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前例はねのけスライド使う


朝日新聞 2000年9月14日 付け                 鼓動 新世代の群像
国会を変えてやる

とうとう来たぞ。
血が沸き立つた。

八月四日の衆院厚生委員会。
籾質問だ。

この委員会に入ることが目的で、私は政治を志した。

福祉施設でボランティア活動を始めたのが十八歳の時。
以来二十年間、福祉に取り組んできた。

痴ほう症のお年寄りが病院のベッドに縛りつけられる「身体約束」の現場を何度も目撃した。

だから、この問題を取り上げることにした。

ところが、思わぬ関門が待っていた。

質問でスライド映写機を活用しようとしたら、
「前例がない。ライとを暗くすると警備上問題があるので難しい」と衆院事務局に指摘された。

しかし、現場の悲惨さを知ってもらうにも、この問題の解決に道を開くグループホームのすばらしさを分かってもらうにも、口では説明しきれない。

質問の前日、委員会室に映写機を持ち込んで試し、ライトを落とさずにすむことを確かめてもらった。

当日の理事会でもめたが、委員長が「テストケース」として許可してくれた。

勝手に動き回り、骨折でもしたら病院の責任になるというので、手足や腰をひもでベッドに縛りつけられたお年よりたちのスライド写真を次々に映し、

「この.ような現場を見たことがありますか」と津島雄二厚生大臣に聞いた。

大臣は「十年前から実情をある程度知っていた」と答えた。

「厚生省はどんな取り組みをしてきたのか」とたたみかけて質問した。

ところが大臣ほ答えず、代わりにお役人が弁明した。

厚生委員会は国の福祉を議論する最高機関のはずだ。

しかし大臣ほ名誉職のように一年程度でコロコロ代わる。責任者は一体だれなんだという思いがこみ上げた。

福祉問題に限った話ではない。

ほかの分野でも、そのテーマに強く、人生をかけるぐらいの責任感と使命感のある「専門議員」がたくさん出てくれば、同じように情熱のある大臣でないと持たなくなり、真剣勝負の議論が生まれる。

それが国会改革だと思う。


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