161-衆-厚生労働委員会-5号 平成16年11月05日
児童福祉法改正案に対する質疑
◇児童虐待発見へのコンビニの活用
◇国際比較、日本の問題点
◇里親
◇グループホーム
○山井委員 尾辻大臣、そして衛藤副大臣、よろしくお願いいたします。
私もこの厚生労働委員会に入って五年になりますが、なぜ私がこういう議員を志したのかといいますと、私は学生時代に、母子生活支援施設という、親からの虐待あるいは夫からのDVで、お母さんや子供が虐待を受けて駆け込んでくるシェルターで、ずっとボランティアをしておりました。その中で、子供が受けた心の傷、最も愛を受ける対象であるはずの親から虐待を受けた子供の本当に苦しい姿、そしてまた、その施設を出てからもなかなか就労するということも難しい、進学も、なかなか大学までは行けない、金銭的にも非常に貧しい。そういう中で、非常に素朴な話でありますが、そういう小学生の子供たちの声というのを政治家はちゃんと代弁してくれるのかなということを大学時代に私は思いまして、そんな中で、私も政治に関心を持って、議員に至ることになりました。
そういう中で、この児童福祉法の改正、まさに国民的な深刻な問題であります児童虐待をどう減らすことができるかということは、非常に重要な問題であると思います。そういう立場に立って質問をさせていただきたいと思います。
その後、私、福祉の調査で、尾辻大臣は世界各国をずっと回られたようですが、私も一年間かけて、イギリス、アメリカ、デンマーク、スウェーデン、シンガポールの老人ホームに一カ月ずつと、バングラデシュの児童養護施設に一カ月、泊まり込んでボランティアをさせてもらいました。
そんな中で、きょうの質問にも関連するんですが、私は世界を回りながら、世界の中の日本の福祉ということをずっと研究をしておりました。そこで痛感したことが二つ三つありました。残念ながら、日本は非常に福祉がおくれているということ。その理由はなぜかなというと、一つは、やはり日本はある意味で家族がしっかりしていた面がありまして、何でも家族任せになっていた、その点で公的福祉がおくれていたということ。それと、やはり政治家が福祉に関心が低かったのではないかということ。それともう一点は、日本人の悪いところは、そういう難しい問題が起こると、一カ所の大きな施設に閉じ込めて、町外れに収容してしまう。障害者、お年寄り。また、この児童虐待に関しても、大きな施設に一カ所に集めてしまう。そういうあしき傾向があるなということを思っております。きょうはそういう観点からも質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、小山市の児童殺人事件にも関連したことで、提案を込めて大臣にお伺いしたいと思います。
小山市の児童虐待、あのときも、発見したのはコンビニの店員さんでしたよね。すごいあざをつくってコンビニに来たということで、警察に通報になって、そこからスタートしたわけですけれども、残念ながら、児童相談所も十分力になってもらえずに、子供が亡くなってしまったという悲しい事件になりました。
それに続いて、例えば、十月上旬に、ある意味で似たような事件がありまして、これは、ある容疑者の近くのコンビニエンスストアで、長女が一人でいるのを不審に思ったコンビニの店員が、十月十二日、豊平署に通報して、警察が長女から事情を聞いたところ、お兄ちゃんに殴られたと話したと。札幌なんですが、この四歳のお子さんは、空腹に耐えかねてコンビニを訪ねたらしい、現金は持っていなかった。
私は、この記事を見たときに、本当に涙が出そうになった。親から虐待された、家で安心していられない、おなかがすく、お金はないけれどもコンビニに行った。普通の商店だったら、お金を持っていなかったら追い返されるかもしれない。それで、お金はないけれども、やはり暖かいところ、いろいろな商品がある、食べたいお菓子がある、親は買ってくれない、そんな中で、この四歳の女の子がコンビニに行った。この気持ちというのは、私は、やはり大人も真剣に考えないとだめだと思うんですよね。
もう一つ、似たような事件がありました。ネグレクトのケース。これも五歳の女の子です。どうして発見されたか。五歳の女の子がお金を持ってコンビニにお使いに来ているのを何度も店員に目撃されている。それで、五歳のその女の子は、虐待というか、ネグレクトの虐待なんですけれども、台風の日も、傘を差して一人でコンビニにお使いに来ているのを目撃されているということなんですね。それで、親はアルコールが好きで、お金を使いまくり、暴力団との関係もあり、虐待を受けていたということで、また、お母さんに対してDVもあったということなんですね。
