161-衆-厚生労働委員会-6号 平成16年11月10日
◇社会保険庁長官と厚生労働大臣のTV出演による国民への説明
児童福祉法改正案に対する質疑
◇児童養護施設退所時の児童の住まい
◇在宅での支援サービスの充実
◇児童精神科医の充実
◇虐待ゼロへの大臣の決意
○山井委員 三十分という限られた時間ですが、児童福祉法改正を中心に質問をさせていただきたいと思います。
その前に、わざわざ村瀬社会保険庁長官にも来ていただいて非常に恐縮なんですが、ひとつ、社会保険庁の問題、年金の問題について、尾辻大臣と村瀬長官にお聞きしたいと思います。
きょうの新聞を見ますと、国民年金保険料の納付率のアップが非常に少ない。このままでは村瀬長官がリーダーシップをとっておられる納付率のアップにつながらないんじゃないか、目標が達成できないんじゃないかという危機感も出てきているわけです。そんな中で、村瀬長官も記者会見で、国民年金あるいは社会保険庁の信頼回復に努めねばこの納付率は向上しないだろうということをおっしゃっておられます。そのとおりだと思います。
そこで、ちょっと変わった質問をするかもしれませんが、尾辻大臣、村瀬長官、聞くところによると、テレビには出られないということを聞いております、出演されないと。私もそれは、おやっと思いまして、例えば村瀬長官は、この国会の審議の中でも、これからこうやって社会保険庁を改革していくんだということを、リーダーシップをもって答弁もしておられるわけですから、録画であってもいいですけれども、テレビ番組にも出て、そういうことを堂々と述べられてはどうかと思っております。
もうちょっと具体的に言いますと、例えばですけれども、別に特定の番組ということはないんですが、例えば土曜日の朝、「みのもんたのサタデーずばッと」という番組がありまして、社会保険庁の問題をいつもやっていられるので、私もよく見ているんですが、この番組は、尾辻大臣は、九月に就任されて以来六週間出演依頼をしているけれども、一回も出てくださらない。それで、村瀬長官については、五月に就任が決まってから三十四週間、ずっと出てくださいということを言っているけれども、出演されないというふうになっております。
これは、私は別に特定の番組の応援をする気はさらさらないんですが、素朴な疑問として、これだけ年金や社会保険庁に対して疑問や不信があって信頼回復が必要なときに、尾辻大臣も村瀬長官も、録画でもいいと向こうは言っているわけですから日程調整可能だと思うんですが、堂々と述べられた方が、本当に年金の信頼回復のためにいいのではないかと私は思います。
このことについて、尾辻大臣、村瀬長官、答弁をいただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 私どもが担当いたします社会保障といいますのは、国民生活に一番密着したものでございます。したがいまして、私どもがこう考える、あるいはこうしたいというようなことをできるだけ丁寧に御説明する、このことは大変重要なことでございます。そして、機会をとらえてそうしなきゃならないとも思っております。ですから、そういうふうな趣旨の、社会保障についての内容を御説明申し上げる機会があるような番組については、これは私としてはできるだけ出演させていただきたいと、まず基本的に思っております。
ただ、もう率直に申し上げますが、大臣になりまして、こんなに忙しいものだとは本当に思いませんでした。ですから、今のところ、これも正直申し上げているんですが、時間がないんです。
それと、もう一つ御理解いただきたいのは、衆議院の先生方には、参議院の全国比例区の事情というのがきっと余りおわかりいただけないだろうと思うのであえて申し上げるんですが、全国、全国区とも言った時代がありますが、皆さんとの御縁があります。そうすると、四十七都道府県なんです。そして、週末の数が五十二回なんです、一年で。ですから、週末五十二回の数で四十七都道府県というと、一つずつ回ってちょうど一年に全国一周できる、そういう数になりまして、とにかくもうびたっと週末の日程が先に詰まっているというような事情もありますことも、決して言いわけするわけじゃありません、御理解いただければと思ってあえて申し上げたところであります。
○山井委員 その理由はあんまりじゃないかというふうに思います。やはり大臣になられたら日本の社会保障をしょって立つわけですから。そういう事情で週末が詰まっているというのは、私は理由にならないと思いますし、短時間の録画も可能なわけですから、ぜひともお願いしたいと思います。
