159-衆-厚生労働委員会-5号 平成16年03月17日
○衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
質疑を続行いたします。山井和則君。
○山井委員 十一時二十分ぐらいまで四十分間、児童福祉法等の改正について質問をさせていただきます。
坂口大臣におかれましては、参議院とかけ持ちで大変かとは思いますが、また質問も多いですが、どうかよろしくお願いをいたします。
また、先ほど朝九時からの青木愛議員の質問と多少重なるところがありますので、その重なるところはカットさせてもらいながら質問をさせていただきます。
坂口大臣、今回の児童福祉法等の改正に関して、大多数の自治体が怒っております。政府の地方分権のかけ声とは正反対の、地方いじめの今回の法改正には、政府は地方分権で言っていることとやっていることが正反対ではないかという怒りが非常に高まっております。このような地方の声を最初に申し上げまして、私の質問では、順を追って、先日、公立保育所や地元の役所を回ってまいりましたので、その現場の声、いや、悲鳴を伝えたいと思います。
私たち民主党は、国から地方への補助金を減らし、地方の財源を一般財源化することを主張しております。そして、地域のことは地域で決めることができる、地域主権の分権社会の確立を目指しております。しかし、今回の公立保育所などの国庫負担金をなくすということは、それに見合う税源の移譲が全く十分ではありません。これでは、地方自治体が地方分権に逆行していると怒るのも当然であります。
そこで、まず最初に、坂口大臣に改めてお伺いをしたいと思っております。
先ほどの青木議員の質問にもございましたが、本当に今回のこの法改正で地方自治体の自由度がふえると考えておられるのか。本当にこれは地方分権になっているのか。単なる財源の切り下げではないか。この件について、坂口大臣、いかがでしょうか。
○坂口国務大臣 全体の話としましては、地方自治体もできる限り自由度を持って地方で行えるようにしてほしいということは、これはもう大体一致しているだろうというふうに思います。その中でも、地方としては、自分たちがやりたいもの、欲しいもの、それからやはりもらいたくないもの、これはそれぞれ地方自治体もあるというふうに私は思っております。
知事会、あるいはまた政令指定都市の市長会、それから一般市長会、それぞれが、これは欲しい、これは遠慮しておくというものをマル・ペケで出しておみえになるわけでありますけれども、その中で三者が一致しておりましたのはこの保育の問題でありまして、ここはやってもいいという御意思はお持ちなんだろう。財源の問題は別にしまして、やるという意思につきましては、やはり自分たちの裁量と申しますか、地域に合った自由度を持ってやりたいというふうにお考えになっていることは事実なんだろうと思います。
さて、次の財源の問題でございますけれども、これは、今までやっておりましたが、そのとおりに地方に額が行くということになりますと、地方としましては一番望ましい、あるいはまた、もう少しふやしてもらえればもっといい、こういうことになるのだろうと思うんですが、国も地方も大きな財政難を抱えておりますときに、これを再建もしていかなきゃならない。その再建のところをどういうふうに今後スケジュールに乗せていくかということもあわせて、いわゆる地方分権の問題は考えていかざるを得ないんだろうというふうに思っております。
しかし、その中で、この公的保育所の問題につきましては、総務省の方も非常に気を使っていただいて、所得譲与税というものをそこに充てるということにして、そして、私はかなり総務省の皆さんともお話をいたしておりますけれども、ここは優先的に使用するということをかなり強調して言っていただいておりますから、私は、そんな大きな穴があくということはなくここはやっていけるんだろうというふうに思っている次第でございます。
そうした中で、自由度がどれだけふえるかという話でございますけれども、これから先、保育所と幼稚園を一体化していくというような話もございますし、それぞれの地方におきましては、土曜や日曜の話もあったり、さまざまな問題が起こっているわけでございますから、そうした中で、おやりをいただけることはかなりふえていくのではないか。それぞれの地域の特徴を出していただくことはでき得る。運営費等につきましても、より細かく、こちらがこれは何と何にというふうに非常に細かく決めるというようなことをやっていたわけでございますけれども、その辺のところにも自由度が今後は増していくというふうに思っております。
