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2004年3月

介護保険WT

民主党の介護保険ワーキングチームで、高齢者虐待についてヒアリングを行いました。

ご説明くださったのは、「老人虐待予防・支援センター」の代表をされている、東京医科歯科大学の高崎絹子教授と、地域で「高齢者虐待防止SOSネットワークシステム」を運用している鈴木仁一大和保健福祉事務所長です。

 お二人からは、被害者の7~8割が女性で、一方、加害者の半数以上が夫や息子などの男性であること、虐待のきっかけとして、排泄の問題が大きいことなどが説明されました。
 また、介護者のサポートや、緊急の場合の措置など、既存施策や制度の十分な活用がされていないことの指摘とともに、疑い事例での立ち入り等、高齢者虐待防止法のような法整備の必要性について言及されました。

・高齢者虐待防止SOSネットワークシステム資料(pdf 393KBPowerPoint 278KB)
・高齢者虐待の理解と支援(高崎教授資料)(pdf 6,942KB)

Posted at 2004年03月30日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

3月27日(土)民主党京都府連パーティーの御礼

(やまのい和則メールマガジン526号より  抜粋、一部編集)

27日の民主党京都のパーティーは1500人の参加で、
史上最高の盛況でした。
福山哲郎参議院の再選に向かって、エンジンがかかりました。
菅直人代表も応援に駆けつけてくださいました。

多くの皆様にご協力頂きまして本当に有難うございました。

Posted at 2004年03月29日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

3月27日(土)民主党京都府連パーティー券のお願い

(やまのい和則メールマガジン522号より  抜粋、一部編集)

パーティーチケットのことを書く失礼をお許しください。

来週土曜日、3月27日の午後6時から「民主党京都府連躍進のつどい」を、JR京都駅の近くのリーガロイヤルホテルで行います。

ゲストは菅直人民主党代表(20分くらい演説します)。
立食形式の政治資金集めパーティーです。
私は個人では政治資金集めパーティーは、開いたことはありませんが、今回は、民主党京都府連が主催で、7月の参議院選挙の資金集めパーティーなのです。
いくらお金をかけないようにしようと思っても、参議院選挙に向けては
ポスター代など、京都全域でかなりの実費がかかるのです。

◇この2万円のパーティーチケットを売るノルマが、私の事務所は100枚(買い取り)。
この不況の時に、2万円のチケットを売るのは至難の業です。
まだ少ししか売れていません。

この種のパーティーに対しては批判も当然あると思いますが、京都全域で 参議院選挙を民主党京都府連が戦うためには、必要最小限の実費だけで かなりのお金がかかるのです。
民主党京都の国会議員は貧しい議員ばかりのため、参議院選挙のために お金を出すことができず、苦肉の策がこのパーティーでの資金集めなのです。
これも国会議員の活動のありのままの姿としてお許しください。

◇この不況の中ですから、チケットを買って下さる方はほとんどおられないとは 思いますが、万一、そのような方がおられましたら、メールでご一報ください(電話の場合は、京都事務所0774-54-0703)。
もちろん、このパーティーには私も主催者の一人として参加します。


=============================================================
「民主党京都府連躍進のつどい」案内

> ごあいさつ
>
>  民主党京都府連は、2003年11月24日に結成5周年を迎えました。
> 結成以来一貫して「京都から政権交代の実現」を目指して活動を続けて
> きた民主党京都府連に対し、多くの府民の皆様からご理解とご協力を
> 賜り、衆議院議員4名、参議院議員2名の府内国政第一党にまで躍進する
> 事ができました。
>  このたび民主党京都府連では、結成5周年の節目を迎え衆議院選挙の勢いを
> この7月に任期満了となる参議院選挙へつなげ、多くの皆様とともに「政権交代
> への決意」を新たにさせていただくため「民主党京都府連躍進のつどい」を
> 開催する運びとなりました。
>  わたくしども民主党京都府連は、今後もさらに政治への「志」大きく、日々全力を
> 尽くしてまいる所存でございます。今後も民主党の政策ならびに活動に対し、
> 一層のご理解とご協力を賜りますようあらためてお願い申し上げます。
>
日時 2004年3月27日(土)5時30分 開場 6時開宴

場所 リーガロイヤルホテル京都 2F 春秋の間
  (下京区東堀川塩小路下る 電話075―341-1121
    JR京都駅から徒歩7分くらい)

会費 20、000円

この催しは政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティーです

Posted at 2004年03月19日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

厚生労働委員会議事録(児童福祉法等改正案に対する質疑 山井和則質問部分)

159-衆-厚生労働委員会-5号 平成16年03月17日

○衛藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。山井和則君。

○山井委員 十一時二十分ぐらいまで四十分間、児童福祉法等の改正について質問をさせていただきます。
 坂口大臣におかれましては、参議院とかけ持ちで大変かとは思いますが、また質問も多いですが、どうかよろしくお願いをいたします。
 また、先ほど朝九時からの青木愛議員の質問と多少重なるところがありますので、その重なるところはカットさせてもらいながら質問をさせていただきます。
 坂口大臣、今回の児童福祉法等の改正に関して、大多数の自治体が怒っております。政府の地方分権のかけ声とは正反対の、地方いじめの今回の法改正には、政府は地方分権で言っていることとやっていることが正反対ではないかという怒りが非常に高まっております。このような地方の声を最初に申し上げまして、私の質問では、順を追って、先日、公立保育所や地元の役所を回ってまいりましたので、その現場の声、いや、悲鳴を伝えたいと思います。
 私たち民主党は、国から地方への補助金を減らし、地方の財源を一般財源化することを主張しております。そして、地域のことは地域で決めることができる、地域主権の分権社会の確立を目指しております。しかし、今回の公立保育所などの国庫負担金をなくすということは、それに見合う税源の移譲が全く十分ではありません。これでは、地方自治体が地方分権に逆行していると怒るのも当然であります。
 そこで、まず最初に、坂口大臣に改めてお伺いをしたいと思っております。
 先ほどの青木議員の質問にもございましたが、本当に今回のこの法改正で地方自治体の自由度がふえると考えておられるのか。本当にこれは地方分権になっているのか。単なる財源の切り下げではないか。この件について、坂口大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣 全体の話としましては、地方自治体もできる限り自由度を持って地方で行えるようにしてほしいということは、これはもう大体一致しているだろうというふうに思います。その中でも、地方としては、自分たちがやりたいもの、欲しいもの、それからやはりもらいたくないもの、これはそれぞれ地方自治体もあるというふうに私は思っております。
 知事会、あるいはまた政令指定都市の市長会、それから一般市長会、それぞれが、これは欲しい、これは遠慮しておくというものをマル・ペケで出しておみえになるわけでありますけれども、その中で三者が一致しておりましたのはこの保育の問題でありまして、ここはやってもいいという御意思はお持ちなんだろう。財源の問題は別にしまして、やるという意思につきましては、やはり自分たちの裁量と申しますか、地域に合った自由度を持ってやりたいというふうにお考えになっていることは事実なんだろうと思います。
 さて、次の財源の問題でございますけれども、これは、今までやっておりましたが、そのとおりに地方に額が行くということになりますと、地方としましては一番望ましい、あるいはまた、もう少しふやしてもらえればもっといい、こういうことになるのだろうと思うんですが、国も地方も大きな財政難を抱えておりますときに、これを再建もしていかなきゃならない。その再建のところをどういうふうに今後スケジュールに乗せていくかということもあわせて、いわゆる地方分権の問題は考えていかざるを得ないんだろうというふうに思っております。
 しかし、その中で、この公的保育所の問題につきましては、総務省の方も非常に気を使っていただいて、所得譲与税というものをそこに充てるということにして、そして、私はかなり総務省の皆さんともお話をいたしておりますけれども、ここは優先的に使用するということをかなり強調して言っていただいておりますから、私は、そんな大きな穴があくということはなくここはやっていけるんだろうというふうに思っている次第でございます。
 そうした中で、自由度がどれだけふえるかという話でございますけれども、これから先、保育所と幼稚園を一体化していくというような話もございますし、それぞれの地方におきましては、土曜や日曜の話もあったり、さまざまな問題が起こっているわけでございますから、そうした中で、おやりをいただけることはかなりふえていくのではないか。それぞれの地域の特徴を出していただくことはでき得る。運営費等につきましても、より細かく、こちらがこれは何と何にというふうに非常に細かく決めるというようなことをやっていたわけでございますけれども、その辺のところにも自由度が今後は増していくというふうに思っております。

