○山井分科員 民主党の山井和則です。これから三十分間質問をさせていただきます。
河村文部大臣におかれましては、昨年十二月十八日の宇治小学校での傷害事件のときに、いろいろ、いち早く対応していただきまして、本当にありがとうございます。また、政務官、副大臣を経て、今回満を持して大臣になられたということ、また、今までから、スペシャルオリンピックなどの知的障害者の方々の支援の活動も非常に力を入れてこられたということで、非常に敬意を表しております。
そこで、きょうは、前回、副大臣であられたときにも一度質問をさせていただきましたが、障害児の方々の学校への門戸開放ということについて質問をさせてもらいたいと思います。もちろん小中高すべてに、そしてあらゆる障害の方々、子供たちに門戸を開くべきでありますが、きょうは、特にその中で、高校への知的障害のある子供たちの門戸開放ということについて、絞って質問を前半させていただきたいと思います。
資料を二つ、調査研究校になっております大阪の阿武野高校の「共に学びそして育つ」という資料、それともう一枚、新聞報道も資料としてお配りをさせていただきました。また、きょうは、知的障害のある子供たちの保護者の方々も傍聴にお越しになっております。
私も、学生時代、福祉施設でボランティアをして以来、かれこれ二十年ぐらい福祉の問題に取り組んでおりますけれども、つくづくおかしいと思うのが、やはり社会の中には数%の障害のある方々がおられる、しかし、学校教育の中では往々にして、そういう障害のある方々が、正直言って排除されているということがあります。
やはりそういう教育現場の中で接したことがない、その子供が大人になったときに、障害のある方々と接して、どう接していいのかわからない、自分と違う人たちだということで近づきがたく感じるということは、ある意味で、残念ながら、そういう傾向も出てきて仕方がないと思うんですね。そういう意味では、本来、障害のある方々と交流して過ごすのが健全な社会なわけですから、早急に、障害のある子供たちが一般の児童とともに学べる体制というのはつくっていくべきだと思います。
そこで、まず最初にお伺いしたいんですが、高等学校への知的障害のある子供たちの入学について、もっと門戸を開くべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 基本的に、知的障害者の皆さんも、健常者の皆さんが一緒に学べる場というもの、ノーマライゼーションの考え方、そういう方々が何%かあって自然だという考え方、私は、これは理念としてとうといものだというふうに思っております。
ただ、障害のある生徒が高等学校に入ってこられた場合に、健常者と一緒の場合の問題については、これはどうなんでしょう。今度の特別支援教室の考え方等もありまして、本人にとっても、高校教育ですから、高校教育を受けるにちゃんと履修できるかどうかという点も、これはやはり配慮の中に含まざるを得ないと思うんですね。だから、特別教育を受けなきゃいけない部分は別の時間をとらなきゃいけないようなことがございます。その辺をどう考えるかということは、やはり判断せざるを得ない状況があります。これを単なる排除と考えるのか、本人のためにとってどちらがいいのかという考え方。
しかし一方では、健常者の方にとっても、こういう方があって、ともに学んで、またそのことから逆に、それを一つの個性として見て、教えられる部分もあるんですね。教育的な観点も非常にあります。
だから、そういうことを総合的に考えていかなきゃなりませんので、後期中等教育の中での積極的な社会参加、自立、これができるような教育を考えていくという点からいきますと、これは健常者と一緒の形のもの。そして、我々の方で今進めておるのは、養護学校の高等部の整備を図っていかなきゃいかぬ、こういう課題も抱えております。
これは保護者の皆さんのいろいろな御要請もあるわけでございまして、それを受けとめながらこの対応をしていかなきゃいかぬと思っておりまして、押しなべて、高校教育の中でこれをどういうふうに取り上げていくか。
私は、低学年のときと違って、高等部に行くほど、本人のそうした専門的な教育を受ける部分も出てくるんではないだろうか、こう思っております。今、文部科学省の総合的な考え方としては、養護学校高等部の整備をまず考えなきゃいかぬだろうという考え方に立っておりますが、一面、山井委員御指摘のような観点からの教育、これをどういうふうにしていくかということについて、我々はやはり総合的な判断を持って、受け入れについては考えなきゃいけないだろう。
私も、どこまでこれを受け入れることにするのか、押しなべても、そういうものがあって、その中でも教育を一体としてやると考えるのか、やはりこれは考える課題だろうと思いますね。私は、その考え方の、許容の範囲というのがあってしかるべきだという考え方を持っておりますが、現実に学校現場でどう取り入れていったらいいかということについては、やはりいろいろな考え方を整理しなきゃいけないんではないか、このように思っております。
