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介護現場における医療的生活援助行為について

今年8月に「医療的生活援助行為に関する質問主意書」を提出しましたが、10月に再度内容を変えて提出し、その答弁書が国から返ってきましたので掲載致します。

医療的生活援助行為に関する質問主意書(平成16年10月21日提出)

 平成16年8月4日提出の衆質160第39号(以下「前回質問」という。)に対する平成16年8月11日受領の答弁第39号(以下「前回答弁」という。)について、不明な点が多く、また新たな疑問がある。そこで、以下のとおり再度質問する。

一、「爪切り」「軟膏等塗布」「点眼」「服薬管理」「血圧測定」「口腔内かき出し」「褥瘡の処置」「摘便」「浣腸」「坐薬挿入」「吸引器による痰の吸引」「経管栄養の準備・実施」「インシュリン注射」「湿布貼布」「狭心症治療薬貼布」「在宅酸素吸入・管理」「導尿」「カテーテル管理」等の医療行為について医療・看護職員と連携をとりながら介護職員は行ってよいかという前回質問二に対し、「医師法(昭和23年法律第201号)第十七条は医師でない者が医業をなすことを禁止しているが、ここにいう「医業」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある「医行為」を反復継続する意思をもって行うことであると解しているところであり、お尋ねの行為が業として行われる「医行為」である場合には、例外的な場合を除き、介護職員は医師等と連携をとる場合であっても当該行為を行うことは許されていないものと考えている。」という答弁であったが、例外的な場合とは何か、又何をもって例外的な場合というのか、誰が判断するのか具体的にお示し頂きたい。

二、一で例外的な場合を医師が判断するならば、その医師の指示のもとで介護職員が医療行為を行うことは可能か。

三、前回答弁七では、特別養護老人ホームにおいて、痰の吸引が必要な利用者は約1万人程度存在する。現行の人員配置基準では看護職員が24時間対応できず、多くの施設では夜間看護職員がいないが、その間、どう対応しているのか。

四、日本労働組合総連合会が平成16年に行った「介護保険三施設調査」結果によれば、「爪切り」「外用薬の塗布」「血圧測定」「点眼」「座薬」「口腔内のかき出し」「痰の吸引」の医療行為を半数以上の介護職員が行っているが、この結果に対してどう考えるのか。

五、准看護師は看護師の指示を受けて診療の補助行為を行っているが、准看護師の養成課程で「痰の吸引」のスキルを習得するために何時間の講義及び実習を行っているのか。

六、非医療従事者が自動血圧測定装置を使用して「血圧測定」を行うことについて、「自動血圧測定装置を使用した血圧測定については、比較的正確な測定値を容易に得ることが可能となっており、こうした機器を利用して血圧を測定する行為自体は、非医療従事者でも行うことが可能である。ただし、自動血圧測定装置を使用して得られた血圧値を基に、診断を行うことは「医行為」に該当し、これを業として行う場合は医師による必要があるものと考えている。」との答弁があったが、血圧測定以外でも同様に身体に対する危険性が低い機器を介護職員が利用することは可能と考えられるか。

七、盲・聾・養護学校において医療のニーズの高い児童に対して、「痰の吸引」等の医療行為を教員が行う方向であるが、四のような状況の中で、同様の行為を介護職員が行えるような条件づくりを急ぐ必要があると思われるがいかがか。
右質問する。

内閣からの答弁書(平成16年10月29日)
一について
 介護職員が業として「医行為」を行う場合が先の答弁書(平成16年8月11日)二についてにおける「例外的な場合」(以下単に「例外的な場合」という。)に該当するか否かについては、個々の事例に即して判断されるべきものであり、例外的な場合を包括的にお示しすることは困難であるが、例えば在宅筋萎縮性側索硬化症患者の喀痰吸引については、「ALS患者の在宅療養の支援について」(平成15年7月17日付け医政局長通知)で示した一定の場合には、当面のやむを得ない措置として許容されるものと考えている。このようにどのような場合が例外的な場合に該当するかについては、一義的には、厚生労働省が判断するものと考えている。
二について
 ある行為が「医行為」に該当するものである限り、どのような場合が例外的な場合に該当するかを医師が判断することはできないものと考えている。
三について
夜間に定期的に喀痰吸引の処置が必要な者が特別養護老人ホームに入所している場合の対応状況のすべてを把握しているわけではないが、特別養護老人ホームの入所者で喀痰吸引の処置を行う必要のある者の中でも、当該者が就寝する前に、排痰を促したり、喀痰吸引の処置を行ったりすることにより、夜間に喀痰吸引の処置を行う必要がない者も存在する。また、看護職員が臨時に夜勤体制を組む等の対応を行う施設もあると承知している。
四について
 御指摘の行為が「医行為」に該当するか否かは御指摘の調査のみでは不明であり、お尋ねについてお答えすることは困難である。
五について
 喀痰吸引の技術を習得するためには、単に吸引する行為に係る技術だけでなく、人体の解剖・生理、病態生理、感染予防、疾患別の患者の看護などについて、様々な知識を必要とする。
 准看護師学校養成所の教育内容については、保健師助産師看護師学校養成所指定規則において、科目ごとに満たすべき講義及び実習の時間数が規定されているが、このうち喀痰吸引の技術に関連する講義及び実習の時間数は別表のとおりであり、また、喀痰吸引の技術を習得するための具体的な教育内容については、それぞれの准看護師学校養成所が時間数及び方法を決定し、教育を実施しているものと承知している。
六について
 お尋ねの機器を利用する行為が「医行為」に該当するものでなければ、介護職員が業として行うことは可能である。
七について
 盲学校、聾学校及び養護学校における幼児、児童及び生徒に対する喀痰吸引、経管栄養及び導尿については、「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて(協力依頼)」(平成16年10月20日付け医政局長通知)で示した一定の場合には、やむを得ない措置として許容されるものと考えているが、介護職員による同様の行為については、当該行為が行われる場所、状況等が異なることから直ちに同様に論じることはできないものと考えている。
 なお、介護職員が行うある行為が「医行為」に該当するか否かを包括的に明らかにすることは困難であるが、原則として「医行為」ではないと考えられる一定の行為の類型について明らかにすることができないか今後検討してまいりたい。

Posted at 2004年11月12日 13:45 | TrackBack
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