○山井委員 今、自由度についての答弁がありましたが、現場の保育所の方々、また役所の方々がおっしゃっているのは、財源の手当てが十分でない中でこの国庫負担金をなくすということで、本当にどうやって予算を獲得しようか、また切り詰めようか、その中で今までのサービスが低下するのではないかということで、まさに不自由度が増すという悲鳴を現場は上げておられるわけであります。
 いみじくも坂口大臣がおっしゃったように、財源のことは別としましてと、そうなんですね、確かに、国庫補助金をなくしていく方向というものに関しては地方自治体は賛成である。それは、でも、税源の移譲とセットなわけであります。そのことが不十分であるということが、この法改正の最大の問題であります。
 そこで、総務省にお伺いしたいと思います。
 そもそもの質問でありますが、三位一体改革の理念、自立や地方分権を推進するという理念に対して、今回、一兆円の補助金を削減したにもかかわらず税源移譲は四千億円余りである。これは大きな問題であると思っております。このことは、結果的には単なる国の財政難を地方自治体にツケ回したということにしかなっていない。逆に、地方分権どころか地方いじめであると考えております。
 地元の首長さんあるいは役所の方々も、税源を渡さないとだめだ、三位一体に全くなっていない、肝心の財源移譲は中途半端にして、地方交付税の大幅な削減を先行させている、分権型社会の創造や自主自立という理念が全くないという厳しい意見が出ております。
 これでは全く地方分権とは言えないと思います。総務省の見解をお伺いします。

○瀧野政府参考人 今回の国庫補助負担金の見直しと税源移譲との関係についてのお尋ねでございます。
 平成十六年度におきまして、国庫補助負担金につきまして一兆円規模の廃止、縮減という見直しを行っているところでございますが、その中で、事業そのものを廃止、縮減するというものが四千二百億円程度あるわけでございます。これは、地方団体におきまして事業もしないわけでございますので、それについては負担のツケ回しということはないわけでございます。残りの六千億強につきまして、精査を行い、地方団体が義務的に引き続き行うものについては十割、あるいは、その中身を見直して行うものにつきましては八割というような一定の基準を設けまして、税源移譲を行うということにしておるわけでございます。
 我々といたしましては、そういった税源移譲の問題と、それから、交付税につきまして、一般財源が非常に厳しい状況になっているのではないかという問題はまた別途あるわけでございますけれども、それは、国庫補助金の見直しとはまた別に、国、地方を通じまして財政全体の健全化をしなきゃいけないという命題もあるわけでございます。
 そこら辺のところは、地方団体におきましてもなお財政の健全化に努力していただかなきゃいけないというふうに思いますが、全体の財源といたしましては、交付税の基準財政需要額の中にきちんと必要な経費を見込みまして、標準的な仕事につきましては地方公共団体ができますように、財源は確保したつもりでございます。
 ただ、それはマクロでの話でございますので、個別の地方公共団体におきまして、財政が非常に厳しいというところも当然出てくる可能性がございますので、そこのところは、地域再生事業債等個別の手段で、個別に地方公共団体の皆様方のお話を聞いて対応していきたいというふうに考えております。

○山井委員 小泉改革は、そもそも地方を軽視しているということで今までから指摘されておりましたけれども、地方軽視、さらに、こういう小さな、弱小の自治体をますます苦しめる改革であると思います。
 そこで、坂口大臣に改めてお伺いしたいと思いますが、これは青木議員の質問とも重なることですので、ちょっとまとめてお伺いをいたしますが、保育料の問題とサービスの質の問題であります。
 今までのこの法案に関する答弁を聞いておりますと、保育の質は落ちない、予算は確保している、財源不足は生じないという答弁のオンパレードなわけであります。しかし、大臣も地方自治体や保育所の現場に行かれればすぐにおわかりになると思いますが、現場の危機感は非常に強いものがあります。
 まず、先ほどの青木議員の指摘にもありましたように、ただでさえ保育料が非常に高い、そんな中で苦しんでおられる御家庭が非常に多い中で、今回の国庫負担金がなくなって財政が厳しくなる中で、保育料の値上げにつながるケースがふえるのではないか。もう実際、保育料を値上げし始めているところもあるということなんですね。
 このことに関して、坂口大臣、今後保育料は上がっていかないんだということをこの場でお約束していただけるでしょうか。
 同時に、現場の声は、財源が十分に担保されていない、ないそでは振れないという中で、予算が削られれば子供主体の保育はやっていけなくなる。保育料が高くなって、結局はサービスの質が低くなるだけじゃないか。保育のプロの正職員から臨時職員にかわっていく。それで、延長保育をやっているケースなどですと、朝の八時から晩の七時まで、一日に三人も四人もころころと保育士が入れかわるということもこれからどんどんふえてくるのではないか、そういうことは結局は子供にとっていいことではないのではないか。また、これからいろいろな、児童虐待の問題もふえてくる中で、家庭支援も充実させたい、そのためにはもっと保育士に研修も受けてほしい、親と一緒に子育てができるようにしたい。
 そういう現場の思いがある中で、今回の財源カットというのは非常に厳しい危機感を現場に与えております。具体的には、例えば特別保育対策について、公立保育所は、二七%が延長保育、一時保育が一一%、そして障害児保育は三三%されているわけであります。これも青木議員の質問と重なりますが、こういうふうな特別保育対策というものに関しても、今回の法改正を機に、結局こういうサービスを低下させるということになるのではないかという危機感が現場には非常に強いんですね。
 この二点、保育料の値上げがふえるのではないか、そして、サービスの質や労働条件が悪化するのではないかということに関して、責任者である坂口大臣、改めて明確な答弁をお願いしたいと思います。

○坂口国務大臣 私はそういう心配をいたしておりません。
 保育所の利用料というのは、これは保育所徴収金基準額表というのがあるのはもう御承知のとおりでございまして、これにのっとって今までやっている、地方自治体はそれにのっとって条例をつくっていただくということをやってきたわけであります。私立の保育所は今までどおりこの基準でいくわけでありますから、もし仮に公的な保育所が、いや、うちだけは高くしますよというようなことになったら、お子さん方は私立の保育所に流れると私は思いますね。だから、現実問題としてそういうことはでき得ない。
 しかも、地域における市町村の保育所というのは、今までから、国が決めておりましたこと以上に、いろいろそこに上乗せをして拠出等もしていただいていた経緯もあるわけですね、御熱心なところによっては。ですから、そういう保育を大事にしていかなきゃならないということを市町村長さんが十分理解し、そして今後もやっていきたいというふうに思われるところは、私は全くそういうことはあり得ないというふうに思っております。
 保育の内容についてでございますけれども、例えば時間外の保育をする、あるいはまた休みのときの保育をする、こうしたことも今までお願いをしてまいりましたが、これは私立の保育所の方がより積極的にお取り組みをいただいてきたことの方が多いと私は思っております。
 したがいまして、そうしたことにこれから公的な保育所がどうお取り組みいただけるかといったことが大事なことでございまして、それこそこれは自由度の増してくることでございますから、そうした地域に合いましたサービスというものにお取り組みをいただけるものというふうに私は思っている次第でございます。
 先ほど総務省からもお話がございましたとおり、大枠での話は先ほどのとおりでございまして、それぞれの個々の市町村について、それぞれの人口構成の問題等で特徴がございましょう。そうしたところにつきましては、個々の市町村とよく御相談させていただいて対応するということを言っていただいているわけでありますから、もし仮にそういうところがあったとすれば、それは個々に御相談をひとつぜひしていただきたいというふうに思っております。

