。☆〃。★〃。☆〃。★〃。☆〃。★〃。☆〃。★ やまのい和則の 「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」 - Yamanoi Kazunori Mail Magazine - 第11号(2000/09/05) 。★〃。☆〃。★〃。☆〃。★〃。☆〃。★〃。☆ メールマガジンの読者の皆さん、連日のメール、失礼をお許し ください。 さて、今回は2つのテーマ。 老人施設の個室化の問題と、単独型グループホームへの建設補助 (上限2000万)がつくことについてのニュースです。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. まず、私のスウェーデンレポートを読んで下さった方から、 次のようなお便りが来ました。 考えさせられる内容ですので長くなりますが、ご本人の了解を 得て、ご紹介します。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. (以下抜粋) さて、以下の日本の老人ホーム建設に関して少し愚見を述べ させていただきます。 小生も、老人ホームはプライバシーを保護する意味でも個室化 が絶対に必要と思っています。(少なくとも小生は人生の最後に、 知りもしない、仲が良いかも分からない人と住みたくはない) しかしながら、下記の厚生省の建設に対する基準の変更はありま せん。 小生は仕事の関係上、新築の老人ホームの設計図面を見る機会 が多いのですが、ほとんどが多床室です。 最近は多床室も色々あり、カーテンで区切っている物や、薄い壁 で区切って、入り口だけが共同になっている「擬似個室」のよう なものが増えてきました。 しかし、どうして単純に個室に向かわないで、このような多床 室ベースの「擬似個室」がもてはやされているのでしょうか? 愚考するに、 1.個室化するとスタッフのケアの手間が増え、大変である。 2.全室個室だと同じ建物面積で入居できる人数が多床室より少 なくなる →経営が困難になる 3.高齢者は一人でいるとさみしがるから多床室がいいという 考えが強い等があげられるのではないかと思います。 特に小生は3番目の考え方が当たり前に語られている現状が、 大きく阻害されているような気がしてなりません。 先日も、ある老人保健施設でお話を伺ったのですが、 「高齢者は寂しがるから多床室の方がいい。実際個室から移りた いという人が多い」との意見をおっしゃってました。 「逆に個室に移りたいという人はないのか?」と聞きましたが、 「無い」とのこと。 これが、処遇が悪そうな施設ならまだ、「勝手な思い込みを!」 と思えるのですが、施設の高齢者は非常に明るく、楽しそうに スタッフと談笑している姿もありました。 このような施設でも、そんな意見が出るということは本当に 高齢者はそう思っているのかも?と考えさせられてしまいます。 生活習慣や時代、環境の違いによって何か思考に違いがあるので しょうか? 少なくとも「自立」意識の強いスウェーデンの人と「家族依存」 の強い日本人では、何か心理状態が違うような気が致します。 入居されている高齢者のアンケート調査などがあればいいので すが・・・。 いずれにしても本当に高齢者が望んでいるという声が強くない とこの問題は解決しないように思われます。 ちなみに、ある高齢者施設では、個室は、問題行動のある方を 入居させるために使われているそうです。 何か、独房のような考え方でいやなのですが、同室の方への影 響を考えればやむを得ないのかもしれません。 全室個室なら関係無い話ですが。 (以上) .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. このメールに対して私は、「京大の外山義先生の研究でも明ら かになっているように、雑居部屋だと逆に人間嫌いになりやすい、 感染症がうつって死期が早まるという問題点が多い。雑居部屋が いいと言っている施設長はおかしい」などと返事しました。 自分が雑居か個室がいいか考えれば答えは出るように思いま す。 もしこのメールマガジンを読んでおられる介護施設の方で、 「やまのいさん、個室がいい」「いや、雑居もいい面があるよ」 というご意見があれば、お教えください。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 厚生省は来年度の予算要求で、特別養護老人ホーム10000人分、 老人保健施設7000人分を、要求していますが、いまの大規模な 雑居部屋施設が17000人分も21世紀に建設されることには、 私は我慢できないのです。 個室のユニット型老人ホームを、新築してほしいと思います。 そのために私も運動するつもりです。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 次の話題。 今日の読売の朝刊にとうとうでました。 単独型グループホームに上限2000万で併設型と同様の建設補 助がつくことになります。 趣旨は、そうしないと都市部にグループホームができない。 グループホームの数が増えにくい現状を変えるためです。 現在、グループホームは600箇所、12年度来年3月までに1200 の予定。13年度再来年度末までに1700。14年度末までに2200。 15年度末に2700。2004年度平成16年度末までに3200というの が、一応の厚生省の予定だそうです。毎年5〜600ずつ増。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. その資料を厚生省からもらいましたので、明日かあさってホー ムページに掲載します。 しかし、その条件は、市町村か福祉法人、医療法人で「バック アップの覚書を介護福祉施設と交わしていること」です。 厚生省の担当者にいま問い合わせをしましたが、わかりやすく 言えば、「大きな施設があってそのサテライトにグループホーム をつくるのは併設に準じて建設補助を出しましょう」ということ。 裏返せば、有限会社、株式会社、NPOはだめということです。 私の個人的意見を言います。 株式会社や有限会社は、確かに問題があると思います。 良いグループホームをやっている営利企業もあります。 しかし、いい加減な企業も多い。 こう書けば、良心的で頑張っているシルバービジネスの方に 「悪いところがあるというだけで、よいシルバービジネスも不利 になるのはおかしい」と怒られるかもしれませんが、本当にいい かげんなところも多いです。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 私はこの単独型補助で問題になるのは、営利企業でなくNPO です。というのは私のところには連日「NPOでグループホーム をはじめたいが金がない」という相談が舞い込みます。 本当に熱心なところが多いのです。そしてそんな熱心な方々は 今日の新聞を見て喜んでいると思います。 しかし、「NPOはダメ」と聞けばショックを受けるでしょう。 厚生省は、「NPOは資産管理の問題や、継続性などに不確定な ところがあるので、そこに建設補助をつけるのは難しい。事実、 新聞報道のように、暴力団がらみのNPOもある」と言います。 しかし、さきほどのシルバービジネスとは、逆の論理で恐縮で すが、そんな例外の暴力団のNPOのせいで、ほかの地道なNPO がみんな被害を被ってはたまりません。 私は、良心的なNPOには、お金を出せるようにすべきだと思 います。 では、良心的なNPOやシルバービジネスとそうでないところ を、誰がどうやって区別できるのか、というのが大きな問題にな ります。 それは、それこそ市町村にチェックしてほしいと思います。 皆さんいかが思われますか。 .:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:._.:*~*:. 余談ですが「単独型グループホームに、やっと建設補助がでま すよ!」と、知人に言うと、「まあ〜ね〜。無理して、もう既に、 デイ併設で建築にかかってるからねえ。もう1年早く決めてくれ てたら」と、ある医療法人の方がぼやいておられました。 以上、今日はこれまでにします。最終で東京に向かうのぞみの 中で。 やまのい和則 拝 9月4日 |