162-衆-厚生労働委員会-13号 平成17年04月06日
介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
◇大臣がホームヘルプの現場を見ての感想
◇新予防給付について
・ホームヘルプがどのように変わるのか
・筋力トレーニングについて
◇データの解釈と提示方法について
○鴨下委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 それでは、これから一時間半にわたりまして、尾辻大臣そして西副大臣に質問をさせていただきます。非常に基本的な、そして根本的なことを質問していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
冒頭に少し私の思いを申し上げますと、実はきょう、尾辻大臣と西副大臣には最近出した本を先ほど差し上げさせていただいたんですが、私、もともと議員になる前は高齢者福祉の研究者でありまして、そもそも、祖母が二十年間の寝たきりの末に亡くなったということから介護問題に関心を持ちまして、学生時代は虐待を受けた子供たちの福祉施設でもボランティアをしておりましたが、二十七歳のころからは、ずっと高齢者福祉中心に、大臣も鹿児島でいらっしゃいますが、例えば熊本の老人ホームで一カ月実習をさせていただいたり、全国各地へ行きまして、アメリカの老人ホームも一カ月行きましたし、イギリスの老人ホームも三カ月実習をしましたし、デンマーク、ドイツ、スウェーデンには二年行きましたし、日本各地の在宅や老人ホームの現場でも、ボランティアや実習をしながら勉強をしてまいりました。
その中で、やはり、終わりよければすべてよしというけれども、人生の最後にどんでん返しが待っている。お年寄りも非常に苦しんでいるし、また介護されている方も非常に苦しんでいる、その割にはなかなかこういうのが国政の議論にならないということで、私ももどかしく思っておりました。それで、全国を回ってこの介護の問題を訴えてきまして、その中で私は、介護保険の創設が必要だということを、本にも書きましたし、講演でも年間百回ぐらい、議員になる前は全国を回ってまいりました。一九九三年とか四年、今から十年前のことであります。
当時は、介護保険といってもなかなか理解がなくて、やはり福祉は税金じゃないかという反発が非常に強かったわけです。その中で、私は、いや、違う、介護の社会化が必要だ、そしてやはり、必要なサービスを選べる、できる限り、望めば在宅で暮らせるようにする、そのためには介護保険が必要なんだということを新聞にも書きましたし、本にも書きましたし、また多くの講演でも訴え、また大学の講師としてもそういう授業をしておりました。
しかし、当時の議論も御記憶かと思いますが、非常に反発も強くて、その結果、私は多くの友達とも仲たがいをしたりしましたが、私はその結果、一つ心に決めたのは、私もここまで、介護保険が必要だ、日本を安心して年をとれる社会にするためには介護保険が必要だと言った以上は、私なりの責任のとり方で、何としても議員になって、五年後であろうが、十年後であろうが、五十年後であろうが、やはり介護保険を導入して、日本は安心して年を送れる国になったなと。日本からスウェーデンや外国に視察に行くのではなくて、世界じゅうの福祉関係者が、最もお年寄りを大切にしている国は日本なんだ、苦しい戦争を経て本当に御苦労されてきたお年寄り、人間を人生の最後まで一番大切にする、そういうシステムをつくっている国は日本なんだと。エコノミックアニマルという批判も日本にありましたが、そうではない、人間を大切にする国日本、そういうふうに海外から日本に視察に来てもらえるような社会をつくりたい、そのために議員になりたいと思って、私は政治活動に入りました。
本当は五年前の導入のときに国会議員になりたかったんですけれども、力不足で一回目の選挙は落選をしまして、創設のときには間に合いませんでした。しかし、おかげさまで二回目の選挙で当選し、今回の五年目の見直しでこういう質問の機会を持たせてもらうことができました。そういう意味では、私は、偉そうなことを言うことになるかもしれませんが、やはり推進した人間の一人として、ライフワークとして、人生をかけて、この保険を導入してよかったんだと、一〇〇%とは言いませんが、多くの人から思ってもらえるような介護保険に改善し、守り、育てる責任があると私は思っております。
それで、そんな中で、きょうは第一回として、今回の新予防給付の部分について御質問をさせていただきたいと思います。
要介護一、要支援、二百万人のうち、約百五十万人が新予防給付になるというふうに今までから答弁でもいただいております。しかし、これはどうなんでしょうか。新予防給付になる、予防重視型システムになる。これでお年寄りにとってよい方向に行くんでしょうか。どうなるんでしょうか。
この法案、確かに、予防重視に転換する、あるいはむだな部分をカットしていく、そして持続可能な介護保険制度にしていく、そういう趣旨には私は賛成であります。やはり、持続可能性をつくっていくためには、むだな部分はカットし、不正な部分はカットせねばなりません。そして厚生労働省さんも、今回の予防重視システムに転換すれば一〇%ぐらい介護が悪化する人が減って給付も減るんだということをおっしゃっておられます。
でも、本当にそうなんだろうか。筋力トレーニングを初めとする介護予防、趣旨としてはわかります。効果がある人も当然あるでしょう。ただし、それを全国的に一律に、また家事援助に制限を加えながらも大幅にやっていくことが本当に正しいのか。また、それとともにきょう質問をさせていただきたいのは、そのかじ取りが、方向転換が正しいと足る検証、モデル事業、エビデンスはあるのか。そういうところが私にとっては非常に不明確であります。
最初にちょっと、私も十年ぐらい前からホームヘルパーさんに同行して、お年寄りの家を時々回らせてもらっておりますが、今回も行ってまいりました。ぜひとも要介護一、要支援の方のイメージを感じていただきたいと思いますが、(写真を示す)この男性の方は、八十五歳、昨年半年間入院をされていたんですが、詳しくは言えませんけれども、要介護一で、一回二時間半のホームヘルプを週に三回受けておられます。一時間半は買い物を兼ねてヘルパーさんと一緒にリハビリで歩いておられます。残り一時間は洗濯、掃除、調理などであります。御自分では、保険のお世話になるのは申しわけないからできるだけリハビリをやって元気になりたいということで、自宅に筋トレマシンまで買っておられるぐらいです。要介護一の八十五歳の男性の方です。
次に、この方は八十一歳の女性の方、要介護一。週に二回ホームヘルプを一時間ずつ受けておられて、買い物と調理をしてもらっております。やはり腕や足が弱っておって、なかなか一人では調理ができないということであります。