○山井分科員 今、大臣の答弁の中で、一般の高校に行くことが知的障害のある子供たち本人にとっていいのかどうか、学校についていけるのかどうかというような趣旨のこともありました。
私は、そこで思いますのは、やはりこれは選択の問題だと思うんですね。御本人さんや親御さんがそれを望まれるならば、やはり選択肢として、そういう選択肢はあるべきだ。もちろん、御本人や親御さんが養護学校の方がいいと判断されたらそれでいいんですけれども、今の問題点は、もしその場合、御本人や親御さんが普通学校に行きたい、高校に行きたいと言っても、その選択肢がないということなんですね。
現在は、そのケースは、調査研究校としては大阪府で六校、大体二十人ぐらいしかないわけですけれども、例えば、横須賀でのある調査がありまして、そこで知的障害のある子供たちの保護者に聞いたところ、四人に一人、二五%の保護者は、やはり高校は普通高校に通わせたいというふうに考えているわけですね。裏返せば、七五%はそう考えていない。その考えていない方は養護学校に行ってもいいけれども、やはり四人に一人の保護者はそう考えているんだったら、その選択肢があってしかるべきではないかと思います。
また、一般の高校でなく養護学校の高校に自分の子供を入れたいという保護者に関して、なぜそう選びましたかというアンケートに対しても、五五%、半数以上の方が、受け入れているところが養護学校以外にない、選択の余地がないというふうに答えているわけですね。私は、やはり公的責任として、選択肢は当然つくるべきであると考えております。
それで、大阪府で今、調査研究が行われておりまして、そのことについて、ちょっと時間が押してきましたので、私が、どういうことになっているか、読ませてもらいたいと思うんです。
例えば、大阪の松原高校の二年生の知的障害のあるお子さんは、こういう感想文を書いておられます。これは一般の高校に通って、「私は、学校が楽しいと思っている。一番楽しいのは休み時間が楽しいなと思っている。それは友達がいっぱいいるからです。」「体育の時とかも「いっしょにいこう」とかいってもらえたり、私がなやんでいるときに、「どうしたん?」と聞いてくれたりするので、嬉しいです。みんなに知ってもらいたいのは、私は、みんなのようにたくさんおしゃべりはできません。でも友達と一緒にいるだけで楽しいと言うことです。」ということを御本人さんが書いておられます。ある意味で、勉強についていけなくても、やはり高校に行って楽しいと。それで、このお子さんは、「将来は、保育士になりたいという夢があります。夢をかなえるのはむずかしいかもしれません。みんなも応援してください。」ということを書いておられます。
次に、それに対して、クラスメートの人はどう書いているか。西成高校という調査研究校の一年生です。「私とCちゃん」Cちゃんというのは知的障害のあるお子さんなんですが、「私とCちゃんが出会ったのは、この学校へ入学してからです。最初はしゃべりかけるのがむずかしかった。しゃべってもオーム返しが多くて、話し方がちがうのかなと思いました。でも、しゃべっていくうちにだんだん話し方もわかってきて、しゃべるのが、今では、たのしいコミュニケーションをちゃんとできている感じで、しゃべる事だけでなく、一緒にご飯を食べたり、遊んだりしてすごく楽しいです。」「それに、勉強も教えあいをするし、たのしいです。私らがCちゃんに英語や数学を教えてあげ、Cちゃんは、私が思っているだけかはわからないけど、障害者関係や福祉関係を、おしえてくれないけど、気持ちが伝わってくるような気がします。これもCちゃんとであったおかげかなと思います。」やはり学んでいられることが非常に多いわけですね。
また、保護者はどう思っておられますかというと、ある保護者は、Yさんのお母さんです。
中学校を卒業して高校は、私の子供はどうするかという話になって、普通高校に行けるはずがないからいいと思っていましたが、受け入れ高校があると聞き、入学しました。「クラスのみんなと一緒に過ごす一日は、息子にとってよい刺激で、自分もみんなと同じように勉強したり、話をしたりするのが楽しいようです。そんな姿を見ると、入学させて本当によかったと思います。体調のことや、みんなと同じ勉強ができなくても、クラスの中にいるだけでも、本人なりの成長をしていってくれると思います。」「この先も受け入れのできる学校をふやして、一人でも多く息子と同じように学校生活を送ってほしいと思います。」これが保護者の思いです。
それとともに、その担当となった教員の方のコメントです。
障害のある子供が親から殺されたり、また虐待を受けたりするということは今でも多い。もしも、この調査研究校のように、クラスに知的障害のある仲間がいたという生徒が障害者の親になったとしたらどうだろうか。私の考えだが、最悪の事態にはならないと思う。「福祉の時代になり、本校の生徒も多く、福祉の職場を進路として選ぶようになった。しかし、そのような生徒の多くは、在学中に障害のある生徒と積極的にかかわったり、ボランティアなどに参加したりして、そこから進路を考えるようになった」ということを書いておられます。
