21世紀のモデルと言われる、特別養護老人ホーム「風の村」へ
訪問した報告です。(訪問 2001年10月4日(木))
はじめに
「風の村」は知る人ぞ、知る、全室個室でユニット型の特別養護老人ホーム。かの有名な外山義京大教授が設計監修をし、福祉施設の設計経験の無かった斉藤佳一建築士が設計。
5年間の準備を経て建設。
厚生労働省の方針では、来年以降、新設される特別養護老人ホームは原則、全室個室でユニット型が好ましいというのだが、それを先取りしているのがこの「風の村」なのだ。
視察者が多く、もう視察の予定が一杯で、なかなか受け入れられないというのもわかる。
いま「風の村」は人気が高く、待機者は200人。しかし、2000年2月の開設以来、1年8ヶ月で亡くなった方は9人。つまり、年に平均5,6人お亡くなりになる計算になるので、待機期間は10年以上かも。
<「風の村」概要>
鉄筋コンクリート3階建て
運営主体:社会福祉法人たすけあい倶楽部
特別養護老人ホーム 定員50人(全室個室)、
ショートステイ定員7人(個室)、
デイサービスセンター、
在宅介護支援センター、
ケアプランセンター
<風の村訪問>
風の村のある千葉の八街駅は、東京駅から特急で1時間。
視察のメンバー、私の秘書である海野仁志(元静岡県庁職員、特別養護老人ホームの施設整備を担当したこともある)、介護保険チームの事務局長である中村哲治衆議院議員、その政策秘書の阪田朋子さん、福祉・医療に詳しいフリーライターの高木裕さん、私の5人。
八街駅からタクシーで10分で「風の村」に着いた。
美しい緑の森や畑の中にある施設で、「風の村」の名前がピッタリだ。対応してくださったのは施設長の秋葉都子(みやこ)さん。
<家>
入り口には「風の村」の看板だけ、施設の中は「トイレ」「お風呂」など部屋の名前を書いた看板もほとんどない。
「入口の『風の村』という看板には敢えて、『特別養護老人ホーム』とは書かず、『風の村』としか書いていません。施設っぽさをできるだけ抑えたいのです」と秋葉さん。
「看板があるといかにも施設という感じがするでしょ。ここは『家』だから」と。
玄関から入る。
落ち着いた照明で、内装に木をたくさん使った美しい建物だ。
また、介護スタッフは私服。
「スタッフが制服を着て、名札をつけると、入居者が構えてしまう。できるだけ施設の雰囲気をなくしたい」とのこと。
「アットホームで家庭的な雰囲気」にするために、非常に細やかな気配り、心配りがなされている。細かなことにこだわって、「至れり尽くせり型から、くらし育み型へ」をモットーにしているという。
<喫茶店>
お話をうかがった一階の喫茶店は、ボランティアの方が運営していて、施設の外から地元の人が直接入れるようになっている。
フローリングの床でしゃれた雰囲気。クラシック(G線上のアリア)が流れていた。窓からは緑豊かな畑が見える。
「施設と畑の間にフェンスもないんです。門もない。 安全のために自由を抑制しないという方針です。施設らしくなくするために。この施設がオープンしてからほぼ2年ですが、今まで困ったことはありません」とのこと。
<落ち着いた雰囲気>
施設内を歩いた。
いや、「施設」というよりは、「ケアつき高齢者住宅」である。
私が10年来、福祉施設を見た中で、この「風の村」は何に一番近いかといえば、スウェーデンのケア付き住宅やナーシングホームである。しかし、和風である。
落ち着いた雰囲気。その理由はいくつかある。
広すぎない廊下、
木目のきれいなフローリングの床(廊下も居室も)、
真っ白でなく薄いベージュで模様の入ったしゃれた壁。
明るさを抑えた暖色(電球色)の照明。
「広い廊下に白い壁だと病院のような雰囲気になり、家庭的でなくなるので、お年寄りも落ち着けません」と秋葉さん。
<入居者も落ち着く>
50人入居の「風の村」は、6-8人の8つのユニット(グループ)にわかれている。全室個室。トイレは共用でユニットごとにある。
お年寄りに挨拶をする。気のせいか、皆さん、落ち着いておられるように思う。
入居者の平均要介護度は3.3。介護度5が11人。4が11人。
「ここで暮らすと、介護度が軽くなる人が多く、すると、介護報酬が下がり、施設の収入が減るので困るのですが・・・。でも、お元気になられることは本来、喜ぶべきことですが」
と秋葉さん。
「軽い人ばかりを入居させているのでは?」と視察者から言われることもあるという。
人形をおぶって徘徊していたお年寄りは、流しで洗い物をする役割を持つことで落ち着いた。しかし、体調を崩し、病院に入院して白い壁に囲まれたら、痴呆症に逆戻り。ところが、病院から風の村に戻ってくると「ただいま」と言ったという。