○山井委員 今、自由度についての答弁がありましたが、現場の保育所の方々、また役所の方々がおっしゃっているのは、財源の手当てが十分でない中でこの国庫負担金をなくすということで、本当にどうやって予算を獲得しようか、また切り詰めようか、その中で今までのサービスが低下するのではないかということで、まさに不自由度が増すという悲鳴を現場は上げておられるわけであります。
いみじくも坂口大臣がおっしゃったように、財源のことは別としましてと、そうなんですね、確かに、国庫補助金をなくしていく方向というものに関しては地方自治体は賛成である。それは、でも、税源の移譲とセットなわけであります。そのことが不十分であるということが、この法改正の最大の問題であります。
そこで、総務省にお伺いしたいと思います。
そもそもの質問でありますが、三位一体改革の理念、自立や地方分権を推進するという理念に対して、今回、一兆円の補助金を削減したにもかかわらず税源移譲は四千億円余りである。これは大きな問題であると思っております。このことは、結果的には単なる国の財政難を地方自治体にツケ回したということにしかなっていない。逆に、地方分権どころか地方いじめであると考えております。
地元の首長さんあるいは役所の方々も、税源を渡さないとだめだ、三位一体に全くなっていない、肝心の財源移譲は中途半端にして、地方交付税の大幅な削減を先行させている、分権型社会の創造や自主自立という理念が全くないという厳しい意見が出ております。
これでは全く地方分権とは言えないと思います。総務省の見解をお伺いします。
○瀧野政府参考人 今回の国庫補助負担金の見直しと税源移譲との関係についてのお尋ねでございます。
平成十六年度におきまして、国庫補助負担金につきまして一兆円規模の廃止、縮減という見直しを行っているところでございますが、その中で、事業そのものを廃止、縮減するというものが四千二百億円程度あるわけでございます。これは、地方団体におきまして事業もしないわけでございますので、それについては負担のツケ回しということはないわけでございます。残りの六千億強につきまして、精査を行い、地方団体が義務的に引き続き行うものについては十割、あるいは、その中身を見直して行うものにつきましては八割というような一定の基準を設けまして、税源移譲を行うということにしておるわけでございます。
我々といたしましては、そういった税源移譲の問題と、それから、交付税につきまして、一般財源が非常に厳しい状況になっているのではないかという問題はまた別途あるわけでございますけれども、それは、国庫補助金の見直しとはまた別に、国、地方を通じまして財政全体の健全化をしなきゃいけないという命題もあるわけでございます。
そこら辺のところは、地方団体におきましてもなお財政の健全化に努力していただかなきゃいけないというふうに思いますが、全体の財源といたしましては、交付税の基準財政需要額の中にきちんと必要な経費を見込みまして、標準的な仕事につきましては地方公共団体ができますように、財源は確保したつもりでございます。
ただ、それはマクロでの話でございますので、個別の地方公共団体におきまして、財政が非常に厳しいというところも当然出てくる可能性がございますので、そこのところは、地域再生事業債等個別の手段で、個別に地方公共団体の皆様方のお話を聞いて対応していきたいというふうに考えております。
○山井委員 小泉改革は、そもそも地方を軽視しているということで今までから指摘されておりましたけれども、地方軽視、さらに、こういう小さな、弱小の自治体をますます苦しめる改革であると思います。
そこで、坂口大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、これは青木議員の質問とも重なることですので、ちょっとまとめてお伺いをいたしますが、保育料の問題とサービスの質の問題であります。