かく言う私も、大学時代、酵母菌の研究者をしていたんですけれども、学生時代、ボランティア活動で福祉施設でボランティアをして、そこで子供たちと出会って、福祉をよくするために政治家になろうとまで決意をしたわけなんですね。
そういう意味では、本人も喜んでいる、親御さんも非常に喜んでいる、クラスメートも非常に多くを学んだと言っている、教員の方も効果は大きいと思っている。これだけ多くのいい効果が出てきたら、それはやはり、全員とは言いませんけれども、中には本人や保護者の中で、大阪だけじゃなくて私の地域にもこういう学校に行けたらいいなと思われるのは当然だと私は思うんですね。
例えば、横須賀では、三年間ぐらいこういう運動をされても、まだまだこういう調査研究校という制度はスタートしないわけです。また、文部科学省の重点施策実施五カ年計画の中でも、成人国民の五〇%に共生社会を周知させるという目標を定めているわけですけれども、こういう意味でも、一緒のクラスにいるというのは非常に重要だと思います。
そこで、結局、地元の教育委員会や学校と話してもなかなか進まない。そのためには、やはり文部科学省が、こういうのはいいことだという方向性を示していく必要があると思います。改めて河村大臣、いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。
○河村国務大臣 今、例をお引きになりましたそういう現場で、知的障害のある人たちと健常者との交流の中で、学びがあると私は思いますよ。これは、それぞれの教育委員会あるいはその学校においての校長の感性の問題だと思いますね。判断をしていただかなきゃなりません。
私は、全国一律にという、今そこまでいくのはまだ、受け入れの方があるかもしれませんが、それぞれの県あるいは地域において受け入れ地域をつくっていく、そういう希望のある方はそこへ。そして、やはりそういうことに理解のある、まあ、最初のうちは、今全体がまだそういうことになっていないこともありますから、先進的な取り組みも参考にしながら、全国的にそういうことを展開していって、希望される方があれば、それぞれの教育委員会、少し広域になってもしようがないと私は思うんですが、受け入れ学校があるということは望ましいことではないか、私はこう思います。
今の御指摘の点を踏まえて、現実に調査研究もいたしておりますし、大阪府の取り組みもございます。そういうものをぜひ我々の方もこの段階を踏まえて検討してみたい、こういうふうに思います。
○山井分科員 先日、河村大臣の所信の中でも、吉田松陰の「意を決して之を為す」という言葉を引いておられましたが、やはりこれは文部省のリーダーシップ、そして文部科学省のリーダーシップということは河村大臣のリーダーシップに一にかかっていると思います。ある意味では、これは日本の社会の一つの悲願であります。やはり障害のある方々と共生社会をつくっていく。ぜひとも、河村大臣のリーダーシップを発揮していただいて、大阪しか調査研究校がないというのではなくて、全国の都道府県で調査研究校があるというふうにやっていっていただきたいと思います。
それで、質問が前後しますが、局長にお伺いします。
ちょっと時間に限りがありますので、最初の質問をはしょりまして、このような知的障害のある子供たちの高校への受け入れを学校教育法の中に明確に位置づけるべきではないかということと、同時に、きょうの資料にもありますが、知的障害のあるお子さんたちをどれぐらい学校に受け入れているかという全国のデータがないんですね。このデータをぜひとも収集して、公表してもらいたいと思います。この二点、お願いします。
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
知的障害児受け入れを法律上明確に位置づけてはどうか、こういうお尋ねでございますが、特に障害のある生徒の高等学校への入学につきましては、それぞれの高等学校の校長が、生徒の障害の程度等を考慮しながら、当該高等学校の教育を履修できるに足る能力、適性等があるかどうか、こういう観点から判断すべきものであろうかと思っておりまして、知的障害のある生徒の高等学校受け入れについて法律上位置づけるということまでは私ども今考えていないわけでございます。
それから、現在、私ども、高等学校に在籍する知的障害者数の数につきましては把握をしていないところでございます。この実情につきましては、少し各県からいろいろとまたお話などを承ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○山井分科員 ぜひとも、その調査結果を教えていただければと思います。
