昨日の厚生労働委員会で、民主党の横路『次の内閣』厚生労働大臣が、尾辻厚生労働大臣に対して行った、確認質疑の原稿を掲載します。
162-衆-厚生労働委員会-19号 平成17年04月27日
介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
◇無年金障害者訴訟の控訴断念の要請
◇認知症予防
◇見直しによるホームヘルプサービスのカット
◇不適切な言葉の使用について
◇厚生労働省の姿勢について
○鴨下委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山井和則君。
○山井委員 これから三十分間、質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いをいたします。
介護保険改正法案の審議も終局に近づいてまいりましたが、冒頭に一つ。
四月二十二日、福岡地裁において、学生時代の発病により障害者となった原告に対する障害年金不支給処分を取り消し、原告勝訴の判決を言い渡しました。このことで、何としてももう控訴はやめてほしいということを最初にお願いしたいと思います。この判決は、地裁が本人やその御家族の置かれた窮状や切なる願いに対して真摯に耳を傾けたからにほかなりません。
きょうのこの資料の最後のページに、「原告の親からのお願い」という平川栄一さん、そして不二子さんからのお便りをつけさせていただきましたので、その中で割愛して読ませていただきます。
四月二十二日、福岡地裁が、学生時代の発病により障害者となった長男の無年金障害者に対する障害年金不支給決定の行政処分を取り消すよう判決を下しましたことを、感無量の気持ちで感謝いたしております。
息子の発病当時、私どもはいまだ若く、何とか病気を治して人並みの勤めができることを願って、あらゆる努力をいたしました。しかし、その甲斐もむなしく息子の病気は進行し、重い障害者となってしまいました。その間の親の苦しみは筆舌に表せないものがあります。
しかも、父親の私自身が昨年十一月二日、福岡地裁の結審から十一日目に大腸ガンによる腸閉そくで手術を受けました。第一リンパ節に転移していたため、五年生存率六十%と再発の可能性も低いとは言い切れない状況です。
もし、高等裁判所に控訴され、さらに最高裁判所まで控訴が続くようなことになれば、果たして私が生きているうちに救済がなされるのか不安です。親亡き後の息子の将来が一番気掛かりです。この訴訟が親としてできる最後の勤めかもしれません。
というふうに、切々とつづっておられます。
大臣、どうか、このような思いをしっかり受けとめていただいて、これがもし控訴されたら、本当にまたこれから長期間の御苦労を今まで以上に与えてしまうことになるわけです。控訴の断念を切にお願い申し上げます。
大臣、答弁をお願いいたします。
○尾辻国務大臣 去る四月二十二日の福岡地裁の判決は、私どもも重く受けとめておるところでございます。
これは、今お話しいただきましたように、二十前に病院を受診しておられるその日を障害基礎年金の受給要件である初診日と認定をして、そして、社会保険庁長官が行いましたところの障害基礎年金の不支給決定処分を取り消すというものでございます。
今後の対応につきましてですが、判決の内容を十分に検討いたしまして、関係機関と協議をして対応してまいります。
○山井委員 これはほかの委員からも、参議院でも指摘があっていると思いますが、何としても控訴を断念していただきますように、改めて強くお願いを申し上げます。
それでは続きまして、介護保険の質問をさせていただきます。
まず最初に、認知症の予防のことについて質問させていただきたいと思います。
三月に、平成十六年度老人保健健康等増進事業の認知症予防教室(増田方式)に関する調査研究結果というものが、このグリーンの冊子で出されました。
それで、今回の審議では筋トレにスポットが当たっていましたが、筋トレ以上に重要であり、効果が明らかなのが認知症予防教室です。そして、これは、脳機能の低下段階において適切なサービスを提供するという脳のリハビリにより脳が活性化され、閉じこもりが減少し、家族以外との交流頻度がふえる効果が上がっています。具体的には、週に一回五カ月の教室参加で、リズム運動、パズル、風船バレー、じゃんけんなどの簡単な運動を楽しみながら、密接なかかわりで濃密なケアを行うものです。
実は、私も、今から十年以上前からこの教室に行っておりまして、やはり将来、寝たきり防止とともに、こういう痴呆予防というものを、まだまだなかなか大きな課題でありますが、やっていかないとだめだという思いは十年以上前から持っておりました。そんな中で、今回、こういう調査結果も出たわけであります。
その結果がどうかというと、ミニメンタルステートテストの指標でも、ここの資料、皆さんのところでも一ページ目に出ておりますが、パネルにもつくっておりますが、五二%が改善をしているわけですね、この上で。そして、四八%が変化なしという結果が出ております。そして悪化はゼロであります。
注目していただきたいのは、筋トレの場合は一六%が悪化しているというデータもあったわけですけれども、これはそういう悪化はないわけですね。もちろん、認知症の予防というのは簡単な話でなくて、エビデンスについてももっともっと詰めていかねばならないと思いますが、先日の高知県で行われました地方公聴会でも、悪化の七割程度がやはり認知症の進行によるという、そういうふうな参考人の方から御指摘もあったわけでありまして、この認知症に対してどう対応していくのかということは非常に大きな、最大のテーマの一つであると言っても過言ではないと思います。
そういう意味で、この報告書、厚生労働省さんとしても恐らくざっとお目通しかとは思いますが、このことについての見解と、そして、できれば予防通所介護という中でぜひともこういうことをやっていくことが可能なように要望したいと思います。大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 まず、認知症に対してどう対応するか、このことが大変重要な今後の課題であるということは、もう私ども全くそのとおりに考えております。
そして、認知症に対する対応については、早期発見、早期対応が大変重要である、こういうふうにもまた認識をしておるところでございます。そこで、特に軽度な方々に対する働きかけにより進行を予防できるのではないか、こういうふうに考えまして、これまでもさまざまな取り組みがなされてきたところでございます。
先生が今御指摘いただきました認知症予防教室につきましても、これはもう御案内のとおりでありまして、厚生労働省として、研究事業を通じて支援をさせていただいてきたところでありまして、こうした取り組みの中から、有効な方法を開発する必要があると考えておるところでございます。
したがいまして、全体の取り組みの中では、まだ認知症の状態になっていない方も含めた幅広い集団に対して事業を実施する形がふさわしいと言われておりますから、地域支援事業において介護予防事業の一環として実施をすることといたしておるところでございます。
○山井委員 こういうことは、何をもって認知症の予防というかという定義とか難しい面もありますが、今回の委員会審議では筋トレという肉体的なリハビリの方が脚光を浴びましたが、やはりこの脳のリハビリ、認知症の予防というのは非常に重要であると思います。
少し紹介をさせていただきますと、認知症予防教室、そこでは優しさのシャワーという大原則がありまして、一人ずつへの言葉かけやタッチング、褒める、感謝の言葉を言う、落ちこぼれをさせない、一人ずつにスポットを当てる。やはりこういう中で、この資料にもありますように、趣味が多くなり閉じこもりがちが減少したとか、あるいは、閉じこもりがちが四十三人から十六人に減少というような効果も上がってきております。
何よりも、繰り返しますが、悪化している人はいないんです。やはり、六人に一人は悪化するとか、そういうふうなもの、もちろん筋トレがいい人もおられるでしょうけれども、そういう意味では、筋トレも一つのメニュー、そしてこういう認知症予防教室も一つのメニューとして、ぜひとも近い将来、予防通所介護などで制度化をしていただきたいというふうに思っております。
私もこういう教室に何回か参加させてもらったこともありますが、やはりお年寄りに楽しんでもらう、仲間ができる、笑ってもらう、そういう意味では本当に人間の本質に非常に合っていると思うんですね、楽しみながらできるということで。ぜひとも、こういう教室を広げていくように、厚生労働省としても御支援をいただきたいと思います。
それでは次に、この介護保険の改正法案の新予防給付のことをちょっとまた触れていきたいと思いますが、四月六日の質問のときに言いましたように、この介護保険がなかったら私も国会議員にはなっていなかった。この介護問題を十数年私ずっと研究しておりまして、大学でも教えておりまして、そんな中で、介護をよくするために、もっと言えば介護保険をよりよいものにするために、国会議員にならせていただきました。
そんな中で、やはり今回の審議を通じて、本当にまだまだ疑問に思う点が非常に多いわけです。この国会での議論が余りにも現場からかけ離れてしまっているというふうに思います。
そこで、少し時間をいただいて、要支援、要介護一のお年寄りの姿を改めてちょっと御説明をさせていただきたいと思います。(写真を示す)
八十五歳、ひとり暮らしの男性、要介護一。ホームヘルパーさんに週に二回、二時間半ずつ来てもらって、一時間半は一緒にリハビリを兼ねた買い物、一時間は調理、洗濯、掃除などをしてもらっているわけなんですね。
それで、この方がどうおっしゃっているかというと、脳梗塞で昨年入院し、退院してひとり暮らしをすることになったときは、不安で不安でたまらず、死にたいと思ったこともあった、しかし、ホームヘルパーさんに支えられ、励まされ、元気になった、ホームヘルパーさんの訪問回数が減ったらどうなるんだろうということで非常に不安に思っておられます。
また、ホームヘルパーを余計に使って税金のむだ遣いの老人もいるかもしれないが、しっかり助かっているお年寄りもいる、まず実態を知ってほしい、十カ月の入院で六十二キロだった体重が四十九キロに減り、私は骨皮筋右衛門になった、筋力もほぼゼロ、もうお葬式の準備までしていた私がここまで顔色がよくなったのもホームヘルパーさんのおかげというふうにおっしゃっておられます。まさに命綱なわけですね。
この方も、八十歳、要介護一。週に二回、一時間半ずつホームヘルパーさんを受けてひとり暮らしをされている女性の方ですが、この方も、自分でも調理ができる範囲はやっている。でも、握力がなく物が持ち上げられない。野菜をゆがくのは自分でやっている。ホームヘルパーさんと一緒に調理をしている。同行したケアマネジャーさんは、軽度者の家事援助をなくすとかえってお年寄りが重度化するのではないかというふうにおっしゃっておられます。
三人目、最後のお年寄りの写真を紹介しますと、この方も、八十五歳で要支援でひとり暮らしで、週一回だけホームヘルパーさんがお風呂の掃除と買い物に来てくださっています。週二、三回ホームヘルパーさんに来てほしいが、厚かましいし、頼り過ぎると甘えになるので週一回で我慢しているということをおっしゃっておられます。
そして、こうおっしゃっているんですね。昨夜ホームヘルパーさんからの電話で、あした話があると言われて昨夜は眠れませんでした、睡眠薬を飲んでも眠れませんでした、もうホームヘルプに来られへんと言われるのかとびくびくした、私はこのホームヘルパーさんに死に水をとってもらうことにしているというふうにおっしゃっているわけであります。
先日、尾辻大臣も現場に行っていただいたわけなんですけれども、やはり今、現場のお年寄りは、今回の改正で家事援助がカットされるのではないか、今までのホームヘルパーが利用できなくなるのではないかということで非常に不安に思っておられます。詳しくは後ほど、確認答弁で横路議員がやってくださると思いますが、こういう本当に今不安に思っている高齢者の軽度の方々に、大臣にぜひとも、大丈夫ですよという言葉をかけていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 先日も申し上げましたけれども、先生のお勧めもございまして、私も現場を見せていただきました。そのときに感じましたのは、今先生お述べになりましたように、利用しておられる方とヘルパーさんとの間の大変な信頼関係といいましょうか、人間的なきずなができているなということは感じました。これは、今先生お話しのとおりだと私も感じたということを申し上げるところでございます。
そして、これも何回か申し上げたように思いますけれども、その現場を見せていただいた帰り際に、みんないましたから、きょう見せていただいたようなこうしたサービスが、今度の改正で、見直しで、まさかカットされるようなことにはならないなと言いましたら、これはもうそんなことには決してなりませんときっちり答えております。
私が申し上げたいのは、今までそうして適切にお受けになってきた必要なサービスというのが、今度の見直しでカットされるものでは決してありませんということを明確に申し上げておきたいと存じます。
○山井委員 力強い御答弁、ありがとうございました。
余りくどく言ってはなんなんですが、先日、二カ所行かれた、そこのサービスは減らないということですが、くどく言って本当に恐縮なんですが、まさかそこは例外的なところを行かれたというわけではないですよね。代表的なところへ行かれたということですよね。ちょっとだけそこを確認しておきたいと思います。
○尾辻国務大臣 正直に言いまして、私も連れていかれたところを見せていただきましたので、そこがどんなところかということを正確に承知しておるわけじゃございませんが、私をそういう例外的なところに連れていって見せたとは思いませんので、ごく標準的なところを見せてくれたんだと思いますし、私も、感じからしても、ごく普通の利用をしておられる方のところにお伺いをしたというふうに思っております。
○山井委員 そういう標準的なケースではそれほどカットはされないというふうに理解をしたいと思います。
法案審議も大詰めに近づいてきましたが、私はやはり何点か非常に気になることがあるんですね。
一つは、今も、なぜわざわざこんな写真を前回に続いて委員会で出させていただいたのかというと、私も十五年間ぐらい老人ホームで実習したり、デイサービスセンターで実習したり、ホームヘルパーさんと一緒に在宅のお年寄りの家を回ったりして、老人福祉のために議員にもなったわけなんですけれども、そこで感じているのは、軽度の、要支援、要介護一の高齢者であれ、非常にか弱いということなんですね。そういうホームヘルパーさんが減ることによって、先日も水島議員から話がありましたが、ホームヘルパーさんが減るかもしれない、そういうことを聞いただけで、もうそのショックで症状が悪化してしまう人もいるかもしれない、そういう状況であります。