村瀬長官も答弁をお願いします。
○村瀬政府参考人 今の御質問にお答えさせていただきたいと思います。
まず初めに、マスコミの皆さん方に対する対応でございますけれども、記者クラブを通じまして、記者会見であるとか、それから、定期的に記者懇談会を開催させていただいておりまして、そういう点では、社会保険庁の改革につきまして積極的に開示をし、ニュース等でも流させていただいております。したがいまして、まず私自身の気持ちとしまして、メディアに対してはいろいろな形で情報発信はさせていただいている、このように考えております。
一方、御存じのように、社会保険庁は実施庁でございまして、国民の皆さんと接する事務局、事務所、ここが具体的にどう変わったかというのが多分一番大事な部分だろうというふうに思っております。したがいまして、私自身は微力ながら、現在、仕事の重点を全国各地の事務所、事務局を回ることに力を注いでございます。きょう、この国会が終了した後も大阪、兵庫へ行く予定にしておりまして、極力現場の職員としっかり話をした上で、国民の皆さん方に、社会保険庁はこういう形で変わったという形を示したい、こういう形で動いてございます。
この十一月、社会保険庁変わります宣言ということで、庁内的にしておりまして、具体的にはどういう形で変わっているかということをお話し申し上げますと、この十一月の六日から十二日まで年金週間ということで、現在、相談業務の充実をさせていただいております。その中で、初めて六日、七日の土曜、日曜日に相談業務の開庁をさせていただきまして、全国の皆さん方から非常に喜ばれたという結果も出てございます。また、この十二日までは七時までの時間延長ということで相談業務を延ばさせていただいていまして、国民の皆さんから見て見える形で変えるのがやはり非常に重要なのではなかろうかというふうに考えております。
それから、先ほど収納率の問題が出ましたけれども、昨日、国民年金の上半期の収納率を公表させていただきました。従来ですと年に一度の収納率の公表でございますけれども、前倒しでどんどん情報開示いたしまして、その部分をやはり国民の皆さんにもわかっていただく。また、実際、実施をしております事務局、事務所の職員も目標に向かってしっかり行動を起こす、これが極めて重要なんだろうというふうに私自身は考えております。そういう点で、改革を具体的な形で国民の皆さんがわかっていただける、そういうところにまず重点を置いて仕事をさせていただけたらということをぜひお願い申し上げたいと思います。
それから、今具体的な問題で、テレビへの出演というのがありましたけれども、スケジュールが合えば、私自身は出られるものであれば出たいと思っております。その点だけはお話を申し上げたいと思います。
以上でございます。
○山井委員 スケジュールが合えば出るということですが、はっきり言って、もう三十四週間も断っておられるわけですね。三十四週間もずっとスケジュールが合わなかったということは考えられないんですけれども。
個別のことを言ってなんですけれども、そうしたら、この番組にも村瀬長官も、録画ででもいいですから、出るということでいいんですね。
もちろん、現場を回ることは私も大事だと思いますから、ぜひやってもらったらいいと思います。しかし、信頼回復のためには、テレビから呼ばれたら出ていって、今おっしゃったようなことを堂々と、不信があったあるいは隠ぺい体質が疑われていた今までの社会保険庁を私がこう変えていくんだということを、現場を回りつつ、テレビというメディアでも訴えられたらいいと思うんですよ。
村瀬長官、もう一回答弁をお願いします。
○村瀬政府参考人 先ほども申し上げましたように、メディアに対してはいろいろな意味で発信をさせていただいているつもりでございます。したがいまして、今たまたま個別の番組の問題で出る出ないというお話がありましたけれども、本件については、趣旨等も踏まえて、その出演の可否については、スケジュールと、それから、何を御報道されたいかという中身を見ながら、個別判断をさせていただくということでお願いできたらというふうに思っております。
○山井委員 でも、記者会見とかそういう場じゃなくて、テレビから出演依頼があったら基本的には前向きに検討するというのが、まさに社会保険庁の改革の旗頭である長官の務めじゃないんですか。今の答弁を聞いていると、趣旨を聞いて、その番組の性格を見て、社会保険庁を批判している番組だったら出ないとか、何かそういう意味ですか。
