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介護保険制度等に関する質問主意書

介護保険に関する質問主意書に対する政府からの答弁書が5月27日に返ってきましたので
掲載致します。

キーワード:要介護認定、グループホーム、介護労働者の労働条件、補足給付(ホテルコスト)
       痰の吸引、人員配置基準、身体拘束、不正給付、介護療養型医療施設

平成十七年五月十八日提出(質問第六二号)
介護保険制度等に関する質問主意書  提出者  山井和則

先般、介護保険法改正案が衆議院で可決されたが、改正の中で積み残しとなった課題も少なからず存在する。そこで以下の通り質問する。

一 現在、要介護認定の基準時間は一九九四年時点の施設の集団処遇の作業時間を基準にしているが、十年以上前の処遇方法が全く異なる状況での基準を個室ユニット型の施設に当てはめることについて見直しが必要ではないか。見直しの必要がないというのであればその根拠は何か。

二 一のように施設の作業時間を基準にされ、調理、清掃、洗濯等の生活行為は含まれていないが、このような中で在宅の高齢者の状況が要介護認定に反映できていると国は考えるのか。また施設での基準を在宅に当てはめることは妥当でないと考えるがこれを見直す予定はないのか。

三 国は介護保険制度を創設する際にドイツの介護保険制度を参考にしたが、ドイツの介護保険制度の対象者は日本の介護保険対象者とどのように異なるのか。

四 今年二月に認知症高齢者グループホーム(以下「ホーム」)の介護職員による虐待殺人事件が起こったが、国はホームの運営実態、スタッフの勤務実態について全国的な調査をこれまでにしたのかどうか。夜勤時間帯に一人勤務となるホーム、夜間・深夜専従のスタッフがいるホームはそれぞれどれくらいあるのか。

五 介護労働者の労働条件が悪く、離職率が高い中で、国は介護サービス事業者が労働基準法を遵守しているかどうかについて全国的な実態調査をしたのかどうか。またどれくらいの介護サービス事業者が労働基準法を遵守しているのか。

六 介護保険三施設の利用者に対しては、これを居住施設と位置づける中で所得状況に応じて補足給付されることになっているが、もともと居住施設である特定施設や認知症高齢者グループホームにおいて、利用料が払えないために入居できない利用者に対して補足給付が行われないのは不公平ではないか。

七 例えば、どの施設・サービスを利用しても公平に補足給付が受けられるようバウチャー制度を導入することについて検討すべきと考えるがいかがか。

八 介護保険の対象であるなしにかかわらず、誰もが安心して居住できる仕組みを構築するため、居住コストに関しては介護保険の給付対象から外し、国として総合的な取り組みをすることが必要だと考えるがいかがか。

九 特別養護老人ホームにおいて、痰の吸引が必要な利用者は約一万人程度存在し、現行の人員配置基準では看護職員が二四時間対応できず、多くの施設では夜間看護職員がいないが、その間、どう対応しているのかという質問に対し、昨年の答弁書(内閣衆質一六一第二三号)において「夜間に定期的に喀痰吸引の処置が必要な者が特別養護老人ホームに入所している場合の対応状況のすべてを把握しているわけではないが、特別養護老人ホームの入所者で喀痰吸引の処置を行う必要のある者の中でも、当該者が就寝する前に、排痰を促したり、喀痰吸引の処置を行ったりすることにより、夜間に喀痰吸引の処置を行う必要がない者も存在する。また、看護職員が臨時に夜勤体制を組む等の対応を行う施設もあると承知している。」とあるが、そのような施設はどの程度存在するのか、またそのような施設以外はどのように対応すればよいのか。

十 要介護度四、五の利用者しかいない介護施設において、三対一の人員配置基準通りで身体拘束することなしに介護することは可能かという質問に対し、昨年の答弁書(内閣衆質一六一第二四号)において「御指摘のような入所者の状況及び人員配置の場合であっても、身体拘束を行わずに介護を行うことは十分可能であると考えている。」とあるが、その具体的な根拠は何か。また三対一の人員配置で身体拘束することなく介護を実践されている施設を明らかにされたい。