そこで、話は飛躍するかもしれないんですが、私、こういう記事を読んで、ちょっと思いつきなんですが、この虐待の発見、もちろん、保育所やお医者さんやいろいろなところで発見されるけれども、地域のコミュニティーがなくなってきた中で、私は、コンビニというのは虐待されている子供が行く場所になりつつあるんじゃないかなと思うんですね。
どんな田舎でも、最近はコンビニがあります。虐待された子供は、もちろん、外に出してもらえない虐待されている子供はだめですけれども、外に出られたら、やはり暖かいところ、お菓子のあるところ、おなかがすいた子供は、コンビニにお金を持たずに行くわけですね。あるいは、親からのお使いで行くケースもあるわけです。
そこで、私の提案なんですが、全国のコンビニは大手のチェーン店ですから、こういうコンビニの店員が発見したというケースが最近相次いでいるわけですから、厚生労働省さんからここに頼んでもらって、一つは、例えばポスターを張ってもらう。児童虐待防止のSOSとか、困っていることがあったら言ってください、そういう啓発のポスターを張る。
もう一つは、ああいうところは当然アルバイトの方がほとんどなんですけれども、そこの店員さんに、もし、買いに来られたお子さんが万引きをしたり――やはり虐待されている子供は、御存じのように、お菓子を買ってもらえなくて万引きしちゃうケースもあります。あるいは、お使いに来た子供にあざがある、うろうろ来ているけれどもお金を持っていない、どう考えてもがりがりにやせている、どう考えても服が汚い、あるいは服が臭いとか、こんなこと言ったら失礼かもしれませんけれども、そういう子供たちは、もちろん商店にもいろいろなところにも行くと思いますけれども、かなりの確率でコンビニに行くケースというのも多いと思うんですよね。だから、厚生労働省さんから、コンビニだったらチェーン店で、大体系列で、上からお願いすればいくように思うんですけれども、店員さん方に、もちろんこれは通報の義務なんか全くありませんけれども、もしそういうのを見られたら、警察か児童相談所にぜひ通報してほしいということを流されたら、私は、未然にあるいは早期に発見されるケースというのはやはりあるんじゃないかと思うんですよね。
はっきり言って突拍子もない提案かもしれませんが、私は、これで五人でも十人でも救われたらいいと思うし、また、こういうことが広まって、虐待されている子供に児童相談所や警察に行けといっても敷居が高いわけですけれども、コンビニのお兄ちゃんとかお姉ちゃんにSOSを発したら、もしかしたら助けてもらえるかもしれないと言えば、子供の駆け込み寺としてのコンビニの役割というのもあるかもしれないと思うんです。今、ATMとか、大人にとって便利なということでコンビニは利用されているけれども、こういう虐待されている子供の駆け込み寺というようなことになったら、民間ですけれども、私はすごい効果的だと思うんです。
ちょっと突拍子もない提案ですが、尾辻大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 委員のお気持ちが私にもうつってしまっていますので、逆にこんな調子でお答えさせていただきたいと思います。
今のお話を伺いまして、ああ、私も年をとって、もう頭が古くなったんだなと思いながら聞いておりました。そうだ、やはりいろいろな発想をしてみなきゃいかぬのだな、こう思います。そうしますと、また古い頭だとついつい、向こうもお店だから何と言うんだろうかなとか、余計なことを思ってしまうわけでございますが、関係業界の皆さんともいろいろ御相談しながら、どんなことが可能なのか真剣に考えてみたいと思います。
○山井委員 今月、児童虐待防止推進月間ということで、十一月一カ月、キャンペーンとかやってくださっているんですね。これはこれでありがたいんですけれども、ぜひとも、急な話かもしれませんが、今申し上げたように、コンビニというものを何とか有効利用できないか。そして、そこを一つの児童虐待の早期発見あるいは未然防止の拠点に、行政から民間に頼むのはちょっと都合のいい話かもしれないんですけれども、理解なり賛同してくださる会社も当然あると思うんですね。これは国民的な課題なわけですから、そういうことをぜひとも前向きに御検討いただければと思います。
次に、国際的な児童虐待の比較ということに入りたいと思います。