今までのこの法案に関する答弁を聞いておりますと、保育の質は落ちない、予算は確保している、財源不足は生じないという答弁のオンパレードなわけであります。しかし、大臣も地方自治体や保育所の現場に行かれればすぐにおわかりになると思いますが、現場の危機感は非常に強いものがあります。
まず、先ほどの青木議員の指摘にもありましたように、ただでさえ保育料が非常に高い、そんな中で苦しんでおられる御家庭が非常に多い中で、今回の国庫負担金がなくなって財政が厳しくなる中で、保育料の値上げにつながるケースがふえるのではないか。もう実際、保育料を値上げし始めているところもあるということなんですね。
このことに関して、坂口大臣、今後保育料は上がっていかないんだということをこの場でお約束していただけるでしょうか。
同時に、現場の声は、財源が十分に担保されていない、ないそでは振れないという中で、予算が削られれば子供主体の保育はやっていけなくなる。保育料が高くなって、結局はサービスの質が低くなるだけじゃないか。保育のプロの正職員から臨時職員にかわっていく。それで、延長保育をやっているケースなどですと、朝の八時から晩の七時まで、一日に三人も四人もころころと保育士が入れかわるということもこれからどんどんふえてくるのではないか、そういうことは結局は子供にとっていいことではないのではないか。また、これからいろいろな、児童虐待の問題もふえてくる中で、家庭支援も充実させたい、そのためにはもっと保育士に研修も受けてほしい、親と一緒に子育てができるようにしたい。
そういう現場の思いがある中で、今回の財源カットというのは非常に厳しい危機感を現場に与えております。具体的には、例えば特別保育対策について、公立保育所は、二七%が延長保育、一時保育が一一%、そして障害児保育は三三%されているわけであります。これも青木議員の質問と重なりますが、こういうふうな特別保育対策というものに関しても、今回の法改正を機に、結局こういうサービスを低下させるということになるのではないかという危機感が現場には非常に強いんですね。
この二点、保育料の値上げがふえるのではないか、そして、サービスの質や労働条件が悪化するのではないかということに関して、責任者である坂口大臣、改めて明確な答弁をお願いしたいと思います。
○坂口国務大臣 私はそういう心配をいたしておりません。
保育所の利用料というのは、これは保育所徴収金基準額表というのがあるのはもう御承知のとおりでございまして、これにのっとって今までやっている、地方自治体はそれにのっとって条例をつくっていただくということをやってきたわけであります。私立の保育所は今までどおりこの基準でいくわけでありますから、もし仮に公的な保育所が、いや、うちだけは高くしますよというようなことになったら、お子さん方は私立の保育所に流れると私は思いますね。だから、現実問題としてそういうことはでき得ない。
しかも、地域における市町村の保育所というのは、今までから、国が決めておりましたこと以上に、いろいろそこに上乗せをして拠出等もしていただいていた経緯もあるわけですね、御熱心なところによっては。ですから、そういう保育を大事にしていかなきゃならないということを市町村長さんが十分理解し、そして今後もやっていきたいというふうに思われるところは、私は全くそういうことはあり得ないというふうに思っております。
保育の内容についてでございますけれども、例えば時間外の保育をする、あるいはまた休みのときの保育をする、こうしたことも今までお願いをしてまいりましたが、これは私立の保育所の方がより積極的にお取り組みをいただいてきたことの方が多いと私は思っております。
したがいまして、そうしたことにこれから公的な保育所がどうお取り組みいただけるかといったことが大事なことでございまして、それこそこれは自由度の増してくることでございますから、そうした地域に合いましたサービスというものにお取り組みをいただけるものというふうに私は思っている次第でございます。
先ほど総務省からもお話がございましたとおり、大枠での話は先ほどのとおりでございまして、それぞれの個々の市町村について、それぞれの人口構成の問題等で特徴がございましょう。そうしたところにつきましては、個々の市町村とよく御相談させていただいて対応するということを言っていただいているわけでありますから、もし仮にそういうところがあったとすれば、それは個々に御相談をひとつぜひしていただきたいというふうに思っております。