時間がありませんので先に進みますが、私は、やはり気になるのは、これは学校の校長先生や地域の教育委員会の判断だけの問題ではないと思います。繰り返しますが、これだけいい結果が既に出ているわけです。それで、五年、十年先じゃなくて、実際今、一般の高校に進みたいとおっしゃっている親御さんなりお子さんがいらっしゃるわけですよね。五年後、今から入れますよと言っても遅いわけです。
やはり、そういう意味では、選択肢を確保するというのは国の責任であると私は思っております。ですから、そのことは地方任せにせずに、国のリーダーシップをぜひとも発揮していただきたい。この問題、私は今後も取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
次に、宇治小学校の傷害事件のことに移らせていただきます。
十二月十八日に、包丁を持った男が宇治小学校に乱入し、小学校一年生の児童二人に切りつけ、けがを負わせた。実は、私の家の近所であります。これに関しては、マニュアルの限界、人手が必要であるということ、機械化の限界ということなどが明らかになっておりました。池田小学校の事件も含め、こういう事件が最近頻発しているわけですけれども、文部科学省として、このような再発防止をどのように考えておられますか。大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 宇治小学校のケース、その前の池田小学校のケース、池田小学校の事件が起きたときに、再びこういうことが起きないようにということを考えてやったはずですけれども、まだそういうことが起きているし、現実にはまだ、子供たちの登校、下校のときにいろいろ問題も起きているという現状がございます。
これではということで、御案内のように緊急アピールも出しまして、マニュアルをもう一度確認してもらう。しかし、これは学校によっても、地域性が非常にございますので、それぞれの地域で取り組んでいただかなきゃいけない部分はたくさんございます。まず、学校側も努力する、それから家庭も気をつけなきゃいけませんし、子供たちにそういう意識を持たせる、地域社会それから関係機関との連携、やはりこれはどうしても地域ぐるみの取り組みというのが不可欠になってきております。
私もその後、そういう問題で視察もしたりしておりますが、私が行くところはそういうモデル校的なところでもありますから、かなり地域的な取り組みができております。そういうものを一つの模範にして、全国がそういう取り組みをしていただく。ある学校ではもう、登校、下校間の地域マップもあって、ここのところが危険だとかそういうことまで取り組んでありまして、全体として学校の安全、安心、取り組みがされておるように思います。
また、小野国家公安委員長に対しましても、改めて、学校の安全対策について警察との一体感、絶えず見回りをしていただくとか、特に都会の繁華街に近いところとか商店街に近いところとか、そういうところについてはそういう意識を持っていただいて、連携強化をしていただくというようなこともさせていただいて、お願いもいたしたりして、やはり組織的にといいますか、そしてそれを継続的にやっていく。
大抵、事件が起きた場合には、やっていたんだけれども、このときたまたまだったというようなことが、継続的に行われていないということがございます。残念ながら、本当はそういうことがなくてしかるべきなんでしょうけれども、現実は、そういうふうなことも言っておられません。現実に起きておりますから万全を期さなきゃいかぬ、こう思っておりまして、我々も、絶えず通達を出しながら、そして、学校側も、そういうことを専門的に考える先生も置いて、絶えず継続的にこういうことができるような仕組みをもっとつくっていく必要があろう、このように考えております。
○山井分科員 本当に、そういう継続可能な体制、マニュアルづくりが必要だと思っております。
それについて、具体的に二つ、この宇治小学校の事件の教訓として、現場から上がっている声として、提案をしたいと思います。
まず、すべての教師に携帯用の緊急ブザーを持たせるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。教室にインターホンをつけるというような提案もありますが、児童がいたずらをしたり、また、それでは運動場での事件に対応できないので、携帯用の緊急ブザーが必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、次に、小学校一、二年生のクラスには、防犯上の観点から、教師を加配する、補助教員をもう一人つけるべきと考えますが、いかがでしょうか。今回の宇治小学校の事件が不幸中の幸いでしたのは、宇治市では、小学校二年生の一学期までは補助教員を配置しているわけですね。つまり、教員が二人いたから今回最小限に被害を食いとめられたわけで、もし教員が一人だったらと考えたら、私も背筋が寒くなるわけであります。