これについては、時間も余りありませんので、質問通告をしていたんですが、もう私から言わせてもらいますと、国際的な比較、ちょっとこの二枚目の資料を見ていただきたいと思います。
それで、この上から五つ目に、「(児童福祉司)の専門性」というところがあります。大臣と副大臣に渡した資料にだけは蛍光ペンで、赤でラインマーカーがしてあります。それで、答弁をいただこうと思ったんですが、この児童虐待についての国際比較、厚生労働省さんにも以前からお願いしていろいろ調べてもらったんですけれども、そこで、五つぐらい私は違いが言えると思うんですね。
一つは、外国は日本よりも司法の関与が強いということ。それと、二つ目は、きょうも議論になっておりますが、児童福祉司の数が日本は少ない。裏返せば、児童福祉司が一人当たり担当している件数が非常に多過ぎるということ。それと、三つ目は、その児童福祉司の専門性が低いということ。この三つですね。司法の関与が外国は強い、それで専門性が高い、ソーシャルワーカーはもっと数多くでやっている、この三つです。
それとともに、あと、虐待された子供の行き先としては、日本は大規模な施設。ところが、欧米では、これは以前の委員会でもやったんですけれども、大規模な施設というのはほとんどないんです。大臣、副大臣、ここが重要なんですね。私たちは当たり前のように児童養護施設、五十人、百人という前提で考えていますけれども、欧米ではこんなことをやっている国はないんです、ほとんど。もう短期です。
では、欧米ではどうなっているかというと、きょうも議論で出ていましたけれども、里親がメーンで、それでない人はグループホーム、小規模な五、六人の家なんですよね。ここは大事なんで、繰り返し言いますが、大きな施設で五年も十年も十五年も施設に入っていてもらうということは、本来は非常に子供にとってはよくないことなのかもしれないということが重要だと思います。
ここで、こういう諸外国と日本との違いを踏まえた上で衛藤副大臣にお伺いしたいんですけれども、今回、児童福祉司の任用の見直しで、保育士、看護師、教師、保健師とか、非常に幅広く児童福祉司に任用できるようにするということなんですが、私はやはり、繰り返しますが、日本では児童福祉司の専門性が低いから今回の小山市の事件も起こったんじゃないかと言われている中で、こういう保育士、看護師とかいろいろな方に広げるのは、逆行しているのではないかというふうに思うんですね。
世界の国で、日本以外で、保育士、看護師、教師、保健師の方々がそういうソーシャルワーカーになっている国というのは、はっきり言って、私調べたけれども、ほかにないんですよ。日本だけなんですね。この点、私は、逆行しているんじゃないか。やはり、しっかりソーシャルワーカーという資格のある人を養成すべきではないかというふうに思いますが、衛藤副大臣、いかがでしょうか。
○衛藤副大臣 各国での相当な違いが正直言ってあるというぐあいに思っています。先ほどの里親の件にいたしましても、そういう状況だと思います。日本もやっと里親も下げどまりをしてきたというところでございまして、それを何とか充実していきたいというふうに思っています。
また、先ほどお話がございましたように、大きな施設で囲い込むというのは、福祉全般から見て、今もうはっきりと見直しの時代に入っている。お話しのように、家庭的な雰囲気の中でそれができるようにということを、福祉全般の中でもこれを急がなければいけないというふうに思っております。
また、専門性の問題でございますけれども、確かに私もそのとおりだというふうに思います。ただ、まだなかなかそこまで育成ができていないという実情の中で、とにかく初期段階においてどれだけ相談ができるのか、どれだけきめ細かくできるのかということになってくると、今まで実務に当たってきた保健師さん等に研修を受けていただきながら、実務経験のある方にお願いをして窓口を広げていくという作業がどうしてもやはり片一方で必要だと思っています。そういう中で専門性をどう高めていくかということは、同時に、研修等を通ずるとか、あるいはそういう育成機関を我が国ももっと大事にしていくとかいうようなことをしながらやらなければいけないことだというぐあいに認識をいたしております。
同じ認識でございますが、今すぐそういうことはできないというところは、各市町村がそれができないということは、極めて大きな問題だというぐあいに認識しているところでございます。
○山井委員 ぜひともこれは専門性を高めていかないとだめですし、やはり、なし崩し的に逆に専門性を薄れさせることにもなりかねないわけですから、研修の充実や、根本的にはこの任用見直しということはなくすべきではないかと私は考えております。