○山井委員 保育料が上がる心配はしていないということでありますが、私は、残念ながらそれは現場の危機感と大きくずれていると言わざるを得ないと思います。現場ではそういう危機感が本当に高まっているわけであります。
さらに、民間と公立が両方あったら公立だけ上げられないんじゃないかということに関しても、例えば公立保育所しかない自治体も当然あるわけであります。また、今まで単費の財源で上乗せサービスをやっているところもあるということですけれども、まさに今回の三位一体改革でこの保育財源が切り詰められている中で、それを縮小する方向に行くのではないか。自由度が高まるというのは、そういう、特別保育対策をふやす自由度が高まるのではなくて、減らす自由度が高まってしまうのではないかというふうに思っております。
それで、心配をしておられないということですが、今の発言は私は非常に重いと思うんです。改めてお伺いしますが、保育料が値上げになる、あるいはサービスの質が低下する、労働条件が悪化する、そういうことはなかろうというふうに大臣は思われますでしょうか。短くて結構ですので。
○坂口国務大臣 私はそう思っておりますが、私だけが答えておりましては十分に納得できないということでございましたら、もう一度総務省の方にひとつお聞きをいただきたいと思います。
○山井委員 私は、ある意味で坂口大臣の期待だと思うんですね。頑張っているところは頑張ってくれるというようなことであって、しかし、一般の自治体ではなかなかこれは厳しい。
先ほど後ろで、伍藤局長のお顔を拝見しておりましたら、坂口大臣の答弁を聞きながら、ううん苦しいなという顔をされておられました。やはり内心では、これはよくなる自由度より悪くなる自由度が大きいなと。だから、悪くはなりませんということをこの場で堂々と言えない。本当だったら、胸を張って、よくなる改革ですよということを言っていただきたいわけですが、そうではないわけですね。ですからこそ、私たちも賛成ができないわけです。
また、このことに関しては、時期の問題、予算編成がもう大詰めになっている年末になって急にこういう改革を持ち出してくる、そしてまた地方交付税の額が決まるのも年明けということも、まさに地方軽視であると思います。
総務省に改めてお伺いしたいと思います。
例えば、特に小さな自治体にとっては、今回の改革は非常に厳しいものがあって、ある自治体では、この公立保育所に対する国の補助金が九千万円だったのが三千万円になった、六千万円カットされた、そして交付税は六千万円も全然ふえていないという現実があるわけです。
これに関しては総務省の答弁は、保育に関しては基準財政需要額と所得譲与税の中でしっかりと担保しているという答弁になるんではないかと思いますが、実際、今回の地方交付税の計算で削減された人件費の部分についても、すぐに職員の数を減らすわけにもいきませんし、また、公共事業の単独事業のカットの部分に関しても、長期計画でやっている部分もあって、急に減らすことは困難なわけですね。
結果としては、お金には色がないわけですから、計算上減らした総務省が考えている部分は減らず、結局はこの保育の財源にしわ寄せが行くんではないかと思っております。結局、要は子供にしわ寄せが行く、国の失政のしわ寄せが地方に回って子供に回るだけというふうに思います。さらに、大都市は税収も多いので何とか吸収できる面もあるかと思いますが、税収が少ない小さな都市や田舎は大変だと思います。
この件に関して総務省にお伺いしたいと思いますが、時間にも限りがありますので、もう一個、まとめて総務省にお伺いします。
これも質問通告しておりますが、こんな中で、合併を推進する合併関連三法案も提出されまして、三位一体改革とも相まって、今までかなり地方交付税に多くを頼っていた弱小自治体は、非常に苦しくなってくると思います。地方交付税が減らされたり段階補正が変わる中で、小さな自治体は致命的な打撃を今受けているわけです。
