159-衆-青少年問題に関する特別委員会…-3号 平成16年02月27日
○武山委員長 次に、山井和則さん。
○山井委員 これから二十五分間、小野清子特命大臣に質問をさせていただきます。
今、資料を配らせていただいております。五ページまでございます。
まず、共生社会調査会の会長としてもこの児童虐待の問題に取り組んでこられた小野清子特命大臣のリーダーシップを、児童虐待防止法、三年後の見直しに向かって、ぜひとも発揮していただきたいと思っております。
きょうの午前中、四人のすばらしい学識経験者の方々から、参考人の方々の御意見もお伺いしました。そのことも踏まえて質問をさせていただきたいと思います。
まず最初に、私のこの青少年特に入らせていただきました思いを少し話させていただきますと、そもそも私がこういう政治に関心を持ったきっかけが、学生時代、母子寮、今の母子生活支援施設でずっとボランティア活動をしておりました。そこで子供たちと遊ぶボランティアをしておったわけなんですけれども、最初、初めて母子寮に行って、私、びっくりしたのは、おまえ何しに来たんやといって怒られたり、つばをかけられたりしまして、子供というのはもっと温かく迎えてくれるものじゃないかなと思ったり、また、けんかっ早い子供が多いなと思ったりもしました。
しかし、何年かそこでボランティアをしながら感じましたのは、お父さんがお母さんに暴力を振るって家庭が崩壊して、お母さんと子供が逃げてその母子寮に保護されている、そんな中で、お父さんがお母さんを殴るのを見て育った子供というのは、残念ながら、時には当たり前のように友達を殴ってしまう、そういうふうな連鎖の問題もあるわけなんですね。
そういう意味で、本当にまたそういう家庭的に御苦労した子供たちの進学、就職というのは、非常に厳しい現実があります。そういう問題、やはりこれは、子供に罪はないんだから大人の責任だ、もっと言えば政治の責任じゃないか、そういう思いで、実は私、学生時代にこういう政治に関心を持って、きょう、こうやって青少年特に立たせていただいております。
そこで、まず何よりも、この今回の岸和田の痛ましい事件、先日も私、現場に行かせていただきました。そんな中で、このマンションの一画にそのお子さんがずっと監禁されていた。(パネルを示す)それで、もう長らく食事もほとんど与えられていなかった。それでまた、地域では割とそのことが、かなりの方も薄々感じていた。しかし、病院に運び込まれるまでわからなかったという、やはりこの問題の再発は何としても防がねばならないということを強く強く思うわけであります。
まず、この点について、児童虐待防止法、三年後の見直しを今これから議論するわけですけれども、法の不備なのか、あるいは、法律にはそれほど問題はなかったけれども運用に問題があったのかということを含めて、小野大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○小野国務大臣 お話を伺っていて、改めてまた当時のニュースの思いをめぐらせているところでございます。
児童虐待の事件につきましては、近年、児童相談所における相談件数は大変多くなっているという、そのこと自身がとにかく憂慮すべき状況にありますけれども、やはり、今先生おっしゃいましたように、核家族になり、あるいは地域社会が弱体化してしまって、大きな声を出してもお隣の方々がそれに何ら対応してもらえなかったというのもその一つかと思います。取り巻く環境というものが大変従前とは変わってしまったというこの現実もあろうかと思います。
今回の岸和田の事件に関しましては、現時点では、私の知るところでは、児童相談所内の連携というものがどうであったのかという点です。これは、不登校の担当課と虐待の担当課と、二つの担当課があったわけですけれども、その辺の御連絡がとれていなかったようでございます。それから、二点目は、児童相談所と学校との連携がとれていなかったという点でございます。こういう検討すべき課題があったと認識をさせていただいているところですので、そういった意味では運用の面なのかな、そのような感じもなきにしもあらずでございます。
児童の安全を確保するために、児童のいる場所への立ち入り、これは法的整備の必要性も指摘をされているところでございますし、いろいろ御検討もいただいているところであろうかと思いますけれども、今の法律であっても、実際には、もし児童相談所の方から警察の方が依頼を受けた場合には同行できるわけですので、その辺もやはり残念であったな、そんな認識を持たせていただいております。
そういった点から考えますと、今回の事案については、大阪府に設置されました検討チームができたそうでございます。この検討チームの状況も踏まえまして、関係省庁と連携をとりながらその背景を十分に検証いたしまして、改善すべきところはきちんと改善を図り、痛ましいこのような事故が二度と起きないようにしていかなければ、そんな気持ちを持たせていただいております。