次に、里親のことなんですが、これも衛藤副大臣にお伺いしたいんですが、午前中からこの里親の充実に関してはもう何度も質問や答弁がありましたので、現状についてはもう結構です。衛藤副大臣にもう一つだけお伺いしたいと思います。
これは、私の資料にありますが、これ、一〇%という目標を出されているんですね、この三ページ目、見てください。里親委託率一〇%にということで、目標で出ております。ところが、ここにも書いてありますように、一〇%ということなんですが、主要国の里親委託率は三〇%から九〇%なんですね。やはり、目標が一〇%というのは余りにも低過ぎる、目標にしては。言うたら悪いけれども、今現在が七%ですから、このまま頑張ればできるぐらいの数字でありまして、繰り返しますが、今までの大規模施設中心から里親や小規模グループホームに大転換をしないとだめな時期に来ていると思うんです。このことについて、やはり、この一〇%をもっと早く達成するとか、パーセンテージを上げるとかすべきだと私は思いますが、このことについて、衛藤副大臣、どう思われますか。
○衛藤副大臣 そのとおりでございまして、先ほど申し上げたとおりでございます。
里親制度につきまして、何とか充実を図っていくことができればというぐあいに思っておりますが、昭和三十年ぐらいから比較をしますと、やはり半減しているというところが実情でございます。そのために、平成十四年にいろいろな制度改正をしたところでございますけれども、これをさらに、平成十六年度からは、この里親に対する支援事業を始めたところでございまして、それをまずは充実していきながら、サポートするために派遣をするだとか、あるいは情報交換するとかいうようなことをやりながら、里親の充実をやっていきたいというふうに思っています。さらにもっと必要なことがあれば検討しなければいけないというぐあいに認識をしております。
○山井委員 児童相談所に専門職員を置いて里親を支援する体制をしっかりつくるとか、そういうバックアップ体制がないとだめだと思いますので、その充実をしてほしいと思います。
そこで、尾辻大臣にお伺いしたいんですが、児童養護施設、さっきから、虐待されたお子さん方が入っていて、これでいいのかということをお聞きしているんですけれども、尾辻大臣は、児童養護施設、現場に行かれたことがあるでしょうか。あるいは、最近、グループホームや児童養護施設に行かれたことがあるか。行かれたことがあるとしたら、その感想はいかがか。お答えください。
○尾辻国務大臣 最近はございませんが、私、かつて県議会に籍を置いておりましたので、そのころに何カ所か行かせてもらいました。
いろいろな意味で大変だなと思ったのが印象でございます。
○山井委員 いろいろな意味で大変だなということ、まあいいです、わかりました。そのいろいろな意味で大変だという言葉で、もう時間がないですので理解しました。
要は、大人数で生活している。それと、言ったら悪いけれども、かなり老朽化しているところがある。それでまた、大部屋。考えてもみてください。虐待された子供が入ってくるわけですよね。ところが、入ってきたら、そこでまたいじめられる、怖いお兄さんがいるかもしれない。あるいは、最近私の行った施設でも聞いたのは、五人部屋でゆっくりしていたところに、虐待されて非常に落ちつかない子供が一人入ってきたら、その子供が暴れるせいで、その部屋全体の子供が全部が落ちつかなくなってしまったというようなこともあるわけですね。
それで、そういう児童養護施設も今満員であるケースが多いんですけれども、尾辻大臣、グループホームがふえていないわけですよ。今までは四十カ所で、これではだめだということで、鳴り物入りの予算でことし百カ所になったのに、聞くところによると、まだ六十七カ所ぐらいしかめどが立っていない。私は本当は千カ所ぐらい必要だと思っているぐらいなんですけれどもね。
なぜふえないのか、どうふやしていこうと考えているのか、尾辻大臣、いかがですか。
○衛藤副大臣 正直言って、なかなか計画どおりにふえていないところでございます。それに対する、ふやすための措置を一生懸命講じているところでございますけれども、この法改正に伴って何とかふえてくれるということを、私ども、逆に、期待しているところでございます。とりわけ、今回は体制づくりを行うということが主たる法改正の目的でございますので、そのことについて今後とも頑張っていきたいと思っております。