そこで質問なんですが、それによって合併していったらいいじゃないかというのが総務省のお考えだと思いますが、確かに、合併したらいいという意見もあるかもしれませんし、実際、私の知るある小さな自治体では、合併したいということで町を挙げて合併のために動き出しているにもかかわらず、ほかの自治体がなかなかうんと言わないというケースもあるわけですね。だから、合併にノーと言っている小さな自治体と、合併のために動いているけれどもそれがうまくいかないという自治体とは、ある意味で、段階補正や地方交付税の削減などに関しても多少の配慮や差をつけるべきではないかと私は思うんです。
質問が多くなりましたが、まとめて答弁をお願いします。
○瀧野政府参考人 まず、今回の国庫補助負担金の見直しに伴います所得譲与税等の配分があったといたしましても、そういったものに差が出て十分な財源が補てんできないのではないかというようなお話でございますが、そこら辺のところは、私ども、交付税の算定上、きちんと必要な需要を需要額の中に入れまして算定しようというふうに思っておりますし、そのために、保育対象人員につきましてきちんと把握をいたしまして、密度補正という形で市町村ごとに応じた算定をしたいというふうに思っております。
交付税総額が減っている中で、そうはいっても厳しい状況になるではないかという御懸念かというふうに思いますが、実際、公共事業等につきましては、地方財政計画等で見込んでおります額に対しまして、現在、地方公共団体が実施しております地方単独事業の額というのは相当下回っておるという実態もございます。そういう面で計画額の見直しをせざるを得ない、その中で交付税の縮減をせざるを得ないということでございますが、そういった公共事業等あるいは人件費の縮減等とこういう保育所の問題とを、我々としては算定上はきちんと峻別をしてやっていきたい、必要なものはきちんと算入していくというふうに考えておるわけでございます。
それから、そうはいいましても、小さな合併できないような厳しい団体はどういうことになるのかという御懸念でございますが、我々、段階補正等、合併との関係でいろいろなことをしておりますけれども、それはあくまでも合併をする団体に対しましてインセンティブを与えていこうということでございまして、合併をしないからといって交付税でむちをもって締めつけるというふうなことはしておりません。あくまでも合併は自主的な合併という中でございますので、合併できないという団体におきましても標準的な行政ができますように、きちんと財源手当ては交付税等を通じましてやっていきたいというふうに考えております。
○山井委員 実際、この三位一体改革や地方交付税の見直しの中で、小さな自治体は財政的に本当にやっていけないという厳しい危機感を迎えているわけであります。それに対して、今の答弁というのは、国としての言い分であって、地方自治体の現場の切実な状況と大いに食い違うと私は思います。
そこで、正直言いまして、去年、ことしと、こういう議論が委員会で実は多いんですね。一般財源化する、サービスが落ちませんか、大丈夫です、財源を確保してありますから大丈夫です、こんなやりとりをここ一、二年ばかりこの委員会でも実はやっているわけです。
そこで、私、一つ、去年のちょうど今ごろも同じ質問をしたんですね、そのことでお伺いしたいと思います。これも坂口大臣にお願いしたいと思います。
実は、去年の今ごろ、要は、年末に、市町村障害者生活支援事業及び障害児(者)地域療育等支援事業という、障害のある方々が地域で暮らすためのコーディネーター事業が急に一般財源化されて大問題になった。それで、百人以上の障害者の方々が厚生労働省の前に座り込みをされたということがあったわけですね。このことは坂口大臣も御記憶かと思います。
そんな中で、私も、これは一般財源化されて大丈夫なんですかということを質問させていただきました。そうすると、一般財源化されたがどういうことかという私の質問に対しまして坂口大臣は、こういう事業は今まで特定の市町村がおやりいただいていた、それで、これからやってもらえる市町村をだんだんふやしていこうという趣旨で一般財源化したという答弁をされているわけなんですね。
あれから一年がたちました。この趣旨どおり、その市町村の数がどれだけふえているのかということについて、坂口大臣に答弁をお願いします。