最後のこの女性の方はひとり暮らし。今言っているのは三人ともひとり暮らしであります。八十一歳で、要支援、週に一度一時間のお掃除などのホームヘルプを受けておられます。本当は、上限はもっと高いから週に二回でも三回でも受けられることは受けられるかもしれないんですけれども、それでは甘えることになるから、しかし自分は、去年お掃除をされているときにけがをされてしまって、そのこともあったのでお掃除は多少は手伝ってほしい、それで週一回ホームヘルパーさんに来てもらえるのが非常に楽しみだと。それで、なかなか、デイサービスとかそういう集団は苦手だということをおっしゃっておられます。
要支援、要介護一のうちの大体半数ぐらいがひとり暮らしで、半数ぐらいが八十歳以上、そういうイメージになっております。
そこで、まず第一問、尾辻大臣にお伺いします。先日、お願いしましたところ、早速、西副大臣とともにホームヘルプの現場に行ってくださったということでありますが、どのようなお年寄りのところに行かれて、どのような感想をお持ちになられましたでしょうか。
○尾辻国務大臣 先日、先生のお勧めもいただきましたので、西副大臣とともにお二人の方の自宅に訪問をさせていただきまして、訪問介護をちょうど受けておられる状況を拝見させていただきました。一言で言いますと、大変有意義であったと感じております。
まず、一人目の方は八十四歳の単身の女性の方でございまして、要支援の認定を受けておられます。買い物、掃除の訪問介護を週一回、一回当たり二時間という方でございます。それから、配食サービスを週二回利用しておられました。この方は大変お元気な方でありまして、御自身はもうそこまではと言っておられましたけれども、友人の方はまだ海外旅行をなさる方もおられる、それから傍らに英語の辞書が置いてあるような方でございました。本当にしっかりした、大変お元気な方でございました。
それから、二人目の方は七十八歳の単身の女性でございました。この方も要支援の認定を受けておられました。ただ、要介護一から要支援の方に改善されたという方でありまして、お話を伺っておりましたら、この方も大変楽しい方でありまして、つい、掃除をしようと思って高いところに上っていたら、高いところへ上っているというのを忘れていたのよねと言って、おりるときに骨折してしまったと、笑いながらそんな話をしていただいた方なんですけれども、そんなことで、多分、一遍要介護一になられ、さらに今やまた元気になられて要支援の方に改善しておられる方だと思いました。この方は、買い物それから掃除、調理の訪問介護を週二回、これも一回当たり二時間という方であります。それから、配食サービスを週一回、こちらの方は配食サービスは週一回受けておられました。それから、骨折されたということなんだろうと思います、介護用ベッドの貸与も受けておられました。
いろいろ感じたことはあるのですけれども、一つだけ申し上げますと、このうちのお一人の方、週一回買い物のサービスもしてもらっておられる。ホームヘルパーさんだけが買い物に行って帰ってこられるということでありましたから、そのことだけを見ると家事代行にも見えるのですが、ただその週一回の買い物で、あと残りの日は全部自分で調理しておられる。そういうふうに見ますと、その一回のことを家事代行とかなんとかという話ではないな、やはり全体を見てどういうふうに判断するかというのが必要なことなんだなということを、いろいろなことを感じたのですが、一つ申し上げるとそんなことも感じて帰ってまいりましたということを申し上げたいと存じます。
○山井委員 行っていただき、ありがとうございます。そしてまた、今大臣がおっしゃったことというのはまさにそのとおりであって、週一回入ることによってその方の生活全体を支えられる面がある。冷蔵庫の中で、食事をちゃんと食べておられるのだろうかとか、しんどいところはないですかとか、そういうところも含めて、また顔色が悪いのじゃないかとか、いろいろなことで変化を事前に察知することができる、こういうのも予防効果であると思います。
ただ、ちょっと気になったのが、非常にお元気そうな方ということを何度もおっしゃっておられたので、それが平均的な像かなという気が正直言っていたします。
では、次にお伺いします。
その方は、介護保険改正になると新予防給付の対象になるわけですが、どういうサービスを受けられるようになりますか。
○尾辻国務大臣 今気になると言われたことの部分で申し上げたいと思います。私は帰りに、私の方が元気をもらって帰りますと申し上げたので、大変お元気そうでよかったなという思いがつい込められておりまして、決して他意があって何かそこの部分を強調したつもりも全くありませんで、皆さんお元気なことはいいなという、その思いを込めて申し上げただけのつもりでございます。
今のことでありますけれども、先生にこれを申し上げるのは釈迦に説法みたいな感じになりますが、まず今回導入します新予防給付の基本的な私どもの考え方を改めて申し上げておきたい……(山井委員「余りそのあたりはいいですから」と呼ぶ)もういいですか……(山井委員「どんなサービスが受けられるかということを」と呼ぶ)
そのことだけで言いますと、利用者の方の御本人の今持っておられる能力というのを最大限に生かすように、利用者も含め専門家がよく話し合いながら、その人の個別の状況に応じて最も適切なサービスを、その現場においてケアマネジメントを通じて提供するということでございますので、私も帰りに、現場にいろいろな人が行っておりましたから聞いたのですが、きょう受けておられるサービス、これが今度変化するのかと聞きましたら、一言で言うと、いや、変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります、こういうふうに現場で私も聞いて、答えを聞いたということだけを申し上げたいと存じます。
○山井委員 これは割と重大な発言ですが、見直しにならない逆の根拠は何ですか。というのは、似たような方は全国に非常に多いと思うんですが、原則家事代行はやらないとか厚労省さんの文書には書いてあるのですけれども。
○尾辻国務大臣 先ほどの御答弁の途中で申し上げましたけれども、現場において適切なケアマネジメントのもとサービスを提供されていた、この判断でございますから、私が見せていただいたというのは、極めて適切なサービスが行われている、それであれば今度の見直しで変える必要があるものではない、こういうことを言ったのだろうというふうに私は理解をいたしております。
○山井委員 ということは、余り抽象的な話をしてもしようがありませんが、全国で今おっしゃったようにケアプランが適切に今までから立てられているというようなケースにおいては、新予防給付になってもサービスは基本的には変わらないということですか。