私も、議員になった一つの引き金というのは、あるお年寄りがこういうのをもっとよくしてほしいということを私に言われたのが一つのきっかけでありまして、私もそのおばあさんとの出会いが大きかったので、当選して二日後にそのお年寄りのところに電話をしましたら、残念ながら電話はつながりませんで、私が当選する少し前にそのお年寄りは亡くなってしまわれていたんですよね。
なぜ亡くなられたのかなと思ってホームヘルパーさんに聞いてみたら、少し前に、ホームヘルパーさんが制度の改正によってかわることになったと。そうしたら、結局、何年間か一緒だったホームヘルパーさんがかわるだけでも、もう結構です、介護してくれていた夫も先に天国に行ったから、ホームヘルパーさんがかわるのを機に、私ももうこれ以上生きている気力がありませんと言って食事を拒否して、それから一週間後に亡くなってしまわれたということなんですね。それぐらいひとり暮らしのお年寄りというのは不安で不安で、やはりホームヘルパーさんが命綱になっているという面があるわけなんです。ぜひとも、そういうところ、慎重に対応していただきたいと思います。
私は、今回の法改正でおかしいと思うのは、法律の中に高齢者の尊厳と書き込みながら、大臣も先日からおっしゃっておられましたが、家事援助をたくさん受けると廃用性症候群になるとか、何か逆にお年寄りの尊厳に反するような考え方が入っているんではないかというふうに思うわけです。やはり、こういう、筋トレをやらないと廃用性症候群になりかねないよと言わんばかりの趣旨というのは、私はおかしいと思うんです。
大臣、私は、こういう、弱ったお年寄りを安易に廃用性症候群という非常に失礼な名前で呼ぶということは、高齢者の尊厳というものを書き入れた今回の法改正に矛盾している、ふさわしくないと思うんですが、いかがですか。弱ったお年寄りを安易に廃用性症候群と呼ぶということはやはりやめるというか名前を変える、そういうことを、大臣、高齢者の尊厳というのならば決断をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 この法案の審議が始まりまして、事務方といろいろなやりとりが始まりましたときに、率直に申し上げて、この言葉、まずいなと思う言葉が幾つかございました。そういう言葉については、これはかえようといって、あるいはもうこの言葉は使わないようにしようといって、かえたものもございます。
ただ、今の言葉でいいますと、学術的に使われてきているとかいろいろ言うものですから、何かかえられる言葉があるのかなと思いながら今日に至ってしまいました。そして、せめてもう自分では使わないようにしよう、こういうふうに思っておるところでございます。
くどくど申し上げておりますけれども、今度のことで私が反省しましたことの一つは、何かそのことにかかわり合っていると、ついつい、違和感がなくというか、もう惰性でそうした言葉を使ってしまうときがあるなと。そういうことについて私どもは絶えず気をつけなければそういう言葉を使ってしまうということも感じたところであります。
したがいまして、ふさわしくない言葉、本当にお年寄りの皆さんの尊厳を損なうような言葉遣いというのは厳に慎むようにしたいと思いますし、今日まで惰性で使っていたような言葉、とにかく一つずつかえていく必要があるというふうに感じておるところでございます。
○山井委員 私は、これは一つの言葉の問題じゃなくて、この法改正の、何か象徴しているような気がするわけなんですね。
それともう一つ、私はやはりおかしいと思うのは、繰り返し厚生労働省さんは、訪問介護などをたくさん利用し過ぎるとそれこそ廃用性症候群になってお年寄りの症状が悪化すると言わんばかりの主張をしてこられました。私、この法改正で本当に納得いかないのが、現場を支えておられるホームヘルパーさん、ケアマネジャーさんあるいは老人ホームの職員さん、その方々に対する感謝の念、ねぎらい、激励という気持ちがこの法改正から感じられないんですね。
どういうことかというと、訪問介護の利用し過ぎでお年寄りは廃用性症候群になっちゃった、そういうことを厚生労働省さんから言われると現場のホームヘルパーはどう感じるのか。そして、今回の法改正も、ケアマネジャーさんに任せておいたら不適切なケアプランをたくさんつくるから市町村がタッチしますと。確かにそういう例もあるでしょう。
しかし、そういうことを言う前に、ケアマネジャーさんの独立性も担保されていない、中立性も担保されていない、また少ない介護報酬で、介護報酬、ケアマネジャーさんはマネーマネジャーとかと言われながらも、本当に、バーンアウトして、燃え尽きて、倒れてしまった方も私の知り合いのケアマネジャーさんにもおられます。過労の方、そして多くの方が、もうケアマネジャーをやめたいとおっしゃっている方もおられるわけですね。そういう苦しい苦しい中でケアマネジャーさんが頑張ってくださっているということに対する感謝とねぎらいの言葉もなく、ケアマネのプランは不適切なものが多いから法改正するんだと。やはりそういうところは私はちょっと違うんではないかというふうに思います。
そこで、一つお願いと要望ですが、今までからこの審議の中でも、訪問介護をたくさん利用すると廃用性症候群になったり症状が悪化すると。確かにごく一部そういうケースもあるかもしれませんが、やはりそういうことは大々的に厚生労働省が言うべきことではないと私は思うんですね。
その前に、繰り返しになりますが、ホームヘルパーさんが、あるいは介護職員の方が、ケアマネの方が、過去五年間最前線で、十分とは言えない労働条件の中で、雨の日でも風の日もお年寄りのために献身的にやってくださっているから、五年間で介護保険に対する評価もここまで上がってきました、ありがとうございます、しかし多少制度はいじらねばならないということにならないと、私は話の順序が逆なんじゃないかというふうに思うんです。
今回の法改正でも、要支援の方や要介護一の方というのはほとんど文句なんか言いに来られません。あるいはホームヘルパーさんやケアマネジャーの方もほとんど、この法改正に対して文句を言う、そういう機会も与えられていないんですね。
そこで、大臣、どうでしょうか、訪問介護の使い過ぎが廃用性症候群をつくるとか、やはりそういうふうなことというのは誤解を招く発言であった、基本的には多くのホームヘルパーさんのおかげでお年寄りが幸せに、こうやって継続的に在宅生活を過ごせているんだ、そのことに対して、厚生労働省を代表して、大臣としても非常に感謝して、労働条件をよくするために頑張りますということを一言言っていただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 お言葉を返すつもりは全くありません。
ただ、先日、これも申し上げておりますけれども、ホームヘルパーの皆さん方ともいろいろなお話をさせていただきたいと思いまして、何人かの方に大臣室に来ていただいて、いろいろなお話を伺いました。そのときもやはり、今、一部の皆さん、一部のケースというべきだと思いますが、そうしたことがあるという事例については、またそれぞれに皆さんが言ってもおられました。
厚生労働省といいますか、私どもとしては、やはりそういうおしかりの部分、ここがまずいぞと言われることについてはずしんとくるわけであります。ですから、その言われていること、まずいと言われておしかりを受けることがどうしても頭の中にあるものですから、すぐそのことが口に出てしまうということ。申し上げましたように、決してお言葉を返すつもりもありませんし、言いわけをするつもりもありませんが、御理解いただければありがたいと思ってつい申し上げたところでございます。
しかし、先日も、先生との間でも大部分か一部かというような議論もいたしましたけれども、多くの皆さんに頑張ってきていただいたおかげで、五年間で介護保険という私どもが初めて導入した制度がここまで定着をした。これはもう本当にありがたいことだと思っていまして、その影というよりももう主役として、ケアマネジャーの皆さん、ホームヘルパーの皆さんが一番現場で頑張っていただいてきた。そのことを否定するつもりも全くありませんし、もうそのとおりだと思っておりますので、改めて、皆さんのおかげで介護保険が五年間ここまで定着をしましたという御礼は申し上げたいと存じます。
○山井委員 私の質問時間も本当にもう残すところあと数分となりましたが、そういう意味では、私は、こういう老人福祉をライフワークとする人間として悔しいという思いもあります。
やはり、反論することもできないホームヘルパーさんがこうやって廃用性症候群をつくったと批判され、あるホームヘルパーさんは、私たちはそんな極悪非道なことをやったんですかということをおっしゃっていられました。また、ケアマネジャーさんも、本当にケアマネジャーさんをやると家の帰りが遅くなって家庭が崩壊するとまで言われながら、歯を食いしばってやりながらも、国会審議の中ではケアマネには任せられない、不適正なケースが多いと。やはり私は、そういう、お年寄りの幸せのために、日夜、三百六十五日、本当に献身的に働いておられる方々のことを思うと、何か今回の国会審議というのは非常に悔しいという気がします。
なぜ、この委員会審議がこれだけ混乱したか。私は、やはり厚生労働省さんの持っていき方はおかしかったと思います。
私だったらこう言うというのをちょっと考えてきました。
五年間、現場の方々のおかげ、市町村の皆さんのおかげ、また利用者の理解と協力があって、ここまで介護保険は定着してきた。しかし、給付が予想以上に伸びて、このままでは持続可能性が危うい。重度の方は切りにくいので、軽度の人を少しだけカットさせていただきたい。できるだけ悪影響が出ないようにするので、何とか協力してもらえないか。また、すべての人ではないが一部の人には筋トレも効果があるので、それも新たなメニューに加えます。ここまで介護保険が評価をされているのは、安い賃金、不安定な労働条件の中で、お年寄りのために献身的に働いてくださっているホームヘルパーさんや介護職員さん、ケアマネさんのおかげです。また、これからもサービスカットで御苦労をかける面もあるが、どうか何とかよろしくお願い申し上げます。最前線で頑張っていただいている皆さんは国の宝です。
やはり、こういうことを言って法案審議をお願いするのが私は筋だと思いますが、そうではなくて、家事援助よりも筋トレをやった方がお年寄りは元気になるんですとか、そういうふうなことを言い出すから、本当なのかということで、この審議もその方向に流れてしまった面もあると思います。そういう意味では、私たち民主党も、正直に言ってくださったら正直に私たちもこたえるわけなんですよね。
そういう意味では、この審議が、残念ながら、そういう入り口の筋トレや新予防給付に集中したことを、私も責任の一端はあるのかもしれません、非常に残念に思っていますし、本音を言えば、もう一回時間を返してほしい。ほかにもやらないとだめな審議の問題はいっぱいあるわけですよ、積もり積もった五年間の介護保険の問題が。
ところが、やはり厚生労働省さんがここ半年間、わかっていられるでしょう、テレビを見ても新聞を見ても、筋トレマシンでお年寄りが元気になったという報道をあれだけはんらんさせて、やはりそういう問題点はあったと思うんです。
最後に、こんなことを言ってもなんですけれども、尾辻大臣から、今回の改正によってお年寄りを幸せにするんだ、そのことの最後の決意を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。
○尾辻国務大臣 私どもが申し上げたかったこと、気持ちとして持っておったことを最後に先生にお述べいただきました。私どもの言葉が足らなかったといいますか、あるいは説明がまずかったといいますか、そうしたことでもし皆さんに誤解を与えたとすれば、これはおわびをするものでございます。
最後に決意を述べろということでございましたけれども、私どもは、介護保険の中でそうしなきゃならぬと思っています、お年寄りの皆さんの尊厳を守るということ、そして、お幸せに生きていっていただくというそのことについて全力を傾けますということを改めて申し上げて、答弁にさせていただきます。
○山井委員 時間が来ましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
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介護保険改正法案もいよいよ27日(水)に採決となりました。
私も27日(水)の午後1時から1時半まで30分間、最後に尾辻厚生労働大臣に質問をすることになりました。
党内で議論を重ねた結果、介護保険改正法案には賛成することになりました。
私は反対姿勢でしたが、厚生労働部門の責任者である横路孝弘議員の判断により、「反対してこのままの法案を通すよりは、賛成と引き換えに、良い答弁を引き出したほうがよい」ということになりました。
そこで、30問くらいの質問と答弁を、いま、わが党と厚生労働省で詰めています(深夜までかかりそう)。
細かくは説明できませんが、簡単に言えば、民主党が法案に賛成するかわりに、「高齢者ができない家事については、今まで通り、ホームヘルパーの家事援助を利用することができる」 「デイサービスセンターなどで筋トレを強制しない。筋トレを拒否する高齢者も、従来のデイサービスセンターを利用することができる」
などという民主党の主張を取り入れた答弁を得るというものです。
この答弁が、どこまで担保になるかは不明ですが、それでも、一定の歯止めにしたいと考えています。
まさに、苦渋の選択での判断です。
私も30分間の質問で、このような家事援助や筋トレについてや、痴呆(認知症)予防の通所介護サービスメニューへの取り入れの質問を行います。
認知症予防教室の調査研究報告書がこのたび完成し、大きな効果が明らかになりました。明日は、このことも国会で取り上げます。
この1ヶ月足らずの介護保険改正法案の質疑を通じて、少しでも介護保険改正法案がマシなものになったことを祈るばかりです。
民主党は、今年、党員・サポーターの倍増を大きな目標としています。
そんな中で、私も衆議院議員として、多くの民主党員・サポーター集めが役割となっています。
つきましては、不況の折に、お金がかかることで非常に心苦しいのですが、20歳以上の方で「政治や福祉を良くしたい」という、私や民主党の思いに共感してくださる方でしたらどなたでも結構ですので、党員・サポーターになって頂けませんでしょうか?