また、暴力行為が激しかったおじいさんも、タバコを吸うことで落ち着いた。タバコは喫煙コーナーで吸ってもらっているが、その方は、ほとんどタバコは手に持っているくらいだという。
多くの痴呆症のお年寄りは、個室の中ではなく、日中はリビングで過ごしている。
<愛用の家具>
居室には、洗面所、ベッド、タンスなどがある。照明やカーテンは部屋ごとに異なっている。
昔、服屋さんだった男性の部屋には、SINGERと書かれた
古い足踏みミシンが置かれている。
ある女性は70年前の嫁入り道具の箪笥を持ち込んでいる。
私は多くの施設の「個室」を見てきたが、「風の村」では、「個室」が「自分の家(居場所)」になるよう工夫がされている。
「自分のなじみの品がなければ、また、みんなと日中に集えるリビング(セミプライベートな空間)がなければ、『個室』は『孤室(孤独な部屋)』になってしまいます」と秋葉さん。
しかし、自分のなじみの家具がないお年寄りも多いとのこと。
<車椅子対応>
洗面台は、車いすで対応できるように低くなっている。
居室の照明も明るさを控えめにした落ち着いた雰囲気だ。
また、6-8人の居室に囲まれたリビングも凝っている。
このリビングは、6-8人の憩いの場、共用のリビングルームであり、食堂でもある。
流し台も車いす対応で非常に低い。
「役割がないのは辛い。だから、車いすで使える流しにした。食器を洗える人には、自分の食器は自分で洗ってもらっている」と。
また、食卓の椅子の高さも38センチと低く、お年寄りが座って足がつくようになっている。
<ごちそうは炊きたてのごはん>
置いてある食器を見ると、いろいろなものが混ざっている。
「みんな同じプラスティックの食器では、やはり、施設になってしまいます。自分の食器や箸も持ってきてもらっています。食器がかけたことはほとんどありません」と秋葉さん。
誰の食器かわかるように、裏に名前のシールが貼ってある。
「自分の食器を持ち込んでもらうことで、結果的には、食器代も節約できました」とのこと。
また、各ユニットには、台所があり、炊飯器もある。
「一番のごちそうは、炊きたてのご飯です。だから、できる限りお米をといで、ご飯を炊く。ご飯の匂いがないと、家庭とは言えませんから」と秋葉さん。
<自由な食事時間>
とにかく、家庭的な雰囲気にするために、あらゆる努力がなされている。朝は起きた順に自由に朝食を食べる。おかゆやきざみ食の人は1〜2割。きざみ食もユニットごとに、その人に合わせて必要なものだけをきざみにしている。
部屋で食事をしている人は一人もおらず、みんなユニットの共用のリビングで食事をしている。1時間くらいかけて食べている人もいるという。
スタッフの数が多いから対応できるのであろう。このような
対応なので、介護度が軽くなる人も多いという。
<グループ処遇と個別処遇>
ショートステイも、それぞれのユニットに1つずつある。
「これは、正解だった」という。なぜなら、他の家に泊まりに来たような感じで、同じユニットを再び利用することによって、なじみになる。
「また、来ました。お世話になります」とおみやげを持って入所することもあるという。
ショートステイといえども、家庭的な雰囲気が大事なのだという。
まさに、1つ1つのユニットがグループホームである。
<ご近所へ?>
おもしろいのは、別のユニットとの間にお年寄り同士の行き来があるということだ。
自分の居室があるユニットと違うユニットに、テレビを見に車いすのお年寄りが出かけることもよくあるという。
グループホームでは、気の合わないメンバーでもずっと同じ顔ぶれで一日中、毎日、過ごさねばならない。息が詰まり、ストレスになる場合もあるだろう。
しかし、ユニットの場合は、気が合わない人がいても、他のユニットに遊びに行くことによって、ストレスを減らすことができると感じた。
不思議なことに、他のユニットに遊びに行っているお年寄りも、食事の時には、自分のユニットに帰ってくるとのこと。
<理想はマンツーマン>
ここでは、介護職員と入居者の比率は、常勤換算で1:2。
一般の、特別養護老人ホームの基準は、1:3だから、基準より1.5倍職員が多いことになる。やはり、1:2でないと入居者一人一人に応じた個別ケアはできないという。
「個室だから人手がかかるのではなく、個別ケアだから人手がかかる」。そう話す秋葉さんの後ろの庭を、スタッフに車いすを押してもらってお年寄りが散歩している。
「マンツーマンでお世話する。これをやりたいんですよ」と。
<個別ケア>