○尾辻国務大臣 そこで、最初に言いかけたことを改めて言わせていただきたいと思います。
今回導入する新予防給付の基本的な考え方でございますが、本人にできることは可能な限り自分でやってもらうというこの考え方が基本でございます。本人の生活能力を引き出すためのサービスを適切に組み合わせて、手助けをする場合もできる限り本人の持っておられる能力を生かす工夫をしながら行う、これが介護保険の基本理念でありますし、そうした自立支援を徹底するものである、この考え方であります。
この考え方に照らすと、先ほど申し上げたような私が見せていただいたサービスというのはまさにそのとおりでありますから、何も変化するものではない、こういうことでございます。
○山井委員 国会審議の中で私が大臣にホームヘルプの現状を見てきてくれとお願いした以上は、今の日本の現状の象徴的あるいは代表的なところを当然見に行ってもらったというふうに私は理解をしておりますが、ということは、日本全国のそういう今適正に行われている部分は新予防給付で変わらないと理解してよろしいですね。ちょっと確認しておきます。
○尾辻国務大臣 私もできるだけ多くを見たいと思いましたし、また多くの現場の方の御意見も伺いたいと思いましたので、実は一昨日はホームヘルパーさんたち五ないし七人ぐらいの方に大臣室に来ていただきまして、一時間半ぐらいいろいろな現場の方のお話も伺いました。私が見せていただいたもの、これは二人だけでありますけれども、それだけのヘルパーさんたちが来られて、随分長い経験をお持ちの方々でありましたから、その方々のお話も伺いました。基本的には別に変化のあるものではないなというふうに思いました。私が現場で見せていただいたものと皆さんがおっしゃる話というのが変化するものではないなと思いましたということをまず申し上げたところであります。
その上ででありますけれども、先ほど申し上げた基本的な考え方は全然変わらないわけでありますから、基本的な考え方に沿ってやらせていただく、それであれば今まで適切なサービスが行われてきたものが変化するものではない、こういうふうに考えるところであります。
○山井委員 ところで、お伺いします。
ということは、今日本全国で適切に行われていないケースは過半数なんですか、それとも一部なんですか、その現状認識はどうですか。ちょっと抽象的な話になりますが、大臣、お聞かせください。
○尾辻国務大臣 それはまさに個別に判断するものでありますから、ここで私がその割合をと言われて一概にぱっと割合を言えるものではありませんけれども、もちろん適切でないものもあるからこの際そういうものを適切なものに変えるために見直そう、こういうことでございます。
○山井委員 ということは、適切なところは今までどおりでいいのだったら、何でわざわざ新予防給付とかこんな大がかりな改革をするのということになってくるのですよ。適正じゃないところを一部ピンポイントで指導したらいいわけで、こんな根本的な改革をしなくていいわけですから。
そこで、大臣、適切でない部分というのは、やはり適切でない部分が大部分だったら改革は必要ですよ。でも、一部だったらその一部だけを対象にしたらいいじゃないですか。というのは、適切なホームヘルプやケアマネをやって適切なホームヘルプを受けている人も、今現場はサービスがどう変わるのかといって強い不安に陥っているわけですよ。大臣、答弁をお願いします。
○西副大臣 お答え申し上げます。
この五年間の実施を踏まえまして、今回の見直しにおきましては、先ほどから御議論のありますように、予防給付の対象者の見直し、軽度の人に対するサービスの見直し、それからケアマネジメントの見直しによる掘り起こしの防止と適切なケアプランを作成するという、この三つの大きな方向性を通じて制度全体を予防重視型へと転換する、こういうことでございまして、このことによってマネジメント等の徹底も図っていく、こういう大きな方向性を打ち出したところでございます。
○山井委員 全然答弁になっていないんですよ。
私が聞いているのは、適切でないケースが多いからこういう新予防給付をしたのかどうかということで、多くの場合適切でうまくいっているんだったら、こんな転換する必要ないと思うのですが、大臣、そこはどうなんですか。全国的に適切でないところの方が多いんですか、それとも適切でないところは一部なんですか。その現状認識によってこの法改正が必要かどうかというのは変わってくるんですから。どっちですか、それは。
○尾辻国務大臣 これは御説明のときにいつも申し上げておりますけれども、軽度者の方の方が非常に急増しておる、人数がここでうんと大きくなっているというのは、これはもうそのとおりでございます。その人数が大きくなっている、ここの対策を早く手を打った方がいい、そういうのが考え方だと御理解いただければと思います。
したがって、申し上げますと、軽度者が急速に増大をしておる、これはお認めいただけるとおりであります。一方で、その予防の効果が必ずしも上がっていないと……(山井委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)ですから、その軽度者の方の数が異様にふえておる、急増しておる、ここの軽度者の方の予防ということが必要であるということが、今回見直しを、今の部分の見直しを申し上げておる理由でございます。
○山井委員 私はその質問はしていません。
適切な場合はケアプランを見直されないと言うので、そういうケースは今の大部分なのか否かということを聞いているんですよ。不適切な場合は見直されるんですよね。だから、その不適切な場合が、今、全国の、日本の現状の大部分なのか一部なのか、その根本的な現状認識を聞いているわけです、大臣に。
○尾辻国務大臣 そういう表現で、大部分か一部かということになりますと、大部分だとは考えておりませんから、その一方が一部だということで表現すれば、一部である、こういうことにはなります。
○山井委員 私、これは根本的な今の答弁だと思うのです。では、今の現状の中で一部の不適切なケースがあるために全部の制度を変えるんですか。そういうことですか、大臣。
○西副大臣 先生も御存じのように、今、マネジメントの部分で、特に、やはり九割方がサービス事業所併設の体制になっております。今回、そのことを改めまして、マネジメントをこの介護予防という形に徹底するために制度全体を変えていくということが、介護予防に関する部分の今回の改正の考え方ということになります。
○山井委員 ちゃんと質問に答えてくださいよ。
不適切な部分は一部だと言うから本当に一部ですかということを聞いているわけであって。大臣、ということは、一部不適切なものを変えるために根本的に百五十万人を新予防給付に変えるという大改革をするということになってしまうわけですよ。何で全体を変えるんですか。大部分の適切な部分は今のままでいいじゃないですか、そんな混乱させなくても。大臣、答弁お願いします。