◇「党員やサポーターになると何か義務はあるの? 役割はあるの?」という質問を受けますが、年間の党費6000円やサポーター代2000円以外の義務はありません。
そのかわり、党員の方には定期的に民主党の広報誌が届きます。サポーターの方は、民主党の代表選挙が行われるときには、一票を投じることができます。
党員もサポーターも1年更新で、途中でやめることもできます。
党員になって頂ければ一番有難いのですが、「民主党員」というと何か仰々しいので、「サポーター」でももちろん嬉しいです。
◇メールマガジンの読者の方々にこのようなことをお願いするのは非常に心苦しいのですが、もし趣旨にご賛同頂けるならよろしくお願い申しあげます。
とにかく、お金がかかることなので、お願いするのが申し訳ないです。
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【党員(サポーター)登録のお願い(4月26日締切り)】
本年も 党員(サポーター)登録の時期になりました。
今年度は党勢拡大のために、各国会議員には、昨年以上の党員・サポーター募集が要請されています。
山井和則事務所は、党員倍増・サポーターも前回以上に増やすことを民主党本部から求められています。
お願いするのは心苦しいのですが、本年は是非、党員(サポーター)への登録をお願い申し上げます。
お申し込みの手続きは、山井和則事務所
メール kyoto@yamanoi.net FAX 0774-54-0705 電話 0774-54-0703
まで、お問い合わせ頂ければ幸いです。
年間党員登録料 6,000円
サポーター登録料 2,000円
お申し込み頂いた方には、ご案内と振込用紙を送らせて頂きます。
どうかご検討の程、よろしくお願い申し上げます。
162-衆-決算行政監視委員会第四分科会 1号 平成17年04月25日
◇京都へのサミット誘致
◇関西学術研究都市の今後
◇京奈道路の活用
◇第二名神高速道路の見通し
◇山間地の情報通信インフラの整備
○山名主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
国土交通省所管、住宅金融公庫について質疑を続行いたします。山井和則君。
○山井分科員 民主党の山井和則でございます。
これから三十分間、私、地元京都でありますので、京都へのサミットの誘致のこと、また京都南部の関西学術研究都市、あるいは京都南部の道路や雇用、あるいは情報通信インフラ整備について質問をさせていただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
さて、京都では、このたび京都迎賓館が完成をいたしまして、先週には、小泉総理や歴代の総理をお迎えしてオープニングも行いまして、私も出席してまいりました。京都御所の中にすばらしい施設が完成したわけであります。
そこで、今京都としましては、京都を挙げて、二〇〇八年に関西で予定されているサミットを何としても京都に誘致したいという思いが高まっております。御存じのように、今、幾つかの都市が誘致をしているわけですけれども、やはりここは、歴史と伝統の都市京都がサミットを行うに最もふさわしい都市でないかと私は思っております。
私も、幾つかの国にいろいろ調査など過去行ってまいりましたけれども、海外に行っても、日本でどの都市を知っているかというと、やはり東京、京都と。京都から来たと言うとそれだけで、海外の多くの方々も、自分も京都に一度は行きたい、そういう思いをおっしゃいます。そういう意味で、ぜひともサミットを二〇〇八年京都に誘致したいというふうに要望をさせていただきたいと思います。
この迎賓館は二百億円ものお金がかかりまして、やはりこういうものをつくった以上は、ぜひともそこを有効活用したいというふうに思っておりますし、また、その折には、京都南部には宇治茶もありますし、また世界歴史遺産の平等院もありますし、そういうところにも世界の首脳にぜひとも足を延ばしていただきたいと思っております。
そこで、京都サミット実現の要望への答弁とともに、サミットを京都に誘致する上で、その誘致に成功する条件、あるいはその決定までのスケジュールについて御答弁を願えればと思います。
○石川政府参考人 お答え申し上げます。
主要国首脳会議、G8サミットは、G8諸国間の持ち回りで実施され、委員御指摘のとおり、現時点では、我が国での次回開催は二〇〇八年が予定されております。
G8サミットの開催地選定については、必ずしも確立された手続というものはございません。現時点で具体的な検討、選定作業は行われておりませんが、ただ、御参考までに、前回我が国で実施されました九州・沖縄サミットについて申し上げたいと存じます。
九州・沖縄サミットの例では、開催希望を表明されていた自治体の現地調査を開催年の二年前の九月より実施し、開催年の一年前の四月に開催地が発表された経緯がございます。
お尋ねの条件も、以上のような次第でございますので、必ずしもかちっとしたものではございませんけれども、九州・沖縄サミットにおける開催地の選定に当たっての調査では、開催のための適切な会議場及び関連行事施設があること、各国代表団及び報道関係者の宿舎が質、量ともに十分であること、警備上問題が少ないこと、それから空港及び交通面でのいわゆるアクセスが容易であること等を総合的に勘案した経緯がございます。
○山井分科員 もちろん、それぞれの都市が、日本の都市はすばらしい都市でありますから、どこがどうとは言いづらいわけですけれども、やはり歴史的な価値というかそういうものを考えても、ぜひとも京都にお越しいただきたい、まさに国際的な歴史都市、観光都市として有名な京都でサミットを開いていただきたいと、改めて強く要望をさせていただきたいと思います。
次に、きょう資料も五枚お配りをさせていただきますが、関西学術研究都市の進捗状況について、質問と要望をさせていただきたいと思います。
関西学研都市は、昨年秋に町開き十年を迎え、現在も産学官の連携の中、セカンドステージが展開されておりますが、しかし問題は、研究施設の整備が遅々として進んでおらず、整備用敷地の五三%しか埋まっていないということであります。
私の自宅の近所にありますので、毎週末この学研都市のあたりに行っておりますが、やはり地元の自治体からもうずっと聞き続けておりますのは、学研都市が目指していたように順調に整備がいっていない。それどころか、これまで研究所を主体として都市形成を進めてきたわけですが、昨年はバイエルとキヤノンというまさに目玉であった研究施設が撤退を始めているわけなんですね。研究施設が集まらないだけじゃなくて、一たん進出した研究所が撤退をし始めている。
きょう、少し写真も撮ってまいりましたが、七十五人の方が勤めておられたドイツ企業のバイエルの研究施設、これも今もう空き家になってしまいました。昨年四月に撤退。それともう一つ、この新聞報道にも出ておりますが、キヤノン・ショックと言われまして、昨年六月には百七人がお勤めになっておられましたキヤノンの研究所、これも撤退をしてしまったわけなんですね。関西復興の起爆剤、国家的プロジェクトと言われていた関西学研都市、本当にこれでいいのかという危機感、何とかしてほしい、そういう思いが地元からも高まっております。
そして、このキヤノンにしても、業績が悪くて研究所が撤退したわけではありませんで、撤退理由は、研究段階から生産への移行に伴い、研究施設を事業所のあるところに移転したわけであります。近年、研究施設と生産、本社機能との統合という経済界のニーズもあり、研究施設だけに頼ったまちづくりは曲がり角に来ました。地元京都府でも、学研都市にふさわしい生産施設を兼ねた企業進出に大きな期待を寄せているわけであります。
こちらにも、地元京都新聞の十年の節目を迎えた学研都市、こういう記事が出ておりますが、その中でも書かれておりますし、二枚目にも「研究から産業機能視野」へという見出しで書いてありまして、京都府の山田知事も、「企業は研究開発と試作を一体化させている。試作工場などの産業機能も認めるべきだ」というふうな号令も出しておられます。
このような現状を踏まえて、今後策定される学研都市のサードプランの方向性についてお考えをお聞きしたいと思います。
また加えて、同時にお伺いします。
学研都市けいはんなは複数の自治体にまたがって展開されておりますが、国立国会図書館関西館のある京都府側の精華町は人口三万五千人、お隣の木津町は三万八千人、比較的規模の大きい同志社大学のある京田辺市でも六万人として、自治体として規模はそれほど大きくなく、財政状況は非常に厳しいわけです。そのような中で、各自治体も精いっぱい学研都市にふさわしいまちづくりに取り組んでいるわけですが、財政的には厳しいのが現状で、今後、学研都市としてのまちづくりを進めていくには、さらなる国の財政支援が非常に重要になってまいりますが、この点についていかがでしょうか。
そして加えて、三点目として地元の声も紹介したいと思います。
けいはんな関西学研都市はよく東の筑波と比較をされますが、筑波は、御記憶にありますように、筑波博があったこともあり、知名度はかなり高いわけですね。しかし一方、学研都市けいはんなの知名度はまだまだ低いのが現状でありまして、今後、京都南部、さらには関西活性化の起爆剤として期待される学研都市の知名度をさらにアップさせる何か国家的なイベントのようなものが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
三つの質問になりますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
○蓮実副大臣 学研都市のこれからの展開につきましてでありますが、昨年の都市開き十周年を契機にいたしまして設置をした有識者による懇談会におきまして、学研都市の目指すべき方向について検討を重ね、学研都市全体の総合力の強化、新産業創出に向けた試作生産機能を有する研究開発型産業施設の立地促進などにつきまして、ことし三月に提言をいただいたところであります。
今後、国土交通省といたしましては、この提言を踏まえまして、今年度には、関係する自治体、立地機関、経済界等から成る協議会を設置いたしまして、今後十年間を対象とした具体的な整備方針としてサードステージプランを策定した上で、都市の整備をさらに進めていくことにいたしておる次第であります。
○山井分科員 ぜひともここは、せっかく国家的プロジェクトでここまで進めているわけですから、さらに力を入れていっていただきたいと思います。
先ほども言いましたように、本当に空き地がまだまだいっぱいあるわけですね。やはりこれは、関西復権の起爆剤でありまして、その大きなかぎを握っているわけであります。国家的なプロジェクト、もちろんこのことに関しては、筑波は国家プロジェクトでかなり公が力を入れる、関西のこの学研都市は国家的プロジェクトだから民間主導でいくということはあったかとは思いますが、当時からかなり経済情勢も厳しくなっておりまして、なかなか民間だけの力では限界があるわけですので、ぜひとも国からの御支援をよろしくお願い申し上げます。
そこで、それにも関連して、なぜ停滞したのかという理由の一つに、交通網の整備が急務ということが言われているわけです。この京都新聞の記事にも出ておりますし、次のページでも、動脈づくりの整備がおくれていると一体感を阻むということも書いてあります。これについては、電車と道路と両方言えると思います。
一つは、京都―学研間の道路網の整備がおくれているわけです。ことし三月に提言がまとめられた関西学研都市の明日を考える懇談会、通称明日懇でも、一定の整備は整ったものの、さらなる交通基盤整備の促進が望まれるという意見が出されております。学研都市線の複線化、松井山手から木津までの複線化、またJR奈良線の複線化、京阪奈新線の延伸などいろいろ重要で、ここで要望したいと思います。
それとともに、きょうは特に質問したいのが、道路網の整備であります。
例えば、学研都市の中心を走る京奈自動車道は、国道二十四号線のバイパスとして建設されましたが、ちょっとローカルな話になりますが、城陽から木津までわずか十二キロで六百円、往復で千二百円という料金は高過ぎるわけですね。私はよく利用しているわけですけれども、なかなか一般の方々にとっては往復千二百円払えないということで、割とがらがらなわけです。こういう写真を見せるのは非常に申しわけないんですが、先週の週末も、確かに朝夕のラッシュのときぐらいは多少は込んでいるんですけれども、一般的なときには割とがらがらになってしまっている。
私が申し上げたいのは、多大なお金をかけてこういうすばらしい道路を建設しても、結局がらがらであるということでは本当にもったいないという気がしますし、実際、高いという理由で今までどおり国道二十四号線を多くの方が利用されていて、そちらの渋滞緩和はまだまだなされていないということなわけですね。
そこで、三枚目の記事にもありますが、地元からも、何とかこの京奈自動車道の料金を引き下げられないか。割とがらがらなわけですからもったいない、かつ、その横の国道二十四号線は大渋滞をしていると。それで、引き下げるか、あるいは、この京都新聞の記事にも出ておりますように、今こういう社会的実験というのを国土交通省さんも行っておられるわけですね。料金を下げてみて、それによって交通量が増大したらプラス・マイナス・ゼロではないかということで、こういうことも私はやってみる価値はあるのではないかと。
やはりこれは、学研都市という国家的なプロジェクトなわけですから、先ほども言いましたように、そこから企業や研究所が撤退している。実際、撤退した企業の研究所の方から聞いてみても、やはり交通のアクセスが悪いという声が非常に強いわけなんですね。そういう意味で、この京奈自動車道について、料金引き下げ、あるいはそのための社会的実験を行っていただけないかということについて、御答弁をお願いします。
○谷口政府参考人 お答えいたします。
委員御指摘の京奈道路につきましては、償還主義のもと、借入金で道路を建設し、一定の料金徴収期間内の料金収入により当該道路の建設、管理等に要する費用を償還していくというような有料道路制度によってできておるものでございます。
昨今の経済情勢等を考えまして、有料道路の有効利用が、一般道路の渋滞対策、沿道環境対策も含めまして有効な施策だというようなことで、非常に要望が多いことがございます。したがって、そういうような観点から、多様で弾力的な料金施策に関する取り組みといったようなものを推進させていただいておるところでございます。
平成十六年度におきましては、地域における課題解決型社会実験というようなことで、施設整備と料金施策との間で有効性、効率性等の比較を行うため、全国で四十一件実施したところでございます。
地域によって非常に差が大きく異なるというようなことでございまして、地域の特性を踏まえて実験を行い、より効果的な料金割引について検討していくことが重要と考えておるところでございます。
今御指摘の京奈道路についての社会実験でございますが、並行する国道二十四号が渋滞が非常に多いというようなことでございますので、地元等からの要望がございましたら、適切に対応していきたいと思っております。いずれにしましても、社会実験の結果を踏まえて、今後の有料道路の弾力的な料金設定に生かしていければと考えておる次第でございます。
○山井分科員 今の件は、国土交通省さんと二年ほど前からも多少話はさせてもらっているんですけれども、局長さんからも御答弁ありましたように、とにかくせっかくつくったわけですから、やはり地域全体を考えて、有効利用ということをぜひとも考えていただきたいと思っております。
次に、この学研都市のことともやはり関連するんですが、すぐ横の第二名神のことについて御質問をさせていただきたいと思います。
これは二つに分けて質問しますが、まず最初の方は、八幡東から城陽間の早期着工を要望したいと思います。
この区間については、既に施行命令済みですが、いまだになかなか建設が進んでおりません。現在建設中の京都市南部を走る京都高速道路は平成十八年度末完成予定であり、この第二名神の八幡東から城陽間さえ開通すれば、先ほど質問しました京奈自動車道ともつながり、学研都市と京都市内が高速道路、有料道路でつながってくるわけであります。ここは、いわば学研都市の交通網のかぎであり、京都、奈良といった世界に誇る観光都市を結ぶ大動脈でもあり、当然地元でも大きな期待が寄せられております。この第二名神の八幡東―城陽間の早期着工について、今後の見通しはいかがでしょうか。