小規模グループホームということが大規模な施設に比べてはるかに有利であるということについて、子供たちにとって非常にいい状況である、そちらの方がいい環境であるということについて認識をしているところでございます。そういう意味で、まだまだ追いついていっていないということを、頑張っていきたいと思っております。御承知のとおり、十六年度予算におきまして百カ所を目標にしておっても、まだ達成できていないということを非常に残念に思っているところでございます。
○山井委員 このグループホームの問題、私だけじゃなくて多くの委員が今までから指摘してきて、鳴り物入りの目玉でやったら、数がふえない。正直言って、私はちょっとお粗末だと思うんですよね。私が質問したときは、いや、もうことしは百ですけれども、その後ふやしていきますという話だったわけですよ。ところが、ふたをあけてみると、百にも達していない。
それで、私の資料の中で、最後のページにもありますが、左の方に書いてありますけれども、例えばアメリカだったら、六十万人の子供が里親で、十万人がグループホームと書いてあります。
それで、最後の右のところを見ると、児童福祉施設の後からの就労自立支援の調査というのがあるわけですね。ここを見ていると、百四十二人のうち、一年後就労を続けているというのが五四%、七十七人。児童福祉施設を出てからの就職で、一年後続けているというのが七十七人で、もうそのときにはやめてしまったという方が六十一人、四三%ですね。かつ、六カ月以内に四十八人、七九%がやめてしまっている。つまり、一言で言えば、児童養護施設を出て仕事についても、またすぐに仕事をやめてしまっているという現状があるわけですね。
私、グループホーム、五カ所ぐらい行かせてもらいましたが、そこで言われているのは、施設の職員の方がおっしゃるのは、もう一〇〇%、子供にとっては大きな施設よりも絶対グループホームの方がいいということを断言しておられるわけです、グループホームをやっておられる方は。例えば、自立心が育つ、社会性が育つ、経済観念も育つ。そういうふうな、やっぱりグループホームの方がいいという声が非常に強いわけですね。
では、何が問題なのかというと、一つには、人件費の補助しか出ていなくて家賃補助が出ていないんですね。やはり、一軒借り上げるときの家賃の部分のお金が出ない。東京都なんかは、何か、単独で出しているらしいですけれども。本気でグループホームをふやすなら、私は、人件費の部分と、措置費だけじゃなくて、家賃の部分も出すべきじゃないか、これが一つの提案。
もう一つの提案は、今、老朽化している施設が多いわけです。ところが、五十人の施設を改築しようとしたら、また五十人の新しい施設をつくらないとだめなんです。ところが、今出ているのは、もうこれからはグループホームの時代で、グループホームの方がいいというのはわかっているし、子供も喜ぶから、五十人の施設を五人のグループホーム十カ所にしたいという要望を持っている方々が多いわけですよ、改築を機に。いいアイデアじゃないですか、これからの時代。ところが、今の厚生労働省の基準では、いや、それはだめだと。五十人の大きな施設は、建てかえるときは五十人だ、中をユニットとかグループに分けなさいという。これは余りにもしゃくし定規だと私は思うんですよね。
衛藤副大臣、尾辻大臣でも、どっちでも答えていただければ、このことについて、こういうグループホームがもっとふえるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 冒頭に、日本の福祉について三点述べられました。
最初に、家族に頼り過ぎたんじゃないだろうか。まさに私もそう思います。そして、それが一番端的にあらわれていたのが介護であって、やっと介護保険を五年前につくることができました。
二番目に、政治家の関心が薄かったんじゃないかというお話をなさいました。私は反省しなきゃいかぬところだと思っています。
そして今、三点目の、大きな施設に入れりゃいいという、どうもそういう私どもの考え方に過ちがあったんじゃないだろうかというお話に触れて今のお話をしておられます。これもそのとおりだと思います。
そして、細々申し上げませんが、最初のコンビニの話じゃありませんけれども、私ども、今までの考え方で、その中で考えるんじゃなくて、本当に頭を切りかえて柔軟にいろいろ発想し、いいと思うことをやらなきゃいかぬと思いますので、そうした中で、こうした今の委員のお話も我々は受けとめて今後検討しなきゃいかぬな、本当にそう思っていますということを申し上げたいと存じます。
