スウェーデンでは、サービス評価システムは社会福祉委員会によって実施される。サービス評価は、利用者が施設に入所してから三カ月後に第一回目が行われ、その後は年に二回、以下のように実施される。
(1)運営計画は担当者によって作成された作業計画、タイムスケジュール、報告書とともに比較検討される。
(2)介護サービスの質については、利用者のインタビューを通じて測定される。
(3)家族、近しい友人、後見人がサービス事業をどう評価しているかはアンケートやインタビューを通じて測定される。
(4)社会福祉委員会の担当職員がグループホームを観察し、報告する。
スウェーデンにおける高齢者福祉の理念は
- 「選択の自由」
- 「継続性」
- 「尊厳」
- 「安心」
- 「可能な限り活動的で有意義な生活を送る権利」
- 「アクセシビリティ]
という6原則から成り立つ。
たとえば痴呆性高齢者向けグループホームのサービス評価モデルでは、次の6原則に基づいて、この50項目の指標を示している。
■選択の自由
入居者はできるかぎり、以下のことを自分で決定できる。
- いつ起きて、いつ寝るか。
- いつ、どこで、何を、誰と食べたり、飲んだりするか。
- 何を所持するか。
- 日中に何をして過ごすか。
- 排せつ介助、衣服の着脱、食事介助などを、どの介護職員に援助してもらうか。
- 年金、投薬、部屋のカギの取り扱いをどうするか。
- 部屋の家具の配置。
- 自分の部屋にカギをかけたいか。
- 個人的な所有物の保管にカギをかけたいか。
- 来客を受け入れるか。.,
- いつ、どのようにして喫煙し、ワインやスピリッツを飲むか。
■継続性
- 一人の入居者の世話にかかわる介護職員の数は、できるだけ少なくなるようにする(介護者の入れ代わりを少なくする)。
- 入居者は家族や友人とコンタクトが取りつづけられるように支援されるべきである。
- 介護職員は入居者をよく理解するためにも、また意義のある会話を行うためにも、入居者の昔からの生活を理解するべきである。
- 入居者はかかりつけの医師、歯科医、弁護士、銀行、美容院などを継続して利用できるように援助されるべきである。
- それぞれの入居者が介護職員の中に何でも話せる人を持てるべきである。
■尊厳
- 入居者は、すべての場面において、どのようにしたいかを尋ねられるべきである。
- 入居者は、本人が望む平和な環境で生活する権利を持つ。
- 入居者の話しかけたいという希望は尊重されるべきである。
- 入居者は、本人が望むときに起きたり、出かけたり、横になったりできるべきである。
- 入居者は、自然な排せつが行えるように世話を受けられるべきである。
- 入居者は、身だしなみや爽やかさを維持できるよう援助が受けられるべきである。
- 入居者は、誰と親しく付き合うか、食事をするかを自分で選べるべきである。
- 入居者は、自分が喫煙者であれば、喫煙の援助が受けられるべきである。
- 入居者は、郵便配達人が直接配達できる個人の郵便箱を持てるべきである。
- 日常的な掃除や家事のサービスは、尊厳を侵害しないように行われるべきである。
■安心
- どの入居者も毎日何かのかたちで、介護職員とのコンタクトがとれるべきである。
- 入居者は真夜中であっても、職員の援助を得られるべきである。
- 他の住人、職員、訪問者と一緒でない時でも、安全に対して不安を憲じる必要はない。
- 「施設から出ようとする」性癖を持つ入居者は何か危険なことが起きる前に、その状態が取り除かれるべきである。
- 身体的な虐待についての申し立てばどのようなものでも、解明され、報告され、すぐに警察に通報されるべきである。
- 盗難、横領、その他の所有物についての犯罪、贈賄や買収は解明さ拠、報告され、すぐに警察に通報されるべきである。
- 医療器具の取り扱いについては、市町村による就業規則に基づいて行われるべきである。
- 入居者が日常的に使うお金の取り扱いを施設側に任せている場合は、そのことについて定期的に特別な説明がなされるべきである。
- 入居者と介護職員は日常的なコンタクトを通じて、お互いによく知りあい、まかせられる仕事を見つけていくべきである。
- 緊急アラームは毎日点検され、入居者が頻繁にアラームを押レたとしても電源を切ってはならない。
■できる限り、活動的に意義深い生活を送ることができる権利
入居者が望むのであれば、
- 食事や配膳の準備に参加できるべきである。
- 掃除や洗濯などのその他の家事にも参加できるべきである。
- 食事に来客を招くことができるべきである。''
- 祝日や誕生日は友人とともに祝うことができるべきである。
- これまで習慣だった本や新聞を読めるべきである。
- 理学療法や作業療法、足のケアや整髪に出かけられるべきである。
- 入居者は他の入居者や職員と一緒に行う何らかの活動に毎日に参加できるべきである。
- 毎日新鮮な空気を味わうために外出できるべきである。
- 家族や友人と頻繁に行き来できるべきである。
■アクセシビリティ
- 住居や共用スペースはバリアフリーにし、高齢者に適応させるべきである。
- 入居者はグループホーム内のいろいろな場所に簡単に行くことができるべきである。
- ケアが必要な入居者には、必要な医療や介護が提供されるべきである。
- グループホームは、家族やその他の訪問者にとっても快適であるべきである。
出典
:「新しい時代の福祉オンブズマン」(中央法規、2000年4月出版予定)より
原出典:
Thomas Hallgren,Kommunala driftentreprenader,SVENSKA KOMMUNFORBUNDET |