十一 従来型の特別養護老人ホームと個室ユニット型の特別養護老人ホームが同じ三対一の人員配置基準で運営される根拠は何かという質問に対し、昨年の答弁書(内閣衆質一六一第二四号)は「施設基準及び指定基準は、施設の状況が様々であることを踏まえつつ、最低限必要な人員配置を定めるものであるので御指摘のような人員配置基準となっている。」とあるが、最低限必要な人員配置基準を三対一とする具体的な根拠は何か、また実際三対一の人員配置でユニットケアを適正に運営している施設はどれくらい存在するのか。

十二 国民健康保険団体連合会(以下「連合会」)は市町村から委託を受け、居宅介護サービス費、居宅介護サービス計画費、施設介護サービス費、居宅支援サービス費及び居宅支援サービス計画費の請求に関する審査及び支払いを行っているが、不正給付が多いことから委託された手数料に見合った仕事が行われていないのではないか。連合会において不正を見落とした場合には市町村に手数料の一部を返還してはどうか。

十三 介護療養型医療施設において徴収される介護サービス費以外の日常生活費や特別居室料などが利用者にとってわかりづらい仕組みであることから、地域別、施設ごとにわかりやすく表示すべきと考えるが、いかがか。また、このことについて全国的な実態調査をすべきであると考えるがいかがか。
 右質問する。


平成十七年五月二十七日受領 (答弁第六二号)
内閣総理大臣 小泉純一郎

衆議院議長 河野洋平 殿
衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員山井和則君提出 介護保険制度等に関する質問に対する答弁書

一について
 要介護認定等に係る介護認定審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成十一年厚生省令第五十八号。以下「認定基準」という。)に規定する現在の要介護認定等基準時間については、平成十三年に行った施設や在宅における高齢者の介護時間に関する実態調査(以下「実態調査」という。)及び平成十四年に行った全国的なモデル事業の結果等を踏まえて従来の要介護認定等基準時間を見直し、平成十五年四月から適用しているところである。御指摘の個室ユニット型の小規模生活単位型指定介護老人福祉施設については、同月の介護報酬の改定の際、指定介護老人福祉施設の一類型として介護保険制度に位置付けられたものであるが、このことにより、現在の要介護認定等基準時間を見直すべきかどうかについては、指定介護老人福祉施設の定員全体に占める小規模生活単位型指定介護老人福祉施設の定員の割合やこのことによる指定介護老人福祉施設の入所者に対する介護時間への影響等を見極めつつ、今後検討してまいりたい。

二について
 一についてで述べたように、認定基準の見直しに当たり、実態調査を行ったところであるが、その結果によれば、在宅サービスの利用者については、介護者の状況、住宅環境、地域性等の要因により、調査対象者ごとの介護時間が大きく異なっており、介護時間を標準化することが困難であったことから、実態調査により把握された施設サービスの利用者の標準化された介護時間を基に、認定基準の見直しを行ったところである。
 現在、認定基準により要介護認定等を行い介護保険制度が運営されているところであるが、在宅サービスの利用者一人当たりの利用状況と在宅サービスの利用者の要介護度には一定の相関関係があり、現行の認定基準に基づく要介護度は、在宅サービスの利用者のニーズを正確に反映していると考えられることや、介護保険制度に係る様々な調査においても要介護認定等の妥当性等については、おおむね良好な評価を得ていることから、在宅要介護者等に対する要介護認定等について、現時点においては見直しの必要はないものと考えている。