○山井委員 チルドレンファーストといいますか、やっぱり子供の意向が第一だと思うわけですね。ただでさえ虐待を受けている子供たちが、やっぱり居心地のいいところにいられて当然だと思います。
そこで、もう一つ大臣にお伺いしたいんですが、やはりこれは特に中学校、高校生は個室の方がいいと思うんですね。私も直接話を聞きましたが、親のことで悩んでいる、就職のこと、進路のことで悩んでいる。ところが、やっぱり二人部屋、四人部屋だと落ちつかないというのがあるんです。
ところが、御存じのように、特別養護老人ホーム、老人福祉は今もう全部個室になっていっているわけなんです。例えば、痴呆性高齢者のグループホームは全国で五千カ所あるんですよ。虐待されている子供のグループホームは全国でまだ四十カ所とか、けたが二けた違うわけです。
ここで、こういう虐待を受けた子供たちの施設も個室をふやすべきだと思いますが、尾辻大臣、いかがでしょうか。
○尾辻国務大臣 それはもうおっしゃるとおりだと思います。
それで、言いわけするわけじゃないんですが、さっき、どうしてそうなるんだということで、私も私なりに聞いてきたんですが、せめて努力は続けてきたという意味で申し上げるんですが、昭和二十三年が必要な面積。昭和三十年が一三・二平米、昭和五十一年が一九・七平米と、だんだんだんだんふやしてきて、平成十二年で二五・九平米までふえてきております。ずっと努力は続けてきていますから、さらにもっと続けて、今二人部屋まで来ていますから、二人部屋までのところまでは何とか来ているようですし、その二人部屋の中でも、何か、できるだけ仕切りをつくってとか、努力はしているようでありますから、もう少し時間をかしてくださいということだけを申し上げたいと存じます。
○山井委員 先ほど尾辻大臣が、以前訪問した養護施設、なかなか大変だと思ったというのは、多分、老朽化のこととか一人当たりの面積が狭いということだと思うんですよね。ほかでもない、虐待されて一番傷ついている子供なわけですから、普通より居心地のいい場所にいられて私は当然だと思うわけです。
それで、最後の質問になりますが、そんな中で、結局この三位一体改革になってくるわけですね。そういう中で、こういう虐待の予算とか、児童福祉司をもっとしっかりと配置せねばならないという中でこういう予算が一般財源化されるというのは、非常に私は逆行していると思っております。
加えてもう一つ言いますと、公立の保育所の補助金が一般財源化されて、先日藤田議員も質問されましたが、半数ぐらいが保育料が値上げになってしまった。そういう中で、やはり民間、私立の保育所の補助金の一般財源化も私は問題があるというふうに反対をしたいと思っております。この点について、三位一体改革のこと、それと私立保育所の補助金のこと、この二つについて、答弁をお願いいたします。
○尾辻国務大臣 あるいは、どこかで怒られることになるかもしれないと覚悟して、先日、地方団体の皆さんと私が話をしたときに、地方団体の皆さんに申し上げたことをそのまま申し上げたいと思います。
まず申し上げたのは、社会保障というのは、国と地方が手を携えないとやれないでしょう、そういったようなことは申し上げました。
そうした中で、率直に、皆さん方の御提案を私の例えで言わせてください。それは、私たちは一生懸命いろいろな積み木を積んでいるつもりです。そのところに来て、これが気に入った、これが気に入ったといって勝手に積み木を持っていかれると、この山は崩れ、この山は変形してしまってどうにもならなくなります。しかも、皆さん方は、何か気に入ったと持っていかれるのは、まず言えることは、子供の関係のものを全部持っていこうとしておられる、それで、老人のものは全部おまえたちやれと言って、積み木の積んだ方に残しておられる。まあ、勘ぐって言えば、年寄りはまだ今後どんどんふえて金がかかるだろうから、金かかる方はおまえたちがやれ、子供ならだんだん減っていって金がかからなくなるから、おれたちがとるといって積み木を持っていかれても、それは困りますねと、実はそんな話をしました。そうしましたら、どういう理由だったか知りませんが、向こうから、そっくりそのままその言葉をおまえに返すと言われてしまったんですが。
本当に、申し上げたように、どこかで、こんな発言するとまた怒られることになるかもしれませんが、率直に私がそう申し上げたということを申し上げて、お答えにさせていただきたいと思います。
○山井委員 以上で、質問を終わります。
Posted at 2004年11月05日 14:33 | TrackBack