○山井委員 法の問題というより運用の問題が大きいのではないかというこの岸和田事件についての総括であったわけなんですけれども、やはり、このケースに限らず、こういう児童虐待のおそれがあるときに、なかなか児相の方々が情報収集できない、あるいは本人に会えないという現実があると思うんですね。
そういう意味では、これは再発を防止していこうということにするには、もうちょっとやはり児相が動きやすくするというような改革が私は必要なんではないかと思います。そういう意味では、今の法だけでは私は弱い面があると思うのですが、そのあたりをもうちょっと、虐待のおそれがあるケース、児相がもっと機敏に動けるようにしていく、そのために、小野大臣としてはどういうふうなことをしていく必要があるとお考えでしょうか。もしかしたら質問通告にきっちり入っていなかったかもしれませんが、お感じになられるところで結構ですので、よろしくお願いします。
○小野国務大臣 この件に関しましては、担任の者が大変心配をされて、自宅の方に行ったりということはあったようでございますけれども、兄弟の方は学校にいらしていた、そういう観点から、深刻さが少々間違った感じの中でとらえられていたのかな、そういう点が一点ございます。
それから、児童相談所には行きましたけれども動いてもらえなかったという、この点が何とも……(発言する者あり)それは違いますか、失礼いたしました。私が間違っておりましたら訂正いたしますけれども。児童相談所内の不登校担当課と虐待担当課との意思の疎通が欠けていたということは、これは事実のようでございますから、その担当課のどちらかが欠けていたということは、私は、児童相談所に出かけているという認識で今申し上げたわけでございます。
ですから、そういった意味での連携の不十分さと、そして、家族である弟さんになる方は学校に出ていたということで、そこまで深刻に学校の方も関知できなかった、こういうことでございますけれども、私は、周囲の者と話をしたときに、なぜここまでほっておいたのかと。ですから、学校を休んで長期化した場合に、担任が自分で行き切らない場合には、校長との相談をする、主任との相談をするという、もう一つ上の者との相談をきちんとして、動きを一つ一つステップを踏むようにやっていったら違っていったのではないかな、そういうような気持ちを私自身は持っております。
何かしら、自分は動いたけれども周囲が動けなかったということで終わってしまったところがどうなのかなという心配もありますけれども、私自身は現場には行っておりませんから恐縮でございますけれども、私の印象としては、いただいている資料では、意思の疎通を欠いているというところがあったということは事実でございますので、余り予見で物を言うとかえって失礼かと思いますので、その辺でお話はやめますけれども。
とにかく、こういう事件が起こってしまったということに対しての私自身の気持ちといたしましてはざんきにたえないわけでございますから、どこをどうすればよかったのかということは、今回の点を十分に調査していただきまして、そうした結果をもとにしながら、絶対このようなことが今後起きないようにするためにどうすればいいかということを結論を出していかなければならない、そういうことを考えております。
○山井委員 正直言って、ちょっと現状認識が私と違うわけでありますが、そういう連携が悪かっただけで済ませているとこの問題の再発防止はできないと私は思うんですね。
あと、ちょっと質問中で恐縮ですが、副大臣ですが、ちゃんと私の話を聞いてくださいね。先ほどからずっと目をつぶっておられますが、よろしくお願いいたします。
それで、この三年後の見直しに向かってどれを変えていくのかということは、やはりこれは担当大臣のリーダーシップにかかっていると思います。やはり、今回の岸和田の事件を、絶対似たようなケースを起こさせてはならない、もうそれは私たち国会議員、この青少年特の委員の最大の使命でありますので、こういう事件を踏まえて、小野大臣としたら、どこをどう変えていったらこの岸和田事件のような問題の再発が防げるのか、大臣の御所見をお聞かせください。
○小野国務大臣 平成十二年の十一月の児童虐待防止法の施行を初めといたしまして、さまざまな取り組みがなされてきたにもかかわらず、今回のような岸和田における事案を含め、児童虐待の状況は極めて憂慮すべき現状であるということ、これをまず一つ置かせていただきます。
私たちは、いま一度、児童虐待が児童に対する重大な人権侵害であるということと同時に、次代を担う日本の大事な青少年たちの育成という観点からも考えますと重大な課題であると同時に、その認識に立った上で、社会全体が児童虐待を見逃すことがないように、早期発見と児童の保護等が適切に行われるようにすることが重要である、そのように感じております。
結局、早く見出し、保護をすることによって児童は救われたわけですけれども、その辺がきちんとできるように我々は心していかなければならない、そう思っております。