三について
 日本の介護保険制度の被保険者については、六十五歳以上の者及び四十歳以上六十五歳未満の医療保険の加入者である一方、ドイツの介護保険制度の被保険者については、厚生労働省において調査した限りにおいては、原則として医療保険の加入者の範囲に相当する者であり、年齢による制限はない。
 また、日本の介護保険制度の受給者については、要介護状態等となった六十五歳以上(要介護状態の原因である身体上又は精神上の障害が加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する一定の疾病である場合は、四十歳以上)の被保険者となっている一方、ドイツの介護保険制度の受給者については、厚生労働省において調査した限りにおいては、年齢や要介護状態の原因疾病による制限はないが、要介護状態は、おおよそ日本の介護保険制度における認定基準に定める要介護三程度以上の者である。

四について
 厚生労働省においては、平成十四年から、毎年十月一日におけるすべての御指摘の認知症高齢者グループホームを対象として、職員数、夜間の職員体制、利用料等に関する調査を行っており、平成十六年十月の調査によれば、夜勤時間帯に夜勤又は宿直の職員を一人だけ配置している事業所は、三千二百二十二か所となっている。なお、夜間又は深夜にのみ勤務する職員の有無については、同調査では把握しておらず、お答えできない。

五について
 平成十六年に全国の労働基準監督署が、お尋ねの介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に基づくサービスを提供している事業場を含む二千七百三十五の社会福祉事業を行う事業場に対して監督を実施したところ、このうち二千百九の事業場について何らかの労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)等の違反が認められたところである。

六及び七について
 第百六十二回国会に提出した介護保険法等の一部を改正する法律案(以下「法案」という。)においては、介護保険制度は要介護状態となった者に対して必要な介護サービスに係る給付を行うものであることから、介護保険施設における居住費及び食費について在宅と施設との間の負担の公平を図る等の観点から、居住費及び食費を保険給付の対象外とし、介護保険施設に入所している低所得者に配慮した特別の制度として、特定入所者介護サービス費を支給する制度を導入することとしている。
 御指摘の補足給付は、特定入所者介護サービス費を指すものと考えるが、特定施設や認知症高齢者グループホームは、居住費や食費は入居者が負担することを前提に、特定施設等において提供される介護サービスに保険給付を行う仕組みとなっており、要介護状態となった者に対して必要な介護サービスに係る給付を行うことを目的とする介護保険制度において、特定施設等での居住費や食費について、新たに特定入所者介護サービス費に相当する給付を行うことは困難であると考えており、また、御指摘のバウチャー制度の導入は考えていない。

八について
 高齢者が安心して居住できる仕組みを構築することは重要な課題と考えており、高齢者の居住の安定確保に関する法律(平成十三年法律第二十六号)に基づき、高齢者向けの優良な賃貸住宅について整備や家賃の減額に要する費用の補助などによる当該賃貸住宅の供給支援、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の登録とこれに対する家賃債務保証制度の推進、持家に居住する高齢者による持家のバリアフリー化を支援する住宅金融公庫による融資などの施策を実施しているところである。
 また、介護保険制度においても、高齢者が在宅で安心して住み続けることができるよう、今後とも、在宅サービスの充実に努めてまいりたい。なお、六及び七についてで述べたとおり、法案においては、介護保険施設等における居住費を保険給付の対象外とすることとしている。

九について
 先の答弁書(平成十六年十月二十九日内閣衆質一六一第二三号)三についてで述べたとおり、夜間に定期的に喀痰吸引の処置が必要な者が特別養護老人ホームに入所している場合の対応状況のすべてを把握しているわけではなく、看護職員が臨時に夜勤体制を組む等の対応を行う施設の数は、把握していない。
 また、特別養護老人ホームの入所者のうち夜間に定期的に喀痰吸引の処置が必要な者の状況は個々に異なるものであり、各施設においては、入所者の処遇に支障が生ずることがないよう、看護職員を二十四時間配置したり、看護職員が臨時に夜勤体制を組む等の対応を行うほか、各施設が関係する医療機関に喀痰吸引の処置について協力を求める等の工夫を行うことにより対応できると考えている。