このことと、時間に限りがありますので、もう一つ一緒に質問しますと、今回のような事件の被害児童への補償問題、将来的な相談窓口についても一緒にお聞きします。
現時点では、二人の児童は、その後元気に小学校に通っていますが、今後いつまたフラッシュバックやトラウマなど後遺症に苦しむかわからないわけで、このことについて一番御両親も心配をされておられます。また、これは、それを目の前で見たお子さんのショックに関する後遺症も一緒であります。これに関しても、治療費は出ているわけですけれども、このような被害児童への補償の責任と、将来も含めた相談窓口はどのようになるのか。申し上げたいのは、一生、体の傷だけじゃなくて心の傷をその子供も御家族も負っていかれるわけですから、そのことへの御配慮をお願いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま大臣の方からお答えがございましたけれども、全国の学校は、その設置されている地域の安全の実態、あるいは学校の規模、学校の施設の形状、それから、地域の関係機関や団体などの協力体制、状況がさまざまであるわけでございまして、子供の安全確保のためには、それぞれの学校におきまして、この文部省の作成いたしましたマニュアルや、あるいは緊急アピールなどを踏まえながら、各学校や地域の実情に応じた安全確保の対策を講じていただくことが大切だと考えておるところでございます。
そのような観点から、ブザーを教職員に携帯させたり、あるいは警備のための人を配置するといったことも一つの方策として考えられるわけでございますけれども、具体的にどのような措置を講じていくかは、基本的には、各設置者におかれまして適切に対応していただきたいというふうに考えておるところでございます。
また、事件の補償でございますけれども、これは事件の補償という意味ではございませんけれども、学校の管理下において児童生徒がけがをする、あるいは事件、事故に遭うといった場合には、日本体育・学校健康センターにおきまして災害給付制度を実施しておるところでございまして、今回の事件に関しましても、医療費につきましては、その経費が、今手続中でございますけれども、給付されるようになっておるところでございます。
また、後遺症についてのお尋ねでございますけれども、これからまた何らかの形で後遺症が出てきたような場合、まずはそれぞれの学校に相談していただくことが適切であろうと考えておりまして、各学校におきましては、それぞれ、そういう相談に当たる担当責任者を明確にしていただくことが必要ではないかと考えておる次第でございます。
以上でございます。
○山井分科員 そのあたり、国のリーダーシップをぜひとも発揮していただきたいと思っております。
もう一つは、もうこれは時間がありませんので質問ではなく要望にしますが、そういう学校の安全管理という視点でも、教育基本法もしくは学校教育法のような法令の中で、学校の防犯担当者、つまり安全管理者を明らかにすべきではないかと考えます。現状では、学校長が安全管理の最終責任者になっていますが、実際問題としては、校長はそう簡単にその任務に時間を割けないわけですので、そういうことを要望したいと思います。
あと五分になりましたので、厚生省から来てもらっておりますが、痴呆予防のことを二点質問したいと思います。
介護予防に今後厚生省は非常に力を入れていかれるということで、これは時宜を得たすばらしいことだと思います。
少し気になるのが、筋力トレーニングなどの寝たきり予防メニューというのはさまざまなんですけれども、何か、痴呆予防のメニューというのは余り明確ではなくて、聞いてみると、市町村に任せて、具体的なメニューが余りないというように、消極的に思えるんですが、いかがでしょうか。
もちろん、痴呆には多くの種類があって、予防できるものとできないものもあるわけですけれども、このような痴呆予防について今後どのように進めるつもりでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
痴呆性高齢者の実態、これにつきましては、これまで必ずしも明確ではなかった面がございますけれども、介護保険制度の実施に伴いまして、要介護あるいは要支援認定該当者の約半数が、痴呆の影響によって何らかの見守りや介護を必要とする方である、こういうことが明らかになっております。
したがいまして、私ども、今後の高齢者介護にとって、痴呆対策の推進、これは非常に重要な課題であると考えておるところでございますけれども、お尋ねの痴呆予防、これにつきましては、いまだ確立した対策が見出されてございません。現時点では、さまざまな試みが実践されている段階にあるということで認識しております。
また、昨年、有識者から成ります高齢者介護研究会の議論の中でも、痴呆予防、これが取り上げられておりますが、その際の御指摘といたしましては、以下のようなことでございました。