○山井委員 保育料が上がる心配はしていないということでありますが、私は、残念ながらそれは現場の危機感と大きくずれていると言わざるを得ないと思います。現場ではそういう危機感が本当に高まっているわけであります。
 さらに、民間と公立が両方あったら公立だけ上げられないんじゃないかということに関しても、例えば公立保育所しかない自治体も当然あるわけであります。また、今まで単費の財源で上乗せサービスをやっているところもあるということですけれども、まさに今回の三位一体改革でこの保育財源が切り詰められている中で、それを縮小する方向に行くのではないか。自由度が高まるというのは、そういう、特別保育対策をふやす自由度が高まるのではなくて、減らす自由度が高まってしまうのではないかというふうに思っております。
 それで、心配をしておられないということですが、今の発言は私は非常に重いと思うんです。改めてお伺いしますが、保育料が値上げになる、あるいはサービスの質が低下する、労働条件が悪化する、そういうことはなかろうというふうに大臣は思われますでしょうか。短くて結構ですので。

○坂口国務大臣 私はそう思っておりますが、私だけが答えておりましては十分に納得できないということでございましたら、もう一度総務省の方にひとつお聞きをいただきたいと思います。

○山井委員 私は、ある意味で坂口大臣の期待だと思うんですね。頑張っているところは頑張ってくれるというようなことであって、しかし、一般の自治体ではなかなかこれは厳しい。
 先ほど後ろで、伍藤局長のお顔を拝見しておりましたら、坂口大臣の答弁を聞きながら、ううん苦しいなという顔をされておられました。やはり内心では、これはよくなる自由度より悪くなる自由度が大きいなと。だから、悪くはなりませんということをこの場で堂々と言えない。本当だったら、胸を張って、よくなる改革ですよということを言っていただきたいわけですが、そうではないわけですね。ですからこそ、私たちも賛成ができないわけです。
 また、このことに関しては、時期の問題、予算編成がもう大詰めになっている年末になって急にこういう改革を持ち出してくる、そしてまた地方交付税の額が決まるのも年明けということも、まさに地方軽視であると思います。
 総務省に改めてお伺いしたいと思います。
 例えば、特に小さな自治体にとっては、今回の改革は非常に厳しいものがあって、ある自治体では、この公立保育所に対する国の補助金が九千万円だったのが三千万円になった、六千万円カットされた、そして交付税は六千万円も全然ふえていないという現実があるわけです。
 これに関しては総務省の答弁は、保育に関しては基準財政需要額と所得譲与税の中でしっかりと担保しているという答弁になるんではないかと思いますが、実際、今回の地方交付税の計算で削減された人件費の部分についても、すぐに職員の数を減らすわけにもいきませんし、また、公共事業の単独事業のカットの部分に関しても、長期計画でやっている部分もあって、急に減らすことは困難なわけですね。
 結果としては、お金には色がないわけですから、計算上減らした総務省が考えている部分は減らず、結局はこの保育の財源にしわ寄せが行くんではないかと思っております。結局、要は子供にしわ寄せが行く、国の失政のしわ寄せが地方に回って子供に回るだけというふうに思います。さらに、大都市は税収も多いので何とか吸収できる面もあるかと思いますが、税収が少ない小さな都市や田舎は大変だと思います。
 この件に関して総務省にお伺いしたいと思いますが、時間にも限りがありますので、もう一個、まとめて総務省にお伺いします。
 これも質問通告しておりますが、こんな中で、合併を推進する合併関連三法案も提出されまして、三位一体改革とも相まって、今までかなり地方交付税に多くを頼っていた弱小自治体は、非常に苦しくなってくると思います。地方交付税が減らされたり段階補正が変わる中で、小さな自治体は致命的な打撃を今受けているわけです。
 そこで質問なんですが、それによって合併していったらいいじゃないかというのが総務省のお考えだと思いますが、確かに、合併したらいいという意見もあるかもしれませんし、実際、私の知るある小さな自治体では、合併したいということで町を挙げて合併のために動き出しているにもかかわらず、ほかの自治体がなかなかうんと言わないというケースもあるわけですね。だから、合併にノーと言っている小さな自治体と、合併のために動いているけれどもそれがうまくいかないという自治体とは、ある意味で、段階補正や地方交付税の削減などに関しても多少の配慮や差をつけるべきではないかと私は思うんです。
 質問が多くなりましたが、まとめて答弁をお願いします。

○瀧野政府参考人 まず、今回の国庫補助負担金の見直しに伴います所得譲与税等の配分があったといたしましても、そういったものに差が出て十分な財源が補てんできないのではないかというようなお話でございますが、そこら辺のところは、私ども、交付税の算定上、きちんと必要な需要を需要額の中に入れまして算定しようというふうに思っておりますし、そのために、保育対象人員につきましてきちんと把握をいたしまして、密度補正という形で市町村ごとに応じた算定をしたいというふうに思っております。
 交付税総額が減っている中で、そうはいっても厳しい状況になるではないかという御懸念かというふうに思いますが、実際、公共事業等につきましては、地方財政計画等で見込んでおります額に対しまして、現在、地方公共団体が実施しております地方単独事業の額というのは相当下回っておるという実態もございます。そういう面で計画額の見直しをせざるを得ない、その中で交付税の縮減をせざるを得ないということでございますが、そういった公共事業等あるいは人件費の縮減等とこういう保育所の問題とを、我々としては算定上はきちんと峻別をしてやっていきたい、必要なものはきちんと算入していくというふうに考えておるわけでございます。
 それから、そうはいいましても、小さな合併できないような厳しい団体はどういうことになるのかという御懸念でございますが、我々、段階補正等、合併との関係でいろいろなことをしておりますけれども、それはあくまでも合併をする団体に対しましてインセンティブを与えていこうということでございまして、合併をしないからといって交付税でむちをもって締めつけるというふうなことはしておりません。あくまでも合併は自主的な合併という中でございますので、合併できないという団体におきましても標準的な行政ができますように、きちんと財源手当ては交付税等を通じましてやっていきたいというふうに考えております。

○山井委員 実際、この三位一体改革や地方交付税の見直しの中で、小さな自治体は財政的に本当にやっていけないという厳しい危機感を迎えているわけであります。それに対して、今の答弁というのは、国としての言い分であって、地方自治体の現場の切実な状況と大いに食い違うと私は思います。
 そこで、正直言いまして、去年、ことしと、こういう議論が委員会で実は多いんですね。一般財源化する、サービスが落ちませんか、大丈夫です、財源を確保してありますから大丈夫です、こんなやりとりをここ一、二年ばかりこの委員会でも実はやっているわけです。
 そこで、私、一つ、去年のちょうど今ごろも同じ質問をしたんですね、そのことでお伺いしたいと思います。これも坂口大臣にお願いしたいと思います。
 実は、去年の今ごろ、要は、年末に、市町村障害者生活支援事業及び障害児(者)地域療育等支援事業という、障害のある方々が地域で暮らすためのコーディネーター事業が急に一般財源化されて大問題になった。それで、百人以上の障害者の方々が厚生労働省の前に座り込みをされたということがあったわけですね。このことは坂口大臣も御記憶かと思います。
 そんな中で、私も、これは一般財源化されて大丈夫なんですかということを質問させていただきました。そうすると、一般財源化されたがどういうことかという私の質問に対しまして坂口大臣は、こういう事業は今まで特定の市町村がおやりいただいていた、それで、これからやってもらえる市町村をだんだんふやしていこうという趣旨で一般財源化したという答弁をされているわけなんですね。
 あれから一年がたちました。この趣旨どおり、その市町村の数がどれだけふえているのかということについて、坂口大臣に答弁をお願いします。

○坂口国務大臣 これは実際の数字でございますから、数字を申し上げる以外にないわけでございますが、市町村障害者生活支援事業と、それから障害者あるいは障害児地域療育等支援事業、これにつきまして一般財源化を行ったわけでございますが、市町村障害者生活支援事業につきましては、前年度から七十二カ所ふえまして三百七十四カ所になっております。それから、障害児(者)地域療育等支援事業につきましては、前年から六十六カ所ふえまして五百三十六カ所になっているということでございます。
 平成十六年の実施予定を調査いたしておりますが、今のところ集まってきております数を申し上げますと、これは市町村障害者の方でございますが、対前年度二十四カ所、それから障害児の方につきましては四十四カ所増で、増加の予定となっております。

