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    やまのい和則の
      「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」

      - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

             第9号(2000/09/03)

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メールマガジン読者のみなさん、こんにちわ。
 無事日本に帰国し、自宅でこのメールマガジンの原稿を、書い
ています。

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 今回は前回に続き、スウェーデングループホーム「ダルボ」の
報告です。

 さて、グループホーム「ダルボ」を見て、7年前よりもかなり
入居者が高齢化、重度化し、車椅子の入居者も7人中2人。

  私はこの姿を見て、日本のグループホームの5〜7年後を見
た思いだった。日本ではここ2〜3年でグループホームが500か
所ほどに増え、来年度予算でもさらに500ヶ所増える予定だ。
 しかし、数年後には、スウェーデンと同じように車椅子に乗っ
た痴呆性高齢者がグループホームにも増えるであろう。

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 グループホームのスタッフによると、
「入居時に、すでに車椅子である痴呆性高齢者を、グループホー
ムが拒むわけではないが、実際には、グループホーム入居時はほ
とんどの痴呆性高齢者が歩行可能である」という。

 しかし、足腰が弱り、車椅子になったからという理由で、痴呆
性高齢者がグループホームを追い出されることはないという。

 それは、グループホームが「住居」であり、「自宅」である以
上、本人は意思表明できなくとも、家族が「最後までグループホ
ームで面倒見て欲しい」とたいてい言う以上、追い出すわけには
いかないのだ。

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 今回スウェーデンで訪問した4箇所のグループホームすべて
で、スタッフは「入院治療が必要になる場合をのぞいて、グルー
プホームで最後まで面倒を見る」と言っていた。

 ただし、あるスタッフは、「身動きできなくなると、本当は、
グループホームの良さが十分に発揮できないんですけれど」と言
った。

 実際、「ダルボ」グループホームでも7人中、食事づくりを手
伝うことができる入居者は、ゼロであった。

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 また、7年前と明らかに違ったのは、地域看護婦の活躍である。

 地域看護婦とは、日本の訪問看護婦に似ているが、より医師に
近い大きな権限をもっている。

 「ダルボ」グループホームにも、1日に3回、定期的に地域看
護婦が登場している。

「入居者が重度化するので、地域看護婦の役割は、ますますグル
ープホームにとって大きくなる」とケアスタッフは言う。

 ここでは、併設された介護付き住宅(サービスハウス)に、地
域看護婦が常駐しているのですぐに来られる。

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 この点(併設)について、スタッフのイングリッドさん(介護
職員)は、「最後までグループホームで面倒を見るわけですから、
老人ホームや介護付き住宅、病院などとの併設のほうがグループ
ホームは安心です」という。

 「単独型グループホームはバックアップが不安」と言う。

 スウェーデンでは、グループホームのうち単独型は1割も満た
ない。

 また、単独型でも多くのものはユニット型であり、グループホ
ームが2〜4つくっついたものである。

しかし、私はイングリッドさんに言った。

 「スウェーデンでは、併設する相手のケア付き住宅や、老人ホ
ームが街中(まちなか)にあるので、グループホームも併設型で
問題はない。

 日本では、老人ホームが地価の安い街はずれにある場合が多い
ので、併設型ばかりだとグループホームも街はずれになり、
グループホームの理念である”住み慣れた地域で老いる”を実現
できない。だから、日本では単独型グループホームも数多く必要
だ」と言った。

 イングリッドさんにしてみたら、「なぜ、日本では老人ホーム
が街はずれに建てられているのか」が理解できないようだった。

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 ここで、話はずれるが、以上のようなやりとりを、私は7年ぶ
りに話すスウェーデン語で話した。正直言って、多少相手に通じ
ていなかった部分もあるが、自分で言うのもなんだが、グループ
ホームの取材だけはスウェーデン語が、すらすらでて、議論がは
ずむ。
 一般の会話はカタコトなのに。

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 イングリッドさんは、グループホームのスタッフにとって最も
大切なことは“チームワーク”だと言った。スタッフ同士が十分
に話し合い、目指すべきケアのイメージを一致させることが大事
だという。

 改めて居室を訪問させてもらったが、車椅子対応のバス・トイ
レ、居室、キッチンがすべての部屋についている。

 だから、グループホームは自宅であり、住居なのだ。

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 ここで、グループホームの原語に触れねばならない。
グループホームはスウェーデン語では
gruppboende(グルップボエンデ)
あるいはgruppbostader(グルップボーステーデル)と言う。
gruppはグループ。
boende,bostaderは「住居」「居住」「住宅」という意味。

 ただ日本で「グループ住居」などというとわかりにくいので
グループホームとなっている。

 ちなみに、英語ではgruop-living(グループリビング)。
英語ではグループホームではないのだ。

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 またイングリッドさんが言うには、「重度の痴呆性高齢者が増
えると、スタッフが二人がかりで、介護せねばならない場合も出
てくるので、スタッフを増やす必要がある」と言った。

 現時点では、入居者7人に対して、日中は3人、晩は1人のス
タッフ。ただし、夜勤専門の職員がおり、日勤と夜勤とは別々の
人がしている。

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 以上、スウェーデン報告の第二回目のメールマガジン、痴呆性
高齢者グループホームについてでした。

 また続きをお楽しみに。

 実は、写真もデジタルカメラでたくさん撮りました。ただ加工
しないとホームページに載せられないので、7〜10日後くらい
を目途にグループホームの写真も、ホームページに掲載します。
               やまのい和則 拝

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