○尾辻国務大臣 介護保険法のこの五年間の実績を見ますと、再三申し上げておりますように、軽度の要介護者の増加が多い。これらの軽度者については、これもよく言われることでありますけれども、事業者により掘り起こしが行われているといったような声があります。あるいは、こうした軽度者の状態の特性を踏まえていない不適切なケアプランによりサービスが乱用されておるということも言われております。そういうことで、結果的に軽度者の予防が必ずしも上がっていないということが指摘をされておる。
したがって、申し上げているのは、そういう不適切な例があります、その不適切な例がありますから、それは、今先生がおっしゃるように全体か一部かという話をすれば、全体的にとか、非常に多くの大部分がとかというふうには申し上げませんから、そういう表現ですれば一部という表現になりますけれども、一部にせよこういうことがある、その辺のことを見直さなきゃいけないでしょうということを申し上げておるわけであります。
申し上げたように、まず軽度の要介護者の増加が非常に大きい、この大きな数の部分をどうしても着目せざるを得ないということにはなろうかと思います。
○山井委員 全く理解できません。
一部に不適切なケースがあるから、トータルの制度を根本的に組みかえる。そうしたら、多くの適切にやっているところは大迷惑じゃないですか、そんなことで制度を変えられたら。本当に全く私は理解はできません。
それで、鹿児島のデータの話に行きます。
これは一ページですね。資料をきょうはたくさん、こっちが一ページから十五ページ、A3の方が十六ページから十七ページとなっております。
大臣は軽度者がふえているのが問題だとおっしゃいますが、でも、大臣はもう一方で、適切にほとんどの、多くのケアプランが行われていると言うのですから、別にそれは、保険制度である以上、適切な人が申し込んで適切なサービスを受けるというのは、これは一つの、ある意味で当然なことなわけですから、必要な人が受けることは私は当然オーケーだというふうに思っております。
それで、もう一度、大臣、大事なことなので確認したいのですが、そうしたら、大部分の適切なケアプランは新予防給付に入っても変わらないということでよろしいですね。
○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、先ほど基本的な考え方を申し上げました。その考え方に沿う限りにおいて当然変化するものではない、こういうことでございます。
したがって、先生がおっしゃっておられるように、適切なケアプランのもとに適切に行われてきたサービスが、これが変化するものではございません。
○山井委員 まあ抽象的で、適切なケアプランで行われてきたものが変わるものではないということなんですが、私が心配するのは、適切なのは一割だったとか後で言われたら困りますからね。適切なものは、先ほどの大臣の答弁だと大部分ということでいいわけですね。大臣先ほどおっしゃったこと。
その適切な部分はどれぐらいですか。もう一回、答弁お願いします。
○尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、不適切なものが一部だという表現にさせていただいておりますから、それで御理解をいただきたいと存じます。
○山井委員 改めて聞きます。
ということは、不適切な部分が一部。不適切な部分が変わるということは、適切な、一部以外の残り大部分の方は変わらないということですね。
○尾辻国務大臣 新予防給付におきましては、家事援助についても一律の利用を制限するものではなくて、自立支援の視点から見直すことを基本に置いておる。これは先ほど来申し上げておる基本の考え方でありますので、これを踏まえてそれぞれ個々の判断になるということではございます。
○山井委員 いや、個々の判断ではなくて、先ほど、不適切な部分は直すけれども適切なケアプランは直さないということと、その不適切な部分は一部だとおっしゃったわけですから、適切な大部分の残りのケアプランは新予防給付に入っても変わらないということですね。
○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、新予防給付においては、各それぞれのケースについて判断をされるわけでございますけれども、家事援助の必要性につきましても個別に判断するということは、これはお答え申し上げておるとおりでございますから、最終的には個別に判断されるということを申し上げるところでございますが、その上で、必要ある場合には自立支援を推進する形で提供することになる。提供することになるということでございます。
○山井委員 本当に全く理解はできません。繰り返しますが、一部不適切なケースがある、その一部のために根本的に制度を新予防給付につくりかえていく。それでヘルパーさんもケアマネさんも現場のお年寄りも、今大変不安になり、大混乱になっている、そういう状況。なぜ一部のために根本的に制度をつくりかえるのか、私にはわかりません。
それでは、改めて確認しておきますが、ですから、大部分は適正に行われていて、その一部のためだけに今回の改正をやるという趣旨と受けとめました。
それでは次に、この「かわらばん」ですね、前回の阿部議員が問題にされたものですけれども、訪問介護の利用回数が多くなるにつれ、要介護度が悪化するデータもということを、介護保険課、配っております。これは大臣のおひざ元の鹿児島のデータであります。昨日も質問取りのときに言いましたが、これは、本当にたくさん利用したら介護が悪化したと、大臣、読むんですか。というのが、この何回利用していますかという調査をやったすぐ後ぐらいに、これは認定の変化をやっているんですね。
実は私、こだわりますのは、自分で言うのもなんですけれども、私、もともとは酵母菌の研究者だったんですよ。酵母菌の研究者だったんです、学生時代は。それで論文をたくさん書いていたんです、対照実験をやって。ですから、データの見方というのは多少こだわりがあるんですよ。このデータをどう分析するかというと、ああ、要支援、要介護一の人の中でも重い人と軽い人がいて、重い人はたくさん利用していたんだな、その人は当然次の認定を受けたら介護度は悪化するわなと、それだけの話なんですよ。それが、なぜ因果関係が逆転して、利用回数が多くなったら悪化する、こう書くんですか。症状が悪化したからたくさん利用したということじゃないんですか。
これは、きのうの質問取りのときに鹿児島県にも確認してくださいと言いましたが、そこまできっちり調査をされているんですか。
○尾辻国務大臣 今お話しいただいておりますデータでございますけれども、これは鹿児島県が平成十五年度に行ったケアプランチェック体制整備事業報告書でございます。その報告書の中に出てくるものでございます。