○山井委員 要は、私が言いたいのは、一般財源化で伸び率が鈍っているじゃないですかということなんですよね。一般財源化してより多くの自治体ができるようにという厚生労働省の一年前の説明と逆じゃないですか。
 例えば、この表を見てもらうとわかりますように、まず、市町村障害者生活支援事業、平成十一年、十二年と何パーセントの伸びで伸びているかと私計算したら、十二年にかけては四六%伸びて、十三年に対して三四%伸びて、十四年度に対して四〇%伸びて、十五年に対して二四%と、どんどんどんどん伸びているわけです。ところが、一般財源化された今年度においては六%の伸びしかしていないわけですよ。要は、この事業の普及にブレーキがかかっているんじゃないですか。推進じゃなくて、ブレーキじゃないですか、一般財源化は。
 それと、もう一つの療育支援等の事業に関しても、十二年度、十三年度でいくと、十二年度に向かって二九%ふえて、十三年度に向かって二九%ふえて、十四年度に向かって二一%ふえて、十五年度に向かって一四%ふえて、そして一般財源化されたら八%の伸びと。
 要は、このことから考えたら、一般財源化というのはやはり財政を切り詰めるということに、厚生労働省の見解、総務省の見解は財源をつけていますといっても、実際の自治体に関してはこういう現状になるということなんですね。これと同じことが保育に関しても起こるんじゃないでしょうか。坂口大臣、いかがですか。

○坂口国務大臣 全体の市町村の数というのは決まっているわけでありますから、だんだんとふえていく率というのは、それは上限があるわけですから、そんなに突き抜けてふえていくわけでは決してありません。
 ですから、そこは若干カーブは描いてくるというふうに思いますが、しかし、ふえていることは紛れもない事実でございますし、そして、各都道府県あるいは市町村におきまして、やはり障害者の問題を考えていかなきゃならない、そういう雰囲気が全体に広がったことは事実でございますし、今までおやりになっていなかったところが、これはやはり自分のところもやらなきゃならないというお気持ちになっていただいていることは、もう事実だと思うんです。
 ただ、そこを正式に立ち上げるかどうかということについては、例えば市町村長さんのお考え方にもよると思いますし、地域のお考え方にもよるというふうに思いますけれども、全体として伸びていることだけは間違いがございませんし、私は、これからも伸びていく。
 その中でどれだけの仕事ができるかということにつきましては、それはいろいろの御疑問もあろうと思いますし、また御不満もあるかもしれない。しかし、スタートをさせるということをちゅうちょするということには私はならない。これは、スタートをとにかくして、その中でそれをどう実現させていくかということになってくるんだと私は思います。

○山井委員 ここは大事なところだからもうちょっと議論したいと思うんですが、伸びているとおっしゃっているわけですけれども、伸び率は鈍っているんですよ。
 ほかの聞き方をしましょう。一般財源化は伸び率を上げる効果があったと思われますか、伸び率を下げる効果があったと思われますか、大臣は。

○坂口国務大臣 伸びているんです。伸びているんですが、市町村の数というのは決まっているわけでありますから、その中で新しくしていくというところは、最初のころはどんどんと手を挙げてくるところが多いということは事実でありまして、どういう施策を見ましてもだんだんと、伸びてはいきますけれども、伸び率はやはりなだらかになっていくというのはどのことでも見られるところでありまして、一般財源化したことによって伸び率が落ちたというふうには私は考えておりません。
 どこでもできるようにこれはなったわけでありますから、その内容、いわゆるその質はどの程度かということはあるというふうに思いますけれども、私は、やろうと思えばそれぞれの市町村がおやりいただけるわけでありますから、それはそれを抑制する要因になるとは考えておりません。

○山井委員 ここはこれ以上議論はしませんが、これはもう客観的に見て、明らかに伸び率が鈍っているわけですよね。この事実は認めていただきたいと思います。
 それで、まさにこの障害者の地域の生活支援というのは重要なことで、伸び率鈍ったではだめで、本当はもっともっと伸ばしていかないとだめなことなんですよね。
 これに関連して、先日も中根議員が、障害児保育にかかわる三十二億円の補助金が一般財源化された、このことに関しても質問をされておられました。このことが全部普及のブレーキになっているんではないかという危機感を私たちは持っているわけですね。
 そこで、今の支援費のことについて、坂口大臣、改めてお伺いしたいんですが、先週金曜日の発言の中で坂口大臣は、今回はまだ一般財源化の始まりだ、今後もっともっと進んでくるだろうということをおっしゃっておられました、三位一体改革の中で。
 そこで、もう一歩踏み込みますと、じゃ、例えばこの障害者の支援費も、今後やはり一般財源化になる可能性というのはあるとお考えでしょうか。坂口大臣、通告ないですが、どうぞ。

○坂口国務大臣 先日もお話し申し上げましたとおり、厚生労働省のいわゆる補助対象というのは全体の中で半分を占めているわけですね、トータルな話ですよ、トータルな話としましては、二十兆の中の半分を占めているわけですね。ですから、今後一般財源化を進めていくということになってくれば、この厚生労働省が抱えております範囲の中も、これは一般財源化に進めていかざるを得ない。これは、現在の政権がやりましても、民主党政権ができまして民主党政権がおやりになっても、ここは同じことだと思うんです。
 これはなかなか、御指摘いただきますように、国保であり、介護であり、生活保護であり、そして障害者の問題であり、そしてこの保育の問題であり、大体これで九五、六%を占めるわけであります。だから、その中でどこを順序をつけて拡大していくかということになってくるというふうに思います。
 今のところ、この検討はどうかというのは、生活保護をどうするかという問題が今俎上に上っておりますけれども、それ以上のものが今上っているわけではございません。現在のところはそれ以上はございませんが、来年の介護保険の問題等々と絡めまして、この障害者の問題というのはもう一度またそこで考えなきゃならないときが来るのではないかというふうに思っております。

○山井委員 もう一言お伺いしたいんですが、今、こういう一般財源化ということが障害者福祉にも及ぶ可能性を否定はされませんでした。私も心配しておりますのは、やはり、障害者福祉も将来的にこういうことの直撃を受けるんではないかという心配を持っております。
 そこで、もしこの支援費制度、障害者福祉に関して一般財源化されたときに、障害者福祉あるいは支援費制度というのはもつんでしょうか。坂口大臣、いかがですか。坂口大臣、どうぞ。続きの質問ですので。

○坂口国務大臣 もつかもたないかという話ではなくて、これは地方にゆだねるべき問題かどうかということを中心にして考えるんだろうというふうに思います。
 今の御懸念は、財政上の問題が大丈夫かという話になるわけだと思うんですね。そこのところを今までどおり一般財源の中でやっていくか、それとも何らかの保険制度の中でそれは見ていくか、あるいはまた、障害者の問題につきましては特別な税制というものを考えていくか、それは私は考え方はいろいろあるんだろうというふうに思っております。
 それらの点を整理を少ししなきゃいけない。いつか申しましたとおり、保険でということになりますと、いわゆる企業で、経営者とそこに働く人たちにすべておんぶにだっこしてしまうということになってしまう。それはすべてそこにしていいのかという疑問も確かにあるわけですよ。やはり、職域連帯でお願いをしなきゃならないものと、そうでないものとの区分というものも必要になるわけでございますから、すべてのことを今までのいわゆる介護なら介護の保険制度の中だけでやっていくということができるかどうかといった議論もあると思いますから、よくそこは議論をして決めなきゃならない問題だというふうに思っております。