十について
 介護保険施設において身体拘束を行わずに介護を行うためには、身体拘束に至る原因を把握し、当該原因を除去するために、職員の意識や介護の方法を改め、施設環境の整備を図っていくことが重要であると考えている。
 例えば、入所者が徘徊しないように、車椅子や椅子に身体を縛っているような場合は、徘徊そのものを問題ととらえるのではなく、入所者が徘徊する原因や理由を究明した上で、対応策を講じたり、転倒しても骨折等を招かないよう弾力のある床材を用いる等の環境整備をすること、点滴や経管栄養のチューブを抜かないように四肢をベッド等に縛っているような場合は、点滴や経管栄養に頼らず、口から食べることができるかどうか十分に検討したり、点滴や経管栄養を行うにしても、時間や場所を適切に選んで行うようにすることなどの工夫を行うことにより、身体拘束を行わずに介護することが可能であると考えている。厚生労働省では、こうした身体拘束をなくすための工夫のポイントを、平成十三年に「身体拘束ゼロへの手引き」として取りまとめ、事業者等へ配布しているところである。
 なお、お尋ねの三対一の人員配置で身体拘束することなく介護を実践している施設については、調査を行っておらず、把握していない。

十一について
 特別養護老人ホームの人員配置基準については、要介護度の高い者に対して適切な介護を提供する観点から、平成十二年の介護保険制度導入時に、介護職員及び看護職員の総数は、常勤換算方法で、従来おおむね入所者の数を四・一で除して得た数以上とするとの基準を、入所者の数が三又はその端数を増すごとに一以上とするとの基準に改善したものであり、平成十五年に小規模生活単位型特別養護老人ホーム(以下「個室ユニットケア型特養」という。)の制度を創設した際、一般の特別養護老人ホームに合わせて最低限必要な人員配置基準として現行の個室ユニットケア型特養の人員配置基準を定めたものである。なお、個室ユニットケア型特養については、一般の特別養護老人ホームよりも高い介護報酬を設定しているところである。
 また、社団法人日本医療福祉建築協会が、個室ユニットケア型特養に関し行った調査によれば、その運営状況は必ずしも明らかではないが、平成十六年三月一日現在で個室ユニットケア型特養の介護報酬を受けている特別養護老人ホームであって回答のあった百三十二か所のうち、介護職員及び看護職員一人当たりの入所者数が二・五人以上三・〇人未満であった施設は五か所となっている。

十二について
 各都道府県の国民健康保険団体連合会(以下「連合会」という。)は、受給者情報、介護サービスの提供を行う事業所情報、ケアプランの内容等に関する給付管理票情報と介護サービス事業者の介護報酬の請求内容を突合して審査及び支払の事務を行っているところである。
 御指摘の不正請求は、ケアプランの作成者と介護サービスの提供を行う事業者が示し合わせて行うものなどであり、これは連合会の見落としによるものではないことから、「委託された手数料に見合った仕事が行われていない」というものではないと考えており、また、審査支払手数料を返還する必要があるとは言えないと考えている。
 なお、不正請求への対処については、市町村からの受給者に対する介護給付費通知書の送付の推進等により、更に厳正に対処するよう指導しているところである。

十三について
 法案においては、介護サービス事業者がその提供する介護サービスに係る情報を都道府県知事に報告し、都道府県知事が当該情報を公表する仕組みを設けることとし、法案の成立後、平成十八年度から、公表する情報等の準備が整った介護サービスについて、順次実施していくこととしており、介護療養型医療施設については、今年度から有識者による検討会において公表する情報を検討することとしている。
 なお、介護サービスに係る情報の公表に当たっては、利用者が利用しやすいよう、地域別、サービス別、事業者別などに情報を検索できるシステムとすることを検討している。

Posted at 2005年06月08日 12:50 | TrackBack
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