「個別ケアによって、介護職員の動きがばらばらになった。食欲がなくなたっら、介護職員が付き添って二人で外に食べに行ける」。
実際、先週には、食欲がないという2人のお年寄りを、すし屋に連れて行ったら、お寿司と茶碗むしとあんみつを食べて帰ってきたという。
ユニットごとに、レストランに外食に出かけたり、夏バテの時はうなぎを出前してもらったこともある。「今日の夕食は出前でおそばを食べよう」ということもしているという。
<ユニット単位>
50人全員制でなく、7〜8人のユニット単位だからこそ、自由に柔軟に対応できるのだという。
「入浴もマンツーマンでお世話する。これが大事だと思うのです。最近つくづく思うのですが、今生きているお年寄りが来年、元気にしている保証はありません。お年よりの1年、1日は大きいのです」
前の施設で車いすに抑制されていた人が、じっくり見守って抑制の必要がなくなったケースもあるという。
また、抑制されない自由な暮らしによって、白い髪が黒くなってきた入居者もいる。
入居者の8割が痴呆症なのに、ほとんどの問題行動がここではなくなったとのこと。
玄関等も特に施錠されていないが、お年寄りが勝手に外に出てしまって困ったのは、開設当初だけだったという。
<お風呂上がりのビール>
秋葉さんは、
「個室が大事なのではなく、個別ケアができるかどうかが重要。いくら個室でも集団ケアだったら意味がない。個別ケアをするためには、1:2の人手は必要。入浴も一人のスタッフが付き添って、居室からお年寄りの車いすを押して、お風呂に連れていき、また、入浴後は部屋まで送り届ける。
『孫が銭湯にお年寄りと一緒に行くような感じ』だ」という。
また、お風呂あがりにジュースやビールも飲んでもらっているという。それは有料だが、そこが自己決定だという。 散歩も一人がつきっきりで車いすを押して、庭を散歩する。
「マンツーマンでの対応が重要」という。
<いろんな場所>
個室、
ユニットのリビング、
全員が集まれるセミパブリックな場、
喫茶店など近所の人たちと交流できるパブリックスペース
という4つの場所があって、はじめて個別ケアはできるという。
入居者の動きが活発な午前中に、特に人手を厚くしている。
ちなみに、食堂は真空調理法とクック&チルという方法を採用し、食べ物の形を保ったまま柔らかく調理するのと併せて、調理の手間を大幅に削減しているという。
お酒やタバコも当然自由。
しかし、本当にタバコを吸う人は50人中5人で、お酒が自由といっても、たくさん飲む人はほとんどいないという。
「個室は孤独だという意見がありますが」と尋ねると、
「日中、ずっと居室にいるのではなく、職員が誘導してユニットのリビングルームに出て来てもらうようにすれば、孤独にはなりません」
「個室だけではダメです。共用のリビングが必要。また、そのリビングに座敷ぼうきがあって、炊飯器があって、 自前の食器がある。この感覚が大事です」と秋葉さん。
<入居者Aさんの話>
ワープロを叩くおじいさんの部屋を訪問し、話を聞かせてもらった。先日、厚生労働副大臣の桝屋敬悟衆議院議員が訪問されたそうで、記念写真があった。
大正15年生まれの75歳。要介護5で車いす。頚椎(けいつい)損傷で下半身麻痺。手にも多少マヒがある。今までに14の施設や病院を経験。
個室は魅力的
「個室はいかがですか?」と尋ねると、
「個室は魅力だね。個室じゃなかったら、施設には入らなかった。個室以外は絶対ダメ」とのこと。
Aさんは、体温を自分でうまく調節できないので、部屋の温度を調節しなければならない。しかし、以前いた施設は4人部屋で、朝、寒いのに同室の人が窓を開けて困った。
その苦情を職員さんに言ったことが原因で、同室の人から『お前はわがままだ!』と言われ、気まずくなったこともあり、他の人と同じ部屋なのはつらいらしい。
気持ちの整理
「ここに入るっていう時に気持ちの整理をするのが容易じゃなかったよ。人間誰しも家にいたいよね。でも、ここに入ってから、うちに帰りたいと思ったことはないよ。電話、テレビ、そして、友だちとしてるワープロもある。これだけあれば、
これで満足。テレビ見たいと時は見るし、妻とも電話でいつでも話せるし、うちにいても変わりない。ここだとやりたいことも何でもできる」
「四人部屋の時も、同室の人とは、ほとんど口をきかなかった。あんな窮屈な思いは、二度としたくない。」
「ここは、希望を言えば、外出にも連れて行ってくれる。今年の正月は、職員さんと娘むこが付き添ってくれて、東京の国技館まで大相撲を見に行った」。
この方は大の相撲ファンで、部屋にも相撲の番付や相撲カレンダーがが貼ってあった。
泊まりにこいよ!
