159-衆-本会議-38号 平成16年06月04日
○議長(河野洋平君) 山井和則君。
〔山井和則君登壇〕
○山井和則君 私は、ただいま議題となりました厚生労働委員長衛藤晟一君解任決議案に対して、民主党・無所属クラブを代表して、強く賛成の立場から討論を行います。(拍手)
去る四月二十八日、厚生労働委員長衛藤晟一君の指揮によって、国民年金法等改正案の強行採決が行われ、与党単独という異常な状態で可決されました。
この衛藤君の委員会運営は、国会の歴史のまさに汚点として、そして何よりも、国民生活を破壊、そしてだますものとして、長く将来にわたって語り継がれていくものと考えます。(拍手)
年金を生活の支えとして日々を送っている受給世代、そして、受給開始を目前として、みずからの年金がどうなるのか強い不安を感じている世代、そして、公的年金を全く信頼できないまま、保険料納付の意欲を持てない若年世代、それぞれの世代がそれぞれに、年金に対して不信や不安を感じています。
その不信、不安を全く顧みることもせず、与党の理事が指示するまま、そして機械的に採決を宣言する衛藤晟一君の声に、国民の負託を受け、国民の将来の生活に責任を負う国会の常任委員長としての自覚も誇りも全く感じることができませんでした。(拍手)
そもそも、今回の年金制度改正の政府案は、今後十四年間にわたる保険料の引き上げ、そして、二十年にわたる給付水準の引き下げを内容としています。従来の年金法改正と異なり、五年後に再び見直しはないわけであります。長期にわたる負担増、給付減を自動的に政府が行うことができるという、何と恐ろしい内容の法案であります。
このような過重な負担を国民に押しつけたとき、我が国の経済はどうなるのか、雇用は一体どうなるのか、これで年金制度の維持が果たして可能なのかという重要な課題について、より真剣な議論がこれからますます必要なわけであります。しかし、現段階に至っても、提案者である政府から、この年金保険料引き上げによるさまざまな経済への悪影響、雇用への悪影響について、何ら明確な説明はいまだにありません。(拍手)
衛藤君は、短い審議の中でこの事実を十分に承知していたはずであります。
そこで、与党の皆さんに改めて問います。
本当にこのような法案でよいのですか。皆さんが強引に進めている法案は、十四年間も続けて、毎年一兆円もの負担増を国民に押しつけるものであります。これで本当に経済がもつのか、これで本当に雇用がもつのか、一体どう考えているのですか。まさにリストラの推進法案じゃないですか。(拍手)このような法案を強引に成立させて、企業は負担に耐えられるんですか、サラリーマンの雇用は守られるんですか。
経済界はノーと言っております。労働界もノーと言っております。国民の七割以上もノーと言っております。(拍手)その声を全く無視して強行に成立させて、皆さんの地域経済は本当にもつのでしょうか。
衛藤君は九州ブロック選出の比例議員でありますが、九州も厳しい経済状況、雇用情勢にあるわけであります。地元の九州の方に、この法案を胸を張って説明できるのでしょうか。(拍手)
衛藤君が行ったことは、国民の負託を否定し、国権の最高機関を冒涜したことにほかなりません。
そして、重要なことは、この政府の年金改革は全く抜本改革ではないということであります。
世代間格差の放置、空洞化防止対策の欠落、所得代替率のうそ、三号被保険者問題の放置、抜本的な改革はすべて先送りをされております。総理が必要性に言及した公的年金の一元化もまた先送りであります。
衛藤君は、苦しむこれらの方々の声にどうやってみずからの罪を説明するのでしょうか。もはや、黙って不明をわび、委員長を辞任するしか道はありません。委員長の座にしがみつく姿は、醜悪以外の何物でもありません。(拍手)
さらに申し上げます。この年金本体の法案だけではありません。この通常国会では、何と五兆六千億円もの巨額の年金保険料が、グリーンピアに代表される宿泊施設などの建設費用に充てられ、加入者の利益など全く考えないまま、天下りの年金官僚の懐を暖めるだけの結果に終わっていることが明らかになりました。この年金保険料のむだ遣いの責任、だれかとったでしょうか。運用主体の看板をかけかえるだけの年金積立金管理運用独立行政法人法案も看過できるものではありません。
しかし、衛藤君は、厚生労働委員長としての責務をあっさり放棄しました。公聴会すら省略したのであります。国民の声を聞かずして、どうして年金に対する国民の理解を得られるのでしょうか。全く言語道断の暴挙としか言いようがありません。(拍手)
さらには、国会議員として当然果たすべき説明責任をも放棄し、虚偽の答弁を行いました。みずからが長期にわたり年金未加入であり、最近になって法で認められる期間の追納を行っていながら、委員会においては年金に入っていると虚偽の答弁を行いました。また、マスコミアンケートは回答を拒否し、年金不信のみならず政治家不信をも助長させたのであります。
衛藤君、みずからの年金未納を隠すためにあなたは強行採決に走ったと批判されて、反論の余地はあるでしょうか。(拍手)
冒頭に申し上げたように、厚生労働委員長衛藤晟一君は、国民の不信、不安を全く顧みることなく、希望や安心を踏みにじるがごとくの委員会運営を行いました。
本改正案審議中には、このほかにも、中医協委員の汚職の問題、また、社会保険庁の職員汚職の事件なども発覚し、まさに社会保険行政への信頼が根本から揺らいでいます。法案本体のみならず、これらの疑惑解明の意思も衛藤君は委員長として全く示しませんでした。衛藤君が委員長を務める限り、本院での国民の期待にこたえる審議を行うことは全く不可能であります。(拍手)
私たち良識ある野党は、何回も衛藤君をいさめ、翻意を促し、国民の側に立つことを求めました。しかし、衛藤君は、徹頭徹尾、中立公正であるべき立場を否定し続けてまいりました。公正中立のリーダーシップを行うべき委員長が、先頭に立って委員会で虚偽の答弁を行う、こんなことで国民の信頼が得られるでしょうか。
○議長(河野洋平君) 山井君、山井和則君、申し合わせの時間が過ぎましたから、なるべく簡単に願います。
○山井和則君(続) ここに、改めて、厚生労働委員長衛藤晟一君に対する解任決議に対し、民主党・無所属クラブ及び本院の真剣なる議論を期待していた多くの国民を代表し、強く賛成の意を表明し、私の討論とさせていただきます。
うそとだましで成り立つ年金法案は、国会史上最大の汚点となります。衛藤委員長の解任を強く求めて、終わります。(拍手)