○谷口政府参考人 第二名神は、非常に大規模な延長になっております。したがって、選択と集中の精神で、区間を限って、必要度の高いところから事業を実施しているということでございます。
委員御指摘の、八幡ジャンクションから城陽ジャンクション間四キロメートルでございますが、用地買収に向けた地元設計協議を行うための準備として、現在、測量及び土質調査を実施させていただいておるところでございます。
また、ジャンクション付近では、京滋自動車道、第二京阪というようなこともございまして、一部用地買収も行っているところもございます。
当該区間につきましては、引き続き、地元の御理解をいただきながら、御協力をいただきながら、用地買収を含め事業の促進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
○山井分科員 この区間は抜本的見直し区間にもなっていないわけでありまして、地元の自治体からは本当に悲鳴が上がっておりますので、ぜひとも急いでいただきたいと思っております。
京都南部の道路事情に関しては、谷口局長さんも以前近畿地方整備局長でいらっしゃったわけですから、まさによく御存じかと思いますが、問題になってくるのは、八幡―城陽間の両側が、御存じのように抜本的見直し区間というふうになっているわけであります。この四ページの資料に出ておりますように、大津―城陽間二十五キロ、そして八幡―高槻市間十キロ、この三十五キロが抜本的見直し区間となっておりまして、「構造・規格の大幅な見直しを行い、抜本的なコスト削減を図るとともに、整備手順についても検討する。」ということになっております。
これについてもやはり、地元の八幡市、京田辺市、城陽市、宇治田原町では、何とか急いでほしいという声が高まっております。要は、第二名神を前提とした都市計画づくり、まちづくりを行っているわけでありまして、抜本的見直し区間と決まってから一年半がたとうとし、地元の自治体は、工業団地の整備が進まないとか都市計画の先が見えないとか、またこの道路は学研都市にとっても重要な道路でありますし、また例えば地元の城陽市では、山砂利採取跡地の整備に関しても、第二名神の着工ということを前提に考えているわけであります。そういう中で、今、抜本的見直し区間という形で宙ぶらりんになっておりまして、地元の自治体や経済界からは、これもまた悲鳴が起こっているわけであります。
片や、地元の市民の方々からは、抜本的見直し区間ということは、要はコストを大幅に削減する、しかし、できてみたら、コストを大幅削減したから環境への配慮がおろそかになってしまうのではないかとかという点で、そういうまた違った面からの不安も出てきております。
地元からは、十月に民営化会社に移行するわけですから、新会社が整備する区間としてきっちりと位置づけられるようにという要望も、京都府を含め地元自治体からも強く出ているわけでありまして、抜本的見直しの現状と今後のめどについてお答えをいただければと思います。
○谷口政府参考人 お答えいたします。
第二名神高速道路は、名古屋市と神戸市を起終点とする全体延長約百七十四キロメートルの高速自動車国道でございます。このうち、現在供用しておりますのは、飛島インターチェンジ―四日市ジャンクション間約十九キロメートルが供用中ということでございます。集中的に工事をしておりますのは、亀山ジャンクションから大津間四十一キロメートルにつきまして、工事を全面展開中ということでございます。
その他の区間につきましては、今御指摘の抜本見直し区間も含めまして、区間によって進捗状況に差はございますが、いろいろな観点で、つながらないと意味がないということでございまして、鋭意事業を進めさせていただいているところでございます。
全体百七十四キロメートルということでございますが、第二東名高速自動車国道と一体となって三大都市圏をつなぐ、文字どおり二十一世紀の、新しい世紀の国土の基盤というような観点で、期待の大きい重要な路線と我々も認識をしておるところでございます。
また、災害時を考えても、現在の名神高速道路が通行どめとなった場合にも、代替路線として不可欠な路線というようなことで認識をしておるわけでございますし、また委員御指摘のとおり、京都南部のこれからのまちづくり、地域づくりというような形で骨格となる道路というようなことも十分認識をしておるところでございます。
御指摘の抜本見直し区間につきましては、現在、事業を一時中断し、構造、規格等の現行計画を文字どおり抜本的に見直すべく検討をさせていただいておるところでございます。
具体的には、抜本見直し区間の有無による交通量推計とその他の幹線道路との機能分担による必要性、また費用対効果の分析、整備手順の検討、道路構造、規格の見直し等について検討を進めさせていただいておるところでございます。
いずれにしましても、十月に民営化するということでございますので、できるだけ早期に取りまとめを行いたいというような考え方のもとに検討を鋭意進めておるところでございます。
○山井分科員 十月の民営化の前に早期に取りまとめということですが、ちょっと一つ、ここは重要なことなので確認をさせてもらいたいんですが、ということは、十月までに、抜本的見直しとしてこういうふうな案をつくったということで国土交通省が地元自治体等へ提示をする、大体そういうふうなめどでよろしいでしょうか。
○谷口政府参考人 検討状況にもよりますが、十月に民営化するというのは決まっておるスケジュールでございます。いろいろな手順がございますので、検討状況を踏まえて適切に対応させていただければと思っておる次第でございます。
○山井分科員 それでは次に、京都南部の雇用機会増大促進地域の指定の延長について質問したいと思います。
ちょっと時間が押してまいりましたので早口になるかもしれませんが、京都南部の宇治、城陽、久御山、宇治田原の四市町については、大規模工場の大幅縮小や地元信用金庫の破綻により、平成十三年十二月に地域雇用機会増大計画の地域に指定されたわけです。しかし、この指定が平成十八年三月に切れる予定であります。
しかし、私の地元の地域の雇用情勢は、少しはましになったという声もありますが、まだまだ本格的には回復しておらず、加えて、昨今のアジア情勢や原油高による企業活動への不安も相まって、地元からは、ぜひとも継続もしくは違う施策をやってほしいという声も高まっています。京都府にも同時にこの延長を要望しておりますが、これは地元の市町村や都道府県が計画を策定し、国が同意する方式になっているわけですけれども、ぜひともこの雇用機会増大促進地域の延長をお願いしたいというふうに思います。いかがでしょうか。
○高橋政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の京都の山城中部の地域雇用機会増大計画にかかわる御質問でございますが、先生から今お話ございましたとおり、これは地域雇用開発促進法に基づきまして、多数の求職者に比して相当程度雇用機会が不足している地域ということで、京都府が十三年の十二月にこの計画を策定しまして厚生労働大臣が同意をいたしたものでございまして、御指摘のとおり、十八年の三月がこの計画の終了時期となっておるわけでございます。
この更新の問題でございますが、基本的には、この仕組み、スキームにおきましては、都道府県がまず一義的に御判断をいただくべきものでございますが、京都府がこの地域の計画の更新を御希望するという場合につきましては、改めて計画を策定していただいて、厚生労働大臣あてに協議をいただくということになろうか、そういう手続を進めていただくことが必要であるわけでございます。
私どもといたしましては、協議をいただいた段階で、地域雇用開発指針というものが既に定められ公表されておりますので、これに照らしまして、要件に該当するかどうかの判断、必要な検討を行わさせていただきたいと思っております。
○山井分科員 京都府からは恐らくこの計画が出てくるというふうに思っておりますので、その際にはぜひとも同意して、また今後も御支援をいただければと思っております。
最後、あと二問ありますが、一問にまとめて質問したいと思います。
二〇一一年デジタル放送への全面移行を控えて、現在電波実験が行われていますが、京都南部の山間部、具体的にいいますと南山城村、笠置町、和束町などが受信不可能となる可能性が高く、大きな不安となっております。
従来、この地域はアナログ放送も難視聴地域となっており、CATV、つまりケーブル放送にて解消を図っている地域であります。ところが、このケーブルはデジタル化によって使用不可能となり、今後施設の改修が迫られていますが、これらの三町村は、人口が二千人あるいは五千人であり、四億円から六億円かかる改修事業を自力でするだけの財源はありません。国策としてデジタル化を推進するわけですから、何としても国の支援をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
また、インターネットについても同様のことが言えます。
一部では、最近やっと自治体の予算でADSLが可能となったところでありますが、いまだにADSLさえ不可能な地域が多くあり、情報格差は否めません。
先日も地元の自治体の方々と話をしたら、企業誘致をしたいといっても、インターネットも不十分ということでは、本当に来る企業もほとんどないということを嘆いておられました。これらの地域は、農村教育に力を入れたり、温泉を使った観光に力を入れたり、さらには自然を生かした村おこし事業など、生き残りをかけた地域挙げての取り組みを行っております。
情報通信インフラ整備は、人口の離散や企業の立地の不利になり過疎化に拍車をかけることを防ぐために、非常に必要であります。情報通信は、もともと交通が不便なところ、過疎地域にこそ先に必要で、整備しなければならないのに、逆に、財政力が弱くて過疎化が進んでいるところが、ますます情報通信やデジタル化の波にも取り残されてしまうのでは、これはあってはならないことだと思います。
これらのことに関して国の支援を切に要望しますが、いかがでしょうか。
○小笠原政府参考人 まず、放送についてお答え申し上げますが、先生御心配のような、そうした難視聴地域がまず生じないようにということが大事でございますので、放送事業者において、今の放送局の出力の拡大あるいは中継局の設置というものをできる限り早期に進めていただきたいと思っております。
私ども、従来より税制あるいは政策金融措置をやっておりますが、今後、地域の状況に応じまして、必要な場合にはこうした施策のあり方についても検討を進めていきたい、かように考えておる次第でございます。
○鈴木政府参考人 続きまして、情報通信関係の御答弁を申し上げます。
我が国の情報通信インフラ整備は、e―Japan戦略その他によりまして、全体としては世界最先端のレベルにあるというのは御承知のとおりでございますが、今先生から御指摘ございましたように、一部の地域におきましてはブロードバンドサービスが提供されていないというのが事実でございまして、私どもにとりましても、デジタルデバイドといいますか、この是正は重要であり、かつまた迅速に対応しなきゃいけない問題だと考えております。
そこで、二つございまして、一つは、まずは民間事業者でインフラ整備が進みますように、超低利融資や税制優遇の支援を行うということ。それでもできない場合は、市町村その他によりますインフラ整備に対しまして、国庫補助金でございますとか、あるいは過疎債のような地方財政措置を通じて支援をさせていただいております。
今後、私どもといたしましては、ユビキタスネットワーク社会を実現して地理的な格差を克服するということが、先生御指摘のとおり、経済の活性化、安心、安全な社会ということの助けになるものでございますので、その実現に努力してまいりたいと思っております。
○山井分科員 もう時間が来ましたので終わりますが、とにかく、こういう国が進める情報通信施策がかえって過疎化を後押しすることがないように、ぜひともきっちりと国の支援をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
表題の資料が厚生労働省から提出されましたので、公開します。
・介護予防市町村モデル事業中間報告(pdf 5.16MB)
下記ニュースもご参照ください。厚生労働省が記者会見をして公表した同じデータから、これだけ違う報道がされています。
なお、記者に渡されたデータは、ここに載せた中間報告とは異なる可能性もありますので、念のため書き添えます。
・介護予防モデル事業、筋トレで16%が要介護度悪化(読売新聞)
・筋トレで44%に改善効果 介護保険で厚労省報告(共同通信)
・介護予防の筋トレは一定効果(NHK)(記事中に誤解を招く表現がありますので、ご注意ください)
・介護予防 要介護度…悪化16.3% 厚労省モデル事業、法案審議に影響も(産経新聞)
関連して、月曜日に行われた地方公聴会についての報道です
・予防介護導入で注文も 衆院厚労委が公聴会(共同通信)
http://brain.newswatch.co.jp/BNS/gmo-bns/gmonews/sankei2005042000431.html
162-衆-厚生労働委員会-15号 平成17年04月12日
◇介護保険法等改正案 参考人質疑
○大村委員長代理 次に、山井和則君。
○山井委員 本日はお忙しい中、急なお願いにもかかわりませず、委員の方々、わざわざ衆議院までお越しいただきまして、本当にありがとうございました。また、貴重な御指導を賜りまして、本当にありがとうございます。
それでは、限られた時間ですが、私から質問をさせていただきたいと思います。
まず第一点、服部万里子先生にお伺いしたいと思います。
私、今回のこの法改正で一番不安なのが、服部先生も触れておられた、百六十万人の要支援、要介護一の新予防給付になる方々がどういうサービスを受けられるのかというのが、本日まで一週間余り審議をしたのですが、まだまだ見えてこないところがあります。その部分でこれから最も板挟みに遭うのが、ケアマネさんではないかと思うのです。
例えば、今利用している生活援助がどれだけ制限されるのかもいま一つわからない。それで厚生労働省は、適切なサービスは今までどおり利用できますということをおっしゃっているのですが、どのようなサービスが適切なのか。今言っている「適切」と法改正後の「適切」はまた意味が違うのか。そして、今サービスを利用されている方々の大部分のサービスが変わるのか、ごく一部分の人が変わるのかがわからないわけなんですね。
そこでお伺いをしたいと思いますが、この新予防給付の転換によって、どのような混乱が現場で起ころうとしているのか、また起こると予想されるのか。また、生活援助、先ほど、歩いている人のつえを外すことは問題があるのではないかという話がありましたが、家事援助の制限ということはどのような問題点を生むと考えておられるのか、服部先生、よろしくお願いいたします。
○服部参考人 服部です。
今在宅の高齢者が一番不安に思っているのは、現在のサービスが使えなくなるのではないか、そういう不安です。
実は私は認定審査員を六年ほどやっております。昨日も七時から認定審査会があったのですけれども、きのう、ちょっとびっくりしたことは、区分変更といって、今認定を受けている方が、自分はもっと重いはずだから変えてほしいという、これが非常に多かったということで、きのうの認定審査会がいつもよりも非常に長時間になりました。しかも、それが、従来でしたらば、重度になったということで区分変更が多かったのですけれども、どういうわけか、それほど重度でない方が、自分はもっと重いはずだということで認定更新の請求があったということで、本当に不安に思っているのだなということを感じました。このままだとどうなるのか、もっと自分がサービスを使えるようにしてほしいということがそこにもあらわれているのではないかと思います。
確かに、今厚生労働省は、必要なサービスは使えますと言っていますけれども、では、要支援、要介護度一の方が予防給付になったときに何が使えるかということは、余りはっきりいたしておりません。今までの論議の中で、案として例えばということで出されたのを、私の資料の一番最後の二枚目につけております。これは、今回厚生労働省が、現在要介護度一の人が予防給付になった、または、これが厚生労働省が検討したときにどういう問題があって、今後変えるとしたらどういう改善案になるのかということを出しているのが二つあります。八十六歳の方の要介護度一で脳梗塞の後遺症の方と、九十歳のひとり暮らしの、骨折の手術後で、住宅を転居したばかりの方というのが資料の七と八につけてあります。