国民の信頼を得るためには、いろいろ厳しい意見も聞くかもしれないけれども、そこに出ていって堂々と、自分は変えていきますということを訴えるべきなんじゃないでしょうか。テレビに対しては、記者会見というような、社会保険庁さんの土俵の問題じゃなくて、呼ばれたらテレビにも出演して訴えていくということを言うべきじゃないですか。長官、いかがですか。それとも、テレビには出ないんですか、やはり、呼ばれても、これからずっと。いつまで出ないんですか。
○村瀬政府参考人 先ほども申し上げておりますように、実は記者さんからも物すごい強烈な質問をばんばん受けておりまして、それについては適正にお答えをしているつもりでございます。したがいまして、メディアに対してお答えをしていないということはまずあり得ないという認識に立っていただけたらと思います。(山井委員「出演依頼のことを質問しているんです」と呼ぶ)したがいまして、個別の番組については、何をもって御報道されたいかというのははっきりさせる必要があろうかと思いますので、それによりまして個別に判断させていただくということでお答え申し上げたいと思います。
○山井委員 時間にも限りがありますので、きょうはここでやめておきますが、私は今の答弁を聞いて何を感じたかというと、社会保険庁が信頼回復のために国民に対して説明責任を果たす気が村瀬長官はないんだな、そういうことを私は感じました。
やはり信頼を回復するためには、長官の最大の役目は、国民に対して、改革をやっていくんだ、こういう具体的なことをするんだということを出ていってPRすることだと私は思います。そういう意味では、本当に、村瀬長官のその説明責任の意識というものを私は疑いたいと思います。また、そういう番組を見た国民がどう思うか。何回言っても長官は出てこない。現場を回るのはいいけれども、現場を回るとともに、録画でも出たらいいじゃないですか。私は非常に、そういうことでは本当に長官の姿勢に疑問を感じています。ぜひともテレビに出て、堂々と自分の思いを語っていただきたいと私は思います。
では、本題の児童福祉法の質問に移らせていただきます。
一昨日、児童相談所に私も訪問させていただきまして、また昨日も児童養護施設やグループホーム、何カ所か訪問をさせていただきました。その中で、尾辻大臣に要望とともに質問を申し上げたいんですけれども。
例えば、私、昨夜もグループホームに行って、そこのお子さんたちと一緒に食事をさせてもらいましたが、そのお子さん方が、大きな施設からグループホームに移ってきて、とても居心地がいい、こちらの方がいいということを口々におっしゃっておられました。
例えば一例ですが、あるお子さんは、大きな施設からグループホームに移ってきて、非常に声が大きくて落ちつかないというケースがあるんですね。なぜかというと、御存じのように、児童養護施設は、人員配置基準が六対一で、一人の職員が六人の虐待を受けたりしている子供たちのお世話をしているけれども、三交代だったら一対十八、やはりこの数では、どうしても、施設のお子さん方は大きな声を出して自己アピールをしないと職員さんも構ってくれないという、ある意味で愛情が十分に受けられないというようなことにもなると思うんですね。これは要望だけですので。
ですから、今までから委員会で問題になっていることですけれども、こういう人員配置基準をふやしたり、あるいはグループホームを推進したり、そして、中学生、高校生の方がきのうもおっしゃったのは、中学生、高校生になったらやはり個室に入りたいということをおっしゃっていました。四人部屋とかだったら一人で好きな音楽も聞けないということをおっしゃっておられました。ぜひともそういうことも推進をしていただきたいと思います。
この要望をして、そこで質問なんですが。
児童養護施設を出てから一番困っていることは何かということを、きのう、御本人さんに聞かせていただきました。そうしたら、やはり住まいがないと。児童養護施設を十八歳で出たら、大学に行くにも、寮がないとだめで、勤めるとしても、寮があったり住み込みのところしかだめで、選択肢が非常に限られると。もっと言えば、もし何かの事情で仕事をやめてしまったら、寮がなくなるわけですから、住むところもなくなってしまう。そうしたら、仕事を何らかの事情でやめたら、友達の家に転がり込んだりして、転々とする中で、やはりまた身を崩してしまうというケースもあるそうなんですね。