○山井委員 時間がもうそろそろ来ますので、最後に森副大臣にもお伺いしたいんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、まず一つ指摘の説明をさせてもらいたいんですが、介護保険の認定の事務費も一般財源化されまして、これに関して意見だけ言っておきますと、こういう全く自由度がないものを一般財源化するのは、本当に国の財源の足りないもののツケ回しにすぎない、そういう非常に厳しい意見が地方自治体から出ております。これについては、もう答弁は結構です、時間が余りありませんので。
 最後に、私の住んでいる京都は今、鳥インフルエンザで非常に大きな問題になっておりまして、このことに関して、月曜日に私たち民主党は、高病原性鳥インフルエンザ緊急措置法案というのを民主党の案として出すことを決めました。
 その中で、厚生労働省に関することについて森副大臣にお伺いしたいんですが、人への感染の可能性というのは当然低いと言われておりますが、やはり万が一のケースを想定して、人に対するワクチン開発を行っていく必要性があります。その現状、それと、人に感染した場合、どのような症状が出るのか、そして、どのような対応をとるのか、そのことについて、森副大臣、最後に答弁をお願いします。

○森副大臣 今、山井委員からお話がありましたとおり、この鳥インフルエンザに関しては、人への感染の可能性というのは非常に薄いわけでありますし、また、これまでベトナムとかタイとかで三十四例、鳥から人に感染した事例がございますけれども、これはすごい濃厚接触した人ばかりだということを、あらかじめ念のために申し上げておきたいと思います。
 さはさりながら、これはおさおさ油断するわけにはいきませんので、今、鋭意そのワクチンの開発に取り組んでおります。これは、鳥インフルエンザが人にうつって、そこでまた変異をして、またその次に人にうつる場合に備えてのワクチンでございますけれども、WHOの主導のもとで、ベトナムの感染者の検体から分離されたウイルスを用いまして、国立感染症研究所を含む世界四研究機関において、弱毒化ワクチン株、すなわち毒性の弱いワクチンの種というか株をつくるための研究開発を今行っているところでございます。
 まだ実際にはその開発に成功したわけではございませんけれども、その四研究機関で同時並行的に行っておりまして、また、その完成までには、安全性、有効性などを確認する必要があるので、やはりどうしても一定の時間を要するということは避けられません。そんなことで、厚生労働省としては、開発の期間をできる限り短縮できるように督励をしているところでございます。
 また、もう一つありました、どういった症状が出るのかということでありますけれども、WHOがベトナムの症例を公表しております。これによりますと、三十八度以上の発熱、息切れ、せきなどが主な症状でありまして、すべての患者にリンパ球減少と胸部レントゲンで異常が認められるということでございます。
 これは一般のインフルエンザと大体同じようなことでもって、普通の専門家のお医者さんが診れば、いろいろな、鳥インフルエンザが起こる可能性のある人とか、そういう諸条件を勘案すれば判断ができるもので、かつ迅速診断キットで判定ができるということでございます。

○山井委員 もう時間が終わりましたので質問を終わりますが、最後に一言申し上げます。
 私、この審議を通じて痛感するのは、質問をしても、財源は確保されている、一般財源化でサービスはよくなるんだ、ふえるんだと言うことは、私は正直言って、現場や地方自治体に対して非常に不誠実だと思うんですね。それよりも、はっきりと、国も財源が厳しいから、財源はちょっと減るかもしれないけれども頑張ってくれ、そういう、ある意味でメッセージを政府が出される方が、私はより本当だと思います。そういうことをしないで、財源はつけたからあとは自治体の責任だということを、実際には財源が足りないにもかかわらず言っている、そのこと自体が、現場や地方自治体に対する政治不信を招いていると私は思います。
 以上で質問を終わります。

Posted at 2004年03月17日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

委員会質問予定

3月17日(水)に、厚生労働委員会で、やまのいが40分間質問をする予定です。
児童福祉法等の改正案(いわゆる「三位一体改革」の一環としての、公立保育所の運営費等について、補助金を廃止して地方の一般財源化を行うもの)への質疑です。

質疑の時間等決まりましたら、追ってお知らせします。
山井和則の質問時間は、10:40~11:20です。

※傍聴をご希望の方は、国会事務所までメールで、お名前と職業をお知らせください。

Posted at 2004年03月15日 固有リンク | TrackBack

宮地秘書の結婚式

3月13日(土)に、地元秘書の宮地俊之さんが、元事務所スタッフの宮本薫さんと結婚しました。
やまのい和則は、お二人の人前結婚式の証人代表として、夫婦で出席しました。
ほぼ年中無休の京都事務所ですが、この日の午後は、事務所を閉め、全員で式と披露宴に参列し、楽しい時間を過しました。

Posted at 2004年03月15日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

介護保険WT・障害者政策WT合同会議

9日(火)に、介護保険WT・障害者政策WT合同会議を開き、厚生労働省から、平成16年度の介護保険関係予算と、社会保障審議会での最近の議論の状況についてヒアリングを行いました。

次回からは、一旦論点整理を行ったあと、関係者からのヒアリングを行ってゆくことになります。

介護保険WT厚生労働省資料
・社会保障審議会介護保険部会での議論(pdf 1,384KB)
・平成16年度老健局予算について(pdf 311KB)
・障害者部会における検討状況(pdf 133KB)

Posted at 2004年03月10日 固有リンク | TrackBack

2004年3月

2004年3月

介護保険WT・障害者政策WT合同会議

介護保険WTと障害者政策WT合同で、精神障害者福祉制度・施策の流れと、難病患者など介護ニーズを有する対象について、厚生労働省からヒアリングを行いました。

介護保険WT厚生労働省資料
・障害者プランに関する流れについて(pdf 1,402KB)
・精神障害者の福祉制度・施策の沿革・流れについて(pdf 951KB)
・高次脳機能障害をもつ方への支援について(pdf 106KB)
・難病対策における福祉サービスについて(pdf 585KB)

Posted at 2004年03月02日 固有リンク | TrackBack

予算委員会第四分科会議事録

○山井分科員 民主党の山井和則です。これから三十分間質問をさせていただきます。
 河村文部大臣におかれましては、昨年十二月十八日の宇治小学校での傷害事件のときに、いろいろ、いち早く対応していただきまして、本当にありがとうございます。また、政務官、副大臣を経て、今回満を持して大臣になられたということ、また、今までから、スペシャルオリンピックなどの知的障害者の方々の支援の活動も非常に力を入れてこられたということで、非常に敬意を表しております。
 そこで、きょうは、前回、副大臣であられたときにも一度質問をさせていただきましたが、障害児の方々の学校への門戸開放ということについて質問をさせてもらいたいと思います。もちろん小中高すべてに、そしてあらゆる障害の方々、子供たちに門戸を開くべきでありますが、きょうは、特にその中で、高校への知的障害のある子供たちの門戸開放ということについて、絞って質問を前半させていただきたいと思います。