これを見ていただきたいのですけれども、今一番その方の中で生活を支えている、例えば買い物に行くとか、食事を用意するとか、こういうものに関して、ヘルパーさんの援助をもらいながら、そしてそのヘルパーさんから、先ほど出ていましたように在宅の中で生活リハビリをやっていく、または在宅の中で運動をやりながら生活をしていくということに関しては、全く評価をされておりません。
そして、今の生活援助に関しては、地域のサービスを導入しなさいということで、介護保険の制度の中身から外していくというふうになっております。これが、今あらわれている中の実態で、非常に不安になっているという実態だろうというふうに私は思います。
それと、先ほどの中で、今度、施設の居住費というのが自己負担になるということで論議になっておりますけれども、実はこれは、施設と在宅の費用の差があるというふうに言われておりますが、ことしの十月から、在宅の中でのショートステイも実はこの居住費が導入をされます。
ショートステイというのは、今在宅で重度介護の方を支えているものであります。家族がその間少しでも休みたい、夜眠りたい、そういうところからショートステイを利用されております。そして、痴呆の方だったり放尿があったりすると、個室でないと対応が難しいというのが実態であります。
ところが、その個室が一日二千円の自己負担というのがこの十月から導入をされてまいります。そうすると、在宅の負担がふえるということと、使いづらくなる。特にショートステイの場合ですと、介護度四の方、五の方、今例えば、二月ですと二十八日だから何とかいけるけれども、三月は三十一日あるから、だからおふろを減らしていこうというような、そういう形で何とか介護保険の枠内で調整をしておられるぎりぎりの方、その方たちが、自己負担がふえることによって在宅生活の破綻につながりかねないというふうに思います。
したがって、これは決して施設の負担と在宅の負担の差の問題ではなくて、在宅の重度介護をぎりぎりで支えている方に対しても大きな負担につながるということをぜひ知っていただきたいですし、そのことが、今在宅で重度を抱えている方に対して非常に不安な要素になっています。
ぜひともこれは、在宅の実態はまだ調査をされておりません。ショートステイを利用されている方の経済状態、その方たちが実際ショートステイを使うことによって何を支えにしているのか、それが調査されていない中で、このまま黙って導入されることに対しては、大きな不安を与えるというふうに私は思います。せめてその実態を調査して対策をとるというときまで、実施は延期すべきではないかというふうに思います。
今質問いただきました点に関しては、今の在宅のサービスの利用者が、今申し上げましたような点に対して非常に不安を持っているということで、お答えにかえさせていただきたいと思います。
○山井委員 ありがとうございます。
どういうふうに制度が変わるのかということで、今の利用者の方々の最大の疑問は、今受けているサービスが受け続けられるのかどうかというようなことでもありました。
次に、池田参考人にお伺いをしたいと思います。
先ほどのお話の中で、この九ページ目で「介護保険は社会保険であり、社会福祉ではない」「すべてを抱え込めば、介護保険は財政的に破綻する」ということをおっしゃっておられます。確かにこれは、給付を抑制するという意味において、どこまでを保険で見ていくのかというのは国民的合意の議論であると思います。
そこで、実は私、今回の法案で一つ腑に落ちませんのが、今まで税金でやっていた老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業、そしてもう一つ、在宅介護支援センター運営事業を今回介護保険に取り込んで、大体介護保険の三%、二千億円ぐらいを取り込むということで、介護保険の給付を抑制するという話とはっきり言って正反対の方向性じゃないかなと思うんですけれども、この点についていかが思われるか。
もう一点は、最後に池田先生が、予防訪問介護や介護予防、入浴介助とか、ああいうのに関しては懐疑的であるということをおっしゃいました。
この二点について、また、ほかの点でも言い残されたことがあったら、御指導いただければと思います。
○池田参考人 まず第一に、九ページの図を見ていただきたいんですが、今後の介護保険の行く末、少なくとも私が六十五になるときまで介護保険はもってほしいんですよ。そうすると、すべてを介護保険に押しつけたら、介護保険は残念ながら崩壊します。
そこで、九ページの下に「支援の順序としての補完性原理」という言葉があります。これはサブシディアリティー、地方分権でよく使われる言葉でありますが、社会保障でも使われます。まず本人が努力する。本人の努力にごく自然に家族や友人や近隣が手を差し伸べる。それでも自助、互助では問題が解決できないという大きな問題になったとき、いわばシステム化された自治組織の支援が行われる、これが共助。それでもカバーできないときに最後に行政の支援、すなわち公助。この組み合わせがいかにうまくできているかということが、実は社会保障制度の本質的な問題なんです。すべてを公助に求めるならば、今の税金は十倍以上にしないともたないでしょう。すべてを自助に求めたら、自助できない人が破滅していくというのはわかり切ったことなんです。
これを介護保険に当てはめると、例えば、さっき食費の問題とかそれから家賃の問題が出ていましたよね。でも、衣食住というのはだれだって自助の世界なんです、これは。自助できない方については、では周りでみんなで助け合おうという互助があるわけですね。それでもだめな場合は最後に公助が発動される。だから、例えば家賃だとか食費というのを共助や公助ですべて持ったら、みんな自助努力しなくなりますから、財源が途方もなく膨らんでいくということなんです。それでいいんですかということなんですよ。
だから、さっき見坊委員が言われたように、自分が頑張れるというところはどこまでなのか、周りが助け合うということは地域でどこまでできるのか。介護保険はみんなが出し合うお金を使うわけだから、その範囲内でどれだけ合理的にやるかということ。それでもカバーできない部分については公助で、これはある意味で選別的にならざるを得ません。この仕組みを考えてほしいということなんです。介護保険が社会保険だということ、これが忘れられているんじゃないかと思うんですね。
それからもう一つ、制度を情緒で語ってはならないということです。必ず裏づけがなきゃだめだということなんです。
そこで、では、先ほど山井委員の方から言われた地域支援事業。三%というのは、介護保険のいわば財源の三%を地域支援事業に持ってこれるわけであって、それ以外に公費をどれだけ突っ込んだっていいわけですよ。現実に、今例えば多くの自治体で、介護予防・地域支え合い事業の中で生きがい支援のデイをやっていますよね。あれは幾らぐらいかかっているかといったら、とんでもないお金がかかっているわけですよ。何の役にも立っていないわけです。あの金を地域支援事業に突っ込めばいろいろなことができる。それはすなわち基礎自治体、保険者がどこまで知恵を絞るかということ、そこが今一番問われていることだし、実はそこのところをもっと国会で議論をしていただきたいなという気が私はいたしております。
いずれにしても、こういうことじゃないでしょうか。
介護保険、社会保険というのは、一定の前提のもとに、一切の選別なく給付をするということなんです。だから、家族があろうがなかろうが、身体介護サービスは提供されるんです。金持ちであろうが低所得者であろうが、みんな特別養護老人ホームに入れるんです。これが介護保険でしょう。
ならば、おかしいのは、家事援助は家族がいるのはやってはいけないというのは、これはもともとおかしいんです。こんなのは保険原理に合いません。それは、家族がいようがいまいが、家事援助は介護保険で認定されている人すべてに提供すべきなんですよ。しかし、そうなったらどうなるかということなんですよ。そうなったら、恐らくとんでもないモラルハザードを起こすのは間違いないわけです。
ならば、考え方は二つしかありません。つまり、要介護二以上の重度については家事援助を保険給付とするという一つの整理の仕方があります。もう一つは、家事援助を全部介護保険から引っ張り出して、これは地域支援事業に置いて、軽度の方も重度の方も必要に応じて提供するというやり方もあるわけですよ。そこのところがごっちゃになっているものですから、言ってしまえば、いわば今度の介護保険の改正の中身が非常に混乱した議論になっているのではないかというような気がいたします。
ちょっと御質問からそれたかもしれませんけれども、お許しください。
○山井委員 限られた時間になってしまいましたが、服部先生にもう一度御質問したいと思います。
三つちょっと欲張って聞きたいんですが、一つは、先ほど服部先生も少しおっしゃったように、今回のメニューは新しく加わるのは筋力トレーニングぐらいではないか、そもそも新予防給付という大改革をする必要があるのかということをおっしゃったのですけれども、そのことについてが一点。今回の改革は今までの制度の延長線によりできないのかということですね。
二番目は、厚労省は、この改革がうまくいけば悪化が防げて給付の伸びが減るということをおっしゃっているわけなんですけれども、家事援助の制限等を含めて、これで給付が減るのだろうか、ふえるのだろうかという点、二点目。
三番目は、家事援助の問題点も指摘されておりますけれども、その中で、家事援助がお年寄りの能力を低下させたという批判もかなり強く出ているわけなんですけれども、その三点について、済みませんが、服部先生、よろしくお願いいたします。
○大村委員長代理 時間がなくなってきましたので、恐縮でございますが、簡潔にお願いいたします。
○服部参考人 まず、給付に関することですけれども、要支援、要介護度一の方は、人数は半分ですけれども給付は二割だけです。それを全部なくすわけではありませんし、筋トレに関してもそれなりにお金をつけていくというふうになりますので、今回、予防給付を入れたことによって介護給付が大幅に減るということはないというふうに私は計算をしております。
むしろ、今回の介護保険の給付というのは、二五%の施設の方に給付の五二%が行っているという実態があります。したがって、重度の方を在宅で見ることができるシステムにするということ。例えば介護度六、介護度七、こういうものを設立することによって、これをやったとしても、在宅のサービスの利用率に関しては、今五〇%も利用していないという実態があります。先ほどの一人当たりの利用率を見ていただければ、このことで在宅に暮らし続けることができる。そうすると、施設をつくらなくてももともと家があります、ベッドを買わなくてもお布団があります、そういうような形で総体としての給付が減るというふうに私は考えております。
また、今までの中で、家事援助ということに対して、これが悪化をさせたというふうに言っておりますけれども、厚生労働省も、生活支援が悪化をさせたという科学的データはないというふうに言っております。むしろ、要支援、要介護度一の方はサービスの利用率が非常に少ないという実態がございます。サービスをそれほどぜいたくに利用している実態はございません。
それから、給付をケアマネジャーが非常に掘り起こしたから、その結果としてサービスの認定、給付の認定が多いというふうに言われておりますけれども、私がいる渋谷区というのは今一七・三%の高齢化率で、日本の一九・五%より非常に低い高齢化率です。そして、認定率というのは、一八・四%の認定率でございます。
私のいる渋谷区は、一人たりとも居宅介護支援事業所に訪問調査を委託しておりません。では、この委託をしていないところの認定率が低いのかというと、そんなことはございません。一人も委託をしていない市町村というのはほかにもありますので、具体的なデータを比べていただいたらば、それは、その地域の高齢者の人数、またはサービスに対する在宅の介護の家族との関係性、または介護に対する考え方、そういう総体で私は認定率または利用率が変わってくるものだろうというふうに考えております。
例えば渋谷区に関しては、グループホームが一個もありません。そういう各地域のサービスの違いというもの、だからこそ標準化ができないんです。生活というのは標準化できません。介護保険を利用されている方は、六十五歳と九十五歳の三十年の年齢の違いがあります。住んでいる地域が違います。その方の家族関係、住まい、全部違います。だから標準化できない。したがって、その人の生活をどうするかということで、一人一人に合ったケアプランというのが非常に大切だというふうに思います。その根幹が今回の介護保険で揺らぐことがあったとすれば、そこにこそ、介護保険制度に対して今保険料を払っている方からの信頼性が失われるのではないか、それを私はむしろ危惧しております。
どうぞ、今の地域の実態、在宅介護の現状ということを知っていただいて、審議を続けていただきたいと思います。
ありがとうございます。
○山井委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一言おわびを申し上げたいんです。
本当でしたら全員に質問をさせていただきたかったんですけれども、中田参考人さんのこの資料は、非常に説得力があって、私も心を打たれました。また、山口参考人さんは、私も十数年前から御調町のことは本でも読んでおりまして、まさに日本の介護予防のモデルが御調町だと思っております。また、見坊参考人さんからも介護予防のことももっとお伺いしたかったですし、池尻参考人さんからも自己負担のアップのことをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間が足りませんで、申しわけございませんでした。
どうもありがとうございました。
162-衆-厚生労働委員会-13号 平成17年04月06日
介護保険法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号)
◇大臣がホームヘルプの現場を見ての感想
◇新予防給付について
・ホームヘルプがどのように変わるのか
・筋力トレーニングについて
◇データの解釈と提示方法について
○鴨下委員長 次に、山井和則君。
○山井委員 それでは、これから一時間半にわたりまして、尾辻大臣そして西副大臣に質問をさせていただきます。非常に基本的な、そして根本的なことを質問していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いを申し上げます。
冒頭に少し私の思いを申し上げますと、実はきょう、尾辻大臣と西副大臣には最近出した本を先ほど差し上げさせていただいたんですが、私、もともと議員になる前は高齢者福祉の研究者でありまして、そもそも、祖母が二十年間の寝たきりの末に亡くなったということから介護問題に関心を持ちまして、学生時代は虐待を受けた子供たちの福祉施設でもボランティアをしておりましたが、二十七歳のころからは、ずっと高齢者福祉中心に、大臣も鹿児島でいらっしゃいますが、例えば熊本の老人ホームで一カ月実習をさせていただいたり、全国各地へ行きまして、アメリカの老人ホームも一カ月行きましたし、イギリスの老人ホームも三カ月実習をしましたし、デンマーク、ドイツ、スウェーデンには二年行きましたし、日本各地の在宅や老人ホームの現場でも、ボランティアや実習をしながら勉強をしてまいりました。
その中で、やはり、終わりよければすべてよしというけれども、人生の最後にどんでん返しが待っている。お年寄りも非常に苦しんでいるし、また介護されている方も非常に苦しんでいる、その割にはなかなかこういうのが国政の議論にならないということで、私ももどかしく思っておりました。それで、全国を回ってこの介護の問題を訴えてきまして、その中で私は、介護保険の創設が必要だということを、本にも書きましたし、講演でも年間百回ぐらい、議員になる前は全国を回ってまいりました。一九九三年とか四年、今から十年前のことであります。
当時は、介護保険といってもなかなか理解がなくて、やはり福祉は税金じゃないかという反発が非常に強かったわけです。その中で、私は、いや、違う、介護の社会化が必要だ、そしてやはり、必要なサービスを選べる、できる限り、望めば在宅で暮らせるようにする、そのためには介護保険が必要なんだということを新聞にも書きましたし、本にも書きましたし、また多くの講演でも訴え、また大学の講師としてもそういう授業をしておりました。