○山井委員 何か、ちょっと総論で本当によくわからないんですが。
例えば、これを改正していっても、この資料にもありますように、二人の虐待担当の方が二百数十件もこの岸和田では担当をされているわけなんですね。もっと早くから介入といっても、なかなか人手が足りないというところもありますし、先ほど、児相の中の連携が不十分だったという話がありましたが、私も現場に行って聞きましたが、本当に少ない人員でやっていて、なかなかこれ以上小まめにといっても限界があるということをそこの方はおっしゃっておられました。そういう意味では、この朝日新聞にも出ておりますように、もっと数、質ともふやしていかねばならないというふうに思います。
小野大臣、午前中の参考人の方もおっしゃっていたんですが、この事件を契機に、岸和田では虐待のおそれがあるという通告の件数が既に三、四倍になっているというんですよね。そうしたら、どんどんどんどん通告が来たら、ただでさえ相談員さんは今でも対応できないのにもっともっと対応できなくなってくるわけですけれども、このあたりの人をふやす、あるいは専門職をふやすということに関してはいかが思われますか。
○小野国務大臣 児童相談所には、児童福祉司、それから精神科医、それから心理判定員等さまざまな専門職の方々が置かれておりまして、困難な問題に対して努力をしていただいていると理解をしております。
児童虐待の問題に適切に対応していく上で児童相談所の専門的な職員の果たす役割は極めて重要でありまして、この観点から、児童相談所の児童福祉司の皆さんについては毎年増員を図っているところでございます。その数が足らないということであれば、それは今後のまた見直しになろうかと思いますけれども、私も一応数をいただいておりますが。
そして、先般、国会において出されました児童福祉改正法案におきましては、児童虐待防止対策を充実強化する観点から、児童相談所に関しまして市町村が担います役割、これを法律上明確化すると同時に、児童相談所の役割を要保護性の高い困難な事例への対応や市町村に対する後方支援というところに重点化するということが盛り込まれたところでございまして、このような取り組み、よい取り組みによりまして相談体制を、虐待防止に万全を期していくことが重要であると考えております。
ですから、市区町村、市町村と、それから県の、児童相談所というのは県の施設でございますから、市町村と県の立場というものを明確にして対応する、事案に応じてきちんと対応していくということで考えております。
○山井委員 今の数では本当に全く足りないわけなんですね。
小野大臣にお願いしたいのは、小野大臣がこの児童虐待防止法三年後の見直しの責任者であるわけですから、その責任者がもっと、こんなことではだめだ、対応できないということで、私たち以上にしっかりとリードしてもらわなかったら、何か頑張ってはいきますけれどもみたいな、そんなことではどんどんどんどんふえていって仕方ないですよ。それに、これから半年、一年議論する見直しではなくて、もうあとしばらくしたらこの三年後の見直しもこの委員会で決めないとだめなんじゃないかというときに、そういう現状認識では私は余りにも甘過ぎるのではないかと思います。
二番目の資料を見ていただきたいんですが、これはきのう担当課からもらったんですが、児童虐待に対する相談体制の国際比較なんですね。それで、担当件数、それぞれ外国は一人のソーシャルワーカーが何人かということなんですけれども、これは日本だけ抜けているんです。これはもちろん、厚生省の担当課からもらったんですけれども。
小野大臣、これは日本では大体、虐待、一人のソーシャルケースワーカーが何人ぐらい担当しているんですか。今ちょっとずつふやしているというお話でしたが。
○小野国務大臣 済みません。今資料を持ち合わせておりませんので、調べさせます。
○山井委員 これは、一人の相談員が何人担当しているかというのは、ある意味で最もベーシックな話ですよ。答えてください。
○小野国務大臣 これは厚生省の話でございます。厚生省の担当内容でございますので、御了解ください。(発言する者あり)
○山井委員 納得できません。それはだめですよ。ちょっと、ちゃんと答えてください。虐待防止法の議論をしているのに、一人担当何人かもわからないようじゃだめですよ、そんなの。
○小野国務大臣 一人の福祉司の担当が七万三千二百三十七人となっております。
○山井委員 いやいや、これを見てくださいよ。
いや、私が聞いているのは、この図にあります、何ケースぐらいかということで、カナダ五ケースなのに日本は七万三千ケースだったら、大変なことになってしまうじゃないですか。
○武山委員長 小野国務大臣、よく整理してお答えいただきたいと思います。――答えられますか。
○山井委員 いや、でも、僕、政府参考人に指定していないですから、メモを渡すなり何かしてもらったら。――では、ちょっとこれは速記をとめてくださいよ。
○武山委員長 これ、通告してあるわけですよね、きちっと。