そういう意味では、児童福祉施設を出た十八歳のお子さんたちの住宅の確保とかあるいは家賃の補助とか。貸すのだと、これは後で返すのがまたなかなか大変なんですよ。十八歳で、親からも援助を得られない、ひとりぼっちで、持参金がほとんどゼロの子供に、お金を貸すから、はい百万、将来返してくださいよといっても、そう簡単に返せないわけなんですよね。そういう意味では、こういう家賃補助とか住宅の確保ということをまず要望したいと思います。大臣、いかがでしょうか。
〔委員長退席、北川委員長代理着席〕
○尾辻国務大臣 御指摘のとおりに、児童養護施設等を退所した児童が社会的に自立するために住まいを確保するということは、これは極めて重要なことでございます。
このために、退所後、保護者等の支援が見込めない場合には、就職の際に必要となる住居費等として約十四万円を給付するとともに、住居確保のために必要な資金の低利の貸し付けも行っているところでございます。さらに、平成十五年十月末から、雇用促進住宅の入居要件を緩和するなどいたしておりまして、施設退所後の児童の住居確保の支援に努めているところでございます。
今申し上げたようなことを行っておるところでございますが、退所後の児童の社会的自立を積極的に推進してまいりたい、こう考えます。
○山井委員 ぜひわかっていただきたいのは、普通の若者にお金を貸すのと、もう本当に親からの支援も受けられない、ひとりぼっちの十八歳の子供にお金を貸すのとでは、その借金を負う負担が全然違うということなんですね。ですから、私は、家賃に関しては、もう返さなくていいお金で出してあげるということ。それと、今おっしゃった住宅もまだまだ満杯なわけですから、そういうのをぜひとも積極的にしていただきたいと思っております。
村瀬長官、もう終わりましたので、お帰りいただいて結構です、お忙しいと思いますから。ありがとうございました。
それでは、次に、衛藤副大臣に御質問したいと思います。
お配りした資料、少し大きな話に移りたいんですが、例えばノルウェーの児童福祉はどうなっているか。私も昔スウェーデンに二年間行っておりましたので、こういう北欧の福祉のことは関心があるんですけれども、そのノルウェーの一例を見てみますと、例えば上の表にありますように、要は、ケア支援対応というのが、自宅以外なんですけれども、これが五千二百六十一人で、生活支援対応、つまりこれは在宅サービスなんですね。このグラフにもありますように、近年は施設というのが非常に減ってグループホームなどになってきて、逆に、伸びているのは在宅支援ということなんです。レスパイトのケア、週末のウイークエンドホームという、週末だけ里親さんがお世話するケースとか、あるいはホームヘルプとか育児支援とか。
衛藤副大臣も御存じのように、老人福祉でしたら、在宅サービスをまずやって、無理ならば施設ですよね。ところが、今の児童福祉の場合はこの在宅メニューがないから、親と切り離すか、あるいは、危険だけれども親と一緒にいてもらうか、二つに一つみたいな感じがあると思うんです。そういう意味では、今後の方向性としては、こういう在宅での支援サービスをもっともっと拡充していくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○衛藤副大臣 虐待をめぐる児童の問題も、高齢者の問題も障害者の問題も、私ども、福祉全般がそういう方向を今とろうとしているというぐあいに思います。そういう意味で、児童福祉につきましても、この虐待の問題につきましても、本来であれば、隔絶するというやり方よりも、その地域なら地域の中で、そして家庭の中でできるということが最もすばらしいことだというように思っております。そういう意味で、虐待についての在宅支援サービスについて、まだいろいろなものが整っていないということは認識しながら、これを進めていかなければいけないというふうに思っております。
○山井委員 これは方向性の問題ですけれども、ぜひともそういうサービスを拡充していっていただきたいと思います。
次に、また尾辻大臣にお伺いしたいんです。
先日の金曜日の質問の中で、コンビニを一つの窓口として、コンビニの店員さんが虐待を受けているおそれのあるお子さんたちを、あざとか雰囲気とかで発見した場合に、児童相談所とか警察に通報しやすいように、ポスターを張るなり、あるいはチェーンストア協会を通じて協力要請をしてほしいということを言ったんですけれども。