 資料を二つ、調査研究校になっております大阪の阿武野高校の「共に学びそして育つ」という資料、それともう一枚、新聞報道も資料としてお配りをさせていただきました。また、きょうは、知的障害のある子供たちの保護者の方々も傍聴にお越しになっております。
 私も、学生時代、福祉施設でボランティアをして以来、かれこれ二十年ぐらい福祉の問題に取り組んでおりますけれども、つくづくおかしいと思うのが、やはり社会の中には数%の障害のある方々がおられる、しかし、学校教育の中では往々にして、そういう障害のある方々が、正直言って排除されているということがあります。
 やはりそういう教育現場の中で接したことがない、その子供が大人になったときに、障害のある方々と接して、どう接していいのかわからない、自分と違う人たちだということで近づきがたく感じるということは、ある意味で、残念ながら、そういう傾向も出てきて仕方がないと思うんですね。そういう意味では、本来、障害のある方々と交流して過ごすのが健全な社会なわけですから、早急に、障害のある子供たちが一般の児童とともに学べる体制というのはつくっていくべきだと思います。
 そこで、まず最初にお伺いしたいんですが、高等学校への知的障害のある子供たちの入学について、もっと門戸を開くべきではないかと考えますが、大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 基本的に、知的障害者の皆さんも、健常者の皆さんが一緒に学べる場というもの、ノーマライゼーションの考え方、そういう方々が何%かあって自然だという考え方、私は、これは理念としてとうといものだというふうに思っております。
 ただ、障害のある生徒が高等学校に入ってこられた場合に、健常者と一緒の場合の問題については、これはどうなんでしょう。今度の特別支援教室の考え方等もありまして、本人にとっても、高校教育ですから、高校教育を受けるにちゃんと履修できるかどうかという点も、これはやはり配慮の中に含まざるを得ないと思うんですね。だから、特別教育を受けなきゃいけない部分は別の時間をとらなきゃいけないようなことがございます。その辺をどう考えるかということは、やはり判断せざるを得ない状況があります。これを単なる排除と考えるのか、本人のためにとってどちらがいいのかという考え方。
 しかし一方では、健常者の方にとっても、こういう方があって、ともに学んで、またそのことから逆に、それを一つの個性として見て、教えられる部分もあるんですね。教育的な観点も非常にあります。
 だから、そういうことを総合的に考えていかなきゃなりませんので、後期中等教育の中での積極的な社会参加、自立、これができるような教育を考えていくという点からいきますと、これは健常者と一緒の形のもの。そして、我々の方で今進めておるのは、養護学校の高等部の整備を図っていかなきゃいかぬ、こういう課題も抱えております。
 これは保護者の皆さんのいろいろな御要請もあるわけでございまして、それを受けとめながらこの対応をしていかなきゃいかぬと思っておりまして、押しなべて、高校教育の中でこれをどういうふうに取り上げていくか。
 私は、低学年のときと違って、高等部に行くほど、本人のそうした専門的な教育を受ける部分も出てくるんではないだろうか、こう思っております。今、文部科学省の総合的な考え方としては、養護学校高等部の整備をまず考えなきゃいかぬだろうという考え方に立っておりますが、一面、山井委員御指摘のような観点からの教育、これをどういうふうにしていくかということについて、我々はやはり総合的な判断を持って、受け入れについては考えなきゃいけないだろう。
 私も、どこまでこれを受け入れることにするのか、押しなべても、そういうものがあって、その中でも教育を一体としてやると考えるのか、やはりこれは考える課題だろうと思いますね。私は、その考え方の、許容の範囲というのがあってしかるべきだという考え方を持っておりますが、現実に学校現場でどう取り入れていったらいいかということについては、やはりいろいろな考え方を整理しなきゃいけないんではないか、このように思っております。
○山井分科員 今、大臣の答弁の中で、一般の高校に行くことが知的障害のある子供たち本人にとっていいのかどうか、学校についていけるのかどうかというような趣旨のこともありました。
 私は、そこで思いますのは、やはりこれは選択の問題だと思うんですね。御本人さんや親御さんがそれを望まれるならば、やはり選択肢として、そういう選択肢はあるべきだ。もちろん、御本人や親御さんが養護学校の方がいいと判断されたらそれでいいんですけれども、今の問題点は、もしその場合、御本人や親御さんが普通学校に行きたい、高校に行きたいと言っても、その選択肢がないということなんですね。
 現在は、そのケースは、調査研究校としては大阪府で六校、大体二十人ぐらいしかないわけですけれども、例えば、横須賀でのある調査がありまして、そこで知的障害のある子供たちの保護者に聞いたところ、四人に一人、二五%の保護者は、やはり高校は普通高校に通わせたいというふうに考えているわけですね。裏返せば、七五%はそう考えていない。その考えていない方は養護学校に行ってもいいけれども、やはり四人に一人の保護者はそう考えているんだったら、その選択肢があってしかるべきではないかと思います。
 また、一般の高校でなく養護学校の高校に自分の子供を入れたいという保護者に関して、なぜそう選びましたかというアンケートに対しても、五五%、半数以上の方が、受け入れているところが養護学校以外にない、選択の余地がないというふうに答えているわけですね。私は、やはり公的責任として、選択肢は当然つくるべきであると考えております。
 それで、大阪府で今、調査研究が行われておりまして、そのことについて、ちょっと時間が押してきましたので、私が、どういうことになっているか、読ませてもらいたいと思うんです。
 例えば、大阪の松原高校の二年生の知的障害のあるお子さんは、こういう感想文を書いておられます。これは一般の高校に通って、「私は、学校が楽しいと思っている。一番楽しいのは休み時間が楽しいなと思っている。それは友達がいっぱいいるからです。」「体育の時とかも「いっしょにいこう」とかいってもらえたり、私がなやんでいるときに、「どうしたん?」と聞いてくれたりするので、嬉しいです。みんなに知ってもらいたいのは、私は、みんなのようにたくさんおしゃべりはできません。でも友達と一緒にいるだけで楽しいと言うことです。」ということを御本人さんが書いておられます。ある意味で、勉強についていけなくても、やはり高校に行って楽しいと。それで、このお子さんは、「将来は、保育士になりたいという夢があります。夢をかなえるのはむずかしいかもしれません。みんなも応援してください。」ということを書いておられます。
 次に、それに対して、クラスメートの人はどう書いているか。西成高校という調査研究校の一年生です。「私とCちゃん」Cちゃんというのは知的障害のあるお子さんなんですが、「私とCちゃんが出会ったのは、この学校へ入学してからです。最初はしゃべりかけるのがむずかしかった。しゃべってもオーム返しが多くて、話し方がちがうのかなと思いました。でも、しゃべっていくうちにだんだん話し方もわかってきて、しゃべるのが、今では、たのしいコミュニケーションをちゃんとできている感じで、しゃべる事だけでなく、一緒にご飯を食べたり、遊んだりしてすごく楽しいです。」「それに、勉強も教えあいをするし、たのしいです。私らがCちゃんに英語や数学を教えてあげ、Cちゃんは、私が思っているだけかはわからないけど、障害者関係や福祉関係を、おしえてくれないけど、気持ちが伝わってくるような気がします。これもCちゃんとであったおかげかなと思います。」やはり学んでいられることが非常に多いわけですね。
 また、保護者はどう思っておられますかというと、ある保護者は、Yさんのお母さんです。
 中学校を卒業して高校は、私の子供はどうするかという話になって、普通高校に行けるはずがないからいいと思っていましたが、受け入れ高校があると聞き、入学しました。「クラスのみんなと一緒に過ごす一日は、息子にとってよい刺激で、自分もみんなと同じように勉強したり、話をしたりするのが楽しいようです。そんな姿を見ると、入学させて本当によかったと思います。体調のことや、みんなと同じ勉強ができなくても、クラスの中にいるだけでも、本人なりの成長をしていってくれると思います。」「この先も受け入れのできる学校をふやして、一人でも多く息子と同じように学校生活を送ってほしいと思います。」これが保護者の思いです。
 それとともに、その担当となった教員の方のコメントです。
 障害のある子供が親から殺されたり、また虐待を受けたりするということは今でも多い。もしも、この調査研究校のように、クラスに知的障害のある仲間がいたという生徒が障害者の親になったとしたらどうだろうか。私の考えだが、最悪の事態にはならないと思う。「福祉の時代になり、本校の生徒も多く、福祉の職場を進路として選ぶようになった。しかし、そのような生徒の多くは、在学中に障害のある生徒と積極的にかかわったり、ボランティアなどに参加したりして、そこから進路を考えるようになった」ということを書いておられます。
 かく言う私も、大学時代、酵母菌の研究者をしていたんですけれども、学生時代、ボランティア活動で福祉施設でボランティアをして、そこで子供たちと出会って、福祉をよくするために政治家になろうとまで決意をしたわけなんですね。