しかし、当時の議論も御記憶かと思いますが、非常に反発も強くて、その結果、私は多くの友達とも仲たがいをしたりしましたが、私はその結果、一つ心に決めたのは、私もここまで、介護保険が必要だ、日本を安心して年をとれる社会にするためには介護保険が必要だと言った以上は、私なりの責任のとり方で、何としても議員になって、五年後であろうが、十年後であろうが、五十年後であろうが、やはり介護保険を導入して、日本は安心して年を送れる国になったなと。日本からスウェーデンや外国に視察に行くのではなくて、世界じゅうの福祉関係者が、最もお年寄りを大切にしている国は日本なんだ、苦しい戦争を経て本当に御苦労されてきたお年寄り、人間を人生の最後まで一番大切にする、そういうシステムをつくっている国は日本なんだと。エコノミックアニマルという批判も日本にありましたが、そうではない、人間を大切にする国日本、そういうふうに海外から日本に視察に来てもらえるような社会をつくりたい、そのために議員になりたいと思って、私は政治活動に入りました。
本当は五年前の導入のときに国会議員になりたかったんですけれども、力不足で一回目の選挙は落選をしまして、創設のときには間に合いませんでした。しかし、おかげさまで二回目の選挙で当選し、今回の五年目の見直しでこういう質問の機会を持たせてもらうことができました。そういう意味では、私は、偉そうなことを言うことになるかもしれませんが、やはり推進した人間の一人として、ライフワークとして、人生をかけて、この保険を導入してよかったんだと、一〇〇%とは言いませんが、多くの人から思ってもらえるような介護保険に改善し、守り、育てる責任があると私は思っております。
それで、そんな中で、きょうは第一回として、今回の新予防給付の部分について御質問をさせていただきたいと思います。
要介護一、要支援、二百万人のうち、約百五十万人が新予防給付になるというふうに今までから答弁でもいただいております。しかし、これはどうなんでしょうか。新予防給付になる、予防重視型システムになる。これでお年寄りにとってよい方向に行くんでしょうか。どうなるんでしょうか。
この法案、確かに、予防重視に転換する、あるいはむだな部分をカットしていく、そして持続可能な介護保険制度にしていく、そういう趣旨には私は賛成であります。やはり、持続可能性をつくっていくためには、むだな部分はカットし、不正な部分はカットせねばなりません。そして厚生労働省さんも、今回の予防重視システムに転換すれば一〇%ぐらい介護が悪化する人が減って給付も減るんだということをおっしゃっておられます。
でも、本当にそうなんだろうか。筋力トレーニングを初めとする介護予防、趣旨としてはわかります。効果がある人も当然あるでしょう。ただし、それを全国的に一律に、また家事援助に制限を加えながらも大幅にやっていくことが本当に正しいのか。また、それとともにきょう質問をさせていただきたいのは、そのかじ取りが、方向転換が正しいと足る検証、モデル事業、エビデンスはあるのか。そういうところが私にとっては非常に不明確であります。
最初にちょっと、私も十年ぐらい前からホームヘルパーさんに同行して、お年寄りの家を時々回らせてもらっておりますが、今回も行ってまいりました。ぜひとも要介護一、要支援の方のイメージを感じていただきたいと思いますが、(写真を示す)この男性の方は、八十五歳、昨年半年間入院をされていたんですが、詳しくは言えませんけれども、要介護一で、一回二時間半のホームヘルプを週に三回受けておられます。一時間半は買い物を兼ねてヘルパーさんと一緒にリハビリで歩いておられます。残り一時間は洗濯、掃除、調理などであります。御自分では、保険のお世話になるのは申しわけないからできるだけリハビリをやって元気になりたいということで、自宅に筋トレマシンまで買っておられるぐらいです。要介護一の八十五歳の男性の方です。
次に、この方は八十一歳の女性の方、要介護一。週に二回ホームヘルプを一時間ずつ受けておられて、買い物と調理をしてもらっております。やはり腕や足が弱っておって、なかなか一人では調理ができないということであります。
最後のこの女性の方はひとり暮らし。今言っているのは三人ともひとり暮らしであります。八十一歳で、要支援、週に一度一時間のお掃除などのホームヘルプを受けておられます。本当は、上限はもっと高いから週に二回でも三回でも受けられることは受けられるかもしれないんですけれども、それでは甘えることになるから、しかし自分は、去年お掃除をされているときにけがをされてしまって、そのこともあったのでお掃除は多少は手伝ってほしい、それで週一回ホームヘルパーさんに来てもらえるのが非常に楽しみだと。それで、なかなか、デイサービスとかそういう集団は苦手だということをおっしゃっておられます。
要支援、要介護一のうちの大体半数ぐらいがひとり暮らしで、半数ぐらいが八十歳以上、そういうイメージになっております。
そこで、まず第一問、尾辻大臣にお伺いします。先日、お願いしましたところ、早速、西副大臣とともにホームヘルプの現場に行ってくださったということでありますが、どのようなお年寄りのところに行かれて、どのような感想をお持ちになられましたでしょうか。
○尾辻国務大臣 先日、先生のお勧めもいただきましたので、西副大臣とともにお二人の方の自宅に訪問をさせていただきまして、訪問介護をちょうど受けておられる状況を拝見させていただきました。一言で言いますと、大変有意義であったと感じております。
まず、一人目の方は八十四歳の単身の女性の方でございまして、要支援の認定を受けておられます。買い物、掃除の訪問介護を週一回、一回当たり二時間という方でございます。それから、配食サービスを週二回利用しておられました。この方は大変お元気な方でありまして、御自身はもうそこまではと言っておられましたけれども、友人の方はまだ海外旅行をなさる方もおられる、それから傍らに英語の辞書が置いてあるような方でございました。本当にしっかりした、大変お元気な方でございました。
それから、二人目の方は七十八歳の単身の女性でございました。この方も要支援の認定を受けておられました。ただ、要介護一から要支援の方に改善されたという方でありまして、お話を伺っておりましたら、この方も大変楽しい方でありまして、つい、掃除をしようと思って高いところに上っていたら、高いところへ上っているというのを忘れていたのよねと言って、おりるときに骨折してしまったと、笑いながらそんな話をしていただいた方なんですけれども、そんなことで、多分、一遍要介護一になられ、さらに今やまた元気になられて要支援の方に改善しておられる方だと思いました。この方は、買い物それから掃除、調理の訪問介護を週二回、これも一回当たり二時間という方であります。それから、配食サービスを週一回、こちらの方は配食サービスは週一回受けておられました。それから、骨折されたということなんだろうと思います、介護用ベッドの貸与も受けておられました。
いろいろ感じたことはあるのですけれども、一つだけ申し上げますと、このうちのお一人の方、週一回買い物のサービスもしてもらっておられる。ホームヘルパーさんだけが買い物に行って帰ってこられるということでありましたから、そのことだけを見ると家事代行にも見えるのですが、ただその週一回の買い物で、あと残りの日は全部自分で調理しておられる。そういうふうに見ますと、その一回のことを家事代行とかなんとかという話ではないな、やはり全体を見てどういうふうに判断するかというのが必要なことなんだなということを、いろいろなことを感じたのですが、一つ申し上げるとそんなことも感じて帰ってまいりましたということを申し上げたいと存じます。
○山井委員 行っていただき、ありがとうございます。そしてまた、今大臣がおっしゃったことというのはまさにそのとおりであって、週一回入ることによってその方の生活全体を支えられる面がある。冷蔵庫の中で、食事をちゃんと食べておられるのだろうかとか、しんどいところはないですかとか、そういうところも含めて、また顔色が悪いのじゃないかとか、いろいろなことで変化を事前に察知することができる、こういうのも予防効果であると思います。
ただ、ちょっと気になったのが、非常にお元気そうな方ということを何度もおっしゃっておられたので、それが平均的な像かなという気が正直言っていたします。
では、次にお伺いします。
その方は、介護保険改正になると新予防給付の対象になるわけですが、どういうサービスを受けられるようになりますか。
○尾辻国務大臣 今気になると言われたことの部分で申し上げたいと思います。私は帰りに、私の方が元気をもらって帰りますと申し上げたので、大変お元気そうでよかったなという思いがつい込められておりまして、決して他意があって何かそこの部分を強調したつもりも全くありませんで、皆さんお元気なことはいいなという、その思いを込めて申し上げただけのつもりでございます。
今のことでありますけれども、先生にこれを申し上げるのは釈迦に説法みたいな感じになりますが、まず今回導入します新予防給付の基本的な私どもの考え方を改めて申し上げておきたい……(山井委員「余りそのあたりはいいですから」と呼ぶ)もういいですか……(山井委員「どんなサービスが受けられるかということを」と呼ぶ)
そのことだけで言いますと、利用者の方の御本人の今持っておられる能力というのを最大限に生かすように、利用者も含め専門家がよく話し合いながら、その人の個別の状況に応じて最も適切なサービスを、その現場においてケアマネジメントを通じて提供するということでございますので、私も帰りに、現場にいろいろな人が行っておりましたから聞いたのですが、きょう受けておられるサービス、これが今度変化するのかと聞きましたら、一言で言うと、いや、変化はしません、だからこのサービスはこのまま受けていただけるはずであります、こういうふうに現場で私も聞いて、答えを聞いたということだけを申し上げたいと存じます。
○山井委員 これは割と重大な発言ですが、見直しにならない逆の根拠は何ですか。というのは、似たような方は全国に非常に多いと思うんですが、原則家事代行はやらないとか厚労省さんの文書には書いてあるのですけれども。
○尾辻国務大臣 先ほどの御答弁の途中で申し上げましたけれども、現場において適切なケアマネジメントのもとサービスを提供されていた、この判断でございますから、私が見せていただいたというのは、極めて適切なサービスが行われている、それであれば今度の見直しで変える必要があるものではない、こういうことを言ったのだろうというふうに私は理解をいたしております。
○山井委員 ということは、余り抽象的な話をしてもしようがありませんが、全国で今おっしゃったようにケアプランが適切に今までから立てられているというようなケースにおいては、新予防給付になってもサービスは基本的には変わらないということですか。
○尾辻国務大臣 そこで、最初に言いかけたことを改めて言わせていただきたいと思います。
今回導入する新予防給付の基本的な考え方でございますが、本人にできることは可能な限り自分でやってもらうというこの考え方が基本でございます。本人の生活能力を引き出すためのサービスを適切に組み合わせて、手助けをする場合もできる限り本人の持っておられる能力を生かす工夫をしながら行う、これが介護保険の基本理念でありますし、そうした自立支援を徹底するものである、この考え方であります。
この考え方に照らすと、先ほど申し上げたような私が見せていただいたサービスというのはまさにそのとおりでありますから、何も変化するものではない、こういうことでございます。
○山井委員 国会審議の中で私が大臣にホームヘルプの現状を見てきてくれとお願いした以上は、今の日本の現状の象徴的あるいは代表的なところを当然見に行ってもらったというふうに私は理解をしておりますが、ということは、日本全国のそういう今適正に行われている部分は新予防給付で変わらないと理解してよろしいですね。ちょっと確認しておきます。
○尾辻国務大臣 私もできるだけ多くを見たいと思いましたし、また多くの現場の方の御意見も伺いたいと思いましたので、実は一昨日はホームヘルパーさんたち五ないし七人ぐらいの方に大臣室に来ていただきまして、一時間半ぐらいいろいろな現場の方のお話も伺いました。私が見せていただいたもの、これは二人だけでありますけれども、それだけのヘルパーさんたちが来られて、随分長い経験をお持ちの方々でありましたから、その方々のお話も伺いました。基本的には別に変化のあるものではないなというふうに思いました。私が現場で見せていただいたものと皆さんがおっしゃる話というのが変化するものではないなと思いましたということをまず申し上げたところであります。
その上ででありますけれども、先ほど申し上げた基本的な考え方は全然変わらないわけでありますから、基本的な考え方に沿ってやらせていただく、それであれば今まで適切なサービスが行われてきたものが変化するものではない、こういうふうに考えるところであります。
○山井委員 ところで、お伺いします。
ということは、今日本全国で適切に行われていないケースは過半数なんですか、それとも一部なんですか、その現状認識はどうですか。ちょっと抽象的な話になりますが、大臣、お聞かせください。
○尾辻国務大臣 それはまさに個別に判断するものでありますから、ここで私がその割合をと言われて一概にぱっと割合を言えるものではありませんけれども、もちろん適切でないものもあるからこの際そういうものを適切なものに変えるために見直そう、こういうことでございます。
○山井委員 ということは、適切なところは今までどおりでいいのだったら、何でわざわざ新予防給付とかこんな大がかりな改革をするのということになってくるのですよ。適正じゃないところを一部ピンポイントで指導したらいいわけで、こんな根本的な改革をしなくていいわけですから。
そこで、大臣、適切でない部分というのは、やはり適切でない部分が大部分だったら改革は必要ですよ。でも、一部だったらその一部だけを対象にしたらいいじゃないですか。というのは、適切なホームヘルプやケアマネをやって適切なホームヘルプを受けている人も、今現場はサービスがどう変わるのかといって強い不安に陥っているわけですよ。大臣、答弁をお願いします。
○西副大臣 お答え申し上げます。
この五年間の実施を踏まえまして、今回の見直しにおきましては、先ほどから御議論のありますように、予防給付の対象者の見直し、軽度の人に対するサービスの見直し、それからケアマネジメントの見直しによる掘り起こしの防止と適切なケアプランを作成するという、この三つの大きな方向性を通じて制度全体を予防重視型へと転換する、こういうことでございまして、このことによってマネジメント等の徹底も図っていく、こういう大きな方向性を打ち出したところでございます。
○山井委員 全然答弁になっていないんですよ。
私が聞いているのは、適切でないケースが多いからこういう新予防給付をしたのかどうかということで、多くの場合適切でうまくいっているんだったら、こんな転換する必要ないと思うのですが、大臣、そこはどうなんですか。全国的に適切でないところの方が多いんですか、それとも適切でないところは一部なんですか。その現状認識によってこの法改正が必要かどうかというのは変わってくるんですから。どっちですか、それは。
○尾辻国務大臣 これは御説明のときにいつも申し上げておりますけれども、軽度者の方の方が非常に急増しておる、人数がここでうんと大きくなっているというのは、これはもうそのとおりでございます。その人数が大きくなっている、ここの対策を早く手を打った方がいい、そういうのが考え方だと御理解いただければと思います。
したがって、申し上げますと、軽度者が急速に増大をしておる、これはお認めいただけるとおりであります。一方で、その予防の効果が必ずしも上がっていないと……(山井委員「私の質問に答えてください」と呼ぶ)ですから、その軽度者の方の数が異様にふえておる、急増しておる、ここの軽度者の方の予防ということが必要であるということが、今回見直しを、今の部分の見直しを申し上げておる理由でございます。
○山井委員 私はその質問はしていません。
適切な場合はケアプランを見直されないと言うので、そういうケースは今の大部分なのか否かということを聞いているんですよ。不適切な場合は見直されるんですよね。だから、その不適切な場合が、今、全国の、日本の現状の大部分なのか一部なのか、その根本的な現状認識を聞いているわけです、大臣に。