○坂口国務大臣 これは実際の数字でございますから、数字を申し上げる以外にないわけでございますが、市町村障害者生活支援事業と、それから障害者あるいは障害児地域療育等支援事業、これにつきまして一般財源化を行ったわけでございますが、市町村障害者生活支援事業につきましては、前年度から七十二カ所ふえまして三百七十四カ所になっております。それから、障害児(者)地域療育等支援事業につきましては、前年から六十六カ所ふえまして五百三十六カ所になっているということでございます。
平成十六年の実施予定を調査いたしておりますが、今のところ集まってきております数を申し上げますと、これは市町村障害者の方でございますが、対前年度二十四カ所、それから障害児の方につきましては四十四カ所増で、増加の予定となっております。
○山井委員 要は、私が言いたいのは、一般財源化で伸び率が鈍っているじゃないですかということなんですよね。一般財源化してより多くの自治体ができるようにという厚生労働省の一年前の説明と逆じゃないですか。
例えば、この表を見てもらうとわかりますように、まず、市町村障害者生活支援事業、平成十一年、十二年と何パーセントの伸びで伸びているかと私計算したら、十二年にかけては四六%伸びて、十三年に対して三四%伸びて、十四年度に対して四〇%伸びて、十五年に対して二四%と、どんどんどんどん伸びているわけです。ところが、一般財源化された今年度においては六%の伸びしかしていないわけですよ。要は、この事業の普及にブレーキがかかっているんじゃないですか。推進じゃなくて、ブレーキじゃないですか、一般財源化は。
それと、もう一つの療育支援等の事業に関しても、十二年度、十三年度でいくと、十二年度に向かって二九%ふえて、十三年度に向かって二九%ふえて、十四年度に向かって二一%ふえて、十五年度に向かって一四%ふえて、そして一般財源化されたら八%の伸びと。
要は、このことから考えたら、一般財源化というのはやはり財政を切り詰めるということに、厚生労働省の見解、総務省の見解は財源をつけていますといっても、実際の自治体に関してはこういう現状になるということなんですね。これと同じことが保育に関しても起こるんじゃないでしょうか。坂口大臣、いかがですか。
○坂口国務大臣 全体の市町村の数というのは決まっているわけでありますから、だんだんとふえていく率というのは、それは上限があるわけですから、そんなに突き抜けてふえていくわけでは決してありません。
ですから、そこは若干カーブは描いてくるというふうに思いますが、しかし、ふえていることは紛れもない事実でございますし、そして、各都道府県あるいは市町村におきまして、やはり障害者の問題を考えていかなきゃならない、そういう雰囲気が全体に広がったことは事実でございますし、今までおやりになっていなかったところが、これはやはり自分のところもやらなきゃならないというお気持ちになっていただいていることは、もう事実だと思うんです。
ただ、そこを正式に立ち上げるかどうかということについては、例えば市町村長さんのお考え方にもよると思いますし、地域のお考え方にもよるというふうに思いますけれども、全体として伸びていることだけは間違いがございませんし、私は、これからも伸びていく。
その中でどれだけの仕事ができるかということにつきましては、それはいろいろの御疑問もあろうと思いますし、また御不満もあるかもしれない。しかし、スタートをさせるということをちゅうちょするということには私はならない。これは、スタートをとにかくして、その中でそれをどう実現させていくかということになってくるんだと私は思います。
○山井委員 ここは大事なところだからもうちょっと議論したいと思うんですが、伸びているとおっしゃっているわけですけれども、伸び率は鈍っているんですよ。
ほかの聞き方をしましょう。一般財源化は伸び率を上げる効果があったと思われますか、伸び率を下げる効果があったと思われますか、大臣は。
○坂口国務大臣 伸びているんです。伸びているんですが、市町村の数というのは決まっているわけでありますから、その中で新しくしていくというところは、最初のころはどんどんと手を挙げてくるところが多いということは事実でありまして、どういう施策を見ましてもだんだんと、伸びてはいきますけれども、伸び率はやはりなだらかになっていくというのはどのことでも見られるところでありまして、一般財源化したことによって伸び率が落ちたというふうには私は考えておりません。