 そういう意味では、本人も喜んでいる、親御さんも非常に喜んでいる、クラスメートも非常に多くを学んだと言っている、教員の方も効果は大きいと思っている。これだけ多くのいい効果が出てきたら、それはやはり、全員とは言いませんけれども、中には本人や保護者の中で、大阪だけじゃなくて私の地域にもこういう学校に行けたらいいなと思われるのは当然だと私は思うんですね。
 例えば、横須賀では、三年間ぐらいこういう運動をされても、まだまだこういう調査研究校という制度はスタートしないわけです。また、文部科学省の重点施策実施五カ年計画の中でも、成人国民の五〇%に共生社会を周知させるという目標を定めているわけですけれども、こういう意味でも、一緒のクラスにいるというのは非常に重要だと思います。
 そこで、結局、地元の教育委員会や学校と話してもなかなか進まない。そのためには、やはり文部科学省が、こういうのはいいことだという方向性を示していく必要があると思います。改めて河村大臣、いかがでしょうか。大臣、お願いいたします。
○河村国務大臣 今、例をお引きになりましたそういう現場で、知的障害のある人たちと健常者との交流の中で、学びがあると私は思いますよ。これは、それぞれの教育委員会あるいはその学校においての校長の感性の問題だと思いますね。判断をしていただかなきゃなりません。
 私は、全国一律にという、今そこまでいくのはまだ、受け入れの方があるかもしれませんが、それぞれの県あるいは地域において受け入れ地域をつくっていく、そういう希望のある方はそこへ。そして、やはりそういうことに理解のある、まあ、最初のうちは、今全体がまだそういうことになっていないこともありますから、先進的な取り組みも参考にしながら、全国的にそういうことを展開していって、希望される方があれば、それぞれの教育委員会、少し広域になってもしようがないと私は思うんですが、受け入れ学校があるということは望ましいことではないか、私はこう思います。
 今の御指摘の点を踏まえて、現実に調査研究もいたしておりますし、大阪府の取り組みもございます。そういうものをぜひ我々の方もこの段階を踏まえて検討してみたい、こういうふうに思います。
○山井分科員 先日、河村大臣の所信の中でも、吉田松陰の「意を決して之を為す」という言葉を引いておられましたが、やはりこれは文部省のリーダーシップ、そして文部科学省のリーダーシップということは河村大臣のリーダーシップに一にかかっていると思います。ある意味では、これは日本の社会の一つの悲願であります。やはり障害のある方々と共生社会をつくっていく。ぜひとも、河村大臣のリーダーシップを発揮していただいて、大阪しか調査研究校がないというのではなくて、全国の都道府県で調査研究校があるというふうにやっていっていただきたいと思います。
 それで、質問が前後しますが、局長にお伺いします。
 ちょっと時間に限りがありますので、最初の質問をはしょりまして、このような知的障害のある子供たちの高校への受け入れを学校教育法の中に明確に位置づけるべきではないかということと、同時に、きょうの資料にもありますが、知的障害のあるお子さんたちをどれぐらい学校に受け入れているかという全国のデータがないんですね。このデータをぜひとも収集して、公表してもらいたいと思います。この二点、お願いします。
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 知的障害児受け入れを法律上明確に位置づけてはどうか、こういうお尋ねでございますが、特に障害のある生徒の高等学校への入学につきましては、それぞれの高等学校の校長が、生徒の障害の程度等を考慮しながら、当該高等学校の教育を履修できるに足る能力、適性等があるかどうか、こういう観点から判断すべきものであろうかと思っておりまして、知的障害のある生徒の高等学校受け入れについて法律上位置づけるということまでは私ども今考えていないわけでございます。
 それから、現在、私ども、高等学校に在籍する知的障害者数の数につきましては把握をしていないところでございます。この実情につきましては、少し各県からいろいろとまたお話などを承ってまいりたい、こういうふうに考えております。
○山井分科員 ぜひとも、その調査結果を教えていただければと思います。
 時間がありませんので先に進みますが、私は、やはり気になるのは、これは学校の校長先生や地域の教育委員会の判断だけの問題ではないと思います。繰り返しますが、これだけいい結果が既に出ているわけです。それで、五年、十年先じゃなくて、実際今、一般の高校に進みたいとおっしゃっている親御さんなりお子さんがいらっしゃるわけですよね。五年後、今から入れますよと言っても遅いわけです。
 やはり、そういう意味では、選択肢を確保するというのは国の責任であると私は思っております。ですから、そのことは地方任せにせずに、国のリーダーシップをぜひとも発揮していただきたい。この問題、私は今後も取り組んでいきますので、よろしくお願いいたします。
 次に、宇治小学校の傷害事件のことに移らせていただきます。
 十二月十八日に、包丁を持った男が宇治小学校に乱入し、小学校一年生の児童二人に切りつけ、けがを負わせた。実は、私の家の近所であります。これに関しては、マニュアルの限界、人手が必要であるということ、機械化の限界ということなどが明らかになっておりました。池田小学校の事件も含め、こういう事件が最近頻発しているわけですけれども、文部科学省として、このような再発防止をどのように考えておられますか。大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 宇治小学校のケース、その前の池田小学校のケース、池田小学校の事件が起きたときに、再びこういうことが起きないようにということを考えてやったはずですけれども、まだそういうことが起きているし、現実にはまだ、子供たちの登校、下校のときにいろいろ問題も起きているという現状がございます。
 これではということで、御案内のように緊急アピールも出しまして、マニュアルをもう一度確認してもらう。しかし、これは学校によっても、地域性が非常にございますので、それぞれの地域で取り組んでいただかなきゃいけない部分はたくさんございます。まず、学校側も努力する、それから家庭も気をつけなきゃいけませんし、子供たちにそういう意識を持たせる、地域社会それから関係機関との連携、やはりこれはどうしても地域ぐるみの取り組みというのが不可欠になってきております。
 私もその後、そういう問題で視察もしたりしておりますが、私が行くところはそういうモデル校的なところでもありますから、かなり地域的な取り組みができております。そういうものを一つの模範にして、全国がそういう取り組みをしていただく。ある学校ではもう、登校、下校間の地域マップもあって、ここのところが危険だとかそういうことまで取り組んでありまして、全体として学校の安全、安心、取り組みがされておるように思います。
 また、小野国家公安委員長に対しましても、改めて、学校の安全対策について警察との一体感、絶えず見回りをしていただくとか、特に都会の繁華街に近いところとか商店街に近いところとか、そういうところについてはそういう意識を持っていただいて、連携強化をしていただくというようなこともさせていただいて、お願いもいたしたりして、やはり組織的にといいますか、そしてそれを継続的にやっていく。
 大抵、事件が起きた場合には、やっていたんだけれども、このときたまたまだったというようなことが、継続的に行われていないということがございます。残念ながら、本当はそういうことがなくてしかるべきなんでしょうけれども、現実は、そういうふうなことも言っておられません。現実に起きておりますから万全を期さなきゃいかぬ、こう思っておりまして、我々も、絶えず通達を出しながら、そして、学校側も、そういうことを専門的に考える先生も置いて、絶えず継続的にこういうことができるような仕組みをもっとつくっていく必要があろう、このように考えております。
○山井分科員 本当に、そういう継続可能な体制、マニュアルづくりが必要だと思っております。
 それについて、具体的に二つ、この宇治小学校の事件の教訓として、現場から上がっている声として、提案をしたいと思います。
 まず、すべての教師に携帯用の緊急ブザーを持たせるべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。教室にインターホンをつけるというような提案もありますが、児童がいたずらをしたり、また、それでは運動場での事件に対応できないので、携帯用の緊急ブザーが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 また、次に、小学校一、二年生のクラスには、防犯上の観点から、教師を加配する、補助教員をもう一人つけるべきと考えますが、いかがでしょうか。今回の宇治小学校の事件が不幸中の幸いでしたのは、宇治市では、小学校二年生の一学期までは補助教員を配置しているわけですね。つまり、教員が二人いたから今回最小限に被害を食いとめられたわけで、もし教員が一人だったらと考えたら、私も背筋が寒くなるわけであります。
 このことと、時間に限りがありますので、もう一つ一緒に質問しますと、今回のような事件の被害児童への補償問題、将来的な相談窓口についても一緒にお聞きします。
