老 発 第 83 号
平成13年3月12日
各都道府県知事 殿
厚生労働省老健局長
指定痴呆対応型共同生活介護(痴呆性高齢者グループホーム)の適正な普及について |
介護保険法(平成9年法律第123号)に基づく指定居宅サービスの一つである指定痴呆対応型共同生活介護(痴呆性高齢者グループホーム)は、今後急速に増加する痴呆性高齢者に対する支援対策の重要な柱であり、「ゴールドプラン21」においても整備を推進していくこととしているところであるが、痴呆性高齢者グループホーム(以下「グループホーム」という。)は密室性が高く、利用者保護の体制整備が特に強く求められていることなどから、「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号。以下「基準」という。)の一部改正(平成11年厚生省令第96号)において、管理者は痴呆介護に関する専門的な知識及び経験を有する者でなければならないこと、計画作成担当者の配置を義務づけること、一定の居室面積を確保すること、市町村が行う調査に協力しなければならないこと等の内容を指定の要件に追加したところである。
今般、介護保険沫施行後のグループホームの運営及び整備の状況等を踏まえ、.地域の需要を踏まえた整備の推進、サービスの質の一層の確保といった観点から、下記のとおり関連諸施策を推進することとしたので、貴職におかれては、介護保険法上の指定痴呆対応型共同生活介護事業者の指定に当たって十分留意するとともに、適切な指導監督を行っていただくようお願いしたい。
また、管内市町村に対し、本通知の趣旨の徹底を図るとともに、十分な連携体制が図れるよう御配慮いただきたい。
なお、介護保険法上の指定の際の具体的な要件等について、下記の内容を踏まえ「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)の一部改正をあわせて行うこととしているので、念のため申し添える。
記
(1)住宅地等への整備促進等
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グループホームの整備を促進する上で、基準第166条第3項に定める家族との連携や地域との交流を確保する観点から、その立地について、基本的には次のいずれかの地域に限定することとする。また、その要件の確認については市町村の関与を求めることとする。
ア 都市計画法第8条第1項第1号の用途地域が定められた地域(工業地域及び工業専用地域が定められた地域を除く。)
イ 用途地域が定められていない地域の中で、幹線道路沿いや駅前、農山村等の集落地域内など、地域の住宅地の中にあるのと同程度に家族や地域との交流が確保されていると認められる地域
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介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設等に併設するグループホームについては、当分の間、@の条件によらないことができるものとする。
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共同生活住居において家庭的な環境の下で日常生活を送ることができるよう
に配慮する観点から、複数の共同生活住居を設置する場合については、3ユニ
ットを超えることは望ましくないこととする。
(2)管理者及び計画作成担当者の研修の義務付け
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グループホームの管理者及び計画作成担当者については、基準第157条第5項及び第158条第2項に定める両者に必要な知識・経験等を確保する観点から、r痴呆介護研修事業の実施について」(平成12年9月5日老発第623号厚生省老人保健福祉局長通知)に基づき都道府県及び指定都市が実施する「痴呆介護実務者研修」のうち基礎課程を受講することを義務付けることとする。
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また、計画作成担当者については、上記に加えて「痴呆介護実務者研修」のうち専門課程を受講するよう努めることとする。
(3)サービス評価の義務付け
グループホームにおいて提供されるサービスの内容等について、基準第163条第6項に定める質の評価の実施を担保する観点から、グループホームに関し特に定められた一定の評価基準による評価を行った上でその結果を公表することを義務付けることとする。
(4)情報公開の義務付け
介護保険法第23条に基づく市町村の調査への対応、同法第76条に基づく都道府県知事の報告徴収への対応、基準第173条により準用する第32条に基づく重要事項の住居内掲示等の実効性を上げる観点から、グループホームを運営する上で事業者が情報公開を行うべき事項(管理者及び計画作成担当者の資格・研修の履修状況、利用者が負担する料金等)を定め、それらの項目について都道府県、市町村、サービス利用者等に対して情報提供を行うことを義務付けることとする。
グループホームについて、地域の需要を踏まえた整備の推進、介護サービスの質の一層の確保といった観点から、都道府県及び市町村においては、事業者の指定、指導監督等に当たり以下の点に留意の上、十分な連携を図ることとされたい。
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市町村の関与
事業者の指定を行う都道府県だけでなく、より身近な市町村がグループホームにおける介護サービスの提供状況を確認するため、事業所の所在地の市町村は、介護保険法第23条に基づき、必要に応じて文書の提出等を事業者に求め、又は当該事業者の職員に質問若しくは照会をさせるほか、管内の事業者に対する定期又は随時の立入調査を実施するなど、介護サービスの提供状況等についての情報収集を常時行うよう配慮すること。
また、事業者と、利用者の家族や地域との交流を促進する観点から、市町村が家族介護教室などを開催するに当たっては、グループホームを活用するよう配慮すること。
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都道府県知事の指定に当たっての市町村との連携
都道府県知事は、指定痴呆対応型共同生活介護事業者の指定に当たり、事業所の所在地の市町村に対して、以下の内容について意見を求めるとともに、必要に応じて、指定前に実地調査を実施し、基準が満たされていること、適正な運営を実施する体制が確保されていること等について確認すること。
@事業所の整備区域
A運営体制や家族・地域と交流機会の確保状況
B市町村との連携体制の確保状況(情報提供の同意、介護予防事業の受託等)
Cその他指定に関し必要と考えられる事項
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都道府県及び市町村による情報提供
事業者から提供された情報内容については、利用希望者やその家族等が活用できるよう、閲覧資料の整備、インターネットによる情報提供等の対応を行うこと。
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都道府県の指導監査等に当たっての留意事項
都道府県は、市町村と十分に連携し、市町村が立入調査等で収集した情報を事業者に対する指導監督の際には十分活用するとともに、市町村から収集した情報に基づき必要と判断した場合には、随時実地指導を実施するなど、迅速な対応に努めること。
また、平成13年度における指導監査にあたっては、今般のr指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準について」(平成11年9月17日老企第25号)の改正内容について、既存の指定痴呆対応型共同生活介護事業者を対象にしたr集団指導」を実施するとともに、当該改正内容に基づく事業運営が適切に実施されるよう、平成13年度内に一度は必ず実地指導を行うこととされたい。
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