どこでもできるようにこれはなったわけでありますから、その内容、いわゆるその質はどの程度かということはあるというふうに思いますけれども、私は、やろうと思えばそれぞれの市町村がおやりいただけるわけでありますから、それはそれを抑制する要因になるとは考えておりません。
○山井委員 ここはこれ以上議論はしませんが、これはもう客観的に見て、明らかに伸び率が鈍っているわけですよね。この事実は認めていただきたいと思います。
それで、まさにこの障害者の地域の生活支援というのは重要なことで、伸び率鈍ったではだめで、本当はもっともっと伸ばしていかないとだめなことなんですよね。
これに関連して、先日も中根議員が、障害児保育にかかわる三十二億円の補助金が一般財源化された、このことに関しても質問をされておられました。このことが全部普及のブレーキになっているんではないかという危機感を私たちは持っているわけですね。
そこで、今の支援費のことについて、坂口大臣、改めてお伺いしたいんですが、先週金曜日の発言の中で坂口大臣は、今回はまだ一般財源化の始まりだ、今後もっともっと進んでくるだろうということをおっしゃっておられました、三位一体改革の中で。
そこで、もう一歩踏み込みますと、じゃ、例えばこの障害者の支援費も、今後やはり一般財源化になる可能性というのはあるとお考えでしょうか。坂口大臣、通告ないですが、どうぞ。
○坂口国務大臣 先日もお話し申し上げましたとおり、厚生労働省のいわゆる補助対象というのは全体の中で半分を占めているわけですね、トータルな話ですよ、トータルな話としましては、二十兆の中の半分を占めているわけですね。ですから、今後一般財源化を進めていくということになってくれば、この厚生労働省が抱えております範囲の中も、これは一般財源化に進めていかざるを得ない。これは、現在の政権がやりましても、民主党政権ができまして民主党政権がおやりになっても、ここは同じことだと思うんです。
これはなかなか、御指摘いただきますように、国保であり、介護であり、生活保護であり、そして障害者の問題であり、そしてこの保育の問題であり、大体これで九五、六%を占めるわけであります。だから、その中でどこを順序をつけて拡大していくかということになってくるというふうに思います。
今のところ、この検討はどうかというのは、生活保護をどうするかという問題が今俎上に上っておりますけれども、それ以上のものが今上っているわけではございません。現在のところはそれ以上はございませんが、来年の介護保険の問題等々と絡めまして、この障害者の問題というのはもう一度またそこで考えなきゃならないときが来るのではないかというふうに思っております。
○山井委員 もう一言お伺いしたいんですが、今、こういう一般財源化ということが障害者福祉にも及ぶ可能性を否定はされませんでした。私も心配しておりますのは、やはり、障害者福祉も将来的にこういうことの直撃を受けるんではないかという心配を持っております。
そこで、もしこの支援費制度、障害者福祉に関して一般財源化されたときに、障害者福祉あるいは支援費制度というのはもつんでしょうか。坂口大臣、いかがですか。坂口大臣、どうぞ。続きの質問ですので。
○坂口国務大臣 もつかもたないかという話ではなくて、これは地方にゆだねるべき問題かどうかということを中心にして考えるんだろうというふうに思います。
今の御懸念は、財政上の問題が大丈夫かという話になるわけだと思うんですね。そこのところを今までどおり一般財源の中でやっていくか、それとも何らかの保険制度の中でそれは見ていくか、あるいはまた、障害者の問題につきましては特別な税制というものを考えていくか、それは私は考え方はいろいろあるんだろうというふうに思っております。
それらの点を整理を少ししなきゃいけない。いつか申しましたとおり、保険でということになりますと、いわゆる企業で、経営者とそこに働く人たちにすべておんぶにだっこしてしまうということになってしまう。それはすべてそこにしていいのかという疑問も確かにあるわけですよ。やはり、職域連帯でお願いをしなきゃならないものと、そうでないものとの区分というものも必要になるわけでございますから、すべてのことを今までのいわゆる介護なら介護の保険制度の中だけでやっていくということができるかどうかといった議論もあると思いますから、よくそこは議論をして決めなきゃならない問題だというふうに思っております。