それの延長線上なんですけれども、今地域に児童・民生委員さんとかあります。子供の相談の窓口になっているところですけれども、そういうところにお子さんが行くというケースはほぼあり得ないと思うんですよね。そういう意味では、やはりコンビニも児童虐待のときの駆け込み寺なんだ、コンビニに行ったら何とか助けてもらえるんだと。もちろん、その店員さんが助けるということじゃないですけれども、そこでSOSを発したらその店員さんが児童相談所や警察に通報してくださるんだというようなことを世の中にPRして、チェーンストア協会からも協力を得たら、もちろんそれで何件の子供がコンビニに駆け込むかというのは別として、やはり社会的に子供にとっても安心感があるし、また親にしても、余り殴ったり、あざがあって、一緒にコンビニに行ったら、これは大変なことになるなというふうな抑制効果も出てくるわけですから、そういうような形でチェーンストア協会に要望をしていただきたいと思いますが、この件についていかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 先日御提案がございましたコンビニエンスストアに対しましては、昨日、協力依頼を行ったところでございます。まず早速行いました。これで、お話のように、児童が立ち寄りやすいと思われるコンビニエンスストアなどで今後適切な対応が図られると大変ありがたいと思いますし、期待もしております。とりあえずお願いをしてみましたので、今後のこと、よくまた事態の推移を見ながら考えてみたいと思います。
○山井委員 次に、また衛藤副大臣にお伺いしたいと思います。
虐待を受けた子供を診療するために児童精神科医というのが必要だと思うんですけれども、その養成が全然追いついていなかったり、諸外国にあるのにその講座が日本の医学部になかったり、また、それの診療に対する報酬が非常に低かったりという問題があります。
専門家の方々から聞くと、そういう児童精神科医という専門家をしっかり養成していくことが必要だというふうに言われております。理想的には、児童相談所にそういうお医者さんを常駐させていくとか、難しいかもしれませんが、やはりそういう方向性も検討していかないとだめだと思います。この養成の件に関して、副大臣、いかがでしょうか。
○衛藤副大臣 今回、児童相談所を充実しながら、看護師さんや保健師さんにもということで、その福祉の方の仕事の任用規定を、いわゆる質量ともに上げようとした、バランスをとっていこうとしたところにまだまだ児童精神科医と言われるような方が本当に少ないということが言えると思います。
私も、例えば知的障害者の療育等で、大分で県会議員のころ懸命にやっていましたけれども、その専門の指導のお医者さんが実質的には来てくれません、いらっしゃいませんでした。心当たりの方は何人かおられたんですが、やはりなかなか、そこまでの責任を持っていざやるとなると、極めて難しいというようなことで。実は、そういう専門の先生は全般的にそうだというふうに思います。
現実に、虐待のみならず、知的障害の方も、精神障害の方も、あるいは最近の、発達障害の方も、自閉症の方も、登校拒否の方も、相談するところを、実質的には専門の先生方を探しながら、皆そこのところでうろうろしているというのが実態であると思います。
私の方も、子供もちょっと学校に行かない時期がありまして、本人は登校拒否と言っていませんけれども、周りの人は登校拒否と言っておりますが、本人は、僕は違う、行けなかっただけだ、ぐあいが悪くて学校に行けなかっただけであって、登校拒否ではないなんということを言っておりましたけれども、そのときにも、やはり専門の先生を探すのに大変苦労したところでございます。小児科の先生あるいは精神科の先生、いろいろな方のところをずっと行ったりしましたけれども。
全般において、まさに今先生御指摘のとおり、児童精神科医と言われる方々、この乳幼児にかけての、相談に乗って、指導ができる専門の方々を本気で養成していく必要があるんではないのかというぐあいに思っています。
厚生労働省といたしましても、それを何とか図ろうじゃないかということで今スタートしたところでございまして、平成十六年度内に検討会、今年度中に検討会を持って、そしてまたそのことを具体的に検討してまいりたいと思っています。来年には、それらの検討を受けながら専門の養成プログラムをつくっていきたい、養成のためのプログラムをつくっていきたいというぐあいに思っている次第でございます。
○山井委員 児童虐待死と言われる形で毎年四十人、五十人の方々が、残念ながら、お子さんたちが亡くなっていっている、それはどんどんふえているような状況なわけですね。また、児童虐待の件数は二万五千件以上にどんどんふえていっている。
