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介護現場における医療的生活援助行為について

「医療的生活援助行為に関する質問趣意書」を国に提出し、答弁書が8月11日に届きましたので掲載します。内容は以下の通りです。

医療的生活援助行為に関する質問主意書(平成16年8月4日提出)

 近年、介護を必要とする高齢者等が増え続ける中、介護施設や在宅において終末期のみならず日常生活でも生活援助行為としての医療的行為が必要とされる場面が増えてきている。その中で、介護現場等においては在宅ALS患者の痰の吸引のみ条件つきで家族以外の者に対して認められる等、日常生活上での医療的行為のあり方について再検討されてきているが、現に困っている利用者の立場に立ったものとは言い難い。
そこで、以下のとおり質問する。

一、「爪切り」「軟膏等塗布」「点眼」「服薬管理」「血圧測定」「口腔内かき出し」「褥瘡の処置」「摘便」「浣腸」「坐薬挿入」「吸引器による痰の吸引」「経管栄養の準備・実施」「インシュリン注射」「湿布貼布」「狭心症治療薬貼布」「在宅酸素吸入・管理」「導尿」「カテーテル管理」「ストマ管理」「点滴針抜去」は医師の医学的な判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為に該当するか。また該当する場合はその具体的な危険性及びその根拠は何か。それぞれ個別に一覧表にしてお示し頂きたい。

二、一で、お尋ねした項目について医療・看護職員と連携をとりながら介護職員は行ってよいか項目ごとにお示し頂きたい。

三、非医療従事者が自動血圧測定装置を使用して「血圧測定」を行うことは可能かお示し頂きたい。

四、家族が医行為をすることと介護職員が医行為をすることの違いは何か明確にお示し頂きたい。

五、ALS患者に対する痰の吸引について厚生労働省が定めた一定の条件のもとに、ヘルパー等の介護職員は痰の吸引を行ってよいかお示し頂きたい。

六、痰の吸引が必要なALS患者以外の利用者に対してもALS患者と同様の条件のもとに家族以外の者が痰の吸引を行ってよいか。ALS患者であるかないかの違いで痰の吸引が認められないのであれば、その理由となる具体的な根拠をお示し頂きたい。

七、特別養護老人ホームにおいて、痰の吸引が必要な利用者は存在するのか。また、どの程度存在するのかお示し頂きたい。
右質問する。

  内閣からの答弁書(平成16年8月11日)
一について
 お尋ねの行為が「医師の医学的な判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為」に該当するか否か、また、該当する場合の具体的な危険性及びその根拠については、個々の事例に即して判断されるべきものであり、個別にお示しすることは困難である。

二について
 医師法(昭和23年法律第201号)第17条は医師でない者が医業をなすことを禁止しているが、ここにいう「医業」とは、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある「医行為」を反復継続する意思をもって行うことであると解しているところであり、お尋ねの行為が業として行われる「医行為」である場合には、例外的な場合を除き、介護職員は医師等と連携をとる場合であっても当該行為を行うことは許されていないものと考えている。

三について
 自動血圧測定装置を使用した血圧測定については、比較的正確な測定値を容易に得ることが可能となっており、こうした機器を利用して血圧を測定する行為自体は、非医療従事者でも行うことが可能である。ただし、自動血圧測定装置を使用して得られた血圧値を基に、診断を行うことは「医行為」に該当し、これを業として行う場合は医師による必要があるものと考えている。

四について
 医師法第17条は公衆衛生上の危険を防止することを目的とした規定であるが、婚姻関係又は血縁関係を基礎とする家族という特別な関係にある者の間で「医行為」が行われる場合は、家族という特別な関係にない介護職員により業として「医行為」が行われる場合とは異なるものと考えている。

五について
 在宅筋萎縮性側索硬化症患者の喀痰吸引については、その危険性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則であるが、筋萎縮性側索硬化症患者の在宅療養の現状にかんがみれば、在宅筋萎縮性側索硬化症患者に対する家族以外の者による喀痰吸引の実施について、「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」(平成15年7月17日付け医政発第0717001号厚生労働省医政局長通知)で示した一定の場合には、当面のやむを得ない措置として認められるものと考えている。

六について
 患者の状況は疾病等により異なるものであり家族以外の者が喀痰吸引を筋萎縮性側索硬化症患者以外の者に行うことが認められるか否かについては、個々の事例に即して判断する必要があるため、お答えすることは困難である。

七について
 「介護サービス施設・事業所調査」(厚生労働省大臣官房統計情報部調べ)によれば、介護保険法(平成9年法律第123号)第7条第21項に規定する介護老人福祉施設(特別養護老人ホームであって、当該特別養護老人ホームに入所する要介護者に対し、施設サービス計画に基づいて、日常生活上の世話、機能訓練等を行うことを目的とする施設をいう。)の平成13年9月末の在所者数30万9740人のうち、同月中に喀痰吸引の処置を受けた者の推計数は1万656人であり、このうち、在所施設内で喀痰吸引の処置を受けた者の推計数は9468人である。

Posted at 2004年08月12日 10:22 | TrackBack
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