その報告書で何て書いているかというと、これは報告書で書いているということをまず申し上げるんですが……(山井委員「それはもういいです、読みましたから。厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)まずそこのところだけはお聞きをいただきたいと思いますけれども、報告書で……(山井委員「それはもういいです、いいです。時間のむだですからいいです。いや、厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは鹿児島の、念のためやはり読ませていただきますけれども、要介護度が要支援、要介護一のものに限って見ると、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られると鹿児島県が分析をした、その鹿児島県が分析をしたものを御紹介申し上げているということでございます。基本的にそういうことでございます。
ですから、要支援、要介護一といった軽度の方については、訪問介護利用回数が多いほど要介護度が悪化する傾向が見られたが、要介護二から要介護五までの中重度の方については、訪問介護利用回数と要介護度の変化について、要支援、要介護一の軽度の方のような明確な関係は見られなかったということを述べておるところでございます。
これが、報告書にそう書いてあるということを御紹介申し上げておるということでございます。
○山井委員 私の質問にもう一度答えていただきたい。厚労省は、そしてこのデータをどう分析しておられますか。
○尾辻国務大臣 当然、鹿児島のそういう分析を御紹介申し上げておるわけでございますから、厚労省としても、その分析に一理ある、必ずしも間違った分析ではない、こう判断いたしましたので御紹介申し上げた、こういうことでございます。
○山井委員 ということは、この「かわらばん」に書いてあるように、保険給付は軽度認定者にどのような効果をもたらしているかということは、大臣、改めて聞きますが、これは訪問介護の利用が悪化を促進したというふうに理解しているんですか。どう解釈しているんですか、厚生省としては。
○尾辻国務大臣 鹿児島県の分析が、先ほど申し上げましたように、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られるという分析でございますから、私どもも、そういう分析がある、またそういう分析の仕方に一理あるというふうに考えておるところでございます。
○山井委員 これは解釈の違いになるかもしれませんが、はっきり申し上げたいけれども、このデータではそんなことは言えません。そこまで言うんだったら、もっときっちり調べるべきです。例えば、要支援の人で二十九回以上利用している人が二人なんですよ。本当にそこまでおっしゃるんだったら、その二人に聞いたらいいじゃないですか、むだで使っているのか、それとも、本当に困って、前回の認定から重くなって使っているのか。全国に配る以上は、それぐらいのことをきっちりすべきですよ。エビデンスが全然不十分じゃないですか。
では、その次の十六ページ、これも前回、阿部議員と山口議員が御指摘されたことですけれども、もう一つ、日医総研の島根のデータであります。これは前回も質問になったので、覚えておられると思いますが、軽度者の状況、右の方ですね、重度化が要支援、要介護一の順番に多いというデータを配っておられます。先日の民主党の部会でもこれを配られました。それで、要支援と要介護一は効果が出ていないというような趣旨の話でありました。ここに書いてあるとおりです。
ところが、先日も同僚議員から指摘があったように、全国の介護給付費実態調査を見てみると、大臣、見てください、要介護一では現状維持が七四・八%、要介護五の次に高いんですよ。悪化も一八%と低いんです。全国調査を見れば、改善度が、悪化が多いのは、要支援と要介護二と要介護三と要介護四の方が要介護一より高いんですよ。もしこの二〇〇三年の介護給付費実態調査からすると、要支援、要介護一の現状のサービスが効果的でないということは言えないわけなんですよ。
なぜ、尾辻大臣、こっちの全国的な調査を配らずに、ごく一部の調査を配っておられるんですか。それと、かつ、死亡の黒いところを入れると、結局、この死亡も悪化の一つの形態だとも考えられるわけですから、そう考えてみると、必ずしも軽度者の方が重度化が多いとは言えないわけなんですね。これも、普通の研究者が見たらこんな結論は出てこないわけなんです。
大臣、この二〇〇三年度の調査から、軽度者のサービスは改善に役立っていないと言えますか、この調査から。見てください、この調査から。
○尾辻国務大臣 先日も御指摘いただきましたので、私も、この両方のデータをどう見るかということで、改めて聞いてみました。そこで、そのことをまず申し上げるわけでありますが、この先生がお示しいただいております十六ページの資料でいいますと右と左になっておりますから、右、左という言い方で言わせていただきます。
まず、右の方の調査でございますけれども、これは、確かに、介護保険法が施行された割と早い時期に、一体どうなっているんだろうということでデータをとられたものでございます。ただ、このデータ、まず人数が七千八百七十八人という非常に多くの方を対象としておられる。それから、二年にわたって一定地域をきっちり調査されたという意味で、この調査はそれなりの意味があるだろう、それなりのというか、結構大きな意味のある数字を示しておるというふうに思います。
左右の関係でありますけれども、左の方は一年の変化でありますから、一年の変化と二年の変化、これは当然違いが生じます。大きく言いますと、大体、要支援者の数が、私が見ましたのは、維持の方が約七割でありますので、その七割の方が二年目にまた七割になるということは、〇・七掛ける〇・七で〇・四九ぐらい。この左側の数字と右の数字というのはそういう意味で余り変わりがないというふうに判断をいたしまして、この右の方の数字といいますかデータを使うことも、申し上げたように、意味があるというふうに判断したところでございます。
それで、死亡のことも言われましたけれども、死亡の原因というのはさまざまでございますから、一概に要介護度の悪化というふうに死亡をとるということはできないと考えておりますので、右の方のこのデータを使うことは、何回も申し上げておりますけれども、意味のあるデータとして使われるものだというふうに理解をいたしております。
○山井委員 私の質問にちゃんと答えてほしいんですが、私が聞いているのは、こちらの全国調査では、要介護一は維持が七四・八%、悪化は一八%ということで、この全国調査からは要介護一のサービスの効果が上がっていないと判断できるかということを聞いているんです。大臣、お願いします。