16歳から陸軍に勤務。整備兵として、特攻も何機か見送ったとのこと。今度、東京の青梅で当時の同窓会があるという。
「参加したかったが車で3時間もかかるのであきらめた。そしたら、友だちが『かわりに俺たちが施設まで行ってやるよ』と言ってくれたので、『泊りがけで来いよ。仲間連れて来いよ」と言った。ここは、2階にお客さんが泊まる畳の部屋もあるし、食事もできるので、気軽に友だちが呼べる」とのことであった。
ちなみに、奥さんも訪問して、ご主人のこの部屋に泊まったり、二階の畳の部屋に泊まっていかれるという。
オンブズマン
入居するにあたり、「個室」だとわかって、奥さんがこの 「風の村」に見学に来られた。「遠くても近くても個室ならいい」と本人は言ったという。
「個室であること以外に、職員さんのよい、悪いが施設で重要だ。これは30分や1時間ではわからない。ここは、日本でも1,2を争う施設のようだが、来年からもっといい施設もできるだろう。そうしたら、中身、職員の質で勝負するしかない。『風の村』のオンブズマンの人が俺に部屋にも名刺を置いていっている。いい施設にしていくには、思ったことを俺たちが言うのも必要だなあと思っている」とのこと。
淋しい
奥さんから毎晩7時に電話があるという。しかし、ある日、いつもより早く電話があって、どうしたのかな?と思ったら、
「うちに帰って、『ただいま』と言っても返事してくれる人がいない。寂しいから電話した」と奥さんは言った。
これには、ジーンと来たという。そもそもこの方が入居したのは、二人暮らししていた奥さんが介護で体調を壊されたことも理由の1つだった。
ワープロが友だち
普段はワープロで手紙や自分史を打っておられる。
この方は日中はワープロばかり打って、他の人の部屋にはあまり行かない、行って話する人は何人もいない、という。
好みの味
食事にも満足しているが、薄味好みの入居者もいれば、そうでない人もいて味付けはむずかしいとのこと。煮物は非常にうまい。漬物の味は悪かったが最近美味しくなってきた。食事は野菜が多くてよい。などの話。
この方は、障害が原因で過去17年間に14か所の病院、施設、リハビリセンターなどと自宅を転々としてきたので、味にも厳しいのだ。
介護認定への要望
「自分は要介護5で、要介護2の人より、自己負担が高い。しかし、自分でできることはできるだけやって、あまり職員のお世話になっていない。要介護2でもっと職員の手を借りているお年寄りもいる。自分はあまり手がかかってい なのに、もっと手がかかっている要介護2の人よりも自己負担が高いのは、不公平じゃないか。在宅と施設の介護認定のあり方を変えてほしい」という苦情であった。
ワープロが生きがいのようだが、私は「パソコンにいつか変えたらどうですか。パソコンだとメールができるので世界が広がっていいですよ。私のメールマガジンも読めますし」と。
国会議員への厳しいご意見
最後に、テロ対策についても議論した。 「自分は自衛隊出身なので、憲法を改正して自衛隊を派遣すべきだと思っている」と言っておられた。
また、国会議員については、次のような質問を受けた。
「国会の予算委員会質疑をさっきもテレビで見たが、予算に関係ないようなことも質問してる。あれは何でなのか?」と。
「予算委員会という名前ですが、一応、何でも聞いていいことになっています」と私が言うと、
「わかりきった質問をしたり、スキャンダルを追求したり、予算に関係ない議論が多すぎる。1分間で国会議員の給料はいくらになります? 無駄なことは聞かないで欲しい」との厳しい意見。
さらに、「国会のやじは勢力争いなんだろうけど、学校で先生の言うことをしっかり聞けと言っているのに、国民の代表の国会議員がやじばかりではみっともないよ。聞くことはちゃんと聞くべきじゃないか」とのお叱りも頂いた。
<個室のよさを実感>