 現時点では、二人の児童は、その後元気に小学校に通っていますが、今後いつまたフラッシュバックやトラウマなど後遺症に苦しむかわからないわけで、このことについて一番御両親も心配をされておられます。また、これは、それを目の前で見たお子さんのショックに関する後遺症も一緒であります。これに関しても、治療費は出ているわけですけれども、このような被害児童への補償の責任と、将来も含めた相談窓口はどのようになるのか。申し上げたいのは、一生、体の傷だけじゃなくて心の傷をその子供も御家族も負っていかれるわけですから、そのことへの御配慮をお願いしたいと思います。
○田中政府参考人 お答えを申し上げます。
 ただいま大臣の方からお答えがございましたけれども、全国の学校は、その設置されている地域の安全の実態、あるいは学校の規模、学校の施設の形状、それから、地域の関係機関や団体などの協力体制、状況がさまざまであるわけでございまして、子供の安全確保のためには、それぞれの学校におきまして、この文部省の作成いたしましたマニュアルや、あるいは緊急アピールなどを踏まえながら、各学校や地域の実情に応じた安全確保の対策を講じていただくことが大切だと考えておるところでございます。
 そのような観点から、ブザーを教職員に携帯させたり、あるいは警備のための人を配置するといったことも一つの方策として考えられるわけでございますけれども、具体的にどのような措置を講じていくかは、基本的には、各設置者におかれまして適切に対応していただきたいというふうに考えておるところでございます。
 また、事件の補償でございますけれども、これは事件の補償という意味ではございませんけれども、学校の管理下において児童生徒がけがをする、あるいは事件、事故に遭うといった場合には、日本体育・学校健康センターにおきまして災害給付制度を実施しておるところでございまして、今回の事件に関しましても、医療費につきましては、その経費が、今手続中でございますけれども、給付されるようになっておるところでございます。
 また、後遺症についてのお尋ねでございますけれども、これからまた何らかの形で後遺症が出てきたような場合、まずはそれぞれの学校に相談していただくことが適切であろうと考えておりまして、各学校におきましては、それぞれ、そういう相談に当たる担当責任者を明確にしていただくことが必要ではないかと考えておる次第でございます。
 以上でございます。
○山井分科員 そのあたり、国のリーダーシップをぜひとも発揮していただきたいと思っております。
 もう一つは、もうこれは時間がありませんので質問ではなく要望にしますが、そういう学校の安全管理という視点でも、教育基本法もしくは学校教育法のような法令の中で、学校の防犯担当者、つまり安全管理者を明らかにすべきではないかと考えます。現状では、学校長が安全管理の最終責任者になっていますが、実際問題としては、校長はそう簡単にその任務に時間を割けないわけですので、そういうことを要望したいと思います。
 あと五分になりましたので、厚生省から来てもらっておりますが、痴呆予防のことを二点質問したいと思います。
 介護予防に今後厚生省は非常に力を入れていかれるということで、これは時宜を得たすばらしいことだと思います。
 少し気になるのが、筋力トレーニングなどの寝たきり予防メニューというのはさまざまなんですけれども、何か、痴呆予防のメニューというのは余り明確ではなくて、聞いてみると、市町村に任せて、具体的なメニューが余りないというように、消極的に思えるんですが、いかがでしょうか。
 もちろん、痴呆には多くの種類があって、予防できるものとできないものもあるわけですけれども、このような痴呆予防について今後どのように進めるつもりでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
 痴呆性高齢者の実態、これにつきましては、これまで必ずしも明確ではなかった面がございますけれども、介護保険制度の実施に伴いまして、要介護あるいは要支援認定該当者の約半数が、痴呆の影響によって何らかの見守りや介護を必要とする方である、こういうことが明らかになっております。
 したがいまして、私ども、今後の高齢者介護にとって、痴呆対策の推進、これは非常に重要な課題であると考えておるところでございますけれども、お尋ねの痴呆予防、これにつきましては、いまだ確立した対策が見出されてございません。現時点では、さまざまな試みが実践されている段階にあるということで認識しております。
 また、昨年、有識者から成ります高齢者介護研究会の議論の中でも、痴呆予防、これが取り上げられておりますが、その際の御指摘といたしましては、以下のようなことでございました。
 現在、痴呆予防として確立した方法はないものの、痴呆をできる限り早期に発見をして、本人と介護者の生活の質の維持を図るとともに、ハイリスクグループや既に痴呆症状を有する高齢者に対しては、環境の変化を避けて、住みなれた地域での生活の継続を支援する、こういうサービスを効果的に活用することで、痴呆の発病や進行をできる限り遅延あるいは緩和させることが重要である、こういう御指摘をいただいております。
 痴呆介護予防につきましては、今後とも、先駆的な取り組みへの支援や予防効果の科学的な検証を進めながら、効果的な対策の確立に向けてさらに努力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○山井分科員 まだ効果的な方法が確立していないということですが、十年以上前からいろんな取り組みが行われているわけで、もうちょっと厚生省も対策を急いでほしいと思うんです。
 その中で私が要望したいのは、健常者対策では余りにも膨大な人数になるわけですから、費用対効果からいっても普及には無理があると思いますので、ついては、発病の一歩手前の水際、つまり前期痴呆の状態に絞って予防対策を立てるのが有効ではないかと思います。
 今、一部の自治体で成果を上げている方法、つまり、ある程度早期痴呆の方々をスクリーニングし、その方々に早期痴呆予防教室に行ってもらうという方法を普及すべきではないかと思います。これは、痴呆の進行をおくらせる効果があると報告されたり、また、長期的には介護保険の財政の節約にもなるというふうに期待されております。
 このような早期痴呆予防教室の普及をすべきだと思いますがいかがでしょうかということと、このことに関して、寝たきり予防だけではなく、もっと痴呆予防に関して啓発のキャンペーンをやるべきではないかと思います。この点についてはいかがでしょうか。
○石井政府参考人 お答え申し上げます。
 一般的な施策よりも、スクリーニング等でハイリスクグループをとらえる、こういう観点の対策についての御指摘がございました。
 私ども、先ほど申し上げました高齢者介護研究会の御議論の中でもこうした考え方の御紹介があったということで承知しておるところでございますけれども、ただ、先ほども申し上げましたが、痴呆予防、これにつきましては、現時点では、まだ確立した方策が見出されてございません。効果的な予防策を模索している段階であるということでございまして、御指摘の点につきましては、例えばハイリスクグループのスクリーニング方法、こういった点を初め、具体的にどのような組み立てがあり得るのか、これをさらに検討する必要があると考えております。
 それから、もう一点の御指摘でございますが、私ども厚生労働省での具体的な取り組みといたしましては、痴呆に関する諸要因の解明、こういった点につきまして、十三年度から推進しておりますメディカル・フロンティア戦略、この一環としての研究事業を行ってございます。
 また、今年度からでございますけれども、将来の高齢者介護の姿を念頭に置きました未来志向研究プロジェクト、これをスタートさせたところでございまして、例えば、市町村の介護予防事業の一環として行われます痴呆発病予防のための調査研究でありますとか、試行的な取り組みにつきましては、これを活用することで、今後、支援を図っていきたいと考えておるところでございます。
 以上でございます。
○山井分科員 すぐ終わりますから、ちょっと河村大臣に一問だけ、一言だけ申し上げたいんです。
 先ほどおっしゃった局長の答弁では、何か、各地方自治体で考えてくれたらいいということなんですけれども、やはり知的障害者が高校に行けるかどうかというのは、大阪では行けるけれども神奈川では行けないとか、余りばらばらではだめだと思うんですが、そのあたりの御見解、大臣、いかがでしょうか。
○河村国務大臣 大阪での取り組みをいろいろしていただいておりますから、これをぜひ、我々としても、どういう形がとれるのかということは、やはりこれは、全国ということになりますと、その辺をしっかり踏まえておきませんといけません。
 しかし、おっしゃるように、あそこはいい、ここは悪いということは、それはやはり全国的にやるとなれば、受け入れ、どこかに行けば受け入れ先があるんだという、この選択肢を広げるということは必要なことだろう、私もそういう認識を持っておりますので、そういう考え方で研究をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
○山井分科員 どうもありがとうございました。
○小杉主査 これにて山井和則君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十一分休憩

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