○西副大臣 お答え申し上げます。
このデータ、先ほど先生御指摘になりましたけれども、普通のトレンドからいくと、要支援、要介護一といった方々は、適切なサービスを利用することによって状態の維持、改善の可能性が一般的には高いというふうに私ども考えておりまして、それにもかかわらず、他の要介護度と同程度に実際の改善度が低くなっているということがこのデータを見てはっきりするんだというふうに考えているところでございます。
○山井委員 このグラフを見て答弁しているんですか。維持が七四・八%で、悪化は二や三や要支援より低いじゃないですか。同程度じゃ全然ないじゃないですか。
○西副大臣 黒いところ、一八のところですが、改善度が低いということそのものが、やはり我々の課題の一つだというふうに考えているということでございます。
○山井委員 でも、これは悪化は低いし、現状維持は多いんですから、そんな偏った物の見方をしてもらったら困りますよ。それによって政策判断が動いているんですから。
大臣、もう一回お聞きしますが、この二〇〇三年の表から見て、要介護一の今のサービスが効果的でないと本当に言えるんですか、二〇〇三年のこのデータから。効果的じゃないから新予防給付と今回おっしゃっておられるわけですからね。その現状認識として、大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 この要支援とか要介護の方というのは、これは申し上げるまでもないわけでありますが、まさに軽度の方でありますから、改善をもっと大きくしてもいい、そういう数字を示してもいいというふうに私ども思っておりますから、その期待される数字からすると、今現状で示されている数字というのは低いという判断でありまして、したがって、ここに力を入れよう、こういうことでございます。
○山井委員 今、いい答弁をいただきました。期待される数字とはどの程度の数字ですか。それを出してください。どれぐらいだったら十分なんですか、これが低いというのなら。
○西副大臣 指標といたしましては、要介護度が改善するということでございます。
○山井委員 期待された数値より低いと言っているんですけれども、期待されている数値というのはどれぐらいなわけですか、効果の。
○尾辻国務大臣 今お尋ねいただいて、すっと期待される数字がこのぐらいですというふうには申し上げられませんけれども、ただ、こうした数字というのは少なくとももっと高くあるべきだというふうに考えておるというお答えを申し上げます。
○山井委員 そういうのは政策を決めるときの答弁じゃないんですよ、もっと高くあるべきだとか。
改めて聞きます。では、本当に政策を決断するならば、同じような要介護一の人に対して、ほかの厚労省がおっしゃる予防対策をやってみてこれぐらいの数値が出た、それと比べて差があったら有意な差なんですけれども、そういうモデル事業はやっておられるんですか。
○尾辻国務大臣 今お尋ねのことにきっちりしたモデル事業であるかどうかは別といたしまして、今度新しくやります、やろうとしておりますサービスについてのモデル事業は当然やっておるところでございます。ですから、よく言われる、筋トレ筋トレとか言われますけれども、ああしたこと、それから口腔ケアの部分だとか、そうしたモデル事業はいたしております。
○山井委員 大臣、これは百五十万人の人の生活を変えるんですよ。相当きっちりやらないとだめですよ。
今、筋トレの実験とかいろいろやっているとおっしゃいましたけれども、それはこれから質問しますが、公募でやったり、やっている対象がかなり違うんですよ。違う人をやって比較しても、そういうのは研究にならないんですよ。正確なデータにならないんですよ。
では、そうしたら、そちらが介護予防のことをおっしゃいましたので、介護予防の話に行きたいと思いますが、要支援、要介護一の人のうち何%に筋力トレーニングやマシンによる筋力トレーニングが有効と考えておられるんですか。まさに今大臣が筋力トレーニングとかそういうのがあるとおっしゃいましたので、では、どれぐらいの人に有効なんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
新予防給付の対象である要支援者、これは、現行の要支援者はすべてでございます。及び要介護の一の方の七、八割程度という方が該当するというふうに考えているところでございます。
一方、この要支援者のサービスの内容につきましては、それぞれの個人の特性に応じたマネジメントを通じて、現場において多様なサービスの組み合わせでもって決定されるということでございますので、特定のサービスの対象者がどの程度になるかということにつきましては、我々政府として申し上げるということは難しいというふうに考えているところでございます。
○山井委員 一つここにデータがありますが、お配りした五ページ。大田原市では、要支援、要介護一の認定者数五百九十三人の中から、マシンを使った筋力トレーニングが効果的じゃないかという人を当然その筋トレをやる前に絞っていったら、六十三人、一四%だったわけですね。
でも、尾辻大臣、おかしいじゃないですか。先ほど、介護予防をやったらもっと効果が出るはずだと言った割には、では筋力トレーニングや筋力トレーニングマシンが要介護一の人のうちのどれぐらいに適応するんですかと聞いたら、そんなことはわかりませんと。では、これは、筋力トレーニングマシン以外、筋トレ以外でどういう予防があるんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
もちろん、筋力トレーニング、器械によるトレーニングもあるんですが、弾力のあるバンド、ゴム、それからダンベル……(山井委員「これですね。持ってきたんですよ、きょう」と呼ぶ)はい。持ってきていただいておりますが。それから、歩行と体操をする、また有酸素運動を繰り返す、そんなさまざまなトレーニングが考えられます。
先生たくさん持ってきていらっしゃるようですが、そういうさまざまな手段を使ってトレーニングをするというのが運動器による機能の向上という分野の考え方でございます。
○山井委員 例えば、このバンドも買ってきましたが、やっておられるのは筋肉隆々とした男性の人ですよ、言っておきますが。
それと、このセラバンドとかダンベル、今マシンじゃなかったらセラバンドとかダンベルとおっしゃいましたが、その国内のエビデンスというのはあるんですか。セラバンドとダンベルをやって国内で効果が出たというエビデンス。あと、太極拳もですね。太極拳もそちらがおっしゃっていたので、エビデンスはあるんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