○山井委員 いや、そういう次元の問題じゃないでしょう、これ。ちょっと私の時間も限られているわけですから。ちょっと速記だけとめてくださいよ。私もあと五分しかないですから。(発言する者あり)
○武山委員長 はい、それでは調整がつくまで、一たんここで速記をとめてください。
〔速記中止〕
○武山委員長 速記を起こしてください。
小野国務大臣。
○小野国務大臣 平成十五年の児童虐待の件数が二万四千件でございまして、児童福祉司の数が千七百三十三人でございますので、割り算をしていただきますと、一人の担当が十四人ということになります。
○山井委員 ちょっとこれは、虐待に関することですから、そんなのと違うと思いますよ。先ほど言ったように、岸和田では二人の担当者が二百四十件ぐらい虐待の担当をしていたわけですからね。ちょっと、そんないいかげんなことを答弁しないでくださいよ。(発言する者あり)
○武山委員長 速記をとめてください。
〔速記中止〕
○武山委員長 それでは、速記を起こしてください。
小野国務大臣。
○小野国務大臣 先ほど申し上げました、平成十五年の福祉司の方が千七百三十三名であるということ、そして、この方々は虐待児だけを取り扱っているのではないということでございます。
○山井委員 ですから、虐待担当の方の一人の担当は何ケースぐらいですかということを聞いているわけですよ。
○小野国務大臣 それは数字をとっておりませんということでございます。
○山井委員 やはりこれは、児童虐待防止法の三年後の見直しをやって、きょう、午前中も参考人質疑で、ケースワーカーさんがもう対応ができないという真剣な議論をしていて、肝心かなめのこの委員会の中で、大臣も、そういう一人のケースワーカーが何人の虐待の子供を担当しているか統計もないと。そんなことで議論できないじゃないですか。(発言する者あり)だからって、それじゃ議論できないわけでしょう。
それで、これは担当課からもらって、例えば海外では何ケースぐらい担当しているんですかということを、だから私も事前に聞いたわけですよ。そうしたら、この資料にありますように日本だけ空白なんですよ、そのケースの数が。こんなことってありますか。外国のことはわからないけれども日本はわかるんだったらいいけれども、日本がわからないというのは、こういうデータすらないというのは、私は審議の前提が成り立っていないと思うんですよ。
そこで、ちょっとお願いしたいんですが、せめてこういうデータを、海外と日本ときっちり早急に提出してください、調査して。調査していないじゃ済まないですよ、これ。答弁してください。
○小野国務大臣 厚生労働省とよく相談をさせていただきたいと思います。
○山井委員 そんな答弁じゃだめでしょう。自分が責任者でしょう。厚生労働省に言って責任持ってやるという答弁をしてくださいよ。そんなデータすら出せるか出せないかわからないんだったら、審議できませんよ。
ちょっと、大臣、ちゃんとそれは責任持って答弁してください。副大臣は指名していない。大臣、それぐらい約束してくださいよ。すぐ調べられますよ、そんなことは。
○小野国務大臣 先ほどお話し申し上げましたように、厚生労働省の方はその数値をとっておらないということでございますので、私も答えようがないわけでございます。
○山井委員 そういうことも、データもとっていないのに、一歩一歩ふやしていったら大丈夫だみたいな答弁をさっきされたわけですよね。
もう一回ちょっと聞きたいんですが、この児童虐待防止法三年後の見直しの責任者は大臣なわけですね。それで、午前中、参考人の中から出た総意の意見は、やはりこういう大きな問題だから、じっくり審議に時間をとって議論してほしいという声が出ておりました。
その二点について、この見直しの責任者の大臣、最終責任者は小野大臣であるんですねという確認と、それともう一つは、この審議をしっかりやってほしいということ、二点、お答えください。
○小野国務大臣 所轄は小野大臣なのかという、こういう御質問でよろしゅうございますね。
国の行政事務というのは、各大臣が主任の大臣としてそれぞれの事務を分担管理することになっているわけでございますが、児童虐待の防止に関することは厚生労働省の所轄事務でございます。
○山井委員 そうしたら、厚生労働委員会で審議したらいいじゃないですか。そんな無責任なことでどうするんですか。これは、責任者は小野大臣じゃないんですか、見直しは。
○小野国務大臣 どこでやるのかということは国会の方で決定することだと思います。
○山井委員 あともう一つ、審議の時間をとってくれということの質問。(発言する者あり)
○武山委員長 では、二番目の質問の方は理事会で諮るということで、山井議員の質問はこれにて終了いたします。
○山井委員 やはり、担当大臣として、しっかりリーダーシップをとっていただきたいと思います。よろしくお願いします。
Posted at 2004年02月27日 12:00 | TrackBack