○山井委員 時間がもうそろそろ来ますので、最後に森副大臣にもお伺いしたいんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、まず一つ指摘の説明をさせてもらいたいんですが、介護保険の認定の事務費も一般財源化されまして、これに関して意見だけ言っておきますと、こういう全く自由度がないものを一般財源化するのは、本当に国の財源の足りないもののツケ回しにすぎない、そういう非常に厳しい意見が地方自治体から出ております。これについては、もう答弁は結構です、時間が余りありませんので。
最後に、私の住んでいる京都は今、鳥インフルエンザで非常に大きな問題になっておりまして、このことに関して、月曜日に私たち民主党は、高病原性鳥インフルエンザ緊急措置法案というのを民主党の案として出すことを決めました。
その中で、厚生労働省に関することについて森副大臣にお伺いしたいんですが、人への感染の可能性というのは当然低いと言われておりますが、やはり万が一のケースを想定して、人に対するワクチン開発を行っていく必要性があります。その現状、それと、人に感染した場合、どのような症状が出るのか、そして、どのような対応をとるのか、そのことについて、森副大臣、最後に答弁をお願いします。
○森副大臣 今、山井委員からお話がありましたとおり、この鳥インフルエンザに関しては、人への感染の可能性というのは非常に薄いわけでありますし、また、これまでベトナムとかタイとかで三十四例、鳥から人に感染した事例がございますけれども、これはすごい濃厚接触した人ばかりだということを、あらかじめ念のために申し上げておきたいと思います。
さはさりながら、これはおさおさ油断するわけにはいきませんので、今、鋭意そのワクチンの開発に取り組んでおります。これは、鳥インフルエンザが人にうつって、そこでまた変異をして、またその次に人にうつる場合に備えてのワクチンでございますけれども、WHOの主導のもとで、ベトナムの感染者の検体から分離されたウイルスを用いまして、国立感染症研究所を含む世界四研究機関において、弱毒化ワクチン株、すなわち毒性の弱いワクチンの種というか株をつくるための研究開発を今行っているところでございます。
まだ実際にはその開発に成功したわけではございませんけれども、その四研究機関で同時並行的に行っておりまして、また、その完成までには、安全性、有効性などを確認する必要があるので、やはりどうしても一定の時間を要するということは避けられません。そんなことで、厚生労働省としては、開発の期間をできる限り短縮できるように督励をしているところでございます。
また、もう一つありました、どういった症状が出るのかということでありますけれども、WHOがベトナムの症例を公表しております。これによりますと、三十八度以上の発熱、息切れ、せきなどが主な症状でありまして、すべての患者にリンパ球減少と胸部レントゲンで異常が認められるということでございます。
これは一般のインフルエンザと大体同じようなことでもって、普通の専門家のお医者さんが診れば、いろいろな、鳥インフルエンザが起こる可能性のある人とか、そういう諸条件を勘案すれば判断ができるもので、かつ迅速診断キットで判定ができるということでございます。
○山井委員 もう時間が終わりましたので質問を終わりますが、最後に一言申し上げます。
私、この審議を通じて痛感するのは、質問をしても、財源は確保されている、一般財源化でサービスはよくなるんだ、ふえるんだと言うことは、私は正直言って、現場や地方自治体に対して非常に不誠実だと思うんですね。それよりも、はっきりと、国も財源が厳しいから、財源はちょっと減るかもしれないけれども頑張ってくれ、そういう、ある意味でメッセージを政府が出される方が、私はより本当だと思います。そういうことをしないで、財源はつけたからあとは自治体の責任だということを、実際には財源が足りないにもかかわらず言っている、そのこと自体が、現場や地方自治体に対する政治不信を招いていると私は思います。
以上で質問を終わります。