○尾辻国務大臣 そういう表現で、大部分か一部かということになりますと、大部分だとは考えておりませんから、その一方が一部だということで表現すれば、一部である、こういうことにはなります。
○山井委員 私、これは根本的な今の答弁だと思うのです。では、今の現状の中で一部の不適切なケースがあるために全部の制度を変えるんですか。そういうことですか、大臣。
○西副大臣 先生も御存じのように、今、マネジメントの部分で、特に、やはり九割方がサービス事業所併設の体制になっております。今回、そのことを改めまして、マネジメントをこの介護予防という形に徹底するために制度全体を変えていくということが、介護予防に関する部分の今回の改正の考え方ということになります。
○山井委員 ちゃんと質問に答えてくださいよ。
不適切な部分は一部だと言うから本当に一部ですかということを聞いているわけであって。大臣、ということは、一部不適切なものを変えるために根本的に百五十万人を新予防給付に変えるという大改革をするということになってしまうわけですよ。何で全体を変えるんですか。大部分の適切な部分は今のままでいいじゃないですか、そんな混乱させなくても。大臣、答弁お願いします。
○尾辻国務大臣 介護保険法のこの五年間の実績を見ますと、再三申し上げておりますように、軽度の要介護者の増加が多い。これらの軽度者については、これもよく言われることでありますけれども、事業者により掘り起こしが行われているといったような声があります。あるいは、こうした軽度者の状態の特性を踏まえていない不適切なケアプランによりサービスが乱用されておるということも言われております。そういうことで、結果的に軽度者の予防が必ずしも上がっていないということが指摘をされておる。
したがって、申し上げているのは、そういう不適切な例があります、その不適切な例がありますから、それは、今先生がおっしゃるように全体か一部かという話をすれば、全体的にとか、非常に多くの大部分がとかというふうには申し上げませんから、そういう表現ですれば一部という表現になりますけれども、一部にせよこういうことがある、その辺のことを見直さなきゃいけないでしょうということを申し上げておるわけであります。
申し上げたように、まず軽度の要介護者の増加が非常に大きい、この大きな数の部分をどうしても着目せざるを得ないということにはなろうかと思います。
○山井委員 全く理解できません。
一部に不適切なケースがあるから、トータルの制度を根本的に組みかえる。そうしたら、多くの適切にやっているところは大迷惑じゃないですか、そんなことで制度を変えられたら。本当に全く私は理解はできません。
それで、鹿児島のデータの話に行きます。
これは一ページですね。資料をきょうはたくさん、こっちが一ページから十五ページ、A3の方が十六ページから十七ページとなっております。
大臣は軽度者がふえているのが問題だとおっしゃいますが、でも、大臣はもう一方で、適切にほとんどの、多くのケアプランが行われていると言うのですから、別にそれは、保険制度である以上、適切な人が申し込んで適切なサービスを受けるというのは、これは一つの、ある意味で当然なことなわけですから、必要な人が受けることは私は当然オーケーだというふうに思っております。
それで、もう一度、大臣、大事なことなので確認したいのですが、そうしたら、大部分の適切なケアプランは新予防給付に入っても変わらないということでよろしいですね。
○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、先ほど基本的な考え方を申し上げました。その考え方に沿う限りにおいて当然変化するものではない、こういうことでございます。
したがって、先生がおっしゃっておられるように、適切なケアプランのもとに適切に行われてきたサービスが、これが変化するものではございません。
○山井委員 まあ抽象的で、適切なケアプランで行われてきたものが変わるものではないということなんですが、私が心配するのは、適切なのは一割だったとか後で言われたら困りますからね。適切なものは、先ほどの大臣の答弁だと大部分ということでいいわけですね。大臣先ほどおっしゃったこと。
その適切な部分はどれぐらいですか。もう一回、答弁お願いします。
○尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、不適切なものが一部だという表現にさせていただいておりますから、それで御理解をいただきたいと存じます。
○山井委員 改めて聞きます。
ということは、不適切な部分が一部。不適切な部分が変わるということは、適切な、一部以外の残り大部分の方は変わらないということですね。
○尾辻国務大臣 新予防給付におきましては、家事援助についても一律の利用を制限するものではなくて、自立支援の視点から見直すことを基本に置いておる。これは先ほど来申し上げておる基本の考え方でありますので、これを踏まえてそれぞれ個々の判断になるということではございます。
○山井委員 いや、個々の判断ではなくて、先ほど、不適切な部分は直すけれども適切なケアプランは直さないということと、その不適切な部分は一部だとおっしゃったわけですから、適切な大部分の残りのケアプランは新予防給付に入っても変わらないということですね。
○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、新予防給付においては、各それぞれのケースについて判断をされるわけでございますけれども、家事援助の必要性につきましても個別に判断するということは、これはお答え申し上げておるとおりでございますから、最終的には個別に判断されるということを申し上げるところでございますが、その上で、必要ある場合には自立支援を推進する形で提供することになる。提供することになるということでございます。
○山井委員 本当に全く理解はできません。繰り返しますが、一部不適切なケースがある、その一部のために根本的に制度を新予防給付につくりかえていく。それでヘルパーさんもケアマネさんも現場のお年寄りも、今大変不安になり、大混乱になっている、そういう状況。なぜ一部のために根本的に制度をつくりかえるのか、私にはわかりません。
それでは、改めて確認しておきますが、ですから、大部分は適正に行われていて、その一部のためだけに今回の改正をやるという趣旨と受けとめました。
それでは次に、この「かわらばん」ですね、前回の阿部議員が問題にされたものですけれども、訪問介護の利用回数が多くなるにつれ、要介護度が悪化するデータもということを、介護保険課、配っております。これは大臣のおひざ元の鹿児島のデータであります。昨日も質問取りのときに言いましたが、これは、本当にたくさん利用したら介護が悪化したと、大臣、読むんですか。というのが、この何回利用していますかという調査をやったすぐ後ぐらいに、これは認定の変化をやっているんですね。
実は私、こだわりますのは、自分で言うのもなんですけれども、私、もともとは酵母菌の研究者だったんですよ。酵母菌の研究者だったんです、学生時代は。それで論文をたくさん書いていたんです、対照実験をやって。ですから、データの見方というのは多少こだわりがあるんですよ。このデータをどう分析するかというと、ああ、要支援、要介護一の人の中でも重い人と軽い人がいて、重い人はたくさん利用していたんだな、その人は当然次の認定を受けたら介護度は悪化するわなと、それだけの話なんですよ。それが、なぜ因果関係が逆転して、利用回数が多くなったら悪化する、こう書くんですか。症状が悪化したからたくさん利用したということじゃないんですか。
これは、きのうの質問取りのときに鹿児島県にも確認してくださいと言いましたが、そこまできっちり調査をされているんですか。
○尾辻国務大臣 今お話しいただいておりますデータでございますけれども、これは鹿児島県が平成十五年度に行ったケアプランチェック体制整備事業報告書でございます。その報告書の中に出てくるものでございます。
その報告書で何て書いているかというと、これは報告書で書いているということをまず申し上げるんですが……(山井委員「それはもういいです、読みましたから。厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)まずそこのところだけはお聞きをいただきたいと思いますけれども、報告書で……(山井委員「それはもういいです、いいです。時間のむだですからいいです。いや、厚生省の判断を聞いているんです」と呼ぶ)ですから、これは鹿児島の、念のためやはり読ませていただきますけれども、要介護度が要支援、要介護一のものに限って見ると、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られると鹿児島県が分析をした、その鹿児島県が分析をしたものを御紹介申し上げているということでございます。基本的にそういうことでございます。
ですから、要支援、要介護一といった軽度の方については、訪問介護利用回数が多いほど要介護度が悪化する傾向が見られたが、要介護二から要介護五までの中重度の方については、訪問介護利用回数と要介護度の変化について、要支援、要介護一の軽度の方のような明確な関係は見られなかったということを述べておるところでございます。
これが、報告書にそう書いてあるということを御紹介申し上げておるということでございます。
○山井委員 私の質問にもう一度答えていただきたい。厚労省は、そしてこのデータをどう分析しておられますか。
○尾辻国務大臣 当然、鹿児島のそういう分析を御紹介申し上げておるわけでございますから、厚労省としても、その分析に一理ある、必ずしも間違った分析ではない、こう判断いたしましたので御紹介申し上げた、こういうことでございます。
○山井委員 ということは、この「かわらばん」に書いてあるように、保険給付は軽度認定者にどのような効果をもたらしているかということは、大臣、改めて聞きますが、これは訪問介護の利用が悪化を促進したというふうに理解しているんですか。どう解釈しているんですか、厚生省としては。
○尾辻国務大臣 鹿児島県の分析が、先ほど申し上げましたように、訪問介護の利用回数が多い者ほど要介護度が悪化する傾向が見られるという分析でございますから、私どもも、そういう分析がある、またそういう分析の仕方に一理あるというふうに考えておるところでございます。
○山井委員 これは解釈の違いになるかもしれませんが、はっきり申し上げたいけれども、このデータではそんなことは言えません。そこまで言うんだったら、もっときっちり調べるべきです。例えば、要支援の人で二十九回以上利用している人が二人なんですよ。本当にそこまでおっしゃるんだったら、その二人に聞いたらいいじゃないですか、むだで使っているのか、それとも、本当に困って、前回の認定から重くなって使っているのか。全国に配る以上は、それぐらいのことをきっちりすべきですよ。エビデンスが全然不十分じゃないですか。
では、その次の十六ページ、これも前回、阿部議員と山口議員が御指摘されたことですけれども、もう一つ、日医総研の島根のデータであります。これは前回も質問になったので、覚えておられると思いますが、軽度者の状況、右の方ですね、重度化が要支援、要介護一の順番に多いというデータを配っておられます。先日の民主党の部会でもこれを配られました。それで、要支援と要介護一は効果が出ていないというような趣旨の話でありました。ここに書いてあるとおりです。
ところが、先日も同僚議員から指摘があったように、全国の介護給付費実態調査を見てみると、大臣、見てください、要介護一では現状維持が七四・八%、要介護五の次に高いんですよ。悪化も一八%と低いんです。全国調査を見れば、改善度が、悪化が多いのは、要支援と要介護二と要介護三と要介護四の方が要介護一より高いんですよ。もしこの二〇〇三年の介護給付費実態調査からすると、要支援、要介護一の現状のサービスが効果的でないということは言えないわけなんですよ。
なぜ、尾辻大臣、こっちの全国的な調査を配らずに、ごく一部の調査を配っておられるんですか。それと、かつ、死亡の黒いところを入れると、結局、この死亡も悪化の一つの形態だとも考えられるわけですから、そう考えてみると、必ずしも軽度者の方が重度化が多いとは言えないわけなんですね。これも、普通の研究者が見たらこんな結論は出てこないわけなんです。
大臣、この二〇〇三年度の調査から、軽度者のサービスは改善に役立っていないと言えますか、この調査から。見てください、この調査から。
○尾辻国務大臣 先日も御指摘いただきましたので、私も、この両方のデータをどう見るかということで、改めて聞いてみました。そこで、そのことをまず申し上げるわけでありますが、この先生がお示しいただいております十六ページの資料でいいますと右と左になっておりますから、右、左という言い方で言わせていただきます。
まず、右の方の調査でございますけれども、これは、確かに、介護保険法が施行された割と早い時期に、一体どうなっているんだろうということでデータをとられたものでございます。ただ、このデータ、まず人数が七千八百七十八人という非常に多くの方を対象としておられる。それから、二年にわたって一定地域をきっちり調査されたという意味で、この調査はそれなりの意味があるだろう、それなりのというか、結構大きな意味のある数字を示しておるというふうに思います。
左右の関係でありますけれども、左の方は一年の変化でありますから、一年の変化と二年の変化、これは当然違いが生じます。大きく言いますと、大体、要支援者の数が、私が見ましたのは、維持の方が約七割でありますので、その七割の方が二年目にまた七割になるということは、〇・七掛ける〇・七で〇・四九ぐらい。この左側の数字と右の数字というのはそういう意味で余り変わりがないというふうに判断をいたしまして、この右の方の数字といいますかデータを使うことも、申し上げたように、意味があるというふうに判断したところでございます。
それで、死亡のことも言われましたけれども、死亡の原因というのはさまざまでございますから、一概に要介護度の悪化というふうに死亡をとるということはできないと考えておりますので、右の方のこのデータを使うことは、何回も申し上げておりますけれども、意味のあるデータとして使われるものだというふうに理解をいたしております。
○山井委員 私の質問にちゃんと答えてほしいんですが、私が聞いているのは、こちらの全国調査では、要介護一は維持が七四・八%、悪化は一八%ということで、この全国調査からは要介護一のサービスの効果が上がっていないと判断できるかということを聞いているんです。大臣、お願いします。
○西副大臣 お答え申し上げます。
このデータ、先ほど先生御指摘になりましたけれども、普通のトレンドからいくと、要支援、要介護一といった方々は、適切なサービスを利用することによって状態の維持、改善の可能性が一般的には高いというふうに私ども考えておりまして、それにもかかわらず、他の要介護度と同程度に実際の改善度が低くなっているということがこのデータを見てはっきりするんだというふうに考えているところでございます。
○山井委員 このグラフを見て答弁しているんですか。維持が七四・八%で、悪化は二や三や要支援より低いじゃないですか。同程度じゃ全然ないじゃないですか。
○西副大臣 黒いところ、一八のところですが、改善度が低いということそのものが、やはり我々の課題の一つだというふうに考えているということでございます。
○山井委員 でも、これは悪化は低いし、現状維持は多いんですから、そんな偏った物の見方をしてもらったら困りますよ。それによって政策判断が動いているんですから。
大臣、もう一回お聞きしますが、この二〇〇三年の表から見て、要介護一の今のサービスが効果的でないと本当に言えるんですか、二〇〇三年のこのデータから。効果的じゃないから新予防給付と今回おっしゃっておられるわけですからね。その現状認識として、大臣、いかがですか。
○尾辻国務大臣 この要支援とか要介護の方というのは、これは申し上げるまでもないわけでありますが、まさに軽度の方でありますから、改善をもっと大きくしてもいい、そういう数字を示してもいいというふうに私ども思っておりますから、その期待される数字からすると、今現状で示されている数字というのは低いという判断でありまして、したがって、ここに力を入れよう、こういうことでございます。