現在、痴呆予防として確立した方法はないものの、痴呆をできる限り早期に発見をして、本人と介護者の生活の質の維持を図るとともに、ハイリスクグループや既に痴呆症状を有する高齢者に対しては、環境の変化を避けて、住みなれた地域での生活の継続を支援する、こういうサービスを効果的に活用することで、痴呆の発病や進行をできる限り遅延あるいは緩和させることが重要である、こういう御指摘をいただいております。
痴呆介護予防につきましては、今後とも、先駆的な取り組みへの支援や予防効果の科学的な検証を進めながら、効果的な対策の確立に向けてさらに努力してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○山井分科員 まだ効果的な方法が確立していないということですが、十年以上前からいろんな取り組みが行われているわけで、もうちょっと厚生省も対策を急いでほしいと思うんです。
その中で私が要望したいのは、健常者対策では余りにも膨大な人数になるわけですから、費用対効果からいっても普及には無理があると思いますので、ついては、発病の一歩手前の水際、つまり前期痴呆の状態に絞って予防対策を立てるのが有効ではないかと思います。
今、一部の自治体で成果を上げている方法、つまり、ある程度早期痴呆の方々をスクリーニングし、その方々に早期痴呆予防教室に行ってもらうという方法を普及すべきではないかと思います。これは、痴呆の進行をおくらせる効果があると報告されたり、また、長期的には介護保険の財政の節約にもなるというふうに期待されております。
このような早期痴呆予防教室の普及をすべきだと思いますがいかがでしょうかということと、このことに関して、寝たきり予防だけではなく、もっと痴呆予防に関して啓発のキャンペーンをやるべきではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
一般的な施策よりも、スクリーニング等でハイリスクグループをとらえる、こういう観点の対策についての御指摘がございました。
私ども、先ほど申し上げました高齢者介護研究会の御議論の中でもこうした考え方の御紹介があったということで承知しておるところでございますけれども、ただ、先ほども申し上げましたが、痴呆予防、これにつきましては、現時点では、まだ確立した方策が見出されてございません。効果的な予防策を模索している段階であるということでございまして、御指摘の点につきましては、例えばハイリスクグループのスクリーニング方法、こういった点を初め、具体的にどのような組み立てがあり得るのか、これをさらに検討する必要があると考えております。
それから、もう一点の御指摘でございますが、私ども厚生労働省での具体的な取り組みといたしましては、痴呆に関する諸要因の解明、こういった点につきまして、十三年度から推進しておりますメディカル・フロンティア戦略、この一環としての研究事業を行ってございます。
また、今年度からでございますけれども、将来の高齢者介護の姿を念頭に置きました未来志向研究プロジェクト、これをスタートさせたところでございまして、例えば、市町村の介護予防事業の一環として行われます痴呆発病予防のための調査研究でありますとか、試行的な取り組みにつきましては、これを活用することで、今後、支援を図っていきたいと考えておるところでございます。
以上でございます。
○山井分科員 すぐ終わりますから、ちょっと河村大臣に一問だけ、一言だけ申し上げたいんです。
先ほどおっしゃった局長の答弁では、何か、各地方自治体で考えてくれたらいいということなんですけれども、やはり知的障害者が高校に行けるかどうかというのは、大阪では行けるけれども神奈川では行けないとか、余りばらばらではだめだと思うんですが、そのあたりの御見解、大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 大阪での取り組みをいろいろしていただいておりますから、これをぜひ、我々としても、どういう形がとれるのかということは、やはりこれは、全国ということになりますと、その辺をしっかり踏まえておきませんといけません。
しかし、おっしゃるように、あそこはいい、ここは悪いということは、それはやはり全国的にやるとなれば、受け入れ、どこかに行けば受け入れ先があるんだという、この選択肢を広げるということは必要なことだろう、私もそういう認識を持っておりますので、そういう考え方で研究をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
○山井分科員 どうもありがとうございました。
○小杉主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。
午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
午後零時二十一分休憩