1時間以上話を聞いたが、私にとっては特別養護老人ホームの入居者にこんなゆっくり話を聞くのは初めて。やはり、四人部屋でなく、個室だからゆっくり落ち着いて話ができるのだと痛感。ドアを閉めたらプライベートな空間なので、 施設というよりも「家」を訪問している感じだ。
<施設から住宅へ>
私は、過去10年以上、日本や世界の100か所以上の老人ホームなどを訪問しているが、四人部屋の場合、10分くらいが限界でそれ以上、居室で長話すると「うるさいなあ!」と叱られたりしたし、そもそも、まわりの入居者がカーテンの向こうで耳を澄まして聞いているのだから、落ち着いて本音の話が聞けない。
そんな場所で、「四人部屋の居心地はいかがですか」などと質問できるはずもない。
<本当の終の棲家>
なお、2000年2月の開所以来、亡くなったお年寄りもほとんどがこの施設で亡くなり、家族もそれを望んでいるという。
厚生労働省は、来年から新設する特別養護老人ホームは、原則として「全室個室・ユニットケア」が望ましいとしているが、そのイメージが、この「風の村」を見てわかったような気がした。
<新型特別養護老人ホームの課題>
しかし、「風の村」は何とかやりくりしているものの、介護職員(常勤換算):入居者の比率を現行基準の1:3から1:2に引き上げることが、個別ケアのために望まれると感じた。
また、現在の風の村は、他の特別養護老人ホームと同じ自己負担だが、厚生労働省が進めようとしている全室個室の新型特別養護老人ホームは、家賃などのいわゆる「ホテルコスト」が自己負担になるため、現在月5〜6万程度の自己負担が2倍の10〜12万円くらいにアップすると予想される。
所得によって介護保険料に5段階の差があるように、新型特別養護老人ホームも所得が少ない人には安くすることが検討されているようだが、所得に関係なく、入りたい人全ての人が、安く入れる制度にすべきである、と私は考える。
この「風の村」は「施設」というよりは、ケア付きの高齢者集合住宅というということである。
最後に、パンフレットより抜粋して理念を説明する。
風の村憲章
「私たちは自分の家を離れざるをえなくなったお年寄りが、新しい我が家にしっかり根を下ろし、生きる喜び、生きる意欲がしぼまない施設づくりを目ざします。きれいに生けられた切り花ではなく、大地に根を下ろした野生の花。『至れり尽くせり型から、くらし育み型へ』を合言葉にします」
1、「風の村」は、暮らす人、働く人、集う人で共に創る場です。
1、「風の村」は、ひとりひとりが輝く場です。
1、「風の村」は、自然の中でゆったりと過ごす生活の場です。
1、「風の村」は、ありのままの自分に出遭える場です。
1、「風の村」は、地域に根ざしたくらしを育む場です。
終わりに 「風の村」の報告は以上で終わります。もしかしたら、私の勘違いもあるかもしれませんが、このレポートの文責は山井和則にあります。 読者の皆さんにお願い。 このレポートを読んでの問い合わせは「風の村」へは、あまりなさらないでください。スタッフの方々は、非常に忙しくされていますので。
「風の村」について、詳しくは、
「風かおる終の棲家」(風の村記録編集委員会著
ミネルヴァ書房 ISBN4-623-03459-3)
をお読みいただくか、簡単なことでしたら、私の政策秘書海野(うんの)、国会事務所(電話03-3508-7240)にお問い
合わせくださるか、私に問い合わせのメールをください。
最後に、秋葉施設長から要望を聞きました。 「ユニットケアでは職員研修が非常に重要。職員研修をきっちりしないと、介護職員は業務優先になりがちで、入居者優先になれない。ユニットケア・個別ケアは今までの集団ケアよりも教育が必要なので、十分な研修がなければついていけない職員が出てくる」とのことでした。 やまのい和則 拝
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