セラバンドの効果につきましては、国内的には結果はございません。ただ、海外ではそういう事例もあるというふうに聞いております。
○山井委員 大臣、よく考えてくださいよ。
先ほど、今までの在宅サービスが効果がない、筋トレとか予防をやったらもっと効果がある、期待される数値が出ていないと言っておきながら、では筋トレマシンはどれぐらいのパーセンテージの人ができるんですかといったら、わかりませんと。それ以外にセラバンドや太極拳やダンベルがあるというので聞いてみたら、国内では効果は検証されていないと。
私、ここに厚生労働省からもらったデータがありますよ。ダンベルに関してはアメリカの高齢者ですね。何で日本で検証して効果を出さないんですか。検証不十分じゃないですか。それと、アメリカのお年寄りが太極拳をやって効果が出たというのも、厚労省が出してきている資料は地域の健康な高齢者じゃないですか。そんな人の外国のエビデンスを持ってきて、日本で効果があるというのは余りにもずさんではないですか。
そういう意味でお聞きしますが、これは本当に、ここに、運動器の機能向上、マシントレーニングは何%の人に効果があるかわからないと先ほど西副大臣言われましたが、弾力あるバンド、ダンベルも国内でエビデンスなし、効果はわからないわけですよね。
そうしたら、お聞きしたいと思います。例えば、やる気のない人にこういう筋力トレーニングなどを誘導した場合と希望者の場合の効果の違いというのは検証されているのか。
また、握力や歩くスピードだけでなく、肝心の生活能力や家事能力がこういう筋力トレーニングで向上しているかどうか、検証はされていますか。
○西副大臣 やる気がある人とやる気のない人というお話でございました。
基本的に、介護予防につきましては、これは利用者御自身の自立に向けた積極的な取り組みがなければ機能しないということでございますので、まず基本的には利用者本人の主体的な取り組み、これが前提だというふうに考えております。したがいまして、本人の意思に反してサービスが強制されるというようなことはもちろんないわけですが、現場においては、専門職の方がケアマネジメント等を通じて利用者に意欲を持ってもらって、そのことによってやっていくということでございます。
○山井委員 ちょっと、副大臣、私は二つ質問しているのに、二つとも答えずにほかのことを答弁しているじゃないですか。ちゃんと答えてください。違うことを答えたら時計とめてもらいますよ、そんなの。
○西副大臣 運動器の機能向上の効果につきましては、握力それから歩行速度といった指標以外にも、市町村における事業、国内外における研究によって、入浴、食事等を初めとした日常生活の動作に関する指標、それから生活の質に関する指標等でも検証がなされておりまして、これらの指標においても有効性は認められているというところでございます。
○山井委員 そのデータをぜひ委員会に出してください。
この八ページに、先日の二十八日、「市町村モデル事業支援小委員会での主な意見」がありました。そこでどんなことが言われているか。ここ八ページから黒線を引いてあるところを言います。全市町村で介護予防をやる場合、皆出席の高齢者ばかりとは限らない、これはこういうことをどうするのか。それと、マシンを用いた場合と用いない場合とに分けてどうなのか、また握力や十メートル歩行速度、血清アルブミン値といった指標だけでなく個々の高齢者の生活機能がどう改善したかというのを調査したらどうか、保健部局による公募よりも、やはりやる気のある人だけじゃなくて一般の人にも声はかけるべきじゃないかということが問題になっているわけですね。
要は、今、副大臣、そこを検証されていると答弁されましたが、今この会議ではそういうところがわからないという議論が実はなされているんですよ。本当に責任を持ってエビデンスがあると断言できるんですか、先ほど言ったことを。エビデンスはもうあるんですか。
○尾辻国務大臣 個々の話は今いろいろ出ておりますけれども、まず大きく言いますと、こうしたことに対するエビデンスがあるかないかということでございますが、ある方がお書きになった論文の中にいろいろ書いてありまして、そういったことをやって何が変わったかというと、全体的健康観が、これは五四・四%から六六・四に二二%改善した。(山井委員「そういうのはエビデンスと言わないんですよ。個人的な感想ですよ、そんなものは。大臣、もういいですよ、それなら」と呼ぶ)いや、これはやはりエビデンスだと思います。ちゃんと書いてあるわけでありますから。
そして、こうした、いろいろ書いてあるんですが、この論文の中の一部を読ませていただきますと、
岩手県のある小さな町で運動トレーニングをした際、二年前にご主人に先立たれた八十二歳の女性が、半年間のトレーニングを終え、終業式で挨拶し、「浮き沈み 八十路の坂を登り来て 光り見出し生きる喜び」という歌をよまれた。八十を過ぎた方が筋トレをやって良かった、これで人生変わったということを言ってくださった。
ということも記述されております。こうしたことがエビデンスだというふうに考えます。
○山井委員 大臣、そのお年寄りの話がエビデンスと言われると、私もうひっくり返ってしまいます。そういうのはエビデンスとは言いません。効果がある人もいるでしょう。でも、政策を判断するためには、何人のうち何人がそういう効果があって、何カ月持続されているかということです。
では、この効果、マシントレーニングは三カ月なんですけれども、三カ月目以降はどうなっていますか。そちらのデータを見ると、資料についておりますこれ、十三ページ、そちらから昨日回答をいただきました。筋力トレーニングを中心とした予防に、長期的な効果について科学的な根拠があると。
世田谷区、三カ月終わってからも四〇%が体操などを続けていた、こういうのを科学的根拠というんですか、それで効果が上がっているかどうか。そんなことを言い出したら、グラウンドゴルフをしている人がずっと健康になっているという話も出てくるわけですし、おまけに、この世田谷区の例は健康な高齢者をもともと調査しているケースですよ。今回の新予防給付とは話が違いますし、エビデンスというのは、この方々が三カ月の訓練を終わった後、半年後、一年後、生活能力がどう向上しているか、要介護度がどう向上しているかまでいかないとだめなのに、体操を続けていたなんて、こういうのは科学的根拠と言わないわけです。
次の川崎市も、約七〇%の事業卒業生が三カ月の筋トレ後も自主トレに参加している。でも、この川崎市も公募の方ですよ、もともとされているのは。やる気のある方です。聞くところによると、広報で集まった方がやっていて、回数を重ねているだけに、今回は七十人の定員に対して応募は四十人にとどまったと。つまり、もう、公募でやったら集まる人が少なくなってしまった。
でも、大臣、わかってほしいのは、新予防給付で皆さんが予防に誘導しようとする人は、こんなやる気満々の人じゃないわけですよ。効果が出るかどうかもわからないわけですね。
