また、送り出し事業主が自己の雇用する労働者を送り出し労働者とするためには、当該労働者の個別の同意を得なければならない、そしてその同意の内容につきましても、送り出し先を限定した同意も可能であるということから、送り出し先を労働者が選択することも可能である。
 なお、厚生労働省令におきまして、同意は文書によるものとする旨規定しようというぐあいに考えているところでございます。

○山井委員 時間が残りわずかになってきましたので、尾辻大臣にあと二問ほど聞かせていただきたいと思うんですが、一問は、先ほどの労災隠しに関係することであります。
 これは労働安全衛生法、今後審議されるものとも関係してくるかもしれないんですけれども、これは質問通告はしておりませんが、ぜひとも尾辻大臣の御決意を、やはりこういう労災隠しというのは建設労働の現場においては非常に深刻な問題でありますし、また、そこをきっちり取り締まっていくのが厚生労働省の責任であると思いますが、こういう労災隠しをなくすために最大限努力する、そういう大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。

○尾辻国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、労働安全衛生法違反に該当するものというのは、平成十五年、百三十二件でございまして、増加傾向にございます。こうしたことは私どもとしては排除をしなきゃならない最大の課題だと考えておりますので、お話しいただきましたように、労災隠しをなくすべく、最大限、全力を尽くしてまいります。

○山井委員 時間が来ましたので、最後に、また質問と要望になりますが、建設国保についてお伺いしたいと思います。
 やはり、こういう非常に不安定な条件の中で、また厳しい労働条件の中で働いておられる建設労働者の方々にとって、せめて病気になったときぐらい安心して医療にかかることができる組合方式というのは、非常に重要な役割を果たしておるわけであります。このことに関して、要望になりますが、来年度の建設国保への国庫補助についても、ぜひとも従来水準を確保していただきたいというふうに思います。いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 国保組合に対する国庫補助についてでございますけれども、これは、医療保険制度改革に関する基本方針におきまして、市町村国保との財政力の均衡を図る観点から、国庫助成のあり方について見直しをするというふうにされたところでございますので、こうした方針も踏まえながら検討をしてまいりたいというふうに存じます。
 ただ、この国庫補助につきましては、国保組合の国民健康保険制度におきます役割やこれまでの経緯を踏まえまして、安定した保険運営が行われるよう、検討の中では配慮してまいりたいと存じます。

○山井委員 ぜひともよろしくお願いします。
 以上で質問を終わります。

Posted at 2005年06月29日 12:00 | TrackBack
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