そんな中で、大臣に要望とお伺いをしたいんです。
これは、児童虐待防止法も改正されたし、また今回、児童福祉法も改正されるわけですけれども、審議を通じても、まだまだ日暮れて道遠しだと。これで虐待が撲滅できると自信を持って言える人というのはほとんどいないと思うんですね。そういう意味では、これは相当の決意を持ってやらないと、私は予算にも限りがある中で難しいと思うのです。
ここで大臣の決意を、そして厚生労働省の決意を示していただく意味でも、児童虐待死ゼロ作戦なのか、児童虐待ゼロ作戦なのか、ネーミングはわかりませんけれども、やはりそういうものをしっかりつくって――今まで寝たきり老人ゼロ作戦、待機児童ゼロ作戦はありましたけれども、もうほかでもない、命にかかわる問題なわけですから、やはり厚生労働省、そして尾辻大臣が先頭を切って、児童虐待ゼロ作戦というのを力強くやっていく。そして、先ほど言ったような、コンビニ、いろいろなことを含めて、啓発も国民的にやっていくんだということが、私は政治家の責務としてやはり必要だと思うのですね。こういう法改正はしたけれども、虐待は減らせなかったでは済まない問題だと思います。
その点について、そういうゼロ作戦の推進ということ、大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 とにかく、思いついて、いいと思うことは何でも、そして一歩一歩進めていくということが必要なことなんだろうというふうに思います。
その中で、今御指摘いただきましたように、虐待による死亡事例の撲滅作戦といったような、国民にとってわかりやすい指標なども検討いたしまして、国全体で児童虐待防止対策の推進に強力に取り組んでまいりたいと考えます。
○山井委員 私、先日も児童相談所に行ったのですが、児童相談所の方々はやはり苦悩されているんですね。虐待で死亡事故が起こったら、児童相談所が悪者になる。しかし、実際に親のところに行っても、親に対して強制力を持って指導することがなかなか難しい。言うことを聞かなかったからといって罰則もない。そういう刀がないのに戦えと言われてもなかなか苦しい、逆にもう過労で児童福祉司が倒れていっているような状態だということをおっしゃっています。
そこで尾辻大臣にお伺いしたいのですが、児童相談所を訪問されたことがあるかということと、されたことがあるんではないかと思いますが、今の児童相談所に対してどうしたらいいと思っていられるか、大臣からお聞きしたいと思います。
○尾辻国務大臣 先ほども申し上げましたけれども、この前の委員会でのお話もございましたから、一昨日、私も児童相談所へ行ってまいりました。そして、本当に皆さん方の御苦労というのを目の当たりにしてきました。大変だなと思いました。
その中で、具体的に、今私が、何ができる、どうしようということを直ちに具体的に申し上げるよりも、とにかく、今後全力で取り組んでいきたいということをお約束を申し上げておきたいと思います。
○山井委員 時間が来ましたので締めくくらせていただきますが、最後に大臣に改めてお願いがございますが、先ほどおっしゃったように、厚生大臣の仕事が非常に激務である、それとまた、御自分の政治家としての事情で、全国を回るのが、なかなか日程が、週末が大変であるということをおっしゃいましたけれども、日本の社会保障、日本の子供、お年寄り、御病気の方々あるいは働く方々の健康と命をつかさどる最高の責任者なんですから、私は、せめて厚生大臣をされている間は、そういう御自分の選挙の事情のことはおっしゃらずに、厚生労働省の仕事最優先で働いていただきたいと思います。
○尾辻国務大臣 先ほど申し上げたことを選挙の事情だというふうに御理解いただきましたら、それはまずいなと思いましたので、あえて立たせていただきました。
先ほど申し上げたのは、決してそういうつもりでもありません。とにかく、まさに社会保障に関係のある皆さんが多いものですから、説明に来いとか話に来いとかというお話で、まさに今の仕事の重要な部分としてやらせていただいているという意味でありまして、全国、御縁は多いものですからと申し上げましたが、決して選挙の事情でという意味で申し上げたものではございませんので、ぜひそのように御理解いただきたいと思います。
そして、おっしゃるように、大臣であります間、もう全身全霊、力を振り絞って、大臣としての仕事に邁進していきたい、そう思っております。
○山井委員 以上で終わります。
Posted at 2004年11月10日 09:39 | TrackBack