それと、もう一つ行きます。この十七ページ、A3の二枚目です。この日医総研のデータによると、大臣、よく見てくださいよ、「階段を二階まであがれますか?」初回三三%、三カ月パワーリハビリをやったら五八・三%まで行ったけれども、また卒業後二カ月たったら二五%、つまり初回よりも悪化している。これは、全体的な傾向を見たら、終了時にはよくなるけれども、その後は悪くなっているわけですね。それで、ここにも書いてあるんです、上に。「パワーリハ終了後の日常生活状況をみると、経過した期間によらず、ほぼ全ての項目について、一度改善した機能が再び低下していた。」
大臣、例えば筋力トレーニングで三カ月後どれだけ効果が継続できているかという調査は、しっかりそちらでされているんですか。
○西副大臣 委員御指摘のように、終了時しばらくすると若干悪化するということは、このグラフのとおりだと思います。それは一般的にはそういうことだと思います。(山井委員「そうでしょう」と呼ぶ)ええ。だから、我々はこれから、要するにこの効果の維持のために、これをフォローアップするために、地域支援事業等とかそういう形で地域で支え合っていくということを、今回介護の中で考えているということでございます。
○山井委員 今の答弁を聞いていたら、まだどうやってその効果を持続できるかもわかっていないわけですね。最初の島根県のデータの話と違うじゃないですか。最初のときには、予防サービスをやったらもっと効果が上がるはずだと言ったけれども、質問していったら、予防もまだどれほど効果があるのか全然わかっていないじゃないですか。
全国のモデル事業、今上がってきていると思いますが、十六年度のモデル事業の報告書、いつ委員会に出してもらえるんですか。それを見て審議したいと思いますが、大臣。
○尾辻国務大臣 今行っております市町村モデル事業の結果の報告についてでございますけれども、モデル事業実施市町村は、事業終了後に各市町村において介護予防重点推進・評価委員会を開催いたしまして、モデル事業の評価を行った上で、事業実績報告書を作成して国に提出することになっております。
この実際の提出時期につきましては、こういった市町村の作業の進捗状況によるものでありますから、進捗状況次第でありますので、今、いつだと言われて明確な時期は申し上げることはできませんけれども、各市町村に対して本年四月十一日までに事業実績報告書の提出をお願いしておるところでございますから、その報告が上がってき次第できるだけ速やかに御報告を申し上げたいと存じます。
○山井委員 今、法案審議が既にスタートしているんです。本来だったら、そういう資料を見た上で法案審議をしないとだめなんですけれども、いつですか、明確に答えてください、それは。
○尾辻国務大臣 まず、委員会審議との関係で申し上げますと、今お願いしておりますのは、法律としての一番の骨格の部分を御審議いただいておるわけでございます。そしてその考え方は再三にわたってお示しをいたしております。
また、いろいろな今考えておるサービスについても、効果が上がるということは、これは先生も否定なさらないものだろうというふうに思います。
ただ、個々にどういうことをやろうかという話でありますと、これは十八年四月からの話でございますから、今それに向けてモデル事業をやっていただいておる。そのモデル事業の結果が上がってきたら報告を申し上げます。(山井委員「いつ出すんですか、それは。いつですか」と呼ぶ)ですから、これは十八年四月に向けてのものでありますから、さっき法案審議との関係をおっしゃったのであえてこんな話をさせていただいておるところでありますが、報告そのものは、上がってき次第直ちに報告をさせていただきます。
○山井委員 いつ出すか明確に答えてください。私、次の質問できませんよ、そのデータがいつ出るかということがないと。今質問しても全然明確な答弁が返ってきていないじゃないですか。いつその資料を出すのか、明確に答弁してください。
○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、データが上がってまいりまして、その解析の時間も必要でございますから、そういうことをしました後でできるだけ早くということしか今申し上げるわけにはいきません。(山井委員「だめです、明確に答えてください、いつか答えてください。これ以上質問できません。今審議やっているんですよ。そのモデル事業のデータが出ないというのはどういうことですか」と呼ぶ)
そこで、先ほど申し上げましたけれども、この具体的な事業の実施というのは十八年四月でございます。それに向けての、私どもは、モデル事業として各市町村にお願いをしている、データをとろうとしておるわけでございますから、今日の国会審議との関係でいうとそういうことになろうかというふうに思います。今、それがなければとおっしゃることについて、私どもの考え方を申し上げたとこ
福岡県民主党第7区八女木下後援会で活動しています。
支援費制度。介護保険制度で事業所をやっています。
介護保険制度の改正は非常に間違った方向へ進んでいます。
介護は福祉です。リハビリは医療の分野です。どう考えても医療の受け皿になっているとしか考えられません。
障害は治らないから、介護が必要です。直すためのリハビリは障害ではありません。病院で行うべきです。
負けないでください。応援しています。
自分の周りには、毎日懸命に生きている人たちがたくさんいます。介護を削るような法改正は認められません。人は寝たきりで生まれて寝たきりで死んでいくのです。介護は必然です。誰もが必要となる介護です。だから、他人事ではなく、介護が必要になっても、普通の生活が送れる社会を作らなければなりません。よろしくお願いいたし増す。
やまのい議員さま
はじめてメールさせていただきます。やまのいさんのことは、岩波でご執筆されたころから関心をもってご活躍を拝見させていただいておりました。私は現場から大学教員になったものです。やまのいさん(好感をもってさん呼ばせていただきます)の今回の上記の質問はいいですね。今日は深入りはしませんが、介護保険の改訂のかなでもこの筋トレ問題が実は一番の問題ではないかと思っています。実は私は現在、独居男性高齢者の生活困難の調査をさせていただいていますが、生活不安定の方々の生活困難の本質は筋力維持ではなく、トータルとし自己を受け止めてもらう経験ではないかと感じています。ここは結構重要です。でももうすこし調査を進めます。質的調査ですが。そうしたら現場知らずの霞ヶ関官僚に言えるだけの事実を出せるかも知れません。やまのいさん、頑張ってください。絶対、筋トレ論理に組されたらダメですよ。応援してます。
Posted by: 西口守 at 2005年04月17日 23:54