○山井委員 今、いい答弁をいただきました。期待される数字とはどの程度の数字ですか。それを出してください。どれぐらいだったら十分なんですか、これが低いというのなら。
○西副大臣 指標といたしましては、要介護度が改善するということでございます。
○山井委員 期待された数値より低いと言っているんですけれども、期待されている数値というのはどれぐらいなわけですか、効果の。
○尾辻国務大臣 今お尋ねいただいて、すっと期待される数字がこのぐらいですというふうには申し上げられませんけれども、ただ、こうした数字というのは少なくとももっと高くあるべきだというふうに考えておるというお答えを申し上げます。
○山井委員 そういうのは政策を決めるときの答弁じゃないんですよ、もっと高くあるべきだとか。
改めて聞きます。では、本当に政策を決断するならば、同じような要介護一の人に対して、ほかの厚労省がおっしゃる予防対策をやってみてこれぐらいの数値が出た、それと比べて差があったら有意な差なんですけれども、そういうモデル事業はやっておられるんですか。
○尾辻国務大臣 今お尋ねのことにきっちりしたモデル事業であるかどうかは別といたしまして、今度新しくやります、やろうとしておりますサービスについてのモデル事業は当然やっておるところでございます。ですから、よく言われる、筋トレ筋トレとか言われますけれども、ああしたこと、それから口腔ケアの部分だとか、そうしたモデル事業はいたしております。
○山井委員 大臣、これは百五十万人の人の生活を変えるんですよ。相当きっちりやらないとだめですよ。
今、筋トレの実験とかいろいろやっているとおっしゃいましたけれども、それはこれから質問しますが、公募でやったり、やっている対象がかなり違うんですよ。違う人をやって比較しても、そういうのは研究にならないんですよ。正確なデータにならないんですよ。
では、そうしたら、そちらが介護予防のことをおっしゃいましたので、介護予防の話に行きたいと思いますが、要支援、要介護一の人のうち何%に筋力トレーニングやマシンによる筋力トレーニングが有効と考えておられるんですか。まさに今大臣が筋力トレーニングとかそういうのがあるとおっしゃいましたので、では、どれぐらいの人に有効なんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
新予防給付の対象である要支援者、これは、現行の要支援者はすべてでございます。及び要介護の一の方の七、八割程度という方が該当するというふうに考えているところでございます。
一方、この要支援者のサービスの内容につきましては、それぞれの個人の特性に応じたマネジメントを通じて、現場において多様なサービスの組み合わせでもって決定されるということでございますので、特定のサービスの対象者がどの程度になるかということにつきましては、我々政府として申し上げるということは難しいというふうに考えているところでございます。
○山井委員 一つここにデータがありますが、お配りした五ページ。大田原市では、要支援、要介護一の認定者数五百九十三人の中から、マシンを使った筋力トレーニングが効果的じゃないかという人を当然その筋トレをやる前に絞っていったら、六十三人、一四%だったわけですね。
でも、尾辻大臣、おかしいじゃないですか。先ほど、介護予防をやったらもっと効果が出るはずだと言った割には、では筋力トレーニングや筋力トレーニングマシンが要介護一の人のうちのどれぐらいに適応するんですかと聞いたら、そんなことはわかりませんと。では、これは、筋力トレーニングマシン以外、筋トレ以外でどういう予防があるんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
もちろん、筋力トレーニング、器械によるトレーニングもあるんですが、弾力のあるバンド、ゴム、それからダンベル……(山井委員「これですね。持ってきたんですよ、きょう」と呼ぶ)はい。持ってきていただいておりますが。それから、歩行と体操をする、また有酸素運動を繰り返す、そんなさまざまなトレーニングが考えられます。
先生たくさん持ってきていらっしゃるようですが、そういうさまざまな手段を使ってトレーニングをするというのが運動器による機能の向上という分野の考え方でございます。
○山井委員 例えば、このバンドも買ってきましたが、やっておられるのは筋肉隆々とした男性の人ですよ、言っておきますが。
それと、このセラバンドとかダンベル、今マシンじゃなかったらセラバンドとかダンベルとおっしゃいましたが、その国内のエビデンスというのはあるんですか。セラバンドとダンベルをやって国内で効果が出たというエビデンス。あと、太極拳もですね。太極拳もそちらがおっしゃっていたので、エビデンスはあるんですか。
○西副大臣 お答え申し上げます。
セラバンドの効果につきましては、国内的には結果はございません。ただ、海外ではそういう事例もあるというふうに聞いております。
○山井委員 大臣、よく考えてくださいよ。
先ほど、今までの在宅サービスが効果がない、筋トレとか予防をやったらもっと効果がある、期待される数値が出ていないと言っておきながら、では筋トレマシンはどれぐらいのパーセンテージの人ができるんですかといったら、わかりませんと。それ以外にセラバンドや太極拳やダンベルがあるというので聞いてみたら、国内では効果は検証されていないと。
私、ここに厚生労働省からもらったデータがありますよ。ダンベルに関してはアメリカの高齢者ですね。何で日本で検証して効果を出さないんですか。検証不十分じゃないですか。それと、アメリカのお年寄りが太極拳をやって効果が出たというのも、厚労省が出してきている資料は地域の健康な高齢者じゃないですか。そんな人の外国のエビデンスを持ってきて、日本で効果があるというのは余りにもずさんではないですか。
そういう意味でお聞きしますが、これは本当に、ここに、運動器の機能向上、マシントレーニングは何%の人に効果があるかわからないと先ほど西副大臣言われましたが、弾力あるバンド、ダンベルも国内でエビデンスなし、効果はわからないわけですよね。
そうしたら、お聞きしたいと思います。例えば、やる気のない人にこういう筋力トレーニングなどを誘導した場合と希望者の場合の効果の違いというのは検証されているのか。
また、握力や歩くスピードだけでなく、肝心の生活能力や家事能力がこういう筋力トレーニングで向上しているかどうか、検証はされていますか。
○西副大臣 やる気がある人とやる気のない人というお話でございました。
基本的に、介護予防につきましては、これは利用者御自身の自立に向けた積極的な取り組みがなければ機能しないということでございますので、まず基本的には利用者本人の主体的な取り組み、これが前提だというふうに考えております。したがいまして、本人の意思に反してサービスが強制されるというようなことはもちろんないわけですが、現場においては、専門職の方がケアマネジメント等を通じて利用者に意欲を持ってもらって、そのことによってやっていくということでございます。
○山井委員 ちょっと、副大臣、私は二つ質問しているのに、二つとも答えずにほかのことを答弁しているじゃないですか。ちゃんと答えてください。違うことを答えたら時計とめてもらいますよ、そんなの。
○西副大臣 運動器の機能向上の効果につきましては、握力それから歩行速度といった指標以外にも、市町村における事業、国内外における研究によって、入浴、食事等を初めとした日常生活の動作に関する指標、それから生活の質に関する指標等でも検証がなされておりまして、これらの指標においても有効性は認められているというところでございます。
○山井委員 そのデータをぜひ委員会に出してください。
この八ページに、先日の二十八日、「市町村モデル事業支援小委員会での主な意見」がありました。そこでどんなことが言われているか。ここ八ページから黒線を引いてあるところを言います。全市町村で介護予防をやる場合、皆出席の高齢者ばかりとは限らない、これはこういうことをどうするのか。それと、マシンを用いた場合と用いない場合とに分けてどうなのか、また握力や十メートル歩行速度、血清アルブミン値といった指標だけでなく個々の高齢者の生活機能がどう改善したかというのを調査したらどうか、保健部局による公募よりも、やはりやる気のある人だけじゃなくて一般の人にも声はかけるべきじゃないかということが問題になっているわけですね。
要は、今、副大臣、そこを検証されていると答弁されましたが、今この会議ではそういうところがわからないという議論が実はなされているんですよ。本当に責任を持ってエビデンスがあると断言できるんですか、先ほど言ったことを。エビデンスはもうあるんですか。
○尾辻国務大臣 個々の話は今いろいろ出ておりますけれども、まず大きく言いますと、こうしたことに対するエビデンスがあるかないかということでございますが、ある方がお書きになった論文の中にいろいろ書いてありまして、そういったことをやって何が変わったかというと、全体的健康観が、これは五四・四%から六六・四に二二%改善した。(山井委員「そういうのはエビデンスと言わないんですよ。個人的な感想ですよ、そんなものは。大臣、もういいですよ、それなら」と呼ぶ)いや、これはやはりエビデンスだと思います。ちゃんと書いてあるわけでありますから。
そして、こうした、いろいろ書いてあるんですが、この論文の中の一部を読ませていただきますと、
岩手県のある小さな町で運動トレーニングをした際、二年前にご主人に先立たれた八十二歳の女性が、半年間のトレーニングを終え、終業式で挨拶し、「浮き沈み 八十路の坂を登り来て 光り見出し生きる喜び」という歌をよまれた。八十を過ぎた方が筋トレをやって良かった、これで人生変わったということを言ってくださった。
ということも記述されております。こうしたことがエビデンスだというふうに考えます。
○山井委員 大臣、そのお年寄りの話がエビデンスと言われると、私もうひっくり返ってしまいます。そういうのはエビデンスとは言いません。効果がある人もいるでしょう。でも、政策を判断するためには、何人のうち何人がそういう効果があって、何カ月持続されているかということです。
では、この効果、マシントレーニングは三カ月なんですけれども、三カ月目以降はどうなっていますか。そちらのデータを見ると、資料についておりますこれ、十三ページ、そちらから昨日回答をいただきました。筋力トレーニングを中心とした予防に、長期的な効果について科学的な根拠があると。
世田谷区、三カ月終わってからも四〇%が体操などを続けていた、こういうのを科学的根拠というんですか、それで効果が上がっているかどうか。そんなことを言い出したら、グラウンドゴルフをしている人がずっと健康になっているという話も出てくるわけですし、おまけに、この世田谷区の例は健康な高齢者をもともと調査しているケースですよ。今回の新予防給付とは話が違いますし、エビデンスというのは、この方々が三カ月の訓練を終わった後、半年後、一年後、生活能力がどう向上しているか、要介護度がどう向上しているかまでいかないとだめなのに、体操を続けていたなんて、こういうのは科学的根拠と言わないわけです。
次の川崎市も、約七〇%の事業卒業生が三カ月の筋トレ後も自主トレに参加している。でも、この川崎市も公募の方ですよ、もともとされているのは。やる気のある方です。聞くところによると、広報で集まった方がやっていて、回数を重ねているだけに、今回は七十人の定員に対して応募は四十人にとどまったと。つまり、もう、公募でやったら集まる人が少なくなってしまった。
でも、大臣、わかってほしいのは、新予防給付で皆さんが予防に誘導しようとする人は、こんなやる気満々の人じゃないわけですよ。効果が出るかどうかもわからないわけですね。
それと、もう一つ行きます。この十七ページ、A3の二枚目です。この日医総研のデータによると、大臣、よく見てくださいよ、「階段を二階まであがれますか?」初回三三%、三カ月パワーリハビリをやったら五八・三%まで行ったけれども、また卒業後二カ月たったら二五%、つまり初回よりも悪化している。これは、全体的な傾向を見たら、終了時にはよくなるけれども、その後は悪くなっているわけですね。それで、ここにも書いてあるんです、上に。「パワーリハ終了後の日常生活状況をみると、経過した期間によらず、ほぼ全ての項目について、一度改善した機能が再び低下していた。」
大臣、例えば筋力トレーニングで三カ月後どれだけ効果が継続できているかという調査は、しっかりそちらでされているんですか。
○西副大臣 委員御指摘のように、終了時しばらくすると若干悪化するということは、このグラフのとおりだと思います。それは一般的にはそういうことだと思います。(山井委員「そうでしょう」と呼ぶ)ええ。だから、我々はこれから、要するにこの効果の維持のために、これをフォローアップするために、地域支援事業等とかそういう形で地域で支え合っていくということを、今回介護の中で考えているということでございます。
○山井委員 今の答弁を聞いていたら、まだどうやってその効果を持続できるかもわかっていないわけですね。最初の島根県のデータの話と違うじゃないですか。最初のときには、予防サービスをやったらもっと効果が上がるはずだと言ったけれども、質問していったら、予防もまだどれほど効果があるのか全然わかっていないじゃないですか。
全国のモデル事業、今上がってきていると思いますが、十六年度のモデル事業の報告書、いつ委員会に出してもらえるんですか。それを見て審議したいと思いますが、大臣。
○尾辻国務大臣 今行っております市町村モデル事業の結果の報告についてでございますけれども、モデル事業実施市町村は、事業終了後に各市町村において介護予防重点推進・評価委員会を開催いたしまして、モデル事業の評価を行った上で、事業実績報告書を作成して国に提出することになっております。
この実際の提出時期につきましては、こういった市町村の作業の進捗状況によるものでありますから、進捗状況次第でありますので、今、いつだと言われて明確な時期は申し上げることはできませんけれども、各市町村に対して本年四月十一日までに事業実績報告書の提出をお願いしておるところでございますから、その報告が上がってき次第できるだけ速やかに御報告を申し上げたいと存じます。
○山井委員 今、法案審議が既にスタートしているんです。本来だったら、そういう資料を見た上で法案審議をしないとだめなんですけれども、いつですか、明確に答えてください、それは。
○尾辻国務大臣 まず、委員会審議との関係で申し上げますと、今お願いしておりますのは、法律としての一番の骨格の部分を御審議いただいておるわけでございます。そしてその考え方は再三にわたってお示しをいたしております。
また、いろいろな今考えておるサービスについても、効果が上がるということは、これは先生も否定なさらないものだろうというふうに思います。
ただ、個々にどういうことをやろうかという話でありますと、これは十八年四月からの話でございますから、今それに向けてモデル事業をやっていただいておる。そのモデル事業の結果が上がってきたら報告を申し上げます。(山井委員「いつ出すんですか、それは。いつですか」と呼ぶ)ですから、これは十八年四月に向けてのものでありますから、さっき法案審議との関係をおっしゃったのであえてこんな話をさせていただいておるところでありますが、報告そのものは、上がってき次第直ちに報告をさせていただきます。
○山井委員 いつ出すか明確に答えてください。私、次の質問できませんよ、そのデータがいつ出るかということがないと。今質問しても全然明確な答弁が返ってきていないじゃないですか。いつその資料を出すのか、明確に答弁してください。
○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、データが上がってまいりまして、その解析の時間も必要でございますから、そういうことをしました後でできるだけ早くということしか今申し上げるわけにはいきません。(山井委員「だめです、明確に答えてください、いつか答えてください。これ以上質問できません。今審議やっているんですよ。そのモデル事業のデータが出ないというのはどういうことですか」と呼ぶ)
そこで、先ほど申し上げましたけれども、この具体的な事業の実施というのは十八年四月でございます。それに向けての、私どもは、モデル事業として各市町村にお願いをしている、データをとろうとしておるわけでございますから、今日の国会審議との関係でいうとそういうことになろうかというふうに思います。今、それがなければとおっしゃることについて、私どもの考え方を申し上げたとこ